内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:32

新たな冠動脈リスク予測モデルで女性のMACEリスクを4段階に層別化可能

 新たに開発された女性の冠動脈リスクスコア(COronary Risk Score in WOmen;CORSWO)は、女性の冠動脈リスクを効果的に層別化し、特に高リスクおよび非常に高リスクの検出に優れていることから、主要心血管イベント(MACE)発生の予測に有効であるとする研究結果が、「Radiology: Cardiothoracic Imaging」に2024年12月5日掲載された。  女性の冠動脈疾患(CAD)の発症は男性と比較して7~10年遅く、非典型的な症状を伴うため、女性におけるMACE発生を予測するツールが求められている。バルデブロン大学病院(スペイン)のGuillermo Romero-Farina氏らは、前向きに収集された臨床データを用いた後ろ向き解析を行い、女性でのMACE発生を予測するためのモデル(CORSWO)を構築し、その予測能を検証した。対象は、2000年から2018年の間に心電図同期SPECT(単一光子放射断層撮影)心筋血流イメージング(gSPECT MPI)を受けた2万5,943人の連続した患者の中から抽出した女性患者2,226人(平均年齢66.7±11.6歳)とし、平均4±2.7年間追跡し、MACE(不安定狭心症、非致死的な心筋梗塞、冠動脈血行再建術、心臓死)の発生を評価した。

ストレスは若年女性の原因不明脳梗塞のリスク

 50歳未満の女性における原因を特定できない脳梗塞と、ストレスとの関連が報告された。男性ではこの関連が認められないという。ヘルシンキ大学病院(フィンランド)のNicolas Martinez-Majander氏らの研究によるもので、詳細は「Neurology」に3月5日掲載された。  脳梗塞のリスクは、加齢や性別などの修正不能な因子と、喫煙や高血圧などの修正可能な因子によって規定されることが明らかになっているが、それらのリスク因子が該当しない原因不明の脳梗塞(cryptogenic ischemic stroke;CIS)もあり、近年、特に若年者のCIS増加が報告されている。これを背景に著者らは、若年者のCISにストレスが関与している可能性を想定し、以下の研究を行った。

医師の喫煙率、男女・診療科で差/日医

 日本医師会(会長:松本 吉郎氏[松本皮膚科形成外科医院 理事長・院長])は、4月2日に定例の記者会見を開催した。会見では、松本氏が3月28日に発生したミャンマー大地震の犠牲者などに哀悼の意を示すとともに、支援金として医師会より合計1,000万円を支援したことを報告した。また、2000年より医師会と日本大学が共同調査を行っている「喫煙意識調査報告」の内容、4月19日に開催されるシンポジウム「未来ビジョン若手医師の挑戦」の開催概要が説明された。  「第7回(2024年)日本医師会員喫煙意識調査報告」について副会長の茂松 茂人氏(茂松整形外科 院長)がその概要を述べ、調査を行った兼板 佳孝氏(日本大学医学部社会医学系公衆衛生学分野 教授)が詳細を説明した。

働き方改革スタートから1年、「変化を感じる」は35%/ウォルターズ・クルワー調査

 医師の働き方改革がスタートして1年。医療業界向けの情報サービス事業のウォルターズ・クルワー・ヘルスは医師を対象に「『医師の働き方改革』に関する調査」と題したアンケートを行い、その結果を発表した。 「自身の勤務先の働き方改革の取り組み」を聞いた設問には、「取り組んでいる」との回答が83%だったが、その中で自身の働き方にも「変化を感じる」と答えた人は35%に留まった。

食物繊維の摂取による肥満リスク低下、男性でより顕著?

 2型糖尿病患者で、食物繊維の摂取量が多いほど肥満リスクが低下することが明らかになった。新潟大学大学院医歯学総合研究科血液・内分泌・代謝内科学分野のEfrem d'Avila Ferreira氏、曽根博仁氏らの研究によるもので、詳細は「Public Health Nutrition」に2月4日掲載された。  肥満の予防と管理においては、食物繊維が重要な役割を果たすことは示されているが、性別で層別化した場合に相反する結果が報告されるなど、一貫したエビデンスは得られていない。このような背景からFerreira氏らは、日本人の2型糖尿病患者集団を性別・年齢別に層別化し、食物繊維摂取量と肥満との関連を検討した。さらに、この関連に寄与する可能性のある生活および食習慣についても検討を行った。

最新の鼻アレルギー診療ガイドラインの読むべき点とは

 今春のスギ・ヒノキの花粉総飛散量は、2024年の春より増加した地域が多く、天候の乱高下により、飛散が長期に及んでいる。そのため、外来などで季節性アレルギー性鼻炎(花粉症)を診療する機会も多いと予想される。花粉症診療で指針となる『鼻アレルギー診療ガイドライン-通年性鼻炎と花粉症- 2024年 改訂第10版』(編集:日本耳鼻咽喉科免疫アレルギー感染症学会)が、昨年2024年3月に上梓され、現在診療で広く活用されている。  本稿では、本ガイドラインの作成委員長である大久保 公裕氏(日本医科大学耳鼻咽喉科学 教授)に改訂のポイントや今春の季節性アレルギー性鼻炎(花粉症)の終息の見通し、今秋以降の花粉飛散を前にできる対策などを聞いた。

健康行動変容支援システムは体重のリバウンド対策に有効か

 ダイエットでは体重のリバウンドが常に課題となる。では、減量した体重の維持には、認知行動療法(CBT)などを活用した健康行動変容支援システム(HBCSS)は有効だろうか。この課題に対し、フィンランドのオウル大学生体医学・内科学研究ユニットのEero Turkkila氏らの研究グループは、ウェブベースのHBCSSの長期的有効性評価を目的に、2年にわたり検証を行った。その結果、12ヵ月間のHBCSS介入では、5年後の体重減少について非HBCSSよりも良好に維持することはできなかった。この結果は、International Journal of Obesity誌2025年3月15日オンライン版で公開された。

新たなリスクスコアで若年層の大腸がんリスクを予測できる?

 新たに開発された臨床的因子に基づくシンプルなリスクスコアが、進行性腫瘍(advanced neoplasia;AN)の発症リスクが高く、大腸内視鏡検査によるスクリーニングの開始が推奨される45歳未満の人の特定に有用な可能性のあることが明らかになった。ANとは、10mm以上の管状腺腫、または絨毛成分を含む腺腫(管状絨毛腺腫、絨毛腺腫など)、高度異型腺腫、10mm以上の鋸歯状病変、異形成を伴う鋸歯状病変、鋸歯状腺腫、浸潤性腺がんを包括する概念である。米クリーブランドクリニックの消化器科医であるCarole Macaron氏らによるこの研究は、「Digestive Diseases and Sciences」に2月13日掲載された。

FIT大腸がんスクリーニング、返送期限の設定で受検率向上/Lancet

 免疫学的便潜血検査(faecal immunochemical test:FIT)による大腸がんスクリーニングでは、案内状に返送期限を一文追加することでFIT返送が改善し、返送期限が2週間の場合に返送率が最も高く、リマインダーレター送付の必要性が減少したことが明らかになった。英国・グラスゴー大学のKathryn A. Robb氏らが、FITへの返送期限の設定と問題解決計画ツールによる介入効果を検討した、スコットランド大腸がん検診プログラムに組み込まれた2×4要因8群無作為化比較試験「TEMPO試験」の結果として報告した。FIT検体の自己採取による大腸がん検診は、大腸がんによる死亡率を低下させることが示されているが、受検率は十分ではない。著者は、「計画ツールはFIT返送にプラスの影響を与えなかったが、返送期限の設定は日常診療で簡単に実施できる費用対効果の高い介入である」とまとめている。Lancet誌2025年3月29日号掲載の報告。

起立性高血圧に厳格降圧治療は有効か?/BMJ

 血圧高値または高血圧症を有する成人コホートにおいて、起立性高血圧は一般的にみられ、厳格降圧治療が起立性高血圧の発生をわずかだが低減することが示された。米国・ハーバード大学医学大学院のStephen P. Juraschek氏らが、個別患者データを用いたメタ解析の結果で報告した。著者は、「今回示された所見は、座位で認められる高血圧症に一般的に用いられるアプローチが、立位で認められる高血圧症も予防可能であることを示すものである」とまとめている。BMJ誌2025年3月25日号掲載の報告。  研究グループは、起立性高血圧への厳格降圧治療の有効性を、システマティックレビューと個別患者データのメタ解析で評価した。2023年11月13日時点でMEDLINE、Embase、Cochrane CENTRALのデータベースを検索した。