非小細胞肺がん、肺がんコンパクトパネルのリアルワールドデータ/Anticancer Res

提供元:ケアネット

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公開日:2025/04/15

 

 非小細胞肺がん(NSCLC)の分子プロファイリングに基づく個別化治療戦略は、NSCLC患者の予後を改善するために不可欠である。肺がんコンパクトパネル(LCCP)は、組織および細胞診検体からNSCLCの遺伝子変異を検出するマルチフレックスコンパニオン診断キットである。しかし、その実臨床における成績について大規模な検証がなされていなかった。そのようななか、近畿中央呼吸器センターの谷口 善彦氏が日本でのリアルワールドデータをAnticancer Research誌2025年4月号で発表した。

 同研究は、2023年4月~2024年7月に同施設でNSCLCと診断されLCCPを用いた症例の組織型、遺伝的異常、アレル頻度、PD-L1発現レベルを収集し後方視的に分析した。

 主な結果は以下のとおり。

・317例を評価した結果、154件(48.6%)が遺伝的異常を示した。
・最も多く発見された変異は、EGFRの主要変異で63例であった。
・腺がんでは、126例(70%)が遺伝的異常を示した。
・15例で複数の共遺伝子異常が同定された。
・13例が低アレル頻度(2.5%未満)を示していた。
EGFRエクソン19del陽性症例の30件で特定された9変異のうち3変異は、他のコンパニオン診断法では検出できないものであった。

 LCCPは腫瘍含量が低い(5%以下)症例でも遺伝子異常を検出する能力を示すことから、EGFRエクソン19delの希少変異や複数の共変異を同定できる能力がある。これらの結果は、LCCPがNSCLCの個別化治療戦略を改善する可能性を示すとしている。

(ケアネット 細田 雅之)