大うつ病性障害の若者へのSSRI、本当に投与すべきでないのか? 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2013/07/29 大うつ病性障害(MDD)の小児と思春期の若者に対し、SSRIの処方は、リスクよりもベネフィットが大きく上回ることが、スペイン・ナバラ大学のCesar Soutullo氏らによるレビューの結果、示された。Current Psychiatry Reports誌2013年7月15日号の掲載報告。 小児と思春期若者のMDDは公衆衛生上の問題であり、エビデンスベースの治療が必要とされる。Soutullo氏らは、小児・思春期MDDの抗うつ薬(とくにSSRI)治療の安全性と有効性について、PubMed検索により入手可能であった研究報告および短報サマリーについてレビューを行った。 主な結果は以下のとおり。 ・抗うつ薬の有効性について評価していた試験が、少なくとも19件存在した。15件は対プラセボ試験、4件は非SSRI(新しい世代の抗うつ薬)との比較試験であった。被験者は小児・思春期合わせて3,335例であった。 ・15試験についてSSRIの種類別にみると、フルオキセチン(国内未発売)5件、エスシタロプラム2件、セルトラリン2件、シタロプラム(国内未発売)2件、パロキセチン4件であった。 ・レビューの結果、小児・思春期MDDの治療において、フルオキセチンとエスシタロプラムは、いずれも安全であり、症状改善および寛解/反応率について有効であった。しかしながらその反応率は、非OCD不安障害(強迫性障害ではない不安障害)の治療に対するよりも低かった。 ・セルトラリンも、1試験(2試験からプールされた結果を解析した)において有効性が示された。 ・MDDの治療必要数(NNT)は10例であった。一方、自殺傾向の有害必要数(NNH)は112例であった。 ・研究方法についての主な限界は、プラセボ反応率が高率であること、試験場所が複数であること、患者がより若く、MDD重症度がより低いことであった。 ・治療は、再発防止のため、寛解後約1年は継続すべきであることが示された。 ・FDA承認のフルオキセチンとエスシタロプラムは、小児MDDの治療において安全性と有効性が認められた。セルトラリンも、有効性と安全性を支持するデータが一部において認められるが、FDAの承認は得られていなかった。 ・以上のことから著者は、「臨床医は、一部の患者においてごくわずかな自殺念慮の増加があることを知っておかなくてはならない。しかし、中等度~重度MDDにおけるSSRI使用のリスク対ベネフィットの比率は1対11.2と良好である」と結論している。 関連医療ニュース 抗うつ薬による治療は適切に行われているのか?:京都大学 小児および思春期うつ病に対し三環系抗うつ薬の有用性は示されるか 抗うつ薬を使いこなす! 種類、性、年齢を考慮 担当者へのご意見箱はこちら (ケアネット) 原著論文はこちら Soutullo C et al. Curr Psychiatry Rep. 2013 Jul;15(7):366. 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] 非虚血性拡張型心筋症、後期ガドリニウム増強が死亡と関連/JAMA(2024/10/16) 脳卒中の発熱予防は機能回復に有用か?/JAMA(2024/10/16) 乾癬の光線療法、自宅治療は外来治療に非劣性(2024/10/16) ADHDの薬物関連心血管疾患による世界的負担〜WHO薬物安全性データ分析(2024/10/16) 医師の飲酒状況、ALT30超は何割?年齢が上がるほど量も頻度も増える?/医師1,000人アンケート(2024/10/16) 母乳育児は乳児の喘息リスクを低下させる(2024/10/16) 高齢患者の痛みに抗うつ薬は有効か(2024/10/16) 糖尿病合併症があると歯周病がより起こりやすい(2024/10/16) [ あわせて読みたい ] Dr.ゴン流ポケットエコー簡単活用術(2014/06/11) 診療よろず相談TV(2013/10/25) ここから始めよう!みんなのワクチンプラクティス ~今こそ実践!医療者がやらなくて誰がやるのだ~(2014/05/15) 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会 領域別セッション(2013/11/12)