脳神経外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:9

アルツハイマー病に伴うアジテーションが医療負担に及ぼす影響

 アルツハイマー型認知症に伴うアジテーションは、一般的な症状であるが、これに伴う医療負担はよくわかっていない。米国・Inovalon InsightsのChristie Teigland氏らは、アルツハイマー型認知症に伴うアジテーションを有する患者とアジテーションのない患者におけるベースライン特性、医療資源の利用、コストの評価を行った。Journal of Health Economics and Outcomes Research誌2024年10月29日号の報告。  対象は、2009〜16年のメディケア有料請求データベースよりアルツハイマー病および認知症で30日以上の間隔で2件以上の請求があり、診断6ヵ月前および12ヵ月後に医療/薬局保険に継続加入していたメディケア受給者。重度の精神疾患患者は除外した。アジテーションの有無により2つの患者コホートを定義し、記述的探索分析により患者の特徴、医療資源の利用、コストの比較を行った。

硬膜下血腫の再発に有効な新たな治療法とは?

 転倒などにより頭部を打撲すると、特に高齢者の場合、脳の表面と脳を保護する膜である硬膜の間に血液が溜まって(血腫)危険な状態に陥る可能性がある。このような硬膜下血腫に対しては、通常は手術による治療が行われるが、8〜20%の患者では、再発して再手術が必要になる。こうした中、標準的な血腫除去術と脳の中硬膜動脈の塞栓術(遮断)を組み合わせた治療が血腫の進行や再発のリスク低下に有効であることを示したランダム化比較試験の結果が報告された。米ワイル・コーネル・メディスン脳血管外科および介入神経放射線学分野のJared Knopman氏らによるこの研究結果は、「The New England Journal of Medicine(NEJM)」に11月20日掲載された。

新薬muvalaplin、心血管リスク患者のリポ蛋白(a)を大幅減少/JAMA

 心血管イベントのリスクが高く、リポ蛋白(a)濃度が上昇した患者において、プラセボと比較して経口低分子リポ蛋白(a)阻害薬muvalaplinは、12週間の投与でリポ蛋白(a)を大幅に減少させ、忍容性も良好であることが、オーストラリア・モナシュ大学のStephen J. Nicholls氏らが実施した「KRAKEN試験」で示された。研究の成果は、JAMA誌オンライン版2024年11月18日号で報告された。  KRAKEN試験は、リポ蛋白(a)濃度が上昇した患者におけるmuvalaplinのリポ蛋白(a)抑制効果の評価を目的とする二重盲検無作為化プラセボ対照第II相試験であり、2022年12月~2023年11月に日本を含む8ヵ国43施設で患者の無作為化を行った(Eli Lilly and Companyの助成を受けた)。

非急性硬膜下血腫、中硬膜動脈塞栓術は有効か/NEJM

 症候性の非急性硬膜下血腫患者(多くが穿頭ドレナージを受けた)の治療において、通常治療と比較して中硬膜動脈塞栓術は、90日の時点での症状を伴う硬膜下血腫の再発または進行の発生率はほぼ同じだが、重篤な有害事象の頻度は有意に低いことが、中国・海軍軍医大学のJianmin Liu氏らMAGIC-MT Investigatorsが実施した「MAGIC-MT試験」で示された。研究の詳細は、NEJM誌2024年11月21日号に掲載された。  MAGIC-MT試験は、中国の31施設で実施した医師主導の非盲検無作為化対照比較試験であり、2021年3月~2023年5月に患者を募集した(Shanghai Shenkang Hospital Development Centerなどの助成を受けた)。

脳卒中の重症度を高める3つのリスク因子とは?

 喫煙、高血圧、心房細動の3つのリスク因子は、脳卒中リスクだけでなく、脳卒中の重症度を高める可能性のあることが、新たな研究により明らかになった。ゴールウェイ大学(アイルランド)老年医学分野のCatriona Reddin氏らによるこの研究の詳細は、「Neurology」に11月13日掲載された。  Reddin氏は、「脳卒中は、障害や死にさえつながる可能性があるが、生活習慣の是正や薬物療法により改善できるリスク因子は数多くある。われわれの研究結果は、障害を伴う重度の脳卒中を予防するためには、さまざまな脳卒中のリスク因子の中でも特に、高血圧、心房細動、喫煙の管理が重要であることを強調するものだ」と述べている。

慢性硬膜下血腫、補助的中硬膜動脈塞栓術は有益か/NEJM

 症候性の慢性硬膜下血腫患者において、補助的中硬膜動脈塞栓術と標準治療の併用は標準治療単独と比べて治療失敗リスクを低下させ、短期的には後遺症を伴う脳卒中や死亡の発生の増加には至らなかった。米国・Stony Brook MedicineのDavid Fiorella氏らSTEM Investigatorsが、国際多施設共同非盲検無作為化比較試験「STEM試験」の結果を報告した。慢性硬膜下血腫の治療を受けている患者は治療失敗のリスクが高い。同患者集団における補助的中硬膜動脈塞栓術の、治療失敗のリスクへの影響は明らかになっていなかった。NEJM誌オンライン版2024年11月20日号掲載の報告。

飽和脂肪酸摂取量がアルツハイマー病リスクと関連

 食事中の脂肪摂取とアルツハイマー病との関連は、観察研究において議論の余地のある関係が示されており、その因果関係も不明である。中国・北京大学のYunqing Zhu氏らは、総脂肪、飽和脂肪酸、多価不飽和脂肪酸の摂取がアルツハイマー病リスクに及ぼす影響を評価し、その因果関係を調査した。The British Journal of Psychiatry誌オンライン版2024年10月11日号の報告。  UKバイオバンクとFinnGenコンソーシアムから得られたゲノムワイド関連研究(GWAS)の要約統計を用いて、2サンプルメンデルランダム化分析を実施した。UKバイオバンクの各種脂肪摂取の研究には、5万1,413例が含まれた。FinnGenコンソーシアムの遅発性アルツハイマー病(4,282例、対照群:30万7,112例)、すべてのアルツハイマー病(6,281例、対照群:30万9,154例)のデータを分析に含めた。さらに、炭水化物とタンパク質の摂取量とは無関係の影響を推定するため、多変量メンデルランダム化(MVMR)分析を行った。

手術ロボットが動画で手術手順を学習

 ロボットが初めて、経験豊富な外科医による手術動画を見て学習し、その手術手技を人間の医師と同じくらい巧みに実行できたとする研究結果が、米ジョンズ・ホプキンス大学のAxel Krieger氏らにより報告された。研究グループは、「このような模倣学習を利用して手術ロボットをトレーニングすることにより、手術中に必要な手技を逐一プログラムする必要がなくなり、ロボットが人間の手助けなしで複雑な手術を行えるようになることが期待される」と述べている。この研究結果は、ロボット学習学会(CoRL 2024、11月6〜9日、ドイツ・ミュンヘン)で発表された。

急性期脳出血、中医薬FYTF-919は有効性示せず/Lancet

 FYTF-919は、中国で脳出血の治療に用いられている主に4種の生薬から成る経口薬で、血腫の除去を促進し、死亡率を低下させ、脳出血後の回復を改善する可能性が示唆されているが、エビデンスは十分でないとされる。中国・広州中医薬大学のJianwen Guo氏らCHAIN investigatorsは、「CHAIN試験」において、本薬には中等症から重症の脳出血患者の機能回復、生存、健康関連QOLを改善する効果はないことを示した。研究の詳細は、Lancet誌オンライン版2024年11月12日号に掲載された。  CHAIN試験は、中国の26の病院で実施した実践的な二重盲検無作為化プラセボ対照比較試験であり、2021年11月~2023年12月に参加者の無作為化を行った(Key-Area Research and Development Program of Guangdong Provinceの助成を受けた)。

世界初の軟骨伝導集音器、補聴器との違いや利便性とは

 世界初の軟骨伝導集音器に関する特許を有し、販売を行っているCCHサウンド(以下、CCH)が第6回ヘルスケアベンチャー大賞に輝いた―。CCHは細井 裕司氏(奈良県立医科大学 学長)が発見した“軟骨伝導”という聴覚技術を応用し、役所や金融機関での円滑なコミュニケーションを支援する『窓口用軟骨伝導イヤホン』や日常生活で会話を促進し認知症予防に役立つ『軟骨伝導集音器』を発売しているベンチャー企業である。本稿では、10月25日に開催されたヘルスケアベンチャー大賞の最終審査会におけるCCH代表取締役社長の中川 雅永氏によるプレゼンテーション内容を交えて、補聴器との違いや利便性についてお伝えする。