統合失調症の実行機能障害に関与する遺伝子を発見:獨協医大 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2013/12/02 統合失調症と関連していることが知られているHPS4遺伝子は、臨床症状にどのように関連しているのか。獨協医科大学の倉冨 剛氏らは、統合失調症の実行機能障害に、HPS4遺伝子が関与していることを初めて明らかにした。また同遺伝子は、健常対照では作業記憶に関与していた。結果を受けて著者は、「動物モデルを用いたさらなる研究により、高次脳機能におけるHPS4が果たす役割を明らかにする必要がある」と述べている。(HPS4遺伝子:Hermansky-Pudlak症候群type 4遺伝子)BMC Psychiatry誌オンライン版2013年10月30日号の掲載報告。 研究グループは本検討において、HPS4と統合失調症患者または健常対照の認知機能との関連、また統合失調症患者の臨床プロフィールとの関連について調べることを目的とした。HPS4遺伝子多型と日本人の統合失調症患者の臨床症状および認知機能との関連を、SNPやhaplotype-based線形回帰分析法を用いて調べた。健常対照についても同遺伝子との関連を調べた。具体的には、HPS4の5つのtagging SNP(rs4822724、rs61276843、rs9608491、rs713998、rs2014410)と、それらの2~5のhaplotype遺伝子座を調べた。認知機能は、統合失調症認知機能簡易評価尺度日本語版(BACS-J)を用いて評価し、陽性・陰性症状評価尺度(PANSS)を用いた症状の評価も行われた。 主な結果は以下のとおり。 ・被験者は、統合失調症患者240例(男性139例、平均年齢48±12歳)、適合健常対照者240例(同:143例、48±13.0歳)であった。 ・統合失調症患者において、rs713998が実行機能と有意に関連していた(dominant genetic modelにおいてp=0.0073)。 ・健常被験者において、ワーキングメモリと2つの個別SNP(rs9608491、rs713998)の有意な関連がみられた(recessive modelにおいてそれぞれp=0.001、p=0.0065)。また、2つのhaplotype遺伝子座(rs9608491-713998、rs61276843-9608491-713998)の有意な関連もみられた(それぞれp=0.0025、p=0.0064)。 ・HPS4遺伝子のSNPとPANSSスコアあるいは発病前IQ(日本版National Adult Reading Testで測定)との間に、有意な関連はみられなかった。 関連医療ニュース 統合失調症の発症に、大きく関与する遺伝子変異を特定:理化学研究所 統合失調症では前頭葉の血流低下による認知障害が起きている:東京大学 新知見!慢性期統合失調症患者では意志作用感が減退:慶応義塾大学 (ケアネット) 原著論文はこちら Kuratomi G et al. BMC Psychiatry. 2013 Oct 30;13(1):276. [Epub ahead of print] 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] 妊娠前/妊娠初期のGLP-1作動薬中止、妊娠転帰と体重変化は?/JAMA(2025/12/19) 血友病Bに対する遺伝子治療、第III相試験の最終解析/NEJM(2025/12/19) メチシリン感性黄色ブドウ球菌菌血症に対するクロキサシリンとセファゾリンの比較(CloCeBa試験)(解説:寺田教彦氏)(2025/12/19) 『肝細胞癌診療ガイドライン』改訂――エビデンス重視の作成方針、コーヒー・飲酒やMASLD予防のスタチン投与に関する推奨も(2025/12/19) ER+低リスクDCIS、手術せず内分泌療法単独での有用性を検証(LORETTA)/SABCS2025(2025/12/19) 肺がん治療における経済的視点/治療医に求められる役割(2025/12/19) スタチン使用は本当にうつ病リスクを低下させるのか?(2025/12/19) 危険なOTCが国内流通か、海外での規制や死亡例は(2025/12/19) 「TAVI弁展開後における弁尖可動不良事象に関するステートメント」公表/THT協議会(2025/12/19)