血液内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:10

女性医師の未来を開くリーダー育成とキャリア展望/日本血液学会

 女性医師キャリアシンポジウムは、三谷氏が女性初の会長を務めた2016年の第78回日本血液学会学術集会より続けられている。そうした背景もあり、現在、本学会における女性会員の比率は25%を超え、女性評議員が14%を占めるまでになっている。しかし一方で、「日本の女性は本来あるべき地位をいまだ得ていない」「管理職における男女格差は依然大きい」といった指摘もある。熱田氏は、「女性医師がいかにリーダーシップを発揮し、自身のキャリアを築き上げていくのかを、お招きした先生方にご教授賜りたい」と、本シンポジウムの開会を宣言した。

外来で実施するCAR-T細胞療法も安全で効果的

 急速に進行する大細胞型B細胞リンパ腫(LBCL)患者に対して、外来ベースでCAR(キメラ抗原受容体)-T細胞療法を実施しても、患者は治療によく反応することが、CAR-T細胞療法の外来環境での使用を検討した研究としては最大規模の前向き研究で明らかになった。CAR-T細胞療法は、患者の血液から採取したT細胞にCARを発現させるための遺伝子を導入し、特定のがん細胞を攻撃できるようにした上で患者の体内に戻す治療法。CAR-T細胞製品のブレヤンジ(一般名リソカブタゲン マラルユーセル)を製造販売するブリストル・マイヤーズ スクイブ社の資金提供を受けて米マイアミがん研究所リンパ腫サービス責任者のYuliya Linhares氏らが実施したこの研究の詳細は、「Blood Advances」に9月30日掲載された。

CAR-T療法における血球減少の頻度とパターン/日本血液学会

 遷延性血球減少はCAR-T細胞療法の重篤な合併症の1つである。兵庫医科大学の吉原 享子氏は、実臨床における後方視的研究の結果を第86回日本血液学会学術集会で発表した。  CAR-T療法では、リンパ球除去療法の影響でCAR-T細胞投与後に血球減少がみられる。多くの場合改善するが、未回復のまま遷延する症例があり注意を要する。  血球減少にはQuick recoveryタイプ、Intermittant recoveryタイプ、Aplasticタイプがある。遷延性血球現象の発生機序は、前治療による骨髄予備能の低下、造血幹細胞のCHIPの出現、CAR-TによるCRSやそのほかの免疫学的機序、原疾患の状態などさまざまな機序が関与していると考えられている。

ホジキンリンパ腫、ニボルマブ+AVD療法がPFS延長/NEJM

 III期またはIV期の進行古典的ホジキンリンパ腫を有する思春期および成人患者において、ニボルマブとドキソルビシン、ビンブラスチン、ダカルバジンの併用投与(N+AVD)は、ブレンツキシマブ ベドチンとドキソルビシン、ビンブラスチン、ダカルバジンの併用投与(BV+AVD)と比較して無増悪生存期間(PFS)を延長し、良好な副作用プロファイルを示したことが、米国・シティ・オブ・ホープ総合がんセンターのAlex F. Herrera氏らによる検討で示された。進行古典的ホジキンリンパ腫の治療にブレンツキシマブ ベドチンを組み入れることで、成人および小児患者の転帰は改善することが知られている。しかしながら、ブレンツキシマブ ベドチンは、成人の治療において毒性を増加させ、投与を受けた小児患者の半数以上に地固め放射線療法が行われており、再発が依然として課題となっている。ホジキンリンパ腫では、未治療患者を含めた予備的試験などでPD-1の阻害が有効であることが示されており、研究グループはN+AVDの有効性と安全性を評価する試験を行った。NEJM誌2024年10月17日号掲載の報告。

発作性夜間ヘモグロビン尿症に経口治療薬が登場/ノバルティス

 ノバルティス ファーマは、発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)の単剤経口薬イプタコパン(商品名:ファビハルタ)の発売と適正使用の推進に向けて都内でメディアセミナーを開催した。  PNHは、後天性の遺伝子異常により赤血球が補体の攻撃を受けやすくなるまれな血液疾患。わが国には約1,000例程度の患者が推定されている。進行は緩徐であるが、溶血発作を繰り返すことで血栓症や造血不全になることもあり、脳卒中や臓器障害といった重篤な合併症を引き起こすリスクがある。

血友病B、AAVベクターfidanacogene elaparvovecが有効/NEJM

 血友病B患者において、fidanacogene elaparvovecによる治療は定期補充療法より優れており、出血の減少と安定した血液凝固第IX因子(FIX)発現が認められた。米国・ペンシルベニア大学のAdam Cuker氏らが、13ヵ国27施設で実施した非盲検単群第III相臨床試験「BENEGENE-2試験」の結果を報告した。fidanacogene elaparvovecは、高活性のFIX-R338L変異体(FIX-Padua)を発現する遺伝子組み換えアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターで、第I/IIa相試験においてFIX活性の維持が示されていた。NEJM誌2024年9月26日号掲載の報告。

CAR-T細胞療法により二次がんリスクは上昇しない

 自家キメラ抗原受容体T細胞(CAR-T細胞)療法製品の添付文書には、CAR-T細胞療法後に二次性のT細胞性悪性腫瘍が発生するリスクがあるとの警告が記載されている。しかし、新たな研究で、CAR-T細胞療法後のそのような二次がんの発生頻度は、標準治療後の二次がん発生頻度と同程度であることが示された。米メモリアル・スローン・ケタリングがんセンター(MSKC)成人骨髄移植サービス分野のKai Rejeski氏らによるこの研究の詳細は、「Clinical Cancer Research」に9月11日掲載された。

がん治療薬がアルツハイマー病の進行抑制に有用?

 新しいタイプのがん治療薬が、アルツハイマー病などの神経変性疾患の治療にも有用である可能性のあることが、米スタンフォード大学医学部神経学・神経科学教授のKatrin Andreasson氏らによるマウスを用いた研究で示された。詳細は、「Science」に8月23日掲載された。  このがん治療薬は、インドールアミン2,3-ジオキシゲナーゼ1(IDO1)と呼ばれる酵素を阻害する作用を持つ。IDO1は、アストロサイトと呼ばれるグリア細胞で発現し、アミノ酸の一種であるトリプトファンを分解してキヌレニンという化合物に変換する役割を担っている。キヌレニンは、芳香族炭化水素受容体(AhR)との相互作用を通じて免疫抑制に重要な役割を果たしている。そのため、メラノーマや白血病、乳がんなどの複数のがんでは、この酵素を標的とする治療薬(IDO1阻害薬)の開発が進められている。最近の研究では、IDO1がアルツハイマー病を含む複数の神経変性疾患に関与していることが示唆されている。一方、アストロサイトは、ニューロン(神経細胞)に栄養を与え、シナプスの機能を維持する役割を担うエネルギー分子である乳酸を生成する。

国内初の造血器腫瘍遺伝子パネル検査ヘムサイトの承認取得/大塚

 大塚製薬は2024年9月20日、同社と国立がん研究センターが共同設計し、国立がん研究センター、九州大学、京都大学、名古屋医療センター、東京大学医科学研究所附属先端医療研究センター、慶應義塾大学医学部との共同研究コンソーシアムにて開発した造血器腫瘍遺伝子パネル検査ヘムサイトについて、国内における製造販売承認を取得したと発表。今後、保険適用の手続きを行い、発売に向けた準備を進める。  がん遺伝子パネル検査は、固形腫瘍を対象としたものがすでに保険適用されているが、造血器腫瘍では製造販売承認されたものはなく、保険診療下でのがんゲノム医療が実施できていない。

この20年間、18~26歳で急増しているがんは?

 過去20年間の生活習慣の変化により、若者ががんの危険因子にさらされる機会が増えている可能性があるが、データベースによる研究報告はない。今回、イタリア・Institute of Biochemistry and Cell Biology, National Council of ResearchのAlessandro Cavazzani氏らが、米国・国立がん研究所のがん登録データベース(SEER22)を用いて、部位別のがん罹患率の2000~20年の傾向を調べたところ、18~26歳の女性における膵がん罹患率の平均年変化率が最も高く、年に10%近く増加していた。BMC Medicine誌2024年9月4日号に掲載。