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再発・難治性多発性骨髄腫への新たな二重特異性抗体トアルクエタマブのベネフィット、隔週投与も可能/J&J

 再発・難治性の多発性骨髄腫に対する新たな治療薬として二重特異性抗体トアルクエタマブ(遺伝子組換え)(商品名:タービー皮下注)が8月14日に発売されたことを受け、9月5日にJohnson & Johnson(日本における医療用医薬品事業の法人名:ヤンセンファーマ)による記者説明会が開催され、岩手医科大学の伊藤 薫樹氏が本剤の効果や有害事象の特徴、ベネフィットを紹介した。既発売の二重特異性抗体とは異なる標的、隔週投与も可能 トアルクエタマブは、多発性骨髄腫細胞表面に高発現するGPRC5D(Gタンパク質共役型受容体ファミリーCグループ5メンバーD)およびT細胞表面に発現するCD3を標的とする二重特異性抗体である。すでに発売されている二重特異性抗体にはエルラナタマブとテクリスタマブがあるが、どちらもBCMA(B細胞成熟抗原)とCD3を標的としている。効能・効果は、再発または難治性の多発性骨髄腫で、免疫調節薬・プロテアソーム阻害薬・高CD38モノクローナル抗体製剤を含む3つ以上の標準的な治療が無効、または治療後に再発した患者が適応となる。継続投与期における投与方法は、0.4mg/kg週1回投与と0.8mg/kg隔週1回投与の2つの方法がある。 本剤の国際共同第I/II相MMY1001試験の第II相パートは、T細胞ダイレクト療法(CAR-T細胞療法、二重特異性抗体など)による前治療歴のない患者を対象とし、2つの投与方法に分けて評価された。主要評価項目の全奏効率(ORR)はコホートA(0.4mg/kg週1回)が74.6%、日本人コホート(0.4mg/kg週1回)が77.8%、コホートC(0.8mg/kg隔週1回)が72.5%であった。欧州におけるLocoMMotion試験(3つの標準的な治療後に再発した患者に対して、残っている他の薬剤で治療)での奏効率が約30%であったのに対し、どのコホートも2倍以上の奏効率であり、伊藤氏は「非常に効果が高いという印象」という。さらに、完全奏効もコホートAで33.6%、日本人コホートで47.2%と高く、寛解期間が長い「深い」奏効が得られることが明らかになった。特徴的な有害事象は、味覚障害、皮膚障害、爪の障害 本試験で、最も多かった有害事象はサイトカイン放出症候群で、全Gradeでは75~78%に発現したがGrade3以上は少なく、伊藤氏は「しっかり管理をすれば多くの患者が問題なく治療継続できる」という。本剤の特徴的な有害事象は、味覚障害、皮膚障害、爪の障害の3つで、治療を長期間継続するために、投与前にこれらの有害事象が発現することを伝え、対処法を指導しながら投与するなどのマネージメントが必要だと述べた。 感染症は、全Gradeで64.0%、Grade3以上で18.6%と、BCMAを標的とするエルラナタマブとテクリスタマブに比べて低い。伊藤氏はこの理由として、BCMAは正常のB細胞にも発現するため、BCMAを標的とする薬剤は正常のB細胞も駆逐し液性免疫不全が発生することが比較的多いが、トアルクエタマブが標的とするGPRC5DはB細胞での発現が非常に少ないことから、感染症をコントロールしやすいと考えられる、と説明した。このような副作用プロファイルの違いから、感染症を起こしやすい患者にはトアルクエタマブ、味覚障害に敏感で、食事を摂れないことでQOLの大幅な低下が想定される患者にはBCMAを標的とする薬剤を先に使用する、といった使い分けが考えられるという。トアルクエタマブのベネフィットと今後の開発への期待 トアルクエタマブのベネフィットとして伊藤氏は、3つの標準的な治療に抵抗性となった患者に有効なこと、CAR-T細胞療法と異なりタイムラグがなくさまざまな地域で使用できること、CAR-T細胞療法の適応とならない高齢者や臓器障害がある患者にも使用できることを挙げ、さらに、0.4mg/kg毎週投与以外に通院回数を減らせる0.8mg/kg隔週投与が可能なこと、BCMA標的治療(CAR-T療法、二重特異性抗体、抗体薬物複合体)実施後に再発した場合にも使用可能なことを挙げた。最後に、現在は単剤で承認されているが、抗原の異なる薬剤との併用や従来の免疫調節薬やダラツムマブとの併用など、他剤との併用療法の開発が進んでおり、より高い有効性を期待できる治療法が開発されることに期待を示し、講演を終えた。

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高齢やフレイルのCLL患者、アカラブルチニブ単剤で高い奏効率(CLL-Frail)/Blood

 80歳以上の高齢やフレイルの慢性リンパ性白血病(CLL)患者を対象とした前向きのCLL-Frail試験の結果、アカラブルチニブ単剤治療により高い奏効率とフレイルの改善が認められた。また、予期しない安全性シグナルはみられず、重篤な有害事象はほとんどが感染症であったという。ドイツ・ケルン大学のFlorian Simon氏らがBlood誌オンライン版2025年9月4日号に報告した。 CLL-Frail試験は、German CLL Study Groupによる医師主導国際多施設共同第II相試験である。本試験の対象は、ECOG PSが3以下で、80歳以上および/またはフレイルスケールスコアによりフレイルとみなされたCLL患者で、1ラインまで前治療が認められた。主要評価項目は6サイクル治療後の全奏効率(ORR)で、ORR≦65%とする帰無仮説を検証した。 主な結果は以下のとおり。・登録された53例中34例が治療継続中で、早期中止の最も多かった理由は有害事象(10例)で5例が死亡した。年齢中央値は81歳、47.2%がフレイルであった。・3サイクル以上治療を受けた46例のORRは93.5%(95%信頼区間:82.1~98.6)であり、主要評価項目を達成した(p<0.001)。・追跡期間中央値19ヵ月で、推定12ヵ月無増悪生存率および全生存率はそれぞれ93.3%、95.7%であった。・53.5%の患者がフレイルの改善を自己申告した。・全例に有害事象が認められ、重篤な有害事象(CTCAE 3以上)が63.5%で発現したが、重篤な出血イベントは認められず、心房細動はまれ(CTCAE 2/3が2例)であった。死亡した5例中4例は治療中または治療後28日以内に死亡し、うち3例は感染症/COVID-19が原因だった。 著者らは、「慎重な患者選択と意思決定の共有が不可欠ではあるが、この試験における高い奏効率とフレイルの改善は、これまで十分な治療効果が認められていなかったこの年齢層でのアカラブルチニブによるブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)阻害の顕著な有効性と実行可能性を強調している」と結論した。

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逆ハローサイン(Reversed halo sign)【1分間で学べる感染症】第33回

画像を拡大するTake home message免疫不全患者に逆ハローサインが見られた場合は、ムーコル症(Mucormycosis)の頻度が高い一方で、感染性・非感染性ともに多岐にわたる鑑別疾患が存在する。はじめに逆ハローサイン(Reversed halo sign)とは、限局性のすりガラス陰影(GGO:ground-glass opacity)の円形領域が、三日月状または完全な輪状の浸潤影に囲まれている画像所見を指します。画像を拡大するCTで認められるこの特徴的な陰影は、特定の病原体による肺感染症や、さまざまな非感染性疾患の一徴候として現れることがあり、画像を基に適切な鑑別と初期対応ができるかが診療の成否を左右します。感染性疾患逆ハローサインを示す感染症の中で最も重要なのは、ムーコル症(Mucormycosis)です。とくに血液悪性腫瘍や造血幹細胞移植後などの免疫不全状態にある患者では典型的な所見の1つとされ、迅速な抗真菌治療および外科的デブリードマンが必要となる場合があります。そのほかの感染症としては、侵襲性アスペルギルス症、肺炎球菌性肺炎(改善期に一過性に出現することがある)、オウム病(Chlamydia psittaciを病原体とする)、レジオネラ肺炎、結核、ニューモシスチス肺炎(Pneumocystis jiroveciiを病原体とする)、およびヒストプラズマ症などの二相性感染症が含まれます。これらの病原体は、患者の基礎疾患や曝露歴、免疫状態によって鑑別順位が変動するため、全身状態やリスク評価に基づいたアプローチが必要です。非感染性疾患逆ハローサインを示す非感染性の疾患としては、多発血管炎性肉芽腫症(GPA、旧ウェゲナー肉芽腫症)や好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA)などの壊死性血管炎が重要です。これらは肺病変をきっかけに診断に至ることも多く、逆ハローサインが初発の手掛かりとなることがあります。そのほかにもサルコイドーシス、皮膚筋炎に伴う肺病変、肺線維症や肺腺がん、リンパ腫様肉芽腫症、特発性器質化肺炎(COP)、肺塞栓症など、炎症性や腫瘍性、血行障害に基づく病変も含まれます。これらは感染症とは異なる治療戦略が必要となるため、鑑別の誤りが予後に直結する可能性もあります。逆ハローサインを見た際には、「感染性か非感染性か」「免疫状態はどうか」「急性か慢性か」「全身に病変があるか」といった観点から診断アプローチを組み立てることが重要です。このように、逆ハローサインは、幅広い鑑別疾患が原因となって生じる重要なサインです。免疫不全者ではムーコル症を念頭に置きつつ、ほかの感染症や血管炎性疾患も見逃さぬよう、全体像を評価しながら診断を進めることが求められます。1)Georgiadou SP, et al. Clin Infect Dis. 2011;52:1144-1155.2)Godoy MC, et al. Br J Radiol. 2012;85:1226-1235.3)Maturu VN, et al. Respir Care. 2014;59:1440-1449.

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dalbavancinは複雑性黄色ブドウ球菌菌血症の新たな選択肢か?―DOTSランダム化臨床試験から―(解説:栗山哲氏)

本研究は何が新しいか? 黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)の菌血症は、病態の多様性や重篤度からの治療の長期化などからランダム化臨床試験(RCT)が少なく、推奨される治療に関して明確な世界的コンセンサスは得られていない(Holland TL, et al. JAMA. 2014;312:1330-1341.)。DOTS試験は、複雑性黄色ブドウ球菌菌血症の患者に対して、リポグリコペプチド系抗生物質・dalbavancinの有効性と安全性を従来の標準治療と比較した初めてのRCTである(Turner NA, et al. JAMA. 2025;13:e2512543.)。本剤は、わが国では未承認薬である。本研究の背景 黄色ブドウ球菌は、皮膚膿瘍など表皮感染症や食中毒、また菌血症、肺炎、心内膜炎、骨髄炎など致命的疾患の起炎菌となるグラム陽性球菌である。黄色ブドウ球菌は、病原性が強く、抗菌薬耐性発現頻度が高く、最も危険な病原体の1つとされる。とくに、菌血症は、発症1年以内の死亡率が30%にも達する。治療に関しては、菌血症に対しては診断確定後、非複雑性菌血症の場合でも少なくても2週間の点滴静注(IV)、複雑性菌血症の場合は4週間以上のIV治療が必要となる。 さらに複雑性黄色ブドウ球菌菌血症では、血液培養が陰性化し発熱もなく全身状態が安定し緩解しても、短期間の治療では化膿性脊椎炎などの遠隔感染巣の治療が不十分となり、再燃のリスクが高くなる。DOTS試験は、複雑性ブドウ球菌菌血症の初期治療によって緩解期に入った患者を対象に組まれたRCTである。dalbavancinは、終末半減期は14日(血中半減期は204時間)ときわめて長時間作用型で、投与も1週おきに2回のIVで完結するため、外来での対応が可能である。 また、抗菌スペクトラムとしては、MRSA、MSSA、化膿レンサ球菌、グループBレンサ球菌、バンコマイシン感受性Enterococcus faecalisなどへ強い殺菌活性が期待できる。DOTS試験の方法と結果 複雑性黄色ブドウ球菌菌血症に対して初期抗菌薬治療開始し、3日以上で10日以内に血液培養の陰性化と解熱を達成した患者を対象とした。ただし、中枢神経感染症、免疫不全例、重症例などの病態は除外された。初期抗菌薬治療後、対象患者をdalbavancin群(第1病日と第8病日の2回IV)と標準治療群(MSSA:セファゾリンか抗ブドウ球菌ペニシリン系、MRSA:バンコマイシンかダプトマイシン)に無作為に割り付けて有効性と安全性を評価したオープンラベル評価者盲検RCTである。 対象は、各治療群100例で平均年齢56歳である。試験期間は2021〜23年、参加施設は米国22施設+カナダ1施設。主要評価項目は、70日目のDOOR(Desirability of Outcome Ranking:治癒率、死亡率、合併症や安全性、QOLなどアウトカムの望ましさの順位)、副次評価項目は臨床効果と安全性である。 登録後の入院期間は、dalbavancin治療群で3日間(四分位範囲:2~7日)、標準治療群で4日間(2~8日)であった。その結果、dalbavancinは主要評価項目で標準治療に比較して、優越性の基準を満たさなかった。副次評価項目では、臨床的有用性はdalbavancin群で73%、標準治療群で72%と非劣性であった。安全性の面では、重篤な有害事象の発生率は、dalbavancin群40%、標準治療群34%と前者でやや多かった。 以上、DOTS試験のまとめとして、dalbavancinは複雑性黄色ブドウ球菌菌血症において、標準療法に比較し優越性は確認されなかった。黄色ブドウ球菌菌血症治療とdalbavancinの将来的位置付け 本邦で承認されると仮定して、感染症への実地医療の事情が異なるわが国においてDOTS試験をどう取り入れるかは興味深い。通常、菌血症と診断とされた場合、初期治療は入院加療であるが、初期治療後の外来治療は、基幹病院、かかりつけ医、往診医などが受け持つ。実際、DOTS試験では、登録割り付け後のdalbavancin治療のための入院期間は、3~4日間と短い。わが国においても、初期治療後の追加治療の実践には、感染症専門医と外来治療医との病診連携システムの充実が必須である。 本研究での重要なポイントは、複雑性ブドウ球菌菌血症が初期治療で緩解し、その後にdalbavancinが投与されていることであり、そこでdalbavancin群と標準治療群で再燃に有意な差が認められなかった。このことは、外来治療が中心になるであろう追加治療において、dalbavancinを選択することは一定の評価は得られる。 ただし、DOTS試験の問題点としては、その効果は非劣性の枠を超えておらず、対象患者が限定的(重症例や免疫不全例など除外されている)、有害事象が多めであること、平均年齢56歳であり高齢者には外挿しにくいこと、さらには腎排泄型抗生物質であり腎障害のリスクへの言及がない、などがあり、これらは解決されるべきであろう。 一方、dalbavancinのメリットとして、抗菌スペクトラムが広く、半減期がきわめて長いため2回のIV(第1病日と第8病日)で治療完了であることは注目される。この特徴のため、確実な治療アドヒアランスが担保され、治療中断例は少なくなり完遂率は高まる。さらに、留置型IVアクセスが不要である点から、カテーテル感染や血栓症は大幅に回避される。 医療経済面では、dalbavancinの薬価は高いが、入院期間短縮や外来治療で解消される可能性、カテーテル関連費用軽減など医療対費用効果でのメリットも想定される。 いずれにせよ、(仮に承認されるとして)わが国におけるdalbavancin治療には、薬理学的評価、医療システム、医療経済など多くの検討が必要である。

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福井大学医学部 病態制御医学内科学第一講座(附属病院血液・腫瘍内科)【大学医局紹介~がん診療編】

山内 高弘 氏(教授)今村 善宣 氏(助教)山内 英暉 氏(医員)講座の基本情報教室の取り組みと特徴当科は、昭和55年福井医科大学内科学第一講座として開講以来40年以上にわたり抗腫瘍薬の基礎研究・臨床研究を専門とする全国でもまれな内科です。基礎的には、抗腫瘍薬の臨床薬理と薬剤耐性を研究テーマとしています。臨床的には、たくさんの臨床試験や治験を行っていますが、患者さんの診療を第一として地域医療を守ります。学内・学外の先生方との連携を重視し、がん薬物療法のメッカとして「がんを薬でなおそう」を目標に、基礎理論とエビデンスに基づいた合理的で最先端の診療を実践しています。教室の目標は、「楽しく、仲良く、全力で!」 をモットーに、教室の発展と教室員一人ひとりの夢の実現を両立させることであります。自由な雰囲気の中で若い先生方が実力を伸ばしていくことができる教室です。力を入れている治療/研究テーマ当科では、早期治験からJCOG大規模第III相試験まで多段階の臨床試験を広く展開しています。また、抗がん薬耐性機序の解明やTLS発症リスク因子の同定を目指す基礎・トランスレーショナル研究も並行して推進中です。加えて、高齢がん患者を対象としたリアルワールドデータ解析や、造血器腫瘍パネル検査に向けた骨髄クロットのプレアナリティカル解析など、研究テーマは多岐にわたり、医局員一人ひとりの関心・適性に応じた自主的な研究活動を支援しています。医学生/初期研修医へのメッセージ福井という地方の特性を活かし、患者さんとの距離が近い環境で診療と研究に主体的に参加できます。多職種カンファレンスや研究企画会議では、若手のアイディアが尊重され、教授や先輩医師からの直接指導を受けながら実務経験を積める機会が豊富です。地域連携プロジェクトにも早期から関わることで、がん診療の専門性と総合的な医療力を同時に磨けます。地方だからこそ得られる深い学びと手応えを、ぜひ一緒に味わいましょう。Uターン・Iターンも大歓迎です!これまでの経歴2016年3月に福井大学を卒業後、4月から福井大学医学部附属病院で初期研修を行いました。血液・腫瘍内科をローテートした際に、化学療法や移植によって一貫して内科で悪性腫瘍を治療できる点に惹かれ、2018年4月に血液・腫瘍内科に入局しました。2019年4月からは関連病院で専門研修を行いました。いずれの施設でも血液疾患、一般内科の診療について指導医の先生方から手厚い御指導をいただき2021年に内科専門医、2023年に血液専門医を取得しました。2023年4月から福井大学医学部附属病院に戻り、大学院に入学し抗がん薬について基礎研究を行っています。同医局を選んだ理由当院は県内唯一の移植認定施設であり、化学療法から同種造血幹細胞移植まで一貫して経験できます。治験も多数行っており、最新の治療に触れることができます。また、時間外や休日はオンコール制であり、福井県でメリハリをつけて働きながら血液・腫瘍内科として経験を積むのによい環境と考えました。また、医局の雰囲気や診療スタイルも自分の性質に合っていると感じ入局を決めました。実際、内科医・血液内科医として非常に充実した専門研修をさせていただいたと感じています。まずは、ぜひお気軽に見学にお越しください!福井大学医学部 病態制御医学内科学第一講座(附属病院血液・腫瘍内科)住所〒910-1193 福井県吉田郡永平寺松岡下合月23-3問い合わせ先tyamauch@u-fukui.ac.jp医局ホームページ福井大学医学部附属病院 血液・腫瘍内科福井大学医学部 病態制御医学内科学第一講座専門医取得実績のある学会日本内科学会、日本血液学会、日本臨床腫瘍学会、日本造血・免疫細胞療法学会、日本輸血・細胞治療学会、日本老年医学会、日本プライマリ・ケア学会、日本痛風・尿酸核酸学会研修プログラムの特徴(1)当科は基礎的には長年にわたり抗腫瘍薬の基礎的検討を行い、臨床的には多くの臨床試験・治験を行ってきました。当科での研修でがん薬物療法の基礎を固めることができます。さらに発展的に、薬剤耐性克服を基礎的に検討したり、最先端の新規治療薬による治療を経験することができます。(2)北陸三県の中でも当科の造血細胞移植件数は多く、移植治療をしっかりと身に付けることができます。(3)日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医・指導医が4名おります。福井県での専門医11名のうち9名が当科出身者で、うち5名が当教室内にいます。固形がんも含め高いレベルのがん薬物療法を学ぶことができます。(4)腫瘍崩壊症候群、制吐療法、がん関連静脈血栓塞栓症といったがん関連有害事象についても掘り下げた研究を行っています。がん患者さんの包括的診療を学ぶことができます。

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脱毛に関する誤解と恐怖は化学療法の忌避につながる

 抗がん薬による治療(化学療法)で皮膚や髪、爪に生じ得る副作用について多くの人が誤解しており、そのような副作用に対する恐怖が治療の忌避や遅延につながり得ることが、新たな研究で示された。米ジョージ・ワシントン大学皮膚科分野のAdam Friedman氏らによるこの研究結果は、「Journal of Drugs in Dermatology(JDD)」8月号に掲載された。 この研究では、ワシントンD.C.の中で最も医療サービスが不足している南東部において開催された2つの健康フェアへの参加者を対象に調査が行われ、回答が得られた77人のデータが分析された。これらの参加者の大半(88.3%)は女性で、年齢は45〜54歳、黒人が71.5%を占めていた。 その結果、化学療法を受けると半分以上のケースで脱毛が起きると考えている人は、対象者全体では52%、がん治療歴のある人では31%に上ることが明らかになった。同様に、皮膚の乾燥/発疹については全体の47%とがん治療歴のある人の50%、爪の変化については41%と31%が、半分以上のケースで生じると考えていた。また、参加者が「治療をおそらく/絶対に受けない」理由とした副作用は、永続的な脱毛(全体:33%、がんの治療歴あり:13%)、一時的な眉毛/まつ毛の脱毛(27%、13%)、および永続的な爪の変色(24%、13%)であった。さらに、がんの治療歴を有していた参加者の半数は、治療中に皮膚科医の診察を受けていなかった。 Friedman氏は、「これらの研究結果は、恐怖と誤解がいかに大きな影響力を持つかを示している。患者が十分な情報に基づいた選択を行えるよう、より良い教育と支援が必要だ」と述べている。  研究グループによると、これまでの研究に基づくと、化学療法中に脱毛を経験するがん患者は、分子標的療法で14.7%、標準的な化学療法で52.1%であるという。しかし本研究から、脱毛に対する恐怖から、がんに罹患したことのない多くの人が治療に消極的であることが示された。 Friedman氏らは、「がんの治療歴を有する人も含めて最大3分の1の人が、さまざまな皮膚の副作用を理由に、仮に化学療法が必要になったとしてもそれを拒否すると回答していたことを考えると、この知識ギャップに対処することは極めて重要だ」と結論付けている。

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「苦しいのは仕方がない」という患者さん【非専門医のための緩和ケアTips】第106回

「苦しいのは仕方がない」という患者さん私たち医療者は、臨床を通じ、さまざまな患者さんと関わります。今回は私がかつて経験し、対応に悩んだ状況を振り返ってみようと思います。今回の質問訪問診療で関わる多発性骨髄腫の患者さん。骨病変による痛みが強いのですが鎮痛薬の使用を拒否します。理由を尋ねると「苦しいのは自分に与えられた試練だから、薬でごまかすことはしたくない」と言います。そうした考えも認めつつ、やはり痛みは緩和したく、苦しく感じます。「苦痛を緩和する」ことの大切さを重視して緩和ケアを実践しているわれわれにとって、考えさせられる状況です。私がかつて担当した、このケースに似た患者さんの場合、診療拒否などはなく、感謝の言葉も口にするのですが、身体症状を和らげる提案に対しては「それは遠慮します」と反応をします。理由を尋ねると、「神に与えられたものだから」と宗教観に基づく返答がありました。私たちはこのような患者さんに対し、どのように対応すれば良いのでしょうか。私自身、今でも明確な答えは持ち合わせていませんが、基本的なスタンスをまとめてみたいと思います。まずは、「私たちも、基本的には患者さんの意向を尊重したい」との考えを明確に伝えます。医療者の推奨に同意しない患者さんに対応する際、大切なのは「対立構造にしない」ことです。推奨に従わない患者に対し、ネガティブな感情を抱く医療者もいるでしょう。患者は医療者のそうした感情を敏感に感じ取り、「自分の気持ちをわかってもらえない」と考えます。そのため、まずは「推奨に応じても応じなくても、あなたは大切な患者であり、あなたの意思を尊重する」と伝えるのです。一方で苦痛が強いというのは、見守る家族にはもちろん、医療者にもつらいことです。そのことも率直に伝え、「なんとか苦痛が和らぐ方法がないか、諦めずに考えていく」とお伝えします。具体的な言葉として、「苦痛との向き合い方は人それぞれだと思います。だから無理に鎮痛薬を飲まなくても大丈夫ですよ。ただ、すごくつらそうに見える時には、やはり薬の調整について、お声掛けさせてもらえませんか? 苦しそうな様子を見ているのは私自身もつらいので…」といったお声掛けをしました。ただ、私が経験した患者さんは、それでも「先生にそうして心配をかけるのも申し訳ないので、私のことでつらく感じないでください」と言い、最期まで鎮痛薬は使用しませんでした。今でも、「あの時どう対応すべきだったか」「この患者さんが本質的に大切にしていたことは何か」など、十分に理解できていないところがあります。緩和ケアの実践では、さまざまな価値観や想いに触れることがあります。自分なりに振り返り、時にはほかのスタッフとディスカッションして、できることに取り組みながら、関わることを諦めない態度を持ち続けることが大切なのだと思います。今回のTips今回のTips患者の意向を尊重しながら、関わることを諦めない態度が重要。

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白血病治療薬が高リスク骨髄異形成症候群にも効果を発揮

 最近承認された白血病治療薬が、致命的な骨髄疾患と診断された一部の患者にも有効である可能性が、パイロット試験で示された。骨髄異形成症候群(MDS)患者の約5人に3人が、米食品医薬品局(FDA)が2022年に、急性骨髄性白血病(AML)患者向けに承認したオルタシデニブ(商品名レズリディア)による治療に反応を示したという。米マイアミ大学シルベスター総合がんセンター白血病部門主任のJustin Watts氏らによるこの研究結果は、「Blood Advances」に7月16日掲載された。 オルタシデニブは、腫瘍の発生に関与する変異型イソクエン酸脱水素酵素1(IDH1)を選択的に阻害する薬である。FDAは、IDH1遺伝子変異陽性の再発または難治性AML成人患者に対してオルタシデニブを承認している。Watts氏らによると、AML患者の約10%にIDH1遺伝子変異が見られるという。しかし、この変異はMDS患者の約3〜5%にも見られるため、同氏らは、オルタシデニブがこの疾患の治療においても有効なのではないかと考えた。 米国がん協会(ACS)によると、前白血病またはくすぶり型白血病とも呼ばれるMDSは、骨髄内の造血細胞に異常が生じて血球が正常に成熟できなくなって発症し、貧血や感染症、出血傾向、免疫機能の低下などが生じる。MDSはAMLへ進行することが多いという。 Watts氏らは、IDH1遺伝子変異陽性で中等度から極めて高リスクのMDS患者22人(年齢中央値74歳、男性59%)を対象に、オルタシデニブの単剤療法と、AMLやMDSに対する標準的な抗がん薬であるアザシチジンとの併用療法の有効性を検討した。対象者のうち6人が単剤療法(再発/難治性4人、初回治療2人)、16人が併用療法(再発/難治性11人、初回治療5人)を受けた。 その結果、全奏効率(ORR)は全体で59%(完全寛解率27%〔6/22人〕、骨髄における完全寛解率32%〔7/22人〕)、治療に対する反応の評価が可能だった19人では68%(完全寛解率32%〔6/19人〕、骨髄における完全寛解率37%〔7/19人〕)であった。治療法別のORRは、単剤療法群で33%(2/6人)、併用療法群で69%(11/16人)であった。奏効に至るまでの期間(TTR)は中央値2カ月、奏効期間(DOR)は中央値14.6カ月、全生存期間(OS)は中央値27.2カ月であった。さらに、ベースライン時に輸血依存だった患者のうち、62%が赤血球輸血非依存(56日間)に、67%が血小板輸血非依存に到達したことも示された。 Watts氏は、「非常に高リスクのMDS患者集団において、奏効率だけでなく、血球数の改善、DORの延長、OSの改善など、実に注目すべき成果が得られた」とマイアミ大学のニュースリリースで述べている。また、研究グループは、「以前の研究では治療抵抗性MDS患者の生存期間は6カ月未満だったことを考えると、本研究結果は心強い」と述べている。 研究グループによると、この研究結果はすでに治療基準の変更につながっており、国立総合がんセンターネットワークのガイドラインにおいて、IDH1遺伝子変異陽性のMDS患者に対してオルタシデニブによる治療が推奨されている。研究グループは現在、どのAML患者とMDS患者がオルタシデニブに長期的に反応する可能性があるかを検討しているところだという。

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アカラブルチニブ、マントル細胞リンパ腫に承認取得/AZ

 アストラゼネカは、アカラブルチニブマレイン酸塩水和物(商品名:カルケンス錠100mg)について、「マントル細胞リンパ腫」を効能又は効果として、2025年8月25日付で厚生労働省より承認を取得したことを発表した。本承認は国際共同第III相ECHO試験の結果などに基づくもので、米国、EU、ほか数ヵ国でマントル細胞リンパ腫(MCL)に承認されている。 第III相ECHO試験は、65歳以上の未治療MCL患者を対象とし、アカラブルチニブとベンダムスチンおよびリツキシマブとの併用療法群と標準治療である免疫化学療法群を比較した試験で、アカラブルチニブ併用療法群が病勢進行または死亡のリスクを27%低減したことが示唆された(ハザード比:0.73、95%信頼区間[CI]:0.57~0.94、p=0.016)。また、無増悪生存期間(PFS)の中央値は、免疫化学療法単独群の49.6ヵ月に対し、アカラブルチニブ併用療法群で66.4ヵ月であった。 再発/難治性のMCLに対しては、海外第II相非盲検単群試験であるACE-LY-004試験、および国内第I相試験(D8220C00001試験)の結果に基づいている。ACE-LY-004試験では、標準的な免疫化学療法後に再発または難治性を示したMCL患者において、アカラブルチニブ単剤療法による全奏効率(ORR)が81.5%(95%CI:73.5~87.9)、完全奏効率が47.6%(同:38.5~56.7)であった。また、D8220C00001試験では、日本人の進行期B細胞性腫瘍の成人患者に対して、アカラブルチニブ単剤療法によりMCLコホートでORRが61.5%(同:31.6~86.1)であった。<本承認により追加された「効能又は効果」と「用法及び用量」>●効能又は効果:マントル細胞リンパ腫●用法及び用量:〈マントル細胞リンパ腫〉・未治療の場合ベンダムスチン塩酸塩及びリツキシマブ(遺伝子組換え)との併用において、通常、成人にはアカラブルチニブとして1回100mgを1日2回経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する。・再発又は難治性の場合通常、成人にはアカラブルチニブとして1回100mgを1日2回経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する。

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第257回 新型コロナ感染9週連続増加 変異株「ニンバス」拡大、百日咳も同時流行/厚労省

<先週の動き> 1.新型コロナ感染9週連続増加 変異株「ニンバス」拡大、百日咳も同時流行/厚労省 2.消化器外科医、2040年に約5,000人不足 がん手術継続に黄信号/厚労省 3.医療ネグレクト対応、緊急時の同意なし医療に法的責任問わず/こども家庭庁 4.往診5年で4割増 高齢者中心に需要拡大も過剰提供を懸念/厚労省 5.末期がん患者に未承認治療3千件超 都内クリニックに措置命令/厚労省 6.がん治療後の肝炎再活性化で患者死亡、情報共有不足が背景に/神戸市 1.新型コロナ感染9週連続増加 変異株「ニンバス」拡大、百日咳も同時流行/厚労省新型コロナウイルスの感染者が全国的に増加している。厚生労働省によると、8月11~17日に約3,000の定点医療機関から報告された感染者数は2万2,288人で、1医療機関当たり6.3人となり、9週連続で前週を上回り、入院患者も1,904人と増加した。例年、夏と冬に流行のピークがあり、今年もお盆や夏休みの人の移動を背景に感染拡大が続いている。流行の中心はオミクロン株の派生型「NB.1.8.1」で、俗称「ニンバス」と呼ばれる株。国立健康危機管理研究機構によれば20日時点で国内検出の28%を占め、同系統を含めると全体の8割以上になる。感染力は従来株よりやや強いが、重症化リスクは大きく変わらないとされている。症状は、発熱や咳に加え「カミソリを飲み込んだような強い喉の痛み」が特徴で、筋肉痛や関節痛を伴う例も報告されている。ワクチンは重症化予防に有効と考えられており、WHOも監視下の変異株に指定している。都道府県別では、宮崎が最多の14.7人、鹿児島12.6人、埼玉11.5人と続き、東京や大阪など大都市圏では比較的低水準に止まっている。厚労省は「手洗いや咳エチケット、エアコン使用時の換気など基本的な感染対策を徹底してほしい」と呼びかけている。新学期開始で人の動きが再び活発化する9月中旬ごろまで増加が続く可能性が指摘される。一方、百日咳も同時流行しており、8月10日までの週に3,211人が報告され、年初からの累計は6万4千人超となった。子供を中心に長引く咳を呈し、乳児では重症化するリスクが高い。国内外で増加傾向にあり、厚労省は原因を分析中。コロナと百日咳が並行して拡大する中、専門家は体調不良時には早めに医療機関を受診し、感染拡大防止に努めるよう求めている。 参考 1) 変異ウイルス「NB.1.8.1」“感染力やや強い”(NHK) 2) 新型コロナ感染者、全国平均で9週続けて増加 例年夏に流行 厚労省(朝日新聞) 3) “カミソリをのみ込んだような強烈な喉の痛み” 新型コロナ「ニンバス」感染拡大 百日せきも流行続く(読売テレビ) 2.消化器外科医、2040年に約5,000人不足 がん手術継続に黄信号/厚労省厚生労働省の「がん診療提供体制のあり方に関する検討会」は、2040年にがん手術を担う消化器外科医が約5,000人不足するとの推計をまとめた。需要側では初回手術を受ける患者数が2025年の約46万5千人から40年には約44万人へ微減する一方、供給側の減少が急速に進む。外科医の約7割を占める消化器外科では、日本消化器外科学会の所属医師(65歳以下)が25年の約1万5,200人から40年に約9,200人へ39%減少し、需給ギャップは5,200人規模に拡大すると見込まれている。背景には若手医師の敬遠がある。消化器外科は10時間を超える食道がん手術や夜間・休日の救急対応など負担が大きい一方、給与水準は他科と大差がない。修練期間も長く、労働と報酬のバランスが「割に合わない」とされ、2002年から20年間で医師数は2割減少した。他方、麻酔科や内科は増加しており、診療科間での偏在が深刻化している。こうした現状に、学会や大学病院は人材確保策を模索する。北里大学は複数医師で患者を担当し、緊急時の呼び出しを減らし、富山大学は長時間手術の交代制を導入、広島大学は若手の年俸を1.3倍に引き上げた。学会は拠点病院への人材集約により休暇確保や経験蓄積を両立させたい考えを示している。報告書はまた、放射線治療では、装置の維持が難しくなる可能性や、薬物療法では地域格差が生じやすい点にも言及。今後は都道府県単位で医療機関の集約化やアクセス確保を検討し、効率的な医療提供体制を整える必要があるとしている。高齢化が進み85歳以上のがん患者は、25年比で45%増えると見込まれる中、医師不足は治療継続に直接影響し得る。厚労省は、就労環境や待遇改善に報酬面での配慮を進め、がん医療の持続可能性確保に向けた施策を急いでいる。 参考 1) 2040年を見据えたがん医療提供体制の均てん化・集約化に関するとりまとめ(厚労省) 2) がん手術担う消化器外科医、2040年に5000人不足 厚労省まとめ(毎日新聞) 3) 消化器外科医の不足深刻…厳しい勤務で若手敬遠、「胃や腸のがん患者の命に関わる」学会に危機感(読売新聞) 4) 消化器外科医「5,000人不足」 がん診療「病院集約を」厚労省検討会、40年推計(日経新聞) 3.医療ネグレクト対応、緊急時の同意なし医療に法的責任問わず/こども家庭庁こども家庭庁は8月、保護者の思想や信条を理由に子供に必要な医療を拒否される「医療ネグレクト」について、緊急時に医療機関が保護者の同意なく治療を実施した場合でも、刑法や民法上の責任は基本的に問われないと定め、7日付の事務連絡で明示するとともに、法務省とも協議済みとしている。救命手術などで同意が得られなくても「社会的に正当と認められる医療行為」であれば刑事責任は生じず、急迫の危害を避ける行為であれば悪意や重大な過失がない限り、民事責任も免れると解説している。背景には医療現場からの実態報告がある。こども家庭庁が救命救急センターを有する88医療機関を対象に行った調査では、2022年4月~24年9月までに24機関から計40件の医療ネグレクト事例が報告された(回答施設の3割弱に相当)。多くの事例では保護者への説明を尽くし同意を得る努力が行われたが、同意取得が不可能または時間的猶予がない場合、医療機関の判断で治療が行われていた。調査では対応の工夫として「児童相談所と事例を共有」が75%、「日頃から顔の見える関係作り」が59%と挙げられた。一方で、児相との「切迫度認識の差」や「帰宅可否を巡る判断の齟齬」など課題も指摘された。児相のノウハウ不足を補うため、具体的事例や対応方法を管内で共有することの重要性も強調されている。こども家庭庁は、平時からの地域ネットワーク構築や事例共有を通じ、迅速かつ適切な対応体制の整備を自治体に要請。現場の医師にとっても、緊急時に同意がなくとも治療に踏み切れる法的整理は大きな後押しとなるが、児相との連携強化や判断基準の共有が今後の課題となる。 参考 1) 令和6年度子ども・子育て支援等推進調査研究事業の報告書の内容及びそれを踏まえた取組(こども家庭庁) 2) 緊急時の保護者同意ない医療「法的責任負わず」こども家庭庁(MEDIFAX) 3) 救命救急センターの3割弱で医療ネグレクトの報告 思想などに起因する事例、22年4月-24年9月に40件(CB news) 4) 令和6年度 保護者の思想信条等に起因する医療ネグレクトに関する調査研究報告書(三菱UFJ) 4.往診5年で4割増 高齢者中心に需要拡大も過剰提供を懸念/厚労省厚生労働省の統計によると、医師が自宅を訪ねる往診が過去5年で1.4倍に増加した。2024年は月27万5,001回と前年比11.2%増で、とくに75歳以上の高齢者が利用の8割を占め、前年比19.6%増の23万件超となった。在宅高齢者の急変時対応や有料老人ホームなどでの需要が増え、夜間・休日対応を外部委託する医療機関の広がりが背景とみられる。一方、コロナ禍では15歳未満の往診が急増。外来受診制限や往診報酬の特例引き上げにより、2023年には月1万7,000件を超えた。深夜の乳幼児往診では1回5万円弱の報酬が得られるケースもあり、自治体の小児医療無償化と相まって都市部で利用が拡大した。しかし、2024年度の報酬改定で特例は縮小され、15歳未満の往診は63.8%減少した。往診の拡大は救急搬送の抑制につながる利点がある一方、診療報酬目的で必要性の低い往診を増やす事業者がいるとの指摘もある。厚労省もこの問題を把握しており、必要に応じて中央社会保険医療協議会(中医協)で、在宅医療報酬の見直しを議論する考えを示している。訪問診療は計画的に実施される在宅医療の柱で、2024年は月208万回、患者数110万人。これに対し往診を受けた患者は約20万人に止まる。往診の増加が高齢社会に不可欠な在宅医療の充実につながるのか、それとも過剰提供の温床となるのか、制度の在り方が問われている。 参考 1) 令和6年社会医療診療行為別統計の概況(厚労省) 2) 医師の往診5年で4割増 高齢者の利用拡大、過剰提供の懸念も(日経新聞) 5.末期がん患者に未承認治療3千件超 都内クリニックに措置命令/厚労省厚生労働省と環境省は8月22日、東京都渋谷区の「北青山D.CLINIC」(阿保 義久院長)に対し、カルタヘナ法に基づく措置命令を出した。自由診療に対する同法の命令は初めて。同院は2009年以降、末期がん患者らに「CDC6shRNA治療」と称する遺伝子治療を提供してきたが、必要な承認を得ていなかった。治療には遺伝子を組み込んだレンチウイルスが用いられ、製剤は院長が中国から個人輸入していた。これまでに3千件以上行われたが、有効性や安全性は科学的に確認されていない。患者への同意文書では「がん細胞に特異的に発生するCDC6というたんぱくを消去する遺伝子を投与する」と説明されていた。両省は製剤の不活化・廃棄と再発防止策の報告を命じた。現時点で健康被害や外部漏洩は確認されていないという。クリニックは6月以降治療を中止しており、今後は法に基づき申請するとしている。厚労省によると、自由診療での遺伝子治療は、科学的根拠が不十分なまま患者が全額自費で受けるケースが国内で広がっている。昨年の法改正で「再生医療等安全性確保法」の対象にも加わったが、今回の事例は十数年にわたり違法状態が続いていたことを示している。厚労省は今後、医療機関に法令順守の徹底を求めている。 参考 1) 「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律」に基づく措置命令について(厚労省) 2) 未承認「がん遺伝子治療」に措置命令 カルタヘナ法、自由診療で初(毎日新聞) 3) がん自由診療に措置命令 都内クリニック手続き怠り(東京新聞) 4) がんに対する自由診療の遺伝子治療めぐり、厚労省などが措置命令(朝日新聞) 6.がん治療後の肝炎再活性化で患者死亡、情報共有不足が背景に/神戸市8月21日、神戸市立西神戸医療センターは、70代男性患者が医療事故で死亡したと発表した。男性は2023年10月に悪性リンパ腫と診断され、B型肝炎ウイルスを保有していることを自ら申告していた。化学療法にはB型肝炎ウイルスを再活性化させる作用を持つ薬が含まれるため、予防目的で核酸アナログ製剤が併用処方されていた。しかし、2024年に悪性リンパ腫が完全寛解した後、担当医が患者のB型肝炎感染を失念し、薬の処方を中止。継続されていたウイルス量の検査でも増加傾向を見落とし、2025年1月に男性は急性肝炎を発症し、入院から18日後に死亡した。男性の担当医は免疫血液内科の医師で、B型肝炎治療を専門とする消化器内科ではなかった。事故後、病院は消化器内科以外の医師が核酸アナログ製剤を処方できない仕組みを導入するなど再発防止策を取っている。北垣 一院長は会見で「重大な結果を招いたことは大変残念で、深く反省している」と謝罪、遺族にも経緯を説明し、理解を得たとしている。B型肝炎の再活性化をめぐっては、化学療法や免疫抑制療法の患者における発症リスクが広く知られており、定期的な検査と予防的投薬の継続が学会ガイドラインでも推奨されている。今回の事故は、がん治療後も必要な薬の中止と検査結果の見落としが重なり、致死的転帰を招いた典型例となった。同様の事故は他施設でも発生しており、今年5月には名古屋大学医学部附属病院で、リウマチ治療を受けていた70代女性が検査不備によりB型肝炎再活性化で死亡していたことが公表されている。専門家は、複数診療科にまたがる患者管理における情報共有とチェック体制の徹底が再発防止に不可欠だと指摘している。 参考 1) B型肝炎ウイルス感染を失念、投薬を誤って中止し患者死亡…西神戸医療センターが遺族に謝罪(読売新聞) 2) 薬剤処方を誤って中止、患者死亡 神戸の市立病院が謝罪(共同通信) 3) 「担当医が患者の申告を失念」 70代男性が急性肝炎で死亡 神戸(朝日新聞)

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再発・難治性多発性骨髄腫、CAR-Tへのブリッジングとしてのトアルクエタマブの可能性/Blood

 再発・難治性多発性骨髄腫に対するBCMAを標的としたCAR-T療法へのブリッジング療法として、二重特異性抗体であるトアルクエタマブの有用性を多施設後ろ向き解析で評価した結果、実行可能で安全かつ効果的であることが示唆された。米国・ウィスコンシン医科大学のBinod Dhakal氏らがBlood誌オンライン版2025年8月1日号で報告。 BCMAを標的としたシルタカブタゲン オートルユーセル(cilta-cel)とイデカブタゲン ビクルユーセル(ide-cel)は再発・難治性多発性骨髄腫に有効だが、製造に6~8週間かかることや、最大10%に病勢進行または死亡のリスクがあることから、効果的なブリッジング戦略が必要となる。その選択肢の1つであるトアルクエタマブについて評価するため、20施設(米国18施設、ドイツ2施設)において後ろ向き解析を実施した。 主な結果は以下のとおり。・トアルクエタマブを投与された134例中119例がCAR-T治療に進んだ(cilta-cel:98例、ide-cel:21例)。進まなかった理由は、病勢進行(7例)、製造失敗(6例)、患者の意思(2例)などであった。・患者の年齢中央値は65歳、前治療歴は中央値で5ラインであった。高リスクの細胞遺伝学的所見は44%、髄外病変は41%に認められた。85%がCARTITUDE-1試験/KarMMa試験の適格基準を満たしていなかった。・トアルクエタマブの投与日数中央値は23日間(82%が0.8mg/kg隔週投与)、奏効率は71%であった。毒性は管理可能であり、Grade3以上のサイトカイン放出症候群(CRS)はみられず、Grade3の免疫細胞関連神経毒性症候群(ICANS)が2%、Grade1~2のトアルクエタマブ特有の毒性(味覚70%、皮膚38%、爪17%、60%は消失)が認められた。・CAR-T後の奏効率は88%(完全奏効54%)で、毒性はGrade3以上のCRSが2例、Grade3のICANSが1例、Grade3以上の感染症が5%に認められた。また、2例に顔面神経麻痺、1例に急性骨髄性白血病が発現した。・トアルクエタマブは持続的な可溶性BCMA低下と14日目前後のCAR-T増殖のピークと関連した。 著者らは「トアルクエタマブによるブリッジングは安全であり、治療が困難な患者の大多数がBCMA標的CAR-T療法に進むことが可能」としている。

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がん免疫療法の効果に自己抗体が影響か

 がんに対する免疫チェックポイント阻害薬(CPI)を用いた治療は、一部の患者では非常に高い効果を示す一方でほとんど効果が得られない患者もおり、その理由は不明である。しかし、その解明につながる可能性のある知見が得られたとする研究結果が報告された。患者自身の自己抗体(自分の細胞や組織の成分を標的として産生される抗体)が、CPIに対する反応に極めて大きな影響を及ぼしている可能性のあることが示されたという。米フレッド・ハッチンソンがんセンターの免疫療法学科長であるAaron Ring氏らによるこの研究結果は、「Nature」に7月23日掲載された。 Ring氏は、「われわれの研究は、体内で自然に産生される自己抗体が腫瘍を縮小させる可能性を劇的に高め得ることを示している。自己抗体によって患者がCPIに反応する確率が5~10倍も高まるケースがいくつか確認された」と同センターのニュースリリースで述べている。 CPIは、メラノーマや特定の種類の肺がんを含む幅広いがんの治療に革命をもたらしたが、全ての患者がこれらの薬剤に反応するわけではない。そこでRing氏らは今回、CPIによる治療を受けたがん患者374人と健康な対照者131人から採取した血液サンプルを用い、Rapid Extracellular Antigen Profiling(REAP)法によって、6,172種類の細胞外および分泌タンパク質に対する自己抗体の結合パターンを調べた。Ring氏は、「長年、自己抗体は自己免疫疾患の原因となる悪玉と見なされてきた。しかし近年では、体内に備わった強力な治療薬として作用する可能性も明らかにされつつある。われわれの研究室では、自己抗体のこのような薬理作用を解明し、これらの天然分子をがんなどの疾患に対する新たな治療薬として応用することを目指している」と話す。 その結果、がん患者の血液では、健康な人に比べて自己抗体のレベルが著しく高いことが示された。また、特定の自己抗体が患者の予後改善と関連していることも判明した。例えば、サイトカインの一種であるインターフェロン(IFN)のシグナル伝達を遮断する自己抗体は、CPIによる抗腫瘍効果の改善と関連していた。この知見は、IFNが多過ぎると免疫系が疲弊し、CPIによる治療効果が制限される可能性があることを意味すると研究グループは説明している。 Ring氏は、「一部の患者では、免疫系が自ら併用薬を作り出したかのようだ。その自己抗体がIFNを中和することでCPIの効果を増強している。この発見は、全ての患者に対し、IFNのシグナル伝達経路を意図的に調節する併用療法を考案するための明確な指針となるだろう」と述べている。 一方で、いくつかの自己抗体は患者の予後悪化と関連していた。これは、がんと闘うために不可欠な免疫系の重要な経路を自己抗体が阻害するためだと考えられた。研究グループは、「こうした自己抗体を排除したり、その作用を打ち消したりする方法を見つけることでCPIの有効性を高められる可能性がある」と述べている。 Ring氏は、「これはまだ始まりに過ぎない。現在われわれは、他のがんや治療法にも対象を広げ、自己抗体を活用あるいは回避することで、より多くの患者に免疫療法を届けられるよう取り組んでいるところだ」と話している。

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高齢者がん診療で悩ましいこと【高齢者がん治療 虎の巻】第1回

講師紹介(1)「何歳まで治療すべきか」に明確な答えはあるのか?<今回のPoint>「何歳まで治療すべきか」に明確な答えはない高齢者は臨床試験で過小評価されており、エビデンスの外にいることが多い構造化された意思決定プロセスはSDMの質を高める<症例>88歳、女性。進行肺がんと診断され、本人は『できることがあるなら治療したい』と希望している。既往に高血圧症、糖尿病と軽度の認知機能低下があり、パフォーマンスステータス(Performance Status:PS)は1〜2。診察には娘が同席し、『年齢的にも無理はさせたくない。でも本人が治療を望んでいるなら…』と戸惑いを見せる。遺伝子変異検査ではドライバー変異なし、PD-L1発現25%。cancer silver tsunamiが到達する前に解決すべき課題標準的な薬物療法を勧めるべきか、毒性の少ない治療にとどめるべきか。あるいは支持療法を中心とした方針とするか――。どの選択肢にも正解・不正解があるわけではなく、医師としての判断が問われる場面です。しかも、こうしたケースは珍しくありません。むしろ、今、多くの医師が、日々の診療の中で「何歳まで治療をすべきか?」という問いと向き合っているのではないでしょうか。日本は世界有数の長寿国であり、すでに65歳以上の人口割合(高齢化率)は世界最高水準に達しています。2023年時点でその割合は29.1%、2050年には37.1%に上ると推計されており1)、今後も高齢化のさらなる進行が見込まれます。がんは高齢化とともに増加する代表的な疾患であり、都市部を除く多くの地域で「高齢のがん患者が当たり前」という時代がすでに到来しています。現場の臨床医は、いわば“cancer silver tsunami”への対応を迫られているのが現状です。各種がんの診療ガイドラインでは、「暦年齢のみを理由に治療を控えるべきではない」と明記されており、患者の身体的・認知的背景や併存疾患、フレイルの有無などを総合的に判断することが求められています2,3)。たとえば大腸がんの診療ガイドラインでは、年齢にかかわらず適応となる(fit)/問題がある(vulnerable)/適応とならない(frail)の層別化を行うための評価フローも提示されています(図1)4)。(図1)一次治療の方針を決定する際のプロセス画像を拡大するとはいえ、実際の臨床では「何歳まで手術や薬物療法を提案すべきか」「治療リスクはどう見積もるのか」といった問いに、明確に答えてくれるガイドラインはほとんどありません。さらに、薬物療法を選択するとしても、レジメンの選定・投与量・期間の調整など、悩ましい判断は尽きません。臨床試験データは“選ばれし高齢者”のものこの難しさの背景には、高齢者が臨床試験で過小評価されている現実があります。多くのpivotal studyでは年齢制限は設けられていないものの、実際に登録される高齢者は非常に少数に留まっています。米国では65歳以上のがん罹患率は全体の約42%を占めますが、FDA登録試験で高齢者の登録割合は24%、NCI主導試験では10%未満に過ぎないと報告されています5)。たとえ高齢者に限定した第III相試験が行われたとしても、登録されるのは臓器機能が良好でPSも問題ない“選ばれた高齢者”です。つまり、目の前の患者が試験対象者と同じかどうか判断するための“物差し”が、われわれの手元にも臨床試験報告の中にも存在しない、という現実があるのです。米国・National Comprehensive Cancer Network(NCCN)の高齢者がん診療ガイドラインでは、治療を始めるにあたっての意思決定プロセスがフローチャートで示されており、その中でShared Decision-Making(SDM)の重要性が段階的に整理されています(図2)。(図2)意思決定プロセスのフローチャート画像を拡大する多くの臨床医は、日々の診療の中で個々の患者に応じた判断を経験的に行っていると思われますが、このような構造化されたプロセスを意識的に辿ることで、GA(Geriatric Assessment)の実施や、その結果の解釈にも自然とつながっていきます。そしてそれは、最終的にSDMの質を高めることにも寄与するはずです。とくに、治療開始前(あるいは診断時点)から「治療の目標」と「患者の価値観」をすり合わせておくことは、がん診療における極めて重要なステップです。私自身の経験からも、たとえ緩和的治療であっても、患者が「治る」と期待していたことで、医師との間で治療のゴールに齟齬が生じるケースを数多く見てきました。本連載では、高齢者がん診療における実際の“悩みどころ”を共有しながら、そのヒントや手がかりをお届けしていきます。次回は「高齢者がん診療のキホン」として、治療開始前の評価、とくにGAの実践方法について取り上げる予定です。高齢者機能評価(GA)とは高齢がん患者においては、暦年齢やPerformance Status(PS)だけでは捉えきれない身体的・精神的・社会的な多様性が、治療の選択や予後に大きく影響する。高齢者機能評価(GA:Geriatric Assessment)は、身体機能、認知機能、併存疾患、栄養状態、社会的支援などを多面的に把握するツールであり、がん治療に伴うリスクの評価や治療方針の決定に活用される。老年医学の領域で用いられるCGA(Comprehensive Geriatric Assessment)は、医師・看護師・リハビリスタッフなど多職種による包括的介入を前提とし、継続的な評価を通じてケアプランを策定することを目的とする。一方、がん領域におけるGAは、薬物療法開始前に脆弱性をスクリーニングし、治療強度の調整や必要な介入を検討する「意思決定支援のツール」として位置付けられる。近年では、GAの実施とそれに基づく介入が患者に利益をもたらすことを示す無作為化比較試験(RCT)の結果が多数報告され、国内外のガイドラインにおいても、高齢者のがん薬物療法前にGAを実施することが強く推奨されている。さらに、短時間で実施可能な簡易GAツールの普及や、iPadなどを活用した電子化も進み、臨床現場での実践が広がりつつある。1)内閣府:令和6年版高齢社会白書(全体版)2)日本肺癌学会編. 肺癌診療ガイドライン2024年版 ver.1.1. 2024.3)日本乳癌学会編. 乳癌診療ガイドライン2022年版. 金原出版. 2022.4)大腸癌研究会編. 大腸癌治療ガイドライン 医師用 2024年版. 金原出版. 2024.5)Sedrak MS et al, CA Cancer J Clin. 2021;71:78-92.6)NCCN Clinical Practice Guidelines in Oncology (NCCN Guidelines): Older Adult Oncology Version 2.2025 — May 13, 2025

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再発・難治性の多発性⾻髄腫治療薬トアルクエタマブを発売/J&J

 Johnson & Johnson(法人名:ヤンセンファーマ)は2025年8月14日、再発・難治性の多発性骨髄腫治療薬として、多発性骨髄腫細胞表面に高発現するGPRC5D(Gタンパク質共役型受容体ファミリーCグループ5メンバーD)およびT細胞表面に発現するCD3を標的とする二重特異性抗体トアルクエタマブ(遺伝子組換え)(商品名:タービー皮下注)を発売したことを発表した。本剤は、2025年6月24日に「再発又は難治性の多発性骨髄腫(標準的な治療が困難な場合に限る)」を効能又は効果として承認され、8月14日に薬価収載された。Johnson & Johnsonとしては、テクリスタマブ(遺伝子組換え)(商品名:テクベイリ皮下注)に続き、再発・難治性の多発性骨髄腫に対する2剤目の二重特異性抗体となる。 本剤は、国際共同第I/II相MMY1001試験(MonumenTAL-1試験)および国内第I相MMY1003試験の結果に基づき承認を取得している。これらの試験では、再発・難治性多発性骨髄腫の成人患者を対象に有効性及び安全性を評価し、T細胞リダイレクト治療薬による治療歴の有無にかかわらず、深く持続的な奏効および良好な安全性プロファイルを示した。また、MonumenTAL-1試験における承認申請後の追加カットオフ時点の日本人コホート解析では、追跡期間中央値13.4ヵ月における全奏効率は77.8%で、55.6%が完全奏効以上を達成した。<製品概要>・製品名:タービー皮下注3mg、同40mg・一般名:トアルクエタマブ(遺伝子組換え)・効能又は効果:再発又は難治性の多発性骨髄腫(標準的な治療が困難な場合に限る)・用法及び用量:通常、成人にはトアルクエタマブ(遺伝子組換え)として、以下のA法又はB法で投与する。A法:漸増期は、1日目に0.01mg/kg、その後は2〜4日の間隔で0.06mg/kg、0.4mg/kgの順に皮下投与する。その後の継続投与期は、0.4mg/kgを1週間間隔で皮下投与する。B法:漸増期は、1日目に0.01mg/kg、その後は2〜4日の間隔で0.06mg/kg、0.4mg/kg、0.8mg/kg の順に皮下投与する。その後の継続投与期は、0.8mg/kgを2週間間隔で皮下投与する。・薬価:タービー皮下注3mg:3mg1.5mL1瓶146,284円、同40mg:40mg1mL1瓶1,879,962円・製造販売承認日:2025年6月24日・薬価基準収載日:2025年8月14日・発売日:2025年8月14日・製造販売元:ヤンセンファーマ株式会社

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オランザピンの制吐薬としての普及率は?ガイドライン発刊後の状況を聞く

 『制吐薬適正使用ガイドライン 2023年10月改訂第3版』が発刊され、約2年が経過しようとしている。改訂による大きな変更点の一つは、“高度催吐性リスク抗がん薬に対するオランザピン5mgの使用を強く推奨する“ことであったが、今現在での医師や医療者への改訂点の普及率はどの程度だろうか。前回の取材に応じた青儀 健二郎氏(四国がんセンター乳腺外科 臨床研究推進部長)が、日本癌治療学会のWebアンケート調査「初回調査結果報告書」とケアネットがCareNet.com医師会員を対象に行ったアンケート「ガイドライン発刊から6ヵ月が経過した現在の制吐薬の使用状況について」を踏まえ、実臨床での実態や適正使用の普及に対する課題を語った。 なお、日本癌治療学会は『制吐薬適正使用ガイドライン』普及率に関するWebアンケート調査(第2回)』を現在実施しており、医師・看護師・薬剤師の方々からのアンケート回答を募集している(回答期間は2025年8月22日まで)。発刊6ヵ月後にはオランザピン処方の意義浸透か ガイドライン発刊直前に行われた日本癌治療学会による初回調査は、制吐療法の情報均てん化などの検討を考慮するため、論文等で公表されているエビデンスと実診療の乖離(Evidence-Practice Gap:EPG)の程度、職種、診療科、所属施設ごとの結果を解析した。その調査とケアネットが独自で行った調査を比較し、青儀氏は「乳がん治療での制吐薬処方に関し、われわれの初回調査ではFECでの4剤の処方率は16.8%だった。ガイドライン発刊から半年後の(CareNet.com)調査では、90%以上(該当レジメンを使用する全員に処方している:44%、患者背景を考慮して処方している:50%)であることが明らかとなり、オランザピンを推奨する意義が結果となってみられた印象」と話した。全体的にオランザピン処方の際に患者背景を考慮して処方していると回答した割合が多かった理由について、同氏は「糖尿病や耐糖能異常に加え、ふらつきのリスクを有する、睡眠薬を服用中の患者に処方しづいからではないか」とコメントした。患者の吐き気への不安と医師の処方不安、優先順位を間違えてはいけない オランザピンが向精神薬の位置付けで使用される薬剤であることが処方を慎重にさせる要因と考えられるが、実際に処方医が感じる不安は「糖尿病に禁忌」「耐糖能異常」に対してであることが今回の調査から明らかになった。これについて同氏は、「すでに制吐薬としてステロイドを処方している患者はステロイドによる耐糖能異常リスクを有している。また、オランザピンが推奨される以前より化学療法中の耐糖能異常に対するフォロー不足は問題視されていたので、このフォロー体制をしっかり構築したうえで、オランザピン投与を行ってほしい」とコメント。「オランザピンの制吐薬としての有用性の理解が進めばこの問題はクリアできるのではないか」と有害事象の発生を観察、コントロールしながら使用する価値について説明した。ただし、禁忌とされる糖尿病患者への対応については、従来の3剤併用療法を行うことがガイドラインに示されている(CQ1「高度催吐性リスク抗がん薬の悪心・嘔吐予防として、3剤併用療法[5-HT3受容体拮抗薬+NK1受容体拮抗薬+デキサメタゾン]へのオランザピンの追加・併用は推奨されるか?」参照)。 また、実臨床で多く経験する傾眠への具体的な対応策として、「推奨は5mgではあるが、今後、各施設での使用経験や研究などを基に日本人に適切な投与量を決定していきたい。たとえば、当院ではオランザピン5mgを処方する際、調節できるように2.5mg×2錠で処方している。薬剤師と相談し、副作用を回避しつつ制吐に対する効果が得られるのであれば、2.5mgで処方している」と述べた。適切な制吐薬治療の普及に必要なツール 学会側の調査項目の1つである患者報告アウトカム(Patient-Reported Outcome:PRO)の利用状況や頻度については、「PROについてはまだまだ開発途上。臨床研究などでPROを活用して有害事象を拾い上げることについては広がりつつある。さまざまなPROが出てきていることからも、今後の臨床研究に欠かせないツールになっていくことは間違いないだろう。患者の情報が一つひとつアップデートされて入ってくることが重要なポイント」と述べた。その一方で、PROには紙媒体のものとネット環境が必要なものがあるが、後者はセキュリティー問題やコスト面の影響がある。「紙媒体での評価にも十分な有用性が示されている。当院ではICI投与患者の免疫関連副作用(immune-related Adverse Events:irAE)に関する評価ツールを導入しているが、ネット導入のハードルが高いことから紙媒体で実施している」と述べ、「現状、PROが限られた施設や学会でしか利用されていないため、抗がん剤全般での利用を広めていくことが次の課題」と説明し、まずは紙媒体で評価を進めていくことを推奨した。 最後に同氏は「制吐療法については、単に処方薬を増やすことが良いとは考えていない。次回の改訂までに綿密な使い分けができるようなエビデンスが出てくるのではないか」と締めくくった。<日本癌治療学会アンケート概要>調査内容:発刊直前と発刊1年後に同じ項目のアンケートを実施することで、ガイドラインによる診療動向の変化を調査実施期間:2023年10月2~18日調査方法:インターネット対象:日本癌治療学会ほか、各学会(日本臨床腫瘍学会、日本サイコオンコロジー学会、日本がんサポーティブケア学会、日本放射線腫瘍学会、日本医療薬学会、日本がん看護学会)所属の1,276人《CareNet.comアンケート概要》調査内容:ガイドライン発刊から6ヵ月経過時点の制吐薬の使用状況について実施期間:2024年5月23~29日調査方法:インターネット対象:20床以上の施設に所属するケアネット会員医師206人(乳腺外科:50人、血液内科:50人、呼吸器科:52人、消化器科:36人、外科:18人)

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髄外病変を有する多発性骨髄腫、CAR-T細胞vs.二重特異性抗体

 多発性骨髄腫で骨髄外に悪性形質細胞腫瘍がある場合は髄外病変(EMD)と定義され、通常は予後不良である。今回、ドイツ・University Hospital of WurzburgのMaximilian J. Steinhardtらは、再発多発性骨髄腫に有効なCAR-T細胞療法(イデカブタゲン ビクルユーセル[ide-cel]、シルタカブタゲン オートルユーセル[cilta-cel])と二重特異性抗体療法(テクリスタマブ、トアルクエタマブ)のEMDへの効果を後ろ向きに評価した結果、CAR-T細胞療法が意味のあるベネフィットをもたらす可能性が示唆された。Blood Cancer Journal誌2025年7月30日号に掲載。 本研究では、ドイツの 3 つの大学病院でide-cel、cilta-cel、テクリスタマブ、トアルクエタマブによる治療を受けた、骨に隣接しないEMD患者80例を後ろ向きに解析した。 主な結果は以下のとおり。・すべての患者は複数の前治療歴があり、すべてのコホートにおいて5〜7ラインの治療歴(中央値)があった。患者の41%以上に高リスクの細胞遺伝学的プロファイルが認められた。cilta-cel、ide-cel、テクリスタマブを投与された患者の88%超はB細胞成熟抗原(BCMA)を標的とした前治療歴はなかった。・奏効率は、CAR-T細胞療法(cilta-cel:100%、ide-cel:82%)が二重特異性抗体療法(トアルクエタマブ:29%、テクリスタマブ:36%)よりも有意に高かった(p<0.0001)。・完全奏効率は、CAR-T細胞療法(cilta-cel:69%、ide-cel:41%)が二重特異性抗体療法(トアルクエタマブ:18%、テクリスタマブ:24%)よりも高かった(p=0.001)。・追跡期間中央値は12.2ヵ月で、無増悪生存期間中央値はcilta-celは未到達、ide-celは7.3ヵ月で、トアルクエタマブ(4.0ヵ月)やテクリスタマブ(2.6ヵ月)より有意に延長していた。

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小児白血病の最新診療

小児科領域新シリーズ誕生!裏付けされたKnowledge&Skillで日常の小児科診療に自信を持つ「小児診療 Knowledge & Skill」第1巻特色は小児科診療に不可欠な8テーマから構成。各分野のエキスパートが培った臨床眼により小児科診療の本質を展開。エビデンスとエクスペリエンスを融合させた「知(knowledge)」と「技(skill)」により、最適な方針を提供。箇条書きでテーマの要点をまとめ、脚注やコラムで専門用語の解説、二次元コードにより関連サイトへリンク、キーポイントの詳細情報、逸話などを収載。冒頭のQuick Indexで、特異的な切り口でテーマの概略を紹介。となっている。第1巻で取り上げた小児白血病はコモンな疾患ではない。白血病を疑ったときは速やかに専門医に紹介しなければならない。それでも知れば身近な疾患になる。重篤な疾患に特定の遺伝子が胎生期から関わっていることは、ポストゲノム時代を迎えたいま、揺るぎない事実として眼前にあり、小児科学ほど分子生物学に親和性が高い領域はない。小児白血病を通して拓かれたmolecular pathobiologyの扉が小児診療の本質を提供してくれる。画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。※ご使用のブラウザによりPDFが読み込めない場合がございます。PDFはAdobe Readerでの閲覧をお願いいたします。目次を見るPDFで拡大する目次を見るPDFで拡大する小児白血病の最新診療定価9,350円(税込)判型B5判(並製)頁数216頁発行2025年7月総編集加藤 元博(東京大学)専門編集富澤 大輔(国立成育医療研究センター)ご購入(電子版)はこちらご購入(電子版)はこちら紙の書籍の購入はこちら医書.jpでの電子版の購入方法はこちら紙の書籍の購入はこちら

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末梢血幹細胞移植後のGVHD予防、移植後シクロホスファミド+シクロスポリンが有効/NEJM

 骨髄破壊的または強度減弱前処置後にHLA一致血縁ドナーからの末梢血幹細胞移植(SCT)を受けた血液がん患者において、移植片対宿主病(GVHD)のない無再発生存期間は、標準的なGVHD予防法と比較し移植後シクロホスファミド+カルシニューリン阻害薬併用療法により有意に延長したことが示された。オーストラリア・Alfred HealthのDavid J. Curtis氏らAustralasian Leukaemia and Lymphoma Groupがオーストラリアの8施設およびニュージーランドの2施設で実施した第III相無作為化非盲検比較試験「ALLG BM12 CAST試験」の結果を報告した。高リスク血液がん患者に対する根治的治療としては、HLA一致血縁ドナーからの骨髄破壊的前処置後同種末梢血SCTが推奨され、GVHD予防はカルシニューリン阻害薬と代謝拮抗薬の併用が標準治療となっている。移植後シクロホスファミドを代謝拮抗薬に追加または置き換えることで、HLA一致血縁ドナーからのSCT後GVHDリスクを低減できることが示唆されているが、移植後シクロホスファミドの有効性、とくに骨髄破壊的前処置下での有効性は明らかになっていなかった。NEJM誌2025年7月17日号掲載の報告。シクロスポリン+メトトレキサートと比較、GRFSを評価 研究グループは、急性白血病の第1または第2寛解期、ならびに骨髄中芽球<20%の骨髄異形成症候群(MDS)で、骨髄破壊的前処置または強度減弱前処置後にHLA一致血縁ドナーからのSCTを受ける18~70歳の患者を、移植後シクロホスファミド+シクロスポリン(試験予防群)またはシクロスポリン+メトトレキサート(標準予防群)に、年齢(50歳未満、50歳以上)および前処置の強度(骨髄破壊的、強度減弱)で層別化し1対1の割合で無作為に割り付けた。 試験予防群では、シクロホスファミド50mg/kgを移植後3日目および4日目に投与した後、シクロスポリン(各施設のガイドラインに従った用量)を移植後5日目から開始し、90日目以降に漸減した。 標準予防群ではメトトレキサートを移植後1日目に15mg/m2、3日目、6日目および11日目に10mg/m2、シクロスポリン(同上)を移植前1~3日から開始し、90日目以降に漸減した。 主要評価項目は、無GVHD・無再発生存期間(GRFS)で、ITT集団を対象としてtime-to-event解析を行った。移植後シクロホスファミド+シクロスポリンでGRFSが有意に延長 2019年4月4日~2024年1月30日に、134例が登録および無作為化された(試験予防群66例、標準予防群68例)。 GRFSの中央値は、試験予防群26.2ヵ月(95%信頼区間[CI]:9.1~未到達)、標準予防群6.4ヵ月(5.6~8.3)であり、試験予防群で有意に延長した(log-rank検定のp<0.001)。3年時点でのGRFS率は、試験予防群で49%(95%CI:36~61)、標準予防群で14%(6~25)であった(GVHD・再発・死亡のハザード比[HR]:0.42、95%CI:0.27~0.66)。 Grade III~IVの急性GVHDの3ヵ月累積発生率は、試験予防群で3%(95%CI:1~10)、標準予防群で10%(4~19)であり、2年全生存率はそれぞれ83%および71%(死亡のHR:0.59、95%CI:0.29~1.19)であった。 SCT後100日間における重篤な有害事象の発生率は、両群で同程度であった。

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