ARB バルサルタン、心房細動の再発予防効果得られず

提供元:ケアネット

印刷ボタン

公開日:2009/04/29

 

 アンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)投与によっても心房細動の再発予防効果が得られなかったことが報告された。心房細動に関して今のところ、コントロール可能な理想的な治療はないとされる一方で、実験的研究でARBが心房リモデリングに影響を与えることが、また臨床試験からはARBの心房細動予防の可能性が示唆されていた。報告は、バルサルタン(商品名:ディオバン)に関する大規模多施設共同無作為化二重盲検プラセボ対照試験GISSI-AFからで、NEJM誌2009年4月16日号で掲載された。

1,442例が参加した大規模試験

 GISSI-AF(Gruppo Italiano per lo Studio della Sopravvivenza nell’Infarto Miocardico–Atrial Fibrillation)試験は、心血管疾患、糖尿病、左心拡大の基礎疾患があり心房細動の既往がある患者に、バルサルタン320mg/日を標準治療として加えることが有効かどうかを調べることを目的とし行われた。試験には、2004年11月~2007年1月の間に、イタリアの114医療センターで1,442例が登録。過去6ヵ月で心房細動が2回以上あった患者、もしくは過去2週間で心房細動があり電気的除細動が成功した患者で、現在は洞調律の者を適格とした。

 対象者は無作為に、バルサルタン群(722例)とプラセボ群(720例)に割り付けられた(投与量は、最初の2週間は80mg/日、3~4週間は160 mg/日、以降320 mg/日)。

 主要エンドポイントは2つで、追跡1年間の、心房細動再発までの期間と、再発が複数回に及んだ患者の割合とした。

ACE阻害薬の服用有無問わず、結果はプラセボと同等

 再発があったのは、バルサルタン群371/722例(51.4%)、プラセボ群375/720例(52.1%)で、補正後ハザード比は0.97(96%信頼区間:0.83~1.14、p=0.73)だった。

 再発が複数回あったのは、バルサルタン群194/722例(26.9%)、プラセボ群201/720例(27.9%)で、補正後ハザード比は0.89(99%信頼区間:0.64~1.23、p=0.34)だった。

 ACE阻害薬を服用していなかった患者を含めたサブグループ解析においても、同様の結果が見られたという。

(武藤まき:医療ライター)