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テポチニブ、日本人METexon14スキッピング肺がんのリアルワールドデータ/日本臨床腫瘍学会

 テポチニブによる日本人METexon14スキッピング非小細胞肺がん(NSCLC)の最新のリアルワールドデータが発表された。 神奈川県立がんセンターの加藤 晃史氏は第21回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO2024)で、テポチニブによる日本人METexon14スキッピングNSCLCの市販後調査の更新結果を発表した。対象は2020年6月〜2021年3月に登録されたMETexon14スキッピングNSCLC158例で、安全性・有効性評価対象は147例であった。観察期間はテポチニブの投与開始から52週である。 主な結果は以下のとおり。・患者の年齢中央値は72歳、PS2以上が2割以上、2次治療以降が半数以上を占めた。・全Gradeの有害事象(AE)発現率は72.1%、Grade≧3のAEは18.4%であった・頻度の高いAEは体液貯留(全Gradeで46.9%)、腎機能障害(同36.7%)、肝機能障害(同13.6%)で、間質性肺疾患は6.8%に発現した。・全奏効率(ORR)は51.0%、病勢制御率は77.6%であった。・ORRはECOG PSおよび前治療の有無にかかわらず一貫しており、PS2~4では45.2%、3ライン治療では46.2%、4ライン治療以降では51.5%であった。 発表者の加藤氏は、「この市販後調査結果は、日本人のMETexon14スキッピングNSCLCにおけるテポチニブの安全性と有効性を裏付けるものだ」としている。

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肺がん診療ガイドライン2023押さえておきたい3つのポイント【DtoD ラヂオ ここが聞きたい!肺がん診療Up to Date】第4回

第4回:肺がん診療ガイドライン2023押さえておきたい3つのポイントパーソナリティ日本鋼管病院 呼吸器内科 部長 田中 希宇人 氏ゲスト岡山大学病院 ゲノム医療総合推進センター 呼吸器内科 二宮 貴一朗 氏参考1)日本肺癌学会 肺癌診療ガイドライン2023(オンライン版)関連サイト専門医が厳選した、肺がん論文・ニュース「Doctors'Picks」(医師限定サイト)講師紹介

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EGFR exon20挿入変異陽性NSCLC、amivantamab+化学療法の日本人データ(PAPILLON)/日本臨床腫瘍学会

 EGFR exon20挿入変異は非小細胞肺がん(NSCLC)のEGFR変異のうち3番目に多く、12%を占めるという報告もある1)。しかし、既存のEGFRチロシンキナーゼ阻害薬はEGFR exon20挿入変異陽性のNSCLCに対する効果が乏しい。そこで、EGFR exon20挿入変異陽性のNSCLCを対象とした国際共同第III相無作為化比較試験(PAPILLON試験)において、EGFRおよびMETを標的とする完全ヒト型二重特異性抗体amivantamabと化学療法の併用の有用性が検証され、化学療法単独と比べて主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)の有意な改善が報告された2)。第21回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO2024)において、小野 哲氏(静岡県立静岡がんセンター 呼吸器内科)がPAPILLON試験の日本人サブグループの結果を報告した。・試験デザイン:国際共同非盲検無作為化比較第III相試験・対象:未治療のEGFR exon20挿入変異陽性のNSCLC患者・試験群:amivantamab+化学療法(amivantamab+化学療法群:153例[日本人:19例])・対照群:化学療法(化学療法群:155例[日本人:15例])※・評価項目:[主要評価項目]盲検下独立中央判定(BICR)に基づくPFS[副次評価項目]奏効率(ORR)、奏効期間(DOR)、全生存期間(OS)、PFS2(2次治療開始後のPFS)、安全性など※:化学療法群は病勢進行時にamivantamab単剤療法へのクロスオーバーが許容された(全体集団の65例、日本人集団の11例がクロスオーバー)。 主な結果は以下のとおり。・追跡期間中央値はamivantamab+化学療法群15.6ヵ月、化学療法群20.1ヵ月であった。・日本人集団において、ベースライン時に脳転移を有していた患者の割合は、amivantamab+化学療法群21%(全体集団:23%)、化学療法群33%(同:23%)であった。・日本人集団におけるBICRに基づくPFS中央値は、amivantamab+化学療法群15.5ヵ月(全体集団:11.4ヵ月)、化学療法群5.6ヵ月(同:6.7ヵ月)であった(ハザード比[HR]:0.22、95%信頼区間[CI]:0.09~0.53)。・日本人集団におけるORRはamivantamab+化学療法群72%(全体集団:73%)、化学療法群67%(同:47%)であった。 ・日本人集団におけるOS中央値は、amivantamab+化学療法群では未到達(全体集団:未到達)、化学療法群25.5ヵ月(同:24.4ヵ月)であった(HR:0.79、95%CI:0.17~3.62)。・日本人集団におけるPFS2中央値は、amivantamab+化学療法群18.6ヵ月(全体集団:未到達)、化学療法群13.9ヵ月(同:17.3ヵ月)であった(HR:0.44、95%CI:0.15~1.34)。・日本人集団における治療継続期間中央値は、amivantamab+化学療法群13.2ヵ月(全体集団:9.7ヵ月)、化学療法群5.1ヵ月(同:6.7ヵ月)であった。・日本人集団におけるGrade3以上の有害事象は、amivantamab+化学療法群90%(全体集団:75%)、化学療法群53%(同:54%)に発現し、全治療薬の中止に至った有害事象は、amivantamab+化学療法群11%(同:8%)に認められ、化学療法群では0例(同:8%)であった。・日本人集団における安全性プロファイルは全体集団と同様であり、安全性に関する新たなシグナルは認められなかった。 本研究結果について、小野氏は「amivantamabと化学療法の併用は、有効性・安全性が日本人集団でも全体集団と同様であり、安全性に関する新たなシグナルも認められなかった。これらの結果は、未治療のEGFR exon20挿入変異陽性のNSCLC患者において、本レジメンが新たな標準治療となることを支持するものである」とまとめた。

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EGFR変異陽性NSCLCの1次治療、ラムシルマブ+エルロチニブのOS最終解析結果(RELAY)/日本臨床腫瘍学会

 未治療のEGFR変異陽性非小細胞肺がん(NSCLC)を対象とした国際共同第III相無作為化比較試験(RELAY)において、VEGFR-2阻害薬ラムシルマブとEGFRチロシンキナーゼ阻害薬(EGFR-TKI)エルロチニブ併用の有用性が検証されている。エルロチニブへのラムシルマブの上乗せは、エルロチニブ単剤と比較して主要評価項目の無増悪生存期間(PFS)を有意に延長したことが報告され1)、実臨床でも本レジメンが用いられている。本試験は対象患者の約半数が日本人であり、日本人集団の有効性が良好で、とくにEGFR exon21 L858R変異を有するサブグループでさらに有効である可能性が報告されており2)、全生存期間(OS)の解析結果が期待されていた。第21回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO2024)において、中川 和彦氏(近畿大学病院 がんセンター長)が世界に先駆け本試験のOSの最終解析結果を報告した。・試験デザイン:国際共同第III相無作為化比較試験・対象:未治療のEGFR変異陽性(exon19del、exon21 L858R)StageIV NSCLC患者・試験群:ラムシルマブ(10mg/kg、隔週)+エルロチニブ(150mg/日)を病勢進行または中止基準に該当するまで投与(併用群:224例[日本人:106例])・対照群:エルロチニブ(同上)を病勢進行または中止基準に該当するまで投与(単剤群:225例[日本人:105例])※・評価項目:[主要評価項目]PFS[副次評価項目]OS※、奏効率(ORR)、病勢コントロール率(DCR)、奏効期間(DOR)、安全性・データカットオフ日:2023年10月20日※:OSの解析は約300例のイベント発生時に実施することが事前に規定され、データカットオフ時点で297例にイベントが発生した。検出力は設定されなかった。 主な結果は以下のとおり。・ITT集団におけるPFSの改善は、OS解析時(追跡期間中央値45.1ヵ月)まで一貫していることが確認された(層別ハザード比[HR]:0.66、95%信頼区間[CI]:0.53~0.83、p=0.0002)。・日本人集団におけるPFS中央値は、併用群19.4ヵ月(ITT集団:19.6ヵ月)、単剤群11.2ヵ月(同:12.4ヵ月)であった(HR:0.69、95%CI:0.51~0.93)。・日本人集団におけるOS中央値は、併用群54.3ヵ月(ITT集団:51.1ヵ月)、単剤群46.0ヵ月(同:46.0ヵ月)であり(HR:0.91、95%CI:0.65~1.26)、OS中央値の差は8.3ヵ月(同:5.1ヵ月)であった。・日本人集団における4年OS率は併用群57.6%(ITT集団:52.8%)、単剤群48.0%(同:48.3)であった。・日本人集団におけるL858R変異患者のOS中央値は、併用群54.3ヵ月(ITT集団:51.6ヵ月)、単剤群43.2ヵ月(同:45.8ヵ月)であり(HR:0.63、95%CI:0.40~0.99)、OS中央値の差は11.0ヵ月(同:5.9ヵ月)と、併用群が良好な傾向にあった。・日本人集団におけるexon19del変異患者のOS中央値は、併用群53.9ヵ月(ITT集団:49.0ヵ月)、単剤群62.1ヵ月(同:51.4ヵ月)であり(HR:1.40、95%CI:0.65~1.26)、OS中央値の差は-8.2ヵ月(同:-2.4ヵ月)と、単剤群が良好な傾向にあった。・病勢進行時のEGFR exon20 T790M変異の発現率は、治療群によって違いはみられなかった(日本人集団の併用群52.0%[ITT集団:47.0%]、単剤群51.0%[同:46.0%])。・日本人集団において、試験薬による治療終了後にEGFR-TKIによる治療を受けた患者の割合は併用群85.8%、単剤群85.7%であり、オシメルチニブによる治療を受けた割合はそれぞれ60.4%、55.2%であった。・日本人集団におけるGrade3以上の有害事象は、併用群81.9%(全体の安全性解析対象集団:76.0%)、単剤群61.9%(同:56.4%)に発現し、全治療薬の中止に至った治療関連有害事象は、それぞれ18.1%(同:16.3%)、21.9%(同:11.1%)に認められた。・安全性プロファイルは、既報と同様であった。 本研究結果について、中川氏は「OSの検出力の設定はなされていなかったが、ラムシルマブとエルロチニブの併用により、臨床的意義のあるOS中央値の数値的な延長がITT集団と日本人集団で示された。OS中央値の数値的な延長は、日本人患者および日本人のL858R変異を有する患者で顕著であった。この結果から、これらの患者集団にはエルロチニブとラムシルマブの併用療法がベネフィットをもたらすことが示唆された」とまとめた。

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2030年末までにグローバル売上の3分の1をオンコロジーにする/ギリアド

 ギリアド・サイエンシズは2024年2月19日、都内でオンコロジーメディアラウンドテーブルを開催した。 社長のケネット・ブライスティング氏はオンコロジー領域の展開に関する全体像を説明した。 ギリアドはグローバル戦略として、2030年末までに売り上げの3分の1をオンコロジー領域にするという目標を掲げている。日本法人でも、従来のウイルスや炎症に加え、オンコロジーを新たな注力領域とした。すでに、2023年のAxi-Cel(商品名:イエスカルタ)販売承継、24年には抗Trop-2抗体薬物複合体sacituzumab govitecan(SG)の乳がんに対する国内製造承認を申請している。25年以降は、肺がんなど固形がんに対するSGの追加適応、急性リンパ性白血病およびメルケル細胞リンパ腫を適応とした同社2剤目となるCAR-T brexucabtagene autoleucel(Brexu-Cel)の上市を計画している。 開発本部長の表 雅之氏は固形がんにおけるSGの展開について説明した。Trop-2は上皮細胞の膜表面タンパクで細胞内シグナル伝達に関与する。さらにTrop-2高発現は、がんの予後不良因子であることが知られる。SGはTrop-2を標的とした抗体とイリノテカンの活性代謝物SN-38の抗体複合体として抗腫瘍活性を発揮する。 SGはトリプルネガティブ乳がん(TNBC)、HR+/HER2-乳がん、および尿路上皮がん治療薬として海外で承認されている。日本では2024年1月、第III相ASCENT試験1)および国内第II相ASCENT-J02試験2)の結果を基に、2ライン以上の治療歴のある進行TNBCに対する製造承認申請をした。乳がんに対してはさらに、TNBCの1次治療3)、HER2-例の術後補助療法4)、HR+例(3次治療および内分泌療法抵抗例)5)についての治験もグローバルで行われている。 SGの開発は非小細胞肺がん(NSCLC)でも進行中である。今年(2024年)1月にプレス発表された既治療のNSCLCにおける第III相EVOKE-01試験では、主要評価項目(全生存期間[OS])は未達であったものの、免疫チェックポイント阻害薬(ICI)無効例では3ヵ月以上OSを延長したと発表している6)。NSCLCではさらに、1次治療での試験7)、ICIとの併用8)も進行中である。 そのほか胃・食道胃接合部がん、頭頸部がん、小細胞肺がん、子宮内膜がん、大腸がん、膵がんでSGのグローバル臨床試験が進行している。日本ではTNBC、HR+HER2-乳がん、膀胱がん、NSCLCで治験を実施中である。 ブライスティング氏は今後の開発について、多くの製薬企業やバイオテック企業と連携して開発を推進したいとしている。また、昨今問題となっているドラッグロス問題に関連して、グローバルの試験には日本法人として第III相から参加していきたいと述べた。■参考1)ASCENT試験(Clinical Trials.gov)2)ASCENT‐J02試験(jRCT)3)ASCENT-03試験(Clinical Trials.gov)4)SASCIA試験(Clinical Trials.gov)5)TROPiCS-02試験(Clinical Trials.gov)6)EVOKE-01試験(Clinical Trials.gov)7)EVOKE-02試験(Clinical Trials.gov)8)EVOKE-03試験(Clinical Trials.gov)

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緩和ケアでもよく経験する高カルシウム血症【非専門医のための緩和ケアTips】第70回

第70回 緩和ケアでもよく経験する高カルシウム血症緩和ケアでは、急性期ほど頻繁に検査は行いませんが、そうした中でも検査がカギとなる疾患もあります。そのうちの1つが高カルシウム血症です。どのようなときに、この疾患を疑うべきなのでしょうか?今日の質問訪問診療で担当する終末期の肺がん患者さん。1週間ほどでどんどん意識状態が悪化し、経過が速いことを心配して採血をしたところ、カルシウム値がかなり上昇していました。基幹病院に搬送したところ、回復して食事摂取も可能となりました。こうしたことは、よくあるのでしょうか?今回のご質問は、がん患者の高カルシウム血症についてです。私もこうした状況はよく経験します。文献にもよりますが、がん患者の10〜20%に高カルシウム血症が生じるという報告もあります。高カルシウム血症を疑う症状としては、倦怠感や口渇、多飲、便秘などがあります。可逆性も期待できる病態ですが、重症になるとせん妄や意識障害を引き起こすことがあります。がん患者に生じやすい電解質異常だと知ったうえで、これらの症状に注意して診療することが重要です。臨床的に問題になるのは、進行したがん患者には、そもそもの病状進行やオピオイドの使用などによって傾眠をはじめ、さまざまな症状が生じることです。こうした要素がある分、高カルシウム血症を疑うタイミングが遅れてしまうことがよくあります。今回の質問者はファインプレーをした、という見方もできるでしょう。がん患者の高カルシウム血症の治療は、ビスホスホネートの投与と脱水の補正が中心となります。私が研修医の頃は、まだビスホスホネートがなかったので、大量に輸液をしていました。最近は脱水の補正ができれば十分、という推奨が増えています。ここまで、がん患者における高カルシウム血症を中心にお話ししましたが、非がん患者でもこの病態が問題になることがあります。さて、ここからは私の失敗談です。患者は80歳代の女性。頸部骨折の手術後にリハビリ入院をした際に、私の担当となりました。入院からしばらくして、それまで元気だったのに、突然意識障害が進行しました。採血するとカルシウム値が非常に高くなっています。原因は、手術前から継続していたビタミンDでした。入院後に軟便で脱水になったタイミングがありましたが、その際も内服を継続しました。脱水傾向が出ているにもかかわらず内服を継続したことでカルシウム値が上昇し、さらに脱水が悪化する、という悪循環が生じていたのです。身体状況の変化で調整が必要になった薬剤に気付かず、高カルシウム血症を生じさせてしまった……。この苦い経験を通じて、緩和ケアに限らず、高齢者の診療では高カルシウム血症の可能性を忘れないようにしよう、と誓いました。今回は私の失敗談も含めてお話ししました。皆さまの参考になれば幸いです。今日のTips今日のTipsがん患者、とくに高齢患者では、高カルシウム血症を常に疑う。

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新規抗体薬物複合体SG、既治療のNSCLCに対する第III相試験の結果(EVOKE-01)/ギリアド

 ギリアド・サイエンシズは2024年1月22日、既治療の進行または転移のある非小細胞肺がん(NSCLC)に関するsacituzumab govitecan(SG)の第III相EVOKE-01試験において、主要評価項目である全生存期間(OS)を達成できなかったと発表した。 EVOKE-01試験はプラチナベース化学療法や免疫チェックポイント阻害薬でPDとなった進行または転移のあるNSCLCを対象に、SGとドセタキセルを比較した試験である。 結果、主要評価項目であるOSは、SG群において良好な傾向が認められたものの、統計学的有意には至らなかった。もっとも、試験集団の60%超を占める、抗PD-1/L1抗体に奏効しなかったサブグループでは、対照群に比べてSG群で3ヵ月以上のOS延長が認められたとしている。 今回のデータは今後開催される医学学会で発表される。また、ギリアドは同試験の結果について規制当局との議論を予定している。 SGのNSCLCに関する臨床開発プログラムは、EVOKE-01以外にペムブロリズマブとの併用による第II相EVOKE-02試験、PD-L1高発現例の1次治療に関する第III相EVOKE-03試験が進行中である。

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CRT後のデュルバルマブ地固めは高齢NSCLCにも有用か?

 切除不能なStageIIIの非小細胞肺がん(NSCLC)患者に対する化学放射線療法(CRT)後のデュルバルマブ地固め療法は、PACIFIC試験で有用性が示され、標準治療となっている。しかし、高齢のNSCLC患者における有効性・安全性は明らかになっていない。そこで、韓国・慶北大学校のJi Eun Park氏らの研究グループは、70歳以上の高齢のNSCLC患者におけるCRT後のデュルバルマブ地固め療法の有用性を検討するため、後ろ向き研究を実施した。その結果、70歳以上のNSCLC患者でも有効性は同様であったが、有害事象は多い傾向にあった。本研究結果は、Clinical Lung Cancer誌オンライン版2024年2月16日号で報告された。 本研究は、CRT後のデュルバルマブ地固め療法を受けた切除不能なStageIIIのNSCLC患者286例を対象とした後ろ向き研究で、2017年9月~2022年9月の期間に実施した。対象患者を年齢(70歳未満、70歳以上)で2群に分類し、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)、安全性などを評価した。 主な結果は以下のとおり。・70歳未満群は166例(58.0%)、70歳以上群は120例(42.0%)であった。・PFS中央値は、70歳未満群が19.4ヵ月であったのに対し、70歳以上群は17.7ヵ月であり、有意差は認められなかった。・OS中央値は、70歳未満群が未到達であったのに対し、70歳以上群は35.7ヵ月であり、有意差は認められなかった。・70歳以上群において、ECOG PS0/1のサブグループはPFSが良好で、シスプラチンを用いたCRTを実施したサブグループはOSが良好であった。一方、男性はOSが不良であった。・デュルバルマブ地固め療法を完遂した患者の割合は、70歳未満群が39.2%であったのに対し、70歳以上群は27.5%であり、完遂率は70歳以上群が有意に低かった(p=0.040)。・治療関連有害事象、Grade3/4の有害事象、治療の完全中止、治療関連死は、いずれも70歳以上群で多かった。 本研究結果について、著者らは「デュルバルマブ地固め療法は、70歳以上の高齢患者において70歳未満の患者と同様の有効性を示した。しかし、70歳以上の高齢患者では有害事象が多かった。したがって、患者選択や化学療法の選択は慎重に行うべきであり、注意深い有害事象モニタリングが必要である」とまとめた。

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切除不能肺がんに対する新アプローチ、小規模試験で有望な結果

 局所進行性で切除不能な非小細胞性肺がん(NSCLC)患者に対しては、標準的な化学療法に加え、高線量の放射線をがんに対してピンポイントで照射できる体幹部定位放射線治療(SABR、SBRTとも呼ばれる)を行うことで、患者の生存率向上が望める可能性のあることが、28人のNSCLC患者を対象にした初期段階の小規模試験で明らかになった。 研究論文の共著者である、米カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)放射線腫瘍学分野のBeth Neilsen氏は、「われわれが得た結果は、化学療法と、患者の腫瘍の位置や形状の治療による変化などを考慮して照射方法などを再検討しながら行うSABRの併用は、患者にとって有益なことを示すものだ」と述べている。詳細は、「JAMA Oncology」に1月11日掲載された。 Neilsen氏らによると、切除不能なNSCLC患者はこれまで、標準的な放射線治療(6週間で30回の照射)と化学療法の併用で治療されてきたが、その生存率は低かったという。同氏らは、低線量の放射線治療を何十回も行う代わりに、高線量の放射線治療を少ない回数で行う方が、腫瘍の根絶と再発防止につながるのではないかと考えた。SABRで鍵となるのが、生存率を向上させつつ健康な組織へのダメージを最小限に抑える理想的な線量を見つけることであった。 そこでNeilsen氏らは、医学的理由や患者の希望で腫瘍の切除が不能なステージIIおよびIIIのNSCLC患者28人(年齢中央値70歳、男性57%)を対象に、化学療法との併用で実施するSABRの線量をどれだけ安全に上げることができるかについての検討を行った。対象者は、化学療法とともに、放射線治療として4Gy/回を10回受けた後に、低線量(総線量25Gy;5Gy×5回照射、10人)、中線量(総線量30Gy;6Gy×5回照射、9人)、高線量(総線量35Gy;7Gy×5回照射、9人)でのSABRを受けた。追跡期間中央値は18.2カ月だった。 その結果、有害事象としてグレード3以上の急性または遅発性の非血液毒性がそれぞれ11%(3人)と7%(2人)の患者に生じたが、中線量群にグレード3以上の有害事象が生じた患者はいなかった。2人が死亡したが、いずれも高線量群の患者だった。2年間の局所制御率は、低線量群、中線量群、および高線量群の順に、74.1%、85.7%、および100.0%であった。また、2年間の全生存率は同順で、30.0%、76.2%、55.6%であった。 研究グループは、「2年間の腫瘍再発率に関しては高線量群が最も良好ではあったが、一方で、この群では副作用がより深刻だった」と述べている。これに対して、中線量群で生じた副作用は、主に疲労感、食道や肺の炎症による咽頭痛や咳などで、重篤な副作用が生じた患者はいなかったという。 研究グループは、本研究は対象者の数が少なかったため、より大規模な研究を実施して長期間の追跡を行う必要があると述べている。それでも、論文の上席著者である、UCLA放射線腫瘍学分野のMichael Steinberg氏は、「この研究が、がん関連死の主因である肺がんの治療を改善するために取り組まれている努力に貢献することは間違いない。SABRと化学療法の統合は、安全性、有効性、患者の転帰の改善という点で有望な新しいアプローチを提供するだけでなく、より効果的で個別化された治療への道も切り開かれることになる」と述べている。

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肺がんコンパクトパネル、細胞診検体の精度は?

 2023年1月26日に遺伝子パネル検査「肺がん コンパクトパネルDxマルチコンパニオン診断システム」(肺がんコンパクトパネル)の一部変更申請が承認された。従来、4遺伝子(EGFR、ALK、ROS1、MET)のマルチコンパニオン診断検査として用いられていたが、今回の承認により3遺伝子(BRAF、KRAS、RET)が追加され、7遺伝子が対象となった。その肺がんコンパクトパネルについて、細胞診検体(液体検体)を用いた遺伝子検査の精度を検討した結果が、國政 啓氏(大阪国際がんセンター 呼吸器内科)らによって、Lung Cancer誌オンライン版2月3日号で報告された。本研究において、気管支生検鉗子洗浄液の検体では、組織検体で検出された遺伝子変異との一致率が94.9%と高率であった。 本研究は、StageIVの非小細胞肺がん患者を対象とした。液体検体として、気管支生検鉗子洗浄液(鉗子洗浄コホート:79例)、胸水(胸水コホート:8例)、髄液(髄液コホート:9例)を用いて、肺がんコンパクトパネルによる遺伝子検査を実施した。組織検体についても遺伝子検査を実施し(オンコマイン Dx Target Test マルチ CDxシステムまたはAmoyDx肺癌マルチ遺伝子PCRパネルを使用)、鉗子洗浄コホートの液体検体の結果と比較した。 主な結果は以下のとおり。・鉗子洗浄コホートでは、組織検体で検出された変異との一致率は94.9%(75/79例)であった。・鉗子洗浄コホートの組織検体と液体検体でみられた相違は以下のとおり(下線部は相違点)。症例1:組織(EGFR L861Q、MET exon14スキッピング)、液体(EGFR L861Q)症例2:組織(KRAS Q61H)、液体(検出なし)症例3:組織(EGFR L858R)、液体(EGFR L858R、KRAS G12C)症例4:組織(EGFR L858R)、液体(EGFR L858R、EGFR A859D)・胸水コホートでは、GM管で8週間冷蔵保存した後でもDNA・RNAの質や量は低下しなかった。・髄液コホートでは、9例中8例で組織検体にドライバー遺伝子変異が認められた。髄液中に腫瘍細胞が認められた患者全例で、髄液検体で認められた変異と組織検体で認められた変異が一致していた。 本研究結果について、著者らは「組織検体の採取が困難な場合、治療につながるドライバー遺伝子変異の検索や治療抵抗性の解析に、細胞診検体を用いた肺がんコンパクトパネルによる遺伝子検査が利用可能と考えられる」とまとめた。

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「進行がんだから仕方がない」は使わない ~外来通院の進行がん患者へのリハビリテーション~【Oncologyインタビュー】第45回

出演:関西医科大学 呼吸器腫瘍内科学講座 勝島 詩恵氏「進行がんだから仕方がない」。がん医療の現場で何げなく使ってしまう言葉ではないだろうか。この言葉を考え直す時期が来ているようだ。外来通院の進行がん患者へのリハビリテーション介入という新たな挑戦が始まっている。関西医科大学の勝島 詩恵氏に聞いた。進行がん患者治療の課題に立ち向かう外来通院がん患者は増加している。その反面、治療に適応するための対策は追いついていないという。外来通院ができるがん患者は、基本的に全身状態(PS)良好で身体機能が維持されているはずだが、実際は問題を抱えているケースが多い。外来通院が可能な状態であっても、進行がん患者である以上、薬物だけで治療は成立しない。患者の栄養状態、身体機能、精神面の安定があってこそ、より良いがん診療ができる。外来通院がん患者に対して、これから始まる、あるいは現在行っている治療に適合させるための介入(リハビリテーション)が必要だと考え、2020年、関西医科大学附属病院は「フレイル外来」を立ち上げた。多職種が連携した介入を実現大学病院などのハイボリュームセンターでは、連日100人を超える外来化学療法患者が受診する施設も珍しくない。そのため、主治医の診察から治療(点滴)開始まで、長い待ち時間が生じ、患者の大きな負担となっている。フレイル外来は、その待ち時間を有効利用する。患者は化学療法外来主治医の診療終了後、フレイル外来を受診する。化学療法レジメンに合わせて、月1~2回の通院が通常である。関西医科大学附属病院のフレイル外来では、腫瘍内科医(勝島氏)が診察を行い、患者の治療内容、副作用や経過などの理解を深める。それ以外にも、食欲不振や体重減少が強い患者には、栄養士への栄養指導の依頼や治療薬に関する主治医への相談を行う。介護保険申請を行っている患者や通院が困難となってきた患者には、デイケアや訪問リハビリテーションの紹介、精神的ケアや症状緩和が必要な患者には緩和ケア科と連携したサポートを行う。フレイル外来には、立ち上げからの3年間で360人の患者が紹介されている。外来の認知度と共に患者は増え、現在は月100人の患者がフレイル外来を受診する。呼吸器、消化器、乳腺などが主体であったが、最近は血液内科から造血幹細胞移植後の患者の紹介も多い。「外来の認知度が上がるにつれ、紹介が増えており、確実なニーズの増加を実感している」と勝島氏は述べる。病勢進行していなくても、半数以上が悪液質を合併していた勝島氏らは、フレイル外来を受診する進行再発肺がん患者の調査を実施した。定期的に外来通院にて化学療法を受ける肺癌患者は基本的にPS良好で、病勢もコントロールされているはずの外来患者だが、フレイル外来初診時、過半数(55.2%)が悪液質を合併していた1)。また、化学療法を受ける進行再発がん患者の悪液質は、低栄養状態、低身体活動が悪液質の臨床的特徴、もしくは、悪液質の特徴として独立した因子として抽出された。低身体活動については、10分以上続けて行う身体活動を評価する「IPAQ*」で評価できたが、従来のPSでは拾い上げられなかった1)。「医師が判断するPSは実際の活動量と乖離している可能性があるため、PSだけで判断すると危険」と勝島氏は言う。*IPAQ(International Physical Activity Questionnaire、国際標準化身体活動質問票):1週間における高強度および中等度の身体活動を行う日数および時間を質問する。治療成績向上、鍵は治療開始までの期間と悪液質の早期予防また、勝島らは、近年肺癌診療において、病期診断、病理診断に一定の時間を要し、その間に身体機能が落ちる患者がいることに着目して調査を行った。初診から治療開始までの期間が長いほど悪液質発症が高まる傾向が明らかになった。初診から治療開始までが45日以上の群では、治療開始までに悪液質発症が増加したが(初診時37%→治療開始時87%)、45日未満の群では増加しなかった(61%→61%)。悪液質の存在は化学療法の効果に悪影響を及ぼすことも示されている。悪液がない患者では、初回化学療法の病勢コントロール率(DCR)は100%、初回治療完遂率も100%であった。一方、悪液質がある患者での初回化学療法のDCRは66.7%、初回治療完遂率は58.7%と、有意差はないものの、悪液質がない患者よりも悪い傾向であった。しかし、悪液質の合併については、医療者も患者も危機意識は低い。勝島氏によれば、がんの確定診断を受けながら、治療開始までの待機期間にPSが悪化し、抗がん剤治療が受けられなくなってしまったケースも少なくないという。悪液質は決してがん終末期の病態ではなく、がん治療の早期にも現れ、抗がん剤治療に悪影響を及ぼす。迅速な診断と介入で、いかに悪液質がない状態で化学療法を実施できるかが、がん治療成功の鍵を握るといえる。これらの研究結果について勝島氏は、「多くの医療者が何となく気付いていたこと。少し全貌が明らかになった」と言う。がんリハビリテーションの質的なメリット進行再発がんリハビリテーションの真のエンドポイントは定まっていない。治療を行ったとしても最終的には病勢が進行する。そのため、体重や身体機能などの量的なエンドポイントは、いずれ達成できなくなってしまう。一方、フレイル外来通院患者の中には、病勢が進行しても受診を希望する患者も多い。そのため、進行再発がん患者へのリハビリテーションは、量的な効果だけでなく、質的な効果を持つのではないかという仮説を立てた。そして、フレイル外来通院患者に、リハビリテーションでの経験について、半構造化面接法によるインタビューを行った。その結果、がんリハビリテーションに取り組むことで、フレイル外来通院患者は「身体機能改善に対する期待感」「変化を客観的に把握できる安心感」「自分の存在意義の再確認」といったポジティブな経験をし、根治不能な進行がんとの付き合い方を見いだしていることがわかった2)。現時点でできることとはいえ、すべての施設で関西医科大学のような取り組みができるわけではない。そのような中、医療者ができることは何だろうか。まず、悪液質に対する危機意識を高めるべきだと勝島氏は強調する。また、医療者と共に患者の理解も重要だ。治療医の言葉は患者に大きな影響を与える。治療医から患者への「どれだけ動けて、痩せずに治療を受けられるか、で抗がん剤の効果も変わってくる」などの一言で、患者の理解も深まるという。多職種連携の最初の一石は医師しか投じられない。モチベーションが高い理学療法士や看護師は多いが、医師からの紹介がないと動くことはできないことも多い。勝島氏は「治療医から発信するがん悪液質診療を形作るべき」と述べる。前向き試験の取り組み前述の先行試験から、悪液質は初回治療前からでも存在し得ること、治療に悪影響を及ぼすことが明らかとなった。勝島氏らは、次の段階として前向き試験を実施し、初回治療前からの運動・栄養療法が進行再発がんにおける悪液質の発症を抑制し、がん治療に良い効果を生み出すか否かを検証する予定である。今回の試験は治療前から介入するため、少なくとも化学療法の影響を受けない。交絡因子として化学療法の影響を受けないことから、がんリハビリテーションの効果をより純粋に評価できる可能性があるという。外来がんリハビリテーションの診療報酬獲得に結び付ける現在は、患者も医療者も、治療中の体重減少や身体機能低下の重要性について認識不足で、介入も遅れがちである。実際、フレイル外来には、痩せきって身体機能が落ちてから紹介されるケースも少なくないという。早期からのリハビリテーションの重要性を医療者が認識することで、治療効果が乏しくなる前に介入できる。勝島氏は、「痩せて筋力もない患者が、化学療法という大きな剣を無理やり持たされている状況が悪液質。それに対し、早期から多職種が介入して、身体機能や栄養状態、精神面を維持してもらうことで、大きな剣をしっかり振りかざすことができる」とし、「われわれの研究によって、運動療法・栄養療法という低コストの介入が、進行がん治療に寄与することが証明できれば、最終的には外来がんリハビリテーションの診療報酬獲得に結び付くかもしれない」と述べた。画像を拡大する画像を拡大する(ケアネット 細田 雅之)参考1)Katsushima U, et al. Jpn J Clin Oncol. 2024 Jan 11. [Epub ahead of print]2)勝島 詩恵ほか. Palliative Care Research.2022;17:127-134.

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がんの企業治験で分散型臨床試験を使用開始/アムジェン・MICIN・聖マリアンナ医大

 アムジェン、MICIN、および聖マリアンナ医科大学病院は、アムジェンが聖マリアンナ医科大学病院で実施するがんの企業治験において、分散型臨床試験(Decentralized Clinical Trial:DCT)のプラットフォーム使用を開始した。DCTプラットフォームはMICIN社が提供する「MiROHA(ミロハ)」である。 同取り組みの対象となるアムジェンの企業治験は、発現頻度が低いバイオマーカーを対象としたものである。患者数が少なく、スクリーニングでの脱落率も高いことが予想されているため、より多くの患者からインフォームド・コンセント(IC)を取得し、患者組み入れを促進する必要がある。 同治験では、治験実施医療機関と関連病院をMiROHAを使用してオンラインでつなぐことによって、遠隔でICを実施する。患者は治験実施医療機関を直接受診することなく、紹介元の病院にいながら治験の説明を受けることができる。 DCTを活用した治験は、居住地域にかかわらず、適切な患者が治験の情報を知り、治験に参加できるようになる可能性がある。さらに、治験登録が速く進み、有効な薬剤をいち早く患者に届けられると期待される。

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FoundationOne CDx、BRCA変異陽性の去勢抵抗性前立腺がんに対するコンパニオン診断として承認/中外

 中外製薬は2024年2月5日、遺伝子変異解析プログラム「FoundationOne CDx がんゲノムプロファイル」(FoundationOne)について、ファイザーのPARP阻害薬タラゾパリブ(商品名:ターゼナ)のBRCA遺伝子変異陽性の遠隔転移を有する去勢抵抗性前立腺がんに対するコンパニオン診断として厚生労働省より承認を取得したと発表。 FoundationOneは、今回の承認で8つのがん種(非小細胞肺がん、悪性黒色腫、乳がん、大腸がん、卵巣がん、前立腺がん、胆道がん、固形がん)、計25薬剤に対するコンパニオン診断機能を保有することになった。

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新規がんは世界で約2,000万例、日本で多いがん種との違いは?/WHO

 2024年2月1日、世界保健機関(WHO)のがんに特化した機関である国際がん研究機関(IARC)は、185ヵ国から収集したがん負担に関する最新の推計を発表した。それによると、2022年には全世界で新たに約2,000万例のがん患者が生じ、約970万例が死亡したと推定される。36のがん種のうち、世界で最も多く発症および死亡したのは肺がんで、日本で最も多く発症したのは大腸がん、最も多く死亡したのは肺がんであった。<全世界> 全世界では、2022年に新たに1,996万5,054例(男性:1,030万6,574例、女性:965万8,480例)ががんに罹患し、死亡は973万6,520例(男性:542万6,895例、女性:430万9,625例)と推定される。 新規発症したがんは、全体では肺がんが最も多く(12.4%[248万308例])、乳がん(11.6%[230万8,931例])、大腸がん(9.6%[192万6,136例])、前立腺がん(7.3%[146万6,718例])、胃がん(4.9%[96万8,365例])と続いた。男女別では、男性では肺がん(15.3%)、前立腺がん(14.2%)、大腸がん(10.4%)、胃がん(6.1%)、肝がん(5.8%)が多く、女性では乳がん(23.8%)、肺がん(9.4%)、大腸がん(8.9%)、子宮がん(6.8%)、甲状腺がん(6.4%)が多かった。 死亡が最も多かったのは、全体では肺がん(18.7%[181万7,131例])で、大腸がん(9.3%[90万3,853例])、肝がん(7.8%[75万7,906例])、乳がん(6.9%[66万9,418例])、胃がん(6.8%[65万9,805例])と続いた。男性では肺がん(22.7%)、肝がん(9.6%)、大腸がん(9.2%)、胃がん(7.9%)、前立腺がん(7.3%)の順に多く、女性では乳がん(15.4%)、肺がん(13.6%)、大腸がん(9.4%)、子宮がん(8.1%)、肝がん(5.5%)の順に多かった。 なお、肺がんは、アジアにおけるタバコの習慣的な使用が関係している可能性が高いと推測されている。<日本> 日本では、2022年に新たに100万5,157例(男性:58万535例、女性:42万4,622例)ががんに罹患し、42万6,278例(男性:24万823例、女性:18万5,455例)が死亡したと推定される。 新規発症したがんは、全体では大腸がん(14.5%[14万5,756例])、肺がん(13.6%[13万6,723例])、胃がん(12.6%[12万6,724例])、前立腺がん(10.4%[10万4,318例])、乳がん(9.1%[9万1,916例])の順に多かった。男女別では、男性では前立腺がん(18.0%[10万4,318例])が最も多く、肺がん(16.5%[9万5,740例])、胃がん(14.5%[8万4,071]、大腸がん(13.9%[8万435例])、肝がん(4.9%[2万8,678])と続いた。女性では乳がん(21.6%[9万1,916例])、大腸がん(15.4%[6万5,321例])、胃がん(10.0%[4万2,653例])、肺がん(9.7%[4万983例])、膵がん(5.7%[2万4,018例])の順に多かった。 死亡が最も多かったのは、全体では肺がん(19.5%[8万3,243例])で、大腸がん(14.2%[6万473例])、胃がん(10.3%[4万3,807例])、膵がん(10.1%[4万3,265例])、肝がん(6.2%[2万6,420例])と続いた。男性では肺がん、大腸がん、胃がんが多く、女性では大腸がん、肺がん、膵がんが多かった。 2050年には新たに3,500万例以上のがん患者が発生すると予測しており、これは2022年の推定2,000万例から77%の増加である。急速に増加する世界的ながん罹患は、人口の高齢化や増加、社会経済的発展に関連する危険因子(タバコ、アルコール、肥満、大気汚染など)への曝露の変化を反映しているとされる。

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第21回日本臨床腫瘍学会の注目演題/JSMO2024

 日本臨床腫瘍学会は2024年1月31日にプレスセミナーを開催し、第21回日本臨床腫瘍学会学術集会(2024年2月22日~24日)の注目演題などを紹介した。 今回は、国・立場・専門分野・職種・治療手段などのあらゆる障壁をなくし、世界を1つにして皆で語り、議論をして、その先に続く未来を切り拓いていきたいという願いを込め、「Break the Borders and Beyond ~for our patients~」というテーマが設定された。演題数は1,258となり、そのうち海外演題数は511と過去最多になる予定である。プレジデンシャルシンポジウムなどの注目演題 能澤 一樹氏(愛知県がんセンター ゲノム医療センターがんゲノム医療室・乳腺科部 医長)が、本会で企画されているプレジデンシャルシンポジウムを紹介した。プレジデンシャルシンポジウムは8セッション、シンポジウムは30セッション企画されている。プレジデンシャルシンポジウムは以下のとおり。【プレジデンシャルシンポジウム】会長企画シンポジウム1:Real World Data(RWD)活用に向けた基盤整備2月22日(木)9:00~10:20会長企画シンポジウム2:ICIで変わる、周術期治療2月22日(木)10:30~11:30会長企画シンポジウム3:腫瘍内科医に知って欲しい外科治療の進歩2月22日(木)15:30~17:00会長企画シンポジウム4:多学際領域との協働で奏でる臨床腫瘍学の未来2月23日(金)8:20~9:50会長企画シンポジウム5:超高齢社会のがん医療、日本はどうすべきか2月23日(金)9:50~11:20会長企画シンポジウム6:臨床開発や日常診療のためのReal World Data活用を考える2月24日(土)8:20~9:50会長企画シンポジウム7:がん診療は集約化か均てん化か2月24日(土)13:45~15:15会長企画シンポジウム8:新規薬剤開発における新しいドラッグロス2月24日(土)9:50~11:50 また、岩田 広治氏(愛知県がんセンター副院長 兼 乳腺科部長)は、プレジデンシャルセッションが充実していることを強調した。プレジデンシャルセッションで発表されるデータは、過去に国際学会で発表されたものではなく、世界で初めて発表されるデータとなっている。紹介された演題は以下のとおり。【プレジデンシャルセッション】・肺がんグローバル試験の日本人サブセット解析:1演題・肺がんグローバル試験のアジア人サブセット解析:1演題・肺がんグローバル試験の全生存期間アップデート:1演題・消化器がん大規模コホート研究からの新規データ(SCRUM-Japan MONSTAR SCREEN2、GALAXY Trial):3演題・血液がんの新規薬剤第I相試験:1演題・乳がん新規抗体薬物複合体のグローバル試験のアジア人サブセット解析:1演題・乳がん新規グローバル試験のバイオマーカー解析:1演題・日本での新規抗体薬物複合体の第I相試験データ:1演題・消化器がんの日本での第III相試験のバイオマーカー解析:1演題・消化器がんのグローバル試験の日本人サブセット解析:1演題・肝胆膵領域でのJCOG試験の追加解析結果:1演題新規薬剤のドラッグロスへの取り組み 室 圭氏(愛知県がんセンター 薬物療法部 部長)がドラッグロスについて解説した。ドラッグロスは、欧米にて承認されている薬剤が日本では開発されず、使用できないという問題であり、ドラッグロスに該当する抗がん剤は2016年時点で21剤であったのに対し、2020年時点では44剤に増加している。この原因として、海外新興企業が開発する薬剤の増加、臨床試験に日本が組み入れられないことなどが挙げられる。 そこで、わが国が直面する喫緊の問題の解決に向けて、以下のシンポジウムが企画されている。会長企画シンポジウム8:新規薬剤開発における新しいドラッグロス2月24日(土)9:50~11:50リアルワールドデータの活用に向けた諸問題 武藤 学氏(京都大学大学院医学研究科 腫瘍薬物治療学講座 教授)がリアルワールドデータの活用法と現状の課題について紹介した。国際的には、リアルワールドデータを用いて薬剤の承認申請を行うことが検討されており、実際に活用され始めている。日本でもさまざまなデータベースが利用できるようになっているが、アウトカムのデータが存在しない、デジタル化が遅れている、電子カルテメーカーや施設によって情報のコードやデータ構造が異なる、医療者によって記載方法が異なるナラティブデータの取り扱い方が定まっていないなど、課題が山積している。 そこで、リアルワールドデータの活用に向けて、以下のシンポジウムが企画されている。会長企画シンポジウム1:Real World Data(RWD)活用に向けた基盤整備2月22日(木)9:00~10:20会長企画シンポジウム6:臨床開発や日常診療のためのReal World Data活用を考える2月24日(土)8:20~9:50

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ROS1融合遺伝子陽性非小細胞肺がんに対する次世代治療薬repotrectinib(解説:田中希宇人氏/山口佳寿博氏)

 ROS1融合遺伝子は非小細胞肺がんの約2%に認められるドライバー遺伝子変異である。現在、本邦でもROS1融合遺伝子陽性非小細胞肺がんに対し、クリゾチニブおよびエヌトレクチニブが承認されている。「PROFILE 1001試験」においてROS1融合遺伝子陽性非小細胞肺がんに対してクリゾチニブはORR 72%、PFS中央値19.2ヵ月、OS中央値51.4ヵ月という有効性を示した(Shaw AT, et al. N Engl J Med. 2014;371:1963-1971. , Shaw AT, et al. Ann Oncol. 2019;30:1121-1126.)。また同じくROS1融合遺伝子陽性非小細胞肺がんに対するエヌトレクチニブ単剤療法を評価した「ALKA-372-001試験」と「STARTRK-1試験」「STARTRK-2試験」の3つの臨床試験の統合解析では、ORR 77%、PFS中央値19.0ヵ月という結果が示された。いずれも『肺癌診療ガイドライン2023年版』では推奨度「1C」という位置付けとなっている。 ただし、現在承認されているROS1融合遺伝子陽性非小細胞肺がんに対する治療薬は、耐性の出現や脳転移での再発の頻度が高いことが知られている。今回紹介するrepotrectinibはROS1のトロポミオシン受容体キナーゼ(TRK)A/B/Cを選択的に阻害する低分子チロシンキナーゼ阻害薬(TKI)である。repotrectinibは過去の臨床試験において、ROS1 G2032Rなどの耐性変異を含むROS1融合遺伝子陽性肺がんに対する活性が示された次世代のROS1-TKIとされている。 今回行われた「TRIDENT-1試験」の第I相試験の結果に基づき、repotrectinibの推奨用量は160mg、1日1回を14日間投与後、15日目以降は160mg、1日2回投与とされた。ROS1-TKI未治療の拡大コホート1に含まれた71例では、奏効率79%、PFS中央値35.7ヵ月と高い効果が示された。また化学療法治療歴がなくROS1-TKIで1種類の治療歴のある56例の拡大コホート4でも、奏効率38%、PFS中央値9.0ヵ月と期待される結果が示された。ベースラインに脳転移がない症例における、頭蓋内の12ヵ月時点でのPFS率は拡大コホート1で91%、拡大コホート4で82%と高い効果が示された。また、第II相試験の用量で治療された426例のうち、頻度の高い有害事象はめまい、味覚障害、異常感覚であり、Grade3以上の有害事象は29%であったと報告された。治療中止に至った有害事象は3%となっている。 第III相試験が行われたわけではないので、純粋に比べることはできないが、この「TRIDENT-1試験」の結果からは次世代ROS1-TKIであるrepotrectinibは既存の治療薬と並べても、奏効率も無増悪生存期間も期待できることがわかる。とくに拡大コホート4で行われたROS1-TKIが1種類使用された症例群においても奏効率38%、PFS 9.0ヵ月というのは有望である。既存のROS1-TKIでも制御が難しい脳転移に対しても、高い頭蓋内PFS率が示されたことも心強い結果であり、早期の承認が望まれる。 ただ、本研究に使用されたROS1融合遺伝子の検索は「Guardant360 CDx」あるいは「GeneseeqLite circulating tumor DNA-based assays」に基づいている。本邦の医療機関では一般的に扱っていない検査キットであり、今後、このrepotrectinibが実臨床で活用されるためにはコンパニオン診断の問題が出てくるのであろう。

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肺がんコンパクトパネルにBRAF、KRAS、RET追加

 DNAチップ研究所は2024年1月26日、次世代シークエンス技術による遺伝子パネル検査「肺がん コンパクトパネルDxマルチコンパニオン診断システム」(肺がんコンパクトパネル)の承認事項一部変更を発表した。 今回の承認で、2022年12月16日に開示した従来の4遺伝子(EGFR、ALK、ROS1、MET)に加え、3遺伝子(BRAF、KRAS、RET)が新たに承認されたことになる。 肺がんコンパクトパネルは、検体として生検採取のFFPE組織、未固定組織に加え、細胞診も対象となる。

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医療者の体重減少、1年以内のがん罹患リスク高い/JAMA

 過去2年以内に体重減少がみられなかった集団と比較して、この間に体重減少を認めた集団では、その後の12ヵ月間にがんに罹患するリスクが有意に高く、とくに上部消化管のがんのリスク増大が顕著なことが、米国・ハーバード大学医学大学院のQiao-Li Wang氏らの調査で示された。研究の成果は、JAMA誌2024年1月23/30日号に掲載された。米国の医療従事者を対象とする前向きコホート研究 研究グループは、米国のNurses’ Health Study(NHS)に参加した40歳以上の女性看護師(追跡期間1978年6月~2016年6月)と、Health Professionals Follow-Up Study(HPFS)に参加した40歳以上の男性医療従事者(追跡期間1988年1月~2016年1月)のデータを用いた前向きコホート研究を行った(NHSとHPFSは米国国立衛生研究所[NIH]の助成を、今回の解析はSwedish Research Councilなどの助成を受けた)。 体重の変化は、両研究の参加者が2年ごとに報告した体重から算出した。また、減量の意思の強度を、減量促進行動としての身体活動の増強と食事の質の改善の有無で、高(両方の行動あり)、中(いずれか一方の行動あり)、低(両方の行動ともなし)の3つに分類した。10万人年当たりの1年がん罹患率:体重減少群1,362人vs.非減少群869人 15万7,474人(年齢中央値62歳[四分位範囲[IQR]:54~70]、女性11万1,912人[71.1%])を解析の対象とした。164万人年の追跡期間中に1万5,809人のがん罹患を同定した(罹患率964人/10万人年)。平均追跡期間は28(SD 10)年だった。 体重の変化を報告してから12ヵ月間のがん罹患率は、体重減少を認めなかった集団が869人/10万人年であったのに対し、10.0%を超える体重減少がみられた集団では1,362人/10万人年と有意に高かった(群間差493人/10万人年、95%信頼区間[CI]:391~594人/10万人年、p<0.001)。早期がん、進行がんのいずれも体重減少の可能性 減量の意思が低い集団における12ヵ月間のがん罹患率は、体重減少を認めなかった集団が1,220人/10万人年であったのと比較して、10.0%を超える体重減少がみられた集団では2,687人/10万人年であり、有意に高率だった(群間差1,467人/10万人年、95%CI:799~2,135人/10万人年、p<0.001)。 とくに上部消化管(食道、胃、肝臓、胆道、膵臓)のがんが、体重減少を認めた集団で多く、最近の体重減少がない集団では36人/10万人年であったのに対し、10.0%を超える体重減少がみられた集団では173人/10万人年であった(群間差:137人/10万人年、95%CI:101~172人/10万人年、p<0.001)。 著者は、「体重減少が0.1~5.0%および5.1~10.0%の集団でも、がん罹患率が有意に高かったが、10.0%超の減少がみられた集団でより顕著であり、減量の意思が“高”の集団よりも“低”の集団で高い傾向がみられた」と述べるとともに、「乳房、生殖器系、泌尿器のがん、脳腫瘍、悪性黒色腫などは体重減少との関連がなく、10.0%超の体重減少との関連を認めたのは、上部消化管のほか、血液、大腸、肺のがんであった」としている。 また、「体重減少の量は早期がんと進行がんで同程度であり、いずれのがんでも体重減少を認めると示唆された。年齢60歳以上で、体重が10.0%を超えて減少し、減量の意思が低い集団では、その後12ヵ月間にがんと診断される確率は3.2%であった」としている。

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