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高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン、8年ぶりに改訂

 2018年12月28日、日本痛風・核酸代謝学会は『高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン(GL) 第3版』を発刊した。改訂は2010年以来8年ぶりとなる。近年、尿酸値の上昇は、痛風だけではなく、脳・心血管疾患や腎障害にも影響を及ぼすとの報告が増えているため、これらのイベント予防も目的として作成されている。高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン第3版の特徴とは 高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン第3版は全3章で章立てられており、第1章は作成組織・作成方針、第2章は、診療上重要度の高い7つのクリニカルクエスチョン(CQ)と、それに対するエビデンスならびに推奨度が示されている。第3章は治療マニュアルとして、リスク因子、診断、治療などが項目ごとに記載され、「医療経済」の項が新規で追加されている点などが主な特徴である。治療アルゴリズムにはこれらのCQが盛り込まれており、高尿酸血症・痛風の治療ガイドラインの集大成と言っても過言ではないそうだ。 また、これまでの病型分類は、尿酸産生過剰型と尿酸排泄低下型の2つのタイプであった。今回の高尿酸血症・痛風の治療ガイドラインには、腸からの排泄低下により血清尿酸値が上昇するという“腎外排泄低下型”の概念が追加されている。 以下に第2章の各CQのみを高尿酸血症・痛風の治療ガイドラインより抜粋して示す。第2章 クリニカルクエスチョンと推奨CQ1)急性痛風関節炎(痛風発作)を起こしている患者において、NSAID・グルココルチコイド・コルヒチンは非投薬に比して推奨できるか?CQ2)腎障害を有する高尿酸血症の患者に対して、尿酸降下薬は非投薬に比して推奨できるか?CQ3)高尿酸血症合併高血圧患者に対して、尿酸降下薬は非投薬に比して推奨できるか?CQ4)痛風結節を有する患者に対して、薬物治療により血清尿酸値を6.0mg/dL以下にすることは推奨できるか?CQ5)高尿酸血症合併心不全患者に対して、尿酸降下薬は非投薬に比して推奨できるか?CQ6)尿酸降下薬投与開始後の痛風患者に対して、痛風発作予防のためのコルヒチン長期投与は短期投与に比して推奨できるか?CQ7)無症候性高尿酸血症の患者に対して、食事指導は食事指導をしない場合に比して推奨できるか? 高尿酸血症・痛風の治療ガイドラインはCQにおいて、とくに重要なポイントはCQ2、3で、腎機能低下を抑制する目的での尿酸降下薬の使用を条件付きで推奨している(欧米のGLでは推奨されていない)。一方、心血管発症リスクの軽減を目的とした尿酸降下薬の使用は、条件付きで推奨されない。ただし、降圧薬使用中の高血圧患者では痛風や腎障害を合併しやすいため、痛風や腎障害の抑制を目的に尿酸降下薬の投与が推奨されている。

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食道がんのハイブリッド低侵襲食道切除術、重大な合併症を低減/NEJM

 食道がんに対するハイブリッド低侵襲食道切除術は、開胸食道切除術に比べ術中・術後の重大な合併症の発生率が低く、3年時の全生存率および無病生存率は低下しないことが、フランス・Claude Huriez University HospitalのChristophe Mariette氏の検討で示された。研究の成果は、NEJM誌2019年1月10日号に掲載された。ハイブリッド低侵襲食道切除術は、腹腔鏡を用いる経腹的アプローチと開胸食道切除術を組み合わせた手術法で、肺合併症が少なく、手技の再現が容易などの利点があるとされる。開胸食道切除術では、半数以上の患者で肺合併症を主とする術後合併症が認められるが、合併症に関してハイブリッド低侵襲食道切除術との比較はこれまで行われていなかった。合併症の発現を比較するフランスの無作為化試験 研究グループは、食道がん患者の治療におけるハイブリッド低侵襲食道切除術の、合併症の発現を開胸食道切除術と比較する、多施設共同非盲検無作為化対照比較試験を行った(フランス国立がん研究所の助成による)。 対象は、18~75歳、中部または下部食道の切除可能な食道がん(扁平上皮がんまたは腺がん)患者であった。被験者は、ハイブリッド低侵襲食道切除術(ハイブリッド手術群)または開胸食道切除術(開胸術群)を受ける群に無作為に割り付けられた。 手術の質の保証は、外科医の資格認定、手技の標準化、技能の監視により行った。ハイブリッド手術群は、腹部と胸部の2つの手術野を設定し(Ivor-Lewis手術とも呼ばれる)、それぞれ腹腔鏡下胃授動術と右開胸食道切除術を実施した。開胸術群は、開腹下胃授動術と右開胸食道切除術を行った。 主要エンドポイントは、術中または術後30日以内に発生したClavien-Dindo分類のGrade2以上の合併症(介入を要する重大な合併症)であった。重大な合併症が77%、肺合併症は50%低減 2009年10月~2012年4月に、フランスの13施設で207例が登録され、ハイブリッド手術群に103例、開胸術群には104例が割り付けられた。両群1例ずつが、実際には手術を受けなかった。全体の年齢中央値は61歳(範囲:23~78)、男性が85%を占めた。扁平上皮がんが41%、腺がんが59%で、74%が術前補助療法を受けていた。 110例に312件の重篤な有害事象が発現した。術中または術後30日以内に重大な合併症を発現した患者は、ハイブリッド手術群が37例(36%)と、開胸術群の67例(64%)に比べ有意に少なかった(オッズ比[OR]:0.31、95%信頼区間[CI]:0.18~0.55、p<0.001)。補正後の術中または術後30日以内の合併症リスクは、ハイブリッド手術群で77%低下した(補正後OR:0.23、0.12~0.44、p<0.001)。 30日以内の重大な肺合併症の発現は、ハイブリッド手術群では102例中18例(18%)であったのに対し、開胸術群は103例中31例(30%)に認められ、ハイブリッド手術群でリスクが50%低下した(OR:0.50、95%CI:0.26~0.96)。 全生存期間中央値は、ハイブリッド手術群が52.2ヵ月、開胸術群は47.2ヵ月であった。3年時の全生存率は、ハイブリッド手術群が67%、開胸術群は55%で、5年全生存率はそれぞれ60%、40%であり、いずれもハイブリッド手術群で高率であったが、有意な差はなかった(死亡のハザード比[HR]:0.67、95%CI:0.44~1.01)。 また、3年無病生存率はそれぞれ57%、48%で、5年無病生存率は53%、43%であり、ハイブリッド手術群で高かったが、有意差は認めなかった(初回腫瘍再発、二次がん、死亡のHR:0.76、95%CI:0.52~1.11)。 著者は、「本試験は、生存に関して十分な検出力を持たないが、今回の知見を考慮すると、生存をエンドポイントとする試験デザインは、依然として今後の研究において重要な領域である」と指摘している。

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第11回 QRS電気軸(完結編)~進化したトントン法は無敵!~【Dr.ヒロのドキドキ心電図マスター】

第11回:QRS電気軸(完結編)~進化したトントン法は無敵!~新年の誓い、初心に返って心電図を丹念に読もうという第10回を挟みましたが、今回はいよいよ電気軸の完結編です。“トントン法”の進化系、“トントン法Neo”を披露しましょう! これを学べば、ほぼすべてのパタ-ンの電気軸に角度対応できるでしょう。それは、もはやゲ-ムを超えた知的興奮です。さぁ、Dr.ヒロのレクチャ-が始まりますよ!症例提示45歳、男性。高血圧で通院中。定期検査時の心電図を示す。(図1)定期検査時の心電図画像を拡大する【問題1】心電図(図1)のQRS電気軸を求めよ。解答はこちら-15°解説はこちらおさらいですが、電気軸は肢誘導でQRS波の「向き」を確認します。I誘導が上向き、aVF誘導は下向きなので、定性的には「左軸偏位」。ところが、II誘導は上向きなので「軽度の」という枕言葉がつく「-30~0°」の領域に入ります(ギリギリ正常と見なしてよい)。実際に自動診断を見てみると「電気軸:-15度」となっていますよね。もちろん、これを写しても正解です(笑)。QRS波の向きの連続性からTPを予想~トントン法Neo~でも、熱心な読者なら、昨年最後の回で扱った“トントン法”をやってみたくなりませんか? 肢誘導を見渡して、上向きと下向きの波とが等しい“トントン”のQRS波を探し出すのがポイントでした(第9回)。でも、今回の心電図には…ない、ない、ないっんですっ! どこにも。こういう場合どうしたらいいのでしょう?ずばり“トントン法”を改良することで、状況を打開することができますよ。心電図(図1)では、肢誘導を上から下まで6個すべてのQRS波形を見渡しても、“トントンポイント(TP)”はありません。専門書などでは最も“トントン”に近い誘導で代用せよと書いてあるので、ならばaVF誘導を“仮TP”すれば、求める電気軸は「0°」です(I誘導の向きも参照)。人によってII誘導のほうがもっと“トントン”だと考えたら「-30°」ですかね。自動診断は「-15°」ですから、両者とも“痛み分け”、当たらずとも遠からずって感じですか。でも…な-んかシックリこない。そこで、徹底的に悩んだ結果、ボクなりの“解決策”を見つけました。QRS電気軸を求める独自のメソッド“トントン法Neo”を次の図で説明します(図2)。(図2)図1の肢誘導を並べ替えてTPを探す画像を拡大する今回も“肢誘導の世界”の円座標で考えましょう(以下、“~誘導”は省略)。円座標はIを基準(0°)として、30°刻みに肢誘導が配置されています。図2を見ると、aVRだけは肢誘導界の上半分に位置するので、“-aVR”と逆転させて下半分に迎えいれてみましょう。すると、aVL(-30°) → I(0°) → -aVR(+30°) → II(+60°) → aVF(+90°) → III(+120°)→ -aVL(+150°)と、キレイに30°ごとに並んで半周をカバ-できるんです[(図2)では薄ピンク色に網掛けしました]。これが、肢誘導のどれかをTPにしたら「30°刻み」で電気軸が何度か言える“トントン法”のカラクリです。ちなみに、心電図“業界”の一部では、肢誘導をこのように並べ替えた順(配列)に名前をつけているようですが、ボクはあまり重要視しません(実際あまり流行らず)。次に、図2で各誘導の波の向きを見てください。“-aVR”についてはaVRの真反対に位置するので、元の波形を上下逆さまにしたものと考えて下さい。左からQRS波の「向き」を見ていくと、IIまでは上向き、aVFで下向き、IIIも下向きです。-aVRから下向き波(S波)が出始め、IIでS波はより深くなり、そして次のaVFでは下向き(R波<S波)となっています。ここで、“連続性”を意識して、上向き波≒下向き波となるTPは原理的にQRS波の向きが変化するII(+60゜)とaVF(+90゜)の間にあるはずと考えるんです。そこで、まず、大胆にその中間をTPと考えます。IIの“上向き具合”とaVFの“下向き具合”が同程度と考えられる場合は妥当な考えです。角度で言えば「+75°」でしょうか。ここがTPとわかれば、あとはいつもと同じ要領で、電気軸は「-15°」と導けるのです(I誘導の向きを参照して、±90゜した方向のどちらかを選んで下さい)。すごいでしょう? 肢誘導6つにTPが見つからない場合、どの誘導の“間”にTPがあるかを推測せよ、という半歩進んだ“Neo”なやり方です。では、実際にこの“トントン法Neo”を使って実践してみましょう。【問題2】66歳、女性。遺伝性肺高血圧症。定期受診時の心電図を示す。(図3)定期受診時の心電図画像を拡大する【問題2】心電図(図3)のQRS電気軸を求めよ。解答はこちら+110°(もしくは自動診断の+106°、トントン法による+120°)解説はこちらパッと見でI誘導:下向き、II誘導:上向きなので「右軸偏位」の範疇です。日常臨床ではそれで十分ですし、原疾患的にも“さもありなん”な結果だと思います(右心系負荷が推察される)。自動診断的には106度との表示であり(これを写しても正解)、こちらなら“軽度”と言える領域でしょうか。前回ご紹介した普通のトントン法ならaVR誘導(-150°)を仮TPとし、I誘導が下向きなので「-60°」ではなく「+120°」が、求める電気軸です。でも、aVR誘導もジックリ見ると若干ですが、下向きの方が強いなぁ、そう考えた時にすべきことは…そう、Neoなやり方です!“どっち寄り“の視点も追加すれば完璧この問題も“トントン法Neo”で考えてみます。慣れてくれば、即座にaVL → I → -aVR →…の順に目で追っている自分に気づくかもしれません。今度はIと-aVRの間でQRS波が下向き→上向きに変化しており、この間にTPがあります。前問のように『エイッ、中間だ!』と割り切ればTPは「+15°」、そこから±90°を考慮、Iが下向きなので「+105°」ですかね。自動計測は「106°」になってますから、ニアピンです。このやり方だと、「15°刻み」で物が言えますよね。ここで、単純に中間でなく、少し欲張りましょう。TPが存在するならば、それは両端どちらの誘導に近いのかを予想するのです。このように、TPが“どっち寄り”かを考えるためのボクの頭の中を図示します(図4)。(図4)真ん中から“どっち寄り”の視点を追加画像を拡大するTPはI(0°)と-aVR(+30°)の間、すなわち真ん中(+15°)付近にあるのですが、この30°を10°ずつに刻んで、+10°なら“I寄り”、+20°なら“-aVR寄り”と考えるのです。ここでも連続性を意識して“どっち寄り”かは、両端のIと-aVRの“トントン”具合で決めるのが自然だと思いませんか? 細かく言うと、Iは上向き3.5mm、下向き7.5mmでさし引き-4mm、-aVRは上向き3mmちょい、下向き4mmで-0.5mmとなるので、-aVR寄りにTPがある、すなわち「+20°」をTPと予想します。ただ、この例もそうですが、細かく何mmと測らなくても、だいたい見た目で-aVRがよりトントンに近いとわかるはずです。こうして、TPが+20°、I誘導下向きから…ボクなりの推定電気軸は「+110°」となるわけです。心電計から4°のズレにまで迫ることができました。この“どっち寄り”のスタンスを追加することで、QRS電気軸を「10°刻み」で議論できるようになるんです。この精度が上がる方法、悩みに悩んだボクが自力でたどり着いた結果なんですが、これに気付いた時は、すごい“発明”をしたような錯覚にとらわれました(笑)しかも、ほぼ正常軸の125例でこの手法の“実力”を検証したことがあります。自動診断結果とのズレが1ケタ(0~9°)なら「優」、10~15°なら「良」としますと、「優」81%(101例)、「良」14%(18例)でした。実に95%は計算機も何も使わずに誤差15°以内でQRS電気軸が言えたことになるわけです。ビックリでしょ!?では、トントン法Neoをまとめましょう。■トントン法Neoのまとめ■頭の中で肢誘導の連続性を意識した順番に並べ替える:aVL、I、-aVR、II、aVF、IIIQRS波の「向き」に着目してTPを探す明らかなTPがなくても、QRS波の向きの移り変わりに着目し、1)波の上下がどこの“間”で変化するか、2)変化する両端の誘導に対し“どっち寄りか”を考慮してTPを予想するI誘導の向きなどを参考にTP±90°方向からから真のQRS電気軸を導く最後に、今回の症例ではQRS電気軸にそれぞれ軽度の偏位がありましたね。症例1は軽度の左軸偏位。これは”左軸偏位”として正常亜型のように扱う節があります。一方、症例2の軽度の右軸偏位については、言葉上では“軽度”でも、若年者以外なら病的所見(右心系負荷)の可能性を一度は念頭に置く必要があることも、ぜひ覚えておいてください。Dr.ヒロ考案の“トントン法Neo”はどうでしたか?全国の医学生や研修医を教えている先生方にも、教材としてこのやり方はおすすめです。“できる喜び”は、勉強を続ける大きなモチベ-ションになるとも信じています。Take-home Message肢誘導に“トントン”のQRS波がなくても、“連続性”を意識したトントン法Neoでかなり正確に電気軸が予想できる!【古都のこと~青龍殿大舞台~】蹴上(けあげ)からほど近い、東山の山頂にある青蓮院門跡 将軍塚青龍殿。平成26年秋に移築された際、真後ろに造設された木造の大舞台は絶景夜景スポットの一つとなっています。清水が“表”舞台なら、こちらは“裏”舞台。表舞台の4倍以上のスペース、そして何より空、雲、山を身近に感じることができます。寒空の下、西山を遠くに、眼下に広がる京都市街の様子を眺めながらの深呼吸は、ボクにとって極上のリフレッシュです。

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原稿の推敲を遂行して発表に臨むべし【Dr.中川の「論文・見聞・いい気分」】第7回

第7回 原稿の推敲を遂行して発表に臨むべし小生が初めて国際学会で発表したのは、医師になって5年目の1990年でした。急性心筋梗塞の再開通療法の手段として、t-PAを用いた血栓溶解療法とprimary PCIを比較した演題を米国心臓協会(AHA)年次集会に応募したところ、運良く採択されたのでした。それもポスター発表ではなく口述発表でした。ビギナーズラックだったのでしょうが、当時在籍していた北九州市の小倉記念病院で、発表に値する研究テーマと臨床データを解析するチャンスを得た幸運が最大の理由でした。今は、パワーポイントで作成したスライドを用いて学会発表が行われます。長老が昔話をするようで残念ですが、PCが普及する前の35mmスライド時代の話です。説明しましょう。まず、手書きの元原稿を用意します。元原稿から、写植屋さんに画用紙サイズの厚紙に活字で写植スライド原稿を作ってもらいます。これを写真屋さんに依頼してカメラで撮影し、35mmスライドを作成します。通常のフィルムでは白黒が反転するので、リバーサルフィルムという特殊なフィルムで撮影します。発表がスライド20枚の構成ならば、同数の小さなカルタのような35mmスライドが出来上がります。これを、カルーセルという大きなドーナツのようなスライドトレイに、発表順に並べてセットするのです。ここで大問題がありました。当時、小生は国際学会に、発表はおろか、聴講のために参加したことすらなかったのです。何とかスライド作成を完了し、読み原稿は暗記して、開催地のテキサス州ダラスに向かいました。会場では「speaker’s ready room」でスライドをセットし、係員に預けます。発表前の極度の緊張感は忘れられません。逃げて帰ることを本気で考えました。その時、「speaker’s ready room」で目にしたのは、発表直前まで読み原稿を推敲している、米国人の若手医師の姿でした。自分からすれば、英語が母国語の彼に準備は不要のように思われました。しかし、読み原稿をしっかり作成し、暗記しているようでした。同僚や先輩と思われる医師たちに対して、小声で予行演習しているのです。「もっとこう直したほうが良いぞ!」という感じで、やりとりが繰り返されていました。発表者の顔も緊張しているように感じられます。母国語で発表する者も緊張するのだとわかると、自分は少し解放されました。さらに、推敲に取り組んでいるのは1人だけではなく、同様の者が複数いることもわかりました。最後の最後まで、少しでも良いプレゼンテーションを行うために懸命であることが伝わってきました。日本よりも欧米では、学会発表の良し悪しやプレゼンテーション能力が、発表者の人生に大きな影響を持つのかもしれません。日本の学会会場でも、発表の質を高めるために最大限の努力を尽くす若手に出会うことを期待します。逆に発表の直前になってパワーポイントでスライドを作成する者も見かけます。もしかすると、35mmスライドの時代のほうが読み原稿の推敲に集中できたのかもしれません。また、昔話をしてしまいました。とにかく「推敲の遂行が鍵」ということです。では、おやすみなさい。

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第22回 目標のない在宅医療なんてありえないのだ【週刊・川添ラヂオ】

動画解説お薬カレンダーの設置だけを在宅とは言わせない!在宅医療の流れは目標、実行、報告。この3段階についてそれぞれのポイントをお話しします。目標を立てる前には必ずケアマネさんと情報共有しましょう。患者さんの生い立ちや生活習慣、実現可能なゴールなど、細かな課題分析をしているケアマネさんからきっとヒントをもらえるはずです。

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高尿酸血症の治療失敗に肥満が関連か~日本人男性

 高尿酸血症または痛風の日本人男性の治療目標達成率と治療成功に影響する因子について、順天堂大学の片山 暁子氏らが検討した結果、肥満と治療失敗との関連が示唆された。また、血清尿酸(SUA)管理の一部として脂質プロファイルを維持する重要性が強調された。著者らは「肥満と脂質異常症の両方をうまく管理し、健康的なSUA値を得ることで、心血管疾患を予防できるかもしれない」としている。Internal Medicine(Japan)誌オンライン版2019年1月10日号に掲載。 本研究は、2012年1~12月に実施した横断研究で、職場の健康診断に参加した13万6,770人のうち高尿酸血症または痛風の男性2,103人のSUA値および臨床的特徴を調べた。成功(SUA≦6.0mg/dLと定義)率を算出し、多変量解析を用いて「治療失敗」(目標SUA値に到達しない)に関連する因子を調べた。 主な結果は以下のとおり。・目標SUA値の達成率は37.5%であった。・BMIは治療失敗と有意に関連していた(カテゴリ[C]1<25.0と比較し、25.0≦C2<27.5の調整オッズ比[AOR]=1.35、27.5≦C3<30.0のAOR=1.69、C4≧30.0のAOR=1.94)。・腹囲(WC)と治療失敗との間にも有意な正の相関が観察された(C1<85.0cmと比較し、85≦C2<90のOR=1.29、90≦C3<95のOR=1.41、95≦C4のOR=2.28)。 ・BMIまたはWCの値の大きい人は小さい人よりも有意にSUA値が高い傾向があった。・治療失敗に対する予防因子として、脂質異常症治療薬の継続的服用が特定された。

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統合失調症患者のメタボリックシンドロームに対するオメガ3脂肪酸の影響

 統合失調症患者は、ライフスタイルや抗精神病薬の影響によりメタボリックシンドローム(MetS)を発症するリスクが高いと言われている。中国・上海交通大学のFeikang Xu氏らによるこれまでの研究では、MetSを合併した統合失調症患者では、腫瘍壊死因子α(TNF-α)の発現や産生が増加することが示唆されていた。今回著者らは、TNF-αの抑制には、ω3脂肪酸が関連していると言われていることから、MetSを合併した統合失調症患者において、ω3脂肪酸が炎症を緩和し、代謝異常を改善することに役立つかどうかについて検討を行った。Psychopharmacology誌オンライン版2018年12月5日号の報告。 本研究では、統合失調症患者のMetsに対するω3脂肪酸の効果を調査するため、無作為化プラセボ対照試験を実施した。対象は、長期オランザピン治療を行ったMetSを合併した統合失調症患者80例。対象患者は、ω3群(40例)またはプラセボ群(40例)にランダムに割り付けられた。 主な結果は以下のとおり。・MetSを合併した統合失調症患者では、対照群よりもTNF-αレベルが有意に高かった(Z=-4.37、p<0.01)。・本研究完了時、ω3脂肪酸治療とトリグリセライド(TG)レベル減少との間に有意な相関が認められた(F群×時間=13.42、df=1,66、p<0.01)。・ω3脂肪酸治療は、12週間後に、代謝改善とともにTNF-αレベルを減少させた(F群×時間=6.71、df=1,66、p=0.012)。・TNF-αレベルの減少とTG減少には有意な相関が認められた(r=0.38、p=0.001)。 著者らは「MetSを合併した統合失調症患者に対するω3脂肪酸治療は、炎症レベルの低下とともに、TG代謝に有用であることが示唆された」としている。■関連記事統合失調症とω3脂肪酸:和歌山県立医大初回エピソード統合失調症の灰白質に対するω-3脂肪酸の影響EPA、DHA、ビタミンDは脳にどのような影響を及ぼすか

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後天性血栓性血小板減少性紫斑病の治療にcaplacizumabが有望/NEJM

 後天性血栓性血小板減少性紫斑病(aTTP)の治療において、caplacizumabはプラセボに比べ、迅速に血小板数を正常化し、再発率を抑制することが、英国・University College London HospitalsのMarie Scully氏らが行ったHERCULES試験で示された。aTTPでは、von Willebrand因子の切断酵素であるADAMTS13の免疫介在性の欠損により、von Willebrand因子マルチマーが血小板や微小血栓に無制限に粘着可能となり、その結果として血小板減少、溶血性貧血、組織虚血が引き起こされる。caplacizumabは、抗von Willebrand因子ヒト化二価単一可変領域免疫グロブリンフラグメントであり、von Willebrand因子マルチマーと血小板の相互作用を阻害するという。NEJM誌オンライン版2018年1月9日号掲載の報告。血漿交換中止を伴う血小板数の正常化を検討 本研究は、aTTP患者の治療におけるcaplacizumabの有用性を評価する二重盲検無作為化プラセボ対照比較試験であり、2015年11月~2017年4月の期間に、世界92施設で145例が登録された(Ablynx社の助成による)。 被験者は、標準治療(血漿交換療法、グルココルチコイド)に加え、血漿交換療法中とその後30日間にcaplacizumab(初回は10mgを静脈内投与、その後は毎日1回皮下投与)またはプラセボを投与する群に無作為に割り付けられた。 主要アウトカムは、血小板数の正常化(15万/mm3以上)までの期間(その後5日以内に血漿交換療法を中止できた場合)とした。副次アウトカムには、試験治療期間中のTTP関連死、TTP再発、血栓塞栓イベントの複合、フォローアップ期間を含む試験期間中のTTP再発、難治性TTP(治療開始4日目以降も血小板数が倍加せず、乳酸脱水素酵素が正常上限値を超えた状態)、臓器障害マーカー(乳酸脱水素酵素、心筋トロポニンI、血清クレアチニン)の正常化が含まれた。血小板数正常化の可能性が1.55倍に caplacizumab群に72例、プラセボ群には73例が割り付けられ、caplacizumab群の1例を除き1回以上の投与を受けた。全体で108例が試験を完遂した。平均年齢は46歳(範囲:18~79歳)で、69%が女性であった。 血小板数正常化までの期間中央値は、caplacizumab群が2.69日(95%信頼区間[CI]:1.89~2.83)と、プラセボ群の2.88日(2.68~3.56)に比べ有意に短く(p=0.01)、血小板数正常化の可能性はcaplacizumab群がプラセボ群の1.55倍(率比:1.55、1.09~2.19、p=0.01)であった。 試験治療期間中のTTP関連死、TTP再発、血栓塞栓イベントの複合の発生率は、caplacizumab群が12%(9例)であり、プラセボ群の49%(36例)よりも74%低下した(p<0.001)。試験期間中のTTP再発率は、caplacizumab群が12%(9例)と、プラセボ群の38%(28例)に比し67%低かった(p<0.001)。 難治性病変は、caplacizumab群では発現しなかったが、プラセボ群では4%(3例)に認められた(p=0.06)。臓器障害マーカーの正常化までの期間は、caplacizumab群がわずかに早かった(中央値、2.86日vs.3.36日)。また、caplacizumab群の患者は、プラセボ群に比べ血漿交換療法を要する日数(中央値、5.0日vs.7.0日)が短く、血漿量(中央値、18.1L vs.26.9L)が少なく、入院期間(中央値、9.0日vs.12.0日)が短かった。 最も頻度が高い有害事象は皮膚粘膜出血であり、caplacizumab群の65%、プラセボ群の48%にみられた。試験治療期間中にプラセボ群の3例が、治療期間終了後にcaplacizumab群の1例(脳虚血)が死亡し、いずれもTTPと関連した。 著者は、「caplacizumabによる血小板数の正常化は、おそらく本薬が微小血栓における血小板の消費を抑制するためと考えられる」としている。

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アキレス腱断裂、手術・非手術とも再断裂リスクは低い/BMJ

 アキレス腱断裂の手術療法は、非手術療法に比べ、再断裂のリスクが有意に低いもののその差は小さく(リスク差:1.6%)、他の合併症のリスクが高い(リスク差:3.3%)ことが、オランダ・ユトレヒト大学医療センターのYassine Ochen氏らの検討で示された。アキレス腱断裂は遭遇する頻度が高く、最近の研究では発生率の増加が報告されている。観察研究を含まない無作為化対照比較試験のみのメタ解析では、手術療法は非手術療法に比べ、再断裂リスクが有意に低い(リスク差:5~7%)が、他の合併症のリスクは16~21%高いとされる。BMJ誌2019年1月7日号(クリスマス特集号)掲載の報告。観察研究を加えたメタ解析 研究グループは、アキレス腱断裂の手術療法と非手術療法における再断裂、合併症、機能的アウトカムを比較する目的で、文献を系統的レビューし、メタ解析を行った(研究助成は受けていない)。 手術療法には低侵襲修復術、観血的修復術が、非手術療法にはキャスト固定、機能装具が含まれた。アキレス腱断裂以外の合併症は、創感染、腓腹神経損傷、深部静脈血栓症、肺塞栓症などであった。 医学関連データベース(2018年4月25日現在)を用いて、アキレス腱断裂の手術療法と非手術療法を比較した無作為化対照比較試験および観察研究を選出した。データの抽出は、4人のレビュアーが2人1組で、所定のデータ抽出ファイルを用いて別個に行った。アウトカムは変量効果モデルを用いて統合し、リスク差、リスク比、平均差と、その95%信頼区間(CI)を算出した。再断裂率:全体重負荷では手術が良好、加速的リハビリでは差なし 29件の研究に参加した1万5,862例が解析に含まれた。無作為化対照比較試験が10件(944例[6%])、観察研究が19件(1万4,918[94%])で、手術療法が9,375例、非手術療法は6,487例であった。全体の加重平均年齢は41歳(範囲:17~86)、男性が74%で、フォローアップ期間の範囲は10~95ヵ月だった。 再断裂率(29件[100%]で検討)は、手術群が2.3%と、非手術群の3.9%に比べ有意に低かった(リスク差:1.6%、リスク比:0.43、95%CI:0.31~0.60、p<0.001、I2=22%)。 合併症の発生率(26件[90%]で検討)は、手術群は4.9%であり、非手術群の1.6%に比し有意に高かった(リスク差:3.3%、リスク比:2.76、95%CI:1.84~4.13、p<0.001、I2=45%)。合併症発生率の差の主な原因は、手術群で創傷/皮膚感染症の発生率が2.8%と高いことであった(非手術群は0.02%)。非手術群で最も頻度の高い合併症は深部静脈血栓症(1.2%)だった(手術群は1.0%)。 スポーツ復帰までの平均期間(4件[14%]で検討)にはばらつきがみられ、手術群で6~9ヵ月、非手術群では6~8ヵ月の幅があり、メタ解析におけるデータの統合はできなかった。また、仕事復帰までの期間(9件[31%]で検討、そのうち6件は情報が不十分のため3件のデータを統合)にも、両群間に差を認めなかった。 全体重負荷による再断裂率は、早期(4週以内、9件[31%]で検討、リスク比:0.49、95%CI:0.26~0.93、p=0.03、I2=9%)および後期(5週以降、15件[52%]で検討、0.33、0.21~0.50、p<0.001、I2=0%)のいずれもが、手術群で有意に良好であった。 早期可動域訓練による加速的リハビリテーション時の再断裂率(6件[21%]で検討)は、手術群と非手術群に差を認めなかった(リスク比:0.60、95%CI:0.26~1.37、p=0.23、I2=0%)。 統合効果推定値に関して、無作為化対照比較試験と観察研究の間に差はみられなかった。 著者は、「アキレス腱断裂の管理の最終的な決定は、個々の患者に特異的な因子および共同意思決定(shared decision making)に基づいて行う必要がある」と指摘し、「本レビューは、手術療法後の客観的アウトカムの評価のメタ解析では、質の高い観察研究を加えることの潜在的な便益を強調するものである」としている。

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最新のがん統計:男性では前立腺がんが上位に

 厚生労働省は、2016年に開始した「全国がん登録」による初めての結果を公表した。それによると、2016年において、新たにがん(上皮内がんを除く)と診断された患者は99万5,132例で、男性が56万6,575例(56.9%)、女性が42万8,499例(43.1%)だった。 部位別のがん罹患数は、男性では胃(16.4%)、前立腺(15.8%)、大腸(15.8%)、肺(14.8%)、肝(5.0%)の順で多く、女性では乳房(22.1%)、大腸(16.0%)、胃(9.8%)、肺(9.7%)、子宮(6.6%)の順で多かった。 この結果を、2014年における「地域がん登録」に基づくデータと比較すると、がん罹患数の女性における順位は同じだったが、男性のがん罹患数は2位と4位が入れ替わり、前立腺がんが増え、肺がんが減ったという結果であった。※「がん登録」では、最初に診断されたがんを登録している。また、1人の人で、独立した2種類以上のがんが発見された場合、それぞれのがんを独立して数えるため、罹患数は延べ人数で示されている。男性のがん罹患率のピークは女性と10歳ずれている 2016年における全部位のがん罹患数を年齢階級別に見ると、15歳未満の小児が0.2%、15~29歳が0.5%、30~44歳が3.9%、45~59歳が12.7%、60~74歳が40.3%、75歳~99歳が42.3%の割合を占めた。また、がん罹患率(人口10万対)は、5歳以上で段階を踏んで上がっていき(5歳階級)、男性では60歳以上、女性では65歳以上の階級で1,000を超過した。がん罹患率のピークは、男性では85~89歳、女性では95~99歳であった。 さらに、がん罹患率を都道府県別に見てみると、男女の総数は、長崎(454.9)、秋田(446.3)、香川(436.7)、北海道(428.2)、宮崎(426.4)の順で高かった。また、部位別のがん罹患率は、たとえば胃がんでは、新潟(74.7)、秋田(70.3)、山形(63.2)の順で高く、大腸がんでは秋田(73.7)、青森(72.2)、鳥取(71.4)の順で高かった。 今回公表されたデータでは、どの地域で何歳の患者さんが、どのがんに罹患したかがわかるため、詳細な分析が可能となる。「全国がん登録」制度の概要と作られた経緯 全国がん登録は、がん医療の質の向上ならびにがん予防の推進のため、情報提供の充実、その他のがん対策を科学的知見に基づき実施するため、がんの罹患、治療、転帰などの状況を把握し、分析することを目的としている。 「がん登録等の推進に関する法律」(平成25年法律 第111号)により、がんの初回診断が行われた病院などから都道府県知事に届け出られた者および市区町村長から報告される死亡者情報票によって把握されたがんによる死亡者を対象としている。また、2016年1月1日~12月31日にわが国で診断された日本人および外国人の事象を客体としている。集計は、国立がん研究センターにおいて行われた。 国立がん研究センターによると、以前は、都道府県がそれぞれの自治体内で診断されたがんのデータを集めた「地域がん登録」制度が用いられていたが、住んでいる都道府県以外の医療機関で診断・治療を受けた患者や、途中で他県に移動した患者などのデータが重複する可能性があった。また、すべての医療機関が協力しているわけではなく、正確なデータを集めることが難しかったため、「全国がん登録」制度という新しい仕組みができたという。

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膵がん死を減らせるか? 膵がん切除後の補助療法:mFOLFIRINOXかゲムシタビンか(解説:上村直実氏)-998

 消化器領域のがんでは感染症である肝がんと胃がんによる死亡者が激減し、著明な増加を示していた大腸がん死亡者数も肺がんと同様にプラトーに達し減少に転じている。その中で早期発見が困難でかつ発見時には手術不能例が多い膵がんによる死亡者数のみが年間3万人を超えて増加の一途をたどっている。膵がん死を防ぐ方法としては、完治できる外科的手術が理想的であるが、早期に発見された切除可能膵がんでも手術単独の5年生存率はわずか10%とされており、生存率の向上を目的として、術前・術後の補助療法が模索されているが、とくに局所病変が切除可能で転移に乏しい患者に対する術後の補助療法は必須となっている。 このたび、フランスとカナダで施行された第III相試験(RCT)の結果として、切除可能膵がん患者に対する術後補助療法として、毒性の強いFOLFIRINOX(フルオロウラシル/ロイコボリン+イリノテカン+オキサリプラチン併用)の用量を調整したmodified FOLFIRINOXと欧米における標準治療であるゲムシタビン(GEM)を比較した結果、前者がより有効であることがNEJM誌に報告された。mFOLFIRINOX群の無病3年生存率39.7%がGEM群の21.4%に比べて有意に延長した結果は今後に期待を持てる数字といえる。一方、日本では欧米の評価と異なりGEMとともに標準治療とされているS-1の評価が必要であると考えられる。 いずれにせよ、わが国における今後の膵がん対策として、実地医家など第一線の診療現場と専門医を有する中核施設の協力体制による早期発見システム(尾道方式など)の構築が必要であり、一方、補助化学療法としては、GEMとS-1を標準治療として有効性を示す新規薬剤の模索が進行中であるが、今後、MSI-highの膵がんに対する免疫チェックポイント阻害薬の有用性が早急に検討されることが期待される。

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コンドームカテーテルによる陰茎壊死【Dr. 倉原の“おどろき”医学論文】第131回

コンドームカテーテルによる陰茎壊死 いらすとやより使用 私は以前検査入院した時に、膀胱バルーンカテーテルが絶対にイヤだったので、コンドーム型のカテーテルを使ったことがあります。病院の売店に買いに行かされたんですけど、モジモジしてしまってなかなか注文できませんでした。 実際に装着した時は、これを発明した人はスゴイなと思ったのですが、その時担当してくれたナースが私に言いました。「でもね、このカテーテルを装着して自分で排尿できた人って、私まだ見たことないです」と。確かに、仰臥位になった状態で、コンドームカテーテルの中に自分で排尿するのがいかに難しいかを実感しました。そもそも、男性の場合、座位か立位にならないと、なかなか尿道口が開いてくれないようです。私の場合、結局6~7時間我慢した後、カテーテルを外すと同時に、座位で尿器に排尿しました。 さて、今回紹介するのは2文献。Sinha AK, et al.Condom catheter induced penile skin erosion.J Surg Case Rep. 2018 Oct 22. [Epub ahead of print]Jabbour Y, et al.Penile Gangrene and Necrosis Leading to Death Secondary to Strangulation by Condom Catheter.Case Rep Urol. 2018 Jun 27. [Epub ahead of print]入院した高齢男性が、陰茎の皮膚びらんを起こしたという症例報告です。いずれの症例報告も糖尿病を有していました。亀頭冠の周囲に円形のびらんを起こしており、どうやらコンドームカテーテルの誤った使用によって嵌頓を起こしていたことがわかりました。これは粘着力が強かったからというわけではなく、コンドームカテーテルの締め付けによるものですが、亀頭が嵌頓を起こすような装着の仕方がまずかったと言わざるを得ません。前者の報告では適切な処置により治癒していますが、後者の論文では陰茎の壊死から死亡に至っています。さて、コンドームカテーテルですが、締め付けだけでなく、粘着力もそれなりに強いです。私も自分で剥がす時に「ヒィ!」と声を上げてしまいました。

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ベンゾジアゼピンの使用と濫用~米国調査

 ベンゾジアゼピンの使用率、不適正使用の特徴および年齢による変化について、米国・ミシガン大学のDonovan T. Maust氏らが、調査を行った。Psychiatric Services誌オンライン版2018年12月7日号の報告。 2015、16年のNSDUH(National Survey on Drug Use and Health)のデータより、18歳以上の成人8万6,186例およびベンゾジアゼピン使用が報告された1万290例を対象に、横断的分析を行った。過去1年間のベンゾジアゼピン使用と不適正使用(医師が指示しなかった方法)、物質使用障害、精神疾患、人口統計学的特徴を測定した。不適正使用は、若年(18~49歳)と高齢(50歳以上)において比較を行った。 主な結果は以下のとおり。・前年にベンゾジアゼピン使用を報告した患者は3,060万人(12.6%)であり、そのうち処方された患者が2,530万人(10.4%)、不適正使用患者が530万人(2.2%)であった。・濫用は、全体的な使用の17.2%を占めていた。・ベンゾジアゼピンを処方された患者は、50~64歳で最も多かった(12.9%)。・濫用は、18~25歳で最も多く(5.2%)、65歳以上で最も少なかった(0.6%)。・処方されたオピオイドまたは覚せい剤の濫用や依存は、ベンゾジアゼピンの濫用と強い関連が認められた。・ベンゾジアゼピン濫用の最も一般的なタイプは、処方箋なしであった。また、最も一般的な入手先は、友人や親戚であった。・50歳以上では、それ以下と比較し、処方された以上のベンゾジアゼピンを使用する傾向があり、睡眠補助のために使用されていた。 著者らは「米国におけるベンゾジアゼピン使用は、以前に報告されていたよりも高く、濫用が全体の使用の約20%を占めていた。50~64歳のベンゾジアゼピン使用は、65歳以上を上回っていた。覚せい剤またはオピオイドを処方した患者では、ベンゾジアゼピン濫用を監視する必要がある。睡眠や不安に対する行動的介入へのアクセスが改善されることで、濫用を減少させることができる」としている。■関連記事ベンゾジアゼピン系薬の中止戦略、ベストな方法はベンゾジアゼピン依存に対するラメルテオンの影響ベンゾジアゼピン使用と認知症リスク

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認知症による死亡、中年期からの体重減少と関連

 肥満が認知症に対して防御的であるという仮説を検証するために、英国London School of Hygiene and Tropical MedicineのAlexander N. Allen氏らは、中年および高年者の両方で、認知症による死亡と体重およびBMIとの関連を比較した。その結果、認知症による死亡が中年期より高年期のBMIと強い逆相関を示し、また中年期から高年期までのBMIや体重の減少と強い相関を示した。Age and Ageing誌オンライン版2019年1月9日号に掲載。 著者らは、1967~70年のWhitehall研究における英国ロンドンの中央政府職員の中年男性1万9,019人と1997年の再調査で生存していた6,158人の参加者における前向き研究において、身長と体重を測定した。40年間で320人の参加者が認知症により死亡し、Cox回帰を用いて、体重・BMIと40年間の認知症死亡との関連を調べた。なお、体重とBMIは医療者が測定し、年齢、喫煙習慣、職業階層、婚姻状況で調整した。 主な結果は以下のとおり。・中年期に測定された体重は認知症による死亡と弱い逆相関を示した(1kg当たりのハザード比[HR]:0.98、95%CI:0.97~0.99)が、身長とBMIは関連していなかった。・一方、高年期の体重は認知症による死亡と強い逆相関を示し(1kg当たりのHR:0.96、95%CI:0.95~0.98)、BMIも同様(1kg/m2当たりのHR:0.92、95%CI:0.86~0.97)であった。・ベースラインから再調査までの30年間における体重減少は、認知症による死亡リスクの増加と関連し、30年間で1kg減少当たりの調整HRは1.04(95%CI:1.02~1.08)であった。BMI減少との関連はより強く、1kg/m2減少当たりの調整HRは1.10(95%CI:1.03~1.19)であった。

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心筋梗塞患者、薬剤費負担なしの継続支援策は有効か/JAMA

 心筋梗塞(MI)患者において、P2Y12阻害薬の薬剤費の一部自己負担を補う商品券(バウチャー)を提供した場合、商品券を提供しなかった場合と比較して、患者報告によるP2Y12阻害薬服薬継続率の増加は3.3%であり、1年時における主要有害心血管イベント(MACE)について有意な低下は認められなかった。米国・Duke Clinical Research InstituteのTracy Y. Wang氏らが、18歳以上の急性MI患者を対象に、薬剤費自己負担の障壁を取り除くことによるP2Y12阻害薬服薬継続率とMACEリスクを検討した無作為化試験「ARTEMIS(Affordability and Real-World Antiplatelet Treatment Effectiveness After Myocardial Infarction Study)」の結果を報告した。ガイドラインではMI後1年間のP2Y12阻害薬治療が推奨されているが、推奨よりも早く中断する患者が多く、その理由として費用の問題が大きいことが推察されていた。JAMA誌2019年1月1・8日号掲載の報告。薬剤費自己負担分商品券提供の有無で、1年後の服薬継続とMACEを評価 研究グループは2015年6月5日~2016年9月30日の期間で、成人急性MI患者を登録している病院301施設においてクラスター無作為化臨床試験を実施した。患者は退院後1年間追跡調査を受け、MACEの判定は盲検化された(最終追跡期間は2017年10月23日)。 P2Y12阻害薬の選択は、主治医によって決定された。介入群に割り付けられた病院(131施設、患者6,436例)では、クロピドグレル/チカグレロルの薬剤費自己負担分の商品券が1年間患者に提供され(30日分薬剤費の中央値137ドル[25th~75thパーセンタイル値:20~339])、標準ケア(対照)群に割り付けられた病院(156施設、患者4,565例)では商品券は提供されなかった。 主要評価項目は、患者報告によるP2Y12阻害薬の服薬継続(30日以上の使用で、服薬中断のない継続治療と定義)、ならびにクロピドグレル/チカグレロルが処方された患者の退院後1年時のMACE(死亡、再発MI、脳卒中)とした。商品券あり群の服薬継続率は3.3%増加、MACE発生率は有意差なし 登録患者は1万1,001例(年齢中央値62歳、女性3,459例[31%])で、退院時にクロピドグレル/チカグレロルが処方された患者(主要解析集団)は計1万102例であった。退院時にクロピドグレルが処方されたのは、介入群2,317例(36.0%)、対照群2,497例(54.7%)であった。 主要解析集団(介入群6,135例、対照群3,967例)において、提供された商品券を使用した患者は4,393/6,135例(72%)であった。また、1年時の追跡調査データが利用できたのは1万802例(98.2%)であった。 1年時点でP2Y12阻害薬を中断なく継続していると報告した患者は、介入群が対照群より多かった(補正前群間比:5,340例/6,135例[87.0%] vs.3,324例/3,967例[83.8%]、p<0.001、補正後群間差:2.3%[95%信頼区間[CI]:0.4~4.1]、補正後オッズ比:1.19[95%CI:1.02~1.40])。 また、1年時点のMACEに関して、介入群と対照群の間に有意差は確認されなかった(補正前累積発生率:10.2% vs.10.6%、p=0.65、補正後群間差:0.66%[95%CI:-0.73~2.06]、補正後ハザード比:1.07[95%CI:0.93~1.25])。

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ノンシュガー甘味料の健康への影響~メタ解析/BMJ

 ドイツ・フライブルク大学のIngrid Toews氏らによる無作為化/非無作為化比較試験および観察試験のシステマティックレビューとメタ解析の結果、ノンシュガー甘味料(non-sugar sweeteners:NSS)の摂取群と非摂取群とでほとんどの健康上のアウトカムに差はみられないことが示された。ただし、著者は「NSSの摂取が有益であるという有力な証拠はなく、NSS摂取の潜在的な有害性が排除されたわけではない」とまとめている。これまでの研究では、NSS摂取による健康への影響(体重、糖尿病、がん、口腔衛生など)が示唆されていたが、一貫したエビデンスは得られていなかった。BMJ誌2019年1月2日号掲載の報告。健康成人/小児対象、ノンシュガー甘味料の摂取vs.非摂取試験をメタ解析 研究グループは、Medline(Ovid)、Embase、Cochrane CENTRAL、WHO International Clinical Trials Registry Platform、ClinicalTrials.gov、および関連する参考文献リストを検索し、過体重/肥満の有無にかかわらず一般的な健康成人/小児を対象に、NSSの非摂取/低摂取と高摂取を直接比較した研究のうち、使用したNSSが明記され、摂取量が1日許容量の範囲内であり、介入期間が7日間以上の研究を特定し、標準的なコクランレビューの方法論に従いシステマティックレビューを実施した。 主要評価項目は、体重/BMI、血糖コントロール、口腔衛生、摂食行動、甘味の好み、がん、心血管疾患、腎疾患、気分、行動、神経認知機能、有害事象であった。ノンシュガー甘味料の摂取の有無や摂取量の違いで健康アウトカムに差はない 1万3,941報がスクリーニングされ、56件の研究が今回のレビューに組み込まれた。このうち、35件が観察研究であった。 成人では、症例数の少ない小規模な研究において、BMI(平均差:-0.6、95%信頼区間[CI]:-1.19~-0.01、2件の研究[174例])ならびに空腹時血糖(平均差:-0.16mmol/L、95%CI:-0.26~-0.06、2件の研究[52例])に関してNSSのわずかな有益性が示されたが、エビデンスの質はそれぞれ、低い、非常に低い、であった。 また、1件の研究(1万7,934例)において、NSSの低摂取は高摂取と比較し体重増加が少ないことが示されたが(平均差:-0.09kg、95%CI:-0.13~-0.05)、エビデンスの質は非常に低かった。他の評価項目についてはすべて、NSS摂取と非摂取ならびに摂取量の違いで有意差は認められなかった。 積極的に減量に取り組んでいる過体重/肥満の成人/小児において、NSSの有効性を示すいかなるエビデンスも確認されなかった(エビデンスの質は非常に低い~中程度)。 小児における検討で、NSS摂取は砂糖の摂取と比較し、BMI Zスコアのわずかな増加が確認されたが(平均差:-0.15、95%CI:-0.17~-0.12、2件の研究[528例]、エビデンスの質は中程度)、体重の差は認められず(平均差:-0.60kg、95%CI:-1.33~0.14、2件の研究[467例]、エビデンスの質は低い)、NSS摂取量の違いによる有意差は確認されなかった(エビデンスの質は非常に低い~中等度)。 なお、著者は、多くの研究は参加者が少なく、短期間であり、研究の方法論や質が限られていたことから、「今後は、適切な介入期間でNSSの影響を評価する必要があり、すべての報告で比較対照や介入法、評価項目について詳細に記述すべきである」と指摘している。

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メトトレキサート少量投与が心臓血管イベントを抑制しうるか?(解説:今井靖氏)-997

オリジナルニュース低用量メトトレキサートは冠動脈疾患例のMACEを抑制せず:CIRT/AHA(2018/11/20掲載) IL-1βを標的とした抗体医薬であるカナキヌマブ投与により心血管イベントおよび一部の悪性腫瘍発生を抑制したというCANTOS研究の成果が記憶に新しいが、より簡便な内服薬としてメトトレキサート(MTX)投与により炎症性サイトカインが抑制されることで心血管イベントが抑制されるか否かを検討したのがこの報告である(CIRT研究)。 この論文によれば心筋梗塞既往があるか多枝冠動脈病変を有し2型糖尿病またはメタボリック症候群を有する4,786症例を(1)週当たり15~20mgを目標用量とする低用量メトトレキサート療法および(2)プラセボ投与の2群に1:1に割り付ける二重盲検比較試験を行っている。なお導入期において非盲検でMTXを5、10、15mgと漸増させ葉酸欠乏を回避するために毎日葉酸を1mg補充しており、その後、盲検化し2群に割付し追跡している。主要エンドポイントは非致死性心筋梗塞、非致死性脳卒中あるいは心臓血管死のいずれかの複合を当初予定していたが、盲検化する前に、入院を要する不安定狭心症も上記エンドポイントの1つとして加えられている。 この研究は中間値2.3年で中止された。残念ながらMTX投与群においてプラセボ群に比較して有意なIL-1β、IL-6、CRPの低下が得られず、また主要エンドポイントについてもMTX群で201例、プラセボ群において207例(イベント発生率:4.13 vs.4.31[100人年当たり]、ハザード比:0.96、95%信頼区間:0.79~1.16)であった。MTX群においては肝逸脱酵素の上昇、白血球数減少、ヘマトクリット値減少および非基底細胞性の皮膚がん発症に関連していた。結論として、安定した動脈硬化性疾患患者において低用量MTXが炎症マーカーを抑制することは無く、また心臓血管イベントを抑制することも無かった。 私見を述べさせていただくが、膠原病、悪性腫瘍など適応がある疾患についてのMTX療法の有用性・妥当性は明確であるが、この研究成果からはMTXを動脈硬化性疾患治療としての投与は断じて避けるべきである。またMTXは週当たり20mgを超えると重篤な副作用が増加することが文献的に知られており、本研究の用量設定の目標15mgというものに循環器内科医として抵抗感を覚えるとともに、一般診療においてMTX投与時に葉酸補充を行うが、たとえば重篤な合併症として知られる間質性肺炎は葉酸投与では回避できないということは周知の事実であり、そのような重大な副作用のことも十分に考慮したうえでの薬物療法であるべきと思われる。また葉酸は補充されているものの、葉酸代謝に関連することが知られる血中ホモシステイン濃度が冠動脈疾患のリスクになることは歴史的に良く知られており(たとえば代謝酵素のMTHFRは葉酸依存性である)、そのような因子の関与、たとえばそれらの血中濃度についてのデータも評価すべきであったかと考える次第である。

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還暦を迎えて【Dr. 中島の 新・徒然草】(255)

二百五十五の段 還暦を迎えて2019年開始とともに亥年生まれの私は数え61歳となり、還暦を迎えました。めでたいというよりも、もうそんな歳になってしまったか、というのが実感です。今回は還暦を迎えて思うところを率直に述べたいと思います。医師をしていて良かったことと良くなかったこと良かったことは、自分がいつも最新の医療を受けることができたということです。これまでの人生で、ひょっとして死ぬかも、という事が4回ありましたが、おかげさまで生きております。治療に関わってくれた皆さん、ありがとうございました。せめてその恩返しと思い、今も看護学校の講師や入学試験の面接官を続けています。逆に医師をしていて良くなかったというか、苦しかったことは、日当直や宅直で休みのない時期が10年も20年も続いたことです。土日でも夜中でも関係なしに病院に呼び出されるというのは、理屈抜きに辛いものでした。使命感とか責任感とかには関係なく、そもそも人間の体はそういう勤務に耐えられるようにはできていないのだと思います。結局、自分自身が入院・手術という経験をする羽目になってしまいました。最近、世間では医師の働き方改革が進んでいますが、私は大いに賛成です。自分が健康でなければ、他人様の診療なんぞできたものではありません。年をとって良かったこと加齢の最大のメリットは、自分自身が数多くの身体的不調を体験しているということです。自分で自分にあれこれ試した治療を、自信を持って患者さんにアドバイスすることができます。とはいえ、さらに年をとれば、そんな屁理屈を言う余裕もなくなるかもしれません。若い人たちに伝えたいこと私は自分の患者さんに、いつも「明るく楽しく前向きに生きましょう」と申し上げています。自分の不運をすべて他人のせいにして文句を言っている人には、さらなる試練が降ってくるのを見てきたからです。逆に、明るく楽しく前向きに生きている人には幸運がついてくるような気がします。いつも明るく振る舞うことは、一般に思われているよりもずっと大切なことなのだと最近思うようになりました。ということで還暦を迎えた1句亥年(いどし)来て 生まれ変わって 二周目だ

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第15回 低用量ピルのよくある質問に答えるエビデンス【論文で探る服薬指導のエビデンス】

 低用量ピルは、避妊目的だけでなく、月経の周期、痛みや倦怠感などの月経困難症をコントロールすることで女性のさまざまな悩みを改善し、かつ安全性も高いという有用な薬剤です。しかし、副作用の懸念から抵抗を示される方も少なからずいらっしゃいます。副作用リスクを正しく認識していただいたうえでメリットを享受していただけるように、服薬指導でのよくある質問と参考となる研究を紹介します。低用量ピルは避妊のためのものではないのか低用量ピルには、避妊を目的とする経口避妊薬(Oral Contraceptive:OC)と月経困難症などの治療を目的とする低用量エストロゲン-プロゲスチン(Low dose estrogen-progestin:LEP)があり、どちらも服用すると、実際は妊娠していなくても下垂体は妊娠したと認識をするので排卵が起こらないようになります。低用量ピルの中止後は通常の月経に戻るのか月経をコントロールするという性質からか、低用量ピルの中止時に通常の月経に戻るのか、再び妊娠できる状態になるのか心配される方もいらっしゃいます。そういう場合には可逆性があることを説明できると安心材料になります。たとえば、レボノルゲストレル90μg/エチニルエストラジオール20μgを約1年服用した18〜49歳(平均年齢30.4歳)の女性で、通常の月経または妊娠に至るまでの期間を検討した観察研究では、最後の服用から90日以内に187例中185例(98.9%)で自然月経が再開または妊娠したという結果が出ています(自発月経181例、妊娠4例)。月経が再開するまでの期間の中央値は32日でした。これを踏まえると、中止後、妊娠していない状態で90日以上月経が再開しない場合は無月経の可能性が高いため、受診を勧める目安になります1)。低用量ピルを服用すると体重は増加するのかこれも比較的よくある質問ですが、服薬拒否にもつながりやすい事由なので丁寧な説明が求められます。体重増加について検討したコクランのシステマティックレビューがあり2)、試験の背景として体重増加がピル服用に関連していると考える女性が多く、服用の開始が遅れたり中止になったりすることが多いという問題が提示されています。しかしながら、実際にはプラセボ投与群または介入なし群を含む4試験では、低用量ピル(または避妊薬パッチ)の使用と体重増加の因果関係を支持する結果は見いだされませんでした。また、さまざまな種類のピルと投与量(エチニルエストラジオール20〜50μg)を比較した試験の大多数でも、グループ間で体重に関して有意差がないことが示されています。少なくとも大きな体重増加との関連はほぼないと説明してよさそうです。低用量ピルによる血栓症リスクはどれくらいあるのか血栓症ひいては静脈血栓塞栓症(VTE)は、ドロスピレノン・エチニルエストラジオール錠(商品目:ヤーズ配合錠)でブルーレターが発出されています。頻度としては低いのですが、低用量ピルに共通の副作用ですので、どの製剤であっても早期に兆候を察知して対処できるよう説明が必要です。VTEリスクの上昇は、エストロゲン含有ピルの摂取により、凝固因子II、VII、X、XII、VIIIおよびフィブリノゲンの血漿濃度が上がることが機序として考えられています3,4)。このリスクの感覚値をお伝えするうえで、参考になる症例対照研究があります5)。2015年にBMJ誌に掲載された研究で、2001~13年の間に英国においてVTEと診断された15~49歳の女性を対象としています。年齢、慣習、時期などをマッチさせた対照群を設定し、前年度の経口避妊薬摂取によってVTEの発生率が上がるかを検討したものです。オッズ比は、喫煙の有無、アルコール摂取、人種、BMI、合併疾患、他の経口避妊薬摂取などの因子で調整し、解析しています。その結果、年間10,000人当たりでVTEを発症する追加人数は、プロゲスチンの世代分類の観点からみると、第1世代(オーソ、シンフェーズ、ルナベルLD)と第2世代(トリキュラー、アンジュ)は6~7例の発生に対して、第3世代(マーベロン)は14例、第4世代(ヤーズ)は13例です。新しい世代のものほど、やや血栓症が出やすいという結果が出ています。一方で、エチニルエストラジオール含有量が高いほど脳卒中や心筋梗塞のイベントリスクが高い傾向にあり、表にあるようなプロゲスチンの種類による差は微々たるものであることを示唆するNEJM誌の論文もありますから6)、それも参考としてしっておくとよいかもしれません。VTEは早期の診断・治療が重要ですので、VTEの特徴的な兆候(英語の頭文字をとってACHES)を覚えておくと有用です。A:abdominal pain(激しい腹痛)C:chest pain(激しい胸痛、息苦しい、押しつぶされるような痛み)H:headache(激しい頭痛)E:eye/speech problems(見えにくい所がある、視野が狭い、舌のもつれ、失神、痙攣、意識障害)S:severe leg pain(ふくらはぎの痛み・むくみ、握ると痛い、赤くなっている)これらの兆候に気付いたら、重症化を防ぐため、すぐに中止のうえ受診を促す必要があるので、服薬指導時にお伝えしましょう。1)Davis AR, et al. Fertil Steril. 2008;89:1059-1063.2)Gallo MF, et al. Cochrane Database Syst Rev. 2014 Jan 29:CD003987.3)Middeldorp S, et al. Thromb Haemost. 2000;84:4-8.4)Kemmeren JM, et al. Thromb Haemost. 2002;87:199-205.5)Vinogradova Y, et al. BMJ. 2015;350:h2135.6)Lidegaard O, et al. N Engl J Med. 2012;366:2257-2266.

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