日本語でわかる最新の海外医学論文|page:1153

現状の一般医療保険制度は脳卒中治療の遅れを招く:イギリス

一過性脳虚血発作(TIA)と軽度脳卒中は再発リスクが高く、英国国立医療技術評価機構(NICE)では脳卒中戦略として、発症後24時間以内の診察が必要と指導している。しかし2004年に英国で導入された、プライマリ・ケアの新しい一般医療保険サービス制度(GMS:general medical services)では、開業医が患者を診察するべき「責務」は、月曜~金曜日の午前8時~午後6時半と規定するものだった。最近、夜間・週末の医療アクセスを改善する契約変更が提案されたが、臨床転帰への影響は不明であることから、オックスフォード大学のDaniel S Lasserson氏らが、医師の開業時間と発症後に連絡がつくまでの時間を検証。結果は、「戦略達成には、プライマリ・ケアへのアクセス改善が必要」と報告するに至るものだった。BMJ誌2008年9月18日号より。

RAD001単独投与あるいはサンドスタチンLARとの併用で膵内分泌腫瘍の増殖を抑制

ノバルティス ファーマ株式会社は、スウェーデンのストックホルムで開催された「第33回欧州臨床腫瘍学会(ESMO: European Society for Medical Oncology)」において、RAD001(一般名:エベロリムス)とサンドスタチンLAR(一般名:酢酸オクトレオチド)の併用、あるいはRAD001の単独投与によって、稀少疾患で難治性のがんである膵臓の神経内分泌腫瘍(膵内分泌腫瘍: Pancreatic Neuroendocrine Tumors)の患者の腫瘍の増殖が抑制されるという新しいデータが示されたと発表した。

RAD001の最新の試験結果発表、進行性腎細胞がん患者の無増悪生存期間をさらに延長  

ノバルティス ファーマ株式会社は、スウェーデンのストックホルムで開催された「第33回欧州臨床腫瘍学会(ESMO: European Society for Medical Oncology)」において、標準的な治療法が無効となった進行性腎細胞がんの患者に対するRAD001(一般名:エベロリムス)の潜在的ベネフィットが、新しいデータによって改めて示されたと発表した。

鼻炎の成人は喘息発症リスクが高い

鼻炎は、アトピー素因の有無にかかわらず成人期発症の喘息の強力な予測因子であることが、地域住民ベースのプロスペクティブな縦断的研究で明らかとなった。喘息とアレルギー性鼻炎の密接な相関がいくつかの疫学および臨床研究で示されているが、その関連の本質はいまだ解明されていないという。フランス・国立保健医療研究所(INSERM)疫学部のRafea Shaaban氏が、Lancet誌2008年9月20日号で報告した。

小児喘息の新たなリスク因子を同定か:ISAACプログラム第III相試験

1歳になる前にアセトアミノフェン(別名パラセタモール)を使用すると、6~7歳時の喘息、鼻結膜炎、湿疹のリスクが増大することが、20万人以上の小児の横断的研究で明らかとなった。喘息発症のリスク因子の検討は数多く行われてきたがいまだ明確なエビデンスはなく、胎生期にアセトアミノフェンに曝露すると小児期および成人期の喘息発症リスクが高まる可能性が指摘されていた。ニュージーランド医学研究所のRichard Beasley氏が、Lancet誌2008年9月20日号で報告した。

抗血小板剤プラスグレルの新薬承認申請審査を米国食品医薬品庁(FDA)が継続

第一三共株式会社(以下、第一三共)とイーライリリー・アンド・カンパニー(以下、イーライリリー、本社:米国、インディアナ州 NYSE:LLY)は、米国食品医薬品庁(FDA)が処方薬ユーザーフィー法(PDUFA:Prescription Drug User Fee Act)に基づく審査終了日である9月26日(米国東部時間)までにプラスグレルの新薬承認申請審査を完了せず、継続することになったと発表した。

CTコロノグラフィの精度は大きな病変でも検出率90%

マルチスライスCTを使ったCTコロノグラフィ(CTC)は「仮想内視鏡」などと呼ばれ、内視鏡やバリウムの挿入が不要なため、結腸直腸癌のスクリーニングにおける新たな非侵襲性の選択肢として注目されている。しかしながら、平坦な早期癌や無症候性の小さな病変検出には精度に難があるのではと言われていたが、エビデンスデータを求めてメイヨー・クリニックのC. Daniel Johnson氏らが精度について調査を行っている。NEJM誌2008年9月18日号より。

3人に1人が尿失禁など骨盤底障害:米国女性

骨盤底障害(尿失禁、便失禁、骨盤臓器脱)は多くの女性で発症する。ユタ大学医学部産婦人科のIngrid Nygaard氏ら骨盤底障害ネットワークの研究グループは、これまで米国において報告されていなかった、集団ベースのサンプルから導き出された多発性骨盤底障害に関する推定有病率の調査を行った。その結果、3人に1人がなんらかの骨盤底障害を有していると推定されることが報告されている。JAMA誌2008年9月17日号掲載より。

食器や製缶の防蝕剤ビスフェノールAは糖尿病・心血管系疾患のリスク要因?

ビスフェノールA(BPA)は、食品や飲みもののプラスチック(ポリカーボネート樹脂製)容器や缶内面の防蝕塗装に広く使われているエポキシ樹脂である。溶出したBPAが動物に及ぼす影響についてはエビデンスが示されており、ヒトにおいても低レベルの長期曝露によって健康被害が生じるおそれが指摘されている。本論は英国ペニンシュラ医科大学のIain A. Lang氏らによる米国人を対象とした横断研究の結果。JAMA誌2008年9月17日号に掲載された。

糖尿病の子供たちの10人中9人は学校での支援が得られない

ノボ ノルディスク社は9月8日、国際小児思春期糖尿病学会(ISPAD)と共同で、DAWN Youth (ドーン ユース)調査の結果を発表した。本調査は、昨年9月に発表された「糖尿病に関する青少年憲章」を受けて、2007年から2008年にかけてグローバルに実施された小児思春期糖尿病の患者の心理社会的な側面に焦点をあてた最大規模の調査で、糖尿病の若者、糖尿病の子どもを持つ親または保護者、ならびに医療従事者を対象に実施された。調査に参加した13カ国、9,200人から回答が得られ、糖尿病を持つ子供たちが、学校で様々な課題や偏見に直面している実態が明らかになった。