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転移ホルモン感受性前立腺がん、標準治療+エンザルタミドが有効/NEJM

 新規アンドロゲン受容体標的薬エンザルタミド(商品名:イクスタンジ)は、転移を伴うホルモン感受性前立腺がん(mHSPC)患者において、標準治療と比較し無増悪生存期間(PFS)と全生存期間(OS)を有意に延長した。ただし、エンザルタミド群では、とくに初期にドセタキセルの治療を受けた患者において、痙攣発作や他の有害事象が多くみられた。オーストラリア・モナッシュ大学のIan D. Davis氏らが、mHSPCの1次治療としてテストステロン抑制±ドセタキセルへのエンザルタミド併用の有効性および安全性を検証した、無作為化非盲検第III相試験「Enzalutamide in First Line Androgen Deprivation Therapy for Metastatic Prostate Cancer trial:ENZAMET試験」の結果を報告した。エンザルタミドは、去勢抵抗性前立腺がん患者のOSを改善することが示唆されていたが、ドセタキセルの有無にかかわらずテストステロン抑制とエンザルタミドとの併用がmHSPC患者のOSを改善するかは不明であった。NEJM誌オンライン版2019年6月2日号掲載の報告。mHSPC患者1,125例で、標準治療±エンザルタミド併用の有効性を評価 研究グループは、2014年3月~2017年3月の期間で、mHSPC患者1,125例を、テストステロン抑制+エンザルタミド(エンザルタミド群)または非ステロイド性抗アンドロゲン療法(標準治療群)に1対1の割合で無作為に割り付けた。 主要評価項目はOS、副次評価項目は前立腺特異抗原(PSA)値によるPFS、臨床的なPFS、有害事象などであった。Kaplan-Meier法、非調整log-rank検定、Cox比例ハザードモデルなどを用いて解析した。エンザルタミド併用でOSとPFSが有意に延長 追跡期間中央値34ヵ月において、死亡はエンザルタミド群102例、標準治療群143例であった(ハザード比[HR]:0.67、95%信頼区間[CI]:0.52~0.86、p=0.002)。Kaplan-Meier法による3年OS率は、エンザルタミド群で80%(94例)、標準治療群で72%(130例)であった。 PSA-PFS(イベント数174例 vs.333例、HR:0.39、p<0.001)および臨床的PFS(167例 vs.320例、HR:0.40、p<0.001)も同様に、エンザルタミド群で良好な結果が得られた。 有害事象による治療中断は、エンザルタミド群が標準治療群よりも多かった(それぞれ33例および14例)。倦怠感はエンザルタミド群が多く、痙攣発作はエンザルタミド群で7例(1%)確認され、標準治療群では確認されなかった。

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ribociclib、HR+/HER2ー閉経前乳がんでOS改善(MONALEESA-7)/ASCO2019

 閉経前のホルモン受容体(HR)陽性HER2陰性進行乳がん患者を対象にした、ribociclib+ホルモン療法の第III相二重盲検無作為化比較試験の結果が、米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO2019)で、米国・UCLA Jonsson Comprehensive Cancer CenterのSara A. Hurvitz氏より発表された。本内容は、NEJM誌2019年6月号に同時掲載されている。試験デザイン・対象:閉経前のHR陽性/HER2陰性の進行乳がん患者で、進行乳がんに対するホルモン療法歴なし、あるいは2ライン以上の化学療法歴のない患者・試験群:ribociclib 600mg/日(経口)+ゴセレリン+アロマターゼ阻害薬またはタモキシフェン(Ribo群)・対照群:プラセボ+ゴセレリン+アロマターゼ阻害薬またはタモキシフェン(Pla群) ribociclibおよびプラセボは3週間連日投与、1週間休薬の28日間隔で投与・評価項目:[主要評価項目]無増悪生存期間(PFS)[副次評価項目]全生存期間(OS)、奏効率(ORR)、安全性など 主な結果は以下のとおり。・672例が登録され、Ribo群335例、Pla群337例に割り付けられた。PFSの結果は2018年に報告されている。・追跡期間中央値34.6ヵ月時点(データカットオフは2018年11月30日)における今回の解析では、OS中央値はRibo群では未到達、Pla群で40.9ヵ月であった(ハザード比[HR]:0.712、95%信頼区間[CI]:0.535~0.948、p=0.00973)。このp値は、事前の解析計画で設定されていた値を下回っており、Ribo群の優越性を示している。また、割り付け後42ヵ月のOS率はRibo群では70.2%、Pla群で46.0%であった。・化学療法の後治療への移行までの期間の中央値は、Ribo群で未到達、Pla群で36.9ヵ月であった(HR:0.596、95%CI:0.459~0.774)。・投薬期間中央値はRibo群で約2年、Pla群で約1年であった。その後さらに15ヵ月の追跡を実施したが、新たな安全性プロファイルは報告されなかった。Grade3以上の有害事象として報告されたのは、好中球減少がRibo群63.5%、Pla群4.5%、肝機能障害がRibo群11%、Pla群6.8%などであった。

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せん妄や認知症と院内死亡率との関連

 大規模多施設共同研究において、認知障害の有病率および院内死亡率に対する影響について検討されたエビデンスはほとんどない。イタリア・Fondazione Camplani HospitalのAlessandro Morandi氏らは、認知障害、認知症、せん妄の有病率および院内死亡率への影響を検討するため、高齢入院患者を対象とした大規模多施設共同試験「Italian Delirium Day:2016年」を行った。The Journals of Gerontology. Series A, Biological Sciences and Medical Sciences誌2019年5月16日号の報告。 対象は、急性期病院205施設の内科および外科病棟に入院した65歳以上の高齢急性期患者2,037例。構造化されたアプローチにより4つの認知障害グループ(認知障害を有する非認知症患者、認知症患者、せん妄患者、認知症とせん妄を合併した患者)を定義した。アウトカムは、各施設の研究者より報告された院内死亡率とした。 主な結果は以下のとおり。・平均年齢は、81.17±7.7歳であった。・各グループの患者数は、認知障害を有する非認知症患者483例(23.7%)、認知症患者230例(11.3%)、せん妄患者187例(9.2%)、認知症とせん妄を合併した患者244例(12.0%)で、いずれも認められなかった患者は893例(43.8%)であった。・死亡患者数は、99例(4.8%)であった。・せん妄患者(オッズ比:2.56、95%CI:1.29~5.09)および認知症とせん妄を合併した患者(オッズ比:2.60、95%CI:1.39~4.85)は、いずれも認められなかった患者と比較し、死亡リスクが高かった。 著者らは「せん妄を有する高齢入院患者は非常に多く、せん妄患者および認知症とせん妄を合併した患者では、院内死亡率が増加していた。臨床医は、これらの状態をシステマティックに評価し、重篤マーカーおよび差し迫った死の予測因子として認識すべきである」としている。

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脳心血管病予防策は40歳からと心得るべき/脳心血管病協議会

 日本動脈硬化学会を含む16学会で作成した『脳心血管病予防に関する包括的リスク管理チャート2019』が日本内科学会雑誌第108巻第5号において発表された。2015年に初版が発行されてから4年ぶりの改訂となる今回のリスク管理チャートには、日本動脈硬化学会を含む14学会における最新版のガイドラインが反映されている。この改訂にあたり、2019年5月26日、寺本 民生氏(帝京大学理事・臨床研究センター長)と神崎 恒一氏(杏林大学医学部高齢医学 教授)が主な改訂ポイントを講演した(脳心血管病協議会主催)。脳心血管病予防が今後はますます求められる  2018年12月、「健康寿命の延伸などを図るための脳卒中、心臓病その他の循環器病に係る対策に関する基本法」が成立した。2015年度国民医療費1)は42兆円を超え、内訳を見ると循環器疾患に対する医療費は全体の19.9%(5兆9,818億円)、次いで、悪性新生物が13.7%(4兆1,257億円)を占めていた。近年では医療の発展に伴い、病態の発症から死亡に至るまでの期間が伸びているものの、平均寿命と健康寿命の差はまだ大きい。死亡までに介護が必要となった主たる原因も、認知症を上回り、脳血管疾患が1位にランクインしている2)。このように、そのほか問題視されている肥満、糖尿病、喫煙などの現状を踏まえると、今後ますます、脳心血管病予防に関する包括的リスク管理チャートの活用が求められるようになる。脳心血管病予防に関する包括的リスク管理チャートの対象 厚生労働省による“人生100年時代構想”や高齢者のフレイル・介護問題を受け、今回の改訂でも高齢者の留意点が多く盛り込まれた。健康寿命を伸ばして要介護期間を短くする、つまり“不健康な期間”を短縮することがわれわれの使命、と考える両氏。神崎氏は、「65歳以上になってから努力するのではなく、中年期から努力することが健康寿命を延ばすためには必要。高齢者の場合は生活習慣病を管理しながら、多病に基づくポリファーマシーやサルコペニア/フレイルの発生にも注意する必要がある」とし、寺本氏は「高血圧などの危険因子を持たない段階での予防(0次予防)の患者に啓発することが重要」と、脳心血管病予防に関する包括的リスク管理チャートの対象者について言及。また、寺本氏は「定期的にチェックするために誕生日月に実施するのが有用。その旨を事前に患者に伝えておくと、患者自身も覚えている」と活用時期やその方法についてコメントした。脳心血管病リスクの管理状態の評価ツールとして活用可能 脳心血管病予防に関する包括的リスク管理チャートは、臨床現場で使用しやすいようにStep1~6までの順に従って診断・診療できるように設計されている。また、健康診断などで偶発的に脳心血管病リスクを指摘されて来院する患者を主な対象者とし、既に加療中の患者に対しても、管理状態の評価ツールとして活用可能になるようにも作成されている。 以下に脳心血管病予防に関する包括的リスク管理チャート各Stepにおける留意点を示す。◆Step1:スクリーニングと専門医等への紹介の必要性の判断基準a~cに分類。aでは家族歴や脈拍について重視、bの場合は空腹時血糖の測定が必要になるため、空腹時での来院を求める必要がある。また、アルドステロン症の見落としが散見されるため、この段階でしっかりチェックする必要がある。cでは、各専門医への紹介の必要性がある対象者を明確にしている。また、慢性腎臓病(CKD)の記載方法が変更している。◆Step2:各リスク因子の診断と追加評価項目脳心血管病の各リスク因子の診断と追加評価項目は各学会のガイドラインに準拠。◆Step3:治療開始前に確認すべきリスク因子喫煙リスクがある患者での禁煙指導が重要で、1回/年の確認が鍵となる。また、個々の病態に応じた管理目標について高齢者について加味している点がポイント。◆Step4:リスクと個々の病態に応じた管理目標の設定改訂前はリスク層別にNIPPON DATA80を使用していたが、今回は「吹田スコア」の使用を推奨。脳心血管病予防に関する包括的リスク管理チャートには危険因子を用いた簡易版が載っているので、それを基にリスクスコアを算出することが可能。◆Step5:生活習慣の改善食事摂取量は、日本人の食事摂取基準を参考にし、これまでのkcal重視からBMI重視に変更。身体活動を患者と共有できるよう詳細に記述。◆Step6:薬物療法の紹介と留意点実際の薬物療法については各疾患のガイドラインに従い、導入前には生活習慣の改善を基盤に患者とのコンセンサスを得ることが重要。 脳心血管病予防に関する包括的リスク管理チャートは、5年に1回のタイミングで更新を目指しており、大きな改訂はできなくとも各学会で改訂事項が発表された際には、それらを脳心血管病協議会で話し合い、対策を講じるという。最後に寺本氏は「このような類いの包括的な管理チャートは海外では作成されておらず、世界に一歩先立った活動である」と締めくくった。■「日本人の食事摂取基準」関連記事日本人の食事摂取基準2020年版、フレイルが追加/厚労省

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アパルタミド、転移去勢感受性前立腺がんのPFS、OSを改善/NEJM

 転移を伴う去勢感受性前立腺がんの患者に対し、アンドロゲン除去療法(ADT)+アパルタミド(商品名:アーリーダ)の併用は、ADT単独と比べて2年後の放射線学的無増悪生存率(PFS)および全生存率(OS)は、いずれも有意に改善したことが示された。副作用プロファイルは両群でほとんど異ならなかった。カナダ・BC Cancer and Vancouver Prostate CentreのKim N. Chi氏らが1,052例を対象に行った第III相プラセボ対照無作為化二重盲検試験の結果で、NEJM誌オンライン版5月31日号で発表された。被験者には、局所前立腺がん治療歴やドセタキセル投与歴のある人も含まれていたという。アパルタミドは、経口アンドロゲン受容体シグナル伝達阻害薬で、本邦では5月30日に発売が開始された。ADT+アパルタミドvs.ADT+プラセボでPFSとOSを評価 研究グループは、転移を伴う去勢感受性前立腺がん患者を無作為に2群に分け、ADTに加え、一方にはアパルタミド(240mg/日)を、もう一方にはプラセボを投与した。局所前立腺がん治療歴やドセタキセル治療歴がある患者も許容した。 主要評価項目は、放射線学的PFSおよびOSとした。アパルタミド群は0.67倍 計525例がADT+アパルタミド(アパルタミド群)に、527例がADT+プラセボ(プラセボ群)に割り付けられた。被験者の年齢中央値は68歳。局所前立腺がんの治療として、前立腺摘除または放射線療法を受けていた被験者は16.4%、ドセタキセルの投与を受けていたのは10.7%だった。また、62.7%が高腫瘍量で、37.3%が低腫瘍量だった。 初回中間解析(追跡期間中央値22.7ヵ月)において、24ヵ月時の放射線学的PFSは、プラセボ群47.5%に対しアパルタミド群は68.2%と、有意に高率だった(放射線学的病勢進行または死亡に関するハザード比[HR]:0.48、95%信頼区間[CI]:0.39~0.60、p<0.001)。 また、24ヵ月時のOSも、プラセボ群73.5%に対しアパルタミド群は82.4%と、有意に高率だった(死亡HR:0.67、95%CI:0.51~0.89、p=0.005)。 Grade3または4の有害事象発生率は、アパルタミド群42.2%、プラセボ群40.8%だった。アパルタミド群で最も頻度が高かったのは発疹だった。

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MET阻害薬capmatinibのMETΔex14変異NSCLCに対する効果(GEOMETRY mono1)/ASCO2019

 METエクソン14スキッピング変異(METΔex14)は非小細胞肺がん(NSCLC)の3~4%にみられ、予後不良かつ標準治療に奏効しにくいとされる。capmatinibは最も強力なMET阻害薬である。第II相多施設マルチコホートGEOMETRY mono1試験の中間解析では、治療ラインにかかわらずMETΔex14変異を有する進行NSCLC患者に深い奏効を示した。米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO2019)にて発表された。・対象:StageIIIB/IVのMETΔex14(MET遺伝子増幅/遺伝子コピー数にかかわらない)NSCLC患者。[コホート4]1~2ラインの治療歴を有する患者(n=69)[コホート5b]治療歴のない患者(n=28)・介入:capmatinib(400mg×2/日)・評価項目:[主要評価項目]盲検下独立判定委員会(BIRC)評価による全奏効率(ORR)[副次評価項目]BIRCによる奏効期間(DOR)、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)、安全性 主な結果は以下のとおり。・BIRCによるORRは、コホート4では40.6%(28.9~53.1)、コホート5bでは67.9%(47.6~84.1)であった。・BIRCによるDORは、コホート4では9.72ヵ月(5.55~12.98)、コホート5bでは11.14ヵ月(5.55~NE)であった。・多くの患者(コホート4では82.1%、コホート5bでは68.4%)が投与7週間以内に効果を示した。・脳転移を有した患者13例のうち7例(54%)で奏効を示した。・capmatinibによる全Gradeの治療関連有害事象(TRAE)発現率は84.4%、Grade3~4の発現率は35.4%であり、頻度の高いものは末梢浮腫、悪心、クレアチニン上昇などであった。・TRAEによる投与量調整は21.9%に、治療中止は11.1%にみられた。

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超加工食品の高摂取で死亡リスク増大/BMJ

 超加工食品を1日4サービング以上摂取すると、死亡のハザードが相対的に62%増加し、1日1サービング増えるごとに死亡リスクが18%増加することが、スペイン・ナバラ大学のAnais Rico-Campa氏らの調査で示された。研究の成果はBMJ誌2019年5月29日号に掲載された。既報の成人を対象とした前向きコホート研究により、超加工食品の摂取は、がん、過敏性腸症候群、肥満、高血圧のハザードの上昇と関連することが知られている。約2万例を2年ごとに観察 研究グループは、超加工食品の摂取と全死因死亡の関連を評価する目的で、前向きコホート研究を行った(Instituto de Salud Carlos IIIなどの助成による)。 解析には、スペインの大学卒業生が登録されたSeguimiento Universidad de Navarra(SUN)の1999~2018年のデータを用いた。1999~2014年の期間に、20~91歳の1万9,899例を2年ごとにフォローアップした。食品と飲料の摂取状況を、NOVA分類による加工の程度で分類し、妥当性が確認された136項目の食品頻度質問票を用いて評価した。 主要アウトカムは、4段階の超加工食品の1日摂取量(低[<2サービング/日]、低~中[2~<3サービング/日]、中~高[3~≦4サービング/日]、高[>4サービング/日])で調整したエネルギー消費量と全死因死亡の関連とし、多変量Cox比例ハザードモデルを用いて解析した。加工肉と砂糖入り飲料が最も多い 1万9,899例のうち、女性が1万2,113例、男性は7,786例で、ベースラインの全体の平均年齢は37.6(SD 12.3)歳、フォローアップ期間中央値は10.4年であった。観察人年20万432人年に、335例が死亡した(がん死164例、心血管死71例)。 超加工食品の平均1日摂取量は、低摂取群(4,975例)が1.4(SD 0.8)サービング、低~中摂取群(4,975例)が2.7(0.2)サービング、中~高摂取群(4,975例)が3.5(0.3)サービング、高摂取群(4,974例)は5.3(1.4)サービングであった。 高摂取群は平均BMI(23.8)が高かった。また、高摂取群は低摂取群と比較して、現喫煙者が多く、大学教育レベルが高く(大学院、博士号取得者が多い)、心血管疾患・がん・糖尿病・高血圧・高コレステロール血症・うつ病の家族歴を持つ者が多かった。 高摂取群は低摂取群に比べ、間食や1日3時間以上のテレビ視聴の割合が高く、1日のコンピュータ使用時間や昼寝の時間が長く(座位行動が多い傾向)、総脂肪摂取が多く、タンパク質や炭水化物の摂取は少なかった。高摂取群は他の群に比し、ファストフード、揚げ物、加工肉、砂糖入り飲料の摂取量が多く、野菜、果物、オリーブ油、アルコール飲料、総食物繊維の摂取量が少なかった。超加工食品の摂取量が多くなるほど、地中海食のアドヒアランス・スコア(0~9点、点数が高いほど伝統的地中海食へのアドヒアランスが高い)が低下した。 超加工食品のうち、最も多かったのは加工肉(15%、ハム、ソーセージ、チョリソ、サラミ、モルタデッラ、ハンバーガーを含む)と砂糖入り飲料(15%)で、次いで乳製品(12%、カスタード、アイスクリーム、ミルクシェイク、プチスイスを含む)、フレンチフライ(11%)、ペストリー(10%、マフィン、ドーナツ、クロワッサンや他の非手作りペストリー、菓子類を含む)、クッキー(8%、ビスケット、チョコレートクッキーを含む)の順であった。 超加工食品の高摂取群は低摂取群に比べ、全死因死亡のハザードが62%有意に高く(多変量で補正後のハザード比[HR]:1.62、95%信頼区間[CI]:1.13~2.33)、有意な用量反応関係が認められた(線形傾向のp=0.005)。がん死(1.22、0.70~2.12、p=0.42)および心血管死(2.16、0.92~5.06、p=0.11)には有意差はなかった。また、超加工食品が1サービング増えるごとに、全死因死亡が相対的に18%有意に増加した(補正後HR:1.18、95%CI:1.05~1.33)。 著者は、「超加工食品の摂取を抑制し、製品への課税や売買制限を目標とし、新鮮な最小限の加工食品(地中海食の重要な側面)の摂取を促進することは、世界の公衆衛生の改善において重要な健康施策の一環と考えるべきである」としている。

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BRCA変異膵がんの維持治療におけるオラパリブの効果(POLO)/ASCO2019

 現在なお固形がんの中では最も5年生存率が低いのが膵臓がんであり、また治療薬の選択肢が少ないという厳しい現実が横たわっている。しかし、近年、PARP阻害薬が一部の膵臓がんに有効との報告が相次いでいる。 そうしたPARP阻害薬の1つオラパリブが生殖細胞系BRCA(gBRCA)変異を持つ転移のある膵臓がんの1次治療後の維持療法として無増悪生存期間(PFS)を有意に延長することが明らかになった。米シカゴ大学のHedy L. Kindler 氏らが、gBRCA変異陽性進行膵臓がんの1次治療のプラチナ製剤で増悪しなかった患者での維持療法としてのオラパリブの有効性を検討したプラセボ対照二重盲検無作為化比較第III相POLO試験の結果として米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO2019)で発表した。 同試験の対象は、転移のあるgBRCA変異陽性膵臓がん患者で、1次治療としてプラチナ製剤ベースの化学療法を16週間以上受け、病勢安定(SD)以上だった患者154例。登録患者は1日2回オラパリブ300mg投与群とプラセボ群に3対2で無作為に割り付けられた結果、オラパリブ群が92例、プラセボ群が62例となった。主要評価項目はPFS。副次評価項目は、2次治療までの無増悪生存期間(PFS2)、客観的奏効率(ORR)、健康関連QOL、安全性と忍容性、全生存期間(OS)など。 PFS中央値はオラパリブ群7.4ヵ月、プラセボ群3.8ヵ月で、オラパリブ群で有意な延長が認められた(HR:0.53、95%CI:0.35~0.82、p=0.0038)。データカットオフ日(2019年1月15日)時点でのPFS率はオラパリブ群が32.6%、プラセボ群が19.4%であった。 無作為化からの経過期間とPFS率は、6ヵ月時点でオラパリブ群53%、プラセボ群23%、12ヵ月時点ではそれぞれ34%、15%、18ヵ月時点ではそれぞれ28%、10%、24ヵ月時点ではそれぞれ22%、10%と、オラパリブ群のPFS率は常にプラセボ群の倍以上だった。また、サブグループ解析では1次治療でのSDあるいは奏効にかかわらず、オラパリブ群で良好な傾向だった。 データ成熟度46%時点の中間解析でのOSはオラパリブ群18.9ヵ月、プラセボ群18.1ヵ月(HR:0.91、95%CI:0.56~1.46、p=0.68)。PFS2はオラパリブ群が13.2ヵ月、プラセボ群で9.2ヵ月(HR:0.76、95%CI:0.46~1.23、p=0.26)。 腫瘍径が計測可能だった患者での盲検独立中央評価委員会によるORRはオラパリブ群23.1%、プラセボ群11.5%であった。奏効期間(DOR)中央値はオラパリブ群24.9ヵ月、プラセボ群3.7ヵ月と、オラパリブ群では2年以上継続していた。 有害事象発現頻度は全有害事象でオラパリブ群95.6%、プラセボ群93.3%、Grade3以上はそれぞれ39.6%、23.3%であった。オラパリブ群で目立った副作用は、疲労感、悪心、下痢で、Grade3以上で頻度が多かったのは貧血と疲労感だった。 Kindler氏は今回の結果から「BRCA変異を持つ転移のある膵臓がんの1次治療後の維持療法として、オラパリブは新たな標準治療となるだろう」との見解で締めくくった。

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肝性脳症〔Hepatic encephalopathy〕

1 疾患概要■ 概念・定義意識障害には脳機能障害以外に多くの原因があるが、肝機能低下に伴う意識障害が肝性脳症とされている。肝性脳症は多くの場合、肝硬変や劇症肝炎患者などの肝障害が進行した状況において発生する。傾眠傾向といった軽度のものから、重度の深昏睡に至るまで多様な精神神経症状を来す合併症で、肝不全の特徴的徴候の1つである。顕性肝性脳症の臨床病型は急性型、慢性型、および先天性尿素サイクル異常症など代謝異常に伴う特殊型に大別される。また、顕性の意識障害はないが、精神神経機能検査で異常を認める状態を「ミニマル脳症」と呼ぶ。■ 疫学わが国では数十万人の肝硬変患者が存在するとされており、病状の悪化に伴い、いずれの患者においても肝性脳症を発症しうる。ミニマル脳症については、肝硬変患者の1/3が有しているとの報告もあり、ミニマル脳症患者のうち約20%が半年以内に顕性脳症に移行するとされている。急性型の劇症肝炎の発症数は減少しているものの、肝硬変を基礎疾患として急性増悪を来す“Acute-on chronic liver failure(ACLF)”がアルコールを原因とするものとして近年増加している。■ 病因急性型では劇症肝炎が代表的原因である。先行する慢性肝疾患が存在しない患者において、さまざまな原因により広範な肝細胞壊死を来し肝不全に至る。以前はB型肝炎ウイルスによるものが多かったが、近年は減少傾向にある。最近では肝硬変などの慢性肝疾患が急性増悪して、急激に肝不全症状を呈した場合を“Acute on chronic”と呼ぶことが提唱されている。慢性型では肝硬変によるものが臨床的に最も多い。肝硬変では、門脈大循環短絡路を形成していることが多く、その程度により治療反応性と予後が異なることから、短絡路の評価を行ったうえで治療法を決定する。頻度は高くないものの、先天性尿素サイクル異常症も、念頭において診療に当たることが必要である。アンモニア高値のみを示す成人では、オルニチントランスカルバミラーゼ (OTC)欠損症とシトルリン血症などの可能性が考えられる。■ 症状肝性脳症は、傾眠傾向といった軽度のものから重度の深昏睡に至るまで多様な精神神経症状を来す。わが国で広く使用されている犬山シンポジウムの分類を表1に示す。先に述べたミニマル脳症は、臨床的には診断できないためナンバーコネクション(数字追跡)試験などの精神神経学的テストで判断する。なお、このテストはiPadなどにダウンロードして使用でき、日本肝臓学会のホームページから無料でダウンロードできるようになっている。表1 肝性脳症の犬山分類画像を拡大する■ 分類顕性肝性脳症の臨床病型は急性型、慢性型、および先天性尿素サイクル異常症など代謝異常に伴う特殊型に大別される。また、顕性の意識障害はないが、精神神経機能検査で異常を認める状態をミニマル脳症と呼ぶ(表2)。欧米での肝性脳症の分類を表3に示す。表2 臨床病型分類画像を拡大する表3 欧米における肝性脳症の分類画像を拡大する表3に示したように、肝性脳症は大きく(A)急性型、(B)バイパス型、(C)肝硬変型に分けられる。型別頻度は、急性型28%、慢性型のうち再発型54%、末期昏睡型18%といわれており、初回脳症時の生存率は慢性再発型で76%であるのに対し、末期昏睡型では23%と報告されている。救急外来を受診した意識障害患者において、肝性脳症の頻度は約2%とされており、頻度が高いものではないが常に念頭に置くべき疾患の1つである。急性型では劇症肝炎が代表的原因である。先行する慢性肝疾患が存在しない患者において、さまざまな原因により広範な肝細胞壊死を来し肝不全に至る。以前はB型肝炎ウイルスによるものが多かったが、近年は減少傾向にある。■ 予後肝性脳症が出現した患者の予後は悪いことが知られている。海外の報告では脳症出現後の1年生存率は約35%、2年で30%、3年で20%、5年で15%とされている。慢性型では肝硬変によるものが最も多いが、脳症の出現は予後を悪化させる合併症であり、脳症の出現した肝硬変患者の生存率は30~40%と考えられる。また、ACLFに関しても、脳症出現が重症度分類に加えられていることから、脳症の出現は肝疾患全体に関する予後決定因子の1つと考えられる。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)臨床症状に加えて検体検査、画像検査、精神神経機能検査などを行って総合的に診断する。身体所見としては肝不全に伴う皮膚黄染(黄疸)、浮腫、腹部膨隆(腹水貯留)を認める場合が多い。羽ばたき振戦や、肝性口臭などは急性型、慢性型のいずれにもみられるが、手掌紅斑、くも状血管腫、腹壁静脈怒張などは慢性型を疑う所見となる。ミニマル脳症は臨床的所見による診断が困難である。わが国では顕性脳症の昏睡度分類として主に表1の犬山分類が用いられる。脳症の昏睡度I度は臨床的には判定困難なことが多く、振り返って初めて診断できることも少なくない。II度になると、羽ばたき振戦など診断は比較的容易であるが、羽ばたき振戦は尿毒症や低血糖症でも出現することがあるので鑑別が必要である。1)検体検査肝不全を判定するため、一般肝機能検査、肝予備能(アルブミン、プロトロンビン時間、コリンエステラーゼなど)とともにアンモニア値を測定する。シトルリン血症などの尿素サイクル異常症では、アンモニア以外の肝機能は正常であることが多い。BCAA/AAAモル比(フィッシャー比)の低下を認めるが、最近では簡便な指標としてBCAA/チロシン比であるBTRが用いられることが多い。また、脱水や消化管出血が誘因となっている場合は、BUN(血液尿素窒素)/Cr(血中クレアチニン)比の上昇がみられ、利尿剤使用による低カリウム血症などの電解質異常を認める場合も多い。2)画像検査腹部超音波、CT検査などで慢性肝疾患や脾腫、短絡路の有無などを検索する。また、頭部MRI検査などで中枢神経系の疾患を除外する。深昏睡では脳浮腫の有無も評価する。慢性再発型ではMRI T1強調検査で淡蒼球の高信号が特徴的とされている。3)精神神経機能検査症状に乏しいミニマル脳症を疑う患者に対しては数字追跡試験、WAIS(Wechsler Adult Intelligence Scale)式成人知能検査などによる評価を行う。脳波は三相波が出現し、進行とともに低振幅徐波となっていく。意識障害を伴っている患者の場合、頭部CT、MRI検査や髄液検査などの検査を行い、中枢神経系の疾患を除外することが大切である。さらに、糖尿病性ケトアシドーシスや低血糖症など代謝性疾患の除外のため、血糖、尿中ケトン体、血液ガス検査なども行う。肝性脳症初期の症状は、睡眠パターン変化、人格変化、被刺激性、精神反応の鈍化など軽微で非特異的な症状であり、臨床的診断は困難である。必要に応じて、定量的精神神経機能検査(数字追跡試験、WAIS式成人知能検査など)や電気生理学的神経検査(脳波[三相波がみられる]、大脳誘発電位など)を組み合わせて診断を試みる。アンモニア値が低いからといって肝性昏睡を否定できないことに注意が必要である。逆にアンモニア値が高くても意識障害を認めない症例も多数あるため、肝性脳症の診断には家人を含めた詳細な問診が必要となる。3 治療 (治験中・研究中のものも含む)肝性脳症の治療は、誘因の除去および食事療法による一般療法と薬物療法に分けられる。1)誘因の除去タンパク質の過剰摂取、便秘、下痢などの便通異常、脱水、感染症、利尿剤や睡眠剤、安定剤の過剰投与などは、非代償性肝硬変患者において容易に肝性脳症を誘発するため、普段より生活指導を行うことが重要である。2)食事療法肝性脳症時の食事療法は、低タンパク食(0.4~0.6kg/標準体重)が基本であるが、長期間のタンパク制限は栄養不良を助長し、予後に悪影響を及ぼすことが懸念されるため、漫然と継続しないことに注意する。3)薬物療法アンモニアの生成および吸収抑制のため(1)合成二糖類、(2)難吸収性抗生物質を用いる。(2)に関して、これまではカナマイシンや硫酸ポリミキシンBが使われてきたが、いずれも保険適用外であり、長期投与による聴力障害や腎機能障害を生じるなどの問題があった。2016年に、海外では30年以上前から使用されていたリファキシミン(商品名:リフキシマ)が、肝性脳症に対してわが国でも使用が認可された。海外のガイドラインでは難吸収性抗生物質は、合成二糖類に併用投与が推奨されている。リファキシミンに関しては、長期投与の安全性が認められていることから第1選択薬としての可能性もあり、今後わが国における検証が期待される。亜鉛補充やカルニチン製剤が、単独投与あるいは合成二糖類や分岐鎖アミノ酸(BCAA)製剤との併用投与により高アンモニア血症を改善するとの報告がある。亜鉛補充は、これまで各施設で硫酸亜鉛などを調剤していたが、ウイルソン病治療薬である酢酸亜鉛(同:ノベルジン)が肝疾患の低亜鉛血症に対して適応拡大となった。4 今後の展望最新の認知症ガイドラインにおいて、早期認知症との鑑別すべき疾患の1つとして肝性脳症が挙げられている。最近問題となっている車の運転における逆走などは、ミニマル脳症の患者も同様のハイリスクを有していることから、ミニマル脳症を含めた早期治療介入の重要性が今後注目されると思われる。さらにリファキシミンに関しては、長期投与の安全性が認められていることから、第1選択薬としての可能性もあり、今後わが国における検証が期待される。亜鉛補充やカルニチン製剤が、単独投与あるいは合成二糖類やBCAA製剤との併用投与により高アンモニア血症を改善するとの複数の報告もなされている。肝性脳症を含めて肝硬変領域においては、この数年間で多くの新薬が上市された。2019年には非代償期のC型肝硬変患者に対する直接的抗ウイルス治療薬(DAA)製剤も認可されており、今後肝硬変診療は新たなパラダイムシフトに向かっていくと思われる。5 主たる診療科消化器内科※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報日本消化器病学会ガイドライン閲覧サイト(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)日本肝臓学会肝性脳症診断ツールダウンロード(医療従事者向けのまとまった情報)公開履歴初回2019年6月11日

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がん患者の偶発的肺塞栓症の再発リスクは?

 画像診断技術の進展により、がん患者に偶発的な所見が見つかる割合は高まっており、その治療に関する検討が各種報告されている。オランダ・アムステルダム大学のNoemie Kraaijpoel氏らは、国際共同前向き観察コホート研究において、偶発的な肺塞栓症を有するがん患者で、抗凝固療法を行った場合の再発リスクについて評価した。その結果、治療を行っても静脈血栓塞栓症の再発リスクが懸念されることが示されたという。リスクは、亜区域枝の肺塞栓症患者と、より中枢部の血栓を有する患者で同等であった。がん患者における偶発的な肺塞栓症は、ルーチンの画像検査で最高5%に発見されるという。しかし、とくに遠位血栓に関して、臨床的な関連や最適な治療法は明らかになっていなかった。Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2019年5月22日号掲載の報告。 研究グループは、がん患者で偶然発見された肺塞栓症について、現在の治療戦略と長期予後を評価する目的で、2012年10月22日~2017年12月31日に国際共同前向き観察コホート研究を行った。対象は、任意抽出された、偶発的な肺塞栓症の診断を受けた活動性のがんを有する成人患者であった。 評価項目は、追跡期間12ヵ月における静脈血栓塞栓症の再発、臨床的に著明な出血および全死因死亡で、中央判定で評価した。 主な結果は以下のとおり。・合計695例の患者が解析に組み込まれた。平均年齢66歳、58%が男性で、大腸がん(21%)が最も多く、次いで肺がん(15%)であった。・抗凝固療法は675例(97%)で開始され、うち600例(89%)は低分子ヘパリンが用いられた。・再発性静脈血栓塞栓症41例(12ヵ月累積発生率:6.0%、95%CI:4.4~8.1)、大出血39例(同:5.7%、4.1~7.7)、死亡283例(同:43%、39~46)の発生が認められた。・再発性静脈血栓塞栓症の12ヵ月発生率は、肺塞栓が中枢部の患者で6.0%に対し、亜区域枝の患者では6.4%で、有意差は認められなかった(部分分布のハザード比:1.1、95%CI:0.37~2.9、p=0.93)。

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ペムブロリズマブのNSCLC5年生存、未治療患者で23%(KEYNOTE-001)/ASCO2019

 米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO2019)において、カリフォルニア大学のEdward B. Gron氏が、ペムブロリズマブ単剤治療のマルチコホート第Ib相試験KEYNOTE-001における進行非小細胞肺がん(NSCLC)の5年長期追跡結果を発表した。NSCLCでは未治療および既治療の550例(未治療101例、既治療449例)が対象となっている。 主な結果は以下のとおり。・データカットオフ時100例が生存していた。・60例(未治療患者14例、既治療患者46例)が2年以上ペムブロリズマブの治療を受けていた。・全奏効率は未治療患者41.6%、既治療患者22.9%であった。・奏効持続期間は未治療患者16.8ヵ月、既治療患者38.9ヵ月であった。・5年全生存率(OS)は未治療患者23.2%、既治療患者15.5%であった。・TPS50%以上の5年OSは未治療患者29.6%、既治療患者25.0%であった。・TPS1~49%の5年OSは未治療患者15.7%、既治療患者12.6%であった。・治療関連有害事象(TRAE)発現率は71%、Grade3~5のTRAEは13%、免疫関連有害事象の発現率は17%であった。新たな安全性プロファイルはみられなかった。■参考KEYNOTE-001(Clinical Trials.gov)

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ER陽性乳がん、AKT阻害剤capivasertib+フルベストラントへの期待(FAKTION)/ASCO2019

 エスロトゲン受容体(ER)陽性かつHER2陰性の進行・再発乳がん患者を対象にした、AKT阻害剤capivasertibの二重盲検・プラセボ対照の第II相無作為化比較試験の結果が、米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO2019)で、英国・マンチェスター大学のSacha J. Howell氏より発表された。試験デザイン・対象:閉経後のER陽性かつHER2陰性の進行・再発の乳がん患者で、前治療としてのアロマターゼ阻害薬(AI)が無効となった患者・試験群:capivasertib 400mg×2/日(内服)+フルベストラント500mg(筋注)day1投与(Capi群)・対照群:プラセボ+フルベストラント500mg day1投与(Flu群) 両群とも28日ごと病勢進行や許容できない有害事象の発現があるまで投与・評価項目:[主要評価項目]無増悪生存期間(PFS)「副次評価項目」全生存期間(OS)、奏効率(ORR)、クリニカルベネフィット率、安全性、PI3KCA変異またはPTEN過剰発現患者におけるPFS 主な結果は以下のとおり。・2015年3月~2018年3月に140例が登録され、Capi群に69例、Flu群に71例が無作為に割り付けられた。・全症例を対象としたITT解析ではPFS中央値はCapi群で10.3ヵ月、Flu群で4.8ヵ月であった(HR:0.58、95%CI:0.39~0.84、p=0.004)。・OS中央値はCapi群で26.0ヵ月、Flu群で20.0ヵ月であった(HR:0.59、95%CI:0.34~1.05、p=0.071)。・ORRはCapi群で41%、Flu群で12%であった(p=0.002)。・PI3Kシグナル活性グループ(59例:42%)におけるPFS中央値はCapi群9.5ヵ月、Flu群5.2ヵ月(p=0.064)、PI3Kシグナル非活性グループ(81例:58%)ではCapi群10.3ヵ月、Flu群4.8ヵ月(p=0.035)であった。・Grade3以上の有害事象は、下痢(Capi群14%、Flu群4%)、皮疹(Capi群20%、Flu群0%)、高血糖(Capi群4%、Flu群0%)であった。

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大量の唐辛子で恐ろしい頭痛に【Dr. 倉原の“おどろき”医学論文】第140回

大量の唐辛子で恐ろしい頭痛にいらすとやより使用私は辛い物が大好きで、唐辛子、胡椒などをよく食べます。最近、納豆に粗びき胡椒をかけるのがブームです。論文にして投稿してやろうかと思うくらい、納豆と胡椒って合うんですよ。めちゃくちゃオイシイので、皆さんもぜひ試してみてください。 Boddhula SK, et al.An unusual cause of thunderclap headache after eating the hottest pepper in the world - "The Carolina Reaper".BMJ Case Rep. 2018 Apr 9. doi:10.1136/bcr-2017-224085.特段病歴のない生来健康な34歳の男性が、とんでもない雷鳴頭痛を訴えて救急受診しました。何が原因だろうかと首をかしげていたところ、どうやら直前まで、当時世界で最も辛い唐辛子である「キャロライナ・リーパー」※1を食べる唐辛子コンテストに出場していたそうです。※1 キャロライナ・リーパーは、2013年にギネス世界記録によって世界で最も辛い唐辛子に認定された(ただし、2017年には上回る辛さを持つドランゴンズ・ブレス等が登場している)。彼はものすごい頸部痛を訴えはじめ、それが雷鳴頭痛に発展したそうです。鎮痛薬にも抵抗する耐え難い痛みだったそうです。神経学的な検査ではとくに異常はみられなかったのですが、脳血管造影において部分的に脳血管攣縮が確認され、可逆性脳血管攣縮症候群(reversible cerebral vasoconstriction syndrome:RCVS)と診断されました。RCVSは、発症初期では血管病変が同定されず、MRAを用いても診断できないことが多いとされています。次第に血管が分節状狭窄したり拡張したりするというまれな疾患です。脳血管攣縮は、たとえば出産時のいきみによる虚血・低酸素性刺激や、入浴やサウナなどによる温度変化、血管作動薬の投与によって誘発されることがあります。大量の唐辛子でRCVSになった人はたぶんほとんどいないんじゃないでしょうか…※2。※2 唐辛子による心筋梗塞の報告はあるようです1)。1)Sogut O, et al. Int J Emerg Med. 2012;5:5.

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統合失調症の再入院に対する個別作業療法の効果~2年間のプロスペクティブコホート研究

 信州大学の島田 岳氏らは、統合失調症患者の再入院に対する個別作業療法(IOT)の効果を、集団作業療法(GOT)との比較により検討した。Psychiatry and Clinical Neurosciences誌オンライン版2019年5月11日号の報告。 精神科病院から1年以内に退院した統合失調症患者を対象とし、プロスペクティブコホート研究を実施した。GOT+IOT群およびGOT単独群における再入院までの期間は、カプランマイヤー分析を用いて評価した。再入院に関連する人口統計学的および臨床学的因子の影響は、Cox比例ハザードモデルを用いて評価した。統合失調症患者の再入院リスク軽減に個別作業療法の併用が好影響 統合失調症患者の再入院に対する個別作業療法の効果を評価した結果は以下のとおり。・基準を満たしていた患者は、111例(GOT+IOT群:54例、GOT単独群:57例)であった。・退院から2年間での再入院患者数は、全体で56例(51.376%)であった。その内訳は、GOT+IOT群で16例、GOT単独群で40例であり、GOT+IOT群の再入院率は、有意に低かった。・再入院までの期間は、GOT単独群と比較し、GOT+IOT群で有意に長かった(p<0.001)。・多変量Cox比例ハザードモデルで、再入院と有意な関連が認められた因子は、以下のとおりであった。●作業療法のタイプ(HR:0.543)●服薬アドヒアランス(HR:0.343)●在宅支援者へのアクセス(HR:0.450)●退院時の実行機能(HR:0.740) 著者らは「統合失調症患者の再入院リスクの軽減には、退院時の良好な認知機能や服薬アドヒアランスに加えて、集団作業療法の単独療法と比較し、個別作業療法併用の長期的な好影響が支持された」としている。

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腹部大動脈瘤の長期転帰、開腹手術vs.血管内治療/NEJM

 腹部大動脈瘤患者の長期生存は、血管内治療と開腹手術とで類似しているが、再治療を受けた患者の割合は血管内治療のほうが多いことが、米国・Veterans Affairs(VA) Medical CenterのFrank A. Lederle氏らによる多施設共同無作為化試験「Veterans Affairs(VA) Open versus Endovascular Repair(OVER)試験」の長期追跡の結果、示された。腹部大動脈瘤に対する待機的血管内治療は、従来の開腹手術と比較して周術期死亡率を低下させるが、4年後の生存には差がない。また、欧州で行われたEVAR-1試験およびDREAM試験では、血管内治療のほうが開腹手術よりも再治療が多いなど長期転帰が不良であることが示唆されていたが、10年以上前に実施したOVER試験の長期転帰については報告されていなかった。NEJM誌2019年5月30日号掲載の報告。腹部大動脈瘤患者約880例を無作為化、最長14年間追跡 研究グループは、2002年10月~2008年4月に無症候性腹部大動脈瘤患者881例を、血管内治療群(444例)または開腹手術群(437例)に無作為に割り付け、2016年12月31日まで、最長14年間追跡した。 2011年10月15日までは定期的に追跡調査を行ったが、以降は米国内のデータベースを用いて調査した。 主要評価項目は全死因死亡で、intention-to-treat解析にて評価した。全死因死亡に有意差なし、再治療は血管内治療群で多い 総死亡は、血管内治療群302例(68.0%)、開腹手術群306例(70.0%)であった(ハザード比[HR]:0.96、95%信頼区間[CI]:0.82~1.13)。全死因死亡率は、治療後最初の4年間では血管内治療群のほうが開腹手術群よりも低い傾向がみられたが、4~8年目では開腹手術のほうが低く、8年以降では再び血管内治療群のほうが低かった(8年以降における死亡に関するハザード比:0.94、95%CI:0.74~1.18)。なお、いずれの傾向にも統計学的有意差はなかった。 動脈瘤関連の死亡は、血管内治療群で12例(2.7%)、開腹手術群で16例(3.7%)確認され(群間差:-1.0ポイント、95%CI:-3.3~1.4)、そのほとんどは周術期に発生していた。血管内治療群では動脈瘤破裂が7例(1.6%)、開腹手術群では胸部大動脈瘤破裂が1例(0.2%)確認された(群間差:1.3ポイント、95%CI:0.1~2.6)。慢性閉塞性肺疾患による死亡は、開腹手術群のほうが約50%高頻度であった(血管内治療群5.4% vs.開腹手術群8.2%、群間差:-2.8ポイント、95%CI:-6.2~0.5)。血管内治療群で、再治療を受けた患者が多かった(26.7% vs.19.8%、群間差:6.9ポイント、95%CI:2.0~17.5)。

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若年発症の脳卒中、一般集団と比べた長期死亡リスクは?/JAMA

 オランダにおいて、若年(18~49歳)発症の脳卒中の30日生存者は、一般集団と比較して死亡リスクが最長15年後まで高いままであることが示されたという。オランダ・ラドバウド大学のMerel Sanne Ekker氏らが、若年発症の脳卒中の短期および長期死亡リスク、死亡率の時間的傾向および死因を、年齢、性別、脳卒中サブタイプごとに明らかにすべく行ったレジストリー研究の結果を報告した。脳卒中は、依然として世界における主要死因の第2位であり、全脳卒中のうち約10~15%の発症は若年成人に認められるが、これまで若年発症の脳卒中の予後や死亡に関する情報は限定的であった。JAMA誌オンライン版2019年5月23日号掲載の報告。若年初発の脳卒中患者1万5,527例の死亡率を一般集団と比較 研究グループは、オランダにおいて1998~2010年の期間に初回の脳卒中を発症した18~49歳の脳卒中患者を、2017年1月1日まで追跡調査した。患者とアウトカムについて、オランダ全国民を対象とした病院退院登録(Hospital Discharge Registry)、死因登録(Cause of Death Registry)および人口登録(Dutch Population Register)を用いて、またICD-9およびICD-10でコードされた虚血性脳卒中、脳出血およびその他の脳卒中として特定し解析した。 主要アウトカムは、30日生存者の追跡終了時における累積全死因死亡で、年齢、性別、脳卒中サブタイプで層別化し、Cox比例ハザードモデルなどを用いて一般集団の累積全死亡率と比較した。 解析には1万5,527例(年齢中央値44歳[四分位範囲:38~47]、女性53.3%)が組み込まれた。30日生存者の15年死亡率は17.0% 追跡調査終了時点で、計3,540例(23.2%)が死亡していた。そのうち脳卒中発症後30日以内の死亡が1,776例で、残りの1,764例は追跡期間中央値9.3年(四分位範囲:5.9~13.1)の間に死亡した。 30日生存者の15年死亡率は17.0%であった(95%信頼区間[CI]:16.2~17.9)。一般集団と比較した標準化死亡比(SMR)は、虚血性脳卒中で5.1(95%CI:4.7~5.4)(実死亡率:12.0/1,000人年[95%CI:11.2~12.9/1.000人年]、予定死亡率:2.4/1,000人年、超過死亡率:9.6/1,000人年)、脳出血で8.4(95%CI:7.4~9.3)(実死亡率:18.7/1,000人年[95%CI:16.7~21.0/1,000人年]、予定死亡率:2.2/1,000人年、超過死亡率:16.4/1,000人年)であった。 なお、著者は、脳卒中の重症度や家族歴などの潜在的交絡因子を調整できていないこと、2006年以降は病院退院登録にデータを提供した病院が少なかったことなどを研究の限界として挙げている。

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尿路上皮がん1次治療におけるゲムシタビン・シスプラチン・ベバシズマブ併用療法の結果(CALGB90601)/ASCO2019

 転移のある尿路上皮がん(mUC)を対象にしたゲムシタビン+シスプラチン併用療法にベバシズマブをオン/オフする無作為化プラセボ対照第III相試験(CALGB90601)の結果を、米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO2019)で、米国Memorial Sloan Kettering Cancer CenterのJonathan E. Rosenberg氏が発表した。試験デザイン・対象:前治療歴なしまたは補助療法終了から12ヵ月を超えるmUC患者・試験群:ゲムシタビン1,000mg/m2+シスプラチン70mg/m2+ベバシズマブ15mg/kg(GCB群)、3週間ごと最長6サイクル・対照群:ゲムシタビン1,000mg/m2+シスプラチン70mg/m2+プラセボ(GCP群)、3週間ごと最長6サイクル・評価項目:[主要評価項目]全生存期間(OS)[副次評価項目]無増悪生存期間(PFS)、奏効率(ORR)、Grade3以上の有害事象発現率 主な結果は以下のとおり。・2009年7月~2014年2月の間に506例が登録され、GCB群252例、GCP群254例に割り付けられた。・追跡期間中央値は、46.2ヵ月。・OS中央値はGCB群14.5ヵ月、GCP群14.3ヵ月であった(HR:0.87、95%CI:0.72~1.06、p=0.17)。 ・PFS中央値はGCB群7.7ヵ月、GCP群6.6ヵ月とGCB群で延長が見られた(HR:0.79、95%CI:0.66~0.95、p=0.013)。・ORRはGCB群40.4%、GCP群33.0%と両群間に有意差はなかった(p=0.12)。・Grade3以上の主な有害事象は、血小板減少(GCB群27.0%、GCP群18.1%)、高血圧(GCB群20.3%、GCP群4.7%)、蛋白尿(GCB群5.1%、GCP群0.9%)であった。

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発症後4.5時間超の脳梗塞への血栓溶解療法は有益か?/Lancet

 発症後4.5時間超の虚血性脳卒中またはwake-up脳卒中で救済可能な脳組織を有する患者に対し、アルテプラーゼの投与はプラセボよりも、良好な機能的アウトカムを達成することが示された。症候性脳内出血の発生頻度はアルテプラーゼが有意に高率だったが、著者は「血栓溶解治療のネットベネフィットを打ち消すものではなかった」と述べている。オーストラリア・メルボルン大学のBruce C. V. Campbell氏らが、システマティック・レビューとメタ解析を行い明らかにし、Lancet誌オンライン版2019年5月22日号で発表した。現行ではアルテプラーゼによる脳卒中の血栓溶解療法は、発症後0~4.5時間と推奨されている。3ヵ月時点の最良の機能的アウトカムを評価 研究グループの本検討における目的は、発症後4.5時間超の症候性脳卒中または起床時症候性脳卒中の患者で血栓溶解治療によりベネフィットを得られる救済可能な脳組織を有する患者を、灌流画像検査により特定できるかどうかを調べることだった。 2006年1月1日~2019年3月1日に英語で発表された無作為化試験結果をPubmedで検索し、個別患者データを用いてシステマティック・レビューとメタ解析を行った。また、血栓溶解療法に関する既報のシステマティック・レビューの引用文献の再評価や、虚血性脳卒中に関する介入試験についてClinicalTrials.govの検索も行った。 解析の包含適格基準は、発症後4.5時間超の虚血性脳卒中またはwake-up脳卒中で、灌流・拡散MRIまたはCT灌流画像検査を受けた18歳以上の患者を包含する、アルテプラーゼvs.プラセボの比較試験とした。 主要アウトカムは、ベースライン時の年齢と臨床的重症度で補正後の、3ヵ月時点の最良の機能的アウトカム(修正Rankinスケール[mRS]スコアが0~1)とした。安全性のアウトカムは、死亡と症候性脳内出血だった。 ベースライン時の年齢とNIH脳卒中スケール(NIHSS)スコアで補正し、混合効果ロジスティック回帰モデルを用いてオッズ比(OR)を算出し評価した。症候性脳内出血リスクはアルテプラーゼ群で10倍に 適格試験として、「EXTEND」「ECASS4-EXTEND」「EPITHET」の3試験が特定された。3試験には合計414例が参加しており、アルテプラーゼ群には213例(51%)、プラセボ群は201例(49%)が割り付けられていた。そのうち3ヵ月時点のmRS評価データを有していたのは、それぞれ211例、199例だった。 3ヵ月時点における最良の機能的アウトカムを達成していたのは、アルテプラーゼ群76/211例(36%)、プラセボ群58/199例(29%)だった(補正後OR:1.86、95%信頼区間[CI]:1.15~2.99、p=0.011)。 症候性脳内出血の発生患者数は、アルテプラーゼ群がプラセボ群よりも有意に多かったが(10/213例[5%]vs.1/201例[1%未満]、補正後OR:9.7、95%CI:1.23~76.55、p=0.031)、死亡患者数は両群間で有意差はなかった(29/213例[14%]vs.18/201例[9%]、補正後OR:1.55、95%CI:0.81~2.96、p=0.19)。

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第15回 いい油を使おう~身近にある油とその特徴~【実践型!食事指導スライド】

第15回 いい油を使おう~身近にある油とその特徴~医療者向けワンポイント解説脂質は三大栄養素のひとつであり、体内で重要な働きをしています。また、油脂の種類や酸化の状態によっても、カラダに対する影響が異なります。今回は、日常でよく使われる植物油の種類と特徴についてまとめました。油の働き脂質は、9kcal/gと、三大栄養素の中では一番効率的にカロリーを補給できる栄養素です。そのため、「太る」という印象を持っている方が多くいますが、脂質の働きはそれ以外にもあります。細胞膜やホルモンなどの材料になるほか、脂溶性ビタミン(A、D、E、K)の吸収を助ける働きもあります。脂肪酸の種類によっては、コレステロールバランスの改善、血流改善、炎症予防などの働きもあります。また、胃への滞在時間が長く、消化に時間がかかるため、油脂を入れた食事のほうが、腹持ちが良く 、便通の改善効果に期待できます。油脂の取り過ぎは肥満を招く要因にもなりますが、いい油を適量摂取することは、カラダを健康に保つための重要なポイントになります。1)キャノーラ油原料はアブラナ(菜の花)の種子。ナタネ油とも呼ばれ、世界でも生産量が多い植物油。透明で無臭のため、いろいろな料理に活用ができ、日本でも一番使われている。人体に悪影響を及ぼすエルカ酸やグルコシノレートが多く含まれていたが、最近では、オレイン酸を多く含むハイオレイックタイプなどが増えている。2)ゴマ油原料はゴマの種子。オレイン酸とリノール酸をそれぞれ40%程度含む。強い抗酸化物質セサミンを含んでいる。焙煎したゴマを使い、精製しないのが茶色のゴマ油。焙煎せずに精製した透明のゴマ油もある。日本では、中華料理、天ぷらなどに用いることが多い。3)ヒマワリ油原料はヒマワリの種子。品種改良されたハイオレイックタイプ(オレイン酸75〜85%)などが流通している。サンフラワーオイルとも呼ばれ、似たような名称のサフラワーオイルと混同しがちだが、サフラワーはベニバナ油をさす。4)エキストラバージンオリーブオイルオリーブの実を絞っただけのものをエキストラバージンオリーブオイルという。精製したオリーブオイルにエキストラバージンオリーブオイルを加え、加工した油をピュアオイルという。オレイン酸を主体とし、酸化に強くコレステロール改善効果が期待できる。独特の風味や色、香りを持ち、ミネラルやポリフェノールを豊富に含む。和食、イタリアン、フランスパンなどと相性が良い。5)グレープシードオイル原料はぶどうの種子。オリーブオイルと混同されがちだが、オレイン酸は20%、リノール酸が70%の割合。ビタミンEがオリーブオイルの2倍以上含まれている。グリーンの天然色素には、ポリフェノールが豊富。クセがなく和食や卵料理にも相性が良い。6)ココナッツオイル原料はココナッツ。ほかの植物油と違い、消化の早い中鎖脂肪酸が含まれ、エネルギーに変換しやすいと話題になった。メインの脂肪酸は肉などに多く含まれる飽和脂肪酸である。また、1gあたりのカロリーは、ほかのものと同じ9kcal。独特の風味があり、カレー、コーヒーやお菓子などと相性が良い。7)エゴマ油原料はシソ科エゴマの種子。体内でDHAやEPAに変換されるオメガ3系脂肪酸を多く含む。血流改善や炎症予防などに効果が期待できる。酸化に弱く加熱調理不可。開封後は早めに使うことが必須。

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軽症喘息の増悪予防、SABA vs.ブデソニド+ホルモテロール頓用/NEJM

 軽症喘息の成人患者では、ブデソニド+ホルモテロールの頓用はalbuterol(日本ではサルブタモールと呼ばれる)頓用に比べ喘息増悪の予防に優れることが、ニュージーランド・Medical Research Institute of New ZealandのRichard Beasley氏らが行った「Novel START試験」で示された。研究の詳細はNEJM誌2019年5月23日号に掲載された。これまでの二重盲検プラセボ対照比較試験で、ブデソニド+ホルモテロール頓用は、短時間作用性β2刺激薬(SABA)の頓用に比べ、重度の喘息増悪のリスクが低く、ブデソニド維持療法+SABA頓用とほぼ同じと報告されていた。3群で年間喘息増悪発生率を比較 本研究は、ニュージーランド、英国、イタリア、オーストラリアの16施設が参加した52週間の非盲検無作為化対照比較試験であり、2016年3月~2017年8月に患者登録が行われた(AstraZenecaなどの助成による)。 対象は、年齢18~75歳、登録前の3ヵ月間に単独の喘息治療としてSABAを使用し、患者報告で2回以上のSABA使用があるが、直近4週間の1日平均使用回数が2回以下の喘息患者であった。 被験者は、次の3つの群の1つに無作為に割り付けられた。(1)albuterol群:加圧噴霧式定量吸入器で、1回100μgを2吸入、発作時に頓用、(2)ブデソニド維持療法群:ブデソニド(タービュヘイラーで1吸入200μgを1日2回)+albuterol頓用、(3)ブデソニド+ホルモテロール群:タービュヘイラーで、ブデソニド200μgとホルモテロール6μg(1吸入)を頓用。薬剤の使用量の測定には、吸入器の電子モニタリングを用いた。 主要アウトカムは、喘息増悪の年間発生率であった。重度の喘息増悪の回数も有意に少ない 668例が登録され、albuterol群に223例(平均年齢35.8±14.0歳、女性50.7%)、ブデソニド維持療法群に225例(34.9±14.3歳、57.3%)、ブデソニド+ホルモテロール群には220例(36±14.1歳、55.5%)が割り付けられた。 ベースラインの過去1週間のACQ-5(0~6点、点数が高いほど喘息コントロールが不良)の平均値は1.1点(軽症喘息)で、患者の7.3%で過去1年間に重度の喘息増悪がみられ、54%で過去4週間のSABA使用が週2回以下であった。 ブデソニド+ホルモテロール群の年間喘息増悪発生率は、albuterol群よりも有意に低く(絶対的発生率:0.195 vs.0.400、相対的発生率:0.49、95%信頼区間[CI]:0.33~0.72、p<0.001)、ブデソニド維持療法群とは発生率に有意差はなかった(絶対的発生率:ブデソニド+ホルモテロール群0.195 vs.ブデソニド維持療法群0.175、相対的発生率:1.12、95%CI:0.70~1.79、p=0.65)。 重度の喘息増悪の回数は、ブデソニド+ホルモテロール群がalbuterol群(9回 vs.23回、相対リスク:0.40、95%CI:0.18~0.86)およびブデソニド維持療法群(9回 vs.21回、0.44、0.20~0.96)に比べ、有意に少なかった。 吸入ブデソニドの平均(±SD)使用量は、ブデソニド+ホルモテロール群が107±109μg/日、ブデソニド維持療法群は222±113μg/日であった。 有害事象の発生率と種類は、先行試験および実臨床での使用報告と一致していた。最も頻度の高い有害事象は、3群とも上気道感染症で、次いで鼻咽頭炎、喘息の順だった。 著者は、「この知見は、患者が喘息の増悪に気付いた状況で、吸入グルココルチコイドを気管支拡張薬との併用で頓用することで、患者が緊急治療を求めるほどに増悪が重症化するリスクを低減する可能性を示唆する」とし、「ブデソニド維持療法は、喘息症状のコントロールに優れるため、増悪よりもむしろ症状を最大の苦痛とする患者にとって価値があると考えられる」と指摘している。

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