統合失調症患者は処理速度が著しく低下、日本人でも明らかに:大阪大学

提供元:ケアネット

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公開日:2014/02/04

 

 統合失調症患者は文化的要因が影響する神経心理学的検査において、統合失調症でない患者と比較してパフォーマンスが劣ることが報告されている。大阪大学の藤野 陽生氏らは、ウェクスラー成人知能検査(WAIS-III)日本語版を用いて、統合失調症患者のパフォーマンスを検討した。Psychiatry and clinical neurosciences誌オンライン版2013年1月22日号の報告。

 日本人統合失調症患者157例と健常者264例を対象に、WAIS-IIIでのパフォーマンスを評価した。WAIS-IIIから得られた、すべての知能指数スコアと4群指数(言語理解、知覚統合、作動記憶、処理速度)により比較検討を行った。

 主な結果は以下のとおり。

・統合失調症患者は健常者と比較し、すべての知能指数スコアと4群指数が損なわれていた。
・とくに処理速度は、健常者よりも約2SD低かった。
・13のサブテストのなかで、理解(z = -1.70、d = 1.55)、符号(z =-1.84、d = 1.88)、記号探し(z-1.85、d = 1.77)は健常者と比較し著しく損なわれていた。
・日本人統合失調症患者におけるWAIS-IIIによって評価された障害のタイプや程度は、これまで英語圏で報告されたものと同様であった。また、機能的転帰に関連するいくつかの神経心理学的分野の障害は、統合失調症の普遍的な特徴であると考えられる。

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(ケアネット 鷹野 敦夫)