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食事のパターンや質と認知症との関連~メタ解析

 食事は、神経変性疾患の発症や進行を予防または遅らせることができる、重要なライフスタイル要因である。すべてではないものの、最近報告されたいくつかの研究において、健康的な食事パターンの順守が認知症リスクの低下に寄与する可能性が示唆されている。米国・ペンシルベニア州立大学のYi-Hsuan Liu氏らは、食事パターンと認知症リスクとの関連をシステマティックに調査し、メタ解析を実施した。Journal of Alzheimer's Disease誌オンライン版2020年9月11日号の報告。 1981年1月1日~2019年9月11日までのPubMed、Web of Science、Cumulative Index for Nursing and Allied Healthのデータベースを用いて、英語で発表されたプロスペクティブ研究をシステマティックに検索した。プールされたリスク比(RR)と95%信頼区間(CI)は、変量効果モデルを用いて算出した。 主な結果は以下のとおり。・特定された16研究のうち、12研究(6万6,930例)をメタ解析に含めた。・質の高い食事や健康的な食事パターンの順守は、質の低い食事または健康的でない食事パターンと比較し、認知症リスクの有意な低下が認められた。 ●全体的な認知症リスク:プールされたRR:0.82、95%CI:0.70~0.95、12研究 ●アルツハイマー病:プールされたRR:0.61、95%CI:0.47~0.79、6研究・年齢、性別、フォローアップ期間、食事の質の評価方法、研究の実施場所、研究の質により層別化されたサブグループ解析でも、同様の結果が認められた。 著者らは「健康的な食事パターンの順守は、全体的な認知症リスクの低下と関連が認められた。認知症の発症や進行に対する健康的な食事の役割についてエビデンスを追加するためには、さらなるランダム化比較試験が必要である」としている。

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新型コロナ後遺症、4ヵ月後も続く例や遅発性の脱毛例も/国際医療研究センター

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)を巡っては、回復後もなお続くさまざまな症状が報告され、後遺症に着目した研究が進んでいる。今回、国立国際医療研究センターがCOVID-19回復者を追跡調査したところ、発症から120日超の時点でも依然続く呼吸苦や倦怠感、咳などを訴えたり、数ヵ月後になって脱毛を経験したりした人がいたことがわかった。研究グループは、COVID-19回復者の一部で見られる持続症状および遅発性症状に関するリスク因子の特定には、さらなる研究が必要だとしている。この研究をまとめた論文は、Open Forum Infectious Diseases誌2020年10月21日号に掲載された。 本研究では、センターにCOVID-19で入院し、2020年2~6月に退院した人に対し、7月30日~8月13日に電話による聞き取り調査を実施。回復後の持続症状および遅発性症状の有無、自覚症状やその期間について尋ねた。 主な結果は以下のとおり。・本研究において追跡調査対象となったのは78例。このうち、退院後死亡の2例と認知症などにより聞き取りができなかった13例を除く63例について調査を実施した。・21例(33.3%)は女性で、平均年齢は48.1歳(標準偏差[SD]:18.5)、BMIの平均は23.7(SD:4.0)、56例(88.9%)が日本人、3例(4.8%)が中国人、バングラデシュ、ベトナム、米国、フランスが1例ずつ(各1.6%)であった。・入院時に、47例(74.6%)が肺炎症状を有し、17例(27.0%)が酸素療法、5例(7.9%)が機械的換気を必要とし、29例(46%)が抗ウイルス薬を服用した。・発症から60日時点で、咳(5例、7.9%)、倦怠感(10例、15.9%)、呼吸苦(11例、17.5%)、味覚異常(3例、4.8%、不明1)、嗅覚異常(10例、16.1%、不明1)といった症状を訴えていた。・発症から120日時点では、咳(4例、6.3%)、倦怠感(6例、9.5%)、呼吸苦(7例、11.1%)、味覚異常(1例、1.7%、不明1)、嗅覚異常(6例、9.7%、不明1)といった症状を訴えていた。・58例(対象者から不明5例を除く)のうち14例(24.1%)が脱毛を報告した。うち5例が女性で、4例が男性だった。・COVID-19発症から脱毛症が出現するまでの期間は58.6日(SD:37.2)だった。・14例中5例で脱毛症は解消し、有症期間は平均76.4日(SD:40.5)だった。9例は調査時にも症状が続いており、有症期間は平均47.8日(SD:32.2)だった。

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腰椎穿刺の脊髄血腫リスク、血液凝固障害との関連は?/JAMA

 腰椎穿刺には脊髄血腫のリスクがあり、とくに血液凝固障害を有する患者でその懸念が高まっているが、発生頻度は確立されていないという。デンマーク・Aalborg大学病院のJacob Bodilsen氏らは、腰椎穿刺と脊髄血腫の関連について検討し、脊髄血腫の発生率は血液凝固障害のない患者で0.20%、血液凝固障害を有する患者では0.23%との結果を得た。研究の詳細は、JAMA誌2020年10月13日号で報告された。腰椎穿刺は、中枢神経系の感染症や神経学的疾患、特定のがんの診断と治療において重要な手技であるが、血液凝固障害を有する患者で脊髄血腫のリスクを強く懸念する医師が、その施行を躊躇する可能性が危惧されている。デンマークの全国的なコホート研究 研究グループは、腰椎穿刺後の脊髄血腫のリスクを、血液凝固障害の有無別に評価する目的で、デンマークの地域住民を対象とする全国的なコホート研究を行った。 デンマークの全国規模の医学レジストリを用いて、2008年1月1日~2018年12月31日の期間に腰椎穿刺を受け、脳脊髄液の解析が行われた患者を特定した(2019年10月30日までフォローアップ)。血液凝固障害は、血小板が150×109/L未満、プロトロンビン時間(PT)の国際標準化比(INR)が1.4以上、または活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)が39秒以上と定義された。 主要アウトカムは、腰椎穿刺後30日の時点における、血液凝固障害の有無別の脊髄血腫のリスクとした。低リスク患者の選択によるバイアスの可能性も 6万4,730例(年齢中央値43歳[IQR:22~62]、51%が女性)で、8万3,711件の腰椎穿刺が同定された。血液凝固障害の内訳は、血小板減少が7,875例(9%)、高INR値が1,393例(2%)、APTT延長が2,604例(3%)であった。フォローアップは、参加者の99%以上で完遂された。 30日以内の脊髄血腫は、血液凝固障害のない患者では4万9,526例中99例(0.20%、95%信頼区間[CI]:0.16~0.24)で、血液凝固障害を有する患者では1万371例中24例(0.23%、0.15~0.34)で発生した。 脊髄血腫の独立のリスク因子として、男性(補正後ハザード比[HR]:1.72、95%CI:1.15~2.56)、年齢41~60歳(1.96、1.01~3.81)、年齢61~80歳(2.20、1.12~4.33)が挙げられた。 脊髄血腫のリスクは、全体として血液凝固障害の重症度が高くなっても有意な増加を認めなかった。また、小児、感染症、神経学的疾患、血液腫瘍のサブグループでも、重症度の上昇に伴うリスクの増加はみられなかった。さらに、腰椎穿刺の累積件数が多い患者でリスクが増加することもなかった。 外傷性腰椎穿刺の頻度は、INR値が正常な患者(28.2%、95%CI:27.7~28.75)と比較して、INR値が1.5~2.0の患者(36.8%、33.3~40.4)で高く、同2.1~2.5の患者(43.7%、35.8~51.8)、同2.6~3.0の患者(41.9%、30.5~53.9)でも高かった。また、外傷性脊髄穿刺の頻度は、APTTが正常な患者(21.3%、20.6~21.9)と比較して、APTTが40~60秒(26.3%、24.2~28.5)の患者で高く、リスク差は5.1%(95%CI:2.9〜7.2)であった。 著者は、「これらの知見は、腰椎穿刺に関する意思決定に有益な情報をもたらす可能性があるが、得られたデータは、医師が相対的に腰椎穿刺による脊髄血腫のリスクが低い患者を選択したことによるバイアスを反映している可能性がある」としている。

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第28回 研修医マッチング、大学病院より地域の臨床研修病院が選ばれる傾向

<先週の動き>1.研修医マッチング、大学病院より地域の臨床研修病院が選ばれる傾向2.新型コロナ受け入れ病院は全体の2割、多くは実績のある医療機関3.医師免許などの国家資格、マイナンバーでの活用検討4.マイナンバーカードの健康データ、医療・介護研究などへ活用5.オンライン診療の普及促進、デジタル技術を用いた新たな技術導入へ6.保健所などで働く公衆衛生医師不足があらわに1.研修医マッチング、大学病院より地域の臨床研修病院が選ばれる傾向22日に今年度の医師臨床研修マッチング結果が発表された。2004年度から新たな臨床研修医制度となり、臨床現場に立つ前に医師は2年間以上の初期臨床研修を受けることが必修化され、研修医はマッチングシステムを通して研修病院を選ぶことになっている。今年の全体のマッチ率は92.1%と前年度(92.4%)とほぼ変わらないが、大学病院にマッチしたのは38.1%と前年度(38.9%)からさらに低下した。発足当時には大学病院が55.8%と半数以上を占めていたが、年々大学病院を選ぶ学生が減り、地域の臨床研修病院で研修を希望する研修医が増えている。また、大都市部と地方における医師の需給格差の問題を背景に、東京都などでは募集定員を削減したため、東京都・神奈川県・愛知県・京都府・大阪府・福岡県の6都府県における内定者数は減少していることが明らかとなった。(参考)令和2年度の医師臨床研修マッチング結果をお知らせします(厚労省)2.新型コロナ受け入れ病院は全体の2割、多くは実績のある医療機関厚生労働省は、新型コロナウイルス感染患者の入院を受け入れた病院が全体の2割に止まっていることを21日の「地域医療構想に関するワーキンググループ」で明らかにした。全国8,280医療機関のうち、新型コロナウイルス感染症医療機関等情報支援システム(G-MIS)で回答した7,307医療機関において、受け入れ可能と回答したのは23%、そのうち実績ありは19%だった。全体の4%が人工呼吸器や体外式膜型人工肺(ECMO)を使う重症患者を扱っていた。新型コロナ患者の受け入れ状況は、医療機関の病床規模が大きいほど割合が大きくなる傾向があり、100床未満の病院では5%程度だった。また、感染患者の受け入れ可能あるいは実績のある医療機関の数は、「公的等」が最も多く、「公立」と「民間」は同程度だった。人口20万人未満の地域医療構想区域では「公立」の割合が最多であり、20万人以上100万人未満の区域では「公的等」、100万人以上では「民間」がそれぞれ最も多いこともわかった。厚労省は、2025年を見据えた5疾病5事業を中心に二次医療圏での医療機関の再編を進めているが、今回の新型コロナ感染拡大を踏まえ、見直しの声が高まっている。(参考)患者受け入れ病院2割のみ 中小で17〜5% 厚労省、病院再編統合を再検討(毎日新聞)新型コロナウイルス感染症を踏まえた地域医療構想の考え方について(第27回 地域医療構想に関するワーキンググループ 資料)3.医師免許などの国家資格、マイナンバーでの活用検討厚労省は、「社会保障に係る資格におけるマイナンバー制度利活用に関する検討会」の第1回を20日に開催した。今後、医療・介護分野での人材不足に対して、国家資格を有する人材の確保などの観点から、ITを活用した有資格者等の掘り起こしや再就職の支援を行うため、各種免許・国家資格、教育などについての情報をマイナンバーに紐付けて、届け出の簡易化を通して効果的な就労支援を目指す。対象とされるのは医師、歯科医師、薬剤師、保健師、助産師、看護師など31職種。今後、各職能団体に対してマイナンバー制度利活用に関する意向調査を行い、提言を取りまとめる予定。(参考)社会保障に係る資格におけるマイナンバー制度利活用に関する検討会(第1回) 資料(厚労省)4.マイナンバーカードの健康データ、医療・介護研究などへ活用厚労省は、21日に「第4回 健康・医療・介護情報利活用検討会」「第3回 医療等情報利活用WG」「第2回 健診等情報利活用WG」の合同会議を開催し、新型コロナの感染拡大を反映して、新たな日常にも対応したデータヘルスの集中改革プランについて討議を行った。2020年7月のデータヘルス改革に関する閣議決定により、次世代型行政サービスの強力な推進するため、マイナンバーカードを活用して、生まれてから生涯にわたる健康データを一覧性をもって提供できるよう取り組み、さらに健康データの医療・介護研究等への活用に向け検討を行った。今回は「全国で医療情報を確認できる仕組みの拡大」「電子処方箋の仕組みの構築」「自身の保健医療情報を活用できる仕組みの拡大」の3つのACTIONについて、2021年に必要な法制上の対応を行い、2022年度中に運用開始を目指し、効率的かつ迅速にデータヘルス改革を進めることを確認した。(参考)第4回 健康・医療・介護情報利活用検討会、第3回 医療等情報利活用WGおよび第2回 健診等情報利活用WG 資料データヘルスの集中改革プラン、3つの項目で論点整理 厚労省(ケアマネタイムス)5.オンライン診療の普及促進、デジタル技術を用いた新たな技術導入へ政府・規制改革推進会議の医療・介護ワーキング・グループは、19日に第1回目を開催した。初回のテーマは「新規領域における医療機器・医薬品の開発・導入の促進」で、SaMD(Software as a Medical Device)の普及促進についてルールの整備などであったが、21日に開催された第2回では「オンライン診療・オンライン服薬指導の普及促進」について話し合われ、患者の受診機会の確保・医療サービスの効率的な提供を実現する手段としてのオンライン診療・服薬指導の普及・定着に取り組むための議論を行った。これからデジタル技術を使い、医療・介護サービスの充実のために新たな技術導入が進むとみられ、今後の議論展開に注目される。(参考)第1回 医療・介護ワーキング・グループ 議事次第(内閣府)第2回 医療・介護ワーキング・グループ 議事次第(同)6.保健所などで働く公衆衛生医師不足があらわに新型コロナウイルスの拡大に伴い、全国の保健所では医師不足に直面している。2018年末に行政機関に勤める医師は全体の0.6%(1,835人)だが、全国469保健所の所長の1割は兼務であるなど、現場でのニーズは高い。一方、一般病院の臨床医に比べると、給与など待遇面がよくないため、これまであまり注目されていなかった。2017年に始動した社会医学系専門医制度を通して、キャリアパスの周知徹底並びに若手育成を進めている。専攻医の希望者も初年度から100人を超える応募があり、2019年度には350人が研修プログラムに参加しているなど、今後の活躍が期待される。(参考)保健所の医師不足、3割が空席・兼務 学生に認知度低く(朝日新聞)一般社団法人 社会医学系専門医協会 理事長 宇田 英典先生インタビュー(マイナビRESIDENT)

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外傷性脳損傷への入院前トラネキサム酸投与に有益性なし(解説:中川原譲二氏)-1306

 中等度~重度の外傷性脳損傷(TBI)は、外傷性死亡および障害の最重要の原因であるが、早期のトラネキサム酸投与がベネフィットをもたらす可能性が示唆されていた。そこで、米国・オレゴン健康科学大学のSusan E. Rowell氏らが、多施設共同二重盲検無作為化試験の結果を報告した(JAMA誌2020年9月8日号掲載の報告)。入院前トラネキサム酸投与の有益性を対プラセボで評価 試験は2015年5月~2017年11月に、米国およびカナダの外傷センター20ヵ所と救急医療機関39ヵ所で実施された。適格患者は、Glasgow Coma Scaleスコア12以下および収縮期血圧90mmHg以上である15歳以上のTBI入院前患者(1,280例)で、受傷2時間以内に治療を開始する以下の3つの介入が評価された。(1)入院前にトラネキサム酸(1g)をボーラス投与し、入院後に同薬(1g)を8時間点滴投与(ボーラス継続群、312例)、(2)入院前にトラネキサム酸(2g)をボーラス投与し、入院後にプラセボを8時間点滴投与(ボーラスのみ群、345例)、(3)入院前にプラセボをボーラス投与し、入院後にプラセボを8時間点滴投与(プラセボ群、309例)。 主要アウトカムは、複合投与群とプラセボ群での6ヵ月時点の良好な神経学的アウトカム(Glasgow Outcome Scale-Extendedスコア4超[中等度障害または良好な回復])とされた。非対称有意性の閾値は、有益性が0.1、有害性は0.025とされた。副次エンドポイントは18項目で、本論文ではそのうち5つ(28日死亡率、6ヵ月時のDisability Rating Scaleスコア[0:障害なし~30:死亡]、頭蓋内出血の進行、発作の発生、血栓塞栓症イベントの発生)が報告された。6ヵ月時の良好なアウトカム、投与群65% vs.プラセボ群62% 参加1,063例のうち、割り付け治療が行われなかった96例とその他1例(登録時に収監)が除外され、解析集団は966例(平均年齢42歳、男性255例[74%]、平均Glasgow Coma Scaleスコア:8)となった。このうち819例(84.8%)について、6ヵ月フォローアップ時の主要アウトカムが解析できた。 主要アウトカムの発生は、投与群65%、プラセボ群62%であった(群間差:3.5%、有益性に関する90%片側信頼区間[CI]:-0.9%[p=0.16]、有害性の97.5%片側CI:10.2%[p=0.84])。副次エンドポイントの28日死亡率(投与群14% vs.プラセボ群17%、群間差:-2.9%[95%CI:-7.9~2.1]、p=0.26)、6ヵ月時のDisability Rating Scaleスコア(6.8 vs.7.6、-0.9[-2.5~0.7]、p=0.29)、頭蓋内出血の進行(16% vs.20%、-5.4%[-12.8~2.1]、p=0.16)については、有意差はみられなかった。トラネキサム酸の有効性に関する詳細な分析が必要 本研究では、中等度~重度のTBIに対する受傷2時間以内の入院前トラネキサム酸の投与は、Glasgow Outcome Scale-Extendedスコアで評価された6ヵ月時点の良好な神経学的アウトカムを有意に改善しなかったと結論された。一般に、中等度~重度のTBIでは、発症早期に頭蓋内出血(硬膜上出血、硬膜下出血、クモ膜下出血、出血性脳挫傷)の増大やびまん性軸索損傷に伴う微小出血などの出血性の頭蓋内病態を軽減することが、転帰の改善につながると想定され、本研究では、発症早期(入院前)に抗線維素溶解薬であるトラネキサム酸を投与することの有効性が検証されたと思われる。しかしながら、中等度~重度のTBIでは、頭蓋内圧亢進や低酸素症、低血圧症など虚血性の頭蓋内病態を引き起こす要因が転帰に大きく影響することが知られており、トラネキサム酸(2g)の入院前投与で、出血性の頭蓋内病態がどの程度軽減されたのか、虚血性の頭蓋内病態が増悪する(長期投与で指摘されている)ことはなかったのか、など詳細について分析する必要があると思われる。 

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猫と語り・猫に学び・猫とたわむれる【Dr.中川の「論文・見聞・いい気分」】 第29回

第29回 猫と語り・猫に学び・猫とたわむれる猫、ねこ、ネコ、Cat(キャット:英語)、Chat(シャ:フランス語)、Katze(カッツェ:ドイツ語)、Gatto(ガット:イタリア語)、Gato(ガート:スペイン語)、feles(フェーレース:ラテン語)…世界中で猫は愛されています。「喜歓猫」という中国語を訳すと「猫が好き」となります。中国語でもネコは猫です。今回は、徹底的に猫について語りたいと思います。猫さまが主役として取り上げられた有名な論文をご存じでしょうか。数ある医学雑誌の中でも権威あるNEJM誌に掲載された猫「オスカー」です(NEJM. 2007;357:328-329.)。論文というよりも医療エッセイといったほうが適切かもしれません。「猫オスカーの 1 日」(A Day in the Life of Oscar the Cat)というタイトルです。読みやすい英語ですから、一読してみてはいかがでしょうか。一部分を抜粋してみます。「Slowly, he stretches first backward and then forward.」・・・オスカーが、ゆっくりと後方に前方にとストレッチする姿を描写しています。昼寝から目覚めたばかりの猫が、ストレッチした際に身体が微妙に震えているのだろうな、といった記載されていない猫特有の動きまで眼の前に浮かび上がってきます。オスカーは、老人介護ケア病棟の住人として暮らしています。子猫の時期から、居住者の死亡を予測できるという不思議な能力を持っていました。オスカーは、施設の受け持ちフロアを回診します。診察技法は、触診や聴診ではありません。ベッドに飛び乗り、「くんくん」嗅ぐのです。嗅診です。休診ではありません。嗅診するオスカーに休診日はありません。嗅診の結果、大丈夫と診断すれば病室から静かに立ち去ります。死が差し迫っていると診断した場合は、体を丸めて患者に寄り添うのです。オスカーが丸くなったところの患者は、数時間以内に死亡したといいます。オスカーが寄り添うのであれば、死期が迫った可能性があるとして、家族に連絡することが規則となったそうです。孤独死を防ぐ役割も果たしているオスカーは、不吉な猫ではありません。患者本人だけでなく、家族やスタッフの心に潤いを与える猫としてつづられています。死を迎える方の傍らに静かに寄り添う猫の姿はりりしいです。世の中はコロナ禍もあり、「ペットブーム」に拍車がかかっているようです。テレビからは美味しそうな「キャットフード」や「ドッグフード」のコマーシャルが流れてきます。私が子供の頃にも猫や犬を飼っている家はありましたが、今よりは少なかったです。間違いなく、誰も今ほどペットにお金をかけていませんでした。人間の余り物を与えられても、どの猫や犬も喜んで尻尾をふって食べていました。我が家にも、ご多聞にもれず猫がいます。保護猫を保健所から譲り受けたものです。名前はレオです。虎やライオンなどを含むネコ科の動物に君臨する王者の風格が漂う名前です。雑種のドラ猫であることは、すぐに見抜かれますが、飼い主である私にとっては、血統は問題ではありません。レオがいてくれることが大事なのです。レオがいることにより、何気ない生活の中にも会話が自然に生まれ、人と人の間に割って入り、コミュニケーションや人間関係の潤滑剤になってくれるのです。一人で悩んでいるときにも、いつの間にか猫を撫でながら独り言を言っていたりします。猫とソファの上でくつろぐと、とても暖かくて心地よいまどろみを覚えます。猫が素晴らしい役割を果たしてくれるのは何故でしょうか。過去に何が起こったかは猫にとって、さほど重要なことではない、ということです。 レオは、保健所の檻のなかで生命の危機が迫っていた時間を忘れて、今の我が家での生活に集中しています。猫が、人間よりも現在という瞬間を楽しむ存在であり、それが生きものの課題であると理解しているからです。猫は、死を恐れていないように思われます。死は肉体の苦痛から解放され、死は新しい生への移行であると知っているのです。猫は、なぜ猫という身体を選んで生まれてきたのか、なぜ今の飼主と一緒に暮らすことを選んだのか、前世はどうだったのかすべてを受容しています。後悔せず、今を生きるのです。猫は、人間よりはるかに輪廻転生という悟りの境地にいます。さすが猫さまです。入門します、弟子にしてください!読者の中にも猫と一緒に暮らす方々もおられることでしょう。小生が大好きな猫との遊び方をお伝えします。箱座りしている猫の背中の毛を引っ張ってみてください。肩甲骨付近で、背骨の真上あたりの、跳ねた毛を一本だけ引っ張るのがコツです。たくさんの毛束を引っ張っても何も起きません。眼を閉じて眠らんとするタイミングで不意打ちをかけてください。猫がビックリして、背中全体が「ザワザワ」とザワメクように動く様は一見の価値があります。騙されたと思って、たわむれてみてください。猫ライフの充実をお約束します。

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引き継げると思っていた患者が来ない!?「特殊診療」のワナに注意せよ【ひつじ・ヤギ先生と学ぶ 医業承継キソの基礎 】第3回

第3回 引き継げると思っていた患者が来ない!?「特殊診療」のワナに注意せよ漫画・イラスト:かたぎりもとこ買い手側からすると、引き継ぐ診療所の患者数は多ければ多いほどありがたいものです。診療所を引き継いだ当初から黒字経営でき、集患対策などの間接業務に手を取られず、診療に集中できるからです。しかし、ここにも落とし穴が…。都心エリアのように、周囲に診療所(競合)が多いのにもかかわらず、際立って外来患者数の多い診療所は注意が必要です。こうしたケースには大きく分けて2つの要因が考えられます。(1)標榜科目が複数あり、幅広い患者を診ているケース(2)専門性が高く、一般的な診療圏を超えて患者が来院しているケース(1)のケースは、とくに外科出身の院長が運営している診療所でよく見られます。内科の慢性疾患の患者が多いことに加え、小児や皮膚科も診ており、かつ外科として手術などにも対応している、というケースです。このような場合、買い手側は、現在の患者のすべてを引き継げるのか、引き継げない場合はどのくらいの患者が離反してしまうのか、科目別で患者層を確認することが必要です。(2)のケースは、通常は診療所の患者は近隣住民であることがほとんどですが、例外もあります。たとえば「整形外科の中でも手のひらを専門で診ている(とくに専門性が高い)」、「美容外科の分野でよくメディアに出ている(とくに知名度が高い)」などの理由で、「どうしてもこの医師に診てほしい」というニーズが強い場合、一般的な診療圏を超えて、遠方から患者が来院しているのです。一般的な診療圏の定義は科目や都心or地方などで異なりますが、都心部の内科系診療所であれば半径500m~1kmとするのが一般的です。旧院長と面談で会話する際などに、遠方からの外来数の割合を確認し、それらが2割を超える場合は一度専門など、その理由を確認することをお薦めします。

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新たに診断された成人のADHDおよびASDに併存する精神疾患

 成人の注意欠如多動症(ADHD)や自閉スペクトラム症(ASD)に併存する精神疾患は、医療費の増大を招き、場合によっては診断遅延の原因となる。ギリシャ・国立カポディストリアコス・アテネ大学のArtemios Pehlivanidis氏らは、新たに診断された成人のADHDおよび/またはASDの有病率と精神疾患の生涯併存率を比較し、それらがもたらす臨床上の課題について検討を行った。BMC Psychiatry誌2020年8月26日号の報告。成人ADHDおよびASD患者では精神疾患の併存率が高かった 対象は、新たなADHDおよび/またはASDの診断のために臨床評価を行った、認知機能が正常な成人336例。最も頻繁に併存する10の精神医学的診断の生涯併存率を調査した。対象患者を、ADHD群(151例)、ASD群(58例)、ADHD+ASD群(28例)、非ADHD+非ASD(NN)群(88例)の4つに分類した。 成人のADHDおよびASDに併存する精神疾患を調査した主な結果は以下のとおり。・各群における精神医学的診断の生涯併存率は以下のとおりであった(p=0.004)。 ●ADHD群:72.8% ●ASD群:50% ●ADHD+ASD群:72.4% ●NN群:76.1%・すべての群において、最も頻繁に併存する精神疾患は、うつ病であった。・ADHD群と非ADHD群(ASD群+NN群)の間における精神疾患の併存パターンは、物質使用障害でのみ統計学的に有意な差が認められた(p=0.001)。・双極性障害の割合は、ASD群と比較し、NN群で有意に高かった(p=0.025)。 著者らは「成人ADHDおよび/またはASD患者では精神疾患の併存率が高かったが、その中でASD患者での併存率は最も低かった。ADHD群と非ADHD群の最も有意な差は物質使用障害で認められた」とし、「ADHDおよび/またはASDの有無にかかわらず、これらの疾患が疑われるすべての患者に対して徹底的な臨床評価を行う必要性が示唆された」としている。

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植物由来VLPワクチン、インフル予防に有効な可能性/Lancet

 開発中の植物由来4価ウイルス様粒子(QVLP)インフルエンザワクチンは、インフルエンザウイルスに起因する呼吸器疾患およびインフルエンザ様疾患を、実質的に予防する可能性があり忍容性も良好であることが、カナダ・MedicagoのBrian J. Ward氏らの検討で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2020年10月13日号に掲載された。季節性インフルエンザは、予防策として孵化鶏卵由来のワクチンなどが使用されているが、依然として公衆衛生上の大きな脅威となっている。植物をベースとするワクチン製造法は、生産性の向上や製造過程の迅速化など、現在のワクチンの限界のいくつかを解決する可能性があるという。18~64歳と、65歳以上が対象の2つの無作為化試験 研究グループは、植物から製造された遺伝子組み換えQVLPインフルエンザワクチンに関して、2017~2018年(18-64試験)と2018~2019年(65-plus試験)のインフルエンザ流行期に、北半球においてこれら2つの多施設共同無作為化臨床試験を行った(Medicagoの助成による)。 18-64試験には、アジア、欧州、北米の73施設が、65-plus試験には同地域の104施設が参加した。18-64試験は、スクリーニング時にBMI<40、年齢18~64歳で、健康状態が良好な集団を、65-plus試験は、スクリーニング時にBMI≦35、年齢65歳以上で、リハビリテーション施設や介護施設に入居しておらず、急性期または進行中の医学的な問題のない集団を対象とした。 18-64試験の参加者は、QVLPワクチン(ウイルス株当たり30μgのヘマグルチニン)またはプラセボを接種する群に、65-plus試験の参加者は、QVLPワクチン(ウイルス株当たり30μgのヘマグルチニン)または4価不活化ワクチン(QIV、ウイルス株当たり15μgのヘマグルチニン)を接種する群に、1対1の割合で無作為に割り付けられた。 主要アウトカムは、18-64試験では、抗原性でマッチさせたインフルエンザウイルス株に起因する呼吸器疾患(検査で確定)の予防におけるワクチンの絶対効果(absolute vaccine efficacy)とし、達成率70%以上(95%信頼区間[CI]下限値が40%超)を目標とした。65-plus試験の主要アウトカムは、インフルエンザウイルス株に起因するインフルエンザ様疾患(検査で確定)の予防におけるワクチンの相対効果(relative vaccine efficacy)とし、非劣性(95%CI下限値が-20%超)の検証を行った。主解析はper-protocol集団で行い、安全性は治療を受けたすべての参加者で評価した。潜在的な利点がどの程度実現されるかは、承認後の研究で 18-64試験では、2017年8月30日~2018年1月15日の期間に1万160例が、QVLP群(5,077例)またはプラセボ群(5,083例)に割り付けられた。実際に治療を受けた1万136例の平均年齢は44.6(SD 13.7)歳であった。per-protocol集団は、QVLP群が4,814例、プラセボ群は4,812例だった。 抗原性でマッチさせたウイルス株に起因する呼吸器疾患の予防におけるQVLPワクチンの絶対効果は35.1%(95%CI:17.9~48.7)であり、70%以上という目標は達成されなかった。事後解析では、インフルエンザウイルスの感染力は19週間持続したが、QVLPワクチンの有効性は最長180日間持続しており、3つの期間(14~60日、61~120日、121~180日)で効果の差は認められなかった。 重篤な有害事象は、QVLP群が5,064例中55例(1.1%)で、プラセボ群は5,072例中51例(1.0%)で認められた。また、試験治療下で発現した重度の治療関連有害事象は、それぞれ4例(0.1%)および6例(0.1%)でみられた。 一方、65-plus試験では、2018年9月18日~2019年2月22日の期間に1万2,794例が、QVLP群(6,396例)またはQIV群(6,398例)に割り付けられた。実際に治療を受けた1万2,738例の平均年齢は72.2(SD 5.7)歳であった。per-protocol集団は、QVLP群が5,996例、QIV群は6,026例だった。 すべてのウイルス株に起因するインフルエンザ様疾患の予防におけるQVLPワクチンの相対効果は8.8%(95%CI:-16.7~28.7)であり、主要非劣性エンドポイントを満たした。75歳以上では、全体と比較して、相対効果が良好な傾向がみられ、インフルエンザ様疾患で38.3%(-5.2~63.9、p=0.102)、呼吸器疾患は33.4%(-3.3~57.1、p=0.241)であった。 重篤な有害事象は、QVLP群が6,352例中263例(4.1%)で、QIV群は6,366例中266例(4.2%)でみられた。このうち治療関連と判定されたのはそれぞれ1例(<0.1%)および2例(<0.1%)であった。試験治療下で発現した重度の治療関連有害事象は、1例(<0.1%)および3例(<0.1%)であった。 著者は、「これら2つの効果に関する重要な試験のデータは有望であるが、植物由来のウイルス様粒子ワクチンの潜在的な利点がどの程度実現されるかは、ヒトでの使用が承認された後に、何度かの流行期を経て広く使用されて初めて明らかになるだろう」としている。

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がん患者の禁煙、継続カウンセリングと補助薬提供が有効/JAMA

 がんの診断を受けた喫煙者の禁煙治療において、継続的な禁煙カウンセリングと禁煙補助薬の無料提供による強化治療は、4週間の短期カウンセリングと禁煙補助薬に関する助言を行う標準治療と比較して、6ヵ月後の禁煙の達成割合が高いことが、米国・マサチューセッツ総合病院のElyse R. Park氏らが実施した「Smokefree Support研究」で示された。研究の成果は、JAMA誌2020年10月13日号に掲載された。がん患者では、喫煙の継続が有害なアウトカムを引き起こす可能性があるが、米国の多くのがんセンターは、エビデンスに基づく禁煙治療をルーチンの治療に十分に導入できていないという。米国の2つの包括的がんセンターが参加した無作為化試験 本研究は、米国の国立がん研究所(NCI)によって指定された2つの包括的がんセンター(マサチューセッツ総合病院/ダナファーバー/ハーバードがんセンターと、スローン・ケタリング記念がんセンター)が参加した非盲検無作為化試験であり、2013年11月~2017年7月の期間に患者登録が行われ、2018年2月にフォローアップのデータ収集が終了した(米国NCIとPfizerの助成による)。 対象は、30日以内に1本以上の喫煙をした成人で、英語またはスペイン語を話し、過去4回の受診時または3ヵ月以内に、乳房、消化器、泌尿生殖器、婦人科系、頭頸部、肺のがん、またはリンパ腫、悪性黒色腫と診断された患者であった。 被験者は、強化治療または標準治療を受ける群に無作為に割り付けられた。標準治療群は、電話によるカウンセリングと禁煙補助薬に関する助言を、週1回の割合で4回受けた。強化治療群は、電話によるカウンセリングを、週1回で計4回、2週に1回で計4回(2ヵ月)、さらに月1回で計3回受け、米国食品医薬品局(FDA)の承認を得た禁煙補助薬(バレニクリン、bupropion徐放性製剤、ニコチン置換療法)の無料提供を選択できた。禁煙補助薬を選択した参加者は、初回に4週分が提供され、さらに4週分を2回、合計12週分を受け取る選択ができ、これらの薬剤は使用しなくてもよいとされた。 主要アウトカムは、6ヵ月のフォローアップの時点での生化学的に確認された禁煙(7日間点有病率)であった。副次アウトカムには、3ヵ月後の時点での生化学的に確認された禁煙などが含まれた。6ヵ月時の禁煙率:34.5% vs.21.5%、患者満足度も高い 303例(平均年齢58.3歳、170例[56.1%]が女性)が登録され、221例(78.1%)が試験を完遂した。強化治療群が153例、標準治療群は150例だった。 全体では、181例(59.7%)が喫煙関連腫瘍で、182例(60.1%)は早期病変であり、31例(10.2%)は重篤な精神疾患(うつ病、双極性障害、統合失調症)に罹患していた。1日喫煙本数中央値は10本(IQR 4~20)、喫煙年数中央値は42年(36~49)であり、214例(72.1%)は起床後30分以内に喫煙し、151例(51.0%)は自宅での喫煙が許されていた。 6ヵ月後の時点での生化学的に確認された禁煙率は、強化治療群が34.5%(51/148例)、標準治療群は21.5%(29/135例)であり、13.0%の差が認められ、強化治療群で有意に良好であった(オッズ比[OR]:1.92[95%信頼区間[CI]:1.13~3.27]、p<0.02)。また、3ヵ月後の時点での生化学的に確認された禁煙率は、強化治療群が31.1%(46/148例)、標準治療群は20.7%(28/135例)であり、強化治療群で良好だった(群間差:10.3%[95%CI:0.2~20.5]、OR:1.72[95%CI:1.00~2.96]、p=0.048)。 修了したカウンセリングの回数中央値は、強化治療群が8回(IQR:4~11)、標準治療群は4回(3~4)であった。全体のカウンセリングの平均時間は、初回が44.61(SD 15.47)分で、2回目以降は19.9(8.1)分だった。また、6ヵ月時までに禁煙補助薬を使用した患者の割合は、強化治療群が77.0%(97/126例)と、標準治療群の59.1%(68/115例)に比べ高かった(群間差:17.9%[95%CI:6.3~29.5]、OR:2.31[95%CI:1.32~4.04]、p=0.003)。 多変量解析では、6ヵ月後の時点での生化学的に確認された禁煙と有意な関連が認められた因子として、強化治療(p=0.04)、臨床的に意義のある禁煙意欲の増加(p=0.03)、自己評価による喫煙の誘惑への抵抗力の強さ(p=0.003)、自宅での喫煙ルール確立の進展度の高さ(p=0.03)、不安の減少度の高さ(p=0.04)が挙げられた。また、6ヵ月時に、「このプログラムは、私にとって必要なもののほとんど、またはすべてを満たした」と答えた患者の割合は、強化治療群が85.0%であり、標準治療群の59.3%に比べ満足度が高かった(群間差:25.5%[95%CI:16.0~35.3]、OR:1.66[95%CI:1.24~2.24]、p=0.001)。 最も頻度の高い有害事象は、悪心(強化治療群13例、標準治療群6例)、皮疹(4例、1例)、しゃっくり(4例、1例)、口腔刺激(4例、0例)、睡眠困難(3例、2例)、鮮明な夢(3例、2例)であった。 著者は、「これらの知見の一般化可能性は明確ではなく、さらなる研究を要する」としている。

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SGLT2阻害薬でも糖尿病患者の心血管イベントは抑制されない?(解説:吉岡成人氏)-1304

 糖尿病患者における心血管疾患のリスクを低減するためにSGLT2阻害薬が有用であると喧伝されている。米国糖尿病学会(ADA)では心血管疾患、慢性腎臓病(CKD)、心不全の既往のある患者やハイリスク患者では、血糖の管理状況にかかわらずGLP-1受容体作動薬、SGLT2阻害薬を第一選択薬であるメトホルミンと併用することが推奨されている。欧州心臓病学会(ESC)と欧州糖尿病学会(EASD)による心血管疾患の診療ガイドラインでは、心血管リスクが高い患者での第一選択薬としてSGLT2阻害薬、GLP-1受容体作動薬を用いることも選択肢の一つであるとしている。 日本においても、循環器学会と糖尿病学会が「糖代謝異常者における循環器病の診断・予防・治療に関するコンセンサスステートメント」が公表され、糖尿病患者は心血管疾患のハイリスク群であり、心不全の合併が多いことが記されている。日本人においても欧米同様にSGLT2阻害薬やGLP-1受容体作動薬を推奨すべきかの結論は得られていないというコメントはあるが、心不全ないしは心不全の高リスク患者ではSGLT2阻害薬の使用が推奨されている。 そのような背景の中、2020年6月にWebで開催されたADAにおいてSGLT2阻害薬であっても心血管イベントの抑制効果が認められない薬剤があることが報告された。日本では未発売のSGLT2阻害薬であるertugliflozinの心血管イベント抑制効果に関する臨床試験(Evaluation of Ertugliflozin Efficacy and Safety Cardiovascular Outcomes Trial:VERTIS-CV)であり、その詳細が、2020年9月23日のNEJM誌に掲載されている。 VERTIS試験の対象は冠動脈、脳血管、末梢動脈の少なくともいずれかにアテローム動脈硬化性疾患を持つ8,246例であり、平均年齢は64歳、88%が白人で糖尿病の罹病期間は平均で13年、ベースラインにおけるHbA1cは8.2%であった。平均で3.5年の追跡期間における1次評価項目(心血管死、心筋梗塞、脳卒中)の発生率は実薬群、プラセボ群ともに11.9%、100人年当たりの発生率は実薬群3.9、プラセボ群4.0であり差がなかった。EMPA-REG試験においても1次評価項目はVERTIS試験とまったく同じであり、100人年当たりの発生率は、実薬群3.74、プラセボ群4.39であった。2次評価項目である心血管死、心不全での入院についても差はなかったものの、心不全での入院のみで比較をするとプラセボ群3.6%(1.1/100人年)、実薬群2.5%(0.7/100人年)であり統計学的に有意な差(ハザード比0.70、信頼区間:0.54~0.90)があった。腎関連の評価項目(腎死、腎代替療法、クレアチニンの倍加)にも有意差は認められなかった。プラセボ群との非劣性を確認するための臨床試験とはいえ、SGLT2阻害薬として従来報告されていた心血管イベントに対する抑制効果が疑問視される結果であった。なぜ、ertugliflozinでほかのSGLT2阻害薬で確認された臨床効果が認められなかったのか、単なる薬剤による違いなのかは判然としない。 ともあれ、欧米の糖尿病患者と日本の糖尿病患者では臨床的な背景も、病態も異なっている。日本人における高齢率は28%であり2型糖尿病の平均年齢は65歳を超え、死因の38%は悪性腫瘍、11%が心疾患である(中村二郎ほか. 糖尿病. 2016;59:667-684.)。一方、米国での高齢化率は14.5%にすぎず、糖尿病患者の死因の第1位は心血管疾患で34%、悪性腫瘍は20%である(Gregg EW, et al. Lancet. 2018;391:2430-2440.)。欧米のガイドラインや臨床試験の結果を日本の臨床の現場に応用する場合には、一定の距離感を保ちつつ十分に吟味する必要があると思われる。

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トリプルネガティブ乳がん術前治療における免疫チェックポイント阻害剤併用(解説:下村昭彦氏)-1305

 2020年9月19日から欧州臨床腫瘍学会(ESMO)がバーチャル開催され、多数の重要演題が発表された。IMpassion031試験もその1つであり、同日Lancet誌に論文掲載となっている。IMpassion031試験はトリプルネガティブ乳がん(TNBC)の術前化学療法としてアルブミン結合パクリタキセル(nab-PTX)とAC(ドキソルビシン+シクロホスファミド)療法に、抗PD-L1抗体であるアテゾリズマブを上乗せすることにより病理学的完全奏効(pCR)率が向上するかどうかを検証したランダム化比較第III相試験である。アテゾリズマブ群で17%のpCR率改善を認め、アテゾリズマブのpCR率に対する効果が統計学的有意に示された。PD-L1陽性(1%以上)・陰性のいずれでもpCR率の改善傾向を認めたが、サブグループでは統計学的有意差は認めなかった。同様の試験として抗PD-1抗体であるペムブロリズマブを用いたKEYNOTE-522試験(CBDCA+PTX f/b AC療法へのペムブロリズマブの上乗せを検証)があり、こちらも全体集団でペムブロリズマブによるpCR率改善が示されており、その傾向はPD-L1ステータスにより変わらなかった。 一方、転移乳がんを対象とした試験では明暗を分けている。転移TNBC 1次治療を対象として、3つの試験の結果がすでに発表されている。IMpassion130試験はnab-PTXへのアテゾリズマブの上乗せを、無増悪生存期間(PFS)をエンドポイントとして検証した試験である。ITT集団で上乗せ効果があり、PD-L1陽性集団でより強く効果を認めたものの、PD-L1陰性集団ではまったく上乗せ効果が認められなかった。PD-L1陽性集団では全生存期間(OS)においても改善が期待される結果であった。一方、同じセッティングでPTXへの上乗せを検証したIMpassion131試験ではアテゾリズマブのPFSに対する上乗せ効果が認められず、むしろOSにおいてはアテゾリズマブ群で悪い傾向にあった(有意差なし)。この相反する結果に対しては、PTXでは前処置としてステロイドが毎回投与されること、nab-PTXとPTXではパクリタキセルとしての薬剤の量が異なること、実際に試験に参加した患者の背景が異なることなどが原因として議論されている。同様の対象でタキサン(PTX/nab-PTX)もしくはCBDCA+GEMへのペムブロリズマブの上乗せを検証したKEYNOTE-355試験ではPD-L1陽性集団において上乗せ効果が示され、タキサンでより良い傾向を示したことから、アテゾリズマブとペムブロリズマブの薬剤としての違いもディスカッションに挙げられている。 早期TNBCに戻って考えてみると、早期がんではPD-L1ステータス、薬剤の種類にかかわらず免疫チェックポイント阻害剤(ICI)の上乗せ効果を認めている。早期乳がんと転移乳がんでバイオマーカーが異なる可能性も指摘されているが、大きな違いとしてはAC療法が行われているかどうか、ということである。AC療法によりがん細胞が破壊されることによりがん特異抗原やサイトカインが放出され、免疫のプライミングが惹起されることなどが原因として指摘されている。その傍証の1つが、NeoTRIP試験(nab-PTX+CBDCAへのアテゾリズマブの上乗せを、pCRをエンドポイントとしてみた試験、AC療法は術後に行われた)ではpCRの改善がほとんどみられなかったことである。併用化学療法の影響は大きいと考えるべきであろう。 さらに、免疫チェックポイント阻害剤を術前化学療法に併用した場合に問題となるのが、non-pCRの際の術後化学療法である。TNBCでnon-pCRだった場合には術後にカペシタビンの半年間の投与(国内未承認)が無病生存期間(DFS)ならびにOSを改善することが示されているが、ICIの試験では術後にICIを継続されている。non-pCRの場合にカペシタビンへ変更するのか、それともICI+カペシタビンの治療を行うのか、今後明らかにしていく必要がある。

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第29回 置いてきぼりの男性不妊、菅政権で具体化される?

菅政権が発足して1ヵ月。総裁選の際に抽象的過ぎてよく分からなかったその政策の中でかなり具体性を持って突き進んでいるのが不妊治療の保険適用だ。この問題を耳にしてふと今から十数年前の記憶が蘇ってきた。新宿・歌舞伎町の路地裏にある、とあるカウンターのみのバーでの出来事だ。子供に恵まれたことが当たり前と思っていた30代このバーは歌舞伎町のど真ん中に位置する。映画界の一部の人には良く知られ、なおかつある著名な小説のモデルにもなっている。もっともそれだけ由緒ある店でありながら、生真面目な人からすると、治安が悪そうな近寄りがたい路地の奥にあるため、現在で言うところの「インスタ映え」を狙うようなミーハーな客はほとんど来ない。最近はすっかりご無沙汰になってしまったが、知り合いの編集者に連れて行ってもらったのをきっかけに一時は週2~3回も通っていた。私よりやや若い店のマスターの人柄と彼がハードなシェイクで作るカクテルが気に入っていた。たまたま、彼は息子、私は娘を持ち、しかも同い年でまだ2歳にも満たないかわいい盛りということもあり、マスターと子育て談義や愚痴で盛り上がることも少なくなかった。とくに客が私だけの時は決まって子供の話で盛り上がり、ほかの客が来店してからも、マスターは振り子のように先方とこちらの接客のために行き来しながらも子育て話が続くことが多かった。ある日、いつものように彼と子供の話をしていると、私も見かけたことだけはある常連客が来店した。互いに軽く会釈をし、私はカクテルを口にしながら、また合間合間にマスターに子供話を振っていた。ところがこの時だけはマスターが異常なまでに無愛想にこちらの話を流し続けた。私は異変に気付くものの、なぜかはわからない。そのまま話を続けていると、マスターが「チェイサー出しますね」と言い、水の入ったグラスを出す前にコースターだけをぐっとカウンターに接している私の胸元近くまで押し込んできたのでぎょっとした。マスターを見ると軽く目配せをしているように見えた。そして差し出されたコースターを手に取ると、その裏にはペンで「×」が記されていた。よく意味は分からないが、とにかく話題は変えようと思った。それから小一時間でその常連客が店を後にすると、マスターが口火を切った。「あんまりお客さんのプライバシーは話すべきではないんでしょうけど、僕たち、運が良いだけなんですよ」マスターによると件の常連客は既婚で現在子供はおらず、子供を持つことを望み夫婦で医療機関も受診しているとのこと。ほかの客がいない時はその大変さを愚痴ることもあるとのことだった。正直、30歳代前半で子供ができたばかりの新米父親の私は、当時は一部の未婚者が漠然と思うのと同じく、「結婚すると子供ができるのが自然」という極めて浅はかな考えだったのだ。不妊治療がついに保険適用かさて今回、菅政権が保険適用を目指すのは、不妊治療の中でも、運動能力の高い精子のみを選択して人工的に子宮に注入する「人工授精」、体外で人工受精させた卵子を子宮に戻す「体外受精」や「顕微授精」。いずれも現在は自由診療で行われ、人工授精は1回数万円、体外受精や顕微授精に至っては1回50万円超もザラ。治療が1回で成功することはまれで、繰り返しこうした治療を行うカップルには重い経済負担がのしかかる。保険適用は経済的負担を軽減する点が一番大きいものの、同時に保険適用で治療がより日常化することで、不妊治療への理解が深まることへの期待も寄せられているという。そうしたさまざまな期待がより良い方向に向かうことに私はまったく異論はないが、この種のニュースを見るたびに、やや違和感を覚えることもある。過去に世界保健機関(WHO)が不妊症の7,273組を対象に行った原因調査では、原因が男性のみにあるケースが24% 女性のみにあるケースが41% 男女ともにあるケースが24% 原因不明が11%と報告されている。単純計算すれば、男性に何らかの原因があるケースは48%となる。この件はよく「不妊の原因は男性にもありながら、なぜか女性のせいにばかりされている」という文脈で使われることが多い。ところが今この不妊治療の保険適用問題の段になると、匿名、実名を問わずメディアに登場して不妊治療の大変さを語るのは女性のみ。原因の半数と言われる男性の視点を目にすることは極めて少ない。「男性不妊」に対する情報の乏しさ件の歌舞伎町のバーでの出来事から3年後のこと。仕事でも付き合いがある友人の一人から相談したいことがあるとのメールが届いた。私が在住する最寄り駅近くの居酒屋に入店し、店員から「テーブル席にしますか?それともお座敷にしますか?」と聞かれると、彼は「静かなほうで」と真っ先に口にした。通されたのは4畳ほどの個室の座敷。そこで一献傾け始めながら、相談事を尋ねると、「評判の良い泌尿器科を教えて欲しい」とのこと。この仕事をしていると、親族が病気になったなどでどこの病院を受診すべきかなどの相談を受けることは多い。多くはがんだったりする。正直、それはそれでいつも対応には苦慮するが、それまで泌尿器科に関する相談を受けたことはなかった。そこで彼から打ち明けられたのが、医療機関を受診した結果、精子の数が少ない男性不妊だと診断されたということだった。彼曰く「主治医は対策として規則正しい生活を送ることを指導するだけ。正直、ヤブ医者なんじゃないかと思う」とのこと。これには私も困ってしまった。そもそも泌尿器科の取材経験は膀胱がんや前立腺がんのみで、生殖医療にはまったく明るくなかったため、何のアドバイスもしようがない。私がそのことをありのまま伝えると、彼は大きなため息をついた。いつもなら2人で飲み始めると、あっという間に4、5時間は経過しているのだが、この日は彼のため息を境にたわいもない会話に終始し2時間足らずで解散となった。後に彼はある大学病院を受診し、そこでも同じような生活指導を受けたのを機に観念したようにその指導を実践し、無事奥さんとの間に子供を授かった。父親になった後にふと彼が漏らした言葉が印象的だった。「男性不妊ではそのことを周囲に打ち明けても同情すらされず、老若男女問わず味方はゼロだった」男性不妊の解決にプライドが邪魔をする後に私も男性不妊に関して取材をする機会に恵まれた。そこで分かったのが女性不妊症はホルモンや生理周期、卵管の通過状況など検査項目が多いのに対し、男性不妊症は精液検査で精子の数や運動能力を調べれば、そこである程度診断がつく。そして男性不妊症の80%以上が無精子症や精子の数や運動能力が不十分な造精機能障害、残る10%強が勃起不全(ED)や射精障害に大別される。ところが診断は比較的簡単ながらも、いざ治療となると難題だという。この時取材した医師が語ったのは次のようなものだ。「造精機能障害の半数以上は特発性で、精子の数や運動能力が不十分である原因が分からない。あえて言えば一番の原因は加齢ですかね。この場合、現時点で科学的根拠があるとされている対処法は、十分な睡眠や運動、適正体重の維持、禁煙、バランスの良い食生活、さらにはストレスの少ない生活を送るというある意味馬鹿馬鹿しすぎると思われるほど当たり前のことぐらいしかないんですよ」少なくとも友人がその主治医から聞いた話は決して間違いではなかったのである。かくいう私もお恥ずかしながら、この時までまったく知らなかったのである。日本に限らず海外でもかつて不妊症は女性が原因と思われていた時代があり、日本では子供を産めない女性を「石女」と書いて「うまずめ」と読む、極めつけの差別的な用語も存在した。その反動もあってか、まだ十分ではないとはいえ、女性の不妊症にかかわる問題は少しずつ理解が進んでいる。しかし、一方で「男のプライド問題」と揶揄的にも表現された男性不妊症についての議論は反動も何もなく、もっと言えばその「プライド」の罰則(?)として、そのまま社会的理解は低空飛行状態に置かれているように思えてしまうのだ。

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日本の若年性認知症の年間発症率とそのサブタイプ

 若年性認知症の発症率を調査することは、困難であるといわれている。東京都健康長寿医療センター研究所の枝広 あや子氏らは、認知症疾患医療センターの年次報告データを用いて、日本における若年性認知症の発症率について調査を行った。Geriatrics & Gerontology International誌オンライン版2020年9月28日号の報告。 認知症疾患医療センターは、日本の全国的な保健プログラムの一環として設立された認知症専門医療サービスで、2018年時点で全国に440施設存在する。これらの施設の年次報告データを用いて、2018年4月1日~2019年3月31日に新たに若年性認知症または遅発性認知症と診断された患者数、精神障害の診断と統計マニュアル第5版(DSM-5)による診断構成比を算出した。若年性認知症の年間発症率は、分子を患者数、分母を18~64歳の人口とし推定した。 主な結果は以下のとおり。・若年性認知症と診断された患者は1,733例であった。・若年性認知症のサブタイプの内訳は以下のとおりであった。 ●アルツハイマー型認知症:52.1% ●前頭側頭型認知症:8.9% ●血管性認知症:8.8% ●物質・薬物誘発性の神経認知障害:7.1% ●レビー小体型認知症:6.5% ●別の疾患による神経認知障害:3.9%・若年性認知症の年間発症率は、2.47/10万人年と推定された。 著者らは「本研究により、日本における若年性認知症の推定発症率が明らかとなった。全国の若年性認知症の疫学的モニタリングのためには、認知症疾患医療センターが重要な存在であることが示唆された」としている。

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COVID-19抗体陽性率、1,603例を独自調査/神奈川県内科医学会

 神奈川県内科医学会が独自にCOVID-19の抗体陽性率を調査し、不顕性感染の実態を明らかにした研究結果がJournal of Infection and Chemotherapy誌オンライン版9月6日号に掲載された。 調査は神奈川県内65の医療機関を受診した患者と神奈川県医師会に所属する医療機関で働く医師や看護師を対象とし、2020年5月18日~6月24日にアンケートで同意を得た1,603例が登録された。不顕性感染の実態を明らかにするため、以下は除外された。1)COVID-19検査で陽性となった2)21日以内に発熱などの風邪症状があった3)2020年になって4日以上37.5度以上の発熱があった4)2020年になって強い倦怠感や呼吸困難を経験した 参加者は抗体検査を受け、検査には横浜市立大学と関東化学が共同開発したイムノクロマトグラフテスト(シカイムノテスト SARS-CoV-2 IgG)が使われた。キットの感度は発症後9〜12日の9検体で89%(8/9)、発症後13日以降の8検体で100%(8/8)、特異度は20検体で100%(20/20)だった。再現性は、全陽性対照と陰性対照(各3回測定)で確認された。抗体検査が陽性の場合は、必要に応じてPCR検査を実施した。 主要評価項目は、SARS-CoV-2抗体(IgG)陽性の被験者の割合だった。全例のうち、非医師・非看護師と、基礎疾患がない人を対照群として分類し、対照群、患者群(基礎疾患あり)、および医師/看護師群の抗体保有率を計算した。 主な結果は以下のとおり。・1,603例の内訳は、患者群988例、医師/看護師群504例、対照群111例(基礎疾患なし)だった。・抗体検査で陽性となったのは、全群で39例(2.4%)、患者群で29例(2.9%)、医師/看護師群で10例(2.0%)、対照群で0例だった。群間・年齢・性別、および対照群の抗体有病率を調整後、抗体有病率は患者群で2.7%、医師/看護師群で2.1%だった。・抗体検査で陽性となった39例のうち、医師の判断により7例がPCR検査を受けたが、結果はいずれも陰性だった。・年齢、性別、医療者/非医療者、BCG ワクチン接種の有無、基礎疾患の有無、直近の海外渡航経験など、すべての調査項目と抗体検査結果のあいだに有意差のある関連は見出だせなかった。 今回の調査を主導した神奈川県内科医学会学術部会長の松葉 育郎氏は「国内の抗体陽性率は0.33~3.3%と調査によって幅があるが、今回の調査の結果からは6月に政府が発表した東京0.10%、大阪0.17%よりも高い可能性が見える。無症状の不顕性感染が相当数いることを踏まえ、PCR検査を受ける要件を再検討する必要がある」と提言している。

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がん患者・家族、食と体重の悩み5割が「相談できていない」/日本対がん協会

 公益財団法人日本対がん協会 サバイバークラブは、2020年9月30日、全がん種を対象にした、がん患者・家族がかかえる食と体重減少の悩みに関する全国インターネット調査の結果を発表。多くのがん患者・家族が食や体重減少に関する悩みを抱えており、また、相談できていない現状が明らかになった。 調査対象は、がん患者とその家族。調査期間は2019年10月1日~2019年11月18日、回答数は1,382名(がん患者1,168名、家族214名)であった。食の悩み6割 「食事について気になることや悩みを感じたことがある」と回答した割合は、患者本人は58%、家族は77%が、全体では61%であった。具体的な食の悩みには「食欲がない」が48%、「味が変わって感じる」40%、「吐き気・嘔吐」37%、「体重減少」36%などで、さまざまな悩みが混在していることがわかった。体重減少5割  体重の変化については、「減った(かなり体重+少し減った)」と回答した割合は、患者本人42%、家族65%、全体では46%であった。体重の変化による悩みを見ると「疲れやすく、日中の活動が制限される」との回答がもっとも多く、44%にのぼった。食に対する情報収集は6割  全体の55%が食事に対する情報収集を行っており、とくに胃がんではその割合は66%と、もっとも高かった。相談していない5割  食事と体重減少の悩みに関する相談経験の有無については、「相談していない」と回答した割合が47%であった。「相談して満足」と回答した割合は40%、「相談に不満」とした回答者の相談結果への思いは「自分で解決しなくてはいけないと思った」、「参考になる情報が得られなかった」が上位を占めた。

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生物学的DMARD抵抗性RA、ウパダシチニブvs.アバタセプト/NEJM

 生物学的疾患修飾性抗リウマチ薬(bDMARD)に抵抗性の関節リウマチ患者において、ウパダシチニブはアバタセプトと比較し、12週時の疾患活動性スコア(DAS28-CRP)のベースラインからの変化量および臨床的寛解率に関して優越性が認められた。ただし、重篤な有害事象の発現率は高かった。スイス・Cantonal Clinic St. GallenのAndrea Rubbert-Roth氏らが、24週間の多施設共同無作為化二重盲検実薬対照第III相試験「SELECT-CHOICE試験」の結果を報告した。ウパダシチニブは経口選択的ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害薬で、関節リウマチの治療薬として用いられているが、bDMARD抵抗性の関節リウマチ患者において、T細胞選択的共刺激調節薬のアバタセプトと直接比較したウパダシチニブの有効性および安全性は不明であった。NEJM誌2020年10月15日号掲載の報告。ウパダシチニブの有効性と安全性をアバタセプトと直接比較 研究グループは、2017年5月~2019年9月の期間に、bDMARDで効果不十分または不耐容の中等度~重度の活動性関節リウマチ患者を、ウパダシチニブ(1日1回15mg経口投与)群、またはアバタセプト(静脈内投与)群に1対1の割合で無作為に割り付け、いずれも従来型合成疾患修飾性抗リウマチ薬(csDMARD)と併用投与した。 主要評価項目は、12週時の28関節とC-反応性蛋白(CRP)を用いて評価する疾患活動性スコア(DAS28-CRP:0~9.4、スコアが高いほど活動性が高いことを示す)のベースラインからの変化量の非劣性である。また、重要な副次評価項目は、12週時のDAS28-CRPのベースラインからの変化量、ならびに12週時の臨床的寛解率(DAS28-CRPが2.6未満を達成した患者の割合)の、アバタセプトに対するウパダシチニブの優越性とした。ウパダシチニブ、主要評価項目および重要な副次評価項目を達成 合計ウパダシチニブ群303例、アバタセプト群309例において、ベースラインのDAS28-CRPはそれぞれ5.70、5.88であった。 12週時のDAS28-CRPのベースラインからの平均変化量は、ウパダシチニブ群-2.52、アバタセプト群-2.00であり、アバタセプト群に対するウパダシチニブ群の非劣性および優越性が検証された(群間差:-0.52点、95%信頼区間[CI]:-0.69~-0.35、非劣性のp<0.001、優越性のp<0.001)。また、12週時の臨床的寛解率は、ウパダシチニブ群30.0%、アバタセプト群13.3%であった(群間差:16.8ポイント、95%CI:10.4~23.2、優越性のp<0.001)。 24週間の投与期間中にウパダシチニブ群で死亡1例、非致死的脳卒中1例、静脈血栓塞栓症2例が報告された。肝機能異常(アミノトランスフェラーゼ値上昇)を認めた患者は、ウパダシチニブ群がアバタセプト群より多かった。 結果を踏まえて著者は、「関節リウマチ患者におけるウパダシチニブの有効性および安全性を検証するため、より長期で大規模な臨床試験が必要である」とまとめている。

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最適な血行再建術を選択する新SYNTAXスコアを開発・検証/Lancet

 10年死亡ならびに5年主要心血管イベントを予測するSYNTAXスコアII 2020は、冠動脈バイパス術(CABG)または経皮的冠動脈インターベンション(PCI)の恩恵を得られる個人の特定に役立ち、心臓チーム、患者およびその家族が最適な血行再建術を選択するのを支援可能であることが示された。オランダ・アムステルダム大学のKuniaki Takahashi氏らが「SYNTAXES試験」の副次解析結果を報告した。無作為化比較試験は新たな治療法の有効性を検証するゴールドスタンダードで、一般的には平均的な治療効果を示すものであるが、治療効果は患者によって異なる可能性があり、個々の患者の治療を平均的な治療効果に基づいて決定することは最適ではない可能性がある。そこで著者らは、複雑な冠動脈疾患患者において最適な血行再建術を選択する個別意思決定ツールとしてSYNTAXスコアII 2020を開発し検証した。Lancet誌オンライン版2020年10月8日号掲載の報告。10年死亡と5年主要心血管イベントを予測するSYNTAXスコアII 2020を開発 SYNTAXES試験は、2005年3月~2007年4月に北米および欧州の18ヵ国85施設で実施された医師主導型多施設共同無作為化比較試験(SYNTAX試験)の10年追跡試験である。新規の3枝または左主幹部病変を有する患者を、PCI群またはCABG群に1対1の割合で無作為に割り付け追跡評価した。主要評価項目は10年全死因死亡であった。 研究グループは、SYNTAXES試験のデータからCox回帰法を用いて10年全死因死亡を予測する臨床予後指標を開発した後、治療の割り付け(PCI/CABG)と、これまでのエビデンスに基づいて選択された事前に規定した2つの効果修飾因子(病変の種類[3枝病変か左主幹部病変]、解剖学的SYNTAXスコア)も組み合わせたCoxモデルを開発。また、同様の方法を用いて、PCI/CABGを受けた患者の主要心血管イベント(全死因死亡、非致死的脳卒中、非致死的心筋梗塞の複合)の5年リスク予測モデルを開発した。 次に、両モデルについて、SYNTAX試験で交差検証(1,800例)を行うとともに、FREEDOM試験、BEST試験およびPRECOMBAT試験の併合集団(3,380例)で外部検証を行い、両モデルの予測能とその差(2つの治療群の絶対リスク差を算出し、CABGとPCIの推定利益を比較)の検討を行った。C統計量を用いて識別能を、較正プロットを用いて予測と観察の一致度を評価した。SYNTAXスコアII 2020は5年主要心血管イベントの予測に関して有用な識別能 交差検証において、新たに開発されたSYNTAXスコアII 2020は、10年全死因死亡と5年主要心血管イベントの予測に関して2つの治療群で有用な識別能を示した。10年全死因死亡のC統計量は、PCIで0.73(95%信頼区間[CI]:0.69~0.76)、CABGで0.73(0.69~0.76)、5年主要心血管イベントのC統計量は、それぞれ0.65(0.61~0.69)、0.71(0.67~0.75)であった。 外部検証においても、SYNTAXスコアII 2020は5年主要心血管イベントの予測に関して、有用な識別能(PCIのC統計量は0.67[95%CI:0.63~0.70]、CABGは0.62[0.58~0.66])と良好な較正を示した。 PCIを上回ると推定されたCABGの治療有益性は試験集団の患者間で大きく異なっており、有益性の予測は良好に調整されていた。

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