日本語でわかる最新の海外医学論文|page:1087

小児急性リンパ性白血病治療における予防的頭蓋照射は必要か

予防的頭蓋照射は、中枢神経系(CNS)再発リスクの高い小児急性リンパ性白血病(ALL)の標準治療とされてきたが、長期生存が可能になるにつれてその副作用が問題となっている。聖ユダ小児研究病院(米国テネシー州メンフィス)のChing-Hon Pui氏らのグループは、新たにALLと診断された小児全例で、化学療法と併用される予防的頭蓋照射を除外できるかどうかを調べるため臨床試験を実施した。NEJM誌2009年6月25日号掲載より。

血栓溶解療法後の早期PCIはST上昇型心筋梗塞患者の虚血性合併症予防に有効

経皮的冠動脈形成術(PCI)を施行できない病院に搬送されたST上昇型心筋梗塞患者はしばしば、初回PCIをタイムリーに受けることができないまま、血栓溶解療法を受けることになる。そうした患者の最適な治療についてカナダ・トロント大学South Lake Regional Health CentreのWarren J. Cantor氏らが検討を行った。NEJM誌2009年6月25日号より。

イレッサ、欧州にて非小細胞肺がんを対象に販売承認取得

英国アストラゼネカ社は1日(現地時間)、欧州委員会(EC)にて治療歴を問わず成人のEGFR遺伝子変異陽性の局所進行または転移を有する非小細胞肺がんを対象にイレッサの販売承認を取得したと発表した。承認はイレッサと化学療法を比較した2つの主要な第III相臨床試験、IPASS1とINTEREST2を含む申請資料に基づくもの。

前兆を伴う偏頭痛を経験した中年女性、小脳梗塞様病変の発生が約2倍

中年期に前兆を伴う偏頭痛を毎月経験した女性は、頭痛経験がなかった人に比べ、後年期に、小脳梗塞様病変が発生する割合が約2倍増加することがわかった。なお、前兆のない偏頭痛や、男性の前兆を伴う偏頭痛については、同関連は見られなかったという。米国Uniformed Services大学のAnn I. Scher氏らの調べで明らかになったもので、JAMA誌2009年6月24日号で発表した。

FDAがMultaqを承認 2009年夏に米国で発売予定

フランスのサノフィ・アベンティス社は2日(現地時間)、米国食品医薬品局(FDA:Food and Drug Administration)からMultaq(一般名:dronedarone)400mg錠が承認されたことを発表した。心房細動または心房粗動の患者は、現在の疾病管理を改善する新たな治療選択肢をまもなく得ることができるようになるという。Multaqは、心房細動または心房粗動の患者における心血管系の理由による入院を減少させるという臨床ベネフィットを持つ、米国で承認された初の医薬品。

がん治療薬「ECI301」(蛋白製剤) 米国国立加齢研究所のIRBが臨床開始を承認

株式会社ECIは3日、同社が開発を進めているがん治療薬ECI301(蛋白製剤)に関し、7月2日(US-EDT:米国東部夏時間)、新薬治験開始届(IND:Investigational New Drug)正式承認後行われる米国国立加齢研究所(NIA:National Institute on Aging)の治験審査委員会(IRB :Institutional Review Board)から、臨床試験開始の承認を取得したと発表した。

スタチン使用と地域在住高齢者の肺炎のリスク減少とは関連がない

本当にスタチンは、院外感染性肺炎のリスクを減少させる可能性があるのか? 米国ワシントン大学疫学部門Sascha Dublin氏ら研究グループが行った、住民ベースの症例対照研究の結果、「従前研究の所見は、“healthy user”のバイアスが反映されているのではないか」とする報告が寄せられた。BMJ誌2009年6月20日号(オンライン版2009年6月16日号)掲載より。

開業助産師と契約した出産のほうが転帰が優れている:イギリス

イギリスで行われた調査の結果、開業助産師との契約下で行われた出産のほうが、NHSとの契約下の場合より、概してよい臨床転帰であることが報告された。ダンディー大学看護・助産学のAndrew Symon氏らが、英国開業助産師協会(IMA)からの出産データと、スコットランドNHSからの出産データを照合比較した結果によるもので、BMJ誌2009年6月20日号(オンライン版2009年6月11日号)で発表された。英国には現在、IMA所属の開業助産師が118人、一方NHS雇用の助産師は31,064人おり、自宅出産(ただしほとんどがNHS職員立ち会い)が約2.5%行われているという。日本の現状についてはこちら(助産師 http://www.nurse.or.jp/toukei/pdf/toukei03.pdf、出産場所 http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/List.do?lid=000001032156 表4-8 市部-郡部・出生場所別にみた年次別出生数百分率)を参照。

FDAに「FLOMAX」の小児試験データを提出 アステラス製薬が発表

アステラス製薬株式会社は1日、そのライセンシーであるドイツ・ベーリンガーインゲルハイム社の米国子会社ベーリンガーインゲルハイムファーマシューティカルズ社(以下、BIPI社)が前立腺肥大症に伴う排尿障害改善剤「FLOMAX」(一般名:タムスロシン塩酸塩、日本での製品名:ハルナール)について小児の神経因性排尿障害に関するデータを2009年6月25日(現地時間)に米国食品医薬品局(FDA)に提出したと発表した。

エパデールが冠動脈イベントの再発を抑制する ―JELIS試験の解析結果より

持田製薬株式会社は6月30日、高脂血症、閉塞性動脈硬化症治療剤である「エパデール」(一般名:イコサペント酸エチル、EPA)の高脂血症患者を対象とした大規模臨床試験「JELIS」において、登録時点で心筋梗塞等の冠動脈疾患の既往のある症例(二次予防症例)を対象としたサブ解析で、エパデールが冠動脈イベントの再発を有意に抑制するとの結果が得られたと発表した。

アブレーション治療用カテーテル「ナビスター サーモクール」新発売

ジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社は1日、本邦初となるイリゲーションカテーテル「NAVISTAR THERMOCOOL」(販売名:ナビスター サーモクール)を発売した。ナビスター サーモクールは、頻脈性不整脈の根治治療の一つであるアブレーション治療用のカテーテル。この製品は2008年12月に厚生労働省より承認を取得している。

rosiglitazone追加は心血管リスクへの影響はないが、心不全が有意に増加

2型糖尿病に対する標準的な血糖降下薬治療にrosiglitazoneを追加する方法は、全体として心血管リスクを増大させないものの、心不全および女性の骨折のリスクを有意に増大させることが、イギリスNewcastle糖尿病センターのPhilip D Home氏らが実施した無作為化試験(RECORD)で明らかとなった。2型糖尿病の治療における経口血糖降下薬の効果には限界があるため、一般に併用療法が行われる。インスリン抵抗性改善薬であるrosiglitazone は、ヨーロッパでは2000年に同じチアゾリジンジオン系薬剤であるピオグリタゾン(商品名:アクトス)とともにメトホルミンやスルホニル尿素薬との併用投与が承認されている。Lancet誌2009年6月20日号(オンライン版2009年6月5日号)掲載の報告。

低~中所得国への世界的基金やNGOによる健康支援が大幅に増大

近年、低~中所得国への健康関連リソースの流入は実質的に増大しており、国連機関などを通じた援助が減る一方で、公的、私的な世界的基金や非政府組織(NGO)による支援が大幅に増えていることが、アメリカWashington大学健康指標評価研究所(IHME)のNirmala Ravishankar氏らの調査で明らかとなった。低~中所得国への世界的健康リソースに関する時宜を得た信頼性の高い情報提供の必要性は広く認知されるところだが、その現状はよくわかっていないという。Lancet誌6月20日号掲載の報告。