抗精神病薬とアディポネクチン低下の関連明らかに 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2015/06/25 統合失調症患者における第2世代抗精神病薬(SGA)服用と代謝異常との関連が、イタリア、ミラノ・ビコッカ大学のFrancesco Bartoli氏らによるメタ解析の結果、明らかにされた。所見を踏まえて著者らは、「SGAがアディポネクチンに影響するメカニズムは不明のままだが、心血管疾患ではアディポネクチン低下が関与しており、今回の所見は臨床的に重要な意味を持つ」と述べ、SGAのアディポネクチンへの長期的な影響を評価する経時的検討を行うべきと指摘している。Psychoneuroendocrinology誌2015年6月号の掲載報告。 統合失調症患者は一般集団と比べて、代謝異常の悪影響を受けやすく、そのリスクはSGAによって増大すると考えられている。血中アディポネクチン値の低下は、代謝異常に結び付く可能性があるが、統合失調症患者におけるエビデンス、とくにSGAの影響については結論が出ていない。研究グループは、システマティックレビューとメタ解析にて、統合失調症患者と健康対照の血中アディポネクチン値を比較し、統合失調症とSGAのアディポネクチンへの相対的影響を推算した。主要電子データベースで、2014年6月13日までに公表された観察研究を検索し、指数および対照群とのプール標準化平均差(SMD)を算出。サブ解析および付加的サブグループ分析を行い評価した。 主な結果は以下のとおり。 ・2,735例のデータ(統合失調症患者群1,013例、非患者群1,722例)を解析に組み込んだ。 ・統合失調症と、アディポネクチン低値との関連は認められなかった(SMD:-0.28、95%信頼区間[CI]:-0.59~0.04、p=0.09)。 ・しかし、SGAを服用している統合失調症患者は、対照群と比べて血中アディポネクチン値が有意に低かった(p=0.002)。薬物未使用/未治療の患者とでは有意差はなかった(p=0.52)。 ・単剤の抗精神病薬でみると、クロザピン(p<0.001)とオランザピン(p=0.04)の服用者は、対照群と比べてアディポネクチン低値との関連が有意であった。しかしリスペリドン服用者においては、関連が有意ではなかった(p=0.88)。 関連医療ニュース 抗精神病薬による体重増加や代謝異常への有用な対処法は:慶應義塾大学 オランザピンの代謝異常、アリピプラゾール切替で改善されるのか 日本人統合失調症患者の脂質プロファイルを検証!:新潟大学 担当者へのご意見箱はこちら (ケアネット) 原著論文はこちら Bartoli F, et al. Psychoneuroendocrinology. 2015 Jun;56:179-189. Epub 2015 Mar 14. 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] IgA腎症、sibeprenlimabは蛋白尿を有意に減少/NEJM(2025/12/11) BRAF変異陽性大腸がん、最適な分子標的療法レジメンは?/BMJ(2025/12/11) 日本の精神科外来における頭痛患者の特徴とそのマネジメントの現状(2025/12/11) 認知症リスク低減効果が高い糖尿病治療薬は?~メタ解析 (2025/12/11) 日常生活のルーティンの乱れが片頭痛を誘発か(2025/12/11) 膵管拡張は膵臓がんの警告サイン(2025/12/11) ビタミンDの個別化投与で心筋梗塞リスクが半減(2025/12/11) [ あわせて読みたい ] 全国在宅医療・介護連携研修フォーラム(2015/03/31) ひと・身体をみる認知症医療(2015/03/15) 診療よろず相談TV(2013/10/25) 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会 領域別セッション(2013/11/12) 「てんかんと社会」国際シンポジウム(2013/09/24) 柏市 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会(2013/06/24)