日本語でわかる最新の海外医学論文|page:457

COVID-19の診療情報特設サイトを開設/日本プライマリ・ケア連合学会

 日本プライマリ・ケア連合学会(理事長:草場 鉄周)は、4月1日に同連合学会のホームページ上で「新型コロナウイルス感染症(COVID-19) 診療所・病院におけるプライマリ・ケアのための情報サイト」を開設した。  特設サイトでは、COVID-19に関する臨床診療で必要な最新情報が網羅されている。  主な内容は下記の通りであり、診療の合間などに参照していただきたい。

スタチンと降圧薬の併用と認知症リスク

 脂質異常症や高血圧症は、アルツハイマー病やこれに関連する認知症(ADRD:Alzheimer's disease and related dementia)の修正可能なリスク因子である。65歳以上の約25%は、降圧薬とスタチンを併用している。スタチンや降圧薬が、ADRDリスクの低下と関連するとのエビデンスが増加する一方で、異なる薬剤クラスの併用とADRDリスクに関するエビデンスは存在しない。米国・ワシントン大学のDouglas Barthold氏らは、異なる薬剤クラスの組み合わせによるスタチンと降圧薬の併用とADRDリスクとの関連について、検討を行った。PLOS ONE誌2020年3月4日号の報告。

COVID-19、軽症者の増悪時にみられた所見―自衛隊中央病院

 クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス号」から搬送された、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者104例について、2020年3月24日、自衛隊中央病院がその経過と得られた知見をホームページ上で公開した。CT検査所見の特徴、重症化や他疾患との鑑別におけるマーカーとしての各検査値の有用性など、これまでに報告されている事項をふまえ、自院での症例について考察している。

反復性片頭痛の予防に鍼治療が有効/BMJ

 前兆のない反復性片頭痛の予防において、マニュアル鍼治療は偽(sham)鍼治療や通常治療に比べ、片頭痛の発現日数や発作回数を抑制することが、中国・華中科技大学のShabei Xu氏らの検討で示された。研究の成果は、BMJ誌2020年3月26日号に掲載された。片頭痛の予防における鍼治療の有益性に関する臨床的なエビデンスは少ない。最近の臨床試験では、鍼治療は、これを施術しない患者に比べ片頭痛の発現が少ないと報告されている。一方、これまでの鍼治療と偽鍼治療の比較では、わずかな差しか認められていないという。

早期トリプルネガティブ乳がんに対するペムブロリズマブ+術前化学療法:pCR率が13.6%増加(解説:下村昭彦氏)-1209

本試験は、臨床病期IIからIIIの早期トリプルネガティブ乳がん(triple negative breast cancer:TNBC)に対して術前化学療法にペムブロリズマブを追加する効果を病理学的完全奏効(pathological complete response:pCR)率と無イベント生存期間を用いて評価した第III相試験であり、ペムブロリズマブ群でpCR率64.3%(95%CI:59.9~69.5)、プラセボ群で51.2%(95%CI:44.1~58.4)と、ペムブロリズマブ群で有意に良好であった。メラノーマで最初に有効性が示された免疫チェックポイント阻害薬も、あっという間にさまざまながん種で有効性が示され、他がん種ではすでに日常臨床で多く使われるようになった。乳がんにおいてもその有効性が期待されていたが、昨年の欧州臨床腫瘍学会で発表されたKEYNOTE-119が示すように、免疫原性が高いとされるTNBCであっても単剤での有効性は示せていない。転移TNBCにおいてはすでに抗PD-L1抗体であるアテゾリズマブとアルブミン結合パクリタキセルの有効性が示され、国内でも承認されている。また、転移TNBCに対するペムブロリズマブと化学療法併用の有効性もプレスリリースされており、転移TNBCにおいては免疫チェックポイント阻害薬と化学療法の併用は重要な選択肢の1つとなっている。

COVID-19、抗体検出は発症2週間後からか/感染研

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)への感染が拡大する中、検査時の二次感染リスクが低い抗体検査への期待が高まっている。しかし、その感度・特異度に関する報告は限られており、臨床現場での利用の仕方や結果の解釈について見解は定まっていない。国立感染症研究所では、市販のイムノクロマト法による抗体検出試薬による、発症後日数ごとの抗体陽性率を調査。その結果をホームページ上で公開した。 <調査概要> 検体:SARS-CoV-2遺伝子増幅法により確定された、COVID-19患者血清の残余検体(37症例・87検体) 使用試薬:市販のイムノクロマト法による抗体検出試薬(A社製)  発症後日数※1ごとのの抗SARS-CoV-2 IgM,、IgG抗体陽性率は以下のとおり。

月1回アリピプラゾールへの切り替えの有効性と忍容性

 韓国・カトリック大学校のChi-Un Pae氏らは、統合失調症における月1回アリピプラゾール(AOM)のリアルワールドデータを収集し、評価を行った。Clinical Psychopharmacology and Neuroscience誌2020年2月29日号の報告。  統合失調症治療のために抗精神病薬の多剤併用(APpoly)またはアリピプラゾール以外の他の長時間作用型注射剤(LAI)で治療された患者において、AOMの初回使用後最大12ヵ月間の観察研究を行った。人口統計、陽性・陰性症状評価尺度(PANSS)、臨床全般印象度(CGI-S)、有害事象などの利用可能な臨床情報を電子医療記録(EMR)より収集した。

COVID-19肺炎、最大の悪化因子は喫煙歴か

 喫煙歴が、新型コロナウイルスによる肺炎(COVID-19肺炎)の最大のリスク因子かもしれない。今回、中国湖北省・華中科技大学のWei Liu氏らは、78例の入院症例における予後別の背景因子を調査した。Chinese Medical Journal誌オンライン版2020年2月28日号に掲載。  本研究は、2019年12月30日~20年1月15日に、武漢の3つの3次病院に入院し、PCR検査で新型コロナウイルス陽性となった患者が登録された。個人データ、臨床検査値、画像所見、臨床データが収集され、統計解析された。患者は臨床タイプによって悪化群と改善・安定群に分類され、ロジスティック回帰分析により、疾患進行のリスク因子を調べた。

米国青少年の食事の質、半数以上で低いまま/JAMA

 米国の青少年の食事の質は、1999年から2016年にかけてわずかに改善されたものの、半数以上では依然として低劣であることが、米国・タフツ大学のJunxiu Liu氏らの調査で明らかとなった。研究の成果は、JAMA誌2020年3月24日号に掲載された。これまでに行われた米国の青少年の食事傾向に関する研究は、重要な主要栄養素やごく一部の食品に限られており、使用されたデータも古いという。  研究グループは、米国の青少年における食事の質の傾向に関して、その特性を明らかにする目的で連続横断研究を行った(米国国立衛生研究所[NIH]などの助成による)。

画像診断での深層学習 vs.専門医、前向き研究やRCT少ない/BMJ

 画像診断に関する前向き深層学習(deep learning)研究や無作為化試験は少なく、非無作為化試験のほとんどは前向き研究ではなく、バイアスのリスクが高く、既存の報告基準から逸脱していることが、英国・インペリアル・カレッジ・ロンドンのMyura Nagendran氏らの検討で示された。また、多くの研究は、データやコード(データの前処置とモデル化に使用)を利用できず、比較群の専門医数が少ないことも明らかとなった。研究の詳細は、BMJ誌2020年3月25日号に掲載された。近年、人工知能(AI)の一部門である深層学習に関する研究の報告が、急速に増加している。これに伴い、AIは医師より能力が優れるとするメディアの見出しが、人々を誇大な宣伝であおり、その加速度的な推進が強く求められている。

週5日以上の入浴で脳心血管リスク減少~日本人3万人の前向き調査

 入浴は、血行動態機能を改善することから心血管疾患予防効果があると考えられているが、心血管疾患リスクへの長期的効果を調べた前向き研究はなかった。今回、大阪府立公衆衛生研究所の鵜飼 友彦氏らが中年期の日本人約3万人を追跡調査し、入浴頻度が心血管疾患リスクと逆相関することを報告した。Heart誌オンライン版2020年3月24日号に掲載。  本研究の対象は、心血管疾患またはがんの病歴のない40〜59歳の3万76人で、1990年から2009年まで追跡調査した。参加者を浴槽での入浴の頻度で、0〜2回/週、3〜4回/週、ほぼ毎日の3つに分類した。従来の心血管疾患リスク因子と食事因子を調整後、Cox比例ハザードモデルを用いて心血管疾患発症のハザード比(HR)を推定した。

高齢者における抗認知症薬処方の決定因子

 フランスでは、コリンエステラーゼ阻害薬やメマンチンなどの抗認知症薬は、効果に議論の余地が残り2011年のガイドラインで推奨されていないにもかかわらず、依然として汎用されている。フランス・パリ・サクレー大学のMathilde Francois氏らは、抗認知症薬処方の決定因子について、評価を行った。Pharmacoepidemiology and Drug Safety誌オンライン版2020年2月17日号の報告。  本研究は、2013年に横断的研究として実施した。対象は、フランスの国民健康保険データベースより特定した65歳以上の認知症患者。年齢、併存疾患、ヘルスケアの利用との相関を予測するため、潜在クラス分析により、まずは患者の健康状態を特定した。

COVID-19、厚労省による遺体の取り扱い・埋火葬に関するガイドライン

 COVID-19の感染急拡大を受け、厚労省による感染者の遺体取り扱いと埋火葬に関するガイドラインをまとめた。 ・医療機関等は、遺体が新型コロナウイルス感染症の病原体に汚染され又は汚染された疑いのある場合、感染拡大防止の観点から、遺体の搬送作業及び火葬作業に従事する者にその旨の伝達を徹底する。なお、その際は、伝える相手を必要最低限とするなどプライバシー保護にも十分配慮する。

メトホルミンの適正使用で若年者も注意/日本糖尿病学会

 日本糖尿病学会(理事長:門脇 孝)は、2020年3月18日に「メトホルミンの適正使用に関するRecommendation(旧:ビグアナイド薬の適正使用に関するRecommendation)」をアップデートし、同学会のホームぺージで公開した。  糖尿病の薬物治療で多用されるメトホルミンは、わが国でも乳酸アシドーシスが報告されている。その多くが各剤の添付文書の禁忌や慎重投与事項に違反した例がほとんどであるが投与量や投与期間に一定の傾向が認められず、低用量の症例や、投与開始直後あるいは数年後に発現した症例も報告されていた。そのため学会では、薬剤の効果や副作用の危険性を勘案した上で適切な患者を選択し、患者に対して服薬や生活習慣などの指導を十分に行うことが重要と考え2012年2月1日に「ビグアナイド薬の適正使用に関する委員会」からRecommendationを行った。以後数回にわたり、メトホルミンの適正使用に関するRecommendationは更新されている。

固形がんに対するリキッドバイオプシー、「FoundationOne Liquid CDx」の国内申請/中外

 中外製薬は、2020年03月31日、固形がんに関連する包括的ゲノムプロファイリングを提供するリキットバイオプシー検査として、「FoundationOne Liquid CDx(海外製品名)」に対する製造販売承認申請を厚生労働省に行ったと発表。  「FoundationOne Liquid CDx」は米国・ケンブリッジに拠点を置くファウンデーションメディシン社が開発した次世代シークエンサーを用いた包括的ながん関連遺伝子解析システム。進行固形がんの患者を対象とし、血液中の循環腫瘍DNA(ctDNA: circulating tumor DNA)を用いることで、がんの遺伝子変異を検出するリキットバイオプシー検査である。米国では、2018年4月に米国食品医薬品局(FDA)よりBreakthrough Device指定を受けている。

多剤耐性HIV-1感染、fostemsavirの追加が有効/NEJM

 治療の選択肢が限られた多剤耐性ヒト免疫不全ウイルス1型(HIV-1)感染患者において、fostemsavirはプラセボと比較して投与開始後8日間のHIV-1 RNA量を有意に減少し、その有効性は48週まで持続することが認められた。米国・イェール大学医学大学院のMichael Kozal氏らが、23ヵ国で実施中の第III相試験の結果を報告した。fostemsavirは、画期的医薬品(ファーストインクラス)として開発中のHIV-1接着阻害薬temsavirのプロドラッグである。複数の抗ウイルス療法を受け治療の選択肢が限られているHIV-1感染患者に対する、新しい作用機序を持つ新クラスの抗レトロウイルス薬が必要とされていた。NEJM誌2020年3月26日号掲載の報告。

てんかん重積、レベチラセタムvs.ホスフェニトインvs.バルプロ酸/Lancet

 てんかん重積状態の小児・成人・高齢者は、レベチラセタム、ホスフェニトイン、バルプロ酸に対して類似した反応を示し、約半数の患者で治療が成功したことが示された。米国・国立小児病院のJames M. Chamberlain氏らが、米国の58施設の救急部門で実施した多施設共同無作為化二重盲検responsive-adaptive試験「ESETT試験」で対象を小児まで拡大した後の、3つの年齢群のアウトカムについての解析結果を報告した。ベンゾジアゼピン抵抗性あるいは確定したてんかん重積状態は、小児と成人で病態生理は同じものと考えられていたが、根本的な病因や薬力学の違いが治療に対して異なった影響を及ぼす可能性があった。結果を踏まえて著者は、「3剤のいずれもベンゾジアゼピン抵抗性てんかん重積状態に対する、第1、第2選択薬の候補と考えられる」とまとめている。Lancet誌オンライン版2020年3月20日号掲載の報告。

HIV治療のゲームチェンジャー現る(解説:岡慎一氏)-1208

HIV治療は、多くの治療薬の開発のおかげで急速な進歩を遂げてきた。1996年当初3剤併用療法が可能となった当時、治療効果はそれまでと比べものにならないくらい改善したが、1日5回、トータル20錠もの薬剤を、副作用軽減のため水分1.5Lと共に服用しなければいけなかった。もちろん、このような治療が長続きするはずもなく、飲み忘れが増えるなどして薬剤耐性ウイルスの出現を招いていた。その後、治療薬の改良は進み、10年後には1日1回の治療が可能になり、その10年後には1日1回1錠での治療が可能になった。1日1回1錠で治療が済むのであれば、もうこれ以上の改良はないであろうと思っていたら、今回の新しい治療法の登場である。今回の新しい治療法は、今までの治療でウイルスを抑えた後、維持療法として2種類の薬剤を月に1回注射するというものである。毎日忘れずに薬を飲むという今までの治療の常識からすると、まさにゲームチェンジャーである。有効性に関しては、現在最も強力といわれるDTG/ABC/3TCによる1日1回1錠の経口薬3剤治療と比較し、月1回の2剤治療で非劣性が証明されている。副作用としては、筋注のため、局所の痛みは少しあるようである。興味深いのは、患者満足度で、ほぼすべての人が月1回治療を希望しており、その理由が、「月に1回だけ注射すれば残りの日はHIVのことを忘れることができる」、というものであった。1日1回の服用であっても、毎日薬を飲むことに対するプレッシャーは大きいのであろう。もうひとつ、非常に興味深い結果がほんの数行書かれている。283例中3例に治療失敗がみられ、薬剤耐性ウイルスが出ているのである。経口であれば、服薬が完全でなかったという言い訳ができるが、この治験では確実に注射しているので、adherence不良のためというのは失敗の原因にはならない。全員がsubtype A1であったというが、この点に関しては、より詳しい検討が待たれる。

認知症診療医の8割強が「ケアマネとの連携は集患に有用」と認識

 高齢化の進展に比例し、認知症患者の増加は必至。潜在化したまま医療に繋がっていない患者予備軍をどう見つけ出し、早期発見・治療に結び付けるのか―。そのカギを握るのは、医療介護連携であろう。国が提唱する「地域包括ケアシステム」においても、両者連携の下、認知症治療のみならず、予防や生活支援に取り組む構想が示されている。では、実際のところ医師とケアマネジャーの連携は進んでいるのだろうか。  今回、認知症診療に当たっているCareNet.com会員医師とケアマネジャーを対象に行ったアンケート調査の結果、連携できていると考える医師は4割、ケアマネジャーは3割にとどまり、多くの医療現場で協同関係に至っていない実態が浮き彫りとなった。ただし、連携が進んでいる医師の8割が「集患に役立つ」と回答しており、ケアマネジャーとの連携がメリットとなっている側面は注目すべきだろう。

COVID-19重症例、COPDや糖尿病併存が転帰不良

 中国・広州医科大学のWei-Jie Guan氏らは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者の併存疾患を層別化し、重篤な有害転帰リスクを評価した。その結果、併存疾患のない患者よりも併存疾患を有する患者で転帰が不良になることを示唆した。また、併存疾患数の多さが転帰不良と相関していたことも明らかにした。The European respiratory journal誌オンライン版3月26日号掲載の報告。  研究者らは2019年12月11日~2020年1月31日の期間、中国本土の31省・市・区の病院、575施設に入院した患者1,590例のデータを分析。複合エンドポイントはICUへの入室、侵襲的換気、死亡で、その到達リスクとして併存疾患の有無と数を比較した。