サイト内検索|page:490

検索結果 合計:10253件 表示位置:9781 - 9800

9781.

中等度~重度の閉塞性睡眠時無呼吸症候群、ケンブリッジ・ダイエットで改善

閉塞性睡眠時無呼吸症候群の治療の主要な選択肢として体重減少が推奨されており、軽度の場合の改善例はこれまでにも示されているが、中等度~重度の場合はどうなのか。スウェーデンKarolinska Institutet医学部肥満症部門のKari Johansson氏らの研究グループが、肥満男性で中等度~重度の閉塞性睡眠時無呼吸症候群の患者を対象に、超低エネルギー食によるケンブリッジ・ダイエットで体重を落とした場合の影響を評価した。BMJ誌2009年12月12日号(オンライン版2009年12月3日号)より。通常の3分の1の超低エネルギー食、ケンブリッジ・ダイエットで体重減少試験は、Karolinska Institutet付属大学病院の肥満外来クリニックで、1センター2部門併行、無作為化対照オープンラベルにて行われた。治療割付にはブロック無作為化の手法が用いられた。対象は、中等度~重度(AHI〔無呼吸・低呼吸指数〕:≧15)の閉塞性睡眠時無呼吸症候群で、持続陽圧呼吸療法(CPAP)による治療が行われていた肥満男性63例(BMI:30~40、年齢30~65歳)。30例が介入群に、33例が対照群に無作為化された(うち対照群2例は割当に不満だとして直ちに中止。残りの患者は試験を完了した)。体重を落とすため介入群には、ケンブリッジ・ダイエットに従って液体超低エネルギー食(2.3MJ/日、参考:1MJ=239kcal)を7週間摂取した後、2週間にわたって徐々に標準食を導入し、9週時点で6.3MJ/日まで戻した。一方、対照群は9週の間、通常の食事を食べ続けた。主要評価項目はAHIで、無作為化された全患者のデータをintention to treat解析が行われた。超低エネルギー食治療の効果は重症ほど大きかった両群ともベースラインの平均AHIは、37/h(SD:15)だった。9週時点で、介入群は対照群より、平均体重は20kg(95%信頼区間:18~21)低く、平均AHIは23/h(同:15~30)低かった。介入群30例のうち5例(17%)は、介入後、症状がなくなり(AHI:30)と中等度(AHI:15~30)との比較で、体重減少は両群で同様だったが(-19.2対-18.2kg、P=0.55)、重度の患者の方が、ベースライン時AHIからの改善幅が有意に大きかった(AHI:-38対-12、P

9782.

新規抗血小板薬cangrelorのPCI前投与、クロピドグレルとの比較で優越性認められず

経皮的冠動脈インターベンション(PCI)施行例への抗血小板薬として、新規開発中の非チエノピリジン系のADP受容体P2Y12阻害薬cangrelorの前投与(静注)は、チエノピリジン系のクロピドグレル(商品名:プラビックス)との比較で優越性は認められないことが報告された。現行ガイドラインでは、PCI時のリスク低減のためにクロピドグレル投与が推奨されているが、その効果は非常に不安定である。そのためcangrelorに、迅速性、予測可能性、可逆性という点での優越性が期待され大規模国際的な第III相無作為化試験が行われた。試験は薬剤投与がPCI前「CHAMPION PCI」とPCI後「CHAMPION PLATFORM」の2試験が行われたが、いずれも同様の結果が報告されている。本論は、CHAMPION PCIからの報告で、NEJM誌2009年12月10日号(オンライン版2009年11月17日号)で掲載された。全死因死亡・心筋梗塞・虚血による血行再建術の複合を主要エンド有効性ポイントにCHAMPION PCIは、急性冠動脈症候群でPCIを受ける患者を、cangrelor群(30μg/kgをボーラス静注後、4μg/kg/分を注入)とクロピドグレル群(600mgを経口投与)に無作為に、二重盲検ダブルダミーの実薬対照に割り付け行われた。cangrelor静注は、PCIの30分前より2時間以上もしくはPCI終了時(いずれか長時間の方)まで行われた(担当医の判断で4時間継続静注も可)。有効性の主要エンドポイントは、48時間時点での全死因死亡・心筋梗塞・虚血による血行再建術の複合とした。試験は70%の中間解析時点で、cangrelorの優越性が低いことが判断され、もう一方のCHAMPION PLATFORMでの70%中間解析でも同様の結果が得られた時点(2009年5月)で、試験登録は打ち切られた。そのためCHAMPION PCIには14ヵ国268施設から8,877例(当初予測の98.6%)が参加、PCI施行例はそのうち8,716例だった。48時間時点のオッズ比1.05主要エンドポイントの発生は、cangrelor群は7.5%、クロピドグレル群7.1%で、cangrelor群がクロピドグレルに優れることはなかった(オッズ比:1.05、95%信頼区間:0.88~1.24、P=0.59)。30日時点でも同様だった。また大出血(ACUITY基準に準拠)の発生率は、cangrelor群(3.6%)がクロピドグレル群(2.9%)に比べ、統計的に有意に近い差で高かった(オッズ比:1.26、95%信頼区間:0.99~1.60、P=0.06)。ただしその症例は、TIMI基準による大出血、GUSTO基準の重大あるいは致死的出血ではなかった。第2エンドポイント(予備解析)の全死因死亡・Q波心筋梗塞・虚血による血行再建術の複合は、cangrelor群で低下の傾向が見られたが、有意ではなかった(0.6%対0.9%、オッズ比:0.67、95%信頼区間:0.39~1.14、P=0.14)。(医療ライター:武藤まき)

9783.

大豆製品の摂取は、乳がん患者の総死亡率を約3割削減

大豆製品の摂取は、乳がん患者の総死亡率を約3割削減する可能性があるようだ。以前から大豆製品に含まれるイソフラボンは、エストロゲン受容体調節因子として乳がんリスクの削減効果があると予想されていた。一方で、イソフラボンにはエストロゲン類似作用があり、乳がんを促進するのではないかとの懸念、さらにはイソフラボンとタモキシフェン(商品名:ノルバデックスなど)の相互作用可能性に関する心配もあった。報告は、米国Vanderbilt大学疫学センターのXiao Ou Shu氏らが、中国人の乳がん患者5,000人超について前向きに調べた大規模住民ベースコホート試験「Shanghai Breast Cancer Survival Study」の結果で、JAMA誌2009年12月9日号で発表されている。大豆摂取の最多四分位範囲群、最小四分位範囲群に比べ死亡ハザード比は0.71研究グループは2002年3月~2006年4月にかけて、20~75歳の乳がん患者、合わせて5,042人に対し調査を開始し、2009年まで追跡した。乳がんの診断後6ヵ月、18ヵ月、36ヵ月、60ヵ月のそれぞれの時点で、治療法や生活習慣、病気の進行度などについて調査を行った。被験者のうち、切除術を行わなかった9人を除く、5,033人について分析を行った。追跡期間の中央値は3.9年(0.5~6.2年)で、その間の死亡は444人、乳がんの再発または乳がんによる死亡は534人だった。その結果、大豆製品の摂取が最も多い四分位範囲群は、最も少ない四分位範囲群に比べ、総死亡に関するハザード比は0.71(95%信頼区間:0.54~0.92)、再発または乳がんによる死亡に関するハザード比は0.68(同:0.54~0.87)だった。エストロゲン受容体陽性・陰性やタモキシフェン服用にかかわらず、死亡リスク減補正後4年生存率は、大豆製品摂取が最も多い四分位範囲群が7.4%、最も少ない四分位範囲群が10.3%だった。再発または乳がんによる死亡の発生率は、同摂取の最多四分位範囲群が8.0%、最小四分位範囲群が11.2%だった。また、こうした傾向は、エストロゲン受容体陽性・陰性にかかわらず、認められた。さらに、タモキシフェンの服用・非服用者の両方で、同傾向が見られた。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

9784.

進行心不全患者に対する新型の連続流型人工心臓の治療効果

進行心不全患者の生存率およびQOLは、内科的治療よりも、拍動流型左心補助人工心臓の植込み手術治療を受けた方が改善されることは知られているが、新型の連続流型人工心臓「HeartMate II」はこの拍動流型よりも小型で、拍動流型装置を上回る耐久性が期待されている。米国イリノイ州Advocate Christ Medical CenterのMark S. Slaughter氏ら新型人工心臓の研究グループが、無作為化試験を行い、その評価結果を、NEJM誌2009年12月3日号(オンライン版2009年11月17日号)で発表した。連続流型 vs. 拍動流型で2年生存率を検証試験は、心臓移植手術が不適格とされた進行心不全患者を登録し、新型の連続流型人工心臓群(134例)と、現在承認されている拍動流型人工心臓群(66例)に、2:1の比率で無作為に割り付け行われた。 主要複合エンドポイントは、植込み手術後2年時点の、障害が残る脳卒中、装置修理または交換のための再手術が行われていない生存率とした。副次エンドポイントは、生存率、有害事象の頻度、QOL、心機能とした。患者の術前特性は両群で同様だった。年齢中央値は64歳(範囲26~81歳)、平均左室駆出率17%、そして約80%の患者が強心薬の静脈内投与を受けていた。2年生存率は新型に軍配主要複合エンドポイントは、新型の連続流型群の方が134例中62例(46%)で、拍動流型群66例中7例(11%)より達成した患者が多かった(ハザード比:0.38、95%信頼区間0.27~0.54、P

9785.

リアルタイムPCR 法による検出キットが発売

扶桑薬品工業株式会社は7日、同社と公立大学法人大阪府立大学が産学共同で開発し、タカラバイオ株式会社に実施許諾しているカンピロバクター検出のためのプライマー配列(細胞膨化致死毒素:Cytolethaldistending toxin 遺伝子のC サブユニットをターゲット)について、新たにタカラバイオ社より、リアルタイムPCR 技術を組み合わせたカンピロバクター属菌の2菌種を特異的かつ迅速に検出・同定する「CycleavePCR Campylobacter (jejuni/coli) Typing Kit」を発売すると発表した。新発売の同製品は、従来品に比べ、より迅速に(約1.5 時間)、また高感度にC. jejuni, C. coli の両菌種の同定が可能。1~2 日間程度増菌培養と組み合わせることにより、検体中に含まれるわずかな数の菌も短時間で検出できる。本菌によるアウトブレイク(集団事例)発生時の感染源の特定や食品等の製造工程管理、工場衛生管理などにおいて極めて有用性が高く、市場性が高いものと期待されるという。なお、同製品の製造販売は、タカラバイオ社が独占的に行うが扶桑薬品工業には販売額に応じてロイヤルティ収入が支払われるとのこと。詳細はプレスリリースへ(PDF)http://www.fuso-pharm.co.jp/news_topics/pdf/2009_12_07.pdf

9786.

自己免疫性膵炎と関連する特異的抗体が同定、しかし……

自己免疫性膵炎は、臓器機能障害に至る炎症の進行が特徴とされるが、疾患の原因はわかっていない。自己免疫由来が示唆されているものの、これまで証明はされておらず、この病態の病因についてはほとんどわかっていなかったが、イタリア・ヴェローナ大学のLuca Frulloni氏らの研究グループがその一端に迫ることができたようだ。NEJM誌2009年11月26日号より。自己免疫性膵炎患者の多くから特異的抗体を検出Frulloni氏らは、自己免疫性膵炎の病因に関連する標的自己抗原を同定することを試みた。自己免疫性膵炎患者20例から得たプールIgG(免疫グロブリンの一種)を使って、ランダムペプチド・ライブラリーのスクリーニングを実施。患者から得た血清標本からペプチド特異的抗体を検出した。検出されたペプチドのうち、ペプチドAIP1-7が、自己免疫性膵炎患者20例中18例から、膵臓がん患者40例中4例の血清標本から認められた。対照群の健常者の血清標本からは検出されなかった。このペプチドは、ヘリコバクターピロリのプラスミノーゲン結合蛋白質(PBP)と、膵臓腺房細胞で高度に発現される酵素であるユビキチン-タンパク質リガーゼE3n-リコグニン2(UBR2)のアミノ酸配列と、相同性を示した。自己免疫性膵炎と膵臓がんの判別は不可PBPペプチドに対する抗体は、自己免疫性膵炎患者20例のうち19例(95%)で、膵臓がん患者40例のうちの4例(10%)で検出された。抗体は、アルコール性慢性膵炎患者または膵管内乳頭粘液性腫瘍患者では検出されなかった。これらの結果は検証群でも確認された。自己免疫性膵炎患者15例中14例(93%)、膵臓がん患者70例中1例(1%)が抗PBPペプチド抗体陽性だった。最初の検出群と検証群の結果から、自己免疫性膵炎患者35例中33例(94%)、膵臓がん患者110例中5例(5%)で陽性との結果が得られたことになる。研究グループは、自己免疫性膵炎患者のほとんどで特異的抗体の存在を確認できたと結論しつつも、一部の膵臓がん患者でも検出されたため、この抗体検査は2つの病態を区別する方法としては不十分であるとまとめている。(医療ライター:朝田哲明)

9787.

カナダ製の新型インフルエンザワクチン「Arepanrix」 WHOの事前認定を取得

英グラクソ・スミスクライン社は1日(現地時間)、同社のカナダ製新型インフルエンザワクチン 「Arepanrix」 (アジュバント添加新型インフルエンザワクチン)が、世界保健機関(WHO)より事前認定(Pre-qualification)を取得したと発表した。同社の日本法人が報告した。WHOによる新型インフルエンザワクチンの事前認定は初めてとなる。同社は先月、途上国用としてアジュバント添加H1N1ワクチン5,000万接種分をWHOに寄贈する契約を締結したことを発表したばかり。また同社は、今年11月に肺炎球菌ワクチン、7月に子宮頸がん予防ワクチン、6月にロタウイルス胃腸炎予防ワクチンについて、WHOから事前認定を取得している。詳細はプレスリリースへhttp://glaxosmithkline.co.jp/press/press/2009_07/P1000600.html

9788.

高血圧症治療薬「COZAAR」の高用量投与により総死亡および心不全による入院リスクが減少する

米国メルク社は、11月にオーランドで開催された第82回米国心臓協会(AHA: American Heart Association)学術集会において、高血圧症治療薬「COZAAR(一般名:ロサルタンカリウム錠)」の高用量投与による試験「HEAAL(Heart failure Endpoint evaluation of the A-II-Antagonist Losartan)」の結果を発表した。日本法人である万有製薬株式会社が2日に公表した。HEAAL試験の結果は11月17日(現地時間)、第82回米国心臓協会学術集会のレイトブレイキングセッションで発表された。HEAAL試験は、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬に忍容性のない心不全患者を対象に、COZAAR(日本販売名:ニューロタン錠/一般名:ロサルタンカリウム)の2種類の用量(50mg、150mg)における安全性および有効性について、30ヵ国255施設で実施されたもの。この試験の結果、150mgの1日1回投与は、同錠50mgを1日1回投与した場合に比べ、総死亡または心不全による入院リスクを有意に減少させたという。COZAARは、米国では慢性心不全患者の治療に適応を有していない。HEAAL試験で用いられた150mgの服用はいかなる適応に対しても承認されていないが、アンジオテンシンII受容体拮抗薬(AIIA)、心血管系治療薬として、「高血圧症の単剤治療または利尿薬を含む他の降圧剤との併用治療」「左室肥大を伴う高血圧患者の脳卒中リスク低減。但しこの効果は黒人患者に対しては適用されない」「2型糖尿病および高血圧患者における血清クレアチニンの上昇及び蛋白尿(尿中アルブミン/クレアチニン比300mg/g以上)を伴う糖尿病性腎症の治療。この治療において、COZAARは、血清クレアチニン値倍増または末期腎不全(透析あるいは腎移植の必要性)をエンドポイントとして、腎機能低下率を低減させる」3つの適応が承認されている。詳細はプレスリリースへhttp://www.banyu.co.jp/content/corporate/newsroom/2009/merck_1202.html

9789.

少ないX線量でも高画質を実現 富士フイルムから「CALNEO MT」発売

富士フイルム株式会社は26日、X線照射面側から光信号を読み取る、同社独自の間接変換方式FPD(フラットパネルディテクタ)を搭載したデジタルX線画像診断装置「CALNEO」シリーズの新ラインアップとして、臥位撮影台に組み合わせ可能な「FUJIFILM DR CALNEO MT」を開発したと発表した。「CALNEO MT」と専用の昇降型フローディング撮影台「SUD-F」は、富士フイルムメディカル株式会社から12月1日より販売開始している。「CALNEO MT」は、間接変換方式FPDと高度な画像処理技術“Image Intelligence”を搭載しており、少ないX線量でもシャープかつ高画質なX線画像を撮影できる。撮影後約3秒で画像表示し、スピーディーな画像確認ができるため、次の撮影への移行がスムーズに行える。また、撮影台「SUD-F」は、便利なセンターロック機構を搭載しているため、中心部の位置合わせが簡単にできる。また、「CALNEO MT」「SUD-F」を組み合わせたものと立位タイプ「CALNEO U」は、立位・臥位撮影の相互切換を1秒以下で行えるため、立位・臥位の連続した撮影もストレスなく進めることができる。さらに、FPDの動作を制御するキャビネットと画像処理を行う制御装置「Console Advance(コンソール アドバンス)」も共有できるため、撮影に最適なワークフローや共通の画像処理による高画質画像のもとで、X線検査を行うことができる。詳細はプレスリリースへhttp://www.fujifilm.co.jp/corporate/news/articleffnr_0336.html

9790.

新規経口抗血小板PAR-1阻害剤SCH 530348の第III相試験TRA-2゜P-TIMI 50への被験者登録完了

2009年11月13日(米国東部時間)、Merck & Co,Inc, Whitehouse Station, N.J, U.S.Aは、検討が進められている抗血小板プロテアーゼ活性化受容体1(PAR-1)阻害剤SCH 530348の第III相無作為化二重盲検プラセボ対照国際試験であるTRA-2゜P-TIMI 50試験への被験者登録が完了したことを発表した。この試験は、Thrombolysis in Myocardial Infarction(TIMI)研究グループにより実施されていて、目標症例数である26,000名以上に達したとのこと。27日、統合会社のシェリング・プラウ株式会社が報告した。この試験では、心筋梗塞または脳卒中の既往がある患者または現在末梢動脈疾患がある患者に、現行の抗血小板薬(アスピリンまたはアスピリン+ADP 阻害剤)に加えてトロンビン受容体拮抗薬、PAR-1阻害剤であるSCH 530348を投与した場合の主要な心血管イベント発生の予防効果について評価する。SCH 530348は、Duke Clinical Research Instituteにより現在実施している急性冠動脈症候群(ACS)における臨床イベント減少を検討するトロンビン受容体拮抗薬試験(TRA- CER)において、急性冠動脈症候群の患者への投与についても検討が行われているという。詳細はプレスリリースへhttp://www.schering-plough.co.jp/press/index.html

9791.

乳幼児のロタウイルス胃腸炎予防ワクチンを国内で承認申請

グラクソ・スミスクライン株式会社は30日、11月27日付で、ロタウイルス胃腸炎予防ワクチン(海外での製品名:Rotarix)の承認申請を行ったと発表した。申請したワクチンは、乳幼児のロタウイルス胃腸炎の早期予防を目的として使用される2回接種の経口ワクチンで、ロタウイルスに対するワクチンの承認申請は国内初となる。また、同社にとってこのワクチンは10月に承認になった子宮頸がん予防ワクチン「サーバリックス」、10月16日に申請した新型A(H1N1)インフルエンザワクチンに続くワクチンとなる。このたび国内で承認申請したRotarixはロタウイルスによる胃腸炎を予防する、弱毒化されたヒトロタウイルスの経口ワクチン。5つの大陸に渡って実施された世界規模の臨床試験では、現在出現しているG9ロタウイルス株を含む最も流行しているウイルス株(G1および非G1ロタウイルス株)に対して予防効果が認められた。現在Rotarixは、乳幼児を対象に凍結乾燥製剤あるいは液剤として世界116ヵ国で承認を取得している。日本では液剤の製造販売承認を申請済み。Rotarixは、2009年6月5日にWHO(世界保健機関)から事前認定(prequalification)を取得しており、さらに各国のワクチン接種プログラムにロタウイルスワクチン接種を含むことがWHOの専門家による顧問団(Strategic Advisory Group of Experts、SAGE)により推奨された。Rotarixは2回の接種により、生後早い時期からロタウイルス胃腸炎に対する予防が可能となる。詳細はプレスリリースへhttp://glaxosmithkline.co.jp/press/press/2009_07/P1000596.html

9792.

2型糖尿病・CKD患者への貧血治療薬darbepoetin alfa投与はリスクが上回る

貧血症が、2型糖尿病と慢性腎臓病(CKD)患者の心血管および腎臓イベントの、リスク増加と関連することは知られているが、貧血治療薬darbepoetin alfaの、これら患者の臨床転帰に対する効果は十分検討されていない。米国ブリガム&ウィメンズ病院循環器部門のMarc A. Pfeffer氏らは、被験者約4,000名を対象とした無作為化二重盲検プラセボ対照試験「TREAT」にて、その効果について検討した。NEJM誌2009年11月19日号(オンライン版2009年10月30日号)より。死亡または心血管イベントと、死亡またはESRDの各複合転帰を評価TREAT(Trial to Reduce Cardiovascular Events with Aranesp Therapy)試験には、24ヵ国623施設から、糖尿病、CKD、貧血症を有する患者4,038例が参加した。被験者は、ヘモグロビン濃度約13g/dLを目標として、darbepoetin alfa投与群(2,012例)とプラセボ投与群(2,026例)に無作為に割り付けられた。なお、ヘモグロビン濃度9.0g/dL未満となった場合は緊急的にdarbepoetin alfaを投与することとされた。主要エンドポイントは、死亡または心血管イベント(非致死的心筋梗塞、うっ血性心不全、脳卒中、心筋虚血による入院)、死亡または末期腎不全(ESRD)の各複合転帰とした。複合転帰改善せず、脳卒中リスクを増加死亡または心血管イベントの複合転帰は、darbepoetin alfa群では632例で発生し、プラセボ群は602例だった(ハザード比:1.05、95%信頼区間:0.94~1.17、P = 0.41)。死亡またはESRDの複合転帰は、darbepoetin alfa群では652例発生し、プラセボ群は618例だった(1.06、0.95~1.19、P = 0.29)。また致死的あるいは非致死的脳卒中が、darbepoetin alfa群で101例発生した。プラセボ群では53例で、ハザード比は1.92(95%信頼区間:1.38~2.68、P

9793.

米国成人のLDL-C高値有病率は減少傾向、2005~2006年は21%

20歳以上の米国成人で、低比重リポ蛋白コレステロール(LDL-C)高値の人の割合は、1999~2006年の間減少傾向にあり、2005~2006年の割合は21.2%であることが報告された。米国疾病対策センター(CDC)のElena V. Kuklina氏らの研究で明らかになったもので、冠動脈性心疾患の発症リスクにかかわらず同有病率を調べた研究結果は珍しいという。JAMA誌2009年11月18日号で発表されている。全米20歳以上の7,044人を調査研究グループは、NHANES(National Health and Nutrition Examination Survey)のデータのうち、空腹時検査を行った20歳以上で、妊婦とデータが欠落している人を除いた7,044人について、4研究期間(1999~2000年、2001~2002年、2003~2004年、2005~2006年)のLDL-C値を調査した。LDL-C高値の定義は、NCEP ATP III(National Cholesterol Education Program Adult Treatment Panel III)に基づき、高リスク群は100mg/dL以上、中等度リスク群は130mg/dL以上、低リスク群は160mg/dL以上とした。脂質低下薬の服用率も増加傾向その結果、20歳以上成人のLDL-C高値の有病率は、1999~2000年の31.5%から、2005~2006年の21.2%に減少した(直線傾向のp

9794.

認識されずに治療されなかった疾患 ~社交不安障害の新たな治療選択肢~

11月18日、丸ビルコンファレンススクエア(東京都千代田区)において「社交不安障害※(Social Anxiety Disorder:SAD)」についてのメディアセミナー(グラクソ・スミスクライン株式会社主催)(演者:山田和夫医師 東洋英和女学院大学 人間科学部 教授/和楽会横浜クリニック院長)が開催された。その内容をレポートする。「結婚式のスピーチで汗びっしょりになってしまう」「高級レストランで手が震えてナイフを落としてしまう」一般的に「あがり症」と言われるこの症状も、場合によっては日常生活に多大な支障をきたすことがある。SADとは?その症状SADは、人前で話をするなど注目が集まる状況に強い不安や恐怖を感じ、日常生活に大きな支障を生じさせる疾患である。「不安に耐え切れず会社を辞めてしまう」「外出を避け引きこもるようになる」など重症化すると、その人の人生に大きな影響を与えかねない。手足の震え、動悸、吐き気、赤面といった自律神経症状が主症状のため、「性格的なもの」「自意識過剰」と周囲から判断されることも多い。SADの診断とそこに潜む問題点この病の診断はうつ病や認知症同様難しい。SADの診断基準として海外ではLSAS(Liebowitz Social Anxiety Scale)が広く使用されているが、国内で患者を診る場合、日本語版であるLSAS-Jを用いることが推奨されている。この総得点が高い場合にSADの可能性を疑う。患者の多くは10~20代で発症するので、診断時には「症状がいつから始まったか」についても確認することが大切だ。スコアが高く、さらに14歳頃など思春期からその症状が始まっている場合はSADの可能性がある。このようにSAD患者の多くは、思春期からその症状に悩まされている。しかし来院するのは、ほとんどの場合社会人になってからだ。そのため、かなり症状が進行していることが多い。さらに病院へ行ってからもSADと診断されるまでに時間がかかる。何軒も病院をまわった後にようやく診断されるケースがほとんどだという。「SADの診断は難しいが、疾患の可能性が思い浮かべば、患者の診断時期が早まり進行が抑えられる可能性が高くなる。だからまずはSADという疾患を認識することから始めてほしい」演者の山田医師はそう呼びかけた。広がるSAD治療の選択肢前述のようにSADは診断が難しい病気だが、薬物療法が奏功しやすい疾患でもある。SADの発症機序自体は未だ明確ではないが、セロトニンの放出バランスが崩れることが原因のひとつと考えられている。そのため治療はSSRI(Selective Serotonin Reuptake Inhibitors)が奏功する可能性が高い。SSRIを投与することで、一旦放出されたセロトニンがもとの神経細胞に再取り込みされることを防ぎ、神経細胞間の遊離セロトニン量のバランスを保つことができるからだ。2009年10月、SSRIであるパロキセチン(商品名:パキシル)が新たにSADの適応を取得した。国内で販売しているSSRIの中では2005年のフルボキサミン(商品名:デプロメール、ルボックス)に続き2剤目の適応だ。同剤のSADに対する有効性は国内外の臨床試験で確認されている。SSRIを中心とした薬物治療により症状が改善すれば「人生が変わった」「生きがいを持てた」と感じる患者も増えるだろう。今回パロキセチンが適応を取得したことでSAD治療の選択肢はまたひとつ広がったといえる。※2008年に日本精神神経学会において「社会不安障害」は「社交不安障害」に名称が改められた。パロキセチンは名称変更前の2007年に適応追加申請を行い「社会不安障害」として承認されている。(ケアネット 佐藤寿美)

9795.

新規抗血小板剤Ticagrelor ST上昇型急性心筋梗塞患者の心血管イベント発症リスクを抑制

英国アストラゼネカ社は、PLATO試験において、急性冠症候群の中でも重症のST上昇型急性心筋梗塞(STEMI)患者を対象としたサブグループ解析結果をアメリカ心臓協会(AHA)の年次学術集会で発表した。STEMIは冠動脈の完全閉塞により発症することから、早期の血流回復によって、心筋救済し死亡率を低減させる必要があります。そのため、緊急経皮的冠動脈形成術(PCI)が施行されます。同社の日本法人が19日に報告した。この解析はPLATO試験に組入れられた患者の約45%にあたる8,430人のSTEMI患者を対象に行なわれた。解析の結果、Ticagrelorはクロピドグレルに比べて大出血のリスクを増加させることなく(9.0% vs. 9.3%, p=0.63)1、投与1年後の心血管イベント発症リスク(心血管死、心筋梗塞、脳卒中)を有意に抑制したという(9.3% vs. 11.0%, P=0.02)。特に、Ticagrelorはクロピドグレルに比べ有意に心筋梗塞発症リスクを抑制したとのこと(4.7% vs. 6.1%, P=0.01)。解析結果から、STEMI患者におけるTicagrelorの治療効果は試験期間全体を通じて認められ、クロピドグレルとの差は時間の経過と共に大きくなる傾向にあることがわかった。 またTicagrelorは心筋梗塞、ステント内血栓症、および心筋梗塞・脳卒中・全死亡の複合イベントを含む複数の有効性の副次的評価項目においても有効性を一貫して示したとのこと。Ticagrelorはクロピドグレルに対し1年経過時点における全死亡の相対リスクを18%抑制した(6.0% vs. 4.9%, P=0.04)。詳細はプレスリリースへhttp://www.astrazeneca.co.jp/activity/press/2009/09_11_19.html

9796.

酸関連疾患治療薬TAK-438の逆流性食道炎を対象とした臨床第2相試験を開始

武田薬品工業株式会社は18日、酸関連疾患治療薬TAK-438の逆流性食道炎を対象とした臨床第2相試験を日本において開始したと発表した。同薬は、既存のプロトンポンプインヒビター(以下、「PPI」)と異なる作用機序を有する自社創製のカリウムイオン競合型アシッドブロッカー(P-CAB)であり、胃酸分泌に必要なカリウムイオンのH+,K+-ATPaseへの結合を阻害することにより、酸の分泌を抑制する薬剤。既存のPPIと比較して、強力な胃酸分泌抑制作用、短時間での作用発現、長時間の作用持続を示すことが臨床で期待されているという。詳細はプレスリリースへhttp://www.takeda.co.jp/press/article_35579.html

9797.

救急部門へのCanadian C-Spine Rule導入で、頚椎画像診断率13%減少

救急外来での効率・効果的な頚椎損傷画像診断のためにカナダで考案された「Canadian C-Spine Rule」について、実際の導入効果を評価する前向き無作為化試験が、カナダ・オタワ大学救急部門のIan G Stiell氏らにより行われた。導入前後では、画像診断の実施率が13%減少するなど、この戦略が有効であることが示されたという。BMJ誌2009年11月7日号(オンライン版10月29日号)掲載より。カナダ12ヵ所のERで1万2千例を対象に無作為化試験Canadian C-Spine Ruleでは、大きく3つのクエスチョン――画像診断が必要なハイリスク要因があるか(65歳以上、四肢の感覚異常など)、リスクは低いのか(単純な後部からの自動車衝突事故、歩行可、ER内で座位を保持など)、首を左右45度自転できる――で画像診断の必要性を振り分ける。以前に行われた8千人超の試験で、感度99%という診断率の高さ、およびこのルール導入で画像診断率は現状の6割程度に抑えることができる可能性が示されていた。しかし、実証データが十分ではないことから普及は進んでいない。Stiell氏らは今回、ルールの導入効果を検証するため、カナダの大学病院および地域病院の救急部門12ヵ所(介入群、対照群各6ヵ所)を対象に、前向きクラスタ無作為化試験を行った。介入群施設では、ルールを実行するために、教育、方針説明、放射線に関するリアルタイムな助言などが行われた。一方、対照群には頚椎画像診断をオーダーすることに関する医師の行動を変えさせるための特異的な介入は行われなかった。被験者は、12施設を頭か首の鈍的外傷を呈し受診した成人11,824例。主要評価項目は、介入前後12ヵ月の頚椎画像診断率とした。介入施設の画像診断率は減少、半面、対照群は増大結果、介入群では頚椎画像診断率が介入前後で12.8%(95%信頼区間:9~16%)、相対的に減少した(前61.7% vs. 後53.3%、P=0.01)。一方、対照群では、12.5%(同:7~18%)、相対的に増大していた(前52.8% vs. 後58.9%%、P=0.03)。これらの変化は、両群比較時も有意だった(P

9798.

米国で鎮静剤「LUSEDRA注射剤」新発売

エーザイ株式会社は17日、鎮静剤「LUSEDRA(一般名:fospropofol disodium)注射剤」について、米国にて発売を開始したと発表した。同剤は全身麻酔についての訓練を受けた医療従事者によって使用されることになるという。LUSEDRA注射剤は、プロポフォールの水溶性プロドラッグで、静脈注射後、体内で酵素(アルカリ・フォスファターゼ)によりプロポフォールに変換され、鎮静効果を発現する。同剤は、監視下鎮静管理(monitored anesthesia care: MAC)による、成人患者の検査もしくは処置における鎮静の適応について、2008年12月に米国食品医薬品局(FDA)より承認された。なお、同剤は、FDAよりスケジュールIV医薬品に規制分類指定されている。詳細はプレスリリースへ(PDF)http://www.eisai.co.jp/news/news200948pdf.pdf

9799.

新規GLP-1アナログ製剤liraglutide、肥満者の体重が減少、糖尿病前症の抑制効果も

新たなグルカゴン様ペプチド1(GLP-1)アナログ製剤であるliraglutideは、肥満者の体重を減少させて肥満関連リスク因子を改善し、糖尿病前症を低減することが、デンマークCopenhagen大学生命科学部のArne Astrup氏らNN8022-1807 Study Groupが実施した無作為化試験で明らかとなった。ヨーロッパでは過去20年間で肥満者が3倍に増え、成人の約半数が過体重だという。liraglutideはヒトGLP-1と97%の構造的相同性を持つアナログ製剤で、半減期が約13時間と長いため1日1回皮下注で治療が可能。用量依存性に体重を減少させ、HbA1cの低減作用を持ち、膵β細胞機能および収縮期血圧を改善することが確認されており、2型糖尿病と肥満の治療薬として期待されている。Lancet誌2009年11月7日(オンライン版2009年10月23日号)掲載の報告。4種類の用量群、プラセボ群、orlistat群の6群を比較する二重盲検試験NN8022-1807 Study Groupは、liraglutideが2型糖尿病を有さない肥満者の体重に及ぼす影響および耐用性について検討する二重盲検プラセボ対照無作為化試験を実施した。2007年1~9月までに、ヨーロッパの8ヵ国19施設から18~65歳の肥満者(BMI 30~40kg/m2)564人が登録された。これらの肥満者が、liraglutideの4種類の用量を1日1回皮下注する群[1.2mg群(95人)、1.8mg群(90人)、2.4mg群(93人)、3.0mg群(93人)]、プラセボ群(98人、1日1回皮下注)あるいは承認済みの抗肥満薬である消化管リパーゼ阻害薬orlistat 120mgを投与する群(95人、1日3回経口投与)のいずれかに無作為に割り付けられた。被験者は、2週間のrun-in期間と20週の試験期間中は1日500kcalの低エネルギー食を摂り、身体活動の増強の指導を受けた。主要エンドポイントはintention-to-treat解析による体重の変化とした。試験完遂者は引き続き84週のオープンラベル試験に登録された。用量依存性に体重が減少、高用量ではorlistatと有意差が、降圧作用や糖尿病前症抑制効果もプラセボ群に比べ、liraglutide 1.2mg群(p=0.003)およびliraglutide 1.8~3.0mg群(p<0.0001)は有意に体重が減少し、orlistat群との比較でもliraglutide 2.4mg群(p=0.003)およびliraglutide 3.0mg群(p<0.0001)の体重減少は有意差が認められた。減少した体重の平均値は、liraglutide 1.2mg群が4.8kg、1.8mg群が5.5kg、2.4mg群が6.3kg、3.0mg群が7.2kgであったのに対し、プラセボ群は2.8kg、orlistat群は4.1kgであった。liraglutide群はプラセボ群よりも体重が2.1~4.4kg減少した。体重が5%以上減少した被験者の割合は、liraglutide3.0mg群が76%(70人)であったのに対し、プラセボ群は30%(29人)、orlistat群は44%(42人)であった。liraglutide群はすべての用量で血圧が低下し、1.8~3.0mg群では糖尿病前症が84~96%低減した。liraglutide群はプラセボ群に比べ悪心・嘔吐の頻度が高かったが、有害事象の多くは一過性で治療中止に至るものはまれであった。著者は、「肥満者に対する20週にわたるliraglutide治療は、耐用性が良好で体重を減少させ、一定の肥満関連リスク因子の改善効果や糖尿病前症の抑制効果を認めた」と結論し、「liraglutideは既存薬とは異なる作用機序を有し、減量効果も高く、肥満の糖尿病前症で有効な可能性が示唆される。一方、体重減少そのものよりも心血管イベントとの臨床的関連が強いと考えられるリスク因子の改善効果が示されたものの、長期的なリスク-ベネフィットのプロフィールや体重維持能が確立されたわけではない」と考察している。(菅野守:医学ライター)

9800.

炎症性腸疾患に対するチオプリン投与、リンパ増殖性疾患のリスクが増大

炎症性腸疾患の患者に対するチオプリン系薬剤の投与は、リンパ増殖性疾患のリスクを増大させることが、フランスParis第6大学(Pierre et Marie Curie)Saint-Antoine病院消化器病学の Laurent Beaugerie氏らが実施したコホート研究(CESAME試験)で明らかとなった。Crohn病や潰瘍性大腸炎は原因不明の慢性炎症性消化管疾患であり、寛解を維持するための免疫抑制療法としてアザチオプリンやその代謝産物である6-メルカプトリンが推奨されている。免疫抑制療法としてチオプリンを投与された臓器移植患者では、Epstein-Barr(EB)ウイルスとの関連でリンパ増殖性疾患の発症リスクが増大することが知られている。Lancet誌2009年11月7日号(オンライン版2009年10月19日号)掲載の報告。約2万例を対象とした前向きの観察的コホート研究CESAME(Cancers Et Surrisque Associe aux Maladies inflammatoires intestinales En France)試験の研究グループは、炎症性腸疾患に対するチオプリン投与によるリンパ増殖性疾患のリスク増大についてプロスペクティブな観察的コホート研究を行った。フランス全域の680名の消化器専門医から1万9,486例の炎症性腸疾患[Crohn病:1万1,759例(60.3%)、潰瘍性大腸炎:7,727例(39.7%)]が登録され、観察期間中の免疫抑制療法、がんの発現、死亡などの情報が報告された。これらのデータを基に、チオプリンの投与状況とリンパ増殖性疾患のリスクについて評価した。フォローアップ期間中央値は35ヵ月であった。発症リスクが5倍以上に、若年患者における利点は損なわれないベースライン時にチオプリンの投与を受けていたのは5,867例(30.1%)で、中止していた症例が2,809例(14.4%)、投与歴のない症例が1万810例(55.5%)であった。23例が新たなにリンパ増殖性疾患と診断され、そのうち1例がHodgkinリンパ腫、22例は非Hodgkinリンパ腫であった。リンパ増殖性疾患の発症率は、チオプリン投与例では1,000人年当たり0.90、中止例では0.20/1,000人年、非投与例では0.26/1,000人年であり、投与例において有意に高かった(p=0.0054)。チオプリン投与例におけるリンパ増殖性疾患の発症リスクは、非投与例よりも5倍以上高かった(多変量補正ハザード比:5.28、p=0.0007)。著者は、「チオプリンを投与された炎症性腸疾患患者では、リンパ増殖性疾患のリスクが増大していた」と結論し、「今回の結果を外挿すると、チオプリンを10年間投与されている若年患者のリンパ増殖性疾患の絶対累積リスクは1%未満と低いままであり、この薬剤のリスク-ベネフィット比の利点を損なうものではない。高齢者や無期限の治療については、それぞれの専門試験が必要である」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

検索結果 合計:10253件 表示位置:9781 - 9800