腰椎穿刺の脊髄血腫リスク、血液凝固障害との関連は?/JAMA

提供元:ケアネット

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公開日:2020/10/27

 

 腰椎穿刺には脊髄血腫のリスクがあり、とくに血液凝固障害を有する患者でその懸念が高まっているが、発生頻度は確立されていないという。デンマーク・Aalborg大学病院のJacob Bodilsen氏らは、腰椎穿刺と脊髄血腫の関連について検討し、脊髄血腫の発生率は血液凝固障害のない患者で0.20%、血液凝固障害を有する患者では0.23%との結果を得た。研究の詳細は、JAMA誌2020年10月13日号で報告された。腰椎穿刺は、中枢神経系の感染症や神経学的疾患、特定のがんの診断と治療において重要な手技であるが、血液凝固障害を有する患者で脊髄血腫のリスクを強く懸念する医師が、その施行を躊躇する可能性が危惧されている。

デンマークの全国的なコホート研究

 研究グループは、腰椎穿刺後の脊髄血腫のリスクを、血液凝固障害の有無別に評価する目的で、デンマークの地域住民を対象とする全国的なコホート研究を行った。

 デンマークの全国規模の医学レジストリを用いて、2008年1月1日~2018年12月31日の期間に腰椎穿刺を受け、脳脊髄液の解析が行われた患者を特定した(2019年10月30日までフォローアップ)。血液凝固障害は、血小板が150×109/L未満、プロトロンビン時間(PT)の国際標準化比(INR)が1.4以上、または活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)が39秒以上と定義された。

 主要アウトカムは、腰椎穿刺後30日の時点における、血液凝固障害の有無別の脊髄血腫のリスクとした。

低リスク患者の選択によるバイアスの可能性も

 6万4,730例(年齢中央値43歳[IQR:22~62]、51%が女性)で、8万3,711件の腰椎穿刺が同定された。血液凝固障害の内訳は、血小板減少が7,875例(9%)、高INR値が1,393例(2%)、APTT延長が2,604例(3%)であった。フォローアップは、参加者の99%以上で完遂された。

 30日以内の脊髄血腫は、血液凝固障害のない患者では4万9,526例中99例(0.20%、95%信頼区間[CI]:0.16~0.24)で、血液凝固障害を有する患者では1万371例中24例(0.23%、0.15~0.34)で発生した。

 脊髄血腫の独立のリスク因子として、男性(補正後ハザード比[HR]:1.72、95%CI:1.15~2.56)、年齢41~60歳(1.96、1.01~3.81)、年齢61~80歳(2.20、1.12~4.33)が挙げられた。

 脊髄血腫のリスクは、全体として血液凝固障害の重症度が高くなっても有意な増加を認めなかった。また、小児、感染症、神経学的疾患、血液腫瘍のサブグループでも、重症度の上昇に伴うリスクの増加はみられなかった。さらに、腰椎穿刺の累積件数が多い患者でリスクが増加することもなかった。

 外傷性腰椎穿刺の頻度は、INR値が正常な患者(28.2%、95%CI:27.7~28.75)と比較して、INR値が1.5~2.0の患者(36.8%、33.3~40.4)で高く、同2.1~2.5の患者(43.7%、35.8~51.8)、同2.6~3.0の患者(41.9%、30.5~53.9)でも高かった。また、外傷性脊髄穿刺の頻度は、APTTが正常な患者(21.3%、20.6~21.9)と比較して、APTTが40~60秒(26.3%、24.2~28.5)の患者で高く、リスク差は5.1%(95%CI:2.9〜7.2)であった。

 著者は、「これらの知見は、腰椎穿刺に関する意思決定に有益な情報をもたらす可能性があるが、得られたデータは、医師が相対的に腰椎穿刺による脊髄血腫のリスクが低い患者を選択したことによるバイアスを反映している可能性がある」としている。

(医学ライター 菅野 守)