中等度~重度の閉塞性睡眠時無呼吸症候群、ケンブリッジ・ダイエットで改善

提供元:ケアネット

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公開日:2009/12/25

 



閉塞性睡眠時無呼吸症候群の治療の主要な選択肢として体重減少が推奨されており、軽度の場合の改善例はこれまでにも示されているが、中等度~重度の場合はどうなのか。スウェーデンKarolinska Institutet医学部肥満症部門のKari Johansson氏らの研究グループが、肥満男性で中等度~重度の閉塞性睡眠時無呼吸症候群の患者を対象に、超低エネルギー食によるケンブリッジ・ダイエットで体重を落とした場合の影響を評価した。BMJ誌2009年12月12日号(オンライン版2009年12月3日号)より。

通常の3分の1の超低エネルギー食、ケンブリッジ・ダイエットで体重減少




試験は、Karolinska Institutet付属大学病院の肥満外来クリニックで、1センター2部門併行、無作為化対照オープンラベルにて行われた。治療割付にはブロック無作為化の手法が用いられた。対象は、中等度~重度(AHI〔無呼吸・低呼吸指数〕:≧15)の閉塞性睡眠時無呼吸症候群で、持続陽圧呼吸療法(CPAP)による治療が行われていた肥満男性63例(BMI:30~40、年齢30~65歳)。30例が介入群に、33例が対照群に無作為化された(うち対照群2例は割当に不満だとして直ちに中止。残りの患者は試験を完了した)。

体重を落とすため介入群には、ケンブリッジ・ダイエットに従って液体超低エネルギー食(2.3MJ/日、参考:1MJ=239kcal)を7週間摂取した後、2週間にわたって徐々に標準食を導入し、9週時点で6.3MJ/日まで戻した。一方、対照群は9週の間、通常の食事を食べ続けた。主要評価項目はAHIで、無作為化された全患者のデータをintention to treat解析が行われた。

超低エネルギー食治療の効果は重症ほど大きかった




両群ともベースラインの平均AHIは、37/h(SD:15)だった。

9週時点で、介入群は対照群より、平均体重は20kg(95%信頼区間:18~21)低く、平均AHIは23/h(同:15~30)低かった。

介入群30例のうち5例(17%)は、介入後、症状がなくなり
(AHI:<5)、15例(50%)は症状が軽度(AHI:5~14.9)となった。一方、対照群は1例を除く全例でAHIが15以上のままだった。

介入群のサブグループ分析で、重度(AHI:>30)と中等度(AHI:15~30)との比較で、体重減少は両群で同様だったが(-19.2対-18.2kg、P=0.55)、重度の患者の方が、ベースライン時AHIからの改善幅が有意に大きかった(AHI:-38対-12、P<0.001)。

Johansson氏は、「超低エネルギー食治療は、肥満男性の重度の閉塞性睡眠時無呼吸症候群の改善に最も大きな効果を示した」と述べ、体重減少が閉塞性睡眠時無呼吸症候群の主要な治療戦略であることを確認するため、長期にわたる研究が必要だと結論づけた。