内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:96

「高齢者の安全な薬物療法GL」が10年ぶり改訂、実臨床でどう生かす?

 高齢者の薬物療法に関するエビデンスは乏しく、薬物動態と薬力学の加齢変化のため標準的な治療法が最適ではないこともある。こうした背景を踏まえ、高齢者の薬物療法の安全性を高めることを目的に作成された『高齢者の安全な薬物療法ガイドライン』が2025年7月に10年ぶりに改訂された。今回、ガイドライン作成委員会のメンバーである小島 太郎氏(国際医療福祉大学医学部 老年病学)に、改訂のポイントや実臨床での活用法について話を聞いた。  前版である2015年版では、高齢者の処方適正化を目的に「特に慎重な投与を要する薬物」「開始を考慮するべき薬物」のリストが掲載され、大きな反響を呼んだ。2025年版では対象領域を、1.精神疾患(BPSD、不眠、うつ)、2.神経疾患(認知症、パーキンソン病)、3.呼吸器疾患(肺炎、COPD)、4.循環器疾患(冠動脈疾患、不整脈、心不全)、5.高血圧、6.腎疾患、7.消化器疾患(GERD、便秘)、8.糖尿病、9.泌尿器疾患(前立腺肥大症、過活動膀胱)、10.骨粗鬆症、11.薬剤師の役割 に絞った。評価は2014~23年発表の論文のレビューに基づくが、最新のエビデンスやガイドラインの内容も反映している。新薬の発売が少なかった関節リウマチと漢方薬、研究数が少なかった在宅医療と介護施設の医療は削除となった。

片頭痛予防に有効な食事パターンは?

 片頭痛は、患者の生活の質に重大な影響を及ぼす一般的な神経疾患である。食事パターンは、片頭痛の予防とマネジメントにおいて、潜在的に重要な因子として認識されている。イラン・Kerman University of Medical SciencesのVahideh Behrouz氏らは、地中海式ダイエット、高血圧予防のための食事療法DASH食、神経発生遅延のための地中海-DASH食介入(MIND)、ケトジェニックダイエット、低脂肪食、低血糖食、グルテンフリーダイエット、断食ダイエットなど、さまざまな食事パターンを比較分析し、片頭痛の予防とマネジメントにおける有効性を評価し、その根底にあるメカニズムを明らかにするため、システマティックビューを実施した。Brain and Behavior誌2025年7月号の報告。

高齢期も自由を失い管理される時代になるのだろうか?(解説:岡村毅氏)

20世紀の人々は、○○を食べると認知症にならない、という夢物語をよく語っていた。例の○○オイルなどだ。その背景には、人々は認知症のこともまだあまり知らず、よくわかんないけど、なりたくないよね、恐ろしいよね、という無垢な認識であったことが挙げられる。大学病院でも、認知症と精神疾患の人はオペ室には入れるべからず、などといわれていた。こういう時代だからこそ「実は○○がよい」みたいな魔法の杖のような話が受ける。何も知らない人同士が無責任に話している世間話にすぎないからだ。これをハイデガーなら頽落と呼ぶかもしれない。

アルツハイマー病に伴うアジテーションに対するブレクスピプラゾール、最大何週目までの忍容性が確認されているか

 認知症高齢者は、抗精神病薬の副作用に対しとくに脆弱である。非定型抗精神病薬ブレクスピプラゾールは、アルツハイマー病に伴うアジテーションに対する治療薬として、多くの国で承認されている。米国・Otsuka Pharmaceutical Development & CommercializationのAlpesh Shah氏らは、認知症患者に対するブレクスピプラゾールの安全性と忍容性を評価するため、3つのランダム化試験と1つの継続試験の統合解析を行った。CNS Drugs誌オンライン版2025年7月19日号の報告。  アルツハイマー病に伴うアジテーションを有する認知症患者を対象とした、3つの12週間ランダム化二重盲検プラセボ対照第III相試験と、1つの12週間実薬継続第III相試験のデータを統合した。安全性アウトカムには、治療関連有害事象(TEAE)、体重変化、自殺念慮、錐体外路症状、認知機能障害を含めた。検討対象となったデータセットは2つ。1つは、ブレクスピプラゾール0.5〜3mg/日とプラセボを投与した3つのランダム化試験のデータを統合した12週間のデータセット。もう1つは、ブレクスピプラゾール2〜3mg/日の親ランダム化試験と継続試験のデータを統合した24週間のデータセット。

死亡診断のために知っておきたい、死後画像読影ガイドライン改訂

 CT撮影を患者の生前だけではなく死亡時に活用することで、今を生きる人々の疾患リスク回避、ひいては医師の医療訴訟回避にもつながることをご存じだろうか―。2015年に世界で唯一の『死後画像読影ガイドライン』が発刊され、2025年3月に2025年版が発刊された。改訂第3版となる本書では、個人識別や撮影技術に関するClinical Questionや新たな画像の追加を行い、「見るガイドライン」としての利便性が高まった。今回、初版から本ガイドライン作成を担い、世界をリードする兵頭 秀樹氏(福井大学学術研究院医学系部門 国際社会医学講座 法医学分野 教授)に、本書を活用するタイミングやCT撮影の意義などについて話を聞いた。

運動ベースの心臓リハビリは心房細動患者にも有効

 医師は、心筋梗塞や心不全を発症した患者にしばしば運動ベースの心臓リハビリテーション(以下、心臓リハビリ)を処方する。新たな研究で、そのような心臓リハビリプログラムは心房細動(AF)と呼ばれる一般的な不整脈を有する患者にも適しており、症状の改善にも役立つ可能性のあることが示された。英リバプール心臓血管科学センターのBenjamin Buckley氏らによるこの研究結果は、「British Journal of Sports Medicine」に7月29日掲載された。  運動ベースの心臓リハビリには、運動トレーニングに加えて、個別化された生活習慣リスクの管理、心理社会的介入、医学的リスク管理、健康行動に関する教育が含まれている。こうしたリハビリは、心筋梗塞を起こした患者や心不全と診断された患者、あるいは冠動脈ステント留置術を受けた患者に用いられるが、AF患者に適しているかどうかは不明なため、国際的なAF治療ガイドラインには含まれていない。

週末にまとめて行う運動でも糖尿病患者の死亡リスク低下

 平日は多忙などの理由で運動できず、週末にまとめて運動を行う、いわゆる“週末戦士”と呼ばれる身体活動パターンであっても、糖尿病患者の死亡リスク抑制につながることを示すデータが報告された。米ハーバード大学T.H.チャン公衆衛生大学院のZhiyuan Wu氏らの研究によるもので、詳細は「Annals of Internal Medicine」に7月22日掲載された。  糖尿病でない一般集団においては、週末戦士のような身体活動パターンも死亡リスクの低下と関連していることが既に示されている。しかし糖尿病患者でも同様の関連があるのかは、これまで不明だった。そこでWu氏らは、前向きコホート研究により、週末戦士に該当するパターンを含む成人糖尿病患者のさまざまな身体活動パターンと、死亡リスクとの関連を検討した。

ビタミンDはCOVID-19の重症化を予防する?

 血中のビタミンDレベルが低い人では、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)罹患時に重症化するリスクが高まるようだ。新たな研究で、ビタミンD欠乏症の人は新型コロナウイルス感染により入院する可能性が36%高くなることが示された。南オーストラリア大学(オーストラリア)のKerri Beckmann氏らによるこの研究結果は、「PLOS One」に7月18日掲載された。  2022年に報告された研究によると、米国人の約5人に1人(22%)はビタミンD欠乏症であるという。この研究では、UKバイオバンク参加者のデータを用いて、血中のビタミンDレベルと新型コロナウイルス感染およびCOVID-19による入院との関連を検討した。対象は、2006年から2010年のベースライン時にビタミンDレベルを1回以上測定し、新型コロナウイルスのPCR検査結果が記録されている15万1,543人である。ビタミンDレベルは、欠乏(0〜<24nmol/L)、不足(25〜50nmol/L)、正常(>50nmol/L)の3群に分類した。

カフェインは夜より日中の眠気に影響!?

 カフェイン含有飲料の摂取が増加すると睡眠パターンが乱れることが知られている。英国・ブリストル大学のNilabhra R. Das氏らは、カフェイン摂取量、カフェイン代謝、睡眠特性の指標として遺伝子変異を用いて、睡眠に対するカフェインの直接的な影響を検証した。Journal of Sleep Research誌オンライン版2025年7月14日号の報告。  対象は、英国バイオバンクを含む複数の研究から特定されたカフェイン摂取量(40万7,072人)、カフェイン代謝(9,876人)、クロノタイプ(44万9,734人)、日中の昼寝(45万2,633人)、日中の眠気(45万2,071人)、朝の起床(38万5,949人)、不眠症(45万3,379人)、睡眠時間(44万6,118人)。これらに関連する遺伝子変異を用いて、一連の単変量メンデルランダム化解析により、カフェインと睡眠の双方向の因果関係を調査した。カフェイン摂取が睡眠行動に直接的に及ぼす影響を、代謝と睡眠行動をそれぞれ調整しながら探索するため、多変量メンデルランダム化解析を用いた。

心不全患者で不足しがちな微量元素は?

 亜鉛、銅、セレンなどの微量元素は、ミトコンドリア機能へ影響を及ぼすこともあり、亜鉛不足が心不全の予後に関連するなど単一元素の不足については報告されている。しかし、微量元素の複合的な影響については十分に解明されていない。今回、名古屋大学のNagai Shin氏らは、急性心不全患者における微量元素の異常と臨床転帰への関連について明らかにし、微量元素異常の是正が心不全管理における新たな目標となる可能性を示唆した。Journal of Cardiology誌2025年7月25日号掲載の報告。