切除不能なStageIIIのEGFR遺伝子変異陽性非小細胞肺がん(NSCLC)において、化学放射線療法(CRT)後のオシメルチニブ地固め療法が無増悪生存期間(PFS)を大幅に改善したことが国際共同第III相無作為化比較試験「LAURA試験」で示され1)、米国食品医薬品局(FDA)より承認を取得している。ただし、全生存期間(OS)の中間解析では、成熟度が20%と低く、OSの有意な改善はみられなかった(ハザード比[HR]:0.81、95%信頼区間[CI]:0.42~1.56)。そのため、OSの長期フォローアップデータの解析が待たれている。そこで、OSのアップデート解析が実施され、欧州肺がん学会(ELCC2025)で米国・エモリー大学のSuresh S. Ramalingam氏が結果を報告した。
・試験デザイン:国際共同第III相無作為化比較試験
・対象:18歳以上(日本は20歳以上)の切除不能なStageIIIのEGFR遺伝子変異(exon19delまたはL858R)陽性NSCLC患者のうち、CRT(同時CRTまたはsequential CRT)後に病勢進行が認められなかった患者216例
・試験群(オシメルチニブ群):オシメルチニブ(80mg、1日1回)を病勢進行または許容できない毒性、中止基準への合致のいずれかが認められるまで 143例
・対照群(プラセボ群):プラセボ※ 73例
・評価項目:
[主要評価項目]RECIST v1.1に基づく盲検下独立中央判定(BICR)によるPFS
[主要な副次評価項目]OS、頭蓋内PFS
[副次評価項目]2次治療の開始または死亡までの期間(TFST)、PFS2(2次治療開始後のPFS)、3次治療の開始または死亡までの期間(TSST)など
※:BICRによる病勢進行が認められた患者は非盲検下でオシメルチニブへのクロスオーバーが許容された。
主な結果は以下のとおり。
・データカットオフ時点(2024年11月29日)において、割り付け治療を受けている患者の割合は、オシメルチニブ群48%(69/143例)、プラセボ群5%(4/73例)であった。
・アップデート解析におけるOSの成熟度は31%であり、OS中央値はオシメルチニブ群58.8ヵ月、プラセボ群54.0ヵ月であった(HR:0.67、0.40~1.14)。4年OS率はそれぞれ70%、52%であり、カプランマイヤー曲線の両群間の開きは前回の解析時より大きくなる傾向がみられた。なお、OSのアップデート解析時までに、割り付け治療中止に至ったプラセボ群の患者のうち、80%(55/69例)が2次治療として第3世代EGFRチロシンキナーゼ阻害薬(EGFR-TKI)による治療を受けた。
・割り付け治療中止に至った患者のうち、2次治療を受けた割合はオシメルチニブ群73%(54/74例)、プラセボ群87%(60/69例)であった。2次治療の内訳はいずれの群もEGFR-TKIが最も多く、それぞれ42%、88%であった。細胞傷害性化学療法はそれぞれ27%、4%であった。
・PFSに関する主解析時(データカットオフ日:2024年1月5日)におけるTFST、PFS2、TSSTの結果も報告された。
・TFST中央値はオシメルチニブ群43.8ヵ月、プラセボ群9.5ヵ月であった(HR:0.13、95%CI:0.08〜0.21、名目上のp<0.001)。
・PFS2中央値はオシメルチニブ群48.2ヵ月、プラセボ群47.4ヵ月であった(HR:0.62、95%CI:0.35~1.08)。
・TSST中央値はオシメルチニブ群未到達、プラセボ群47.4ヵ月であった(HR:0.51、95%CI:0.28〜0.91、名目上のp=0.022)。
(ケアネット 佐藤 亮)