小児てんかん患者のアドヒアランスは42%、最初の1ヵ月でパターン化

提供元:ケアネット

印刷ボタン

公開日:2011/05/17

 



新たに診断を受けた小児てんかん患者の、抗てんかん薬服用指示に対する遵守の程度(アドヒアランス)について、「重度早期非アドヒアランス」など5パターンが同定できたこと、パターン化は家庭の社会経済的状態と有意に相関していることが明らかになった。米国・シンシナティ小児病院のAvani C. Modi氏らが、124人の新規てんかん児について調査し明らかにしたもので、JAMA誌2011年4月27日号で発表した。成人てんかん患者における発作や治療の厳格さ、抗てんかん薬の安全な服用、非アドヒアランスがもたらす疾患への影響などを明らかにするため、小児における非アドヒアランスの割合やパターン、予測因子の同定が急がれているが、これまで研究は進んでいなかった。

治療開始6ヵ月間、58%でアドヒアランス不良




研究グループは、2006年4月~2009年3月にかけて、シンシナティ小児病院で新たにてんかんの診断を受けた2~12歳124人について、前向き縦断観察研究を行った。最終データの収集は2009年9月であった。

結果、被験者の58%で、服薬開始後6ヵ月間、持続的なアドヒアランスの不良が認められた。

トラジェクトリ・モデルを用いて分析したところ、アドヒアランスは5つのパターンに分類することができた。すなわち遵守の程度が低いほうから、(1)重度早期非アドヒアランス(13%、95%信頼区間:8~20)、(2)重度遅延型非アドヒアランス(7%、同:3~12)、(3)中等度非アドヒアランス(13%、同:8~20)、(4)軽度非アドヒアランス(26%、同:19~34)、(5)アドヒアランスがほぼ完全(42%、同:33~50)。

家庭の社会的経済状態がパターン化の唯一の独立予測因子




こうしたアドヒアランスのパターンは、ほとんどの患者で、治療開始の最初の月に確立していた。

また、同パターンの唯一の独立予測因子は、家庭の社会的経済状態で(p<0.001)、社会的経済状態が低いほどアドヒアランスは不良であることが認められた。

なお、患者の年齢、性別、親の結婚歴、痙攣発作の頻度などは、同パターンの予測因子ではなかった。

(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)