統合失調症治療にニコチン作動薬が有効である理由とは? 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2012/12/21 米国・Western New York Stem Cell Culture and Analysis CenterのM.K. Stachowiak氏らは、マウス試験の結果、FGF受容体シグナル伝達の変異が統合失調症に結びつく発達異常の中心的な役割を果たしており、統合失調症の治療についてニコチン作動薬が有効であることを示唆する知見を得た。Schizophrenia Research誌オンライン版2012年12月8日号の掲載報告。 統合失調症は、複数の神経システムの構造や結びつき、化学的作用を特徴とする神経発達障害であり、脳の発達障害は、成人期の初期に表れる臨床的な疾患症状よりずっと以前の妊娠期間中に確立されるとみられている。一方で、統合失調症には多数の遺伝子が関連しており、大半の患者に共通してみられる変異遺伝子の存在が認められていない。著者は、さまざまな変異遺伝子が統合失調症患者の脳でみられる複合的な一連の障害にどのように結びつくのかを検証した。 主な内容は以下のとおり。 ・著者は、さまざまな変異遺伝子からつくられるタンパク質が、共通の神経発達経路に収束し、複数の神経回路や神経伝達システムの発達に影響するのではないかと仮説を立てた。 ・そのような神経発達経路は、Integrative Nuclear FGFR1 Signaling(INFS)であった。 ・INFSには多様な神経性シグナル(直接的な遺伝子再プログラミングで、有糸分裂後に肝幹細胞や神経前駆細胞、未成熟な神経細胞の成長に直接働きかける)が集積される。 ・さらに、FGFR1とそのパートナータンパク質は、統合失調症と結びついた遺伝子が機能する複数の上位経路と結びつき、それらの遺伝子と直接的に影響し合う。 ・FGF受容体シグナル伝達の障害があるトランスジェニックマウスにより、複数の重要なヒト擬態統合失調症の特徴(神経発生的成因、出生時の解剖学的異常、行動症状の遅延発症、疾患の複数領域にわたる欠損、定型・非定型抗精神病薬とセロトニン拮抗薬およびニコチン受容体作動薬による症状の改善)が実証された。 関連医療ニュース ・第一世代 vs 第二世代抗精神病薬、初回エピソード統合失調症患者に対するメタ解析 ・日本人女性の統合失調症発症に関連する遺伝子が明らかに ・統合失調症の遂行機能改善に有望!グルタミン酸を介した「L-カルノシン」 (ケアネット) 原著論文はこちら Stachowiak MK et al. Schizophr Res. 2012 Dec 8. [Epub ahead of print] 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) 関連記事 FGFR1融合遺伝子陽性の血液がんに福音 医療一般(2022/08/26) 統合失調症女性の妊娠・出産、気をつけるべきポイントは 医療一般(2014/02/17) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] 既治療の非MSI-H/dMMR大腸がん、zanzalintinib+アテゾリズマブがOS改善(STELLAR-303)/Lancet(2025/11/05) 高齢者への高用量インフルワクチン、入院予防効果は?/Lancet(2025/11/05) 動脈内血栓溶解療法は血栓回収療法後の補助的治療として有効か?(解説:内山真一郎氏)(2025/11/05) 寛解後の抗精神病薬の減量/中止はいつ頃から行うべきか?(2025/11/05) がん治療の中断・中止を防ぐ血圧管理方法とは/日本腫瘍循環器学会(2025/11/05) ソーシャルメディアは子どもの認知能力を低下させる?(2025/11/05) 脳に異なる影響を及ぼす5つの睡眠パターンを特定(2025/11/05) オピオイド鎮痛薬のトラマドール、有効性と安全性に疑問(2025/11/05) ホルモン療法とニラパリブの併用が進行前立腺がんに有効(2025/11/05) [ あわせて読みたい ] 第50回日本骨髄腫学会学術集会:独占インタビュー(2025/04/18) ASCO2025 まとめ(2025/06/02) かかりつけ医のためのがん患者フォローアップ(2025/06/13) 医療・介護施設従事者のための転倒・転落事故へのアプローチ ~転倒・転落事故のメカニズム、予防、事故後フォローのすべて~(2025/02/27) 非機器的早期運動療法はDVT発生率を低減【論文から学ぶ看護の新常識】第1回(2025/02/05) トレンド・トーク『肺がん』(2024/06/11) 災害対策まとめページ(2024/02/05) Dr.大塚の人生相談(2024/02/26) IBD(炎症性腸疾患)特集(2023/09/01) 旬をグルメしながらCVIT誌のインパクトファクター獲得を祝福する【Dr.中川の「論文・見聞・いい気分」】第63回(2023/08/29)