日本語でわかる最新の海外医学論文|page:1102

CMV糖蛋白Bワクチンの有効性

サイトメガロウイルス(CMV)の先天性感染は、新生児の聴覚・認知機能・運動障害の重要な原因である。米国では、2001年に医学研究所委員会が、CMVワクチン開発を最優先事項の1つと定めたが、一方で、ワクチン開発が始まって30年以上になるものの、効果が確実なワクチンは未だ開発には至っていない。本論は、1990年代に臨床試験が開始されたCMV糖蛋白Bワクチン(MF59アジュバントを加えた組み換えCMVエンベロープ糖蛋白Bワクチン)の第2相試験の結果で、アラバマ大学(米国・バーミンガム)小児科のRobert F. Pass氏らによる報告である。NEJM誌2009年3月19日号より。

より若く、高血圧、肥満、収縮機能不全がある人は心不全予防ターゲット

35歳より若く、現に高血圧、肥満、収縮機能不全を有する人は、心不全予防ターゲットとして重視すべきことが、カリフォルニア大学サンフランシスコ総合病院Kirsten Bibbins-Domingo氏らの疫学調査で明らかにされた。NEJM誌2009年3月19日号に掲載された本研究は、本来は若年世代の心不全発症の人種差を明らかにすることを目的とするもので、50歳未満では、黒人のほうが白人よりもかなり一般的に見られることが明らかにされている。

がん患者の最後の選択には「宗教的対処」が影響

患者の最後の選択――終末期医療の選択肢決断に、「宗教的対処(religious coping)」が影響していることが、米国ダナファーバー癌研究所のAndrea C. Phelps氏らによる調査で明らかにされた。これまで、がん患者が病気と向き合うために信心に拠り所を求めることや、一般市民対象の調査で、68.3%が「治療決定に信心が関係すると思う」と回答し、57.4%が「たとえ医師がこれ以上の治療は無駄と言っても神が治してくださると信じる」と回答したなどの報告を踏まえ、Phelps氏らは、信心と延命措置に対する希望との関連を明らかにすることを目的に調査を行った。JAMA誌2009年3月18日号より。

ACAT阻害薬pactimibeは動脈硬化を進展させ心血管イベントを増大:CAPTIVATE試験

コレステロールの体内への再吸収や血管内付着に要するエステル化を阻害する治療薬として、開発が進められていたACAT阻害薬pactimibeは2005年、本論報告のCAPTIVATE試験と同時期に進められていた第Ⅱ相試験ACTIVATEにおいて、期待された抗アテローム性動脈硬化作用どころか、アテローム形成を促進する恐れがあることが判明し、ただちにすべての臨床試験が中止された。今回公表されたCAPTIVATE試験結果でも、動脈硬化を進展させ心血管イベントを増すことが報告されている。JAMA誌2009年3月18日号より。

早死にの原因は喫煙よりも肥満

青年後期で、太りすぎ(過体重)や肥満症になると、喫煙の有無や程度にかかわらず死亡リスクを増大することが、Karolinska大学病院(スウェーデン)臨床疫学部門のMartin Neovius氏らによって報告された。スウェーデン人男性を対象とした本調査の結果は、BMJ誌2009年3月14日号(オンライン版2009年2月24日号)で発表されている。徴兵制を敷くスウェーデンでは、男子は概ね16~20歳の間に徴兵テストを受ける。本調査は、1969~1970年に徴兵テストを受け登録された4万5,920人(平均18.7歳、SD:0.5)の体重と身長、自己申告による喫煙状況のデータをベースに活用し、38年間追跡した。

社会的地位や健康の「格差」を是正したいのなら禁煙を

NHSスコットランドのLaurence Gruer氏らが、男性・女性それぞれの社会的地位と喫煙率が生存率にどのような影響をもたらすのか、イギリス・スコットランド地方で行った長期間にわたるコホート観察研究の結果が、BMJ誌2009年3月14日号(オンライン版2009年2月17日号)にて発表されている。編者によれば、これまでイギリスでは、1930年以前生まれの高齢のイギリス人男性医師に関する調査で、喫煙習慣がある人の生存率が大幅に低かったことや、また社会的地位が低い人々の間で、喫煙率の高さが健康格差の重大な一因であり、社会的地位と結びついていることなどが明らかにされていた。

PCIは非急性冠動脈疾患の死亡率を改善しない

非急性冠動脈疾患の治療では、カテーテルベースの治療法による死亡や心筋梗塞の抑制効果が薬物療法よりも優れることを示すエビデンスはないことが、アメリカTufts医療センター臨床試験・健康政策研究所のThomas A Trikalinos氏らが行ったメタ解析で明らかとなった。1977年、Andreas Gruntzig が経皮的冠動脈インターベンション(PCI)の開発によって冠動脈疾患の治療に革命的な進歩をもたらして以来、アメリカでは毎年100万人以上の患者がPCI治療を受けているが、この中には非急性期の患者も多く含まれるという。急性冠症候群やST上昇心筋梗塞ではPCIの有用性が確立されているが、非急性期に対する効果については議論が続いている。Lancet誌2009年3月14日号掲載の報告。

冠動脈性心疾患、もっと日常診療での予防に重点を

急性心筋梗塞、虚血性心疾患という冠動脈性心疾患(CHD)を低減するには、日常診療においてより強制力のある指導が必要であり、予防に重点を置くべきことが、ヨーロッパで3回にわたって実施された聞き取り調査(EUROASPIRE I、II、III)で判明した。1回および2回目の調査では、CHD患者においては心血管疾患の修正可能なリスク因子の頻度が高いことが示されている。イギリスImperial College London国立心肺研究所のKornelia Kotseva氏らが、Lancet誌2009年3月14日号で報告した。

経口そう痒症改善剤「レミッチ カプセル2.5μg」新発売

東レ株式会社と日本たばこ産業株式会社および鳥居薬品株式会社は、3社で共同開発し、東レが2009年1月21日に国内における製造販売承認を取得した血液透析患者における経口そう痒症改善剤「レミッチカプセル2.5μg」(一般名:ナルフラフィン塩酸塩)について、3月24日より鳥居薬品が販売を開始すると発表した。

レビトラ錠服用により勃起持続時間が延長

バイエル・シエーリング・ファーマ社はスウェーデンのストックホルムで開かれた欧州泌尿器科学会(European Association of Urology:EAU)で、2つのプラセボ対照臨床試験により、「レビトラ錠」(一般名:バルデナフィル塩酸塩水和物)服用で、性交時間を延長するのに必要な勃起の持続時間が有意に長くなったことが示されましたと発表した。