日本の若年性認知症の年間発症率とそのサブタイプ

若年性認知症の発症率を調査することは、困難であるといわれている。東京都健康長寿医療センター研究所の枝広 あや子氏らは、認知症疾患医療センターの年次報告データを用いて、日本における若年性認知症の発症率について調査を行った。Geriatrics & Gerontology International誌オンライン版2020年9月28日号の報告。
認知症疾患医療センターは、日本の全国的な保健プログラムの一環として設立された認知症専門医療サービスで、2018年時点で全国に440施設存在する。これらの施設の年次報告データを用いて、2018年4月1日~2019年3月31日に新たに若年性認知症または遅発性認知症と診断された患者数、精神障害の診断と統計マニュアル第5版(DSM-5)による診断構成比を算出した。若年性認知症の年間発症率は、分子を患者数、分母を18~64歳の人口とし推定した。
主な結果は以下のとおり。
・若年性認知症と診断された患者は1,733例であった。
・若年性認知症のサブタイプの内訳は以下のとおりであった。
●アルツハイマー型認知症:52.1%
●前頭側頭型認知症:8.9%
●血管性認知症:8.8%
●物質・薬物誘発性の神経認知障害:7.1%
●レビー小体型認知症:6.5%
●別の疾患による神経認知障害:3.9%
・若年性認知症の年間発症率は、2.47/10万人年と推定された。
著者らは「本研究により、日本における若年性認知症の推定発症率が明らかとなった。全国の若年性認知症の疫学的モニタリングのためには、認知症疾患医療センターが重要な存在であることが示唆された」としている。
(鷹野 敦夫)
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