慢性のかゆみは血液系・胆管系悪性疾患のリスク因子?

提供元:ケアネット

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公開日:2014/02/18

 

 これまで慢性そう痒症でほかの皮膚疾患を有していない患者の、悪性疾患の発生率については報告がなされていない。米国・ペンシルベニア大学 医学大学院のNicole Fett氏らは、慢性そう痒症でほかの皮膚疾患を有していない患者について、5年悪性疾患発生率を調べた。その結果、血液系の悪性疾患が約2倍、胆管系の悪性疾患が約4倍と両臓器系悪性疾患のリスクが高いことが判明したと報告。ただし慢性そう痒症患者におけるこれらの悪性疾患の全発生率は非常に低いとしている。Journal of the American Academy of Dermatology誌オンライン版2014年1月28日号の掲載報告。

 検討は、Health Improvement Networkを基に住民ベースのコホート研究にて行われた。

 主要アウトカムは悪性疾患イベントおよび悪性疾患サブタイプのハザード比(HR)であった。

 主な内容は以下のとおり。

・8,744例の慢性そう痒症患者と、性別・年齢・診断で適合した非慢性そう痒症患者3万1,580例を比較評価した。
・慢性そう痒症患者の悪性疾患発生の完全補正後HRは1.14(95%信頼区間[CI]:0.98~1.33)であった。
・慢性そう痒症患者の血液系悪性疾患の完全補正後HRは2.02(95%CI:1.48~2.75)、胆管系悪性疾患については同3.73(同:1.55~8.97)であった。
・両臓器系疾患の発生率はそれぞれ0.0016、0.0003/人年であった。
・本検討は、誤分類および検出バイアスの可能性の点で限定的であった。
・以上を踏まえて著者は、「その他の皮膚疾患を有さない慢性そう痒症は、診断未確定の血液系および胆管系の悪性疾患を有するリスク因子であることが示唆された。しかしこれらの患者の悪性疾患の全発生率は非常に低いものであった」と結論している。

(ケアネット)