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COVID-19治療薬の特徴一覧を追加、薬物治療の考え方12版/日本感染症学会

 日本感染症学会(理事長:四柳 宏氏[東京大学医学部教授])は、1月24日に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の治療薬について指針として「COVID-19に対する薬物治療の考え方第12版」をまとめ、同会のホームページで公開した。 今回の改訂では、適用・効果の追加承認がなされたトシリズマブ(商品名:アクテムラ)に関する記載が追加されたほか、他の治療薬の知見を更新し、現在使用できる治療薬4剤の特徴を記した一覧表が附表として追加された。 主な改訂点について、以下に抜粋する。総論【3. 抗ウイルス薬等の対象と開始のタイミング】 「重症化リスクが高い患者を対象とした治療薬の特徴で、巻末の附表参考」や「軽症例での薬物治療の適応の場合、感染病態および薬理作用の観点などからも、感染または発症から早期の治療開始が望ましい。また、中等症以上で全般的な薬物治療を検討」の文言変更。「予防接種歴のみで治療薬の適応を判断するしない」、「患者の病態など総合的に勘案して適応を決定する」ように追加。【4. 抗ウイルス薬等の選択】 オミクロン株には、カシリビマブ/イムデビマブは使用が推奨されないこと、妊娠および妊娠の可能性がある場合は、モヌルピラビルは使用できないことなどを追加。抗ウイルス薬について【レムデシビル(商品名:ベクルリー点滴静注用100mg)】・臨床報告について国内と海外記載を変更・投与時の注意点について投与期限(10日目まで)、小児への投与の注意点と推奨されない小児を追加記載【モルヌピラビル】・臨床報告について国内と海外記載を変更【ファビピラビル】・臨床報告について国内と海外記載を変更・薬剤提供は2021年12月27日で取り扱い終了の記載追加中和抗体薬について【カシリビマブ/イムデビマブ】・「発症抑制での投与時の注意点」を追加・In vitroでの変異株への効果を追加【ソトロビマブ】・備考でオミクロン株への評価を追加・「発症後での投与時の注意点」で重症化リスク因子を有し、酸素投与を要しない患者を対象に投与などの項目を追加免疫調整薬・免疫抑制薬【トシリズマブ】・海外での臨床報告を変更・国内での使用実績を変更・2022年1月の適応追加を追記・投与方法、投与時の注意点を変更(投与方法)通常、成人には、副腎皮質ステロイド薬との併用において、トシリズマブ(遺伝子組換え)として1回8mg/kgを点滴静注する。症状が改善しない場合には、初回投与終了から8時間以上の間隔をあけて、トシリズマブして8mg/kgをさらに1回追加投与できる。(投与時の注意点)・酸素投与、人工呼吸器管理または体外式膜型人工肺(ECMO)導入を要する患者を対象に入院下で投与を行うこと。・海外医師主導治験は室内気SpO2が92%未満または酸素投与中でCRP値7.5mg/dL以上のSARS-CoV-2による肺炎患者を対象として実施され、副腎皮質ステロイド薬併用下で本剤の有効性が確認されている。当該試験の内容を熟知し、本剤の有効性および安全性を十分に理解した上で、適応患者の選択を行うこと。・海外医師主導治験では副腎皮質ステロイド薬を併用していない患者において本剤投与により全死亡割合が高くなる傾向が認められた。・バリシチニブとの併用について、有効性および安全性は確立していない。その他 附表として「重症リスクを有する軽症COVID-19患者への治療薬の特徴(2022年1月時点)」を追加 本手引きの詳細は、同学会のサイトで確認していただきたい。■関連記事ゾコーバ緊急承認を反映、コロナ薬物治療の考え方第15版/日本感染症学会

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非重症コロナ入院患者の心肺支持療法離脱に有用な治療法は?/JAMA

 非重症の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)入院患者の治療において、治療量のヘパリンにP2Y12阻害薬を上乗せしても、ヘパリン単独療法と比較して21日以内の心肺支持療法離脱日数(organ support-free days)は増加しなかった。米国・NYU Grossman School of MedicineのJeffrey S. Berger氏らが、ブラジル、イタリア、スペイン、米国の病院60施設で実施した非盲検並行群間比較ベイズ流適応型無作為化試験「Accelerating COVID-19 Therapeutic Interventions and Vaccines 4 Acute:ACTIV-4a」の結果を報告した。非重症のCOVID-19入院患者に対するヘパリン療法は、マルチプラットフォーム無作為化比較試験で生存日数や心肺支持療法離脱日数を増加することが示されたものの、患者の24%が死亡または集中治療を必要としたことから、この集団における追加治療が検討されていた。JAMA誌2022年1月18日号掲載の報告。ヘパリン+P2Y12阻害薬またはヘパリン単独に無作為化 研究グループは、2021年2月26日~6月19日の期間に、COVID-19で入院後72時間以内の患者で集中治療室(ICU)への入室は不要の非重症患者562例を、治療量のヘパリン+P2Y12阻害薬併用群(P2Y12阻害薬群、293例)、または治療量のヘパリン単独群(標準治療群、269例)に1対1の割合で無作為に割り付け、14日間または退院のいずれか早い日まで投与した。P2Y12阻害薬としてはチカグレロルが推奨されたが、クロピドグレルやプラスグレルの使用も認められた。90日間の最終追跡日は、2021年9月15日であった。 主要評価項目は、21日間における心肺支持療法離脱日数で、院内死亡(-1)と退院まで生存した患者については21日目までに呼吸/心臓系の心肺支持療法を受けなかった日数(範囲:-1~21日、スコアが高いほど心肺支持療法が少なくアウトカム良好を示す)を組み合わせた順序尺度で評価した。安全性の主要評価項目は、国際血栓止血学会により定義された28日までの大出血とした。ヘパリン+P2Y12阻害薬で、心肺支持療法離脱日数は改善せず、大出血リスクは3倍 無作為化された全562例(平均年齢52.7歳[SD 13.5]、女性41.5%)が試験を完遂し、87%が1日目に治療量のヘパリン投与を受けた。P2Y12阻害薬群では、63%がチカグレロル、37%がクロピドグレルを投与された。 心肺支持療法離脱日数の中央値は、P2Y12阻害薬群で21日(IQR:20~21)、標準治療群で21日(IQR:21~21)であった(補正後オッズ比[OR]:0.83、95%信頼区間[CI]:0.55~1.25、無益性の事後確率[オッズ比<1.2と定義]=96%)。死亡または心肺支持療法を必要とした患者の割合は、P2Y12阻害薬群(75例、26%)が標準治療群(58例、22%)より高かった(補正後ハザード比[HR]:1.19、95%CI:0.84~1.68、p=0.34)。 大出血は、P2Y12阻害薬群6例(2.0%)、標準治療群2例(0.7%)に認められた(補正後OR:3.31、95%CI:0.64~17.2、p=0.15)。

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子宮内膜がん、レンバチニブ+ペムブロリズマブでPFS/OSを延長/NEJM

 進行子宮内膜がん患者において、レンバチニブ+ペムブロリズマブ併用療法は化学療法と比較し、無増悪生存(PFS)期間および全生存(OS)期間を有意に延長した。米国・スローン・ケタリング記念がんセンターのVicky Makker氏らが、21ヵ国167施設で実施した非盲検第III相試験「Study 309/KEYNOTE-775試験」の結果を報告した。プラチナ製剤による化学療法後の進行性子宮内膜がんに対する治療選択肢は、限られていた。NEJM誌オンライン版2022年1月19日号掲載の報告。レンバチニブ+ペムブロリズマブvs.ドキソルビシンまたはパクリタキセル 研究グループは、少なくとも1レジメンのプラチナ製剤による化学療法の治療歴のある進行子宮内膜がん患者を、レンバチニブ(20mg、1日1回経口投与)+ペムブロリズマブ(200mg、3週ごと静脈投与)併用群、または化学療法(治験医師選択によるドキソルビシン60mg/m2の3週ごと静脈投与、またはパクリタキセル80mg/m2の週1回静脈投与3週・1週休薬)群のいずれかに、1対1の割合で無作為に割り付けた。 有効性の主要評価項目は、RECIST v1.1に基づく盲検下独立中央画像判定によるPFS、およびOSで、全体集団およびミスマッチ修復機構を有する(mismatch repair proficient:pMMR)集団を対象としてintention-to-treat解析を行った。安全性についても同様に評価した。 2018年6月11日~2020年2月3日に計827例(pMMR患者697例、ミスマッチ修復機構欠損患者130例)が、レンバチニブ+ペムブロリズマブ併用群(411例)および化学療法群(416例)に割り付けられた。データカットオフ日は2020年10月26日。レンバチニブ+ペムブロリズマブでPFSおよびOSが有意に延長 PFS期間中央値は、全体集団(7.2ヵ月vs.3.8ヵ月、ハザード比[HR]:0.56、95%信頼区間[CI]:0.47~0.66、p<0.001)、pMMR集団(6.6ヵ月vs.3.8ヵ月、0.60、0.50~0.72、p<0.001)のいずれにおいても、レンバチニブ+ペムブロリズマブ併用群が化学療法群より有意に延長した。 OS期間中央値も同様に、全体集団(18.3ヵ月vs.11.4ヵ月、HR:0.62、95%CI:0.51~0.75、p<0.001)、pMMR集団(17.4ヵ月vs.12.0ヵ月、0.68、0.56~0.84、p<0.001)のいずれにおいても、レンバチニブ+ペムブロリズマブ併用群が化学療法群より有意に延長した。 Grade3以上の有害事象の発現率は、レンバチニブ+ペムブロリズマブ併用群88.9%、化学療法群72.7%であった。

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名前いろいろ【Dr. 中島の 新・徒然草】(410)

四百十の段 名前いろいろ最近、入学試験や就職試験で、若者の名簿を見ることがよくあります。そこで苦しめられるのが名前の読み方。看護「最近見たのは、〇〇という漢字で××と読むんですよ」中島「御無体な!」事務「そないな読み方、想像つかん」この場合、〇〇というのはよく使われる漢字です。ところが××というのが、超意訳というかなんというか。ちょっと思いつかない読み方なのです。もちろん、本人が気に入って使っているのなら、他人がとやかく言う必要はありません。事務「ついに時代の波が押し寄せてきましたね、ウチにも」看護「最近になってからですよ、その傾向は」中島「でも、独創的な名前をつけるってのは昔からあったみたいで、徒然草にも書いてありまっせ」事務&看護「ホンマかいな!」実は、徒然草の第116段で兼好法師が述べています。人の名も、目馴れぬ文字をつかむとする……(以下、略)。「皆それぞれに凝った文字を使って名前を付けようとしている」という意味です。600年前も今も、人間というのは変わっていませんね。ところで、戸籍にはフリガナは記されていません。なので、先の××くんも、「俺のことは今日から△△と呼べ!」と言ったら、それで通ってしまうそうです。実は、私の親戚の男の子が、生まれた時に付けられた名前が「ソウジ」で、当然のことながら皆から「掃除機、掃除機」と呼ばれていました。何を隠そう、小学生だった私も「掃除機!」と呼んでいた1人です。そこで叔母が、漢字はそのままで、ありきたりの読み方に変えてしまいました。以来何十年、すっかりその名前が定着しています。本人も、自分が「掃除機」と呼ばれていたのは人生の最初の1週間ほどなので、そんな秘話は知らないことでしょう。一方、パスポートの場合は簡単に読み方を変えるわけにはいきません。そもそもパスポートの名前の表記はローマ字なので、読み方を変えてしまうと別人になってしまいます。それでも読み方を変えたい場合、切替申請または記載事項変更という面倒な手続きが必要なのだとか。パスポート以外のフリガナはどうなっているんだ、と思って自分の持ち物で調べてみたところ、フリガナありキャッシュカード、クレジットカード、健康保険証、診察券フリガナなし自動車運転免許証、住民票、マイナンバーカードなど、いろいろでした。ま、名前の読み方ひとつにもいろいろなドラマがあるってことですね。最後に1句 早春に 古典を語る 会議室

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心不全の患者さんに、病状経過を説明するなら…【非専門医のための緩和ケアTips】第20回

第20回 心不全の患者さんに、病状経過を説明するなら…この連載で繰り返しお伝えしてきたように、緩和ケアを提供する相手はがん患者に限りません。心不全や慢性呼吸器疾患など、臓器障害の経過についても知っておく必要があります。ここでも、前回のがんのケースで紹介した「病みの軌跡」と呼ばれる、疾患ごとの身体機能低下と時間軸を示したグラフが役立ちます。今日の質問かかりつけの心不全患者さん、昨年2回の緊急入院をしています。数年前と比べると徐々に身体機能が低下してきているものの、まだ外来通院は可能です。心不全は予後予測が難しいと聞くので、今後の対応に悩んでいます。非がん疾患の予後予測が難しいのは、おっしゃるとおりです。そして、一般の診療医が対応する疾患としては、がんよりも非がん疾患のほうが多いでしょう。心不全のような特定の臓器機能の低下に伴った疾患の経過の説明には、臓器障害パターンの「病みの軌跡」が有効です。2005年にBritish Medical Journal誌で発表された論文1)が基になっています。図:臓器障害の「病みの軌跡」原著論文を基に筆者作成この「臓器障害」には、心不全だけでなく、慢性閉塞性肺疾患のような呼吸不全を来す疾患や腎疾患なども含まれます。この疾患グループの特徴は、「増悪寛解を繰り返しながら、そのたびに身体機能が低下する」というものです。たとえば、心不全患者さんの多くが増悪での入院を経験します。質問者の患者さんも入退院を繰り返していますよね。そのほか、肺炎など感染症の併発といった、さまざまなきっかけで入院が必要となります。治療介入でいったんは改善するのですが、入院前と比べると廃用が進み、臓器機能がより低下するケースが多くなります。そういった経過を繰り返し、やがてはお看取りする、という経過です。時間軸としては数年単位というケースが多いでしょう。ポイントは、患者さんとご家族が「入院のたびに身体機能が低下している事実に気付いていない」ことです。治療後に回復したため、以前からの低下を実感できないケースが多く、本人の治療体験としても「悪くなってもまた治療できる」と感じやすい疾患群なのです。だからこそ、「増悪寛解を繰り返しながら、そのたびに身体機能が低下する」という「病みの軌跡」を共有することが有効です。悪化防止の重要性を理解することで、食事や薬物療法のアドヒアランスも向上するでしょう。今回のTips今回のTips臓器障害の「病みの軌跡」は、増悪寛解を繰り返しながら身体機能が低下する。1)Murray SA, et al. BMJ. 2005;330:1007-1011.

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第93回 公平さ欠いた恣意的な数字が見え隠れする「医療経済実態調査」

2022年度の診療報酬改定率は、本体がわずかながらプラスとなったものの、医療界はモヤモヤが解消していないようだ。診療報酬改定の基礎資料となる医療経済実態調査(実調)に対し、医療機関の経営実態を反映していないのではと疑問視する声が上がっている。調査対象数の少なさや偏りにより、全体が把握できていないというのだ。とくに個人診療所の多い歯科は、医科と比べて不利な評価を得やすく、なおさら不信感が強い。実調は、中央社会保険医療協議会(中医協)が2年ごとに実施している。抽出された約8,000の医療機関から、自費診療分を含む収入や給与、医材費、設備費など医業経費に関わる経営報告書を提出させるものだ。集計結果は各種医療機関の損益の代表値となり、診療報酬改定率の根拠として使われている。自費率の調査施設数が極端に少ない個人立の診療所では、開設者の報酬に相当する部分は「給与費」ではなく「医業損益差額」に含まれる。これには、借り入れ返済金、建物や設備更新のための引当準備金などのほか、退職金のない自身の引退後の生活費用も含まれる。開業医自身が自由に使える収入ではないが、診療報酬改定率は損益差額に左右される。歯科診療所は、自費収入が損益差額に含まれるため、改定率が抑えられがちだ。東京歯科保険医協会は、1月14日のメディア懇談会でこの問題に言及。歯科は医科に比べて自費診療が多いと言われるが、2020年度の歯科と医科の自費診療の構成比率を比較すると、歯科は13.5%。医科は、内科が7%、精神科が5.9%、外科が2.3%などと歯科より低いが、小児科は23.2%と高くなっている。一般的に自費というと、予防接種や健康診断などが含まれると思われるが、実調の調査項目の中で、予防接種や健康診断などは「その他の医業収益」に含まれており、自費診療などの金額である外来診療収益の「その他の診療収益」には含まれていない。小児科の自費率が高いことに疑問を持った同会が厚生労働省に確認したところ、「予防接種」「健康診断」「文書料」は含まれていないため、その他の自費診療にどのようなものがあるかは不明だとの回答を得たという。7施設の調査では実態はわからない対象施設について言えば、歯科は158施設、内科は111施設だったが、小児科はわずか14施設。精神科や外科にいたっては、いずれも7施設にすぎなかった。「7施設程度で実態調査とはいかがなものか。対象施設数が少なく特殊な医療機関に当たれば、それだけで自費率は大きく変動する。そうなると、どのようにして施設を選んだのか疑問が生じる。こういった数字を基に診療報酬の改定が行われるのはおかしい」と同会は疑問を呈する。次をにらんだ財源ありきの方針と恣意的な調査の布石2年後の診療報酬改定に向け、早くも財源ありきの方針や恣意的な調査の布石が打たれているのではないかと勘繰ってしまう。財務省の財政制度等審議会では、診療報酬を下げても高齢化社会で受診者が増えているので、医療機関の報酬自体は増えているとの論法を展開。また、2024年度改定では医療法人の全調査結果を使うという。前述の通り、歯科の場合は個人立診療所が多く法人調査の対象から外れるため、歯科経営の実態を掴みにくくなるだろう。これに対し、同会は「歯科では1日に診られる患者数は限られている。医療機関の報酬を増やすために、勤務する歯科医師の数を増やしたり診療時間を延ばしたりすればいいという話ではない。治療費である診療報酬が下げられると、経営的にはマイナスになる。財務省の論理は乱暴だ」と反論する。また、医療法人の全調査については、「歯科でも法人が増えており、都内でも二極化している。収入が高い医療法人が調査対象となると、歯科は経営的に問題がないと分析されてしまう。歯科については個人立診療所を主体に調査すべきでは」との見解だ。医療の実態を把握するというのであれば、しっかりしたデータに基づいて説明をしてもらいたい。コロナ・パンデミック以降、さんざんに引っ掻き回された医療機関の多くはシビアな経営を余儀なくされており、大きな不満を抱えている状況だ。公平さを欠く恣意的なデータを示されて、誰が納得できるというのだろう。

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日本における統合失調症急性期入院患者に対する抗精神病薬治療の有効性

 順天堂大学の八田 耕太郎氏らは、統合失調症患者に対する長時間作用型持続性注射剤(LAI)と抗精神病薬の多剤併用(クロザピンを含まない)の実臨床における有効性の比較を行った。Asian Journal of Psychiatry誌オンライン版2021年11月6日号の報告。 日本の精神科救急病院12施設において、19ヵ月間のプロスペクティブ研究を実施した。対象は、DSM-Vで定義される統合失調症およびその他の精神病性障害の急性発症または悪化のために、2019年9月~2020年3月に精神科救急病棟に新たに入院した患者。すべての患者を退院後1年間または2021年3月31日までフォローアップを行った。主要アウトカムは、治療失敗リスク(精神科再入院、治療薬使用の中止、死亡、1年間の入院継続)とした。分析は、Cox比例ハザード多変量回帰を用いた。 主な結果は以下のとおり。・期間中に登録された患者数は1,011例であった(女性の割合:53.7%、平均年齢:47.5±14.8歳)。・フォローアップ期間中に治療が失敗した患者は588例(58.2%)、それぞれの内訳は以下のとおりであった。 ●再入院:513例 ●治療薬使用の中止:17例 ●死亡:11例 ●1年間の入院継続:47例・LAIへの切り替え(ハザード比[HR]:0.810、95%信頼区間[CI]:0.659~0.996)および抗精神病薬の多剤併用(HR:0.829、95%CI:0.695~0.990)と治療失敗率の低さとの間に有意な関連が認められた。 著者らは「急性期統合失調症の治療では、初期に治療反応が認められない患者に対するLAIへの切り替えや抗精神病薬の多剤併用は、治療失敗リスクの低減に有益である可能性が示唆された。治療失敗リスクは、LAI治療患者では非LAI治療患者と比較し約19%低く、多剤併用患者では単剤患者と比較し約17%低かった」としている。

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治療抵抗性片頭痛患者に対するフレマネズマブの有効性~年齢や性別の影響

 片頭痛の有病率は、年齢や性別により異なり、成人初期および中年の女性でとくに高いが、男性やすべての年齢の成人においても片頭痛の問題を抱えている人は少なくない。そのため、性別や年齢を超えた片頭痛予防薬の有用性を理解することは重要である。既存の片頭痛予防の2~4つのクラスを用いた治療が奏効しなかった反復性および慢性片頭痛成人患者を対象としたランダム化プラセボ対照二重盲検比較試験である第IIIb相FOCUS試験において、ヒト化モノクローナル抗体フレマネズマブの安全性、有効性は明らかとなった。オランダ・エラスムス大学ロッテルダムのAntoinette MaassenVanDenBrink氏らは、FOCUS試験参加者を年齢および性別でサブグループ化し、フレマネズマブの有効性を評価した。The Journal of Headache and Pain誌2021年12月18日号の報告。 FOCUS試験では、既存の片頭痛予防の2~4つのクラスを用いた治療が奏効しなかった慢性片頭痛または反復性片頭痛患者をフレマネズマブ四半期ごと投与群、フレマネズマブ月1回投与群、プラセボ群に1:1:1でランダムに割り付け、12週間の二重盲検治療を実施した。本事後分析では、年齢(18~45歳および45歳超)および性別のサブグループにおけるFOCUS試験の主要エンドポイントである1ヵ月当たりの片頭痛日数およびその他の副次的エンドポイント、探索的有効性のアウトカムのベースラインからの変化について評価を行った。 主な結果は以下のとおり。・対象は、修正されたITT集団(1回以上の治験薬投与および主要評価項目の有効性評価をベースライン後10日以上で行った患者)837例(18~45歳:373例、45歳超:464例、男性:138例、女性:699例)。・12週間後の1ヵ月当たりの片頭痛日数は、年齢、性別に関係なく一貫した減少が認められた(各々対プラセボ群:p<0.001)。【年齢:18~45歳】 ●フレマネズマブ四半期ごと投与群:-4.1日●フレマネズマブ月1回投与群:-4.7日●プラセボ群:-0.9日【年齢:45歳超】 ●フレマネズマブ四半期ごと投与群:-3.6日●フレマネズマブ月1回投与群:-3.7日●プラセボ群:-0.3日【性別:男性】 ●フレマネズマブ四半期ごと投与群:-4.1日●フレマネズマブ月1回投与群:-4.6日●プラセボ群:-0.3日【性別:女性】 ●フレマネズマブ四半期ごと投与群:-3.6日●フレマネズマブ月1回投与群:-3.9日●プラセボ群:-0.6日・各サブグループにおいて、フレマネズマブの使用により、1ヵ月当たりの中等度以上の片頭痛日数の減少、1ヵ月当たり急性片頭痛薬の使用日数の減少、片頭痛障害評価(MIDAS)スコアの改善が認められた。 著者らは「年齢や性別とは無関係に、治療抵抗性片頭痛に対するフレマネズマブ治療の有効性が確認された」としている。

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ロナプリーブ、コロナ無症候者への投与で症状悪化を抑制/JAMA

 初期無症候性の新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染が確認された家庭内濃厚接触者に対し、皮下投与によるカシリビマブ+イムデビマブ(商品名:ロナプリーブ)の抗体カクテル療法はプラセボと比較し、28日間の症候性新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の発症リスクを有意に低下する。米国・Regeneron PharmaceuticalsのMeagan P. O'Brien氏らが、314例を対象に行った第III相無作為化試験の結果を報告した。JAMA誌オンライン版2022年1月14日号掲載の報告。ベースラインで血清反応陰性者の発症率を比較 研究グループは2020年7月13日~2021年1月28日にかけて、米国、ルーマニア、モルドバ共和国の112ヵ所の医療機関を通じて、SARS-CoV-2感染者の家庭内濃厚接触者314例を対象に、プラセボ対照無作為化二重盲検試験を行った。被験者は無症状の12歳以上で、定量的逆転写PCR(RT-qPCR)検査結果の陽性者(SARS-CoV-2感染者の検査実施から96時間以内に特定)。追跡は2021年3月11日まで行われた。 被験者は無作為に2群に割り付けられ、一方にはカシリビマブ+イムデビマブ(1,200mg、各抗体薬600mgずつ)を、もう一方にはプラセボを、それぞれ1回皮下投与した。 主要エンドポイントは、ベースライン血清反応陰性者における、28日間の症候性COVID-19を呈した被験者の割合だった。主な有効性の副次エンドポイントは、症候性SARS-CoV-2感染の期間(週)およびウイルス量高値(4 log10コピー/mL超)を示した期間(週)だった。有症状期間を発症者1人当たり約5.6日短縮 被験者314例(平均年齢41.0歳、女性は51.6%)のうち、310例(99.7%)が有効性に関する評価を完了した。ベースラインで血清反応陰性かつ無症状だったのは204例だった。 カシリビマブ+イムデビマブ1,200mgの皮下投与は、症候性疾患への進行を有意に予防した。症候性COVID-19を呈したのはカシリビマブ+イムデビマブ群は29/100例(29.0%)、プラセボ群44/104例(42.3%)で、オッズ比は0.54(95%信頼区間[CI]:0.30~0.97、p=0.04)、絶対リスク群間差は-13.3%(95%CI:-26.3~-0.3)だった。 カシリビマブ+イムデビマブは、症候性期間(週)を有意に短縮(895.7週/1,000人vs.プラセボ群1,637.4週/1,000人、p=0.03)。これは、症状を呈した被験者1人当たり約5.6日の短縮に相当した。 また、カシリビマブ+イムデビマブは、ウイルス量高値の期間(週)も有意に短縮した(489.8週/1,000人vs.プラセボ群811.9週/1,000人、p=0.001)。 なお、1つ以上の治療関連有害事象の発生率は、カシリビマブ+イムデビマブ群33.5% vs.プラセボ群48.1%であり、そのうちCOVID-19に関連したものは、それぞれ25.8% vs.39.7%、関連していないものは11.0% vs.16.0%だった。

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2型DM発症リスク、肥満でなくても腹囲が影響/BMJ

 体格指数(BMI)が高値ほど2型糖尿病を発症するリスクは高く、肥満であるか否かにかかわらず、腹囲の大きさと2型糖尿病リスクには強い正の線形の関連性が認められることが明らかにされた。イラン・Semnan University of Medical SciencesのAhmad Jayedi氏らが、200件超の試験を対象に行ったメタ解析の結果を報告した。BMJ誌2022年1月18日号掲載の報告。2型糖尿病患者230万例を対象にメタ解析 研究グループは、BMI、腹囲、肥満およびこれらの測定比の違いと2型糖尿病リスクとの関連を統合的レビューで明らかにするため、PubMed、Scopus、Web of Scienceを基に、2021年5月1日までに収載された試験を対象に、システマティックレビューと用量反応性メタ解析を行った。対象とした試験は、一般成人集団を対象に行われ、肥満・体脂肪含有量と2型糖尿病リスクに関して検討したコホート試験。 ランダム効果用量反応性メタ解析で関連の度合いを予測し、1段階重み付け混合効果メタ解析により、曲線関係モデルを構築し評価した。 検索により、216件のコホート試験(被験者総数2,600万人)に含まれる2型糖尿病患者230万例を特定した。中心性肥満の指数、肥満と独立したリスク因子 BMIの5単位増加による、2型糖尿病発症に関する相対リスクは1.72(95%信頼区間[CI]:1.65~1.81、182試験)だった。腹囲10cm増加による同相対リスクは1.61(1.52~1.70、78試験)、また、腹囲/臀囲比0.1単位増加による同相対リスクは1.63(1.50~1.78、34試験)、腹囲/身長比0.1単位増加による同相対リスクは1.73(1.51~1.98、25試験)だった。内臓肥満指数の1単位増加では、同相対リスクは1.42(1.27~1.58、9試験)、体脂肪率10%増加では、同相対リスクは2.05(1.41~2.98、6試験)、ボディシェイプ指数の0.005単位増加では、同相対リスクは1.09(1.05~1.13、5試験)、BAI(body adiposity index、臀囲を用いた肥満指数)の10%増加による同相対リスクは2.55(1.59~4.10、4試験)、臀囲10cm増加による同相対リスクは1.11(0.98~1.27、14試験)だった。 BMIと2型糖尿病リスクには、強い正の線形の相関が認められた。線形または単調な関連性は、特定のカットオフ値で顕著な逸脱を認めることなく、全地域・人種/民族を通じて認められた。 また、全般的な肥満とは独立して、中心性肥満の指数と2型糖尿病リスクには、正の線形または単調な関連性が認められた。総脂肪量・内臓脂肪量と同リスクについても正の線形または単調な関連性が認められたが、試験数は少なかった。

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KRAS G12C変異の非小細胞肺がんにソトラシブ国内承認/アムジェン

 アムジェンは、2022年1月20日、KRASG12C阻害薬ソトラシブ(製品名:ルマケラス)について、がん化学療法後に増悪したKRASG12C変異陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺がんの効能・効果で、日本における製造販売承認を取得した。 日本における製造販売承認は国際共同第I/II相多施設共同単群非盲検試験(CodeBreaK100試験)の結果に基づいたもの。同試験の第II相パートでは、非小細胞肺がん(NSCLC)患者126例(日本人11例を含む)を対象に、ソトラシブ960mgが1日1回経口投与され、主要評価項目である奏効率は、有効性評価対象123例で37.4%であった。副作用は安全性評価対象190例(日本人13例を含む)中128例(67.4%)に認められ、主な副作用(発現率5%以上)は、下痢(27.9%)、悪心、ALT増加、AST増加(各16.3%)、疲労(11.1%)、血中アルカリホスファターゼ増加(7.9%)、嘔吐(7.4%)および腹痛(5.3%)である。 ソトラシブは2021年5月、KRASG12C阻害薬として世界で初めて米国で迅速承認を取得し、EU、英国、カナダ、スイスおよびアラブ首長国連邦でも承認されている。日本では2021年3月11日付で厚生労働省より希少疾病用医薬品の指定を受けていた。 KRASG12C変異は、NSCLCに高い頻度で認められるがんドライバー遺伝子変異の1つであり、米国では肺腺がんの約13%、日本では非扁平上皮がんの4.5%に認められると報告されている。KRASG12C変異の2次治療選択肢は限られており、高いアンメット・メディカル・ニーズが存在する。既存の治療法による予後は不良であり、KRASG12C変異を有するNSCLC患者の2次治療後の無増悪生存期間の中央値は約4ヵ月であると報告されている。販売名:ルマケラス錠120mg一般名:ソトラシブ効果又は効能:がん化学療法後に増悪したKRASG12C変異陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん用法及び用量:通常、成人にはソトラシブとして960mgを1日1回経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する

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CAR-T ide-cel、多発性骨髄腫に国内承認/BMS

 ブリストル・マイヤーズ スクイブは、2022年1月20日、B細胞成熟抗原(BCMA)を標的とするCAR-T細胞療法イデカブタゲン ビクルユーセル(製品名:アベクマ)について、再発又は難治性の多発性骨髄腫を対象とした再生医療等製品製造販売承認を取得した。再発又は難治性の多発性骨髄腫を対象にしたCAR-T療法の承認取得は今回が国内初。 今回の承認取得は、国際共同第II相試験(実施地域:日本・米国・欧州・カナダ)、ならびに海外第I相試験(実施地域:米国)で得られた有効性および安全性の結果に基づいている。 国際共同第II相試験(外国人コホート128例、日本人コホート9例)では、主要評価項目とした全奏効割合は、外国人コホート128例において73.4%であり、統計的に有意であった。日本人コホート9例の全奏効割合は88.9%であった。  海外第I相試験において、全奏効割合は全体(62例)で74.2%、承認用量範囲である目標用量450×106個(38例)では84.2%であった。 国際共同第II相試験において、イデカブタゲン ビクルユーセルが投与された137例(日本人患者9例を含む)中134例(97.8%)に副作用が認められた。主な副作用は、サイトカイン放出症候群(84.7%)、好中球減少症(59.9%)、血小板減少症(45.3%)、貧血(38.0%)、白血球減少症(27.7%)、疲労(16.1%)、リンパ球減少症(14.6%)、低γグロブリン血症(11.7%)、発熱(10.2%)等であった。 また海外第I相試験においては、62例中55例(88.7%)に副作用が認められた。主な副作用は、サイトカイン放出症候群(75.8%)、好中球減少症(41.9%)、血小板減少症(40.3%)、貧血(38.7%)、疲労(32.3%)、白血球減少症(27.4%)、リンパ球減少症(16.1%)、悪心(14.5%)、頭痛(14.5%)、低リン酸血症(12.9%)、上気道感染(11.3%)等であった。

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痙攣を伴わないてんかん重積―NCSE【知って得する!?医療略語】第4回

第4回 痙攣を伴わないてんかん重積―NCSEてんかん重積状態を表す表現の1つに、「NCSE」があると聞きました。どういう病態ですか、教えて下さい!NCSEは「nonconvulsive status epilepticus」から生まれた略語で「非痙攣性てんかん重積状態」を意味します。てんかん重積というと、全身痙攣が持続するイメージが強いですが、意識障害のみのてんかん重積がNCSEです。原因不明の意識障害では、NCSEの可能性をしっかり鑑別しましょうね。≪医療略語アプリ「ポケットブレイン」より≫【略語】NCSE【日本語】非痙攣性てんかん重積状態【英字】nonconvulsive status epilepticus【分野】脳神経【診療科】脳神経外科【関連】痙攣性てんかん重積状態 (CSE:convulsive status epilepticus)、全身痙攣重積状態(GCSE:generalized convulsive status epilepticus)実際のアプリの検索画面はこちら※「ポケットブレイン」は医療略語を読み解くためのもので、略語の使用を促すものではありません。意識障害の鑑別にAIUEOTIPSが有名となり、意識障害の鑑別に「E:epilepsy(てんかん)を想定することは浸透していると思います。しかし、あえて、いま一度、NCSEを取り上げるのは、NCSEが高齢者に発症しやすいため、神経内科や救急に携わる医師だけではなく、高齢者診療に関わる医療者の皆さまと、「“意識障害のみ”のてんかん重積発作」が存在することを改めて共有したかったからです。てんかん重積状態と言えば、痙攣発作を伴う意識障害のイメージが先行しがちです。しかし、全身性の痙攣を伴なわず、意識障害しか症状を呈さない非痙攣性てんかん重積状態(NCSE:nonconvulsive epilepticus)が存在します。このため「てんかん=痙攣する」という疾患イメージに縛られてしまうと、NCSEを見落とし、診断と治療が遅れてしまう可能性があります。2008年に吉村 元氏らは94例のてんかん重積患者(15歳以上)の検討を行いました。その報告によれば、てんかん重積の25.5%がNCSEでした。さらに、入院後に痙攣性てんかん重積状態(CSE:convulsive status epileptics)からNCSEに移行した8例を加えると34%がNCSEでした。この知見を踏まえると、痙攣性てんかん重積の治療において留意したいのは「痙攣の停止=てんかん発作の終了」ではないことです。痙攣は止まっても脳の中ではてんかん波が持続し、NCSEに移行している可能性があります。上述の報告によれば、原因不明の意識障害の患者さんには、繰り返し脳波検査を施行しており、積極的かつ繰り返しの脳波検査の必要性がうかがえます。さらに、同報告では予後に関する調査もされており、多変量解析の結果、NCSEが独立した予後不良因子であることも指摘されています。2016年には貴島 晴彦氏らがNCSEの病態と治療について総説をまとめており、その中でNCSEの症状の多彩性と原因疾患の幅広さが述べられています。また、同論文ではNCSE診断におけるビデオ脳波持続モニタリングの有効性に触れています。成人発症てんかん重積は60歳以上に多く、高齢者人口の増加に伴い、その発症頻度の増加が予測されています。高齢者の原因不明の意識障害では、NCSEをしっかり鑑別に想起し、早期診断・治療の観点から、積極的な脳波検査と原因疾患の検索が必要と考えます。1)吉村 元ほか.臨床神経. 2008;48:242-248.2)貴島 晴彦ほか. 脳神経外科ジャーナル. 2016;25:229-235.3)松島 一士ほか. 日本神経救急学会雑誌. 2015;27:53-55.

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「総合診療かかりつけ医」が患者を救う

地域医療が重視される時代 社会に求められる「本当のかかりつけ医」とは具合が悪くなったり、けがをしたりしたときに、医療の「入り口」となるのが「かかりつけ医」です。日本医師会の定義では、「身近で頼りになる地域医療、保健、福祉を担う総合的な能力を有する医師」とされています。かかりつけ医が診断をつけたうえで、重症な患者をより専門的な治療を受けるために規模の大きい病院へ紹介することで、効率よく質の高い医療が実現できます。しかし、実際にはその医療の入口がうまく機能していません。日本の医療は臓器ごと、診療科別といった「縦割り」体制に発達しているため、自分の専門しか診ないという医師が多くいます。そのため患者は、症状や部位によって何軒もの診療科を回らなければいけないことになり、なんでも相談でき、自分の身体の状態を把握しているかかりつけ医をもつことができていないのが実情です。本書では「なんでも診る」「いつでも診る」を実践する総合診療かかりつけ医の著者が、縦割りの体制など現在の日本の医療が抱える問題点を踏まえ、本当に必要とされる「かかりつけ医」とは何かを語ります。画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。※ご使用のブラウザによりPDFが読み込めない場合がございます。PDFはAdobe Readerでの閲覧をお願いいたします。画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。※ご使用のブラウザによりPDFが読み込めない場合がございます。PDFはAdobe Readerでの閲覧をお願いいたします。    「総合診療かかりつけ医」が患者を救う定価990円(税込)判型新書判頁数166頁発行2021年12月著者菊池 大和

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第93回 医学部進学実績トップ校の生徒が起こした事件で考えた教育現場の時代錯誤

潮目が変わり始めた政府のコロナ対策こんにちは。医療ジャーナリストの萬田 桃です。医師や医療機関に起こった、あるいは医師や医療機関が起こした事件や、医療現場のフシギな出来事などについて、あれやこれや書いていきたいと思います。新型コロナウイルスの国内感染者は1月23日、5万30人が確認され、2日連続で5万人を超えました。ということで、さすがにこの週末は山にも行かず、劇場にも行かず、飲み屋にも行かず、溜まった新聞や週刊誌を読んで時間を潰しました。当然ながら感染者激増に関する報道が多いのですが、先週あたりから、コロナ対策の潮目が変わり始めたな、と感じるニュースが目立ってきました。一つは、「基本的対処方針分科会」の尾身 茂会長が、1月19日、会合のあと報道陣の取材に対して語った以下の言葉です。「今までやってきた対策を踏襲するのではなく、オミクロン株の特徴にあったメリハリのついた効果的な対策が重要だ。これまでの『人流抑制』ではなく『人数制限』というのがキーワードになると考えている」。また、尾身会長も含む、コロナ対策を政府に助言する専門家の有志は21日、感染が急拡大した場合、若年層で重症化リスクが低い人は「必ずしも医療機関を受診せず、自宅療養を可能とすることもあり得る」とする提言を公表しました。オミクロン株で医療が破綻する前に議論しておくべきこと、という視点からの提言とのことですが、随分踏み込んだ内容の提言です。その一方で、政府側は効果が今ひとつ不明と言われるまん延防止等重点措置の適用や、ワクチンの3回目接種の施策を進めています。全体としては、国が“ちゃんとやってる感”を出す一方で、専門家等に敢えて方向転換の発言をしてもらうことで、新型コロナウイルスに対するイメージを徐々に「ほとんどの人が自宅療養だけで治る病気」へと変えていこう、という意図が見え隠れします。こうした動きを、「コロナ対策、専門家迷走 蔓延防止で知事間温度差」(1月23日付・産経新聞)と皮肉る記事もありますが、私自身は政府も含め確信犯的に“迷走”を演じているような気がします。実際、1月24日、後藤 茂之厚生労働大臣は医療の逼迫する地域では、重症化リスクの低い若者らは自らの検査だけで医師の診断なく新型コロナウイルス感染者と判断し、自宅療養に移るのを認める、と表明。同日には厚生労働省から事務連絡が発出されています。これは21日に専門家有志が提言したこと、そのままです。過度に恐れるのではなく、国民の多くの認識が季節性インフルエンザに対するのと同程度に変わっていけば、いわゆる「ウィズ・コロナ」の世界も現実味を帯びて来るでしょう。果たして国の目論見、世論形成はうまくいくのか…。今後の動きに注目したいと思います。さて今回は、大学入学共通テスト会場の東京大学前で受験生ら3人が刺された事件について書いてみたいと思います。医学部志望の高校2年生による犯行事件は1月15日の午前8時半ころ、大学入学共通テスト1日目の試験開始直前に起きました。各紙の報道によると、東京大学農学部正門の前で、受験のために会場を訪れていた千葉県内の高校生2人を含む3人が刃物で刺され、名古屋市内の高校に通う少年(17)が殺人未遂容疑で現行犯逮捕されました。刺された3人のうち東京都豊島区の男性(72)は重傷で、1月22日現在も病院のICUに入院中、とのことです。逮捕された少年は、事件前夜に名古屋市から高速バスで東京に向かい、当日朝、東京駅近くの丸ノ内線大手町駅から後楽園駅に向かい、南北線に乗り換えて東大前駅に向かいました。この途中、車内に可燃性の液体を染み込ませたリュックを置き去りにし、東大前駅の構内では着火剤に火をつけてボヤも起こしていました。少年は逮捕直後、「医師になるために東大を目指して勉強していたが、1年前から成績が落ち自信をなくしていた」「事件を起こして自分も死のうと思った」などと供述、その後、黙秘に転じたそうです。ちなみに、東京駅から東大へは、丸ノ内線に乗り本郷三丁目駅で降りればすぐです。少年が目指していた医学部もこの駅が最寄りです。わざわざ南北線に乗り換え、農学部近くの東大前駅に向かったのは、東大についての「勉強」が少々足りなかったのかもしれません。医学部受験の超名門、名古屋・東海高校2年生この事件、教育関係者などに大きな波紋を投げかけています。コロナ禍による教育現場の環境変化が生徒の孤立を深めた、との指摘もあります。また、医学部受験を目指す受験生や、その親の間では、別の衝撃を持って受け止められました。少年が通っていた高校が医学部受験で全国に名を轟かせる名古屋市の名門私立、東海高校だったからです。地元紙、中日新聞の1月20日付の報道では、「少年は高校の中でも成績上位の理系のクラスに所属。部活に所属していた時期もあったが数ヵ月で辞め、周囲に東大の医学部に進級できる『理科三類』への進学を目指すと公言」、「昨年9月、クラス担任との面談で『成績が思うように上がらない。文系に転向した方がいいかもしれない』などと悩みを打ち明けていた」とのことです。担任は具体的な目標を示して励ましたものの、「2ヵ月後の昨年11月のテストでは、少年の成績は振るわず、苦手科目の点数も上がっていなかった」そうです。ただ、3年に進級する今春以降も文系には変更せず、理系クラスの予定だったとのことです。「孤立感にさいなまれて自分しか見えていない状況のなかで引き起こされた」東海高校は1月16日、報道各社に向けて「本校在籍生徒が事件に関わり、受験生の皆さん、保護者・学校関係者の皆さんにご心配をおかけしたことについて、学校としてお詫びします」との内容と、今後の再発防止策について以下のようなコメントを出しています。本校は、もとより勉学だけが高校生活のすべてではないというメッセージを、授業の場のみならず、さまざまな自主活動を通じて、発信してきました。また本校の長い歴史のなかで、そのような校風を培ってきました。ところが、昨今のコロナ禍のなかで、学校行事の大部分が中止となったこともあり、学校からメッセージが届かず、正反対の受け止めをしている生徒がいることがわかりました。これは私たち教職員にとっても反省すべき点です。「密」をつくるなという社会風潮のなかで、個々の生徒が分断され、そのなかで孤立感を深めている生徒が存在しているのかもしれません。今回の事件も、事件に関わった本校生徒の身勝手な行動は、孤立感にさいなまれて自分しか見えていない状況のなかで引き起こされたものと思われます。今後の私たちの課題は、そのような生徒にどのように手を差し伸べていくかということであり、それが根本的な再発防止策であると考えます。医師になりたいのではなくただ理三に行きたかった?少年は「真面目でおとなしい」「勉強熱心で努力家」と周囲から見られていた一方で、東大理科三類に合格することに執着し過ぎていた、との報道もあります。週刊文春1月27日号は、この事件をトップ記事で取り上げています。それによると、「中学時代は常にトップクラスの成績だったA(少年)は20年4月、東海高に進学。同校は1学年約440人のうち、約400人が東海中の内部進学生で“内来生”と呼ばれる」とのことです。そして、少年が中学校からではなく、高校から東海高校に入学、内来生との激しい競争に勝って、2年時には成績優秀者が属する「A群理系」クラスに入ったと報じています。しかし、その後成績が低迷、9月には「東大理三は無理」との判断が下されたとのことです。同誌は記事の最後に「彼は医師になりたかったわけではなく、東大理三という“勲章”が欲しかったのでしょう」という同級生の母親の言葉を紹介、「A(少年)が目指していたのは。果たして命を救う医師という職業だったのか」と疑問を呈しています。昨年度は93人が国公立大学医学部に合格少年が通う東海高校は、東海地方では最難関の私立高校です。同校は1888年(明治21年)創立という長い歴史のある中高一貫の男子校で、テレビタレントで予備校講師の林 修氏、先ごろ亡くなった海部 俊樹元首相の出身校でもあります。同校が東海地区だけではなく、全国的にも脚光を浴びるようになったのは、ここ10数年のことです。なんと、2008年から昨年まで、国公立大学医学部への進学実績が全国トップなのです。ちなみに昨年度は93人が合格しています。なお、東大理三の合格者は昨年度1人、過去5年間で6人でした。かつての進学校は、医学部だけにこだわらず、東大や京大、旧帝大、早慶の進学者数を競うのがトレンドでした。そんな中、東海高校は、日本経済の低迷や受験生(中高生)とその父兄の安定志向を背景とした医学部人気を先取り、医学部進学、中でも「偏差値は高いが学費は安い」国公立大医学部への進学に注力し、実績を積み重ねて来ました。ただ、こうした進学校における医学部偏重とも見える進路指導には、一部には批判があるのも事実です。優秀な人材を、偏差値が高いからといって医学部ばかりに行かせていては、他の学問分野や、他産業の進歩や発展を阻害してしまうのではないか、というわけです。四半世紀後、医師の仕事内容は大きく変わっている私も個人的には、「日本全国で人口減少が続くのに、これ以上医師を増やしてどうするのか」、という思いがあります。1月12日、厚生労働省の「医療従事者の需給に関する検討会」と、下部組織の「医師需給分科会」の合同会合が開催され、「第5次中間とりまとめ」が概ね了承されました。そこでは、「人口減少に伴い将来的には医師需要が減少局面になるため、今後の医師の増加のペースについては見直しが必要である」と指摘されています。今の高校生が医学部に行って、一人前の医師になる四半世紀後は、医師の仕事内容は大きく変わっている可能性があります。脳神経外科や心臓外科といった専門医の数は極力絞られ、総合診療医や家庭医といったジェネラリストが医師の主な職務となっているかもしれません。今回の事件で気になったのは、進学高校の教育現場における時代錯誤です。何十年も前の私の高校時代にあった医学部偏重、東大至上主義の構図が、今の高校教育にも厳然として残っていることはある意味驚きです。私立の進学校としては、「親のニーズ」に応えることは経営上重要だとは思いますが、少子高齢化が今以上に進んだ時の日本の状況を勘案した進路指導や、コロナ禍で「孤立感にさいなまれる」生徒の心のケアについても、ぜひ本腰を入れてもらいたいと思います。

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軽度アルツハイマー病患者の安全運転に対するメマンチンの影響

 米国・フロリダアトランティック大学のPeter J. Holland氏らは、軽度アルツハイマー病患者の安全運転能力の維持に対するメマンチンの潜在的な有効性を評価するために、プラセボ対照二重盲検比較試験の実現可能性を判断する目的でパイロット研究を実施した。Canadian Geriatrics Journal誌2021年12月1日号の報告。 スクリーニング基準を満たした60歳以上の軽度アルツハイマー病患者43例を対象に、メマンチン群22例と対照群21例にランダム化を行った。運転能力の評価には、標準化された路上運転免許試験を用いた。アウトカムは、6、12ヵ月時点の運転能力と12ヵ月間の路上試験完了率とした。 主な結果は以下のとおり。・12ヵ月間の路上試験完了率は、メマンチン群59%(13例)、対照群52%(11例)であった(p=0.66)。・安全運転能力が維持されていたのは、メマンチン群では13例すべて、対照群では8例(73%)であった(p=0.040、OR=4.45)。 著者らは「本結果は、軽度アルツハイマー病患者の運転能力維持に対するメマンチンの有効性を評価するうえで、厳格なマルチサイト臨床試験を設計するためのフレームワークとなりうる」としている。

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コロナ流行開始以降、小児の感染症による入院・死亡が減少/BMJ

 イングランドの小児では、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的大流行の発生以降、重度の侵襲性感染症や呼吸器感染症、ワクチンで予防可能な感染症による入院が大幅かつ持続的に減少し、このうち敗血症や髄膜炎、細気管支炎、肺炎、ウイルス性喘鳴、上気道感染症による入院から60日以内の死亡数も減少したことが、英国・オックスフォード大学のSeilesh Kadambari氏らの調査で明らかとなった。研究の成果は、BMJ誌2022年1月12日号で報告された。イングランドの0~14歳の観察研究 本研究は、イングランドにおける小児の呼吸器感染症、重度の侵襲性感染症、ワクチンで予防可能な感染症による、入院および死亡に及ぼしたCOVID-19の世界的大流行の影響の評価を目的とする住民ベースの観察研究である(Office for Health Improvement and Disparitiesなどの助成を受けた)。 研究グループは、イングランドのすべての国民保健サービス(NHS)病院から、2017年3月1日~2021年6月30日の期間における0~14歳の小児の入院データを入手し、全国的な死亡データと関連付けた。19種の感染症(重度の侵襲性感染症6種、呼吸器感染症8種、ワクチンで予防可能な感染症5種)について、COVID-19の世界的大流行の発生前後で、入院率および死亡転帰を比較した。 個々の感染症について、毎月の入院数、2020年3月1日の前後での入院数の変化率、同日前後での60日死亡率の補正後オッズ比(OR)を算出した。インフルエンザ入院が94%、麻疹入院が90%減少 2020年3月1日以降の12ヵ月間に、それ以前の36ヵ月間と比較して、腎盂腎炎を除く18種の感染症で、入院数の顕著な減少が認められた。 呼吸器感染症では、インフルエンザによる入院の減少率が最も高く、平均年間入院数は2017年3月1日~2020年2月29日に5,379件であったのに対し、2020年3月1日~2021年2月28日には304件となり、減少率は94%(95%信頼区間[CI]:89~97)に達した。次いで同期間の入院は、細気管支炎が5万1,655件から9,423件へと82%(79~84)減少し、続いてクループ(減少率78%、95%CI:65~87)、中耳炎(74%、71~77)の順であった。 重度の侵襲性感染症による入院の減少率は、髄膜炎(減少率50%、95%CI:47~52)が最も高く、次いで蜂巣炎(43%、39~48)、感染性関節炎(35%、28~41)、敗血症(33%、30~36)の順であった。また、ワクチンで予防可能な感染症による入院の減少率は、流行性耳下腺炎(ムンプス)の53%(95%CI:32~68)から麻疹の90%(80~95)までの幅がみられた。 このようなCOVID-19以外の感染症による入院の減少は、すべての人口統計学的サブグループと基礎疾患を有する小児で確認された。 6つの感染性疾患(敗血症、髄膜炎、細気管支炎、肺炎、ウイルス性喘鳴、上気道感染症)では、入院数の減少に伴い60日死亡数も減少した。ただし、肺炎については、60日の絶対死亡数は減少したが(2017~20年の3年の年間平均193件、2020年3月1日以降156件)、入院から60日以内の死亡率は2020年3月1日以降に増加していた(年齢・性別で補正したOR:1.73、95%CI:1.42~2.11、p<0.001)。 著者は、「COVID-19の世界的大流行期に、SARS-CoV-2感染を抑制するために多様な行動変容(非薬物的介入)や社会的施策(学校閉鎖、都市封鎖、旅行制限)が採択され、これが小児の一般的な感染症や重篤な感染症をも低下させたと考えられる。社会的制約の進展とともに、これらの感染症の持続的なモニタリングが求められる」としている。

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コロナ疑似症患者の扱いは?感染状況に応じた外来診療の考え方/厚労省

 オミクロン株への急速な置き換わりが進み、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染が急拡大する中、一部地域ではすでに発熱外来の電話がつながらない、予約が取れないといった状況が生じている。そのような状況を鑑み、厚生労働省では1月24日に事務連絡1)を発出。「診療・検査医療機関への受診に一定の時間を要する状況となっている等の場合」および「外来医療のひっ迫が想定される場合」に分けて、自治体(都道府県又は保健所設置市)の判断で行うことができる対応について示した。診療・検査医療機関への受診に一定の時間を要する状況となっている等の場合 上記に該当する場合には、自治体の判断で、以下(1)~(3)の対応を行うことが可能。(1)発熱等の症状がある場合でも、重症化リスクが低いと考えられる方(※1)については、医療機関の受診前に、抗原定性検査キット(※2)等で自ら検査していただいた上で受診することを呼びかけること。この場合に、医師の判断で、受診時に再度の検査を行うことなく、本人が提示する検査結果を用いて確定診断を行って差し支えない。 ただし、本人が希望する場合には検査前でも医療機関への受診は可能であることや、症状が重い場合や急変時等には速やかに医療機関を受診するよう、併せて呼びかけること。また、重症化リスクが高い方については、これまでどおり医療機関を受診していただき、適切な医療が受けられるようにすること。※1:たとえば、40歳未満で危険因子(基礎疾患・肥満等(注))を持たない、ワクチン2回接種済みの方を対象とすることが考えられる。臨床データ等を踏まえ、自治体において対象を変更することは差し支えない。(注)「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き・第6.1版」において、新型コロナウイルス感染症と診断された人のうち重症化しやすいのは、基礎疾患等のある方として慢性閉塞性肺疾患(COPD)、慢性腎臓病、糖尿病、高血圧、心血管疾患、肥満のある方、喫煙、一部の妊娠後期の方があげられている。※2:抗原定性検査キットを用いる場合、検査結果が陰性であっても、症状が継続する場合等は医療機関を受診することや、検査結果が陽性の場合は、受診時に医師に提示できるよう、スマートフォン等を用いて画像として保存しておく等検査結果が分かるものを手元に残しておくことを併せて呼びかけるとともに、(2)の電話診療・オンライン診療をできるだけ活用すること。 抗原定性検査キットについては、有症状者が対象となりうることを踏まえ、下記を参考に自治体において対応をお願いする。なお、事業者等への委託を行う場合は、行政検査として、配布に当たって生じる委託料を感染症予防事業費負担金の対象とすることが可能である。・自治体等から有症状者に抗原定性検査キットを事前に配付する・医療機関で対象者に検査キットのみを配布する・事業者等に委託して「抗原定性検査キットセンター」等を設置して、当該センターで検査キットを配布する・自治体の庁舎等に検査キット配布窓口を設置して、検査キットを配布する この他、従前より、本人が薬局から購入し自宅に備え付けているものや自治体等から配布されたものがあれば、それを活用することが考えられるところ、地域の状況を踏まえた対応をしていただきたい。(2)地域の診療・検査医療機関以外の医療機関の協力も得て、電話診療・オンライン診療の遠隔診療を積極的に活用すること。 (3)同居家族などの感染者の濃厚接触者が有症状となった場合には、医師の判断により検査を行わなくとも、臨床症状で診断すること(※3)。 こうした場合でも、経口薬など治療薬の投与が必要となる場合等は、医師の判断で検査を行うことが可能であること。※3:感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(平成10年法律第114号。以下「感染症法」)第12条第1項に基づく医師の届出に当たっては、疑似症患者として届け出ること。また、疑似症患者の場合には、入院を要すると認められる場合に限り当該届出を行うこととされているが、本対応を行う場合には、入院以外の場合であっても、届出をお願いすること。この場合、「B.1.1.529系統(オミクロン株)の感染が確認された患者等に係る入退院及び濃厚接触者並びに公表等の取扱いについて」(令和3年11月30日付け(令和4年1月24日一部改正)厚生労働省新型コロナウイルス感染症対策推進本部事務連絡2))Vの取扱いに従って届け出ること。外来医療のひっ迫が想定される場合 地域において外来医療のひっ迫が想定される場合には、自治体の判断で、以下の対応を行うことが可能。・症状が軽く重症化リスクが低いと考えられる方について、自らが検査した結果を、行政が設置し医師を配置する健康フォローアップセンターに連絡し、医療機関の受診を待つことなく健康観察(※)を受けること。※ITを活用した双方向による健康観察を行うことを想定(症状が悪化した場合、患者が入力した情報からその状況をシステム上で把握)。さらに、体調悪化時には必ず繋がる連絡先を伝えること。また、この場合、同センター等の医師が感染症法第12条第1項に基づく届出を行うこととなる。

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第23回 痛み診療のコツ・治療編(2)リハビリテーション療法(1)【エキスパートが教える痛み診療のコツ】

第23回 痛み診療のコツ・治療編(2)リハビリテーション療法(1)前回は理学療法の中でもとくに高齢患者さんに好まれている光線療法ついてお話しました。今回は、社会復帰に向けた痛みのリハビリテーション療法についてお話ししたいと思います。痛みを訴える患者さんにおいては、病態は類似していても、痛みの性質や程度は実に多種多様です。そのため、疼痛緩和療法も神経ブロック療法、薬物療法、各種理学療法、インターベンショナル治療、光線療法など、患者さんに沿った有効な治療法を選択する必要があります。それに加えて、痛みのリハビリテーション療法としての理学療法、とりわけ運動療法や物理療法が必要とされています。一般的には急性痛においては急性炎症が強く、痛みの程度が高い時には、患部を休ませることが基本となりますが、慢性痛においては、多少の慢性炎症が存在して痛く感じていても、患部を含めて運動が重要になります。痛みがあるからといって患部を動かさないでいると、拘縮などによりさらに痛みが増すことになります。リハビリテーションの目的は、大別すると以下に挙げたさまざまな療法を用いて、痛みの緩和、運動機能の維持・改善を図ることにあります。その結果、日常生活の動作や生活の質の向上が得られます。(1)理学療法(physical therapy)(ア)運動療法(therapeutic exercise)治療体操(exercise)マッサージ(massage)(イ)物理療法(physical therapy)温熱療法(heat therapy):ホットパック療法、渦流浴療法光線療法(actinotherapy):赤外線療法、スーパーライザー電気刺激療法(electrotherapy):低周波療法、経皮的電気神経刺激療法水治療法(hydrotherapy):コールドパック療法、寒冷療法、アイスマッサージ療法牽引療法(traction treatment):頸椎牽引療法、腰椎牽引法(2)装具療法(orthosis)装具(brace)自助具(self help device)車椅子(wheelchair)(3)作業療法(Occupational therapy)(4)心理療法(Psychothrapy)(5)言語療法(Speech therapy)(6)社会自立支援療法(Support for independence of social life)運動療法は、筋力の増強と保持、関節可動域の拡大、筋作用の協調性改善、持久力の増強を目的としています。物理療法は、局所の血流改善などにより筋過緊張軽減や疼痛緩和効果が期待できます。また、リハビリテーションには、リハビリテーション医、理学療法士(PT)、作業療法士(OT)、言語療法士(ST)、臨床心理士(CP)、社会福祉士(MSW)など、多くのスタッフが携わっており、患者さんを中心とした各々の連携維持が最も大切です。そうした意味を含め、チーム医療の重要性が認識できるかと思います。リハビリテーションによって、機能障害の改善、復職や社会的任務への復帰、日常生活における健康と健康感の増進などによってQOL、ADLの向上が得られれば、結果的に痛みのとらえ方が良い方向に向かい、痛みの軽減という好循環に入ることが期待されます。次回の「痛みの治療編・総まとめ」をもって、本連載は最終回となります。どうぞ最後までお付き合いください。1)花岡一雄編. 痛みとリハビリテーション 麻酔. 2015 ; 64 : 690‐7512)花岡一雄他監修. 痛みマネジメントupdate 日本医師会雑誌. 2014 ;143 : S173-S1743)花岡一雄編. 痛みとリハビリテーション ペインクリニック. 2014;35 : S1-S286

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