膵管ステント留置はERCP後膵炎を予防できるか?:国内における無作為化比較試験結果

提供元:ケアネット

印刷ボタン

公開日:2012/05/14

 

 国内における無作為化比較試験から、膵管ステント留置により、安全かつ効果的に内視鏡的逆行性胆道膵管造影(ERCP)後膵炎を予防できることを示唆する論文が、World Journal of Gastroenterology誌2012年4月14日号に掲載された。これは、東海大学の川口義明氏らの報告で、高リスク患者への膵管ステント留置術を勧めている。

膵管ステント留置群のERCP後膵炎の頻度は非留置群に比べ有意に低かった
 本試験では、ERCP後膵炎の高リスク群と考えられる症例を、膵管ステント留置群(n=60)または非留置群(n=60)に無作為に割り付け、膵炎の発症頻度と重症度を評価した。結果は以下のとおり。

・ERCP後膵炎の頻度は、膵管ステント留置群が1.7%(1/60例)で、非留置群13.3%(8/60例)に比べ有意に低かった(p=0.032、Fisherの正確確率検定)。
・膵炎の重症度はすべて軽度であった。
・高アミラーゼ血症の発生率は、膵管ステント留置群30%(18/60例)、非留置群38.3%(23/60例)であった(p=0.05、χ2検定)。
・膵管ステント留置成功率は100%であった。
・3日目までの膵管ステントの自然脱落率は96.7%(58/60例)であり、自然脱落までの期間の中央値は2.1日(範囲:2~3日)であった。
・膵管ステント留置群におけるステントmigration、出血、穿孔、感染症(胆管炎や胆嚢炎)、ほかの偶発症の発生率はすべて0%(0/60例)であった。