日本語でわかる最新の海外医学論文|page:455

COVID-19情報、一般市民はTVニュースからが8割/アイスタット

 新型コロナウイルス感染症の拡大について、一般市民の意識の実態を知る目的に、株式会社アイスタット(代表取締役社長 志賀保夫)は、「新型コロナウイルスに関するアンケート調査」を行った。  アンケートは、業界最大規模のモニター数を誇るセルフ型アンケートツール“Freeasy”を運営するアイブリッジ株式会社の会員で20~79歳の300人を対象に調査を実施したもの。  同社では今後も毎月定期的に定点調査を行い、その結果を報告するとしている。

うつ病の原因リスク遺伝子

 うつ病に関連するいくつかの遺伝的変異は、ゲノムワイド関連解析(GWAS)により特定されている。しかし、リスク遺伝子座において関連シグナルの要因となる原因変異を特定することは、依然として大きな課題となっている。中国・Jining Medical UniversityのXin Wang氏らは、うつ病との因果関連が認められる遺伝子の特定を行った。Journal of Affective Disorders誌2020年3月15日号の報告。  Summary data-based Mendelian Randomization(SMR)とPsychiatric Genomics Consortium(PGC)のGWASサマリーおよび脳の発現定量的形質遺伝子座データを用いて、その発現レベルとうつ病との因果関連が認められる遺伝子の特定を行った。

腎デナベーション、降圧薬非投与の高血圧に有効/Lancet

 降圧薬治療を受けていない高血圧患者の治療において、カテーテルを用いた腎神経焼灼術(腎デナベーション)は偽手術と比較して、優れた降圧効果をもたらし、安全性も良好であることが、ドイツ・ザールラント大学のMichael Bohm氏らの検討(SPYRAL HTN-OFF MED Pivotal試験)で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2020年3月29日号に掲載された。カテーテルを用いた腎デナベーションは、腎神経の焼灼を介して交感神経活性を抑制することで血圧を低下させる治療法。初期の概念実証研究では降圧効果が観察されているが、血圧がコントロールされていない患者を対象とした無作為化偽対照比較試験では、ベースラインに比べ有意な降圧効果を認めたものの、対照との間には差がなかったと報告されている。

コレステロール降下薬のCutting Edge(解説:平山篤志氏)-1215

1994年にシンバスタチンの投与により心血管死亡が減少するという4S試験の報告以来スタチンによるコレステロール低下は動脈硬化性疾患の発症抑制、とくに冠動脈疾患の発症リスクを低下させてきた。しかし、最大量の強力なスタチンを用いてもコレステロール低下効果には限界があり、残余リスクの一因であった。コレステロール吸収阻害薬エゼチミブ、そしてPCSK9阻害薬の登場により、スタチンの限界を超えてコレステロールを低下することが可能となり、それに伴い心血管イベントの減少がもたらされた。しかし、薬剤の服用中止により、心血管イベントが増加することから、継続的な治療が必要であり、アドヒアランスをいかに維持するかが重要である。

新型コロナ、感染研による評価済みウイルス検出試薬一覧

 新型コロナウイルスの感染拡大傾向は依然続いており、精度や汎用性の高いウイルス検出が喫緊の課題である。国立感染症研究所(以下、感染研)は4月9日、同所の病原体検出マニュアルに基づく方法(以下、感染研法)などで検査精度を比較した結果を公表した。PCR検査「SARS-CoV-2(新型コロナウイルス)核酸検出」は3月6日付で保険適用され、保健所を経由せずに検査依頼を行うことが可能となり、民間検査機関の検査能力の増強にもつながっている。

COVID-19への対応を医療機関向けに公開/国立国際医療研究センター

 ほぼ全国で患者が確認されつつある新型コロナウイルス感染症(COVID-19)について、COVID-19の国内発生の初期から本感染症患者の診療にあたってきた国立国際医療研究センター(NCGM)は、医療機関向けに「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する当院の対応」を公開した。  本コンテンツでは、 ・入院患者(外来も準ずる)における COVID-19の感染対策 ・手術室における感染対策 ・個人防護具装着方法 ・個人防護具脱衣方法 について、コンパクトかつ重要なポイントのみ記載され、臨床現場で使いやすいものとなっている。

貧血と認知症との関連~コホート研究

 従来の認知症のリスク因子に加えて、貧血がその初期のバイオマーカーであるか確認する必要がある。台湾・台北医学大学のChien-Tai Hong氏らは、台湾全民健康保険研究データベースを用いて、新規に貧血と診断された患者における認知症リスクの調査を目的とした人口ベースコホート研究を実施した。Current Alzheimer Research誌オンライン版2020年3月16日号の報告。  対象は、脳卒中による入院歴および認知症以外の中枢神経疾患・精神疾患・外傷性脳損傷・大手術・失血疾患の既往歴がない貧血患者2万6,343例。

ステロイド恐怖症、教育介入で改善するか?

 ステロイド恐怖症(steroid phobia)は、服用薬はもとより外用薬に対しても例外ではない。皮膚科部門では、コルチコステロイドの副作用に対する恐れが一般的にみられ、そのことが治療のノンアドヒアランスを招いている。これらを背景に、シンガポール・National University Health SystemのEllie Choi氏らは教育介入による、ステロイド外用薬恐怖症の軽減効果を調べる二重盲検無作為化試験を行った。不安評価尺度TOPICOP(TOPIcal COrticosteroid Phobia)を用いた評価において、知識ドメインについて改善は認められたが、恐怖ドメインについては認められなかったという。Journal of the American Academy of Dermatology誌オンライン版2020年3月11日号掲載の報告。

高齢の早期乳がん、手術省略で生存率は?

 高齢の手術可能な乳がん患者における手術省略は、生存率に影響はないのだろうか。今回、オランダ・ライデン大学のA. Z. de Boer氏らは、Stage I~IIの80歳以上のホルモン受容体(HR)陽性乳がん患者において調査したところ、手術省略が相対生存率および全生存率低下に関連することが示された。British Journal of Surgery誌オンライン版2020年4月7日号に掲載。  本研究の対象は、Netherlands Cancer Registryにおいて2003~09年にStage I~IIのHR陽性乳がんと診断された高齢患者(80歳以上)6,464例。手術率の異なる病院の患者間で相対生存率と全生存率を比較した。

急性上部消化管出血の内視鏡検査、最適な施行時期とは/NEJM

 急性上部消化管出血を発症し、再出血または死亡のリスクが高い患者では、消化器科コンサルテーション後6時間以内の内視鏡検査は、6~24時間の検査と比較して、30日死亡率を抑制しないことが、中国・香港中文大学のJames Y.W. Lau氏らの検討で示された。研究の詳細は、NEJM誌2020年4月2日号に掲載された。International Consensus Groupのガイドラインでは、急性上部消化管出血患者には、受診後24時間以内に内視鏡検査を行うよう推奨されている。一方、24時間より短い時間枠内に施行される内視鏡検査の役割は、十分に明らかではないという。

根治療法前の高リスク前立腺がん患者を対象としたPSMA PET-CTの有用性:多施設前向きランダム化試験(解説:宮嶋哲氏)-1213

本研究は、2017年から2018年にオーストラリアの10施設において、高リスク前立腺がんに対して手術または放射線治療の根治療法を予定していた302症例を対象とし、従来の画像検査(CTと骨シンチグラフィ)とPSMA PET-CTの有用性を比較したprospective randomized studyである。cT3以上高リスク前立腺がんと診断された302症例をランダム化して、半数が従来の画像検査(CTと骨シンチグラフィ)を、残りの半数がPET-CTを施行された。その2週間後に、同じ両患者群を対象に画像検査をクロスオーバーさせてセカンドラインとして画像検査を行い比較検討している。

アクテムラ、日本国内COVID-19肺炎対象のP3試験開始へ/中外

 2020年4月8日、中外製薬株式会社(本社:東京、代表取締役会長 CEO:小坂達朗氏)は、ヒト化抗ヒトIL-6レセプターモノクローナル抗体(一般名:トシリズマブ、商品名:アクテムラ)での、日本国内における重症新型コロナウイルス肺炎(COVID-19肺炎)を対象とした国内第III相臨床試験の実施について発表した。  アクテムラの第III相試験については、海外では、米国、カナダおよび欧州を含む世界における重症COVID-19肺炎の入院患者約330例を対象として、プラセボと標準的な医療措置の併用と比較する無作為化二重盲検プラセボ対照第III相臨床試験(COVACTA試験)の実施をロシュ社が発表している。

乳房全摘後の即時再建術、術後合併症が再発率に影響か

 乳房切除術後の即時乳房再建において、術後合併症の発症率が比較的高い。今回、韓国・成均館大学のK-T Lee氏らの研究から、術後合併症発症が即時再建後の生存と再発に悪影響を与える可能性が示唆された。British Journal of Surgery誌オンライン版2020年4月4日号に掲載。  本研究では、2008~13年に乳房全摘術と即時再建を実施した乳がん患者438例を5年以上追跡し、術後合併症の腫瘍学的転帰に及ぼす影響について多変量Cox回帰分析を用いて評価した。

かかりつけ医のための認知症マニュアル(第2版)刊行/日本医師会

 本邦における認知症者数は、2025年には高齢者の5人に1人となると推計される。認知症者の日常診療における留意点をまとめた『かかりつけ医のための認知症マニュアル(第2版)』の刊行を、4月1日の日本医師会定例会見で江澤 和彦氏(常任理事)が発表した。2015年の初版発行から5年が経過したことを受け、国の認知症対策・制度の変化や新たなエビデンスを反映し、より実践的な内容としている。  第2版の章構成と改訂ポイントは以下の通り。

COVID-19への喫煙の影響~71研究の系統的レビュー

 喫煙者は、過去に流行した中東呼吸器症候群(MERS)の死亡率が高かったー。それを踏まえ、今回、米国・ハーバード大学のConstantine I Vardavas氏らは、喫煙情報を含むCOVID-19に関する研究についてシステマティックレビューを実施した。その結果、喫煙はCOVID-19の負の進行と有害転帰にもっとも関連している可能性が高いことが示された。Tabacco induced diseases誌オンライン版3月20日号掲載の報告。  研究者らは2020年3月17日、2つのデータベース(PubMed、ScienceDirect)を使用して2019年と2020年に公開された研究から文献検索を実施した。評価項目は、疾患の重症度、人工呼吸器の必要性、集中治療室(ICU)入室と死亡、喫煙とCOVID-19の転帰の関係性であった。

慢性期統合失調症に対するボルチオキセチン補助療法

 新規抗うつ薬ボルチオキセチンは、統合失調症の補助療法に期待される治療薬となる可能性がある。イラン・Tehran University of Medical SciencesのEhsan Mozen-Zadeh氏らは、統合失調症の陰性症状に対するボルチオキセチンの効果について評価を行った。Journal of Psychopharmacology誌オンライン版2020年3月2日号の報告。  慢性期統合失調症入院患者78例を対象とした、8週間のランダム化二重盲検プラセボ対照並行群間試験を実施した。対象患者は、2ヵ月間のリスペリドン(4~6mg/日)治療で安定した後、ボルチオキセチン(10mg 1日2回)群またはプラセボ群にランダムに割り付けられた。

進行性腎障害伴う安定冠動脈疾患に侵襲的戦略は有効か/NEJM

 進行性腎障害を伴う安定冠動脈疾患で、中等度~重度の虚血を呈する患者の治療において、侵襲的戦略は保存的戦略に比べ、死亡および非致死的心筋梗塞のリスクを低減しないことが、米国・ニューヨーク大学のSripal Bangalore氏らの検討(ISCHEMIA-CKD試験)で示された。研究の詳細は、NEJM誌オンライン版2020年3月30日号に掲載された。安定冠動脈疾患患者における血行再建術の効果を評価する臨床試験では、通常、進行性の慢性腎臓病患者は除外される。また、1992年の腎移植候補の患者26例の無作為化試験では、血行再建術は薬物療法に比べ心血管死および心筋梗塞のリスクが低いと報告されているが、この30年間で、これらの治療法は劇的に進歩しており、あらためて侵襲的戦略の有益性の検証が求められている。

下肢非大手術後のVTE予防、リバーロキサバンが有効/NEJM

 下肢の整形外科非大手術を受けた患者では、固定期間中の静脈血栓塞栓症イベントの予防において、リバーロキサバンはエノキサパリンに比べ有効性が優れることが、フランス・パリ大学コシャン病院のC. Marc Samama氏らの検討「PRONOMOS試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2020年3月29日号に掲載された。下肢の整形外科非大手術後は、一過性に移動能力が低下するため、患者には静脈血栓塞栓症のリスクが生じる。直接作用型第Xa因子阻害薬リバーロキサバンは、エノキサパリンと比較して、選択的人工膝関節全置換術または人工股関節全置換術後の症候性静脈血栓塞栓症と全死因死亡の複合のリスクが低いと報告されている。

COVID-19の臨時診療報酬は、外来300点/入院1,200点

 4月8日、厚生労働省からの事務連絡「新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的な取扱いについて(その9)」により、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者(疑い例を含む)の外来診療および入院管理について、「新型コロナウイルス感染症緊急経済対策」を踏まえた診療報酬上の特例的な対応(案)が示された。  COVID-19患者の外来診療を行う保険医療機関において、「B001-2-5 院内トリアージ実施料(300点/回)」が算定できる。算定に当たっては、受診の時間帯によらず、「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き・第1版」に従い、院内感染防止等に留意した対応を行った場合に算定可。

「遺伝性乳がん卵巣がん症候群の保険診療に関する手引き」公開/日本乳癌学会

 4月から遺伝性乳がん卵巣がん症候群(HBOC)の既発症者に対する、リスク低減乳房切除術(RRM)、乳房再建術ならびにリスク低減卵管卵巣摘出術(RRSO)が保険収載となった。これを受けて日本乳癌学会では、4月1日にホームページ上で「遺伝性乳がん卵巣がん症候群の保険診療に関する手引き」を公開している。なお、手引きの冒頭では、本手引きがガイドラインあるいはガイダンスではなく、エビデンスが蓄積していない内容も含まれると説明。そのため、HBOC診療に当たっては施設内で医療者のコンセンサスと患者・家族への十分な説明を求めるとともに、手引きについては今後もバージョンアップを図っていくと記されている。