成人喘息患者の特徴の変化を分析 今後の課題が浮き彫りに

提供元:ケアネット

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公開日:2014/03/27

 

 名古屋第二赤十字病院呼吸器内科の石原 明典氏らは、急性増悪で入院となった成人喘息患者の特徴をレトロスペクティブに分析し、その変化について調べた。その結果、65歳未満の患者については、吸入ステロイド薬(ICS)の使用が一般的になってきているが喫煙率も上がっているという特徴が、また65歳以上の高齢患者については若い人よりもICSの使用率が高く喫煙率も高くないといった特徴が明らかになった。これらの所見を踏まえて、著者は「高齢者における喘息は、難治例が多い可能性があり、より効果的な治療戦略が必要と思われる」と報告している。

 本検討は、自院に入院となった成人喘息患者の特徴を分析することで、喘息の予防と治療に関する残された課題を明らかにすることが目的であった。

 研究グループは、2つの期間(A:2004年1月~2005年12月、B:2009年1月~2010年12月)に同院に入院した成人喘息患者を特定し、年齢、喫煙歴、ICS使用(配合剤を含む)などについてレトロスペクティブに分析した。

 主な結果は以下のとおり。

・各期間の総計患者数は、A群161例、B群88例であった。B期間患者数はA期間患者数と比べて約半減していた。
・各群における65歳以上患者の割合は、同程度であった。
・年齢で層別化した場合、65歳未満患者のICS使用率は、A群22.9%、B群35.8%であった。また現在喫煙率はA群42.7%、B群49.1%であった。
・一方、65歳以上患者のICS使用率は、A群46.2%、B群48.6%であった。また現在喫煙率はA群19.7%、B群22.9%であった。
・以上のように、65歳未満の喘息入院患者では、ICSが普及してきている一方で喫煙率が上昇しているとの特徴がみられた。ICSの効果が喫煙により抑制されていることが推察され、急性増悪を減らすために禁煙戦略が必要と思われた。
・65歳以上患者では、ICSの使用が相対的に若い人より多いこと、また喫煙率も高くないという特徴がみられた。難治例が多いと推測され、高齢者の喘息におけるより効果的な戦略が必要と思われた。

(ケアネット)