日本語でわかる最新の海外医学論文|page:950

統合失調症、双極性障害の急性期興奮状態に対する治療:アリピプラゾール筋注に関するコンセンサス・ステートメント(英国)

 統合失調症患者や双極性障害患者の急性期興奮状態に対する薬物治療では、急速な鎮静作用だけでなく、長期的な治療を見据えた薬剤選択が重要である。英国・Northcroft HospitalのDomingo Gonzalez氏らは、双極性躁病と統合失調症の興奮に対する急速鎮静法としてのアリピプラゾール筋注について、コンセンサス・ステートメントを発表した。Current Medical Research and Opinion誌2013年3月号(オンライン版2013年2月4日号)の掲載報告。

高頻度振動換気法により、成人ARDS患者の院内死亡率が上昇:OSCILLATE試験/NEJM

 中~重度の急性呼吸促迫症候群(acute respiratory distress syndrome:ARDS)の成人患者に対する早期の高頻度振動換気法(high-frequency oscillation ventilation:HFOV)による治療は、低1回換気量法(low tidal volume)や呼気終末高陽圧換気法(high positive end-expiratory pressure)を用いた治療戦略に比べ予後を改善しないことが、カナダ・トロント大学のNiall D. Ferguson氏らの検討で示された。ARDSは重症疾患で高頻度にみられる合併症で、死亡率が高く、生存例にも長期的な合併症をもたらすことが多い。いくつかの報告により、HFOVは成人ARDS患者の死亡率を抑制することが示唆されているが、これらの試験は比較群が旧式の換気法であったり、症例数が少ないなどの限界があるという。NEJM誌オンライン版2013年1月22日号掲載の報告。

脳卒中に対するt-PA+血管内治療、t-PA単独療法を凌駕しない/NEJM

 脳卒中治療について、組織プラスミノーゲン活性化因子(t-PA)静注の単独療法と血管内治療を併用した場合とを比較した結果、有効性に有意な差はなく、安全性アウトカムも同程度であったことが、米国・シンシナティ大学のJoseph P. Broderick氏らによる無作為化試験の結果、報告された。中等度から重症の急性脳梗塞患者の治療では、t-PA静注療法後に血管内治療を併用するケースが増えているが、同アプローチが単独療法よりも有効であるのかどうかは明らかではなかった。NEJM誌オンライン版2013年2月7日号より。

アセチルコリンエステラーゼ阻害薬の長期曝露、ミツバチの生態行動に影響

 過去20年間に多くの国でミツバチやその他の受粉行動をする昆虫が急激に減少した。背景には、寄生ダニ駆除を目的とした、コリン作動性シグナル伝達に作用する有機リン酸系の農薬(殺虫剤)の影響が言われている。英国・ニューキャッスル大学のSally M. Williamson氏らは、それら殺虫剤の長期曝露がミツバチの行動にどのような影響を及ぼすのか、アセチルコリンエステラーゼ(AChE)阻害薬を用いた検証試験を行った。その結果、AChE阻害薬の長期曝露により毛づくろい行動(働かなくなる)や排便回数が増えるなど、ミツバチの生理機能や行動に変化がもたらされたことが確認されたという。Frontiers in Physiology誌オンライン版2013年2月5日号の掲載報告。

長距離ランナーは、疼痛知覚が低い

 疼痛への感受性の違いが疼痛性障害の発症リスクと関わりがあるかもしれないことから、ドイツ・ウルム大学病院のWolfgang Freund氏らは、興味深い研究対象として「疼痛に高い耐性を示す人」について研究を行った。対象としたのは長距離ランナーで、その疼痛耐性および性格特性を調べた結果、健常対照者および慢性疼痛患者と異なっていることが明らかになったという。

抗凝固薬服用PCI患者にはクロピドグレル単独追加が出血リスクを有意に減少/Lancet

 経口抗凝固薬を服用中で経皮的冠動脈インターベンション(PCI)が必要とされる患者には、アスピリンやクロピドグレル(商品名:プラビックス)の抗血小板薬療法が推奨されている。その場合3剤併用療法は深刻な出血リスクを招くが、オランダ・Twee Steden HospitalのWillem J M Dewilde氏らの研究グループは、クロピドグレル単独と、クロピドグレル+アスピリンを併用した場合の有効性および安全性を調べる非盲検無作為化比較対照試験を行った。その結果、クロピドグレル単独追加群では出血性合併症が有意に減少し、血栓性イベントが増加しなかったことを報告した。Lancet誌オンライン版2013年2月13日号より。

退院後30日以内の再受診のうち救急部門受診が約4割/JAMA

 米国・エール大学医学部のAnita A. Vashi氏らは、米国内3州の約1年間の退院データ解析の結果、急性期病院からの退院後30日以内の救急部門再受診が成人患者で一般的にみられ、急性期病院の再受診患者のうち39.8%を占めることを報告した。再入院率は急性期治療後における医療ケアの質の改善の指標とされており、退院後早期の救急部門受診も同様に、退院後における急性期の医療ケアの質の指標とみなされているが、これまで退院後早期の救急部門利用に関する調査はほとんど行われていなかった。JAMA誌2013年1月23・30日号掲載の報告より。

7割の医師が“モンスターペイシェント”の対応経験あり 10人に1人は暴力も

 ケアネットは21日、自社で運営するケアネット・ドットコムの医師会員1,000人に対し、“モンスターペイシェント”に対する意識調査を実施した。本調査では、医療従事者や医療機関に対して自己中心的で理不尽な要求、暴言、暴力を繰り返す患者やその家族などに対応した経験について尋ねた。

皮膚筋炎患者の心筋梗塞リスクは約4倍、脳梗塞リスクは約1.8倍

 皮膚筋炎(DMS)患者では、心血管イベントおよび脳血管イベントのリスクが高いことが、台湾・国立台湾大学病院のY.-T. Lai氏らが行った住民ベースの長期追跡調査の結果、明らかになった。自己免疫疾患に関連する慢性炎症性疾患は心血管リスクを増大することは知られているが、脳血管リスクについてはこれまで不明であった。British Journal of Dermatology誌オンライン版2013年1月21日号の掲載報告。

認知症患者の興奮症状に対し、抗精神病薬をどう使う?

 アルツハイマー病(AD)は精神症状の発現頻度が高く、治療にも難渋する。そのため、QOL低下や介護者ストレスなどの問題を引き起こす。このような認知症関連精神疾患の治療に抗精神病薬が用いられる頻度は高いが、死亡リスクの上昇が懸念されるため、FDAが警告を発している。オランダ・フローニンゲン大学のPeter Paul De Deyn氏らは、AD患者に対する非定型抗精神病薬アリピプラゾール投与に関するレビューと評価・考察を行った。Expert Opinion on Pharmacotherapy誌オンライン版2013年1月28日号の報告。

葉酸の長期摂取、がん発症を増大も減少もせず/Lancet

 葉酸を長期にわたって摂取しても、がん発症リスクは増大も減少もしないことが、約5万人を対象にしたメタ解析の結果、示された。ノルウェー・Bergen大学のStein Emil Vollset氏らが、葉酸の心血管疾患予防効果などを調べた13の無作為化プラセボ対照試験のデータからメタ解析を行い報告したもので、Lancet誌オンライン版2013年1月25日号で発表した。葉酸の摂取は、妊婦においては生まれてくる子どもの神経管欠損症を予防することが、これまでの疫学試験で示されているが、一方でがん発症リスクとの関連が懸念されていた。

レニン・アンジオテンシン系阻害薬の併用は死亡率の低下をもたらさない/BMJ

 レニン・アンジオテンシン系(RAS)の二重遮断は、心不全を主とする入院を減らし一見ベネフィットがあるように見えるが、死亡率の低下には結びついておらず、有害事象の超過リスクとの関連が認められることが、米国・コロンビア大学付属St Luke's Roosevelt HospitalのHarikrishna Makani氏らによるメタ解析の結果、報告された。RAS二重遮断は、治療抵抗性の心不全、高血圧症、糖尿病性腎症、蛋白尿症と幅広く用いられているが、有効性と安全性については議論が続いていた。今回の解析で示されたリスク・ベネフィットの結果を踏まえて著者は、「RAS二重遮断のルーチンな使用の反証が示された」と結論している。BMJ誌オンライン版2013年1月28日号掲載より。

〔CLEAR! ジャーナル四天王(57)〕 重ね着にメリットなし、かえって風邪をひくかも-ACE阻害薬とARB併用に効果増強みられず-

 Renin-angiotensine(RA)系抑制薬として、ACE阻害薬、アンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)そして直接的レニン阻害薬 アリスキレン(商品名:ラジレス)が実用に供されているが、これらのうち2種類の併用を“dual blockade”と称する。