日本語でわかる最新の海外医学論文|page:951

PCV7ワクチン導入効果は10年後も持続、高齢者への間接効果も/NEJM

 2000年に米国で導入された7価肺炎球菌結合型ワクチン(PCV7)の小児への接種の効果について、肺炎関連入院の減少効果が、10年後も持続していることが、米国・ヴァンダービルト大学のMarie R. Griffin氏らによる調査の結果、報告された。また直接接種をしていない成人についても減少が認められ、とくに85歳以上高齢者について大幅な減少が確認されたという。米国においてPCV7の導入は、接種対象の若年小児以外にも年長小児や成人における“ワクチン血清型”の侵襲性肺炎球菌疾患の発生率を大幅に低下させた。2004年時点の調査では、若年小児のあらゆる肺炎関連入院が顕著に減少したことが確認されていた。しかし一方で増加が報告されていた“非ワクチン血清型”の侵襲性肺炎球菌疾患についての懸念から、PCV7導入の長期的効果および高齢者への効果についての評価が待たれていた。NEJM誌2013年7月11日号掲載の報告より。

無作為化試験の解析プラン、公表試験とレジストリ等での不一致は47%/BMJ

 無作為化試験の主要アウトカムの報告において、ベースラインや解析方法について広範で多様な補正(adjustment)が行われていることが、米国・スタンフォード大学のNazmus Saquib氏らによるメタ疫学研究の結果、明らかにされた。それら補正後の主要アウトカムを選択することで、名目上の結果の有意性が変わる可能性があり、著者は、「プロトコルにおいて、主要アウトカムについて補正プランがあることを明確にすべきであり、また解析は事前プランに準じて行われるべきである」と提言している。BMJ誌オンライン版2013年7月12日号掲載の報告。

統合失調症の治療に伴う性機能障害、カベルゴリンにより改善

 臨床的に安定している統合失調症患者に対するカベルゴリン(商品名:カバサールほか)の投与は、精神病理状態に悪影響を及ぼすことなく性機能を改善する可能性があることが、Christina S. Kalkavoura氏らによる検討の結果、示唆された。また本検討により、高プロラクチン血症の重症度に見合ったカベルゴリンの投与量も明らかになった。Experimental and Clinical Psychopharmacology誌オンライン版2013年7月8日号の掲載報告。

円形脱毛症患者は酸化ストレスや過酸化脂質が有意に増大

 円形脱毛症の人は、そうでない人と比較して、活性酵酸素(ROC)の増大に伴う酸化ストレスや過酸化脂質が有意に増大していることが、エジプト・ミヌーフィーヤ大学病院のOla Ahmed Bakry氏らによるケースコントロール試験の結果、明らかにされた。ROCや過酸化脂質の増大は、多くの皮膚傷障害で認められ、円形脱毛症においては、ROCの産生が毛包周囲の炎症性細胞で増大することが知られていた。

プレゼンにおけるベストなCOI開示方法は?~AAOSを例に~

 プレゼンテーションの前にスライドを提示して潜在的な利益相反(COI)の開示を行うことは、聴衆が提示されたデータを批判的に評価するためにほとんどの整形外科学会で行われており、インターネットサイトやプログラム集でたびたび補完されている。これまで、このスライドのフォーマットの忠実性や有用性は調査されておらず、その方法で本来の目的が達成されているのかどうかは、明らかになっていなかった。今回、メイヨークリニックのSassoon AA氏らは、2012年アメリカ整形外科学会(AAOS)年次総会において潜在的利益相反の開示状況について調査した。

心肺蘇生でのVSEコンビネーション療法、神経学的に良好な生存退院率を改善/JAMA

 心停止患者の蘇生処置について、心肺蘇生(CPR)中のバソプレシン+エピネフリンとメチルプレドニゾロンの組み合わせ投与および蘇生後ショックに対するヒドロコルチゾン投与は、プラセボ(エピネフリン+生理食塩水)との比較で、神経学的に良好な状態で生存退院率を改善することが明らかにされた。ギリシャ・アテネ大学のSpyros D. Mentzelopoulos氏らが無作為化二重盲検プラセボ対照並行群間試験の結果、報告した。先行研究において、バソプレシン-ステロイド-エピネフリン(VSE)のコンビネーション療法により、自発的な血液循環および生存退院率が改善することが示唆されていたが、VSEの神経学的アウトカムへの効果については明らかではなかった。JAMA誌2013年7月17日号掲載の報告より。

低線量CT検診、高リスク者の肺がん死予防に有効/NEJM

 肺がんの低線量CT検診は、リスクが最も高い集団における肺がん死の予防に有効だが、低リスク集団では予防効果が低いことが、全米肺検診試験(NLST)で示された。米国・国立がん研究所のStephanie A Kovalchik氏らが、NEJM誌オンライン版2013年7月18日号で報告した。NLSTではすでに、低線量CTは胸部X線による検診に比べ、喫煙経験のある中高年者における肺がん死を20%抑制することが示されているが、肺がん死のリスク別の検討は行われていなかった。

トップアスリートは、うつ病の頻度が高い

 オーストラリア・ディーキン大学のHammond Thomas氏らは、競泳の精鋭選手(エリートアスリート)におけるうつ病の発生状況を評価した。その結果、上位25%にいる選手集団はうつ病の頻度が2倍高く、成績不良がうつ病と有意に関連していることを報告した。結果を踏まえて著者は、「エリートアスリートは、とくに成績不良がきっかけとなり、うつ状態に陥りやすい。選手のメンタルヘルスを考慮し、適切なタイミングで的確なサポートをすることが重要である」と結論している。Clinical Journal of Sport Medicine誌2013年7月号の掲載報告。

再発・難治性B細胞リンパ増殖性腫瘍に対する新規分子標的薬イブルチニブ(コメンテーター:大田 雅嗣 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(120)より-

Bruton's Tyrosine Kinase(BTK) 阻害薬イブルチニブは、B細胞受容体シグナル伝達系阻害薬で、B細胞性慢性リンパ増殖性疾患に対する有望な治療薬である。本論文は再発・難治性CLLに対するPhase 1b-2多施設研究である。用量にかかわらず有害事象の低さ、26ヵ月時点での無増悪生存率(PFS) 75%、全生存率(OS) 83%と、良好な長期有効率が報告されている。

抗精神病薬の等価換算は正しく行われているのか

 統合失調症の治療において、異なる抗精神病薬の比較や切り替えを行う場合、等価換算が重要となる。この等価換算の方法は、比較試験のデザインでも重要となるが、現時点ではゴールドスタンダードと呼べる方法はないことを、英国・キングス・カレッジ・ロンドンのMaxine X. Patel氏らが、システマティックレビューの結果、報告した。そのため、抗精神病薬の直接比較試験では過大評価も過小評価も起こりうる可能性があるとして、著者は「臨床試験では必ず、等価換算についてその方法を選択した理由を明記すべきである」と述べている。Schizophrenia Research誌オンライン版2013年7月8日号の掲載報告。

細菌性のCOPD急性増悪では好中球中の活性酸素が増加

 細菌性のCOPDの急性増悪では、非細菌性の急性増悪に比べ、好中球中の活性酸素が著しく増加することが、リトアニア大学病院呼吸器・免疫学科のMindaugas Vaitkus氏らにより報告された。さらに、これらは局所炎症が強く引き起こされたことによる炎症反応とみられ、細菌性のコロナイゼーションが原因である可能性にも言及している。Inflammation誌オンライン版2013年7月20日号の掲載報告。

わきが治療としての経皮的エタノール注入療法

 わきが(腋臭症)治療として、経皮的エタノール注入療法(PEI)が有効かつ安全であることが報告された。中国医学科学院 中国協和医科大学のX. Han氏らが、PEI治療者165例に対して行った調査の結果で、術後の追跡調査(中央値14.5ヵ月)で、9割を超える人が治療成果に満足していることが示されたという。

肥満期間が長いと冠動脈心疾患リスクは増大する?/JAMA

 若年期から肥満がみられ肥満期間が長いほど、冠動脈石灰化(CAC)が促進され、中年期の冠動脈心疾患リスクの増大につながることが、米国・国立心肺血液研究所(NHLBI)のJared P Reis氏らの検討で示された。米国では過去30年間に肥満率が成人で2倍、青少年では3倍に上昇しており、若年の肥満者ほど生涯を通じて過剰な脂肪蓄積の累積量が多く、肥満期間が長くなるが、肥満の長期的な転帰に関する研究は少ないという。また、脂肪の蓄積量にかかわらず、全身肥満の期間が長期化するほど糖尿病罹患率や死亡率が上昇することが示されているが、肥満期間が動脈硬化の発症や進展に及ぼす影響については、これまで検討されていなかった。JAMA誌2013年7月17日号掲載の報告。

HER2陽性乳がんのトラスツズマブ至適投与期間は?/Lancet

 HER2陽性乳がんの術後補助療法において、HER2阻害薬トラスツズマブ(商品名:ハーセプチン)の投与期間を標準的な1年投与から2年投与に延長しても有効性は改善されないことが、欧州腫瘍学研究所(イタリア、ミラノ市)のAron Goldhirsch氏らが行ったHERA試験で示された。乳がんの約15~20%にHER2遺伝子の過剰発現や増幅がみられる。トラスツズマブは、これらHER2陽性早期乳がんに対する有効性が確立され、術後補助療法として広く用いられている。現在の標準的な投与期間は1年とされるが、至適な投与期間は確立されていない。Lancet誌オンライン版2013年7月18日号掲載の報告。

低血糖の閾値を感知する機能が付帯したインスリンポンプの有用性(コメンテーター:吉岡 成人 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(119)より-

 1型糖尿病患者を対象とした大規模臨床研究であるDCCT(Diabetes Control and Complications Trial)の発表以来、厳格な血糖管理によって糖尿病患者のQOLに大きな影響を与える細小血管障害の発症・進展が抑止しうることが確認されている。

医師自ら医賠責に加入 その背景にあるものは?

 病院賠償責任保険(以下、医賠責)は施設側が加入するのが通常であるが、個人で加入する医師が増えているという。ケアネットが12日に行ったケアネット・ドットコム会員の勤務医1,000人へのアンケート調査から、勤務医の7割以上が医賠責に個人で加入していることがわかった。その背景には、いつどんな場面で訴訟に巻き込まれるかわからず、病院のみならず担当医も連名で告訴されるなど、患者サイドから訴訟の対象とされる行為の多様化があるという。