血液内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:8

KMT2A-r ALL乳児、化学療法+ブリナツモマブでDFS改善/NEJM

 新規に診断されたKMT2A再構成陽性急性リンパ芽球性白血病(KMT2A-r ALL)の乳児において、Interfant-06試験の化学療法へのブリナツモマブ追加投与は、Interfant-06試験のヒストリカルコントロールと比較し安全で有効性も高いことが確認された。オランダ・Princess Maxima Center for Pediatric OncologyのInge M. van der Sluis氏らが、多施設共同前向き単群第II相試験の結果を報告した。乳児のKMT2A-r ALLは、3年無イベント生存率が40%未満の進行性疾患で、多くが治療中に再発する。その再発率は、診断後1年以内で3分の2、2年以内では90%である。化学療法が強化されたにもかかわらず、この20数年、アウトカムは改善されていなかった。NEJM誌2023年4月27日号掲載の報告。

大量輸血の外傷患者、4F-PCCの有効性認められず/JAMA

 大量輸血のリスクがある外傷患者において、高比率輸血戦略に4因子含有プロトロンビン複合体濃縮製剤(4F-PCC)を追加しても24時間の血液製剤消費量の有意な減少は認められず、血栓塞栓イベントの発生が有意に増加した。フランス・グルノーブル・アルプ大学のPierre Bouzat氏らが「PROCOAG試験」の結果を報告した。外傷性出血における最適な輸血戦略は不明である。最近の観察研究では、4F-PCCの早期投与と新鮮凍結血漿(FFP)の併用により、血栓塞栓イベントが増加することなく血液製剤の消費量と死亡率が低下することが示されていた。今回の試験を受けて著者は、「大量輸血のリスクを有する患者における4F-PCCの使用は支持されない」とまとめている。JAMA誌2023年4月25日号掲載の報告。

CAR-T細胞療法はがん患者のQOLを向上させる

 CAR(キメラ抗原受容体)-T細胞療法と呼ばれる免疫系を強化する治療法は、特定のがん患者を長生きさせるだけでなく、QOL(生活の質)も高めることが、新たな研究で明らかにされた。米マサチューセッツ総合病院(MGH)の腫瘍学者Patrick Connor Johnson氏らが実施したこの研究の詳細は、「Blood Advances」に3月20日掲載された。  CAR-T細胞療法は、患者自身の血液から免疫細胞のT細胞を取り出し、がんを標的とするように遺伝子を改変した後に、再び患者に戻す治療法である。この治療法の対象となるのは、標準的な治療が奏効しない難治性の白血病やリンパ腫などの血液がんである。CAR-T細胞療法は、血液がん患者の治療に革命を起こした。進行した血液がん患者でも、この治療法によりがん細胞が一掃され、何年間もがんが再発することなく生存している人もいるくらいだ。その一方で、治療後の患者のQOLについての研究報告は限られている。

慢性的鉄欠乏児、介入による血清フェリチン値改善後も認知スコアは低い

 慢性的な鉄欠乏症の児は、介入により血清フェリチン値が改善しても、鉄が充足している児と比べて介入後12カ月時点でも認知スコアは低いままである、という研究結果が「Pediatrics」2022年12月号に発表された。  トロント大学(カナダ)Dalla Lana School of Public HealthのArgie Gingoyon氏らは、ヘモグロビンとフェリチンをスクリーニングに用い、最終的に生後12カ月から40カ月の乳幼児116人を対象に、慢性的な鉄欠乏と認知スコアとの関連を検討する前向き観察研究を実施した。対象とした児全員の保護者には食事に関する指示を与え、鉄の充足状態に応じて児に経口鉄剤を投与した。

AIを使い、初診診断書でがん患者の生存を予測

 自然言語処理(NLP)は、人工知能(AI)の一分野であり、コンピュータによって人間の言語を理解、生成、操作することを可能にする技術全般を指す。NLPを使って初診の診断書を解析し、がん患者の予後を予測することが可能であることを示唆する研究が、JAMA Network Open誌2023年2月27日号に掲載された。  ブリティッシュ コロンビア大学(カナダ)のJohn-Jose Nunez氏らによる本研究では、2011年4月1日~2016年12月31日に、ブリティッシュ・コロンビア州にある6つのがんセンターのいずれかでがん治療を開始した患者のデータを使用した。死亡率データは2022年4月6日まで更新され、更新から2022年9月30日までのデータを分析した。診断から180日以内に作成された腫瘍内科医または放射線医の診察書を持つすべての患者を対象とし、診断書は診断日に最も近い文書を選択した。複数のがんで受診した患者は除外した。

輸血ドナーの性別、レシピエントの死亡率には影響せず/NEJM

 血液ドナーの特性が輸血レシピエントのアウトカムに影響を及ぼす可能性を示唆する観察研究のエビデンスが増えているという。カナダ・モントリオール大学のMichael Chasse氏らは「iTADS試験」において、女性の赤血球ドナーからの輸血を受けた患者と男性の赤血球ドナーからの輸血を受けた患者で、生存率に有意差はないことを示した。研究の詳細は、NEJM誌2023年4月13日号で報告された。  iTADS試験は、カナダの3施設が参加した二重盲検無作為化試験であり、2018年9月~2020年12月の期間に患者の登録が行われた(カナダ保健研究機構の助成を受けた)。

米国で危険な薬剤耐性真菌感染症が増加

 ある真菌の感染が米国全土に広がりつつあるとして、米疾病対策センター(CDC)の研究グループが警鐘を鳴らしている。Candida auris(カンジダ・アウリス)と呼ばれるこの真菌はカンジダ属の新興菌種であり、感染すると生命が脅かされる可能性があるという。研究グループは、2013年にカンジダ・アウリスの初の感染者が報告されて以降、全米で急激に感染者が増加していることを、「Annals of Internal Medicine」3月21日号で報告した。

第5回AYAがんの医療と支援のあり方研究会学術集会の開催について【ご案内】

 一般社団法人AYAがんの医療と支援のあり方研究会は、5月13~14日に『第5回 AYAがんの医療と支援のあり方研究会学術集会』を開催する。今回は、「Co-Creation ―対話からはじめる共創―」とし、長期的健康管理や身体活動性の維持、新規就労など社会とのつながりにおける課題、AYA世代と家族、終末期医療などAYA世代のがん医療を取り巻く多様な課題について取り上げる。大会長の渡邊 知映氏(昭和大学 保健医療学部)は、「この学術集会を通して、当事者と家族・医療者・支援者それぞれが向き合いながら、ときには立場を超えた対話をすることに挑戦したい」としている。  本研究会は、思春期・若年成人(Adolescent and Young Adult,:AYA)のがん領域の学術活動、教育活動、社会啓発および人材育成などを行うことにより、わが国の思春期・若年成人がん領域における医療と支援の向上に寄与することを目的としている。

インヒビター保有の重症血友病A・B、siRNA薬fitusiranが出血抑制/Lancet

 インヒビターを保有する重症血友病AまたはB患者において、fitusiranの予防的皮下投与は、年間出血率を統計学的有意に改善し、被験者の3分の2において出血を認めなかったことが、米国・南カリフォルニア大学のGuy Young氏らによる第III相多施設共同非盲検無作為化試験「ATLAS-INH試験」で示された。fitusiranは、アンチトロンビンを標的とする新規開発の短鎖干渉RNA(siRNA)治療薬で、インヒビター保有の有無を問わず血友病AまたはB患者の止血バランスを調整する。本検討は、fitusiranの予防的投与の有効性と安全性を評価したもので、結果を踏まえて著者は、「fitusiranの予防的投与が、血友病患者の治療管理を改善する可能性がある」と述べている。Lancet誌オンライン版2023年3月29日号掲載の報告。

ICIの継続判断にも有用、日本初のOnco-cardiologyガイドライン発刊

 本邦初となる『Onco-cardiologyガイドライン』が第87回日本循環器学会学術集会の開催に合わせて3月10日に発刊された。これまで欧州ではESC(European Society of Cardiology、欧州心臓病学会)などがガイドラインを作成・改訂しており、国内でもガイドライン発刊が切望されていたことから、日本臨床腫瘍学会と日本腫瘍循環器学会が協働しMindsに準拠したものを作成した。今回、学術集会の会長企画シンポジウム6「OncoCardiology:診断と治療Up-to-Date」において、ガイドライン(以下、GL)のポイントについて発表された。