ERCP後膵炎の予防対策―インドメタシン単独 vs 硝酸薬併用

提供元:ケアネット

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公開日:2014/03/05

 

 内視鏡的逆行性胆道膵管造影(ERCP)前のインドメタシン直腸投与と硝酸薬舌下投与は、インドメタシン単独投与よりもERCP後膵炎の発症率を有意に低下させる可能性が高いことがイラン・テヘラン医療科学大学のRasoul Sotoudehmanesh氏らによる研究で明らかになった。The American journal of gastroenterology誌オンライン版2014年2月11日号の報告。

 急性膵炎は、ERCPに伴う最も一般的な有害事象である。最近、インドメタシンと硝酸薬の投与がハイリスク症例のERCP後膵炎を減少させることが報告されているが、併用投与がインドメタシン単独投与より優れているかについては明らかにされていない。

 本研究はERCP前にインドメタシンの直腸投与と硝酸薬の舌下投与の併用、またはインドメタシン単独の直腸投与を行い、ERCP後膵炎の予防効果を比較した二重盲検無作為化試験である。17ヵ月の試験期間中にERCPを施行したすべての適格患者を本試験に登録した。過去に内視鏡的括約筋切開を受けた患者は除外した。ERCP前にインドメタシン100mgの直腸投与と硝酸塩5mgの舌下投与(A群)、またはインドメタシン100mgの直腸投与とプラセボの舌下投与(B群)を行い、ERCP後にすべての患者の血清アミラーゼレベルの測定および臨床評価を行った。

 主な結果は以下のとおり。

・登録された300例の患者のうち、ERCP前にインドメタシンと硝酸薬の投与を行ったのは150例(A群+B群)であった。
・膵炎を発症したのは33例で、A群が10例(6.7%)、B群が23例(15.3%)であった(p=0.016、リスク比:0.39、95%CI:0.18~0.86)。
・患者の80%以上は、ERCP後膵炎の発症リスクが高かった。
・絶対リスク減少率は8.6%(95% CI:4.7~14.5)、相対リスク減少率は56.2%(同:50.6~60.8)、ERCP後膵炎予防のための治療必要数(NNT)は12例(同:7~22)であった。
・以上の結果より、ERCP前のインドメタシン直腸投与と硝酸薬舌下投与は、インドメタシン単独投与よりもERCP後膵炎の発症率を有意に低下させる可能性が高いことが明らかになった。

(ケアネット 武田 真貴子)