医師の喫煙率、男女・診療科で差/日医

提供元:ケアネット

印刷ボタン

公開日:2025/04/09

 

 日本医師会(会長:松本 吉郎氏[松本皮膚科形成外科医院 理事長・院長])は、4月2日に定例の記者会見を開催した。会見では、松本氏が3月28日に発生したミャンマー大地震の犠牲者などに哀悼の意を示すとともに、支援金として医師会より合計1,000万円を支援したことを報告した。また、2000年より医師会と日本大学が共同調査を行っている「喫煙意識調査報告」の内容、4月19日に開催されるシンポジウム「未来ビジョン若手医師の挑戦」の開催概要が説明された。

男性会員医師の喫煙率は下げ止まり

 「第7回(2024年)日本医師会員喫煙意識調査報告」について副会長の茂松 茂人氏(茂松整形外科 院長)がその概要を述べ、調査を行った兼板 佳孝氏(日本大学医学部社会医学系公衆衛生学分野 教授)が詳細を説明した。

 この調査は、医師会の禁煙推進活動の一環として2000年より4年ごとに実施され、医師会員の喫煙の現状とその関連要因の把握を目的に行われている。

 今回の主な調査目的は、「喫煙率の推移」、「喫煙に関する意識」、「加熱式たばこの使用実態」、「加熱式たばこに関する意識」の4点であり、調査方法としては日本医師会員の中より性別・年齢階級で層別化した上で無作為に抽出した男性6,000人、女性1,500人に自記式質問調査票の郵送で実施した。調査時期は2024年2~12月で、有効回答数は4,139人(反応率58.0%)だった。

 主な結果は以下のとおり。

・男性の喫煙率は6.9%(前回7.1%)、女性は0.9%(前回2.1%)。
・年齢階級別の喫煙率につき、男性では50~59歳が8.8%、女性では70歳以上が2.3%で1番高かった。
・診療科別の喫煙率につき、男性では皮膚科(12.1%)、精神科(9.7%)、整形外科(9.6%)の順で多く、参考までに呼吸器科は3.2%と低く、健診科は0%だった。
・診療科別の喫煙率につき、女性では循環器科(4.0%)、健診科(3.4%)、精神科(2.0%)の順で多く、0%の診療科が呼吸器科、消化器科など8診療科あった。
・現在使用しているたばこ製品については、紙巻たばこ(70.9%)、加熱式たばこ(32.7%)、そのほか(2.6%)の順で多かった。
・「加熱式たばこへの心配や懸念」については、「長期間の安全性のエビデンスがないこと」(54.0%)で1番多かった。
・「加熱式たばこについて質問された経験」では、「ある」が20.6%、「ない」が78.8%だった。
・「加熱式たばこの正確な情報を患者に説明できるか」では、「できる」が11.4%、「できない」が87.7%だった。

 今回の調査結果から茂松氏らは、「男性の喫煙率が下げ止まりとなったこと」、「男女ともに20~39歳の喫煙率の低下が顕著だったこと」、「喫煙者の中で加熱式たばこの使用者割合が増加したこと」などが判明したと言及し、「これらの研究結果を踏まえた上で、日本医師会による喫煙防止啓発活動がさらに推進されていくことが期待され、引き続き、定期的に同様の調査を実施し、医師会員の喫煙率、喫煙習慣をモニタリングしていく必要がある」と語った。

 最後に常任理事の笹本 洋一氏(ささもと眼科クリニック 院長)が、シンポジウム「未来ビジョン若手医師の挑戦」について、4月19日にライブ配信で開催されること、内容は若手医師のさまざまな挑戦とシンポジウムを中心に行われることを紹介し、会見を終えた。

(ケアネット 稲川 進)