長引くせん妄、その関連因子は 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2014/09/30 これまで、せん妄回復例については研究されてきたが、持続するせん妄に関連する因子については十分な研究は行われていなかった。スイス・チューリッヒ大学病院のSoenke Boettger氏らは、せん妄持続例とせん妄回復例の社会人口学的特性および治療法を比較し、せん妄の持続に関連する因子について検討を行った。その結果、「高齢」「認知症の既往」「脳がん」「がん終末期」「感染症」などの存在がせん妄の持続に関連していることを報告した。Palliative and Supportive Care誌オンライン版2014年9月5日号の掲載報告。 研究グループは、Memorial Delirium Assessment Scale(MDAS)を用いてせん妄の回復に関連する因子を、またKarnofsky Performance Status(KPS)を用いて機能改善に関連する因子を明らかにする検討を行った。被験者は、Memorial Sloan Kettering Cancer Center(MSKCC)の精神科から登録、ベースライン時(T1)、2~3日目(T2)、4~7日目(T3)に、MDASおよびKPSの評価を実施。せん妄持続例とせん妄回復例の社会人口学的特性および医学的変数を比較した。 主な結果は以下のとおり。 ・111例中26例に持続的なせん妄がみられた。患者背景として「高齢」「男性」「認知症併存」の割合が高かった。 ・せん妄患者のうち、がんと診断された者では、「脳がん」および「終末期」が、せん妄の持続または反応遅延に関連していた。 ・「消化器がん」については、せん妄回復との関連がみられた。 ・せん妄の治療において、感染症を有する場合は反応が遅く、通常1週間かかった。 ・せん妄持続例はベースラインから1週間の重症度がより高かった。 ・ベースライン時のMDASスコアは、せん妄持続例は20.1、T2およびT3におけるせん妄回復例は17~18.8、治療1週後(T3)のスコアはそれぞれ15.2、4.7~7.4であった。 ・ 治療1週後、せん妄持続例は意識、認知、臓器、知覚、精神運動行動、睡眠-覚醒サイクルのドメインにおいてより重度の障害がみられ、さらに機能障害も重篤であった。 ・高齢、認知症の既往、脳がん、がん終末期、感染症は結果に有意差をもたらした。 ・せん妄の重症度は、せん妄の持続または反応遅延に関連しており、せん妄の経過の延長と難治性を示すとともに、治療1週後の重度の機能障害と関連していた。 関連医療ニュース せん妄管理における各抗精神病薬の違いは がん患者のせん妄治療に有効な抗精神病薬は… 定型vs.非定型、せん妄治療における抗精神病薬 担当者へのご意見箱はこちら (ケアネット) 原著論文はこちら Boettger S, et al. Palliat Support Care. 2014 Sep 5: 1-9. [Epub ahead of print] 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] 1950~2023年の年齢・男女別の死亡率の推移~世界疾病負担研究/Lancet(2025/10/28) HER2変異陽性NSCLCの1次治療、sevabertinibの奏効率71%(SOHO-01)/ESMO2025(2025/10/28) MSI-H大腸がん、ニボルマブへのイピリムマブ追加でPFS延長傾向(CheckMate 8HW)/ESMO2025(2025/10/28) 「若者は管理職になりたがらない」は医師にも当てはまる?/医師1,000人アンケート(2025/10/28) アルツハイマー病のアジテーションに対するブレクスピプラゾール〜RCTメタ解析(2025/10/28) 心血管疾患の発症前にはほぼ常に警告サインあり(2025/10/28) ビタミンD欠乏症が10年間で有意に減少、骨折リスク低減に期待(2025/10/28) [ あわせて読みたい ] 診療よろず相談TV(2013/10/25) 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会 領域別セッション(2013/11/12) 「てんかんと社会」国際シンポジウム(2013/09/24) 柏市 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会(2013/06/24) 松戸市 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会(2013/06/20) カスガ先生の精神科入門[負けるが勝ち!]<上巻>(2012/12/01)