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大規模個別患者データに基づくBayes流メタ解析が“非ステロイド性消炎鎮痛薬(COX-2を含む)が総じて急性心筋梗塞発症リスクを増加させる”と報告(解説:島田 俊夫 氏)-685

 本論文では、急性心筋梗塞(AMI)発症の既往歴を有する6万1,460例を含む44万6,763例(38万5,303例はコントロール)の信頼できる大規模個別データ(カナダおよび欧州)を対象にAMIを主な評価項目とし、COX-2選択的阻害薬と従来型NSAIDsの使用と非使用者でAMI発症リスク差を検証するためにBayes流メタ解析1,2)が行われた。 最初1週目(1~7日)、1ヵ月未満、1ヵ月以上の期間でのNSAIDs投与が、いずれの期間においてもAMI発症リスクを有意に増加させた。最初1週目のNSAIDs使用によるAMI発症リスクの事後確率(オッズ比>1.0の事後確率)は、セレコキシブで92%、イブプロフェンで97%、 ジクロフェナク、ナプロキセンおよびrofecoxib(心血管系の副作用のために2004年に米国で販売中止、日本では未承認)でそれぞれ99%であった。対応する調整オッズ比(95%信頼区間)は、セレコキシブで1.24(0.91~1.82)、イブプロフェンで1.48(1.00~2.26)、ジクロフェナクで1.50(1.06~2.04)、ナプロキセンで1.53(1.07~2.33)、 rofecoxibで1.58(1.07~2.17)と高い発症リスクを示し、NSAIDsの高用量投与でさらにリスクが増加することも明らかになった。 1ヵ月を超える長期に渡る投与でのAMI発症リスクは、1ヵ月未満の投与と比較して、そのリスクを上回ることはなかった。服用中止による30日未満では、AMI発症リスクはわずかに低下するにとどまったが、その後1年間でAMI発症リスクはほぼ前の状態に復した。コメント: NSAIDs服用はAMI発症リスクを増加させると言われていたが、大規模症例の確保が難しい状況もあり信頼に足る大規模研究の実施は困難で、議論の余地が残っていた。従来のNSAIDsとCOX-2を含めた経口非ステロイド性消炎鎮痛薬のAMI発症リスク評価のために、ビッグデータを用いた個別データBayes流メタ解析手法3)を使用することで、症例数の不足やその他の問題点の解決に道が開かれた。 本研究によりナプロキセンを含むすべてのNSAIDsが、AMI発症リスクの増加と密接に関係していることが明らかになった。セレコキシブ(COX-2)のAMI発症リスクは従来のNSAIDsとほぼ同等かやや少ない程度であり、 rofecoxib(COX-2)よりは有意に低かった。AMI発症リスクはNSAIDsの最初の1ヵ月の使用期間中で、しかも高用量投与においてAMI発症リスクが最も高くなった。 要するに、NSAIDsの種類によりAMI発症リスクに多少の差があるけれども、COX-2および従来型NSAIDsともAMI発症リスクは五十歩百歩で、総じて気安く使用することへの警鐘として本論文の結果を真摯に受け止めることは重要である。今後、本論文で使用されたビッグデータとしての個別患者データに基づくBayes流メタ解析は、大規模集団形成が難しい研究に使用される有望な解析モデルになるかもしれない。■参考Kalil AC, et al. Intensive Care Med. 2011;37:420-429.Shimada T, et al. Rinsyo Byori. 2016;64:133-141.Riley RD, et al. BMJ. 2010;340:c221.

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潰瘍性大腸炎の寛解導入と寛解維持におけるトファシチニブの有用性と安全性(解説:上村 直実 氏)-683

 潰瘍性大腸炎(UC)に関しては寛解導入および寛解維持を目的として、5-アミノサリチル酸(5-ASA)、ステロイド、免疫調節薬、抗TNFα薬、血球成分除去療法などによる治療が行われているが、今回、非受容体型チロシンキナーゼでサイトカイン受容体と関連するJanus kinase(JAK)の選択的阻害薬であるトファシチニブに関する検討結果が報告された。 抗TNFなどの抗体製剤の開発が進むなか、経口低分子JAK阻害薬が潰瘍性大腸炎の寛解導入にも寛解維持にもプラセボに比べて有意に有効であったが、安全性には今後の検討が必要との成績であった。1年前のNEJM誌に報告された、スフィンゴシン-1-リン酸受容体のサブタイプ1と5の経口作動薬であるozanimodの8週時点での臨床的寛解率と単純に比較すると、活動性UCの寛解導入における有用性が期待されるが、長期使用を要する寛解維持に用いることはまだ躊躇される研究結果である。 わが国におけるトファシチニブは2013年に慢性関節リウマチ(RA)に対して保険承認されている薬剤で、低分子医薬品であるため生物学的製剤とは異なり経口投与が可能である点が特徴的である。一方、副作用として結核、肺炎、敗血症、ウイルス感染などの重篤な感染症が報告されており、日本リウマチ学会のガイドラインにも「MTXを投与できない患者は原則として対象としないことが望ましい」と明記されている。今回の研究でもプラセボに比べて感染症や帯状疱疹が明らかに多く出現していることから、UCの寛解維持療法に使用するには長期の安全性確認が必須と思われる。 トファシチニブはUCに対する有用性の高い治療薬として期待されるものの、本研究期間の短さおよび有効率の低さなどから、トファシチニブの臨床的有用性を確認するためには長期間のリスク・ベネフィットを明らかにする臨床試験が必要であると考えられた。

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難治性EGPAにメポリズマブは有用か?/NEJM

 好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA)患者において、標準治療へのメポリズマブ併用はプラセボ併用と比較し、寛解維持期間が有意に長く、持続的寛解を達成した患者の割合も高く、ステロイドの使用量も減少した。ただし、メポリズマブ群においてプロトコルで定義した寛解が得られた患者は、約半数のみであった。米国・National Jewish HealthのMichael E. Wechsler氏らが、EGPA患者を対象としたメポリズマブの第III相多施設共同無作為化二重盲検試験の結果を報告した。EGPAはチャーグ・ストラウス症候群として知られていた多発血管炎を伴う好酸球性肉芽腫症で、患者の多くがステロイド治療に依存しており、再発することが多い。これまでの研究で、抗IL-5モノクローナル抗体薬であるメポリズマブは、好酸球数を減少させ、EGPA治療の効果が期待できると示唆されていた。NEJM誌2017年5月18日号掲載の報告。メポリズマブの有効性を累積寛解維持期間と寛解率で評価 研究グループは、ステロイド(プレドニゾロンまたはプレドニゾン)を含む標準治療を4週以上受けている、再燃または難治性EGPA患者136例を、標準治療にメポリズマブ(300mgを4週ごとに皮下投与)を加える群とプラセボを加える群に無作為に割り付け(各群68例)、52週間投与した。 主要評価項目は、累積寛解維持期間(0週間、>0~<12週間、12~<24週間、24~<36週間、≧36週間の各期間寛解状態にあった患者の割合)、ならびに持続的寛解達成率(36週および48週の両時点で寛解状態にあった患者の割合)。副次評価項目は、初回再発までの期間、48~52週におけるステロイドの1日平均投与量、年間再発率、安全性などであった。 寛解は、バーミンガム血管炎活動性スコア(BVAS)が0、かつステロイド投与量が4.0mg/日以下(プレドニゾロンまたはプレドニゾン換算)と定義された。メポリズマブで累積寛解維持期間が長く、持続的寛解率も高い メポリズマブ群はプラセボ群と比較して有意に累積寛解維持期間が長く(24週間以上の累積寛解維持期間を達成した患者の割合:28 vs.3%、オッズ比[OR]5.91、95%信頼区間[CI]:2.68~13.03、p<0.001)、持続的寛解達成率も高値であった(32 vs.3%、OR:16.74、95%CI:3.61~77.56、p<0.001)。寛解を達成できなかった患者の割合はメポリズマブ群47%、プラセボ群81%で、年間再発率はそれぞれ1.14および2.27であった(率比:0.50、95%CI:0.36~0.70、p<0.001)。また、48~52週におけるステロイドの平均投与量が4.0mg/日以下であった患者の割合は、メポリズマブ群44%に対しプラセボ群は7%であった(OR:0.20、95%CI:0.09~0.41、p<0.001)。 安全性については、両群で有害事象の発現率に有意差はなく、メポリズマブの安全性プロファイルは先行研究と類似していた。 なお、著者は、BVASは血管炎の評価法でEGAPの標準的な評価法ではないこと、試験登録時のステロイド投与量はさまざまであったこと、すでに炎症マーカーが抑制されていた可能性があるなどを、研究の限界として挙げている。

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NSAIDで心筋梗塞リスクが増大?44万例の調査/BMJ

 NSAID(非ステロイド性抗炎症薬)は急性心筋梗塞のリスクを増大させ、COX-2選択的阻害薬セレコキシブのリスクは従来型NSAIDと同等で、rofecoxib(米国で心血管系の副作用のため2004年に販売中止、日本では未発売)に比べて低いことが、カナダ・モントリオール大学のMichele Bally氏らの調査で明らかとなった。最初の1ヵ月が最もリスクが高く、用量が多いほど高リスクであることもわかった。研究の成果は、BMJ誌2017年5月9日号に掲載された。従来型およびCOX-2選択型NSAIDは、いずれも急性心筋梗塞のリスクを増大させることを示唆するエビデンスがあるが、用量や治療期間の影響、各薬剤のリスクの違いはよく知られていないという。COX-2選択的阻害薬および従来型NSAIDの発症リスクを解明 研究グループは、NSAID関連心筋梗塞の発症の経時的な変動およびそのリスクを解明するために、文献の系統的レビューを行い、個々の患者データを用いたベイジアンメタ解析を実施した(筆頭著者の学位論文、マギル大学健康研究所の助成を受けた)。 文献の収集にはカナダと欧州の医療データベースを用いた。一般人口または高齢者を対象に、急性心筋梗塞をアウトカムとし、COX-2選択的阻害薬(セレコキシブ、rofecoxib)および従来型NSAID(ジクロフェナク、イブプロフェン、ナプロキセン)の使用者と非使用者で発症リスクを検討した試験を選出した。 44万6,763例のデータが得られた。このうち6万1,460例が急性心筋梗塞を発症した(対照群:38万5,303例)。NSAID 1~7日投与で24~58%リスク増加、高用量8~30日投与が最も高リスク すべての用量のNSAIDで、1週、1ヵ月、1ヵ月以上の投与のいずれにおいても、心筋梗塞のリスクが上昇した。また、1~7日の投与による心筋梗塞リスクの増加の確率(心筋梗塞の補正オッズ比[OR]が>1.0となる可能性)は、セレコキシブが92%、イブプロフェンが97%、ジクロフェナク、ナプロキセン、rofecoxibは99%であり、補正ORはそれぞれ1.24(95%信用区間:0.91~1.82)、1.48(1.00~2.26)、1.50(1.06~2.04)、1.53(1.07~2.33)、1.58(1.07~2.17)であった。 心筋梗塞のリスクは、NSAIDの用量が増加するに従って上昇した。リスクはNSAID投与開始1週目には発現した。また、8~30日間の高用量NSAID毎日投与(セレコキシブ>200mg、イブプロフェン>1,200mg、ジクロフェナク>100g、ナプロキセン>750mg)のリスクが最も高く、30日以降のさらなるリスク上昇は明確ではなかった。 著者は、「1週目にはリスクが発現し、高用量を使用した場合、最初の1ヵ月のリスクが最も高いことを考慮すると、処方者は、とくに高用量では治療開始前にリスクとベネフィットを重点的に熟考すべきである」と指摘している。

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潰瘍性大腸炎へのトファシチニブ、第III相試験の結果/NEJM

 米国・カリフォルニア大学のWilliam J. Sandborn氏らは、経口低分子ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害薬のトファシチニブ(商品名:ゼルヤンツ)が、中等症~重症の活動性潰瘍性大腸炎に対する寛解導入・維持療法として有効であることを、3件の無作為化二重盲検プラセボ対照第III相試験の結果、報告した。トファシチニブは、第II相試験で潰瘍性大腸炎に対する寛解導入療法としての効果が有望視されていた。NEJM誌2017年5月4日号掲載の報告。寛解導入療法と寛解維持療法におけるトファシチニブの有効性を寛解率で評価 研究グループは、潰瘍性大腸炎に対するトファシチニブの有効性および安全性を評価する3件の無作為化二重盲検プラセボ対照第III相試験(OCTAVE Induction 1、OCTAVE Induction 2、OCTAVE Sustain)を実施した。 OCTAVE Induction 1試験およびOCTAVE Induction 2試験では、腫瘍壊死因子(TNF)阻害薬を含む前治療にもかかわらず中等症~重症の活動性潰瘍性大腸炎を呈する患者それぞれ598例および541例を、トファシチニブ(1回10mg)群またはプラセボ群に無作為に割り付け、1日2回8週間投与する寛解導入療法を行った。主要評価項目は、8週時点の寛解(Mayoスコア2以下かつ直腸出血サブスコアが0または1)であった。 OCTAVE Sustain試験は、寛解導入療法で臨床反応(Mayoスコアがベースラインから3ポイント以上かつ30%以上改善し、直腸出血サブスコアが1ポイント以上低下または1以下)が認められた患者593例を、トファシチニブ5mg、10mgまたはプラセボ群に無作為に割り付け、1日2回52週間投与する維持療法を行った。主要評価項目は、52週時の寛解であった。プラセボに比べトファシチニブの寛解率が有意に高い OCTAVE Induction 1試験において、8週時の寛解率はトファシチニブ群18.5% vs.プラセボ群8.2%(p=0.007)、OCTAVE Induction 2試験ではそれぞれ16.6% vs.3.6%(p<0.001)であった。OCTAVE Sustain試験における52週時の寛解率は、トファシチニブ5mg群34.3%、10mg群40.6%に対し、プラセボ群は11.1%であった(各用量群のプラセボ群に対するp<0.001)。 安全性に関しては、OCTAVE Induction 1/2試験では、すべての感染症および重症感染症の頻度がプラセボ群よりトファシチニブ群で高値であった。OCTAVE Sustain試験では、重症感染症の頻度は3群で類似していたが、すべての感染症ならびに帯状疱疹発症の頻度はプラセボ群よりトファシチニブ群で高値であった。また、3試験全体において、非黒色腫皮膚がんがトファシチニブ群で5例、プラセボ群で1例確認された。心血管イベントは、トファシチニブ群でのみ5例にみられた。そのほか、プラセボ群と比較してトファシチニブ群で脂質増加の頻度が高かった。 著者は、寛解導入試験の期間が短く安全性の評価や8週以上の有効性評価が不十分であることや、潰瘍性大腸炎患者にトファシチニブを1年以上投与した場合のリスクは不明であることなどを研究の限界として挙げている。なお、長期的安全性に関しては、非盲検延長試験(OCTAVE Open)が進行中である。

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直近10年、新薬の32%に販売中止・枠組み警告/JAMA

 2001年からの10年間に米国食品医薬品局(FDA)で承認を受けた222種の新規治療薬のうち、安全性への懸念から、市販開始後に販売中止や枠組み警告の追加などに至ったものが32%あったことが明らかにされた。なかでも、生物学的製剤や精神疾患治療薬、迅速承認や当局承認締め切り間際に承認を受けたものでその発生率が有意に高く、著者は「これらの新しい治療薬は、生涯にわたる継続的な安全性モニタリングが必要であることを強調するものである」と述べている。米国・ブリガム・ウィメンズ病院のNicholas S. Downing氏らによる検討で、JAMA誌2017年5月9日号に発表された。 販売中止、枠組み警告など市販後安全性イベントを調査 研究グループは2001年1月1日~2010年12月31日にかけて、FDAで承認を受けた新規治療薬を対象に調査を行った。 主要評価項目は、(1)安全性に関する懸念から販売中止、(2)市販後調査期間中にFDAが枠組み警告追加を指示、(3)FDAが安全性情報を発布、これら3点の複合とした。市販後安全性イベント、生物学的製剤で約2倍、精神疾患治療薬で約3.8倍 対象期間中にFDAが承認した新規治療薬は222種だった(医薬品183、生物学的製剤39)。追跡期間中央値11.7年に報告された市販後安全性イベントは、123件(販売中止3件、枠組み警告追加61件、安全性情報発布59件)で、対象となった新規治療薬の数はおよそ3分の1に当たる71種(32.0%)だった。 FDAの承認を受けてから最初の市販後安全性イベント発生までの期間中央値は、4.2年(四分位範囲:2.5~6.0)だった。また、承認を受けてから10年の間に、何らかの市販後安全性イベントが報告された新規治療薬の割合は、30.8%(95%信頼区間[CI]:25.1~37.5)だった。 多変量解析の結果、市販後安全性イベントは生物学的製剤でより発生頻度が高く、発生率比(IRR)は1.93(95%CI:1.06~3.52、p=0.03)だった。また、精神疾患治療薬(IRR:3.78、95%CI:1.77~8.06、p<0.001)、迅速承認を受けたもの(同:2.20、1.15~4.21、p=0.02)、当局承認締め切り間際の承認(同:1.90、1.19~3.05、p=0.008)でより高頻度だった。 一方で、審査期間が200日未満だったものは、市販後安全性イベント発生頻度が低かった(同:0.46、0.24~0.87、p=0.02)。

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長門流 認定内科医試験BINGO!総合内科専門医試験エッセンシャル Vol.1

第1回 膠原病/アレルギー 第2回 感染症 第3回 呼吸器 第4回 腎臓 認定内科医試験に向けた全3巻の実践講座の第1巻です。重要ワードは「頻出」。長年試験問題を分析し続けている長門先生が、実際の試験問題に近い予想問題を作成し、頻出ポイントをテンポよく解説します。もちろん最新のガイドラインのアップデートにも対応。各科目で試験に問われやすいポイントを押さえていますので、認定内科医試験はもちろん、総合内科専門医試験を受ける先生方も確実に得点アップにつながります。年々難しくなっているといわれる内科系試験。このDVDでぜひ合格を勝ち取ってください。第1回 膠原病/アレルギー 膠原病/アレルギーは、アップデートが頻繁な分野ですが、それを一つひとつキャッチアップするのは大変です。基本的なところを逃さないように得点していきましょう。頻出の問題やガイドラインのアップデートなど、しっかりと確認してください。第2回 感染症 感染症領域は、時事的な問題や感染対策、感染予防に関する問題がよく出題される傾向があります。代表的な感染症に加え、新興再興感染症、感染対策についても、しっかり押さえておいてください。第3回 呼吸器 呼吸器の領域では、X線やCTなどの画像から、診断・解答させる問題が増えています。そのほか、日本呼吸器学会の市中肺炎重症度分類(A-DROP)についてや、結核病巣の病理組織像など、頻出問題をよく確認しておきましょう。第4回 腎臓 腎臓の領域は、ネフローゼ症候群に関しての問題が多いので、細かいところまできちんと確認しておきましょう。また、「薬剤性腎障害診療ガイドライン2016」や「急性腎障害のためのKDIGO診療ガイドライン」は要チェックです。

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発症メカニズムから考える乾癬の治療戦略

 2017年4月10日、メディアセミナー「乾癬治療における生物学的製剤の最新エビデンスと今後の展望~乾癬の発症機序から考える最新治療戦略~」が開催された(主催:アッヴィ合同会社)。本セミナーでは、演者である佐藤 伸一氏(東京大学大学院 医学系研究科 皮膚科学 教授)が、「乾癬治療における生物学的製剤治療の意義」と題した講演を行った。 乾癬は、赤い発疹である「紅斑」、皮膚が盛り上がる「浸潤」、銀白色のカサブタのような「鱗屑」や皮膚がはがれ落ちる「落屑」を特徴とする疾患で、慢性・再発性の炎症性角化症として知られている。乾癬への罹患は、がん、高血圧、心筋梗塞などよりも患者の生活の質(QOL)を低下させるとの報告もあり1)、乾癬の治療法選択においては、疾患の重症度を改善させるだけでなく、患者のQOLを考慮することも重要となる。乾癬は皮膚だけの病気ではない 乾癬は、皮膚症状以外にも何らかの疾患を併発することが多く、発症頻度の高い併存疾患としては、メタボリックシンドローム、高血圧、脂質異常症、糖尿病などが挙げられる。『世界乾癬レポート2016』には、乾癬マネジメントに高血圧などの関連疾患や心筋梗塞などの併存症のスクリーニングも含まれると記載されており2)、その重要性がうかがえる。乾癬と併存疾患との関係について佐藤氏は、重症乾癬患者の死因は心血管病変が最も多いとの報告3)を紹介したうえで、乾癬は「皮膚だけの病気ではなく、全身に影響を与える皮膚疾患」と解説した。乾癬とサイトカインの関係 乾癬の病態は、「腫瘍壊死因子(以下、TNF)-α」、「インターロイキン(以下、IL)-23」、「IL-17」といった炎症性サイトカインが連続的に働くことで生じると考えられている。 TNF-αは乾癬発症メカニズムの上流に位置しており、乾癬以外にもさまざまな炎症性疾患に関与している。本講演では、乾癬患者における心血管系イベント発生率をTNF-α阻害薬が低下させるとの報告4)も紹介された。一方、乾癬発症メカニズムの下流に位置するIL-17を標的とする治療は、乾癬に対してよりピンポイントに効果を発揮すると期待されており、近年、IL-17関連の生物学的製剤が相次いで発売された。佐藤氏は、乾癬とサイトカインの関係性を踏まえて、「乾癬の重症例では併存疾患が多いため、TNF-α阻害薬を用いることが望ましい」と自身の考えを述べた。 乾癬の病態理解が深まり、現在では乾癬に対していくつもの生物学的製剤が承認されている。佐藤氏は、これらの使い分けについて、「皮膚症状の重症度ではなく、併存疾患の有無などを考慮して製剤を使い分けることが合理的」との見解を示した。

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アダリムマブ、非感染性ぶどう膜炎患者の視覚関連QOLを改善

 最近、非感染性の中間部、後部または汎ぶどう膜炎(以下、非感染性ぶどう膜炎)の治療薬としてアダリムマブが承認された。米国・イースタンバージニアメディカルスクールのJohn Sheppard氏らは、第III相試験であるVISUAL-1試験およびVISUAL-2試験の事後解析を行い、ステロイド依存性の非感染性ぶどう膜炎患者において、アダリムマブは患者報告による視機能を統計学的に有意に改善し、視覚関連QOLの改善が得られたことを示した。JAMA Ophthalmology誌オンライン版2017年4月20日号掲載の報告。 研究グループは、2010年8月10日~2015年5月14日に米国、カナダ、欧州、イスラエル、オーストラリア、南米および日本で行われた、アダリムマブの活動性非感染性ぶどう膜炎患者を対象としたVISUAL-1試験、ならびに非活動性の同患者を対象としたVISUAL-2試験の事後解析を行った。 両試験とも、アダリムマブ群(初回80mg、1週後に40mg、以降隔週40mg)、またはプラセボ群に被験者を無作為に割り付け、最長80週間試験薬を皮下投与した。VISUAL-1試験では、全例にprednisoneが投与された(高用量から開始し漸減)。 評価項目は、患者の視点から視覚障害の影響を評価するNEI VFQ-25合計スコア(スコアの範囲0~100、高値ほど視覚に関連した健康関連QOLが良好)で、試験終了/中止時におけるスコアの6週以内最高値ならびにベースライン値からの変化量について、分散分析を用いて両群を比較するとともに、アダリムマブおよびプラセボのNEI VFQ-25に対する時間的影響について縦断的モデルを用いて評価した。 主な結果は以下のとおり。・解析対象は、VISUAL-1試験217例(アダリムマブ群110例/プラセボ群107例、女性124例[57.1%]、平均[SD]年齢42.7[14.9]歳)、VISUAL-2試験226例(アダリムマブ群115例/プラセボ群111例、女性138例[61.1%]、平均[SD]年齢42.5[13.4]歳)で、intent-to-treat解析を行った。・VISUAL-1試験において、NEI VFQ-25合計スコアの最高値から試験終了/中止時までの変化量は、アダリムマブ群-1.30、プラセボ群-5.50、群間差は4.20(95%信頼区間[CI]:1.04~7.36、p=0.01)であった。・VISUAL-2試験において、NEI VFQ-25合計スコアのベースラインから試験終了/中止時までの変化量は、アダリムマブ群3.36、プラセボ群1.24、群間差は2.12(95%CI:-0.81~5.04、p=0.16)であった。・縦断モデルを用いた解析の結果、NEI VFQ-25合計スコアのアダリムマブ群とプラセボ群との差は、VISUAL-1試験(74.15 vs.71.08)が3.07(95%CI:2.09~4.06、p<0.001)、VISUAL-2試験(82.39 vs.77.73)が4.66(95%CI:0.05~9.26、p=0.048)であり、両試験とも有意差が認められた。

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乾癬へのウステキヌマブvs. IL-23選択的阻害薬/NEJM

 中等症から重症の尋常性乾癬患者を対象に、インターロイキン(IL)-12およびIL-23を構成するサブユニットp40に対する抗体であるウステキヌマブと、IL-23のもう1つのサブユニットp19に特異的に結合しIL-23経路を阻害するヒト化IgG1モノクローナル抗体risankizumab(BI 655066)を比較した第II相試験において、risankizumabによるIL-23の選択的阻害はウステキヌマブよりも臨床効果が優れていることが示された。カナダ・K Papp Clinical ResearchのKim A Papp氏らが、北米および欧州の32施設で実施した48週間の多施設共同無作為化用量範囲探索試験の結果を報告した。IL-23は、乾癬の発症に極めて重要な役割を担っていることが知られている。IL-23経路を阻害する乾癬治療薬として最初に登場したのがウステキヌマブであるが、ウステキヌマブはIL-23とIL-12の両方を阻害する。そのため、IL-23を選択的に阻害する乾癬治療薬の開発が進められていたが、これまでIL-12/IL-23阻害薬と選択的IL-23阻害薬の有効性について直接比較した検討は行われていなかった。NEJM誌2017年4月20日号掲載の報告。患者約160例を対象に、ウステキヌマブとIL-23選択的阻害薬による乾癬重症度の改善を評価 研究グループは、中等症から重症の尋常性乾癬患者166例を、risankizumab 18mg群(単回皮下投与)、90mg群(0週、4週、16週時に皮下投与)、180mg群(0週、4週、16週時に皮下投与)、ウステキヌマブ群(体重に応じて45mgまたは90mgを0週、4週、16週時に皮下投与)に1対1対1対1の割合で無作為に割り付けた。 主要評価項目は、12週時の乾癬重症度(PASIスコア)がベースラインから90%以上改善した患者の割合(PASI 90達成率)。有効性の副次評価項目は12週時のPASI 50、PASI 75、PASI 100および24週時のPASI 75、PASI 100などで、intention-to-treat解析にて評価した。IL-23選択的阻害薬群のPASI 90達成率、ウステキヌマブ群の約2倍 12週時におけるPASI 90達成率は、risankizumab群(90mg群と180mg群の合計)が77%(64/83例)であったのに対して、ウステキヌマブ群は40%(16/40例)であった(p<0.001)。PASI 100達成率は、risankizumab群(同)45%、ウステキヌマブ群18%であった。有効性は、risankizumab(90mgまたは180mg)の最終投与20週後までおおむね維持された。 重篤な有害事象はrisankizumab 18mg群で5例(12%)、risankizumab 90mg群で6例(15%)、ウステキヌマブ群で3例(8%)に発生し(基底細胞がん2例、主要心血管イベント1例)、risankizumab 180mg群では確認されなかった。 著者は、研究の限界として安全性に関して結論付けるには試験の規模と期間が不十分であることを挙げ、「プラセボと実薬を用いた大規模な比較臨床試験においてrisankizumabの有効性と安全性をさらに検証する必要がある」とまとめている。

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RA治療評価には「患者の主観」も重要

 2017年4月17日、東京において日本イーライリリー株式会社主催で「関節リウマチにおけるPROの重要性と患者さんの求めるQOL」と題したプレスセミナーが開催され、リウマチ医療における最新のPRO(患者報告アウトカム)1)研究に携わるオックスフォード大学のピーター・C・テイラー氏より、関節リウマチ(RA)治療においてPROが果たす役割や、PROを用いた患者とリウマチ医による疾患管理の重要性などが語られた。RA治療は「寛解」や「低疾患活動性」を目指せる時代に かつて、RAは、強い疼痛や変形が生じる「不治の病」として恐れられてきたが、近年、リウマチ治療は大きく進展し、新たな薬剤の登場によって「寛解」や「低疾患活動性」を目指せる時代となった。現在の治療は、目標達成に向けた治療「Treat to Target」の概念に基づき、関節破壊の進行を抑え、長期予後の改善、とくに身体機能障害の防止と生命予後を改善することが重要視されている。PROという評価基準 一方で、治療の進歩にかかわらず、残存する症状(倦怠感・関節に限らない痛み・朝のこわばり)やそれらの評価などを含むPROという評価基準への注目が高まりつつある。医師と患者では治療目標に乖離があり、RAの改善に対する評価が異なるためである。具体的にいえば、医師は「症状のコントロールと長期障害の予防」を目標に治療を行っているが、患者は「今日のこの痛みを何とかしたい」、「日常の活動ができるようになりたい」と考えている。患者にとって、腫脹や圧痛関節数が改善しただけではRAが改善したとはいえないのである。そのため、患者自身が語る症状や健康状態をもとに、疾患がもたらす負担や治療アウトカムを評価するPROの考え方は、RA患者のQOL向上・医療の質の向上に非常に有効であると考えられる。RAの評価に使用されるPROの種類 PROは、患者が待合室で規定の用紙に記入するか、電子フォームに入力する。記入には数分しかかからず、スコアの計算も簡単であるという。RAの評価に使用されるPROの種類としては、下記が挙げられる。 ・健康状態全般:SF-36、VAS、FACIT、MOS、Sleep ・健康効用値:EQ-5D、HUI ・疾患特異的項目:HAQ-DI ・疾患が患者へ及ぼす影響:RAID ・疾患活動性:RAPID、RADAI、PASS-II、Pt-DAS28、OMERACT Flare Q「患者はPROを通じて、自身の疾患管理に関与していることを実感でき、治療満足度が上がる」とテイラー氏は語る。PROの重要性に対する認識は高まりつつある RA治療においては、臨床徴候のみならず、疾患の影響全体を勘案することが重要である。また、多くの医療機関では、1人の医師が長期観察を実施するのは非現実的である。そして、リウマチ医の診察時に毎回関節数の評価を実施できない可能性もある。これらを鑑みると、PROの評価により別次元からの情報を得て、治療の意思決定を行うことは必要不可欠であると考えられる。第10回OMERACT2)会議では、PROにより患者主観をアウトカム評価に取り入れることの重要性が強調され、現在は臨床試験へのPROの適用を規制当局より求められることも増えているという。「患者の主観は重要であり、医師による評価指標より有益な場合もある」とテイラー氏は強調し、講演を締めくくった。RA患者の治療満足度向上のために、PROを役立ててみてはいかがだろうか。1)PRO(Patient-reported outcome)とは、“臨床医やその他の誰かによる解釈を介さない、患者から直接得られた患者の健康状態(症状や満足度)に関するあらゆる報告”を指す。FDA 2009指針を参照2)Outcome Measures in Rheumatology

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クローン病に新たな治療アプローチ、IL-23阻害薬/Lancet

 インターロイキン-23(IL-23)のp19サブユニットを標的とするヒト型モノクローナル抗体製剤risankizumabは、活動期クローン病の臨床的寛解導入において、プラセボよりも高い効果を発揮することが、カナダ・ウェスタンオンタリオ大学のBrian G Feagan氏らの検討で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2017年4月12日号に掲載された。クローン病の発症には、遺伝学的、生物学的にIL-23経路の関与が認められる。予備的なデータでは、risankizumabは、IL-23経路が関与する慢性炎症性皮膚疾患である乾癬に有効なことが知られている。2つの用量とプラセボを比較する第II相試験 本研究は、北米、欧州、東南アジアの36施設が参加する二重盲検プラセボ対照無作為化第II相試験であり、2014年3月~2015年9月に患者登録が行われた(Boehringer Ingelheim社の助成による)。 対象は、年齢18~75歳、クローン病の診断後3ヵ月以上が経過し、スクリーニング時に中等症~重症クローン病と判定された患者であった(マスクされた中央判定で、回腸または結腸あるいは双方の粘膜潰瘍を伴い、クローン病活動指数[CDAI]スコアが220~450点、かつ大腸内視鏡検査でクローン病の内視鏡的活動性指標[CDEIS]スコアが7点以上[孤立性回腸炎の患者は≧4点])。 試験は、第1期(12週の二重盲検静脈内投与期)、第2期(12週のオープンラベル静脈内投与またはウォッシュアウト期)、第3期(26週の皮下投与期)の3つの治療期間に分けて行われ、今回は第1期の結果が報告された。被験者は、risankizumab 200mg、同600mg、プラセボを0、4、8週に投与する3つの群にランダムに割り付けられた。 主要評価項目は、ITT集団における12週時の臨床的寛解(CDAIスコア<150点)とした。安全性は、治験薬の投与を1回以上受けたすべての患者で評価した。 121例が登録され、risankizumab 200mg群に41例、同600mg群に41例、プラセボ群には39例が割り付けられた。高用量が有用な可能性 ベースラインの平均年齢は200mg群が39歳、600mg群が40歳、プラセボ群は36歳、女性がそれぞれ63%、61%、59%であった。CDAI中央値は、それぞれ311点、298点、295点、CDEIS中央値は12点、12点、11点だった。全体のクローン病の平均罹病期間は13(SD 9)年で、93%(113例)が1回以上の腫瘍壊死因子阻害薬(79%[96例]が治療不成功)の投与を受けていた。 12週時の臨床的寛解達成率は、200mg群が24.4%(10/41例)、600mg群が36.6%(15/41例)、プラセボ群は15.4%(6/39例)であった。2つの用量を合わせたrisankizumab群とプラセボ群の差は15.0%(95%信頼区間[CI]:0.1〜30.1)と、有意な差が認められた(p=0.0489)。200mg群とプラセボ群の差は9.0%(-8.3〜26.2、p=0.31)であり、有意差はみられなかったが、600mgとの差は20.9%(2.6〜39.2、p=0.0252)と有意であった。 12週時の臨床的奏効(CDAIスコア<150点またはCDAIスコアのベースラインから100点以上の低下)、内視鏡的奏効(CDEISスコアのベースラインから50%以上の低下)、完全寛解(臨床的寛解かつ内視鏡的寛解)は、いずれも200mg群とプラセボ群には差がなかったが、600mg群(それぞれp=0.0366、p=0.0106、p=0.0164)および200mg+600mg群(p=0.0273、p=0.0104、p=0.0107)はプラセボ群に比べ有意に優れた。内視鏡的寛解(CDEISスコア≦4点)は、200mg群(p=0.0357)、600mg群(p=0.0107)、200mg+600mg群(p=0.0015)が、いずれもプラセボ群よりも有意に良好だった。 12週時の有害事象は、79%(95例)に認められた(200mg群:32例、600mg群:31例、プラセボ群:32例)。重度有害事象は18例(それぞれ6例、3例、9例)、治療中止の原因となった有害事象は12例(5例、1例、6例)、重篤な有害事象は24例(9例、3例、12例)に発現した。最も頻度の高い有害事象は悪心、最も頻度の高い重篤な有害事象はクローン病の増悪であり、死亡例はなかった。 著者は、「これらの知見は、p19の阻害を介するIL-23の選択的遮断は、クローン病の治療アプローチとして実行可能であることを示唆する」と指摘している。

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IgG4関連疾患〔IgG4-related disease〕

1 疾患概要■ 概念・定義IgG4関連疾患とは、リンパ球とIgG4 陽性形質細胞の著しい浸潤と線維化により、同時性あるいは異時性に全身諸臓器の腫大や結節・肥厚性病変などを認める原因不明の疾患である。罹患臓器としては膵臓、胆管、涙腺・唾液腺、中枢神経系、甲状腺、肺、肝臓、消化管、腎臓、前立腺、後腹膜、動脈、リンパ節、皮膚、乳腺などが知られている。病変が複数臓器に及び、全身疾患としての特徴を有することが多いが、単一臓器病変の場合もある。臨床的には各臓器病変により異なった症状を呈し、臓器腫大、肥厚による閉塞、圧迫症状や細胞浸潤、線維化に伴う臓器機能不全など、時に重篤な合併症を伴うことがある。治療にはステロイドが有効なことが多い。ステロイド抵抗性・依存性や臓器障害を生じたIgG4関連疾患症例は、2015年7月から難病に指定された。■ 疫学IgG4関連疾患の診療は、種々の診療科にまたがるので、その患者数の推定は困難である。石川県で行われた調査では、年間336~1,300人のIgG4関連疾患の新規発症があり、わが国では2万6,000人の患者がいると推定される。わが国で2016年に行われた自己免疫性膵炎の全国調査では、自己免疫性膵炎の年間推計受療者数は1万3,436人、年間罹患患者数は3,984人、有病率10.1人/10万人と推定され、2011年の調査時の罹患患者数より倍増した。臓器によって異なるが、高齢の男性に多く発症する傾向がある。■ 病因IgG4関連疾患の病因は解明されていないが、免疫遺伝学的背景に自然免疫系、Th2にシフトした獲得免疫系、制御性T細胞などの異常が病態形成に関与する可能性が報告されている。■ 症状臨床症状・徴候は、罹患した臓器によって異なるが、臓器腫大や肥厚による閉塞・圧迫症状が主体となる。自己免疫性膵炎やIgG4関連硬化性胆管炎では膵腫大や胆管閉塞による閉塞性黄疸、IgG4関連涙腺・唾液腺炎では涙腺・唾液腺腫大、後腹膜線維症では尿管圧迫による水腎症や腎機能障害などがみられる。また、病態が持続進行すると、涙腺・唾液腺機能障害による乾燥症状や、膵内外分泌機能低下などが生じうる。■ 分類自己免疫性膵炎以外は、罹患した臓器の前に「IgG4関連」をつけて呼ぶ。IgG4関連疾患はほぼ全身の諸臓器に認められるが、現在IgG4関連疾患として明らかに認知されている疾患・病態を表1に示す。表1 IgG4関連疾患に包括される疾患・病態■ 予後IgG4関連疾患はステロイドが奏効するので、短期的予後は良好であるが、再燃する例が少なからず存在し、長期的予後は不明である。自己免疫性膵炎では、再燃を繰り返す例で、膵石が形成されることがある。また、IgG4関連疾患では、悪性腫瘍を合併しやすいとの報告もあり、注意を要する。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)■ IgG4関連疾患包括診断基準いくつかのIgG4関連疾患には、その診断基準があるが、IgG4関連疾患を包括する診断基準が2011年に作られ、2020年に改訂された。この基準は、各臓器病変の専門医以外の臨床医の使用、各臓器の診断基準との併用、簡潔化、病理組織診断の重要視、ステロイドの診断的治療は推奨しないなどを基本的なコンセプトとして作成された。臨床的所見、血液所見、病理所見の組み合わせにより診断する(表2)。表2 2020改訂IgG4関連疾患包括診断基準できる限り組織診断を加えて、各臓器の悪性腫瘍(がんや悪性リンパ腫など)や類似疾患(原発性硬化性胆管炎、シェーグレン症候群、キャッスルマン病、2次性後腹膜線維症、ウェゲナー肉芽腫、サルコイドーシス、チャーグ・ストラウス症候群など)と鑑別することが大事である。また、この基準で確定診断ができなくても、各臓器の診断基準により診断が可能である。■ 自己免疫性膵炎1型自己免疫性膵炎は、IgG4が関連する1型と、IgG4とは無関係で好中球の膵管上皮内浸潤を特徴とする2型に分かれる。自己免疫性膵炎1型は、自己免疫性膵炎臨床診断基準2018(表3)を用いて診断する。表3-1 自己免疫性膵炎臨床診断基準2018表3-2 自己免疫性膵炎臨床診断基準2018本症の診断においては、膵がんや胆管がんなどの腫瘍性の病変を否定することがきわめて重要である。診断基準では、膵腫大、主膵管の不整狭細像、高IgG4血症、病理所見、膵外病変とオプションとしてのステロイド治療の効果の組み合わせにより診断する。びまん性の膵腫大を呈する典型例では、高IgG4血症、病理所見か膵外病変のどれか1つを満たせば自己免疫性膵炎と診断できる。限局性膵腫大例では、膵がんとの鑑別がしばしば困難であり、ERP(内視鏡的逆行性膵管造影)による主膵管の膵管狭細像が必要であったが、改訂基準ではMRCP、EUS-FNAとステロイド治療の効果で確定診断できるようになった。膵のびまん性腫大は、本症に特異性の高い所見である。腹部ダイナミックCTでは遅延性増強パターンと被膜様構造(capsule-like rim)が特徴的である(図1)。画像を拡大するERPによる主膵管のびまん性不整狭細像も本症に特異的である。狭細像とは閉塞像や狭窄像と異なり、ある程度広い範囲に及んで、膵管径が通常より細くかつ不整を伴っている像を意味する(図2)。画像を拡大する限局性の病変では膵がんとの鑑別がとくに困難であるが、狭細部より上流側の主膵管には著しい拡張を認めない、狭細部からの分枝の派生や非連続性の複数の主膵管狭細像(skip lesions)は、膵がんとの鑑別に有用である。血中IgG4値の上昇は高率に認められるので、その診断的価値は高い。しかし、IgG4値の上昇は他疾患(アトピー性皮膚炎、天疱瘡、喘息など)や一部の膵臓がんや胆管がんでも認められるので注意を要する。病理組織像は、lymphoplasmacytic sclerosing pancreatitis(LPSP)と呼ばれる特徴的な所見で、高度のリンパ球とIgG4陽性の形質細胞の浸潤と、紡錘形細胞が錯綜配列を示す花筵状線維化(storiform fibrosis)と閉塞性静脈炎(obliterative phlebitis)を呈する(図3、4)。画像を拡大する画像を拡大する合併する他のIgG4関連疾患として、膵外胆管の硬化性胆管炎、涙腺・唾液腺炎と後腹膜線維症が取り上げられている。ステロイド治療の効果判定は、画像で評価可能な病変が対象であり、臨床症状や血液所見は対象としない。ステロイド開始2週間後に効果不十分の場合には、再精査が必要である。できる限り病理組織を採取する努力をすべきであり、ステロイドによる安易な診断的治療は厳に慎むべきである。■ IgG4関連硬化性胆管炎IgG4関連硬化性胆管炎の診断は、IgG4関連硬化性胆管炎臨床診断基準2020(表4)に基づいて、胆道画像検査、高IgG4血症、他のIgG4関連疾患(自己免疫性膵炎、IgG4関連涙腺・唾液腺炎、IgG4関連後腹膜線維症)の合併、胆管壁の病理組織所見、オプションとしてのステロイド治療の効果の組み合わせによって診断する。表4-1 IgG4関連硬化性胆管炎臨床診断基準2020表4-2 IgG4関連硬化性胆管炎臨床診断基準2020IgG4関連硬化性胆管炎の胆管像では、下部胆管狭窄を呈することが多いが、上部~肝門部胆管狭窄や肝内胆管狭窄を呈する例では、肝門部胆管がんや原発性硬化性胆管炎(PSC)との鑑別が問題となる。自己免疫性膵炎を合併しないIgG4関連硬化性胆管炎では、診断がとくに困難である。PSCでよくみられる全周性の輪状狭窄(annular stricture)、数珠状変化(beaded appearance)や肝内胆管の減少(pruned-tree appearance)などはIgG4関連硬化性胆管炎ではほとんど認められない(図5)。画像を拡大するIgG4関連硬化性胆管炎では、CTやUSなどにおいて、胆管狭窄部だけでなく狭窄のない部位の胆管にも壁肥厚が高頻度に認められ、この所見は胆管がんとの鑑別に有用である。経乳頭的胆管生検では採取検体が小さいため、IgG4関連硬化性胆管炎と診断できるだけの材料を採取できる例が少ない。肝内胆管に病変が及ぶIgG4関連硬化性胆管炎では、肝生検がPSCとの鑑別に有効なこともある。ステロイドへの良好な反応性は、IgG4関連硬化性胆管炎の診断をより確実なものとするので、ステロイドトライアルも診断の一手段となる。しかし、診断目的の安易なステロイド投与は慎むべきである。■ IgG4関連涙腺・唾液腺炎従来ミクリッツ病やキュットナー腫瘍と呼ばれていた疾患で、診断にはIgG4関連ミクリッツ病の診断基準が用いられる。涙腺、耳下腺、顎下腺の持続性(3ヵ月)、対称性の2対以上の腫脹を基本として、高IgG4血症か、涙腺・唾液腺組織に著明なIgG4陽性形質細胞浸潤(強拡大5視野でIgG4陽性/IgG4陽性細胞が50%以上)のいずれかを満たした場合に診断される。多くは対称性に涙腺、耳下腺、顎下腺、舌下腺、小唾液腺のいずれかが腫脹する。シェーグレン症候群との鑑別が問題となるが、シェーグレン症候群に比べて、抗SS-A/SS-B抗体が陰性であり、乾燥性角結膜炎や唾液腺分泌障害が軽度である。■ IgG4関連腎臓病IgG4関連腎臓病診断基準(表5)により診断される。表5 IgG4関連腎臓病診断基準IgG4関連腎臓病では、びまん性腎腫大、腎実質の多発性造影不良域、腎腫瘤、腎盂壁肥厚などの特徴的な画像所見を呈することが多い。腎組織は間質性腎炎が主体であるが、膜性腎症などの糸球体病変を伴う場合もある。■ IgG4関連後腹膜線維症腹部大動脈周囲や尿管周囲の軟部組織の肥厚が特徴で、腫瘤を形成したり水腎症を起こしたりする。生検困難例も多く、悪性疾患や感染症などによる2次性後腹膜線維症との鑑別が問題となる。■ IgG4関連呼吸器病変画像上、肺門縦隔リンパ節腫大、気管支壁/気管支血管束の肥厚、小葉間隔壁の肥厚、結節影、浸潤影、胸膜病変などの胸郭内病変を呈する。また、病理組織学的には、気管支血管束周囲、小葉間隔壁、胸膜などの間質に、著明なリンパ球とIgG4陽性細胞の浸潤と線維化を認める。3 治療 (治験中・研究中のものも含む)経口ステロイド治療が、IgG4関連疾患の標準治療法である。経口プレドニゾロン0.6mg/kg/日の初期投与量を2~4週間投与し、その後画像検査や血液検査所見などを参考に約2週間の間隔で5mgずつ漸減し、3~6ヵ月ぐらいで維持量まで減らす。治療への反応が悪い例では悪性腫瘍などを疑診して、再検査を行う必要がある。IgG4関連疾患では、ステロイド中止後にしばしば再燃が起こるので、再燃予防に少量のプレドニゾロン(5mg/日程度)の維持療法を1年前後行うことが多い。ただし、IgG4関連疾患は基本的に予後良好な疾患であることに加え、高齢者発症が多いので、ステロイド長期投与の副作用(腰椎圧迫骨折、大腿骨頭壊死、耐糖能異常など)を考慮して、画像診断および血液検査で十分な改善が得られた症例では、ステロイド投与の早期中止が望まれる。ステロイドを中止する際には、個々の症例における活動性を見極め、できるだけ少量投与に切り替えて中止するほうが安全である。また、ステロイド治療中止後も慎重な経過観察が必要である。ステロイド治療後に再燃を来しやすい因子として、治療後の画像上の改善が不十分、治療後も血中IgG4高値が続く、治療前の血中IgG4値が著しく高値である、などが挙げられる。再燃例では、ステロイドの再投与や増量により寛解が得られることが多い。欧米では、再燃例に対して、免疫抑制薬やリツキシマブを投与して、良好な成績が報告されている。2017年に作成された自己免疫性膵炎の治療に関する国際コンセンサスでは、ステロイドに抵抗性または副作用でステロイドが投与できない症例では、リツキシマブを第1選択とすると記載された。4 今後の展望IgG4の病因の解明と確実性のより高い血清学的マーカーの開発が望まれる。治療に関しては、Bリンパ球の表面免疫グロブリンのCD20抗原に対する抗体であるリツキシマブ(キメラ型抗CD20抗体、商品名:リツキサン)が、ステロイドや免疫抑制薬使用後に再燃したIgG4関連疾患に有効であったと海外で報告されている。しかし、リツキシマブは高価な薬剤であり、また、わが国ではIgG4関連疾患に対する投与は保険適用になっていない。5 主たる診療科消化器内科、リウマチ科、内分泌科、耳鼻咽喉科、腎臓内科、呼吸器内科、泌尿器科※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報がん・感染症センター 都立駒込病院 IgG4関連疾患センター(世界で初めての専門外来センター)日本膵臓学会ホームページ さまざまなガイドライン(医療従事者向けのまとまった情報)難病情報センター IgG4関連疾患(一般利用者向け、医療従事者向けのまとまった情報)1)厚生労働省難治性疾患等政策研究事業 IgG4関連疾患の診断基準ならびに診療指針の確立を目指す研究班. 日内誌. 2021;110:962-969.2)日本膵臓学会 厚生労働科学研究費補助金(難治性疾患等政策研究事業) IgG4関連疾患の診断基準ならびに診療指針の確立を目指す研究班. 膵臓. 2018;33:902-913.3)中沢貴宏ほか. 胆道. 2021;35:593-601.4)IgG4関連腎臓病ワーキンググループ.日腎会誌.2011;53:1062-1073.公開履歴初回2015年10月20日更新2017年04月18日更新2022年07月28日

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患者・家族とのトラブル、どう解決すべき!? 2017年“モンスターペイシェント”事情

“モンスターペイシェント”という言葉が使われるようになって久しいですが、診療で対応した患者やその家族とのトラブルや事件は後を絶ちません。「モンスター化させないことが大切」とは言うものの、実際皆さんどのように対応していますか? 医師1,000人から聞いたその実態と、対応策とは…。結果概要2人に1人以上が暴言や暴力、“通常の域を超え、診察に著しい影響を及ぼすレベル”の要求やクレーム経験あり全体では55.1%の医師が「経験がある」と回答した。2013年にケアネットが行った同調査では67.1%であったのと比較してやや減少したものの、依然として2人に1人以上が何らかの経験があることがわかった。経験の頻度は、1年に1度以下が最も多かったが、「月に1度」以上の人があわせて11.5%にのぼり、わずかではあるが「週に2~3度以上」(1.3%)と答えた人も。暴言、ネットへの誹謗中傷の書き込み、なかには立件レベルの事案も内容としては、「スタッフの対応が気に食わないなどのクレーム」が最も多く(47.2%)、「自分を優先した診療ほか、待ち時間に関する要求・暴言を吐く」(33.4%)、「治療法・薬剤を指定するなど、自分の見立てを強硬に主張」(30.3%)、「不要な投薬・過剰な投薬を要求」(23.6%)などが続いた。とくに悪質なケースとしては、「『訴える』『殺す』『暴力団関係者を連れてくる』『マスコミに流す』などと脅迫」(18.3%)や、「自身やスタッフに暴力を振るう」(15.1%)などがあり、「看護師の首を跡が残るくらい絞めた」「病室で拳銃を発砲」といったエピソードも寄せられた。3割超で対応マニュアル・ガイドライン整備。現場では警察OBが活躍、悪質なケースでは110番通報も患者やその家族とトラブルになった場合の最終的な対応として、およそ3人に1人が「以後の診察を拒否した」と回答。以下、「他の医師と担当を交代」(18.7%)「転院させた」(17.8%)などが続いた。一方、「とくに対応はしなかった」人は33.4%にのぼり、全選択肢の中で最も多い回答だった。「なるべく話を妨げずに聞き、嵐が去るのを待つ」など、ひたすら傾聴するというコメントも少なくなかったが、「カルテに詳細を記録する」「ICレコーダーは必須」などの証拠保全策、「すぐに対応部署に介入してもらう」「警察への通報を躊躇してはいけない」などの回避策も挙がった。また、「警察OBを雇用している」との回答は14.0%で、対応を一任できる安心感があるとのコメントが多かった。このほか、ネットの掲示板への誹謗中傷の書き込みや、患者のストーカー化など、精神的負担を強いられるエピソードも複数見られた。設問詳細診療で関わった患者・家族とのトラブルが発端となった事件が後を絶ちません。医療現場では今、何が起こっているのでしょうか。そこで、患者・家族からの暴言や暴力、通常の域を超えた要求やクレームにまつわる経験や対応について、皆さんが日常診療の中で遭遇した実例や対応策を、ぜひお聞かせください。Q1.患者・家族から暴言・暴力、その他“通常の域を超えている、診察に著しく影響を及ぼすレベル”の行動や要求、クレームを受けたことがありますかあるないQ2.(Q1で「ある」と回答した方のみ)その頻度について最も近いものをお答え下さい週に2~3度以上週に1度半月に1度月に1度2~3ヵ月に1度半年に1度1年に1度それ以下Q3.(Q1で「ある」と回答した方のみ)その内容について当てはまるものをすべてお答え下さい(複数回答可)自分を優先した診察ほか、待ち時間に関する要求・暴言を吐く「空いている」などの理由で、時間外・夜間診療を繰り返す診察を受けずに投薬のみ要求不要な投薬・過剰な投薬を要求治療法・薬剤を指定するなど、自分の見立てを強硬に主張検査・診察・食事・内服等を拒否入院を強要退院を拒否治療費・入院費を払わない「スタッフの対応が気に食わない」などのクレーム事実と異なることを吹聴(SNSへの書き込みなども含む)土下座など度を越した謝罪を要求「訴える」「殺す」「暴力団関係者を連れてくる」「マスコミに流す」などと脅迫自身やスタッフに暴力を振るうQ4.(Q1で「ある」と回答した方のみ)上記の患者・家族への対応で、ご経験があるものをお答え下さい(複数回答可)他の医師と担当を交代転院させた以後の診察を拒否弁護士・司法書士等に相談警察に相談警察に通報、出動を要請した患者の対応に参って体調を崩した退職したとくに対応はしなかったQ5.院内で設けられている対応策について当てはまるものをお答え下さい(複数回答可)対応マニュアルやガイドラインがある対策システムがある防犯・対策セミナーや訓練を実施している院内で事例を共有している対応担当者を決めている担当部署を設置している警察OBを雇用している弁護士・司法書士に相談する体制をとっている「警察官立寄所」のステッカー・看板等を掲示しているICレコーダー・カメラ等を設置しているとくに対応策をとっていないQ6.コメントをお願いします(具体的なエピソードや解決方法、対策ノウハウ、院内体制など何でも結構です)コメント抜粋(一部割愛、簡略化しておりますことをご了承下さい)エピソード夫が暴力団関係者であると脅され、患者に有利になるよう診断書を書くことを強要された(50代、整形外科)。ほか、診断書の内容についてのクレーム・過度の要求2件。入院中に無断外出しアルコールを飲んだうえ、暴言をはかれた。スタッフの協力によって解決したが、そのために使った時間と体力、精神力は大きなものだった(30代、神経内科)。ほか、無断外出によるトラブル2件。酔っ払い相手で困った経験がある。殴られ、刑事事件とした(40代、消化器内科)。ほか、直接暴力を受けたというコメント2件。救急外来での対応に不満を持ち、いったん帰宅して包丁を持って来院した患者がおり、以来救急外来に監視カメラが設置された(50代、麻酔科)。ほか、救急・夜間診療でのトラブル5件。ミュンヒハウゼン症候群の患者への対応に苦慮。精神神経科医や臨床心理士のサポートが不足している病院が少なくないように感じる(50代、内科)。ほか、精神疾患や認知症患者への対応についてのコメント7件。生活保護受給者が、売買目的で不必要な薬を大量に要求してくることが毎日のようにある(50代、泌尿器科)。ほか、生活保護受給者に関するトラブル4件。治療が家族の見立て通りに進まないことへの苦言から、威嚇行為に発展したことがある(30代、膠原病・リウマチ科)。ほか、家族への対応でのトラブル7件。患者にストーカー状態でつきまとわれ、病棟まで追いかけてこられた(30代、皮膚科)。ほか、ストーカーまがいのトラブル1件。ネット上の口コミで辛辣な書き込みをされて困っている(50代、内科)。ほか、ネット上での誹謗中傷1件。対策<複数での対応>問題がありそうな患者に対応するときは医師以外に看護師、事務スタッフを横に置き、必ずメモを取り、カルテにも記載する(60代、産婦人科)。基本的には別のスタッフが対応したり、複数で対応することで鎮静化することが多い(50代、循環器内科)。ほか、複数での対応が有効というコメント46件。<情報共有・専任部署の設置>上位の責任者を決めておくことは必須(50代、神経内科)。ほか、上司・院長などへの報告システムが重要とのコメント12件。日ごろから問題に発展しそうな事例についての情報共有と対策検討が不可欠(40代、精神科)。ほか、情報共有が重要というコメント34件。専任の医療安全部看護師が対応する(40代、内科)。ほか、クレーム対応部署等専任者・部署の設置39件。医療安全カンファレンスを定期的に開催している(20代、臨床研修医)。ほか、研修会等の開催5件。院内放送で、職員が集まるシステムになっている(50代、糖尿病・代謝・内分泌内科)、ほか、院内放送の活用5件。<接遇・態度>理不尽な要求は対応できないとはっきり伝え、以後は警察等を通すように言う(50代、内科)。ほか、毅然とした態度が重要というコメント23件。できるだけ入院や手術治療前に対応する(40代、消化器外科)。ほか、早め早めの対応が重要というコメント7件。患者が興奮している時は、なるべく刺激するようなことを言わない(60代、リハビリテーション科)、なるべく話しを妨げずに聞いて落ち着くのを待つ(50代、皮膚科)。ほか、まずは傾聴・丁寧な姿勢で臨むというコメント30件。<記録・録音>目の前でICレコーダーで記録を取っていることを見せている(40代、腎臓内科)。ほか、ICレコーダーが有効とのコメント3件。言葉を選んで話し、カルテに詳細に記録を残す。カルテ開示を念頭に置き、冷静に記載する(50代、皮膚科)。ほか、カルテへの詳細記録が有効とのコメント6件。<マニュアル・ガイドライン>マニュアルを各部署に配布し、理不尽な要求には応じないよう徹底している(50代、消化器内科)。ほか、マニュアルについてのコメント21件。<弁護士・警察・警備会社>トラブルが起こりそうな場合は、弁護士に連絡する体制をとっている(40代、消化器内科)。ほか、弁護士への相談体制が重要とのコメント5件。病院が警察OBと契約し、暴力事例への不安が軽減された(50代、循環器内科)。ほか、警察OBの雇用・常駐が有効とのコメント15件。違法な行為があればすぐに通報する(40代、小児科)。ほか、躊躇せず、すばやい通報が重要とのコメント6件。警備会社の自動通報システムが有効(60代、精神科)。ほか、民間警備会社の活用4件。

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カナキヌマブ効能追加承認への期待

 2017年2月27日、ノバルティス ファーマ株式会社は、都内にて「世界希少・難治性疾患の日」に合わせ「発熱・炎症発作を繰り返す難病『周期性発熱症候群』を知る」をテーマにメディアセミナーを開催した。セミナーでは、「周期性発熱症候群」の最新知見とともに、2016年12月に国内で3つの疾患に追加承認となった同社のカナキヌマブ(商品名:イラリス)についての説明が行われた。周期性発熱症候群治療への新たな選択肢 最初に同社の藤田 浩之氏(移植・皮膚・免疫メディカルフランチャイズ部 部長)が、イラリスの製品概要について説明した。 イラリスは、2009年に米国と欧州で、2011年にわが国で承認されたヒト型抗ヒトIL-1βモノクローナル抗体で、皮下注射の形で使用される。当初は、クリオピリン関連周期性症候群(CAPS)への適用だったものが、2016年12月にコルヒチン抵抗性の家族性地中海熱(crFMF)、メバロン酸キナーゼ欠損症(MKD/保険適用名は高IgD症候群[HIDS])、TNF受容体関連周期性症候群(TRAPS)にも追加承認された。 本剤の有効性として、寛解率をみた場合、crFMFでは約60%、HIDS(MKD)では約35%、TRAPSでは約45%と、プラセボ群(10%未満)と比較して高く、安全面では、169例中47例(27.8%)で副作用が認められ、主な副作用として注射部位反応13例(7.7%)、頭痛5例(3.0%)が報告された(いずれも国際共同試験結果)。 現在、イラリスの使用に際しては、医師要件(小児科専門医、リウマチ専門医など)と施設要件を満たすことが必要とされている。自己炎症性疾患は超希少疾患 続いて「自己炎症性疾患」をテーマに、平家 俊男氏(京都大学大学院医学研究科 発生発達医学講座 発達小児科学 教授)が、疾患の概要とイラリス追加承認の意義を解説した。 はじめに家族性地中海熱(FMF)、HIDS(MKD)、TRAPS、CAPSなどの自己炎症性疾患の特徴として、狭義には自然免疫系の遺伝子変異を原因とする疾患であること、周期熱で発症することが多く、皮疹、関節痛、消化器症状を伴い、患者さんのQOLを著しく低下させること、高度炎症が持続すると成長障害や臓器障害を来すこと、とくにAAアミロイドーシスによる臓器障害では生命予後に影響することが説明された。また、わが国全体の患者数をみても500例以上のFMFを除いて、いずれも100例以下の超希少疾患であることが述べられた。早期発見のため疾患の特徴を理解する 次に、今回追加承認された3つの疾患の特徴を説明した。実臨床では、皮膚科や耳鼻咽喉科を最初に受診する患者さんも多く、FMFでは一般内科の受診もあることから、広く知見の理解を期待しているという。 FMFは、周期性発熱と胸膜炎・腹膜炎などを主徴とする疾患で責任遺伝子は特定されている。とくに腹膜炎は重く、虫垂炎と誤診されることもある。重症例では、AAアミロイドーシスによる臓器障害を発症しやすい。治療では、コルヒチンを使用するが、約5%程度で無効であるという。 HIDS(MKD)は、乳幼児から周期性・遷延性の発熱を認め、多くで消化器症状を伴う疾患で責任遺伝子は特定されている。最重症をメバロン酸尿症、それ以外をHIDSと呼んでいる。慢性全身炎症により成長発達障害を伴い、肝・腎障害を合併する。治療では、副腎皮質ステロイドを使用する。 TRAPSは、5日以上続く周期性発熱に、筋肉痛、眼痛、関節痛などを伴う疾患で責任遺伝子は特定されている。AAアミロイドーシスによる臓器障害が問題となる。治療では、副腎皮質ステロイドを使用するが、効果減弱がみられ依存状態になり得る。 リウマチ、全身性エリテマトーデスなどの自己免疫疾患と異なり、これら自己炎症性疾患では長期間の治療が必要とされ、コルヒチン、ステロイドの他に有効な治療薬が少なく、副腎皮質ステロイドなどへの依存度が高かった。コルヒチン無効やステロイドによる副作用が問題となり、長く疾患特異的治療薬が望まれていたという。抗IL-1β薬への期待 最近の研究では、いずれの疾患でもIL-1βが炎症に関与していることが推定され、抗IL-1β薬への期待が高まっていた。そうした中で今回の3つの疾患への追加承認は、根治治療とまでならないが、患者さんのQOLの改善には有益だと思われている。 実際、追加承認にあたり患者さんからの感想も「入院が減り、日常生活が送れている」、「不安な毎日が解消された」、「保険適用で経済的に負担が減った」など好評であるという。 最後に平家氏は「IL-1βが病態と推定される、他の自己炎症性疾患やリウマチ疾患に対しても臨床応用されることが期待される」と今後の展望を述べ、レクチャーを終了した。

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抗IL-6抗体sirukumab、治療抵抗性RAに効果/Lancet

 抗TNF製剤に治療抵抗性または不耐容の活動性関節リウマチ(RA)患者において、ヒト型抗インターロイキン(IL)-6モノクローナル抗体製剤sirukumabの50mg/4週投与または100mg/2週投与は、プラセボと比較していずれも忍容性は良好で、RAの症状を有意に改善することが示された。オーストリア・ウィーン大学のDaniel Aletaha氏らが、RAに対するsirukumabの有効性と安全性を評価した第III相試験の1つSIRROUND-T試験の結果を報告した。sirukumabは、2016年9月に欧州および米国で、10月には本邦でも、抗リウマチ薬として製造承認申請が行われている。Lancet誌オンライン版2017年2月15日号掲載の報告。抗TNF製剤に治療抵抗性RA患者約900例を対象に試験 SIRROUND-T試験は、国際共同無作為化二重盲検プラセボ対照比較試験で、日本を含む20ヵ国の183施設で行われた。対象は、18歳以上の活動性RA患者で、圧痛関節数4ヵ所以上(68関節中)かつ腫脹関節数4ヵ所以上(66関節中)を認め、少なくとも1つの抗TNF製剤による治療に対して効果不十分または忍容性がない患者であった。 2012年7月25日~2016年1月12日に、878例をプラセボ(2週ごと投与)群(294例)、sirukumab 50mg(4週ごと投与)群(292例)、または同100mg(2週ごと投与)群(292例)に1対1対1の割合で無作為に割り付けた。ベースラインでのメトトレキセート使用(0、0~12.5mg未満/週、12.5mg以上/週)による層別化も行った。 治療期間は52週で、疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARD)の併用は可とした。治験薬は皮下注射とし、盲検を維持するため50mg群にはプラセボの2週ごと投与も行った。 18週時点で、プラセボ群のうち早期離脱基準(腫脹または圧痛関節数の改善率が20%未満)を満たした患者を、いずれかのsirukumab群に再度無作為に割り付け、その後24週時点で、残りのプラセボ群患者をいずれかのsirukumab群に無作為に割り付けた。 主要評価項目は、intention-to-treat集団(無作為化された全患者)での16週時点におけるACR20(ベースラインから20%以上改善)を達成した患者の割合とした。16週時のACR20達成率、50mg群40%、100mg群45%、プラセボ群24% 878例中523例(60%)は、非抗TNF製剤を含む2つ以上の生物学的製剤による治療歴があり、166例(19%)はベースラインでDMARD使用歴がなかった。 16週時点におけるACR20達成患者の割合は、プラセボ群24%(71例/294例)に対し、sirukumab 50mg群40%(117/292例)、sirukumab 100mg群45%(132/292例)で、プラセボ群との差はそれぞれ16%(95%信頼区間[CI]:9~23%)、および21%(95%CI:14~29%)であった(いずれもp<0.0001)。 24週間の有害事象発生は、プラセボ群とsirukumab両群で類似していた(発現率:プラセボ群62%[18週での早期離脱患者も含む]、50mg群66%、100mg群71%)。最も頻度が高かった有害事象は、注射部位紅斑であった(プラセボ群1%、50mg群8%、100mg群14%)。52週までに、プラセボ群から再割り付けされた患者も含めsirukumabの投与を受けた全患者において、最も発現率が高かった有害事象は、同様に注射部位紅斑であった(50mg群8%[33/416例]、100mg群16%[66/418例])。

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少関節型若年性特発性関節炎、MTX追加で寛解期間が延長/Lancet

 少関節型若年性特発性関節炎の治療において、副腎皮質ステロイド関節内注射に経口メトトレキサート(MTX)を追加すると、寛解率はほとんど変わらないものの、再燃までの期間が延長し、毒性はさほど増加しないことが、イタリア・Istituto Giannina GasliniのAngelo Ravelli氏らイタリア小児リウマチ性疾患研究グループの検討で示された。研究の成果は、Lancetオンライン版2017年2月2日号に掲載された。若年性特発性関節炎は、国際リウマチ連盟(ILAR)によって、「16歳未満で発症し、6週間以上持続する原因不明の関節炎」と定義され、このうち少関節型は「6ヵ月間の罹患関節が1~4ヵ所の場合」とされる。本症の治療指針となるエビデンスに基づく情報はほとんどないという。MTX追加の効果を無作為化試験で評価 研究グループは、少関節型若年性特発性関節炎患者への経口MTXの追加が、副腎皮質ステロイド関節内注射の効果を増強するかを検討する非盲検無作為化試験を実施した(Italian Agency of Drug Evaluationの助成による)。 年齢18歳未満の患者が、副腎皮質ステロイド関節内注射単独または経口MTX(15mg/m2、最大20mg、週1回)+副腎皮質ステロイド関節内注射を施行する群に無作為に割り付けられた。副腎皮質ステロイドは、トリアムシノロンヘキサセトニド(肩・肘・手首・膝関節、脛距関節)またはメチルプレドニゾロン酢酸エステル(距骨下関節、足根関節)を用いた。 主要評価項目は、intention-to-treat集団における治療開始から12ヵ月後の、治療対象となった全関節の寛解率とした。 2009年7月7日~2013年3月31日に、イタリアの10施設に207例が登録され、関節内注射単独群に102例、MTX併用群には105例が割り付けられた。再燃までの期間が約4ヵ月延長 ベースラインの年齢中央値は、関節内注射単独群が4.5(IQR:2.2~10.4)歳、MTX併用群は4.1(2.4~8.9)歳、女児がそれぞれ72%、80%を占めた。発症時年齢中央値はそれぞれ2.8(1.6~6.0)歳、2.5(1.7~4.7)歳、罹患期間中央値は6.7(2.8~19.5)ヵ月、6.9(3~22.0)ヵ月だった。 注射が行われた関節が1ヵ所のみの患者は23%(48例)、2ヵ所以上の患者は77%(159例)であった。全部で490の関節に注射が行われ、膝関節と足関節が多くを占めた。 12ヵ月時の全関節寛解率は、関節内注射単独群が34%(35例)、MTX併用群は39%(41例)であり、両群間に有意な差を認めなかった(p=0.48)。 再燃の頻度が最も高かった関節は、関節内注射単独群が中手指節関節(60%)、肘関節(50%)、距骨下関節(48%)、足関節(41%)であり、MTX併用群は距骨下関節(41%)、足関節(26%)、肘関節(25%)、中手指節関節(10%)であった。膝関節の非寛解率は、それぞれ20%(23/113)、12%(13/106)だった。 再燃までの期間中央値は、関節内注射単独群の6.0ヵ月(95%信頼区間[CI]:4.6~8.2)に比べ、MTX併用群は10.1ヵ月(7.6~>16)と有意に延長した(ハザード比[HR]:0.67、95%CI:0.46~0.97、log-rank検定のp=0.0321)。 MTX併用群の17%(20例)に有害事象が発現し、消化管不快感(悪心、嘔吐、便秘:14例)、肝トランスアミナーゼ上昇(8例)、疲労(2例)、易刺激性(2例)、脱毛(1例)、白血球減少(1例)が含まれた。恒久的な治療中止が2例(消化管不快感、肝トランスアミナーゼ上昇が1例ずつ)に認められた。重篤な有害事象はみられなかった。 著者は、「今後、関節炎の拡大を予防する治療介入の可能性の評価を目的とする臨床試験を行う必要がある」としている。

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乾癬へのMTX高用量皮下投与は有効か/Lancet

 中等度~重度の尋常性乾癬患者に対するメトトレキサート(MTX)の高用量皮下投与について、52週時点のリスクベネフィットは良好であることが、英国・マンチェスター大学のRichard B Warren氏らによる第III相の国際多施設共同無作為化二重盲検プラセボ対照試験の結果、示された。中等度~重度の尋常性乾癬治療においてMTXは使用頻度の高い全身性薬物の1つだが、その使用に関する高度なエビデンスは少なく、また投与は経口に限られていた。研究グループは、高用量皮下投与の有効性評価を目的に本検討を行った。Lancet誌オンライン版2016年12月21日号掲載の報告。16週時点のPASI75達成患者の割合を評価 試験は、ドイツ、フランス、オランダ、英国の16施設で行われ、18歳以上、慢性尋常性乾癬(ベースラインから6ヵ月以上)で、現在の疾患重症度は中等度~重度の、MTX未治療患者を適格とした。 患者をコンピュータ無作為化法で2群に3対1の割合で割り付け、スタート時にMTX 17.5mg/週またはプラセボを16週間投与し、その後全患者にMTXを52週時点まで投与した(MTX-MTX vs.MTX-プラセボ)。また、8週時点の評価で、PASI50未達成の患者については、投与量を22.5mg/週まで漸増した(プラセボ群も同用量を漸増)。すべての治療群の患者には葉酸5mg/週が併用投与された。なお割付治療について、被験者、研究者共に16週まではマスキングされたが、その後はマスキングを外された。 主要有効性エンドポイントは、16週時点の評価におけるPASI75達成患者の割合。解析は修正intention-to-treat集団(NRIを含む)にて行われた。達成率プラセボ群10%に対しMTX群41%、忍容性も良好 2013年2月22日~2015年5月13日に、計120例が、MTX投与群(91例)またはプラセボ投与群(29例)に無作為に割り付けられた。 16週時点のPASI75達成率は、プラセボ群10%(3例)に対し、MTX群は41%(37例)であった(相対リスク:3.93、95%信頼区間[CI]:1.31~11.81、p=0.0026)。 MTXの皮下投与の忍容性は概して高く、死亡および重篤感染症、悪性腫瘍または主要心血管イベントの報告はなかった。 重篤な有害事象が記録されたのは、MTXを52週間続けて投与を受けた3例(3%)の患者であった。 今回の結果を踏まえて著者は、「中等度~重度の尋常性乾癬患者へMTXを使用する場合は、投与ルートおよび高用量投与の予定について検討すべきである」とまとめている。

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乾癬へのイキセキズマブ長期投与の安全性

 乾癬患者への、新たな生物学的製剤であるイキセキズマブの長期投与について、安全性プロファイルは良好であることが報告された。米国・コネチカット大学のBruce Strober氏らが、臨床試験の併合解析を行った。中等症~重症の乾癬に対する治療は長期にわたるため、生物学的製剤の安全性は重要であるが、解析の結果、維持投与期間中に予測できない有害事象は認められなかった。Journal of the American Academy of Dermatology誌オンライン版2016年11月23日号掲載の報告。 研究グループは、12週間の導入投与期間、12~60週間の維持投与期間および全治療期間におけるイキセキズマブの安全性を評価する目的で、臨床試験7件の併合解析を行った。 曝露で調整した、有害事象の発現頻度(患者100人年当たり)を算出した。 主な結果は以下のとおり。・イキセキズマブが投与された計4,209例(総曝露6,480人年)が解析に組み込まれた。・導入投与期間に1件以上の治療関連有害事象を発現した患者の頻度は、イキセキズマブ投与251例、エタネルセプト投与236例で、重篤な有害事象の頻度はどちらも8.3であった。・維持投与期間では、イキセキズマブ投与例における治療関連有害事象の頻度は100.4、重篤な有害事象の頻度は7.8であった。・イキセキズマブを投与された全例において、カンジダ感染症の発現頻度は2.5であった。・とくに注目すべき治療関連有害事象(重篤な感染症、悪性腫瘍、心血管イベントなど)の導入投与期間における頻度は、イキセキズマブとエタネルセプトとで類似していた。

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高安動脈炎〔TAK : Takayasu Arteritis〕

1 疾患概要■ 概念・定義高安動脈炎(Takayasu Arteritis:TAK)は、血管炎に属し、若年女性に好発し、大動脈および大動脈1次分枝に炎症性、狭窄性、または拡張性の病変を来し、全身性および局所性の炎症病態または虚血病態により諸症状を来す希少疾病である。1908年に金沢医学専門学校(現・金沢大学医学部)眼科教授の高安 右人氏(図1)により初めて報告された。画像を拡大する呼称には、大動脈炎症候群、高安病、脈なし病などがあるが、各学会において「高安動脈炎」に統一されている。2012年に改訂された血管炎のChapel Hill分類(図2)1)により、英文病名は“Takayasu arteritis”に、略語は“TAK”に改訂された。画像を拡大する■ 疫学希少疾病であり厚生労働省により特定疾患に指定されている。2012年の特定疾患医療受給者証所持者数は、5,881人(人口比0.0046%)だった。男女比は約1:9である。発症年齢は10~40代が多く、20代にピークがある。アジア・中南米に多い。TAK発症と関連するHLA-B*52も、日本、インドなどのアジアに多い。TAK患者の98%は家族歴を持たない。■ 病因TAKは、(1)病理学的に大型動脈の肉芽腫性血管炎が特徴であること、(2)特定のHLAアレル保有が発症と関連すること、(3)種々の炎症性サイトカインの発現亢進が報告されていること、(4)ステロイドを中心とする免疫抑制治療が有効であることから、自己免疫疾患と考えられている。1)病理組織像TAKの標的である大型動脈は中膜が発達しており、中膜を栄養する栄養血管(vasa vasorum)を有する。病変の主座は中膜の外膜寄りにあると考えられ、(1)外膜から中膜にかけて分布する栄養血管周囲への炎症細胞浸潤、(2)中膜の破壊(梗塞性病変、中膜外側を主とした弾性線維の虫食い像、弾性線維を貪食した多核巨細胞の出現)、これに続発する(3)内膜の細胞線維性肥厚および(4)外膜の著明な線維性肥厚を特徴とする。進行期には、(5)内膜の線維性肥厚による内腔の狭窄・閉塞、または(6)中膜破壊による動脈径の拡大(=瘤化)を来す。2)HLA沼野 藤夫氏らの功績により、HLA-B*52保有とTAK発症の関連が確立されている。B*52は日本人の約2割が保有する、ありふれたHLA型である。しかし、TAK患者の約5割がB*52を保有するため、発症オッズ比は2~3倍となる。B*52保有患者は非保有患者に比べ、赤沈とCRPが高値で、大動脈弁閉鎖不全の合併が多い。HLA-B分子はHLAクラスI分子に属するため、TAKの病態に細胞傷害性T細胞を介した免疫異常が関わると考えられる。3)サイトカイン異常TAKで血漿IL-12や血清IL-6、TNF-αが高値との報告がある。2013年、京都大学、東京医科歯科大学などの施設と患者会の協力によるゲノムワイド関連研究により、TAK発症感受性因子としてIL12BおよびMLX遺伝子領域の遺伝子多型(SNP)が同定された2)。トルコと米国の共同研究グループも同一手法によりIL12B遺伝子領域のSNPを報告している。IL12B遺伝子はIL-12/IL-23の共通サブユニットであるp40蛋白をコードし、IL-12はNK細胞の成熟とTh1細胞の分化に、IL-23はTh17細胞の維持に、それぞれ必要であるため、これらのサイトカインおよびNK細胞、ヘルパーT細胞のTAK病態への関与が示唆される。4)自然免疫系の関与TAKでは感冒症状が、前駆症状となることがある。病原体成分の感作後に大動脈炎を発症する例として、B型肝炎ウイルスワクチン接種後に大型血管炎を発症した2例の報告がある。また、TAK患者の大動脈組織では、自然免疫を担当するMICA(MHC class I chain-related gene A)分子の発現が亢進している。前述のゲノムワイド関連研究で同定されたMLX遺伝子は転写因子をコードし、報告されたSNPはインフラマソーム活性化への関与が示唆されている。以上をまとめると、HLAなどの発症感受性を有する個体が存在し、感染症が引き金となり、自然免疫関連分子やサイトカインの発現亢進が病態を進展させ、最終的に大型動脈のおそらく中膜成分を標的とする獲得免疫が成立し、慢性炎症性疾患として確立すると考えられる。■ 症状1)臨床症状TAKの症状は、(1)全身性の炎症病態により起こる症状と(2)各血管の炎症あるいは虚血病態により起こる症状の2つに分け、後者はさらに血管別に系統的に分類すると理解しやすい(表1)。画像を拡大する2)合併疾患TAKの約6%に潰瘍性大腸炎(UC)を合併する。HLA-B*52およびIL12B遺伝子領域SNPはUCの発症感受性因子としても報告されており、TAKとUCは複数の発症因子を共有する。■ 分類1)上位分類血管炎の分類には前述のChapel Hill分類(図2)が用いられる。「大型血管炎」にTAKと巨細胞性動脈炎(GCA)の2つが属する。2)下位分類畑・沼野氏らによる病型分類(1996年)がある(図3)3)。画像を拡大する■ 予後1年間の死亡率3.2%、再発率8.1%、10年生存率84%という報告がある。予後因子として、(1)失明、脳梗塞、心筋梗塞などの各血管の虚血による後遺症、(2)大動脈弁閉鎖不全、(3)大動脈瘤、(4)ステロイド治療による合併症(感染症、病的骨折、骨壊死など)が挙げられる。診断および治療の進歩により、予後は改善してきている。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)■ 検査1)各画像検査による血管撮影TAKは、生検が困難であるため、画像所見が診断の決め手となる。(1)画像検査の種類胸部X線、CT、MRI、超音波、血管造影、18F-FDG PET/PET-CTなどがある。若年発症で長期観察を要するため、放射線被曝を可能な限り抑える。(2)早期および活動期の画像所見大型動脈における全周性の壁肥厚は発症早期の主病態であり、超音波検査でみられる総頸動脈のマカロニサイン(全周性のIMT肥厚)や、造影後期相のCT/MRIでみられるdouble ring-like pattern(肥厚した動脈壁の外側が優位に造影されるため、外側の造影される輪と内側の造影されない輪が出現すること)が特徴的である。下行大動脈の波状化(胸部X線で下行大動脈の輪郭が直線的でなく波を描くこと)も早期の病変に分類され、若年者で本所見を認めたらTAKを疑う。動脈壁への18F-FDG集積は、病変の活動性を反映する(PET/PET-CT)。ただし動脈硬化性病変でもhotになることがある。PET-CTはTAKの早期診断(感度91~92%、特異度89~100%)と活動性評価の両方に有用である(2016年11月時点で保険適用なし)。(3)進行期の画像所見大型動脈の狭窄・閉塞・拡張は、臨床症状や予後と関連するため、CTアンギオグラフィ(造影早期相の3次元再構成)またはMRアンギオグラフィ(造影法と非造影法がある)で全身の大型動脈の開存度をスクリーニングかつフォローする。上行大動脈は拡張し、大動脈弁閉鎖不全を伴いやすい。従来のgold standardであった血管造影は、血管内治療や左室造影などを目的として行い、診断のみの目的では行われなくなった。(4)慢性期の画像所見全周性の壁石灰化、大型動脈の念珠状拡張(拡張の中に狭窄を伴う)、側副血行路の発達などが特徴である。2)心臓超音波検査大動脈弁閉鎖不全の診断と重症度評価に必須である。3)血液検査(1)炎症データ:白血球増加、症候性貧血、赤沈亢進、血中CRP上昇など(2)腎動脈狭窄例:血中レニン活性・アルドステロンの上昇■ 診断基準下記のいずれかを用いて診断する。1)米国リウマチ学会分類基準(1990年、表2)4)6項目中3項目を満たす場合にTAKと分類する(感度90.5%、特異度97.8%)。この分類基準にはCT、MRI、超音波検査、PET/PET-CTなどが含まれていないので、アレンジして適用する。2)2006-2007年度合同研究班(班長:尾崎 承一)診断基準後述するリンクまたは参考文献5を参照いただきたい。なお、2016年11月時点で改訂作業中である。画像を拡大する■ 鑑別診断GCA、動脈硬化症、血管型ベーチェット病、感染性大動脈瘤(サルモネラ、ブドウ球菌、結核など)、心血管梅毒、炎症性腹部大動脈瘤、IgG4関連動脈周囲炎、先天性血管異常(線維筋性異形成など)との鑑別を要する。中高年発症例ではTAKとGCAの鑑別が問題となる(表3)。GCAは外頸動脈分枝の虚血症状(側頭部の局所的頭痛、顎跛行など)とリウマチ性多発筋痛症の合併が多いが、TAKではそれらはまれである。画像を拡大する3 治療■ 免疫抑制治療の適応と管理1)初期治療疾患活動性を認める場合に、免疫抑制治療を開始する。初期治療の目的は、可及的に疾患活動性が低い状態にすること(寛解導入)である。Kerrの基準(1994年)では、(1)全身炎症症状、(2)赤沈亢進、(3)血管虚血症状、(4)血管画像所見のうち、2つ以上が新出または増悪した場合に活動性と判定する。2)慢性期治療慢性期治療の目的は、可及的に疾患活動性が低い状態を維持し、血管病変進展を阻止することである。TAKは緩徐進行性の経過を示すため、定期通院のたびに診察や画像検査でわかるような変化を捉えられるわけではない。実臨床では、鋭敏に動く血中CRP値をみながら服薬量を調整することが多い。ただし、血中CRPの制御が血管病変の進展阻止に真に有用であるかどうかのエビデンスはない。血管病変のフォローアップは、通院ごとの診察と、1~2年ごとの画像検査による大型動脈開存度のフォローが妥当と考えられる。■ ステロイドステロイドはTAKに対し、最も確実な治療効果を示す標準治療薬である。一方、TAKは再燃しやすいので慎重な漸減を要する。1)初期量過去の報告ではプレドニゾロン(PSL)0.5~1mg/kg/日が使われている。病変の広がりと疾患活動性を考慮して初期量を設定する。2006-2007年度合同研究班のガイドラインでは、中等量(PSL 20~30mg/日)×2週とされているが、症例に応じて大量(PSL 60 mg/日)まで引き上げると付記されている。2)減量速度クリーブランド・クリニックのプロトコル(2007年)では、毎週5mgずつPSL 20mgまで、以降は毎週2.5mgずつPSL 10mgまで、さらに毎週1mgずつ中止まで減量とされているが、やや速いため再燃が多かったともいえる。わが国の106例のコホートでは、再燃時PSL量は13.3±7.5mg/日であり、重回帰分析によると、再燃に寄与する最重要因子はPSL減量速度であり、減量速度が1ヵ月当たり1.2mgより速いか遅いかで再燃率が有意に異なった。この結果に従えば、PSL 20mg/日以下では、月当たり1.2mgを超えない速度で減量するのが望ましい。以下に慎重な減量速度の目安を示す。(1)初期量:PSL 0.5~1mg/kg/日×2~4週(2)毎週5mg減量(30mg/日まで)(3)毎週2.5mg減量(20mg/日まで)(4)月当たり1.2mgを超えない減量(5)維持量:5~10mg/日3)維持量維持量とは、疾患の再燃を抑制する必要最小限の用量である。約3分の2の例でステロイド維持量を要し、PSL 5~10mg/日とするプロトコルが多い。約3分の1の例では、慎重な漸減の後にステロイドを中止できる。4)副作用対策治療開始前にステロイドの必要性と易感染性・骨粗鬆症・骨壊死などの副作用について十分に説明し、副作用対策と慎重な観察を行う。■ 免疫抑制薬TAKは、初期治療のステロイドに反応しても、経過中に半数以上が再燃する。免疫抑制薬は、ステロイドとの相乗効果、またはステロイドの減量効果を期待して、ステロイドと併用する。1)メトトレキサート(MTX/商品名:リウマトレックス)(2016年11月時点で保険適用なし)文献上、TAKに対する免疫抑制薬の中で最も使われている。18例のシングルアーム試験では、ステロイド大量とMTX(0.3mg/kg/週→最大25mg/週まで漸増)の併用によるもので、寛解率は81%、寛解後の再燃率は54%、7~18ヵ月後の寛解維持率は50%だった。2)アザチオプリン(AZP/同:イムラン、アザニン)AZPの位置付けは各国のプロトコルにおいて高い。15例のシングルアーム試験では、ステロイド大量とAZP(2mg/kg/日)の併用は良好な経過を示したが、12ヵ月後に一部の症例で再燃や血管病変の進展が認められた。3)シクロホスファミド(CPA/同:エンドキサン)CPA(2mg/kg/日、WBC>3,000/μLとなるように用量を調節)は、重症例への適応と位置付けられることが多い。副作用を懸念し、3ヵ月でMTXまたはAZPに切り替えるプロトコルが多い。4)カルシニューリン阻害薬(2016年11月時点で保険適用なし)タクロリムス(同:プログラフ/報告ではトラフ値5ng/mLなど)、シクロスポリン(同:ネオーラル/トラフ値70~100ng/mLなど)のエビデンスは症例報告レベルである。■ 生物学的製剤関節リウマチに使われる生物学的製剤を、TAKに応用する試みがなされている。1)TNF-α阻害薬(2016年11月時点で保険適用なし)TNF-α阻害薬による長期のステロイドフリー寛解率は60%、寛解例の再燃率33%と報告されている。2)抗IL-6受容体抗体トシリズマブ(同:アクテムラ/2016年11月時点で保険適用なし)3つのシングルアーム試験で症状改善とステロイド減量効果を示し、再燃はみられなかった。■ 非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)免疫抑制治療により疾患活動性が落ち着いた後も、虚血病態による疼痛が残りうるため、病初期から慢性期に至るまでNSAIDsが必要となることが多い。腎障害・胃粘膜障害などに十分な注意と対策を要する。■ 抗血小板薬、抗凝固薬血小板薬は、(1)TAKでは進行性の血管狭窄を来すため脳血管障害や虚血性心疾患などの予防目的で、あるいは、(2)血管ステント術などの血管内治療後の血栓予防目的で用いられる。抗凝固薬は、心臓血管外科手術後の血栓予防目的で用いられる。■ 降圧薬血圧は、鎖骨下動脈狭窄を伴わない上肢で評価する。両側に狭窄がある場合は、下肢血圧(正常では上肢より10~30mmHg高い)で評価する。高血圧や心病変に対し、各降圧薬が用いられる。腎血管性高血圧症にはACE阻害薬が用いられる。■ 観血的治療1)術前の免疫抑制治療の重要性疾患活動性のコントロール不十分例では、再狭窄、血管縫合不全、吻合部動脈瘤などの術後合併症のリスクが高くなる。観血的治療は、緊急時を除き、原則として疾患活動性をコントロールしたうえで行う。外科・内科・インターベンショナリストを含む学際的チームによる対応が望ましい。術前のステロイド投与量は、可能であれば少ないほうがよいが、TAKの場合、ステロイドを用いて血管の炎症を鎮静化することが優先される。2)血管狭窄・閉塞に対する治療重度の虚血症状を来す場合に血管バイパス術または血管内治療(EVT)である血管ステント術の適応となる。EVTは低侵襲性というメリットがある一方、血管バイパス術と比較して再狭窄率が高いため、慎重に判断する。3)大動脈瘤/その他の動脈瘤に対する治療破裂の可能性が大きいときに、人工血管置換術の適応となる。4)大動脈弁閉鎖不全(AR)に対する治療TAKに合併するARは、他の原因によるARよりも進行が早い傾向にあり、積極的な対策が必要である。原病に対する免疫抑制治療を十分に行い、内科的に心不全コントロールを行っても、有症状または心機能が低い例で、心臓外科手術の適応となる。TAKに合併するARは、上行大動脈の拡大を伴うことが多いので、大動脈基部置換術(Bentall手術)が行われることが多い。TAKでは耐久性に優れた機械弁が望ましいが、若年女性が多いため、患者背景を熟慮し、自己弁温存を含む大動脈弁の処理法を選択する。4 今後の展望最新の分子生物学的、遺伝学的研究の成果により、TAKの発症に自然免疫系や種々のサイトカインが関わることがわかってきた。TAKはステロイドが有効だが、易再燃性が課題である。近年、研究成果を応用し、各サイトカインを阻害する生物学的製剤による治療が試みられている。治療法の進歩による予後の改善が期待される。1)特殊状況での生物学的製剤の利用周術期管理ではステロイド投与量を可能であれば少なく、かつ、疾患活動性を十分に抑えたいので、生物学的製剤の有用性が期待される。今後の検証を要する。2)抗IL-6受容体抗体(トシリズマブ)2016年11月時点で国内治験の解析中である。3)CTLA-4-Ig(アバタセプト)米国でGCAおよびTAKに対するランダム化比較試験(AGATA試験)が行われている。4)抗IL-12/23 p40抗体(ウステキヌマブ)TAK3例に投与するパイロット研究が行われ、症状と血液炎症反応の改善を認めた。5 主たる診療科患者の多くは、免疫内科(リウマチ内科、膠原病科など標榜はさまざま)と循環器内科のいずれか、または両方を定期的に受診している。各科の連携が重要である。1)免疫内科:主に免疫抑制治療による疾患活動性のコントロールと副作用対策を行う2)循環器内科:主に血管病変・心病変のフォローアップと薬物コントロールを行う3)心臓血管外科:心臓血管外科手術を行う4)脳外科:頭頸部の血管外科手術を行う6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療・研究に関する情報1)2006-2007年度合同研究班による血管炎症候群の診療ガイドライン(ダイジェスト版)(日本循環器学会が公開しているガイドライン。TAKについては1260-1275ページ参照)2)米国AGATA試験(TAKとGCAに対するアバタセプトのランダム化比較試験)公的助成情報難病情報センター 高安動脈炎(大動脈炎症候群)(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)患者会情報大動脈炎症候群友の会 ~あけぼの会~同講演会の講演録(患者とその家族へのまとまった情報)1)Jennette JC, et al. Arthritis Rheum. 2013;65:1-11.2)Terao C, et al. Am J Hum Genet. 2013;93:289-297.3)Hata A, et al. Int J Cardiol. 1996;54:s155-163.4)Arend WP, et al. Arthritis Rheum. 1990;33:1129-1134.5)JCS Joint Working Group. Circ J. 2011;75:474-503.主要な研究グループ〔国内〕東京医科歯科大学大学院 循環制御内科学(研究者: 磯部光章)京都大学大学院医学研究科 内科学講座臨床免疫学(研究者: 吉藤 元)国立循環器病研究センター研究所 血管生理学部(研究者: 中岡良和)鹿児島大学医学部・歯学部附属病院 小児診療センター 小児科(研究者: 武井修治)東北大学大学院医学系研究科 血液・免疫病学分野(研究者: 石井智徳)〔海外〕Division of Rheumatology, University of Pennsylvania, Philadelphia, PA 19104, USA. (研究者: Peter A. Merkel)Department of Rheumatology, Faculty of Medicine, Marmara University, Istanbul 34890, Turkey.(研究者: Haner Direskeneli)Department of Rheumatologic and Immunologic Disease, Cleveland Clinic, Cleveland, OH 44195, USA.(研究者: Carol A. Langford)公開履歴初回2014年12月25日更新2016年12月20日

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