日本語でわかる最新の海外医学論文|page:951

むずむず脚症候群と統合失調症、遺伝子の関連が示唆

 脚がむずむずして眠れない、といった症状を呈するむずむず脚症候群(レストレスレッグス症候群:RLS)。その原因は明らかになってはいないが、脳内のドパミン調節機能障害や鉄分の不足が大きく影響していると言われている。また、ゲノムワイド関連解析やいくつかのレプリケーション研究により、RLSとBTBD9遺伝子の一塩基多型との関連も示されている。韓国のSeung-Gul Kang氏らは抗精神病薬誘発性のRLSと統合失調症患者のBTBD9遺伝子多型との関連を調査した。Human psychopharmacology誌オンライン版2013年1月30日号の報告。

長期療養施設の高齢者の多くは、本当は痛みに耐えている

 The Services and Health for Elderly in Long TERm care(SHELTER)研究において、ヨーロッパの長期療養施設の入所者は国によって差はあるものの疼痛有病率が高く、大部分の入所者は疼痛が適切にコントロールされていると自己評価しているが、実際にはまだ強い痛みを有している入所者が多いことが明らかとなった。

脂肪肝患者では大腸がんの肝転移が少ない!?

 脂肪肝と大腸がんはどちらもメタボリックシンドロームと関連する疾患である。肝臓は大腸がんの遠隔転移が最も多い部位だが、大腸がんの肝転移に脂肪肝が影響するかどうかは明確にされていない。  今回、東京大学腫瘍外科の室野浩司氏らは、大腸がんの肝転移と脂肪肝の有無との関連について検討した結果、脂肪肝患者のほうが肝転移が少なく、脂肪肝が肝転移の形成に不利な微小環境である可能性を報告した。また、肥満ではない脂肪肝患者では肝転移が少なく、肥満患者では有意差がなかったことから、肥満による脂肪肝とは異なり、がん細胞に対する防御反応として脂肪肝になるのかもしれないと考察している。International Journal of Colorectal Disease誌オンライン版2013年2月8日号に掲載。

難治性の慢性特発性蕁麻疹患者、ピロリ菌除菌療法で約3割が症状消失

 抗ヒスタミン薬が無効の慢性特発性蕁麻疹(CU)患者について、ヘリコバクター・ピロリ(H.pylori、以下 ピロリ菌)感染症の除菌療法がベネフィットをもたらす可能性が、イスラエルのネゲヴ・ベン=グリオン大学のE. Magen氏らによる検討の結果、報告された。British Journal of Dermatology誌オンライン版2013年1月21日号の掲載報告。

統合失調症の診断・治療に期待!新たなバイオマーカー

 統合失調症リスク遺伝子と関わりを持っていることなどが知られている「NDEL1」。統合失調症の臨床診断および薬物治療のバイオマーカーとして、血中NDEL1酵素活性が期待できることが示された。ブラジル・サンパウロ連邦大学のAry Gadelha氏らが、統合失調症患者と健常対照者の血中NDEL1酵素活性レベルを比較し、臨床プロファイルや治療反応との関連を調べた結果、統合失調症患者では同値が有意に低いことなどが示されたという。Journal of Psychiatric Research誌オンライン版2013年2月3日号の掲載報告。

前立腺全摘除術vs. 放射線療法、15年後の機能的アウトカムは有意差なし/NEJM

 限局性前立腺がんで前立腺全摘除術を受けた患者と放射線療法を受けた患者の機能的アウトカムについて、15年の長期にわたる追跡の結果、両群で有意な差はみられなかったことが示された。米国・ヴァンダービルト大学のMatthew J. Resnick氏らが、Prostate Cancer Outcomes Study(PCOS)の被験者データを解析した結果で、NEJM誌2013年1月31日号で発表した。

新規結核ワクチンの有効性示せず:MVA85A 020 Trial Study/Lancet

 開発中の新規結核ワクチンMVA85Aは、BCG接種歴のある幼児において良好な安全性を示したものの、予想に反して結核の予防効果はほとんどないことが、南アフリカ共和国・ケープタウン大学のMichele D Tameris氏の検討で示された。2011年の世界の結核患者数は約870万人で、約140万人が結核が原因で死亡している。南アフリカのような流行地では、BCGが広く普及しているにもかかわらず、幼児、小児の結核発症率がきわめて高く、ワクチンの改良が喫緊の課題とされる。MVA85AはBCGの予防効果を増強するようデザインされ、結核の予防に重要と考えられる抗体特異的Th1細胞およびTh17細胞を誘導することが確認されているという。Lancet誌オンライン版2013年2月4日号掲載の報告。

静注ブスルファンと全身放射線照射との造血幹細胞移植後の全生存率の比較の報告が“Best Abstracts”に選出される【2013 BMT Tandem Meetings】

 BMT Tandem Meetings(米国造血細胞移植学会/国際骨髄移植研究センター 合同学術集会)において、造血幹細胞移植前治療としての静注ブスルファンと全身放射線照射(TBI)の骨髄破壊的レジメンを比較した試験の結果が、オタワ大学(カナダ)のChristopher Bredeson氏により報告された。この試験は、本学会の全553演題の中から最も優れた6題を表彰する“Best Abstracts”セッションにおいて、15日に米国ユタ州ソルトレイク市で発表された。

低用量ゾルピデム舌下錠、不眠症患者における中途覚醒後の入眠潜時を短縮

 米国・ヘンリーフォード病院(デトロイト)のThomas Roth氏らは、中途覚醒後の入眠困難を訴える不眠症患者を対象に、新規低用量ゾルピデム舌下錠の有用性をプラセボと比較検討した。その結果、低用量ゾルピデム舌下錠は中途覚醒後の入眠潜時を有意に短縮することを報告した。Sleep誌2013年2月1日号の掲載報告。

抗精神病薬や気分安定薬を服薬中の女性、妊娠・出産のリスクはどの程度?

 女性に対する抗精神病薬や気分安定薬の処方は、妊娠や出産へのリスクを十分に考慮する必要がある。イタリア・ヴェローナ大学のC. Barbui氏らは、抗精神病薬服薬中の妊娠可能年齢女性における、妊娠転帰に関するデータをまとめ、発表した。Epidemiology and psychiatric sciences誌オンライン版2013年2月1日号の報告。

ω-6リノール酸、むしろ死亡率を高める?:Sydney Diet Heart Studyとメタ解析/BMJ

 冠動脈疾患(CHD)の2次予防において、飽和脂肪酸をω-6リノール酸(多価不飽和脂肪酸)で代替する食事療法は、全死因死亡、CHD死、心血管疾患(CVD)死をむしろ増加させる可能性があることが、米国・国立衛生研究所(NIH)のChristopher E Ramsden氏らの検討で示された。食事に含まれる飽和脂肪酸をω-6リノール酸で置き換えると、総コレステロール値やLDLコレステロール値が低下することが知られている。そのため、CHD患者の食事療法ガイドラインではこれらの代替が推奨されているが、リノール酸の臨床的なベネフィットは確立されていない。Sydney Diet Heart Study(SDHS)は、サフラワー油由来のリノール酸の、CHD死やCVD死の抑制効果に関する包括的な解析を目的とした無作為化試験で、データが紛失したため長年放置されていたが、同氏らがオリジナルのデータセットの回収に成功したという。BMJ誌オンライン版2013年2月5日号掲載の報告。

ACE阻害薬、末梢動脈疾患患者の間欠性跛行とQOLを改善/JAMA

 ACE阻害薬ラミプリル(本邦未承認)は、間欠性跛行のみられる末梢動脈疾患(PAD)患者の歩行能を有意に改善し、その結果として健康関連QOLの改善をもたらすことが、オーストラリア・Baker IDI心臓・糖尿病研究所のAnna A. Ahimastos氏らの検討で示された。PAD患者は欧州と北米で約2,700万人に上る。その約3分の2が歩行時疼痛(安静時には消失)による間欠性跛行を来し、身体の機能的障害やライフスタイルの制約を受けることになる。これまでに行われた薬物療法の臨床試験では、歩行距離の延長効果は12~60%だが、同氏らはパイロット試験でラミプリル の有効性を示唆するデータを得ているという。JAMA誌2013年2月6日号掲載の報告。

双極性障害、再入院を減らすには専門外来での治療が必要

 デンマーク・コペンハーゲン大学病院のLars Vedel Kessing氏らは、双極性障害のため精神病院に入院し、退院した患者の予後について、退院後に気分障害クリニック専門外来での治療を受けた場合と地域病院で標準治療を受けた場合を比較検討した。その結果、気分障害クリニック専門外来での治療は精神病院への再入院を減らし、治療満足度も高いことを報告した。British Journal of Psychiatry誌オンライン版2013年1月24日号の掲載報告。

虚血性脳卒中の血管内治療、標準的t-PA静脈内投与を凌駕せず:SYNTHESIS Expansion試験/NEJM

 急性虚血性脳卒中(脳梗塞)に対する血管内治療のアウトカムは、標準的な組織プラスミノーゲンアクチベータ(t-PA)の静脈内投与による血栓溶解療法を超えるものではないことが、イタリア・Niguarda Ca’Granda病院(ミラノ市)のAlfonso Ciccone氏らの検討で示された。虚血性脳卒中患者の障害脳動脈の再開通率は、血管内治療のほうが静脈内血栓溶解療法よりも高いことが知られている(>80% vs 46%)。一方、再開通が必ずしも良好な臨床アウトカムをもたらすとは限らず、これら2つの治療アプローチの臨床効果を直接比較した試験はこれまで行われていなかった。NEJM誌オンライン版2013年2月6日号掲載の報告で、同日、米国ホノルル市で開催された国際脳卒中学会(ISC)で同氏によって発表された。