血液内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:10

いざという時に、がん治療時の血管外漏出対策-ガイドライン改訂

 がん薬物療法を行ううえで、点滴の血管外漏出の予防、早期発見、対処・管理は重要な課題である。2022年12月、日本がん看護学会、日本臨床腫瘍学会、日本臨床腫瘍薬学会(3学会合同)が『がん薬物療法に伴う血管外漏出に関する合同ガイドライン2023年版(改訂3版)』を発刊した。血管外漏出の対策を日常的に実施するも、実は推奨されていなかった…ということも無きにしもあらず。ぜひこの機会に抗がん剤をオーダーする医師にも薬剤の血管漏出時対応の最新知見を確認いただきたい。

GLP-1受容体作動薬・TAZ/PIPC、重大な副作用追加で添文改訂/厚労省

 厚生労働省は2023年2月14日、GLP-1受容体作動薬含有製剤およびGIP/GLP-1受容体作動薬チルゼパチドの添付文書について、改訂を指示した。改訂内容は、『重要な基本的注意』の項への「胆石症、胆嚢炎、胆管炎または胆汁うっ滞性黄疸に関する注意」の追記、『重大な副作用』の項への「胆嚢炎、胆管炎、胆汁うっ滞性黄疸」の追加である。本改訂は、GLP-1受容体作動薬含有製剤投与後に発生した「胆嚢炎、胆管炎、胆汁うっ滞性黄疸」の国内症例の評価、GLP-1受容体作動薬と急性胆道系疾患との関連性を論じた公表文献の評価に基づくもの。

骨髄線維症の症状改善、新規クラスJAK阻害薬の有用性は?/Lancet

 新規クラスのJAK阻害薬momelotinibは、ダナゾールとの比較において、骨髄線維症関連の症状、貧血および脾臓の症状を有意に改善し、安全性は良好であることが示された。米国・テキサス大学MDアンダーソンがんセンターのSrdan Verstovsek氏らが、195例の患者を対象に行った第III相の国際二重盲検無作為化試験「MOMENTUM試験」の結果を報告した。著者は、「今回の所見は、骨髄線維症患者、とくに貧血患者への効果的な治療法としてmomelotinibの今後の使用を支持するものである」と述べている。Lancet誌2023年1月28日号掲載の報告。骨髄線維症に対して承認されたJAK阻害薬は、脾臓および関連症状を改善するが貧血の改善は有意ではない。momelotinibは、新規クラスのACVR1ならびにJAK1およびJAK2の阻害薬で、貧血に対しても効果があることが示されていた。

血友病Aの新規治療薬、既治療重症例の出血を低減/NEJM

 既治療の重症血友病A患者の治療において、efanesoctocog alfa(エフアネソクトコグ アルファ、国内で承認申請中)の週1回投与は、試験開始前の第VIII因子製剤による定期補充療法と比較して、出血の予防効果が優れ、正常~ほぼ正常の第VIII因子活性と、身体的健康や疼痛・関節の健康の改善をもたらすことが、米国・カリフォルニア大学サンディエゴ校のAnnette von Drygalski氏らが実施した「XTEND-1試験」で示された。同薬は、von Willebrand因子(VWF)による半減期の上限を克服し、第VIII因子活性を高い状態で維持するよう設計された新たなクラスの第VIII因子補充療法薬。研究の成果は、NEJM誌2023年1月26日号に掲載された。

コロナ抗体薬エバシェルドの緊急使用許可を停止/FDA

 米国食品医薬品局(FDA)は1月26日、新型コロナウイルス抗体薬のチキサゲビマブ/シルガビマブ(商品名:エバシェルド)について、緊急使用許可(EUA)を改訂し、本剤の使用を停止することを発表した。今回の改訂により、本剤に非感受性のSARS-CoV-2変異型が国内に占める割合が90%以下の場合に限り、使用が許可されることとなる。本改訂に基づき、エバシェルドはFDAから追って通知がない限り、米国での使用が許可されない。

Artemis欠損症に対するレンチウイルス形質導入細胞移植の効果/NEJM

 新たにArtemis欠損重症複合免疫不全症(ART-SCID)と診断された乳児において、薬理学的に標的化した低曝露のブスルファンによる前処置後、レンチウイルス遺伝子で修正した自己CD34+細胞注入移植により、遺伝子が修正された機能的T細胞およびB細胞数の上昇に結び付いたことが、米国・カリフォルニア大学サンフランシスコ校Benioff小児病院のMorton J. Cowan氏らにより報告された。NEJM誌2022年12月22日号掲載の報告。  ArtemisはDNA修復酵素で、T細胞およびB細胞レセプターの再構成に不可欠である。ART-SCIDは、ArtemisをコードするDCLRE1Cにおける変異に起因し、標準治療は同種造血幹細胞移植だが効果は限定的である。

ADAMTS13欠損の先天性TTPにADAMTS13投与が著効した1例/NEJM

 妊娠合併症と動脈血栓症歴のある妊娠30週の27歳女性が、重度のADAMTS13欠損による急性遺伝性血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)の診断を受けた。医療チームは当初、治療的血漿交換(TPE)を実施したが、効果が乏しく中止し、遺伝子組み換えADAMTS13投与に切り替えた。その後、血小板数は正常化、胎児の成長も安定化し、妊娠37週と1日で、在胎不当過小児であったが健康な男子を帝王切開で出産した。その後も患者と生まれた男児の健康状態は良好で、遺伝子組み換えADAMTS13の投与を隔週で継続しているという。スイス・ベルン大学のLars M. Asmis氏らによる症例報告で、NEJM誌2022年12月22日号で発表された。

「All of Us」プログラム、健康に関わる遺伝子情報を15万人以上の参加者に提供

 米国立衛生研究所(NIH)は12月13日に発表したニュースリリースで、NIHが進める大規模な遺伝子研究プログラム「All of Us Research Program」(以下、All of Usプログラム)の参加者のうち、すでに15万5,000人以上が自身の健康に関わるゲノム解析の結果を受け取っていることを報じた。この解析結果を見れば、自分が特定の疾患を発症するリスクが高いのかどうかが分かるという。  All of Usプログラムは、個別化医療の研究開発を推し進めるために、米国の100万人以上の人から健康関連の情報を集めてデータベースを構築することを目的としている。All of Usプログラムのチーフエグゼクティブオフィサーを務めるJosh Denny氏は、「“知は力なり”というように、物事を深く知ることは大きな力となる。健康に関わるDNA情報をプログラム参加者に提供することで、われわれは研究のパラダイムを変えようとしている。つまり、われわれが科学的な発見を得るだけでなく、参加者も自分の健康維持に役立つ遺伝情報を得るという、双方向的な関係を築こうとしているのだ」と説明。同氏はさらに、「プログラム参加者と結ぶこのようなパートナーシップは、信用を築き、全ての人に有意義な洞察を提供するという、われわれが自身に課した責任を果たすためには不可欠だ」とNIHのニュースリリースで語っている。

アカラブルチニブ、慢性リンパ性白血病の初回治療に承認/AZ

 アストラゼネカは、2022年12月23日、アカラブルチニブ(製品名:カルケンス)が、「慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)」の適応症で厚生労働省より承認されたと発表した。  今回の承認は、国内第I相試験および、未治療の慢性リンパ性白血病(CLL)を対象とした国際共同第III相試験(ELEVATE-TN試験)の結果に基づくもの。  ELEVATE-TN試験では、アカラブルチニブの単剤投与またはアカラブルチニブとオビヌツズマブの併用投与が、標準化学免疫療法であるクロラムブシルとオビヌツズマブの併用投与と比較して、無増悪生存期間(PFS)を有意に改善することが示された。本試験の中間解析データは、2020年にThe Lancet誌で発表されている。

再発難治CLL/SLL、zanubrutinib vs.イブルチニブ/NEJM

 再発または難治性の慢性リンパ性白血病(CLL)または小リンパ球性リンパ腫(SLL)の治療において、第2世代のブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)阻害薬であるzanubrutinibは第1世代BTK阻害薬イブルチニブと比較して、無増悪生存期間が有意に優れ、心臓の有害事象が少ないことが、米国・ダナ・ファーバーがん研究所のJennifer R. Brown氏らが実施した「ALPINE試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2022年12月13日号で報告された。  ALPINE試験は、北米、欧州、アジア太平洋地域の15ヵ国113施設が参加した非盲検無作為化第III相試験であり、2018年11月~2020年12月の期間に患者の登録が行われた(BeiGeneの助成を受けた)。  対象は、年齢18歳以上、International Workshop on CLLの基準を満たすCLLまたはSLLと確定診断され、再発または1ライン以上の治療を受けた難治性の病変を有する患者であった。