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第92回 改定率で面目保つも「リフィル処方」導入で財務省に“負け”た日医・中川会長

2022年診療報酬改定の作業が大詰めへこんにちは。医療ジャーナリストの萬田 桃です。医師や医療機関に起こった、あるいは医師や医療機関が起こした事件や、医療現場のフシギな出来事などについて、あれやこれや書いていきたいと思います。週末は、まん延防止等重点措置が適用される前に足慣らしをと、高尾山の裏側の山域、裏高尾に行って来ました。先々週、首都圏に降った雪が少しは残っているだろうと足回りは冬山装備で向かったのですが、雪は残念ながらほぼゼロ。首都圏が大雪のときは低気圧が関東南岸を通過するケースがほとんどですが、今回は通過が南過ぎたため高尾山や奥多摩まで十分な雪を降らせなかったようです。雪山が楽しめず落胆、下山は日和ってリフトを使ってしまいました。さて、診療報酬改定の作業が大詰めを迎えています。1月14日に開催された中央社会保険医療協議会・総会では、2022年度改定に向けた「議論の整理」が固められました。今後、パブリックコメントと公聴会を経て、具体的な改定内容である「個別改定項目」に基づく論議が行われ、2月上旬には新点数・新施設基準が決定し、答申となる予定です。ということで、今回は少々遅ればせながら、改定率決定の舞台裏と、注目の新設項目「リフィル処方」について考えてみたいと思います。政界とのパイプが細く、苦戦した日医・中川会長2021年末、2022年度の診療報酬改訂の改定率は、医師らの人件費などにあたる「本体」部分を0.43%引き上げるプラス改定とすることで決着しました。この0.43%という数字を巡っては、各紙がさまざまな分析記事を書いています。12月21日付の読売新聞は「日医vs財務省、診療報酬『痛み分け』」と題する記事で、日本医師会は「厚労族の加藤 勝信・元厚生労働相らとともに『プラス0.5%』を防衛ラインに設定していた」が、「0.3%台前半」という厳しい改定率を突きつけていた財務省に「切り込まれてしまった」と報じています。同紙はさらに、日医の中川 俊男会長が、前会長の横倉 義武氏と比べて政界とのパイプが細く、コロナ禍では政権批判とも取れる発言もあったとして、自民党の安倍 晋三元首相と麻生 太郎自民党副総裁は、「中川氏に配慮する必要はない」と横倉会長時代に行われた4回の改定率の平均である「0.42%を下回る水準にするべきだと主張した」とも書いています。「横倉平均」を0.1%上回る0.43%で決着こうした安倍、麻生両氏の意向や、本連載「第80回『首相≒財務省』vs.『厚労省≒日本医師会』の対立構造下で進む岸田政権の医療政策」でも書いた政権内で増した財務省の存在感に日医と厚労族議員は相当焦っていた、と見られています。読売新聞によれば、日医は最終的に、引退した重鎮の伊吹 文明・元衆院議長や尾辻 秀久元厚労相らの重鎮に協力を求め、岸田 文雄首相に直談判する機会を設けてもらい、「横倉平均」をわずかに0.1%上回る0.43%が実現した、とのことです。なお、読売新聞は、横倉氏自身も「0.42%を基準にしないでほしい」と政府側に水面下で求めた、とも書いています。「横倉氏としても会長時代の『横倉平均』を基に医療費の抑制が行われる事態は避けたいとの思惑があったとみられる」とのことです。日医に大きく歩み寄ったかたちの岸田首相ですが、今夏に予定される参院選での日医の集票力を期待しての決断であるのは確かでしょう。参院選で勝てば、衆院を解散しない限り最長3年間は選挙のない時期を迎え、それは岸田政権の盤石化につながります。リフィル処方を差し出した見返りとしての改定率いずれにせよ、日医・中川会長は岸田首相に改定率で大きな借りをつくったことは間違いありません。「第85回 診療報酬改定シリーズ本格化、『躊躇なくマイナス改定すべき』と財務省、『躊躇なくプラス改定だ』と日医・中川会長」でも書いたように、日医会長の最大の仕事はプラス改定を勝ち取ることです。今回はプラス改定に加え、横倉前会長の改定率も上回ることができたわけで、中川会長は面目をどうにか保てたと言えそうです。ただし、その面目と引き換えに日医が受け入れたのが、これまで反対の立場を崩してこなかった「リフィル処方」です。12月21日付の日本経済新聞は、「本体部分について財務省幹部は『数字を見れば大敗だが、流れは変えられた』と語る。改定率を0.1%下げる要素として処方箋を反復利用できる『リフィル処方』の22年度からの導入にメドを付けた(中略)。日医は長年反対していたリフィル処方を差し出した見返りとして、プラス改定率を引き出したとの見方もある」と書いています。一つの処方箋を使い回し利用リフィル処方とは、一定期間内に一つの処方箋を繰り返し利用できる仕組みで、英語の「refil」(補給、詰め替え)が語源です。リフィル処方においては、例えば患者に90日分の投薬を指示する場合であれば、計3回利用(使い回し)ができる30日分の処方箋を発行します。医療機関への通院回数が減るため、医師に支払われる診療報酬(再診料など)も減ります。リフィル処方は米国、英国、フランスなど、諸外国ではすでに導入されている制度です。一方、日本では2016年度診療報酬改定で類似した「分割調剤」が導入されたものの、「手続きが煩雑」などの理由で算定回数は伸びていません。分割調剤とは、同じ処方箋を使い回すのではなく、「定められた処方期間を分割する」というもの。90日分の投薬なら、例えば30日分の処方箋を3枚発行します。1)長期保存が難しい薬剤、2)後発医薬品を初めて処方する場合、3)医師による指示がある場合などに用途が限られ、分割回数の上限も3回までとなっています。日本薬剤師会、薬剤師の役割拡大に期待リフィル処方については、細かな制度設計(対象患者、対象薬剤、回数など)や関連する診療報酬、調剤報酬は未定ですが、日本薬剤師会は大きな期待を抱いているようです。1月13日付のMEDIFAXは、日本薬剤師会の山本 信夫会長のリフィル処方導入に対するコメントを報じています。リフィル処方では2回目の調剤以降、 医師の診療が前提ではなくなることについて山本会長は、 「(調剤を)続けるには患者のさまざまな情報がなかったら(判断)できない」と薬剤師の責任が極めて重くなると指摘、「覚悟を持ってやらないといけない」と話したとのことです。もっとも、知人のある薬剤師は「一部の医師は積極的にリフィルを活用するかもしれないが、処方日数は処方医の判断で何とでもなるので、当面は医師にとっての影響はほとんどないのではないか。薬剤師の責任が今まで以上に重くなることは確かだが、服用後の患者の状況を検査もなしにどう把握しろというのか」と話していました。ボディブローのようなダメージを医療機関に与えるリフィル処方については、医療費適正化の観点から、随分前からその導入が求められてきました。5年前の「経済財政運営と改革の基本方針 (骨太方針) 2017」では「医師の指示に基づくリフィル処方の推進を検討する」と明記されましたが、日本医師会の反対等もあり制度化は先送りにされてきました。今回の診療報酬改定でのリフィル処方導入に向けても、財務省は財政制度審議会において言及を重ね、「経済財政運営と改革の基本方針(骨太方針)2021」にも盛り込んでいます。今回やっと導入に至った背景には、「第80回『首相≒財務省』vs.『厚労省≒日本医師会』の対立構造下で進む岸田政権の医療政策」でも書いた、政権内で増した財務省の存在感があったことは間違いないでしょう。リフィル処方導入は、最終的に昨年12月22日の鈴木 俊一財務相と後藤 茂之厚労相との大臣折衝で決着したとのことですが、1月14日のミクスOnlineは、鈴木財務相が同紙の取材に対し、「リフィル処方箋は譲れなかった」と話したと報じています。私自身は、このリフィル処方、将来的にはボディブローのようにじわりじわりとダメージを医療機関に与えるのではないかと考えています。最初の制度や点数の設定はおそらくマイルドかつ医療機関にもメリットがあるように組み立てられると思われます。ひょっとしたら、薬局や薬剤師のメリットは見えにくいかもしれません。しかし、それが診療報酬の面白いところです。かつて取材した中医協委員も務めたある医師は「新設される項目については点数の多寡は大きな問題ではない。その項目ができたこと自体が重要だ。そこを足がかりに、将来どうにでも仕組みを変えていけるのだから」と話していました。今回の診療報酬改定でのリフィル処方の影響は、改定率にして-0.1%と言われていますが、もし国民がその割安感と利便性に気づいたら、それ以上の影響が出てくるかもしれません。また、検査もできず、患者の状態を適切に判断できない薬剤師に患者が不安を感じるのだとしたら、その薬剤師に何らかの“判断”機能を持たせる動きが出てくる可能性もあります。そういった意味でも、今回の“診療報酬改定シリーズ”、数字にこだわるあまり、リフィル処方を飲んだ日医・中川会長は、財務省に“負け”たと言えるのではないでしょうか。

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モノクローナル抗体ianalumab、中等~重症の原発性シェーグレン症候群に有効/Lancet

 原発性シェーグレン症候群(眼球や口腔の乾燥、全身症状、生活の質[QOL]の低下を特徴とする自己免疫疾患)の治療において、B細胞活性化因子(BAFF)受容体を阻害するモノクローナル抗体製剤ianalumab(VAY736)はプラセボと比較して、24週時の疾患活動性が用量依存的に低下し、忍容性や安全性も良好で感染症の増加は認められないことが、英国・バーミンガム大学病院のSimon J. Bowman氏らが実施した「VAY736A2201試験」で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2021年11月30日号で報告された。19ヵ国の4群を比較する第IIb相用量設定試験 本研究は、中等度~重度の原発性シェーグレン症候群患者におけるianalumabの安全性と有効性の評価を目的とする二重盲検無作為化プラセボ対照比較試験(第IIb相用量設定試験)であり、2017年6月~2018年12月の期間に、19ヵ国56施設で患者登録が行われた(Novartis社の助成を受けた)。 対象は、年齢18~75歳で、疾患活動性が中等度~重度(欧州リウマチ学会[EULAR]のシェーグレン症候群疾患活動性指標[ESSDAI]スコア≧6点)、症状の重症度が患者の許容範囲を超える(EULARシェーグレン症候群患者報告指数[ESSPRI]スコア≧5点)などの基準を満たす患者であった。 被験者は、3つの用量のianalumab(5mg、50mg、300mg)またはプラセボを4週ごとに24週間皮下投与する群に無作為に割り付けられた。患者と試験関係者には治療割り付け情報が知らされなかった。 主要アウトカムは、24週の時点での無作為化の対象となった全患者におけるベースラインから24週までのESSDAIスコアの変化量とされ、モデル化分析を用いた多重比較法で評価された。安全性の評価は、試験薬の投与を少なくとも1回受けたすべての患者で行われた。今後の臨床試験で、300mgが使用可能 190例が登録され、ianalumab 5mg群に47例、同50mg群に47例、同300mg群に47例、プラセボ群に49例が割り付けられた。各群の平均年齢の幅は47.9~52.5歳で、女性が各群の平均で87~98%を占めた。 検討された5つの用量反応モデルのうち4つで、全体的な疾患活動性(ESSDAIスコア)に関して統計学的に有意な用量反応関係が認められた(4つのモデルはいずれもp<0.025、1つのモデルはp=0.060)。 ESSDAIスコアは、3つの用量のianalumab群のすべてで、ベースラインから経時的に低下したが、用量が高いほど効果が大きく、24週時の効果は300mg群で最も優れた。ESSDAIスコアは、300mg群ではベースラインの13.1点から24週時には4.9点に、プラセボ群では13.0点から7.0点に低下した。300mg群における24週時のベースラインからのESSDAIスコアの変化量の、プラセボ群で補正した最小二乗平均は、-1.92点(95%信頼区間[CI]:-4.15~0.32、p=0.092)だった。 有害事象は、ianalumab 300mg群(94%)が、他の用量群(5mg群85%、50mg群83%)やプラセボ群(84%)よりもわずかに多かった。感染症は、ianalumab群(5mg群53%、50mg群47%、300mg群49%)がプラセボ群(57%)よりも少なかった。治療関連の重篤な有害事象は3例で4件認められた(プラセボ群の1例で肺炎、同群の1例で胃腸炎、50mg群の1例で虫垂炎と卵管卵巣膿瘍)。 著者は、「われわれが知る限り、この研究は主要エンドポイントを達成した初めての原発性シェーグレン症候群の大規模無作為化対照比較試験であり、これらの結果は、本症のメカニズムを探る研究が今後も続けられる可能性があることを意味する」と指摘し、「ianalumab 300mgは、今後の臨床試験で安全かつ有効な用量として使用できる」としている。

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SLEに待望の治療薬アニフロルマブが発売/アストラゼネカ

 アストラゼネカ株式会社は、全身性エリテマトーデス(SLE)の治療薬アニフロルマブ(商品名:サフネロー)点滴静注300mgを11月25日より販売開始した。アニフロルマブは、完全ヒト型モノクローナル抗体であり、I型インターフェロンα受容体のサブユニット1(IFNAR1)を標的とする治療薬。用量調整が不要で、4週間ごとに1回30分以上かけて投与する点滴静注製剤。アニフロルマブ投与者で観察期間52週間の全例調査を実施 SLEは、免疫系が体内の正常な組織を攻撃する自己免疫疾患。慢性的であり、さまざまな臨床症状を伴う複雑な疾患であるため、多くの臓器に影響を及ぼし、疼痛、発疹、倦怠感、関節の腫れ、発熱など幅広い症状の原因となる。SLE患者の50%以上は、本疾患自体あるいは既存の治療薬が原因の恒久的な臓器障害を引き起こし、症状が増悪や死亡リスクの上昇につながる。世界中に少なくとも500万人がある種のループス疾患に罹患していると推定されている。 今回発売されたアニフロルマブは、発売後600例にわたって観察期間52週間の全例調査を実施し、既存治療で効果不十分なSLE患者を対象に、アニフロルマブの製造販売後の使用実態下における長期の安全性および有効性に関する情報収集および評価を実施する予定。なお、アニフロルマブの投与を中止した場合(再来院しなくなった場合を含む)はその日付および理由を確認し、最終投与後8週間を目安に、可能な限り観察を行う。アニフロルマブの概要製品名:サフネロー点滴静注300mg一般名:アニフロルマブ(遺伝子組換え)剤形:注射剤(バイアル)効能または効果:既存治療で効果不十分な全身性エリテマトーデス用法および用量:通常、成人にはアニフロルマブ(遺伝子組換え)として、300mgを4週間ごとに30分以上かけて点滴静注製造販売承認:2021年9月27日発売日:2021年11月25日製造販売元:アストラゼネカ株式会社

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アニフロルマブがSLEに適応承認を取得/アストラゼネカ

 アストラゼネカ株式会社は、2021年9月27日付で既存治療にて効果不十分な全身性エリテマトーデス(SLE)の成人患者の治療薬としてI型インターフェロン受容体抗体アニフロルマブ(商品名:サフネロー点滴静注 300mg)がわが国で承認を取得したと発表した。SLEは女性に多く、幅広く全身症状を及ぼす自己免疫疾患 SLEは、免疫系が体内の正常な組織を攻撃する自己免疫疾患で、慢性的にさまざまな臨床症状を伴う複雑な疾患であるため、多くの臓器に影響を及ぼし、疼痛、発疹、倦怠感、関節の腫れ、発熱など幅広い症状の原因となる。SLE患者の50%以上は、本疾患自体あるいは既存の治療薬が原因の恒久的な臓器障害を引き起こし、症状が増悪や死亡リスクの上昇につながるとされる。わが国には約6万人のSLE患者が登録され、その大半は45歳までに診断された女性である。アニフロルマブは米国では中等~重症SLEの適応で承認済み アニフロルマブは、I型IFN受容体のサブユニット1に結合する完全ヒト型モノクローナル抗体であり、I型IFNの活動を阻害する。I型IFNは、SLEに関与する炎症反応経路に関係するサイトカインで、患者の大多数に疾患活動性と重症度との関連性があるI型IFNのシグナルの増加がみられる。 今回の承認では、2つのTULIP第III相試験と第II相MUSE試験を含むアニフロルマブ臨床開発プログラムの有効性および安全性データに基づいて行われた。これらの試験では標準治療に加えて、アニフロルマブを投与した群の患者は、標準治療にプラセボを加えた群に比べ、皮膚および関節を含む臓器系全体にわたる疾患活動性の低下を示すとともに、経口ステロイド剤(OCS)使用量の持続的な減量を示した。また、TULIP-2試験に登録された日本人患者のサブ解析も、アニフロルマブの承認申請を裏付ける根拠となった。 有害事象として、複数の臨床試験でアニフロルマブ投与群の患者に発現した頻度の高いものは、鼻咽頭炎、上気道感染、気管支炎、注入に伴う反応、過敏症および帯状疱疹が報告されている。 今回のアニフロルマブの承認は、わが国におけるI型インターフェロン(I型IFN)受容体拮抗薬の初めての薬事承認となる。 アニフロルマブは、米国で中等症から重症SLEの適応で承認されており、EUでは薬事審査中。今後、複数の新たな第III試験が、ループス腎炎、皮膚エリテマトーデスおよび筋炎を対象として計画されている。

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新「内科専門医」と「総合内科専門医」、年代・診療科別の取得予定は?医師1,000人に聞きました

 9月に実施が予定されていた「総合内科専門医」試験は来年度に延期となったが、新「内科専門医」試験は2021年7月に初めて実施され、従来の「認定内科医」試験は6月が最後の試験となった。今後の取得予定について、医師たちはどのように考えているのか? CareNet.comの内科系診療科の会員医師1,000人を対象にアンケートを行った(2021年度総合内科専門医試験について延期発表前の2021年8月12日~13日実施)。新「内科専門医」は約27%が取得予定と回答 回答者の属性としては、30代が35.6%と最も多く、40代(26.6%)、50代(20.5%)と続いた。既取得の認定医・専門医・指導医資格としては「内科認定医」が最も多く、60%以上が取得していた。総合内科専門医についても約36%の医師が既取得であり、約14%が内科指導医資格を有していた。 今年初めて試験が実施され、機構認定の内科系のサブスぺシャリティ領域専門医の基本領域資格となる新「内科専門医」については、26.6%の医師が取得予定(受験済も含む)と回答。年代別にみると20代は78.7%、30代では29.3%、40代では26.6%が取得予定と回答した。また、20~50代の各年代でそれぞれ10%ほどが「迷っている」と回答している。 母数等が異なるため厳密な比較はできないが、診療科別にみると、血液内科(37.5%)、腎臓内科(36.7%)、糖尿病・代謝・内分泌内科(35.1%)などで取得予定と答えた医師が多い傾向がみられた。「総合内科専門医」は取得済・取得予定を合わせると半数以上 「総合内科専門医」を取得予定と答えたのは17.0%で、取得済の36.1%と合わせると過半数となった。年代別では、40代(58.1%)、50代(50.2%)で既取得の医師が多かった一方、20代で取得予定と回答したのは17.6%に留まり、新「内科専門医」と比較すると低かった。 診療科別にみると、腎臓内科(46.7%)や呼吸器内科(46.3%)で既取得の医師が多く、取得予定と合わせると6~7割を占める一方、総合診療科(既取得:16.7%、取得予定:23.3%)や膠原病・リウマチ科(既取得:21.4%、取得予定:32.1%)では低い傾向がみられた。J-OSLERへのリアルな悲鳴、制度の複雑さ嘆く声など 新専門医制度に対する疑問や困っている点について自由記述で尋ねた問いに対しては、さまざまな回答が寄せられた。20~30代の医師からは、「J-OSLERにより取得過程の負担が増加している(20代、神経内科)」、「J-OSLERの登録を臨床を行いながら行うのは非常に難しい(30代、神経内科)」など、専攻医登録評価システム(J-OSLER)の煩雑さを指摘する声のほか、「コロナ禍で剖検症例が圧倒的に不足している(20代、糖尿病・代謝・内分泌内科)」、「試験の延期も対応が中途半端で内科学会に振り回されている(30代、呼吸器内科)」などの声が上がった。また、サブスぺ領域がどうなるのかの正式な発表が遅れていることを指摘する声も多くみられた。 40~60代の医師からは、「正直わけがわからなくなっています(50代、内科)」、「複雑すぎる。提唱している水準は担保されているのか? お金集めだけにもみえる(60代、内科)」といった率直な声のほか、「旧制度、新制度両方に言えるが、職場からは取得して欲しいと頼まれるが、それに対する金銭的なサポートが全くない。専門医更新にもお金がかかる(40代、糖尿病・代謝・内分泌内科)」など、取得のメリットとそのサポート体制の不足を指摘する声が多くみられた。 アンケート結果の詳細は以下のページに掲載中。新「内科専門医」・「総合内科専門医」の取得予定は?-会員1,000人アンケート

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日本のウイルス肝炎診療に残された課題~今、全ての臨床医に求められること~

COVID-19の話題で持ち切りの昨今だが、その裏で静かに流行し続けている感染症がある。ウイルス肝炎だ。特に問題になるのは慢性化しやすいB型およびC型肝炎で、世界では3億人以上がB型、C型肝炎ウイルスに感染し、年間約140万人が死亡している。世界保健機関(WHO)は7月28日を「世界肝炎デー」と定め、ウイルス肝炎の撲滅を目的とした啓発活動を実施している。検査方法や治療薬が確立する中、ウイルス肝炎診療に残された課題は何か?今、臨床医に求められることは何か?日本肝臓学会理事長の竹原徹郎氏に聞いた。自覚症状に乏しく、潜在患者が多数―日本の肝がんおよびウイルス肝炎の発生状況を教えてください。日本では、年間約26,000人程度が肝がんで死亡しているという統計があります。その大半はウイルス肝炎によるもので、B型肝炎は約15%、C型肝炎は約50%を占めています。B型およびC型肝炎ウイルスに感染して慢性肝炎を発症しても、自覚症状はほとんど現れません。気付かぬうちに病状が進行し、肝がん発症に至るわけです。日本においてB型、C型肝炎ウイルスの感染に気付かずに生活している患者さんは数十万人程度存在すると考えられています。こうした患者さんを検査で拾い上げ、適切な医療に結び付けることが、肝がんから患者さんを救うことにつながります。検査後の受診・受療のステップに課題―臨床では、どのような場面で肝炎ウイルス検査が実施されるのでしょうか。臨床で肝炎ウイルス検査が実施される場面は様々ですが、(1)肝障害の原因を特定するために行う検査、(2)健康診断で行う検査、(3)手術時の感染予防のために行う術前検査などが挙げられます。(1)はそもそも肝障害の原因を特定するために行われているので問題ないのですが、(2)では、検査で異常が指摘されても放置される場合がありますし、(3)では、陽性が判明してもその後の医療に適切に活用されないことがあり、課題となっています。その要因は様々ですが、例えば他疾患の治療が優先され、検査結果が陽性であることが二の次になるケースや、長く診療している患者さんでは、変にその結果を伝えて不安にさせなくても良いのではないか、とされるケースもあるでしょう。また患者さんの中には、検査結果を見ない、結果が陽性であっても気にしない、陽性であることが気になっていても精密検査の受診を躊躇する、といった方も多いです。そのため医療者側にどのような事情があっても、陽性が判明した場合はその結果を患者さんに伝え、精密検査の受診を促すことが大事です。非専門の先生で、ご自身では精密検査の実施が難しいと思われる場合は、ぜひ近隣の肝臓専門医に紹介してください。そのうえで、最終的に治療が必要かどうかまで結論付け、治療が必要な場合には専門医のもとでの受療を促すことが重要です。目覚ましい進歩を遂げる抗ウイルス治療―ウイルス肝炎の治療はどのように変化していますか。近年、ウイルス肝炎の治療は劇的に変化しています。特にC型肝炎治療の進歩は目覚ましいものがあります。従来のC型肝炎治療はインターフェロン注射によるものが中心で、インターフェロン・リバビリン併用でウイルスを排除できる患者さんの割合は50%程度でした1)。また、インフルエンザ様症状やその他の副作用が多くの患者さんで出現し、治療対象の患者さんも限られていました1),2)。しかしここ数年、経口薬である直接作用型抗ウイルス剤(DAA)が複数登場し、その様相は変化しています。まず治療奏効率は格段に向上し、ほとんどの患者さんでウイルスが排除できるようになりました。そして従来ほど副作用が問題にならなくなり3)、患者さんにとって治療がしやすい環境になっています。治療対象が高齢の患者さんや肝疾患が進行した患者さんに広がったことも、大きな変化です。B型肝炎治療では、まだウイルスを完全に排除することはできないものの、抗ウイルス治療によってウイルスの増殖を抑え、肝疾患の進行のリスクを下げることができます。このように、現在は治療に進んだ後のステップにおける課題はクリアされてきています。そのため、日本のウイルス肝炎診療の課題は、やはり検査で陽性の患者さんを受診・受療に結び付けるまでのステップにあるといえるでしょう。術前検査などで陽性が判明した患者さんがいらっしゃいましたら、ぜひ検査結果を患者さんに適切に伝え、受診・受療を促すと共に、近隣の肝臓専門医に紹介していただきたいと思います。日本肝臓学会のウイルス肝炎撲滅に向けた取り組み―日本肝臓学会では、ウイルス肝炎撲滅に向けてどのような取り組みを実施されていますか。日本肝臓学会では「肝がん撲滅運動」という活動を20年以上にわたって行ってきています。具体的には、肝炎や肝がん診療の最新情報を患者さんや一般市民の皆さまに知っていただくための公開講座を、毎年全国各地で開催しています。3年ほど前からは、肝炎医療コーディネーターを育成するための研修会も設けています。肝炎医療コーディネーターとは、看護師、保健師、行政職員など多くの職種で構成され、肝炎の理解浸透や受診・受療促進などの支援を担う人材です。また最近では、製薬企業のアッヴィ合同会社と共同で、「AbbVie Elimination Award」を設立しました。肝臓領域の臨床研究において優れた成果を上げた研究者を表彰する、研究助成事業です。「Elimination」は「排除」という意味で、一人でも多くの患者さんから肝炎ウイルスを排除したい、という意図が込められています。このように、日本肝臓学会ではウイルス肝炎撲滅に向けて、啓発活動や研究助成事業など、様々な活動に取り組んでいます。世界の先陣を切ってWHOが掲げる目標の達成を目指す―ウイルス肝炎の治療にあたる肝臓専門医の先生方に向けて、メッセージをお願いします。WHOはウイルス肝炎の撲滅に向けて「2030年までにウイルス肝炎の新規患者を90%減らし、ウイルス肝炎による死亡者を65%減らすこと」を目標に掲げています。COVID-19の流行によって、受診控えや入院の先送りなどの問題が発生し、この目標への到達は困難に感じられることもあるかもしれません。しかし、日本のウイルス肝炎診療には、国民の衛生観念がしっかりしている、肝臓専門医の数が潤沢である、行政的な施策が整備されている、など様々なアドバンテージがあります。世界の先陣を切ってWHOが掲げる目標を達成できるよう、今後も取り組んでいきましょう。肝炎ウイルス検査で陽性の患者さんは、肝臓専門医に紹介を―最後に、非専門の先生方に向けてメッセージをお願いします。従来のウイルス肝炎の治療は、副作用が問題になる、高齢の患者さんでは治療が難しい、といったイメージがあり、現在もそのように思われている先生がいらっしゃるかもしれません。患者さんも誤解している可能性があります。しかし、ウイルス肝炎の治療はここ数年で劇的に変化しています。肝炎ウイルス検査を実施して陽性が判明した場合は、患者さんにとって良い治療法があるかもしれない、と思っていただいて、ぜひ近隣の肝臓専門医に紹介してください。日本肝臓学会のHPに、肝臓専門医とその所属施設の一覧を都道府県別に掲載していますので、紹介先に迷われた際は、参考にしていただければと思います。1)竹原徹郎. 日本内科学会雑誌. 2017;106:1954-1960.2)日本肝臓学会 肝炎診療ガイドライン作成委員会 編「 C型肝炎治療ガイドライン(第8版)」 2020年7月, P16.3)日本肝臓学会 肝炎診療ガイドライン作成委員会 編「 C型肝炎治療ガイドライン(第8版)」 2020年7月, P57,63.

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総合内科専門医試験オールスターレクチャー 膠原病

第1回 関節リウマチ 乾癬性関節炎第2回 痛風 成人スチル病 ベーチェット病第3回 全身性エリテマトーデス シェーグレン症候群第4回 全身性強皮症 混合性結合組織疾患 皮膚筋炎・多発性筋炎第5回 大型血管炎第6回 ANCA関連血管炎 総合内科専門医試験対策レクチャーの決定版登場!総合内科専門医試験の受験者が一番苦労するのは、自分の専門外の最新トピックス。そこでこのシリーズでは、CareNeTV等で評価の高い内科各領域のトップクラスの専門医11名を招聘。各科専門医の視点で“出そうなトピック”を抽出し、1講義約20分で丁寧に解説します。キャッチアップが大変な近年のガイドラインの改訂や新規薬剤をしっかりカバー。Up to date問題対策も万全です。膠原病については、杏林大学医学部付属病院の岸本暢將先生がレクチャー。多彩な疾患に分類される膠原病。問題文に散りばめられた症状や検査所見などの膨大な情報の中から、診断のポイントを拾い上げるスキルを学びます。※「アップデート2022追加収録」はCareNeTVにてご視聴ください。第1回 関節リウマチ 乾癬性関節炎膠原病の問題では、膨大に提示された症状や検査所見の数値から、素早く異常を見つけるスキルが問われます。読み解くポイントについて、疾患別に例題を使って解説します。第1回は、国内に70万人以上の患者がいるとされ、日常診療でもよくみられる関節リウマチ。各治療薬と副作用の組み合わせや、症状別に禁忌の薬剤について確認します。乾癬性関節炎は、付着部炎など関節周囲から炎症が起きる点が関節リウマチと異なります。第2回 痛風 成人スチル病 ベーチェット病赤く腫れる症状が特徴的な自然免疫系の疾患を取り上げます。痛風は、急性期に尿酸降下薬を使用すると急性発作を誘発することがあるので注意。発作を誘発する食品や薬剤を押さえましょう。ピンク色の皮疹が現れる成人スチル病は、悪性腫瘍、感染症、薬剤アレルギーとの除外診断がポイント。白血球増多に注目します。20~30代に多いベーチェット病。症状として、口内炎やざ瘡様皮疹、結節性紅斑、ぶどう膜炎が現れます。第3回 全身性エリテマトーデス シェーグレン症候群リンパ球に関わる獲得免疫系の疾患を取り上げます。全身性エリテマトーデスSLEを発症するのはほとんどが女性で、多彩な症状を呈します。血小板数、白血球数、赤血球数の低下、CH50、C3、C4の低下が非常に特徴的な所見です。疾患と関連する抗核抗体も試験に出やすいポイント。ループス腎炎はSLEに起因する糸球体腎炎です。口腔乾燥やドライアイを呈するシェーグレン症候群。悪性リンパ腫のリスクにもなります。第4回 全身性強皮症 混合性結合組織疾患 皮膚筋炎・多発性筋炎皮膚や内臓が硬化、線維化する全身性強皮症SSc。限局皮膚型とびまん皮膚型に分けられ、手指にレイノー現象がみられます。抗体の種類によって合併する臓器障害が異なる点が試験でもよく問われます。混合性結合組織疾患MCTDの診断のポイントは、抗U1-RNP抗体と肺高血圧症。皮膚筋炎・多発性筋炎PM/DMでは、悪性腫瘍と急速進行性の間質性肺炎に要注意。肘や膝などにみられるゴットロン徴候が特異的な皮疹です。第5回 大型血管炎血管炎のうち大型血管炎に分類される高安動脈炎と巨細胞性動脈炎について解説します。小型血管炎に比べて症状が出にくい大型血管炎。間欠性跛行や大動脈解離など深刻な症状が起きる前に見つけるには、不明熱、倦怠感、体重減少、関節痛などの症状で疑うことが重要です。高安動脈炎の9割が女性、発症年齢は20歳前後がピーク。X線、CT、MRIの画像検査がメインです。巨細胞性動脈炎は高齢者にみられ、側頭動脈の生検がポイント。第6回 ANCA関連血管炎ANCA関連血管炎は、国内では高齢者が多いため顕微鏡的多発血管炎MPAが多く、対して海外では多発血管炎性肉芽腫GPA、好酸球性多発血管炎性肉芽腫EGPAの比率が多くなっています。小血管が破れるか詰まるため、紫斑や爪下出血など目に見える症状が出やすいのが特徴的。薬剤誘発ANCA関連疾患も頻出ポイント。MPA、GPA、EGPAを鑑別できるように、症状の似た他疾患の除外と、各診断基準を押さえます。

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関節リウマチ診療ガイドライン改訂、新導入の治療アルゴリズムとは

 2014年に初版が発刊された関節リウマチ診療ガイドライン。その後、新たな生物学的製剤やJAK阻害薬などが発売され、治療方法も大きく変遷を遂げている。今回、6年ぶりに改訂された本ガイドライン(GL)のポイントや活用法について、編集を担った針谷 正祥氏(東京女子医科大学医学部内科学講座膠原病リウマチ内科学分野)にインタビューした。日本独自の薬物治療、非薬物治療・外科的治療アルゴリズムを掲載 本GLは4つの章で構成されている。主軸となる第3章には治療方針と題し治療目標や治療アルゴリズム、55のクリニカルクエスチョン(CQ)と推奨が掲載。第4章では高額医療費による長期治療を余儀なくされる疾患ならではの医療経済的な側面について触れられている。 関節リウマチ(RA)の薬物治療はこの20年で大きく様変わりし、80年代のピラミッド方式、90年代の逆ピラミッド方式を経て、本編にて新たな治療アルゴリズム「T2T(Treat to Target)の治療概念である“6ヵ月以内に治療目標にある『臨床的寛解もしくは低疾患活動性』が達成できない場合には、次のフェーズに進む”を原則にし、フェーズIからフェーズIIIまで順に治療を進める」が確立された。 薬物治療アルゴリズムの概略は以下のとおり。<薬物治療アルゴリズム>(対象者:RAと診断された患者)◯フェーズI(CQ:1~4、26~28、34を参照)メトトレキサート(MTX)の使用を検討、年齢や合併症などを考慮し使用量を決定。MTXの使用が不可の場合はMTX以外の従来型抗リウマチ薬(csDMARD)を使用。また、MTX単剤で効果不十分の場合は他のcsDMARDを追加・併用を検討する。◯フェーズII(CQ:8~13、18、19、35を参照)フェーズIで治療目標非達成の場合。MTX併用・非併用いずれでの場合も生物学的製剤(bDMARD)またはヤヌスキナーゼ(JAK)阻害薬の使用を検討する。ただし、長期安全性や医療経済の観点からbDMARDを優先する。また、MTX非併用の場合はbDMARD(非TNF阻害薬>TNF阻害薬)またはJAK阻害薬の単剤療法も考慮できる。◯フェーズIII(CQ:14を参照)フェーズIIでbDMARDまたはJAK阻害薬の使用で効果不十分だった場合、ほかのbDMARDまたはJAK阻害薬への変更を検討する。TNF阻害薬が効果不十分の場合は非TNF阻害薬への切り替えを優先するが、その他の薬剤については、変更薬のエビデンスが不足しているため、future questionとしている。 このほか、各フェーズにて治療目標達成、関節破壊進行抑制、身体機能維持が得られれば薬物の減量を考慮する仕組みになっている。過去にピラミッドの下部層だったNSAIDや副腎皮質ステロイド、そして新しい治療薬である抗RANKL抗体は補助的治療の位置付けになっているが、「このアルゴリズムは単にエビデンスだけではなく、リウマチ専門医の意見、患者代表の価値観・意向、医療経済面などを考慮して作成した推奨を基に出来上がったものである」と同氏は特徴を示した。新参者のJAK阻害薬、高齢者でとくに注意したいのは感染症 今回の改訂で治療のスタンダードとして新たに仲間入りしたJAK阻害薬。ただし、高齢者では一般的に有害事象の頻度が高いことも問題視されており、導入の際には個々の背景の考慮が必要である。同氏は、「RA患者の60%は65歳以上が占める。もはやこの疾患では高齢者がマジョリティ」と話し、「その上で注意すべきは、肝・腎機能の低下による薬物血中濃度の上昇だ。処方可能な5つのJAK阻害薬はそれぞれ肝代謝、腎排泄が異なるので、しっかり理解した上で処方しなければならない」と強調した。また、高齢者の場合は感染症リスクにも注意が必要で、なかでも帯状疱疹は頻度が高く、日本人RA患者の発症率は4~6倍とも報告されている。「JAK阻害薬へ切り替える際にはリコンビナントワクチンである帯状疱疹ワクチンの接種も同時に検討する必要がある。これ以外にも肺炎、尿路感染症、足裏の皮下膿瘍、蜂窩織炎などが報告されている」と具体的な感染症を列挙し、注意を促した。非薬物療法や外科的治療―患者は積極的?手術前後の休薬は? RAはQOLにも支障を与える疾患であることから、薬物治療だけで解決しない場合には外科的治療などの検討が必要になる。そこで、同氏らは“世界初”の試みとして、非薬物治療・外科的治療のアルゴリズムも作成した。これについては「RAは治療の4本柱(薬物療法、手術療法、リハビリテーション、患者教育・ケア)を集学的に使うことが推奨されてきた。今もその状況は変わっていない」と述べた。 非薬物治療・外科的治療アルゴリズムの概略は以下のとおり。< 非薬物治療・外科的治療アルゴリズム>◯フェーズI慎重な身体機能評価(画像診断による関節破壊の評価など)を行ったうえで、包括的な保存的治療(装具療法、生活指導を含むリハビリテーション治療、短期的ステロイド関節内注射)を決定・実行する。◯フェーズII保存的治療を十分に行っても無効ないし不十分な場合に実施。とくに機能障害や変形が重度の場合、または薬物治療抵抗性の少数の関節炎が残存する場合は、関節機能再建手術(人工関節置換術、関節[温存]形成術、関節固定術など)を検討する。場合によっては手術不適応とし、可能な限りの保存的治療を検討。 患者の手術に対する意識については「罹病期間が短い患者さんのほうが手術をためらう傾向はあるが、患者同士の情報交換や『日本リウマチ友の会』などの患者コミュニティを活用して情報入手することで、われわれ医療者の意見にも納得されている。また、手術によって関節機能やQOLが改善するメリットを想像できるので、手術を躊躇する人は少ない」とも話した。 このほか、CQ37では「整形外科手術の周術期にMTXの休薬は必要か?」と記載があるが、他科の大手術に関する記述はない。これについては、「エビデンス不足により盛り込むことができなかった。個人的見解としては、大腸がんや肺がんなどの大手術の場合は1週間の休薬を行っている。一方、腹腔鏡のような侵襲が少ない手術では休薬しない場合もある。全身麻酔か否か、手術時間、合併症の有無などを踏まえ、ケース・バイ・ケースで対応してもらうのが望ましい」とコメントした。患者も手に取りやすいガイドライン 近年、ガイドラインは患者意見も取り入れた作成を求められるが、本GLは非常に患者に寄り添ったものになっている。たとえば、巻頭のクイックリファレンスには“患者さんとそのご家族の方も利用できます”と説明書きがあったり、第4章『多様な患者背景に対応するために』では、患者会が主導で行った患者アンケート調査結果(本診療ガイドライン作成のための患者の価値観の評価~患者アンケート調査~)が掲載されていたりする。患者アンケートの結果は医師による一方的な治療方針決定を食い止め、患者やその家族と医師が共に治療方針を決定していく上でも参考になるばかりか、患者会に参加できない全国の患者へのアドバイスとしての効力も大きいのではないだろうか。このようなガイドラインがこれからも増えることを願うばかりである。今後の課題、RA患者のコロナワクチン副反応データは? 最後に食事療法や医学的に問題になっているフレイル・サルコペニアの影響について、同氏は「RA患者には身体負荷や生命予後への影響を考慮し、肥満、骨粗鬆症、心血管疾患の3つの予防を掲げて日常生活指導を行っているが、この点に関する具体的な食事療法についてはデータが乏しい。また、フレイル・サルコペニアに関しては高齢RA患者の研究データが3年後に揃う予定なので、今後のガイドラインへ反映させたい」と次回へバトンをつないだ。 なお、日本リウマチ学会ではリウマチ患者に対する新型コロナワクチン接種の影響を調査しており、副反応で一般的に報告されている症状(発熱、全身倦怠感、局所反応[腫れ・痛み・痒み]など)に加えて、関節リウマチ症状の悪化有無などのデータを収集している。現段階で公表時期は未定だが、データ収集・解析が完了次第、速やかに公表される予定だ。

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リンヴォック:さまざまな患者の治療選択肢となる経口tsDMARD

関節リウマチ治療におけるT2Tの実践と課題関節リウマチ治療は、長期的なQOL改善につながる「臨床的寛解」を目標(Target)として設定し、これに向けて治療(Treat)を最適化する戦略、Treat to Target(T2T)が推奨されている1)。具体的には、疾患活動性を評価しながら薬物治療を見直し、適切な治療方針を検討することが勧められる。近年、臨床的寛解の達成率は上昇しているが、いまだ達成に至らない患者も多い2)。こういった患者に対し、新たに選択肢となる治療薬が求められている。JAK阻害薬「リンヴォック」関節リウマチ治療薬には、従来型合成抗リウマチ薬(csDMARD)、生物学的製剤(bDMARD)、分子標的型合成抗リウマチ薬(tsDMARD)などがある。リンヴォック(一般名:ウパダシチニブ)は、炎症性サイトカインに関わるヤヌスキナーゼ(JAK)、とくにJAK1を強く阻害する経口のtsDMARDであり、新しい治療選択肢の1つとなっている。6つの大規模臨床試験で効果を検証リンヴォックは、中等症~重症の活動性関節リウマチ患者計4,500例以上を対象とした6つのSELECT試験により、有効性、安全性が検討された。有効性は、主に米国リウマチ学会基準の20%、50%の改善率(ACR20、ACR50)と、28関節の疾患活動性スコア(DAS28)に基づいて評価された。SELECT-COMPARE試験:MTX(メトトレキサート)で効果不十分な患者に対し、リンヴォック15mgとMTXを併用し(リンヴォック群)、プラセボ群およびアダリムマブ群と比較した。「ACR20改善率(12週時)」は70.5%(プラセボ群36.4%)、「DAS28(CRP)<2.6に基づく臨床的寛解達成率(12週時)」は28.7%(プラセボ群6.1%)であり、いずれもリンヴォック群の優越性が検証された(p<0.001)。また、「ACR50改善率(12週時)」は45.2%(アダリムマブ群29.1%)であり、リンヴォック群の優越性が示された(p<0.001)。主な有害事象は、上気道感染(5.7%)、鼻咽頭炎(5.5%)、気管支炎(4.6%)などであった(26週時)。SELECT-MONOTHERAPY試験※:MTXで効果不十分な患者に対し、リンヴォック15mgを単独投与し(リンヴォック群)、MTX群と比較した。「ACR20改善率(14週時)」は67.7%(MTX群41.2%)、「DAS28(CRP)≦3.2に基づく低疾患活動性達成率(14週時)」は44.7%(MTX群19.4%)であり、いずれもリンヴォック群の優越性が検証された(p<0.001)。主な有害事象は、尿路感染および上気道感染(各4.1%)などであった(14週時)。SELECT-SUNRISE試験※:csDMARDで効果不十分な患者に対し、リンヴォック7.5mg、15mgとcsDMARDを併用し(リンヴォック群)、プラセボ群と比較した。「ACR20改善率(12週時)」は、7.5mg群、15mg群でそれぞれ75.5%、83.7%(プラセボ群42.9%)であり、リンヴォック群の優越性が検証された(p<0.001)。7.5mg群の主な有害事象は、鼻咽頭炎(10.2%)、口内炎および高血圧(各6.1%)、15mg群は、鼻咽頭炎(12.2%)、肝機能検査値上昇(6.1%)などであった(12週時)。このほかにも、SELECT-NEXT試験(csDMARDで効果不十分な患者に対し、csDMARD併用下での効果をプラセボと比較)、SELECT-BEYOND試験(bDMARDで効果不十分・不耐容の患者に対し、csDMARD併用下での効果をプラセボと比較)、SELECT-EARLY試験※(MTX未治療の患者に対し、単独投与での効果をMTXと比較)が実施され、効果が検証されている。※日本人患者を含む試験(SELECT-SUNRISEは国内試験)リンヴォックへの期待SELECT試験は、臨床におけるさまざまな患者像を想定したデザインで実施された。いずれの試験でも有効性、安全性が示されたことで、リンヴォックが多くの患者に使用できる有用な選択肢になると考えられる。また、『関節リウマチ診療ガイドライン3)』の改訂により、今後JAK阻害薬の使用機会増加が予想される。各JAK阻害薬の特徴による違いも含め、実臨床での使用データが蓄積することで、リンヴォックが適する患者像はより明確になっていくだろう。新たな選択肢の登場により、1人でも多くの患者が臨床的寛解を達成することを期待したい。1)Smolen JS, et al. Ann Rheum Dis. 2016;75:3-15.2)Yamanaka H, et al. Mod Rheumatol. 2020;30:1-6.3)日本リウマチ学会. 関節リウマチ診療ガイドライン2020

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総合内科専門医試験オールスターレクチャー アレルギー

第1回 食物アレルギー アナフィラキシー第2回 喘息 抗体医薬第3回 アレルギー性鼻炎 重症薬疹・薬剤アレルギー 総合内科専門医試験対策レクチャーの決定版登場!総合内科専門医試験の受験者が一番苦労するのは、自分の専門外の最新トピックス。そこでこのシリーズでは、CareNeTV等で評価の高い内科各領域のトップクラスの専門医を招聘。各科専門医の視点で“出そうなトピック”を抽出し、1講義約20分で丁寧に解説します。キャッチアップが大変な近年のガイドラインの改訂や新規薬剤をしっかりカバー。Up to date問題対策も万全です。アレルギーについては、聖路加国際病院リウマチ膠原病センターの岡田正人先生がレクチャーします。バイオテクノロジーの進歩によって次々と開発される抗体医薬や、より精度が上がったアレルゲン検査など、アレルギー治療の最新トレンドを解説します。※「アップデート2022追加収録」はCareNeTVにてご視聴ください。第1回 食物アレルギー アナフィラキシー アレルギーの第1回では、I型アレルギーの1つである食物アレルギーについて、例題を提示しながら、症状からアレルゲンを特定する際のポイントを解説します。近年実用化が進んでいるアレルゲンコンポーネント検査によって、感度・特異度ともに精度の高い診断が可能となりました。主な食品に対応するアレルゲンコンポーネントを確認しましょう。アナフィラキシーを起こした際は、第2層反応にも注意して適切な治療を行います。第2回 喘息 抗体医薬アレルギーの第2回は、喘息の治療法について解説します。この10年ほどで、重症喘息に対して使用できる生物学的製剤が相次いで登場しました。喘息のタイプによって、各抗体医薬を使い分ける必要があります。また、喘息の抗体医薬品が、ほかのアレルギー性疾患にも効果があることが明らかになりました。アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎、慢性蕁麻疹への、各薬剤の適応を確認します。 第3回 アレルギー性鼻炎 重症薬疹・薬剤アレルギーアレルギーの第3回は、アレルギー性鼻炎と、重症薬疹を中心に薬剤アレルギーを取り上げます。アレルギー性鼻炎で最もよく使われる抗ヒスタミン薬。作用の仕組みと、添付文書でとくに注意する点を解説します。近年、スギ花粉症とダニアレルギーに対して、質の高い舌下免疫療法の薬が登場し、治療を希望する患者さんも増えています。薬剤アレルギーについては、SJS/TENやDIHSといった重症薬疹の、原因となる薬剤を確認します。

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総合内科専門医試験オールスターレクチャー 血液

第1回 急性・慢性白血病第2回 悪性リンパ腫第3回 多発性骨髄腫 Oncology emergency第4回 骨髄増殖性腫瘍 造血幹細胞移植第5回 貧血性疾患・造血不全第6回 出血・血栓性疾患 総合内科専門医試験対策レクチャーの決定版登場!総合内科専門医試験の受験者が一番苦労するのは、自分の専門外の最新トピックス。そこでこのシリーズでは、CareNeTV等で評価の高い内科各領域のトップクラスの専門医を招聘。各科専門医の視点で“出そうなトピック”を抽出し、1講義約20分で丁寧に解説します。キャッチアップが大変な近年のガイドラインの改訂や新規薬剤をしっかりカバー。Up to date問題対策も万全です。血液については、渡邉純一先生が講義します。数々の新薬の登場による血液腫瘍の治療法の変化が最大のポイントです。※「アップデート2022追加収録」はCareNeTVにてご視聴ください。第1回 急性・慢性白血病第1回のテーマは、急性・慢性白血病です。急性骨髄性白血病、急性前骨髄球性白血病、急性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病について、近年のガイドラインの改訂や、新規薬剤の情報を整理して解説します。第2回 悪性リンパ腫血液の第2回は、悪性リンパ腫について解説します。悪性リンパ腫については、低悪性度から高悪性度B細胞リンパ腫など、各種それぞれのリンパ腫に適した、多数の新規薬剤が登場し、治療のスタンダードとなっています。臨床データを押さえながら、新しい治療薬について説明します。第3回 多発性骨髄腫 Oncology emergency血液の第3回は、多発性骨髄腫とOncology emergencyについて解説します。近年、さまざまな新規薬剤によって、予後が改善している多発性骨髄腫。ただし、完治が厳しい疾患であることには変わりなく、共存を目的とした治療計画が立てられています。薬剤のメカニズムと副作用も重要なポイントです。悪性腫瘍の経過で、急速に悪化した場合の緊急治療Oncology emergencyについて、血液内科領域の対応や基礎疾患、症状を確認します。第4回 骨髄増殖性腫瘍 造血幹細胞移植骨髄増殖性腫瘍には、真性多血症、原発性骨髄繊維症、本態性血小板血症があります。年齢によってリスクが変化するため、治療方針も異なります。使用する薬剤のメリットとデメリットも確認しましょう。造血幹細胞移植には、自家移植と同種移植があります。とくに同種移植について、合併症のリスクや保険適用となった新薬の解説をします。第5回 貧血性疾患・造血不全骨髄不全の疾患である、再生不良性貧血、発作性夜間血色素尿症、骨髄異形成症候群について解説します。近年ガイドラインが改訂された、再生不良性貧血の診療指針の変更点や、骨髄異形成症候群のリスク分類を確認しておきましょう。造血不全による貧血性の疾患は、各種貧血の病態や、保険適用となっている薬剤など、基本をしっかり復習します。第6回 出血・血栓性疾患出血・血栓性疾患には、血小板減少を伴うものと、凝固異常を伴うものがあります。特発性血小板減少性紫斑病と血栓性血小板減少性紫斑病のガイドラインには、新薬が加えられました。播種性血管内凝固は、診断基準がアップデートされたので注意しましょう。後天性血友病、フォンウィルブランド病、抗リン脂質抗体症候群、先天性血友病についてもポイントを説明します。

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TNF阻害薬治療中のIBD患者でCOVID-19感染後の抗体保有率低下

 生物学的製剤であるTNF阻害薬を巡っては、これまでの研究で肺炎球菌やインフルエンザおよびウイルス性肝炎ワクチン接種後の免疫反応を減弱させ、呼吸器感染症の重症化リスクを高めることが報告されていた。ただし、新型コロナ感染症(COVID-19)ワクチンに対しては不明である。英国・Royal Devon and Exeter NHS Foundation TrustのNicholas A Kennedy氏らは、炎症性腸疾患(IBD)を有するインフリキシマブ治療患者のCOVID-19感染後の抗体保有率について、大規模多施設前向きコホート研究を実施した。その結果、インフリキシマブ治療群では、コホート群と比べ抗体保有率が有意に低いことがわかった。著者らは、「本結果により、COVID-19に対するインフリキシマブの免疫血清学的障害の可能性が示唆された。これは、世界的な公衆衛生政策およびTNF阻害薬治療を受ける患者にとって重要な意味を持つ」とまとめている。Gut誌オンライン版2021年3月22日号の報告。 研究グループは、2020年9月22日~12月23日に、英国の92医療施設に来院したIBD患者7,226例を連続して登録。このうち血清サンプルと患者アンケートが得らえた6,935例について調べた。被験者のうち67.6%(4685/6935例)がインフリキシマブによる治療を受け、32.4%(2250/6935例)がベドリズマブによる治療を受けた。 主な結果は以下のとおり。・インフリキシマブ治療群とベドリズマブ治療群において、SARS-CoV-2感染に関する割合は両群間で類似していた:疑い例(36.5%[1712/4685例] vs.39.0[877/2250例]、p=0.050)、PCR陽性(5.2%[89/1712例] vs.4.3%[38/877例]、p=0.39)、入院(0.2%[8/4685例] vs.0.2%[5/2250例]、p=0.77)。・血清有病率は、インフリキシマブ治療群のほうがベドリズマブ治療群よりも有意に低かった(3.4%[161/4685例] vs.6.0%[134/2250例])、p<0.0001]。・多変数ロジスティック回帰分析では、インフリキシマブ群(vs.ベドリズマブ群のOR:0.66、95%信頼区間[CI]:0.51〜0.87)、p=0.0027)および免疫抑制薬(同:0.70、95%CI:0.53〜0.92、p=0.012)において、より低い血清陽性と独立して関連していた。・SARS-CoV-2感染後、セロコンバージョンが認められた被験者は、インフリキシマブ治療群のほうがベドリズマブ治療群よりも少なかった(48%[39/81例] vs.83%[30/36例])、p=0.00044)。

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JAK阻害薬upadacitinib、対アダリムマブの優越性は?/NEJM

 乾癬性関節炎患者の治療において、ウパダシチニブはプラセボおよびアダリムマブと比較して、12週時に米国リウマチ学会(ACR)基準で20%の改善(ACR20)を達成した患者の割合が高いが、プラセボに比べ有害事象が高頻度にみられることが、英国・グラスゴー大学のIain B. McInnes氏らが行った「SELECT-PsA 1試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌2021年4月1日号に掲載された。ウパダシチニブは、可逆的な経口ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害薬で、関節リウマチの治療薬として承認されている。また、アダリムマブは、腫瘍壊死因子α阻害薬であり、関節リウマチおよび乾癬性関節炎の治療に使用されている。2種の用量を評価する国際的な二重盲検第III相試験 本研究は、非生物学的疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARD)の効果が不十分な乾癬性関節炎患者におけるウパダシチニブの有用性を、プラセボおよびアダリムマブと比較する24週の二重盲検第III相試験であり、日本を含む45ヵ国281施設が参加し、2017年4月~2019年12月の期間に実施された(AbbVieの助成による)。 対象は、年齢18歳以上、乾癬性関節炎と診断され、「乾癬性関節炎分類基準(Classification Criteria for Psoriatic Arthritis)」を満たし、過去または現在、尋常性乾癬に罹患している患者であった。 被験者は、ウパダシチニブ15mgまたは30mgを1日1回経口投与する群、プラセボ群、アダリムマブ40mgを隔週で皮下投与する群に、1対1対1対1の割合で無作為に割り付けられた。 主要エンドポイントは、プラセボと比較した12週時のACR20の達成とした。ACR20は、圧痛・腫脹関節数の20%以上の減少、および他の5つの項目(疾患活動性の患者・医師による評価、質問票による身体機能の評価、患者による疼痛評価、高感度C反応性蛋白)のうち少なくとも3つの20%以上の改善と定義された。副次エンドポイントには、アダリムマブとの比較が含まれた。15mg群は、アダリムマブ群に対する優越性はない 1,704例が、少なくとも1回の実薬またはプラセボの投与を受けた。ウパダシチニブ15mg群が429例(平均年齢[SD]51.6±12.2歳、女性55.5%)、同30mg群が423例(49.9±12.4歳、55.8%)、プラセボ群が423例(50.4±12.2歳、49.9%)、アダリムマブ群は429例(51.4±12.0歳、51.7%)であった。 12週の時点で、ACR20を達成した患者の割合は、ウパダシチニブ15mg群が70.6%、同30mg群が78.5%、プラセボ群が36.2%、アダリムマブ群は65.0%であった。15mg群とプラセボ群の差は34.5ポイント(95%信頼区間[CI]:28.2~40.7、p<0.001)、30mg群とプラセボ群の差は42.3ポイント(36.3~48.3、p<0.001)であり、ウパダシチニブの2つの用量はいずれもプラセボ群に比べ有意に優れた。 また、15mg群とアダリムマブ群の群間差は5.6ポイント(95%CI:-0.6~11.8)、30mg群とアダリムマブ群との群間差は13.5ポイント(7.5~19.4、p<0.001)であった。12週時のACR20達成割合に関して、ウパダシチニブの2つの用量はいずれも、アダリムマブ群に対し非劣性であった。優越性は、30mg群では認められたものの、15mg群ではみられなかった。 24週までの有害事象の発生率は、ウパダシチニブ15mg群が66.9%、同30mg群が72.3%、プラセボ群が59.6%、アダリムマブ群は64.8%であった。重篤な感染症は、それぞれ1.2%、2.6%、0.9%、0.7%に発現し、ウパダシチニブ群で多かった。肝障害は、15mg群が9.1%、30mg群が12.3%でみられたが、Grade3のアミノトランスフェラーゼ上昇の発生は全群で2%以下だった。 著者は、「ウパダシチニブの効果とリスクを明らかにし、その効果を乾癬性関節炎の治療に使用されている他の薬剤と比較するには、より長期で、より大規模な試験が求められる」としている。

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「アクテムラ」の名称の由来は?【薬剤の意外な名称由来】第46回

第46回 「アクテムラ」の名称の由来は?販売名アクテムラ®点滴静注用80mgアクテムラ®点滴静注用200mgアクテムラ®点滴静注用400mgアクテムラ®皮下注162mgシリンジアクテムラ®皮下注162mgオートインジェクター一般名(和名[命名法])トシリズマブ(遺伝子組換え)(JAN)効能又は効果【点滴静注用製剤】○既存治療で効果不十分な下記疾患関節リウマチ(関節の構造的損傷の防止を含む)、多関節に活動性を有する若年性特発性関節炎、全身型若年性特発性関節炎、成人スチル病 ○キャッスルマン病に伴う諸症状及び検査所見(C反応性タンパク高値、フィブリノーゲン高値、 赤血球沈降速度亢進、ヘモグロビン低値、アルブミン低値、全身けん怠感)の改善。ただし、リンパ節の摘除が適応とならない患者に限る。 ○腫瘍特異的T細胞輸注療法に伴うサイトカイン放出症候群 【皮下注製剤】既存治療で効果不十分な下記疾患 ○関節リウマチ(関節の構造的損傷の防止を含む) ○高安動脈炎、巨細胞性動脈炎用法及び用量【点滴静注用製剤】 〈関節リウマチ及び多関節に活動性を有する若年性特発性関節炎〉通常、トシリズマブ(遺伝子組換え)として1回8mg/kgを4週間隔で点滴静注する。〈全身型若年性特発性関節炎、成人スチル病及びキャッスルマン病〉 通常、トシリズマブ(遺伝子組換え)として1回8mg/kgを2週間隔で点滴静注する。なお、 症状により1週間まで投与間隔を短縮できる。〈サイトカイン放出症候群〉通常、トシリズマブ(遺伝子組換え)として体重30kg以上は1回8mg/kg、体重30kg未満は1回12mg/kgを点滴静注する。【皮下注製剤】〈関節リウマチ〉通常、成人には、トシリズマブ(遺伝子組換え)として1回162mgを2週間隔で皮下注射する。なお、効果不十分な場合には、1週間まで投与間隔を短縮できる。〈高安動脈炎、巨細胞性動脈炎〉通常、トシリズマブ(遺伝子組換え)として1回162mgを1週間隔で皮下注射する。警告内容とその理由【点滴静注用製剤:〈効能共通〉】【皮下注製剤】1.感染症本剤投与により、敗血症、肺炎等の重篤な感染症があらわれ、致命的な経過をたどることが ある。本剤はIL-6の作用を抑制し治療効果を得る薬剤である。IL-6は急性期反応(発熱、CRP増加等)を誘引するサイトカインであり、本剤投与によりこれらの反応は抑制されるため、感染症に伴う症状が抑制される。そのため感染症の発見が遅れ、重篤化することがあるので、本剤投与中は患者の状態を十分に観察し問診を行うこと。症状が軽微であり急性期反応が認められないときでも、白血球数、好中球数の変動に注意し、感染症が疑われる場合には、胸部X線、CT等の検査を実施し、適切な処置を行うこと。【点滴静注用製剤】〈効能共通〉2.治療開始に際しては、重篤な感染症等の副作用があらわれることがあること及び本剤が疾病を完治させる薬剤でないことも含めて患者に十分説明し、理解したことを確認した上で、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ本剤を投与すること。〈関節リウマチ及び多関節に活動性を有する若年性特発性関節炎〉3.本剤の治療を行う前に、少なくとも1剤の抗リウマチ薬の使用を十分勘案すること。また、本剤についての十分な知識といずれかの疾患の治療経験をもつ医師が使用すること。〈全身型若年性特発性関節炎及び成人スチル病〉4.本剤についての十分な知識といずれかの疾患の治療の経験をもつ医師が使用すること。〈サイトカイン放出症候群〉5.本剤についての十分な知識と腫瘍特異的T細胞輸注療法に伴うサイトカイン放出症候群の治療の知識・経験をもつ医師が使用すること。【皮下注製剤】2.治療開始に際しては、重篤な感染症等の副作用があらわれることがあること及び本剤が疾病を完治させる薬剤でないことも含めて患者に十分説明し、理解したことを確認した上で、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ本剤を投与すること。3.本剤の治療を行う前に、各適応疾患の既存治療薬の使用を十分勘案すること。4.本剤についての十分な知識と適応疾患の治療の知識・経験をもつ医師が使用すること。禁忌内容とその理由禁忌(次の患者には投与しないこと)【点滴静注用製剤】【皮下注製剤】 1.重篤な感染症を合併している患者[感染症が悪化するおそれがある。]2.活動性結核の患者[症状を悪化させるおそれがある。]3.本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者※本内容は2021年4月7日時点で公開されているインタビューフォームを基に作成しています。※副作用などの最新の情報については、インタビューフォームまたは添付文書をご確認ください。1)2021年1月改訂(第27版)医薬品インタビューフォーム「アクテムラ®点滴静注用80mg・アクテムラ®点滴静注用200mg・アクテムラ®点滴静注用400mg/アクテムラ®皮下注162mgシリンジ/アクテムラ®皮下注162mgオートインジェクター」2)中外製薬:PLUS CHUGAI

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TNF阻害薬効果不十分のRA、トシリズマブvs.リツキシマブ/Lancet

 TNF阻害薬で効果不十分の関節リウマチ患者において、RNAシークエンシングに基づく滑膜組織の層別化は病理組織学的分類と比較して臨床効果とより強く関連しており、滑膜組織のB細胞が低発現または存在しない場合は、リツキシマブよりトシリズマブが有効であることを、英国・ロンドン大学クイーン・メアリー校のFrances Humby氏らが、多施設共同無作為化非盲検第IV相比較試験「rituximab vs tocilizumab in anti-TNF inadequate responder patients with rheumatoid arthritis:R4RA試験」の16週間の解析結果、報告した。生物学的製剤は関節リウマチの臨床経過を大きく変えたが、40%の患者は十分な効果を得られないことが示唆されており、その機序はいまだ明らかになっていない。関節リウマチ患者の50%以上は、リツキシマブの標的であるCD20 B細胞が滑膜組織に存在しない、または少ないために、IL-6受容体阻害薬のトシリズマブのほうが有効である可能性が考えられていた。Lancet誌2021年1月23日号掲載の報告。滑膜組織のB細胞発現で分類し、リツキシマブとトシリズマブの有効性を比較 研究グループは欧州5ヵ国(英国、ベルギー、イタリア、ポルトガル、スペイン)の19施設において、「ACR/EULAR関節リウマチの分類基準2010年」を満たし、英国のNICEガイドラインに従いリツキシマブによる治療の対象となる18歳以上の関節リウマチ患者を登録。ベースラインの滑膜生検におけるB細胞発現(組織学的にB細胞が多い「B細胞rich」または少ない「B細胞poor」に分類)を層別因子として、リツキシマブ群(1,000mgを2週間隔で2回点滴投与)またはトシリズマブ群(8mg/kgを4週間隔で点滴投与)に、1対1の割合で無作為に割り付けた。また、層別化の精度を高めるため、ベースライン滑膜生検組織についてRNAシークエンシングを行い、B細胞の分子シグネチャーで再分類した。 主要評価項目は、臨床的疾患活動性指標(CDAI)のベースラインからの50%改善(CDAI 50%)とした。RNAシークエンシングでB細胞poorの場合、トシリズマブが有意に奏効 2013年2月28日~2019年1月17日に164例が組織学的に分類され、リツキシマブ群(83例、51%)またはトシリズマブ群(81例、49%)に割り付けられた。 組織学的なB細胞poorの患者集団では、CDAI 50%を達成した患者の割合はリツキシマブ群(45%、17/38例)とトシリズマブ群(56%、23/41例)で有意差は認められなかった(群間差:11%、95%信頼区間[CI]:-11~33、p=0.31)。しかし、RNAシークエンシングによるB細胞poorの患者集団では、CDAI 50%を達成した患者の割合はリツキシマブ群(36%、12/33例)と比較してトシリズマブ群(63%、20/32例)で有意に高かった(群間差:26%、95%CI:2~50、p=0.035)。 有害事象の発現率はリツキシマブ群70%(76/108例)、トシリズマブ群80%(94/117例)(群間差:10%、95%CI:-1~21)、重篤な有害事象の発現率はそれぞれ7%(8/108例)、10%(12/117例)であり(3%、-5~10)、いずれも両群で有意差はなかった。

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