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人工膝関節形成術後の運動物理療法は短期的ベネフィットもたらす

イギリスでは、変形性関節症(OA)は高齢者における身体機能障害の最大の原因であり、55歳以上の10%が疼痛を伴うOAに罹患しているという。OAに対する整形外科的な処置は一般に人工膝関節形成術が行われるが、術後退院しての物理療法をルーチンに行うアプローチの可否は不明である。 バーミンガム大学プライマリケア/一般診療科のCatherine J Minns Lowe氏らは、初回の待機的人工膝関節形成術施行後のOA患者における運動に基づく物理療法の効果について検討を行った。BMJ誌9月20日付オンライン版、10月20日付本誌掲載の報告。機能的日常生活動作などにつき系統的レビューとメタ解析を実施8つのデータベースを検索し、2つの専門誌および1つの専門誌に掲載されたカンファレンス記録集を手作業で調査した。初回の待機的人工膝関節形成術施行後に病院を退院したOA患者を対象に、運動に基づく物理療法による介入と標準的な物理療法を比較、あるいはレビューの判定基準を満たす2つの運動物理療法介入を比較した無作為化対照比較試験について系統的なレビューを行った。評価項目は、機能的日常生活動作、歩行、QOL、筋力、膝関節の可動域とした。固定効果モデル、加重平均差、標準効果量、不均質性検査を用いて報告形式による統合(narrative synthesis)およびメタ解析を実施した。運動物理療法の短期的効果を確認同定された6つの試験のうち5試験がメタ解析の基準を満たした。術後3および4ヵ月における身体機能に対する標準効果量は、小~中等度の範囲で機能的運動物理療法群が良好であった。また、術後3および4ヵ月における膝関節の可動域およびQOLの加重平均差も、小~中等度の範囲で機能的運動物理療法群が良好であった。これら短期的に認められた運動物理療法による治療効果は、1年後には確認できなかった。長期的なベネフィットは確認できずLowe氏は、「初回の待機的人工膝関節形成術の退院後における運動を基本とした機能的運動物理療法は、短期的にはベネフィットをもたらすが、効果量は最大でも中等度であり、1年後にはベネフィットは消失した」と結論している。一方、同氏は「運動物理療法の効果は1年後にはなくなるとのエビデンスは結論的なものではない」としたうえで、「脳卒中後のリハビリテーションで、特定の機能の直接的な訓練に焦点を絞った運動プログラムの有効性が示されており、同様の方法論に基づく人工膝関節形成術後の簡易な運動物理療法介入の1年後の効果を検討する試験が進行中である」と付記している。(菅野 守:医学ライター)

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10月31日付け「使用上の注意の改訂」情報

10月31日付けの使用上の注意の改訂を安心処方infoboxに掲載しました。主な内容はSSRI、SNRIについて、自殺念慮、自殺企図のリスクが増加する報告があるのは「24歳以下」の患者(従来は18歳未満の患者と記載されていた)であることを「効能・効果に関連する使用上の注意」に明記。スタチン系リピトールは無顆粒球症、汎血球減少症があらわれることがあるため、定期検査を行うなど「副作用」の「重大な副作用」の項の血小板減少症に関する記載を改める。詳細は安心処方infoboxへhttp://www.carenet.com/auth.php?url=/safety/

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IL-4変異体pitrakinraの吸入治療が喘息症状を著明に改善

喘息に関連するアレルギー性炎症反応においては、インターロイキン(IL)-4、IL-13などの2型ヘルパーT(Th2)細胞由来のサイトカインが重要な役割を果たすことが示唆されているが、現在までに臨床的なエビデンスは示されてない。遺伝子組み換えヒトIL-4変異体pitrakinra(Aerovant)は、IL-4Rα受容体複合体を競合的に阻害することでIL-4とIL-13の両方の作用を抑制し、Th2細胞系のアレルギー性炎症反応を防止するという。 ピッツバーグ大学呼吸器・アレルギー・救急救命医療部(アメリカ)のSally Wenzel氏らは、pitrakinraの有効性を検討する2つの小規模な二重盲検プラセボ対照パラレルグループ無作為化第IIa相試験を行った。10月20日付Lancet誌掲載の報告。投与経路の異なる2つの試験で有効性を検証2つの試験はそれぞれ異なる投与経路を用いた。試験1では、pitrakinra 25mg(12例)あるいはプラセボ(12例)を1日1回皮下投与し、試験2ではpitrakinra 60mg(16例)あるいはプラセボ(16例)を1日2回に分けて吸入投与する群に無作為に割り付けた。治療前および治療4週後に患者にアレルゲンを吸入させた。主要評価項目は、試験1がアレルゲン負荷後4~10時間における努力呼気1秒量(FEV1)の最大低下率、試験2はアレルゲン負荷後4~10時間におけるFEV1の平均低下率とした。吸入投与では、pitrakinra群の平均FEV1低下率、有害事象が有意に良好試験1に脱落例はなかったが、試験2はプラセボ群で2例、pitrakinra群で1例の脱落例があり、解析から除外した。試験1の最大FEV1低下率はプラセボ群が23.1%に対しpitrakinra群は17.1%であった(p=0.243)。試験2の平均FEV1低下率はプラセボ群が15.9%に対しpitrakinra群は4.4%であり、後者のほうが3.7倍も良好であった(p=0.0001)。皮下投与における喘息関連有害事象は、プラセボ群に比べpitrakinra群で少なく(p=0.069)、β遮断薬のレスキュー投与を要する有害事象はpitrakinra群で有意に少なかった(p=0.031)。吸入投与では両群とも喘息関連有害事象がより少なかった。pitrakinraは、これまでの有効な喘息の抗炎症治療と比較しても有望Wenzel氏は、「肺におけるIL-4およびIL-13の阻害をターゲットとしたpitrakinraによる局所治療は喘息症状を著明に減少させた」と結論している。また、同氏は「pitrakinraは、これまでに良好な結果が報告されている抗IgE療法、抗ロイコトリエン療法、吸入コルチコステロイド療法などの喘息の抗炎症治療と比較しても有望なアプローチである」と指摘し、「pitrakinraの効果はIL-13の阻害のみによるのか、IL-4とIL-13双方の阻害によるのかは不明である」としている。(菅野 守:医学ライター)

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即時の治療開始でその後の脳卒中80%減少:EXPRESS研究

一般医の診断により一過性脳虚血(TIA)や軽度脳卒中が疑われた場合、専門医による治療が即刻開始されれば、受診待ちをするよりも80%、その後の脳卒中発症を抑制しうることが明らかになった。EXPRESS(Early use of Existing Preventive Strategies for Stroke)研究グループを代表してPeter M Rothwell氏らが、Lancet誌10月20日号で報告した。TIA・軽度脳卒中に対する早期介入の有用性を検討EXPRESS研究は、TIAもしくは軽度脳卒中に対する異なる治療方針を、二期に分けて比較した前向き研究である。まず第一期(2002年4月より2004年9月)は、一般医でTIA・軽度脳卒中と診断された患者は、即刻入院の必要がない場合、本研究のために立ち上げられた専門クリニックに紹介されるが、予約制のため診察まで3日間(中央値)の待機が必要となった。第二期(2004年10月より2007年3月)では、専門クリニックを予約なしで即日受診できるようにした(週末休診)。その結果、待機期間は1日未満(中央値)となった(p

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ベル麻痺患者の早期治療で抗ウイルス剤治療は「?」

コルチコステロイドと抗ウイルス剤は特発性顔面神経麻痺(ベル麻痺)の早期治療に広く使われている。しかしその効果は明確ではない。 ダンディ大学(英国)プライマリケア・スコットランド校のFrank M. Sullivan氏らは、症状発現後72時間以内に集められたベル麻痺患者を対照とする二重盲検プラセボ対照無作為化要因試験を実施した。NEJM誌10月18日号掲載報告から。プレドニゾロン、acyclovir、両剤、プラセボ10日間投与で比較対象患者は、プレドニゾロン(コルチコステロイド)、acyclovir(抗ウイルス剤)、これら両剤またはプラセボのいずれかを投与する群に無作為に割り付けられた。期間は10日間。主要転帰は顔面機能の回復とし、House-Brackmanスケールで評価された。副次転帰には、クオリティオブライフ(QOL)と、顔の様相、疼痛が含まれた。最終転帰が評価されたのは、551例のうち496例だった。プレドニゾロン投与群は有意に顔面機能を改善3ヵ月時点で顔面機能が回復した患者の比率は、プレドニゾロン投与群vs非投与群で83.0% vs 63.6%(P

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HPV+Pap検査は過剰診断ではない

女性の主要な死因である子宮頸の主な原因にヒトパピローマウイルス(HPV)がある。HPV検査に基づく子宮頸スクリーニングは、グレード2や3といった高度の頸部上皮内異常増殖の検出感度を高めるが、それは過剰診断なのか、あるいはグレードが高い頸部上皮異常増殖および子宮頸の予防に寄与するものなのか、明らかとはなっていない。 ランド大学(スウェーデン)Malmo大学病院のPontus Naucler氏らは、縦断的なコホート研究では、HPV検査と細胞学的検査であるパパニコロー(Pap)検査とを合わせて行うほうがより検出感度が高いと報告されていること、米国ではHPV検査はPap検査の補助的手段と位置付けられているといったことを踏まえ、HPV検査+Pap検査群とPap検査単独群との比較を行った。NEJM誌10月18日号より。HPV+Pap検査とPap検査単独を比較対象は、スウェーデンのスクリーニングプログラム対象である32~38歳の女性12,527例。HPV+Pap検査群とPap検査単独群(対照群)に1:1となるようランダムに割り付けられた。HPV検査でポジティブだがPap検査は正常だった女性は、少なくとも1年以上後に2回目のHPV検査が実施された。そして、同じハイリスク型HPVが持続感染していることが判明した場合は、コルポスコピーと頸部生検が行われた。同等数を対照群からランダムに選び、パパニコラウスミアとコルポスコピーの生検を二重盲検にて行った。追跡調査期間は平均4.1年。登録時とその後のスクリーニング検査で発見された、グレード2または3の頸部上皮内の相対的割合が評価された。早期の発見に結びつく登録時に、HPV+Pap検査群でグレード2または3の頸部上皮内の病変が認められたのは51%で、対照群での割合より高かった。しかしその後のスクリーニング検査時に、グレード2または3の病変またはを有するとわかったHPV+Pap検査群の女性の比率は42%、グレード3の病変またはがわかった比率は47%、いずれの値も対照群の割合より低かった。HPV持続感染が認められた女性は、コルポスコピー生検後もグレード2または3の病変またはのリスクは高いままだった。以上のことからNaucler氏らは、30代半ばの女性へのHPV+Pap検査は、過剰診断ではなく高リスクの病変や予防に寄与するものだと結論づけている。(朝田哲明:医療ライター)

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COPD患者の生の声

COPD(慢性閉塞性肺疾患)治療薬スピリーバ(販売:日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社/ファイザー株式会社)承認取得3周年記念記者会見(2007年10月23日)で、COPD患者の尾崎さんご夫妻(北海道日高郡在住)が患者の立場で、COPDが生活に与える影響、およびCOPD診療のあり方に対する感想を話した。尾崎さんは、20歳ごろから47年間喫煙し、多い時には、煙草を一日60本程度吸っていた。6年前に、COPDと診断されたことをきっかけに、禁煙した。尾崎さんは建設会社を経営するため、60歳になってからも現役で仕事をされた。しかし、ある時期から、約1年間かけて体重が55kgから47kgまでと急激に低下した。朝起きる時、「ドキドキ」、「ハーハー」のような動悸症状が見られた。体が疲れやすく、やる気もなくなり、一日中家でテレビを見ている日が多くなった。万歩計で計ると、1日250歩ぐらいしか歩かなかった日もあった。ある日、息子の嫁が偶然に週刊誌で木田厚瑞氏(日本医科大学呼吸器内科教授、同大学呼吸ケアクリニック所長)のCOPDに関する記事を目にし、尾崎さんの症状とほぼ同じことに気づいた。尾崎さんはすぐに木田氏の施設を受診し、COPDと診断され、治療を開始した。その後、地元の病院に通いながら、年2回木田氏の施設に診察を受けている。現在、スピリーバ(チオトロピウム;長期間作用型抗コリン薬)などの吸入薬を毎日服用している。今では食事がおいしく感じ、体重は以前とほぼ同じ54.5kgにまで戻った。また、散歩、園芸作業のほか、フルコースのパークゴルフまでできるようになった。尾崎さんによると、周りの多くの友人は自分と同じ病気を侵しているにもかかわらず、病院に行っても、COPDと診断されず、COPDの治療薬をもらえなかった。自分は運がよく、たまたまCOPDのことを知り、治療によって元気になった。会見で木田氏は、COPDは、まだあまり知られていないため、多くの患者はいまだに治療受けていないか、違う疾患と診断され、苦しんでいることを指摘、早急にCOPDの概念を普及する必要性を訴えた。(ケアネット:呉 晨)

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MRSA感染は院内ではなく公衆衛生問題

米国疾病管理予防センター(CDC)のメチシリン耐性黄色ぶどう球菌(MRSA)研究者チームによって行われた本研究は、MRSA感染症の疫学的状況を正確に把握することで、必要に応じ新たな予防対策を講じることを目的としたものである。 従来は病院発症、院内感染ばかりが注目されていたが、ER(救急救命室)受け入れ患者の感染症の原因として最も多いのがMRSAであるなど疫学的変化が起きており、コミュニティを対象とする調査の必要性が提起されていた。JAMA誌10月17日号報告より。コミュニティを対象に調査調査はCDCのActive Bacterial Core Surveillance(ABCs)/Emerging Infections Program Networkに関与している全米9つのコミュニティを対象に行われた。2004年7月から2005年12月までの同ネットワークデータからMRSA感染の発現率と分布状況を調べ、2005年の米国におけるMRSA感染症の負担の度合いが推定するというもの。MRSA感染報告は、疫学的定義として、「医療機関関連:コミュニティで感染(Community-onset)あるいは病院で感染(Hospital-onset)」と「コミュニティ関連(community-associated):医療機関関連のリスク因子を有さない患者」を定め分類された。推定MRSA発現率は10万人当たり31.8対象調査期間中に観察されたMRSA発症例は8,987例。大部分が「医療機関関連」に分類されるもので、内訳は58.4%(5,250例)がコミュニティで感染、26.6%(2,389例)が病院で感染となっている。一方、医療機関関連のリスク因子を有さない「コミュニティ関連」の感染は13.7%(1,234例)だった。その他に「分類不可」に類するものが1.3%(114例)あった。2005年におけるMRSA発現率は、10万人当たり31.8と推定された。出現率は65歳以上で最も高く(10万人当たり127.7)、黒人(同66.5)、男性(同37.5)も高い。調査期間中の病院での死亡は1,598例。2005年における死亡率は10万人当たり6.3と推定された。また、すべての調査対象地域で「医療機関関連」後に「コミュニティ関連」が発生するという傾向があった。CDCは、「MRSA感染は主に医療機関に関連しているが、集中治療室、急性期病院など施設に限ったことではなく、公衆衛生問題として取り組む必要がある」と結論づけた。(武藤まき:医療ライター)

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小児急性中耳炎原因菌に多剤耐性菌が出現

7価を有する複合ワクチン(PCV7)には含まれておらず、小児の急性中耳炎(AOM)を引き起こす原因となる肺炎球菌に、多剤耐性菌出現の可能性が懸念されている。 アメリカ・ロチェスター大学小児科のMichael E. Pichichero氏らは、AOMに罹患した患児の原因肺炎球菌の抗原型を調べ、その抗生物質感受性を調査した。JAMA誌10月17日号より。肺炎球菌の抗原型と抗生物質感受性を調査本研究は前向きコホート研究で、AOMを引き起こす肺炎球菌の負担変動を、特に抗原型と抗生物質感受性に注意を払いながら、複合ワクチンPCV7投与後継続的にモニタリングされた。対象となったのは、2003年9月~2006年6月の間にPCV7の投与を受けた小児。AOMの原因肺炎球菌の確認は鼓室穿刺術を用いて行われた。小児は全員、ロチェスター、ニューヨークの小児科で診療を受けている。AOMと診断された小児は1,816例。鼓室穿刺術は212例で実行され、59例で肺炎球菌感染が確認された。多剤耐性を有する抗原型19Aの肺炎球菌を9/59例で確認このうち9例で確認された菌株(2003~2004年:2例、2004~2005年:2例、2005~2006年:5例)は、新規の遺伝子型を有する抗原型19A。これはAOMに罹患した小児に用いることができるすべてのFDA承認抗生物質に耐性だった。4例の感染小児は2種類以上の抗生物質(高用量amoxicillinあるいはamoxicillin-clavulanateを含む)を用いても治療が失敗に終わった。結局、中耳腔換気用チューブが挿入されている。3例はceftriaxone注射剤投与で反復性AOMを、その他2例の感染は乳幼児期の早い段階で確認されていた。これらには手術以外の感染消散の手段としてlevofloxacinの投与が行われた。Pichichero氏らは、「PCV7ワクチン導入数年で、小児AOM治療に対するすべてのFDA承認抗生物質に耐性の肺炎球菌が出現していることが本研究で明らかとなった」とまとめている。(武藤まき:医療ライター)

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COPD――多彩な併存症を持つ全身性疾患

2007年10月23日、COPD(慢性閉塞性肺疾患)治療薬スピリーバ(販売:日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社/ファイザー株式会社)承認取得3周年記念記者会見で、日本医科大学呼吸器内科教授、同大学呼吸ケアクリニック所長の木田厚瑞氏はCOPDの多彩な併存症について講演を行った。COPDは虚血性心疾患、肺がん、骨粗鬆症、糖尿病、うつなど多彩な併存症をもつことで注目を浴びています。木田氏が以前、解剖になった4,552名の患者を対象に、COPDの主要病態である肺気腫の合併疾患の頻度を調べたところ、脳血管障害70.9%、肺炎61.0%、胃潰瘍43.9%、肺結核24.1%、肺がん21.5%が認められ、いずれも肺気腫なしの患者より有意に高かった。また、COPD患者の死因の35%は肺炎、27%は心血管疾患、21%はがんであった(*1)。COPD患者は、呼吸機能の低下に従って、骨粗鬆症の発生頻度が大幅に増加することが知られている(*2)。COPDにおける骨粗鬆症のリスクファクターとしては、喫煙、活動量の低下、体重減少と筋肉量の減少、およびステロイド治療などが考えられている(*3)。また、COPD患者の41%にうつがあり、死亡率が高いとの報告がある(*4)。一方、COPD患者の13~17%に貧血が起こり、貧血が併存する場合、運動機能が落ち、生存率も下がる(*5,6)。このように、COPDの併存症は、多彩であるため、プライマリ・ケアと専門性の高い医療機関との連携(紹介・逆紹介)が望ましいと木田氏が強調した。一方、木田氏は、併存症を治療すると同時に、COPDに対し、効果の乏しい不適切な薬物処方をやめ、適切な治療を行うことで、患者QOLの向上、医療費の抑制につながると話した。【文献】*1 Rabe KF. N Engl J Med 2007; 356: 851.*2 Bolton CE. Am J Respir Crit Care Med 2004; 170:1286.*3 lonescu AA. Eur Respir J 2003; 22(suppl 46): 64s.*4 Fan VS, et al. Gender, depression, and risk of hospitalization and mortality in COPD*5 John M, et al. Chest 2005; 127: 825-829.*6 Cote C, et al. Eur Respir J 2007; 29: 923-929.(ケアネット 呉 晨)

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抗酸化物質は、早期の加齢黄斑変性症の一次予防に有効か

 加齢黄斑変性症(AMD)は、先進国の50歳以上の集団における重篤な視力障害の主要原因である。抗酸化物質は、網膜に対する酸化的障害を減弱するとの仮説があるが、AMDの一次予防における食物抗酸化物質の効果は不明である。 メルボルン大学眼疾患研究所(オーストラリア)のElaine W-T Chong氏らは、AMDの一次予防における種々の食物抗酸化物質(αカロテン、βカロテン、βクリプトキサンチン、リコピン)の役割について体系的なレビューおよびメタ解析を行った。BMJ誌10月8日付オンライン版、10月13日付本誌掲載の報告から。選択基準を満たす12試験のデータを抽出して解析 標準化された判定基準に基づいて2名の研究者が別個に7つのデータベースを検索して関連文献を選び出した。抽出された4,192の抄録のうち12試験(プロスペクティブなコホート研究:9試験、無作為化臨床試験:3試験)が選択基準を満たした。 次いでデータ抽出および試験の質の評価が2名の研究者によって別個に行われ、得られた結果はメタ解析の手法を用いて定量的にプールされた。コホート研究、無作為化試験とも抗酸化物質によるAMD予防効果は示せず 9つのプロスペクティブなコホート研究には合計149,203名が登録され、そのうち早期AMDは1,878例であった。検討された食物抗酸化物質は個々の試験で異なっており、必ずしも全試験が個々の抗酸化物質のメタ解析の対象とはならなかった。 これらのコホート研究のプール解析では、ビタミンA、C、E、亜鉛、ルテイン、ゼアキサンチン、αカロテン、βカロテン、βクリプトキサンチン、リコピンは、早期AMDの一次予防においてほとんど効果がないか、あるいは無効であった。 3つの無作為化臨床試験においても、抗酸化物質補助食品の早期AMDに対する予防効果は認められなかった。 Chong氏は、「食物抗酸化物質および抗酸化物質補助食品は、栄養状態が良好な西欧人の早期AMDの一次予防においてほとんど効果がないか、あるいは無効であった」と結論している。なお、今回の解析では、AMDの一次予防に影響を及ぼす可能性があるリスク因子は喫煙のみであったという。

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イギリスの病院データ(HES)は先天性心疾患術後30日死亡率の評価には不十分

イギリスのhospital episode statistics(HES)は、病院の活動、死亡率などを施設間で比較する際に用いられる統計データであるが、その信頼性は疑問視されてきた。オックスフォードRadcliffe病院心臓外科のStephen Westaby氏らは、子どもの先天性心疾患開胸手術後の30日死亡率の解析におけるHESの有用性を、先天性心疾患監査データベース(CCAD)の情報との比較において検証した。BMJ誌9月20日付オンライン版、10月13日付本誌掲載の報告。HESとCCADのデータを用い、先天性心疾患開胸手術後30日死亡率を比較2000年4月1日~2002年3月31日までの先天性心疾患開胸手術に関するHESのデータとCCADの関連データについて解析した。HESには11施設のデータが、CCADにはイギリスの全施設(13施設)のデータが含まれた。主要評価項目は、生後1年未満の先天性心疾患患児に対する開胸手術後の30日死亡率とした。HES、CCADの双方に30日死亡率の過少評価がHES、CCADの双方にデータがある11施設のデータを直接比較したところ、HESには各施設で5~38%の手術記録の記載漏れがあることがわかった。また、HESには死亡確認記録の不足が中央値で40%(0~73%)も生じていた。平均30日死亡率は、HESでは4%過少評価され、CCADでは8%過少評価されていた。CCADでは、比較に用いられた11施設中9施設で患者アウトカムの1~23%が見逃されていた(ほとんどが海外からの患児)。結果的には、CCADにも過少評価が生じていた。HESは先天性心疾患手術を評価する情報源として不十分Westaby氏は、「HESは、先天性心疾患手術の施行状況やアウトカム評価の情報源としては不十分である。CCADのほうが正確で完成度が高かったが、リスクを層別化した包括的な死亡率データを実現するにはさらなる検討が必要である」と結論している。同氏は、「データの質に問題があるので、一般に公開されている個々の施設や外科医個人の死亡率データを再検討すべきだ」と指摘している。(菅野 守:医学ライター)

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「2015年までに妊産婦死亡率を1990年の1/4に」は達成できるのか

 妊産婦の死亡はほとんどが回避可能であり、それゆえ国連のミレニアム開発目標(Millennium Development Goals; MDGs、http://www.undp.or.jp/aboutundp/mdg/)のターゲットのひとつとなっている。これは、2015年までに妊産婦の死亡率を1990年の1/4に減少させるというものだが、データの脆弱性のため進捗状況のモニタリングに問題が起きているという。 2006年、評価法の改善を推進するために新たなワーキンググループが設立され、2005年度の妊産婦死亡率を改めて推計し、1990年以降のトレンドの解析を行った。Harvard Center for Population and Development Studies(アメリカ、ケンブリッジ市)のKenneth Hill氏が10月13日付Lancet誌上で報告した。さまざまな方法を開発して解析Hill氏らは、対象となる国を利用可能なデータのタイプ別に8つのカテゴリーに分けて個々に解析を行うなどさまざまな方法を開発し、これらを用いて同一カテゴリーの国や地域レベル、およびグローバルなレベルで2005年度の妊産婦死亡率を算出し、1990~2005年のトレンドを評価した。妊産婦死亡のほとんどがサハラ以南のアフリカ、アジアに集中2005年度の世界の妊産婦死亡数は545,900人、妊産婦死亡率は10万出生あたり402人であった。そのほとんどが、サハラ以南のアフリカ(270,500人、約50%)およびアジア(240,600人、約45%)に集中していた。1990年から2005年にかけて妊産婦死亡率は年平均2.5%減少(p<0.0001)していたが、サハラ以南のアフリカでは有意な減少は認めなかった。MDGターゲットの達成には開発途上地域の妊娠/分娩医療の改善が急務Hill氏によれば、MDGのターゲット「2015年までに妊産婦の死亡率を1990年の1/4に減少させる」の達成に要する妊産婦死亡率の低下率は年平均5.5%であり、現在の2.5%のままでは不可能という。同氏は、「1990年以降、妊産婦死亡数の減少にある程度の進展がみられた地域もあるが、サハラ以南のアフリカの死亡率は高いままであり、過去15年間に改善のエビデンスはほとんどない」と指摘し、「MDGターゲットの実現には、開発途上地域の妊娠/分娩医療の改善に重点を置いた持続的な施策が急務である」と強調している。(菅野 守:医学ライター)

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人工妊娠中絶の世界的現況――MDG 5の達成に向けて

「人工妊娠中絶は現代の最高度の人権に関わるジレンマであるがゆえに、科学的かつ客観的な情報が必須である」と著者は記す。そして、「微妙な問題であるためデータソースが限られ、正確な情報の入手が困難」とも。 望まない妊娠の低減を目的とする指針の策定には、人工妊娠中絶数の情報が重要である。また、妊婦の罹病および死亡の主な原因は安全でない妊娠中絶であることから、ミレニアム開発目標(Millennium Development Goals; MDGs、http://www.undp.or.jp/aboutundp/mdg/)のひとつ「妊産婦の健康の改善」(MDG5)の達成に向けた進捗状況のモニタリングには危険な中絶の発生状況の把握も重要である。Guttmacher Institute(アメリカ・ニューヨーク市)のGilda Sedgh氏らは中絶率を世界規模で推計し、望まない妊娠や危険な中絶を減少させ安全な中絶を増加させる方策について考察を加えた。10月13日付Lancet誌掲載の報告から。1995~2003年の中絶数、中絶率を世界および地域レベルで解析各国の公式発表システムや調査報告、および公表された研究報告を用いて2003年度に実施された安全な人工妊娠中絶数を世界および地域レベルで算出した。危険な中絶の施行率の算出には病院データ、調査、その他の研究報告を用いた。中絶数の推計、中絶率の算出には人口統計学的方法を用いた。女性集団および出生数は国連の推計値を、地域の定義には国連分類を使用し、1995~2003年の中絶数、中絶率を解析した。中絶数、中絶率は低下、危険な中絶は増加、危険な中絶は途上国に集中1995年の中絶数4,600万件に対し、2003年は4,200万件に減少していた。2003年の人工妊娠中絶率は15~44歳の女性1,000人あたり29件であり、1995年の35件よりも低下していた。中絶率は、西ヨーロッパが1,000女性あたり12件と最も低く、北欧が17件、南欧が18件、北米(アメリカ、カナダ)が21件であった。全中絶のうち危険な中絶の割合は1995年の44%から2003年には48%に増加し、その97%以上が開発途上国で行われていた。2003年の全世界における100出生あたりの中絶率は31件であり、地域別には東欧で最も頻度が高かった(100出生あたり105件)。妊産婦死亡率低減の実現に向け、避妊の必要を満たし、中絶の安全を確保せよSedgh氏によれば、人工妊娠中絶の根本的な原因は望まない妊娠であるが、開発途上国では1億800万人の既婚女性が必要な避妊を行えず、避妊法を使用できない女性が毎年5,100万件の望まない妊娠をしているという。同氏は、「1995年から2003年にかけて全体の中絶率は開発途上国と先進国で同等であったが、危険な中絶は途上国に集中していた」「妊産婦死亡率の本質的な低減を実現し、妊産婦の健康を保護するには、避妊の必要を満たし、すべての中絶の安全を確保する必要がある」と総括している。(菅野 守:医学ライター)

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肺の生活習慣病COPD

2007年10月23日、COPD(慢性閉塞性肺疾患)治療薬スピリーバ承認取得3周年を機に、発売元である日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社/ファイザー株式会社が日本医科大学呼吸器内科教授、同大学呼吸ケアクリニック所長の木田厚瑞氏(写真)およびCOPD患者ご夫妻を迎え、記念記者会見を開いた。講演および会見の内容を「肺の生活習慣病COPD」、「多彩な併存症を持つ全身性疾患であるCOPD」、「COPD患者の生の声」の3回に分けて掲載する。わが国の喫煙率は高く、主に喫煙を原因とするCOPDは、まさしく「肺の生活習慣病」である。COPDは世界の死亡原因第4位に挙げられ(*1)、わが国でも2000年に死因の第10位に初めて登場した(*2)。木田氏によると、COPDは初めに断続的な咳、痰が生じ、やがて息切れの出現、息切れの増悪を経て、呼吸困難のため在宅酸素療法に頼り、死亡する経過を辿る。特に進行は非常に緩徐であるため、歳のせいなどと誤解され、医師も、患者も気づかないことが多い。そのため、わが国の推定COPD患者が530万人いるにもかかわらず(*3)、実際に22.3万人しか治療を受けていない(*4)。またCOPDが進行すると、患者のQOLが大きく低下し、運動能力が落ち、やがて寝たきりとなり、大きな問題となる。一方、COPDは急性増悪と呼ばれる急激な症状の悪化が繰り返し起こり、COPDの進行を助長させる恐れがある。中等症以上の患者は急性増悪が起きると、多くの場合は入院治療が必要となり、その費用は1回平均69万円で、医療費を考えても早期な診断と治療が望ましい。木田氏は、COPDの診療には、基幹病院とプライマリ・ケアの医療連携が必要と力説した。さらに、木田氏はCOPDが喘息と誤診されることがしばしばあるが、両者の発症原因はまったく異なる疾患で、異なった治療が必要と説明した。3年前、1日1回吸入する抗コリン薬であるスピリーバ(チオトロピウム)の登場で、COPD患者のQOLを大きく改善することが可能になった。その主な治療効果は、気管支拡張効果により、息切れ回数の減少、身体活動の向上、急性増悪の軽減をもたらす。また抗炎症作用によって、全身性炎症反応を阻害することも考えられる。最後に、木田氏はCOPDが治療できる病気、予防できる病気とのWHOのメッセージを紹介し、COPD治療の必要性を訴えた。(ケアネット 呉 晨)

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スタチン臨床試験WOSCOPSの延長追跡調査結果

スタチン(プラバスタチン)とプラセボとで比較した、英国スコットランド西部で行われた無作為化臨床試験WOSCOPS(West of Scotland Coronary Prevention Study)は、心筋梗塞の既往のない高コレステロール血症の男性6,595例を対象としたもので、平均追跡期間は約5年。冠動脈疾患および非致死性心筋梗塞の複合死亡が、スタチン群では7.9%から5.5%まで減少した(P

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小児喘息リスクは新生児期の細菌定着で増加する

小児喘息では一般に先行して、繰り返す喘息様症状=喘鳴(recurrent wheeze)がみられる。デンマーク・コペンハーゲン大学のHans Bisgaard氏らは、重度の繰り返す喘鳴を呈する幼児の気道に病理学的にみられる細菌定着と、喘息の起因との関連を示唆してきた。その関連を明らかにするスタディを実施。NEJM誌10月11日号に結果が報告された。無症候の新生児下咽頭からの吸引液を培養し5歳児までモニタリング検証が行われたのは、無症候の新生児の下咽頭の細菌定着と、5歳時までの喘鳴・喘息・アレルギー発現との関連。喘息の母親から生まれ、コペンハーゲン小児喘息前向き研究(CPSAC:Copenhagen Prospective Study on Asthma in Childhood)に登録された小児が対象となった。無症候の新生児(生後1ヵ月の乳児)の下咽頭部位から吸引液を採取し、肺炎球菌、インフルエンザ菌、Moraxella catarrhalisと黄色ブドウ球菌を培養。5歳児まで喘鳴の評価が前向きにモニタリングされ、日記に記録。4歳時に血中好酸球算定と総IgE、特異的IgE測定を行い、5歳時に肺機能の評価および喘息の診断が行われた。肺炎球菌、Moraxella catarrhalis、インフルエンザ菌の1つ以上の定着がリスク増加培養されたサンプル数は321例。乳児の21%が、肺炎球菌、Moraxella catarrhalis、インフルエンザ菌、あるいは複数の細菌が定着していた。黄色ブドウ球菌の定着はみられなかった。細菌定着(黄色ブドウ球菌を除く1つ以上の)と持続的な喘鳴とのハザード比は2.40、喘鳴の急性かつ重度の増悪とのハザード比は2.99、喘鳴による入院は3.85で、有意に関連していることが明らかとなった。またこれら細菌定着がみられた小児には、4歳時の好酸球数、総IgE値に有意な増加がみられた。特異的IgE値には有意な影響がみられていない。β2作動薬投与後5歳時の、喘息有病率と気道抵抗性の可逆性は、新生児期に細菌の定着がみられた小児 vs みられなかった小児でそれぞれ33% vs 10%、23% vs 18%と、いずれも細菌定着がみられた小児で有意に高いことが判明した。Bisgaard氏らは、「肺炎球菌、Moraxella catarrhalis、インフルエンザ菌の1つ以上の定着がある新生児は、幼児期に繰り返す喘鳴と喘息のリスクが増加する」と結論づけている。(武藤まき:医療ライター)

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仕事の負担は繰り返す冠動脈心疾患のリスク増加と関連する

仕事の負担によって冠動脈心疾患(CHD)イベントのリスクが増すことは明らかとなっているが、初回心筋梗塞(MI)後の繰り返すCHDイベントの危険度と仕事の負担との関連については不明のままである。 そこで仕事の負担がCHDイベントの危険度を増すかどうか、前向きコホート研究がカナダ・ケベック州にあるUniversite LavalのCorine Aboa-Eboule氏らによって行われた。JAMA誌10月10日号掲載の報告より。仕事の負担度を4区分設定し調査対象は、1996年2月10日~2005年6月22日の間に、初回MIを発症後職場復帰を果たした35~59歳までの男女972例。職場復帰までの期間は平均6週間。調査は面談形式で、復帰後2年後時点と6年後時点の仕事の負担について聞き取りが行われた。仕事の負担は、「負担が大きい(high strain)」:要求が高度で自由裁量の幅もない、「積極的であることが求められる(active)」:要求は高度だが自由裁量の幅がある、「受動的である(passive)要求は低度だが自由裁量の幅がない)、「負担は小さい(low strain)」:要求が低度で自由裁量の幅がある、の4区分が設定された。仕事の負担が慢性的なものかどうかは、2回のインタビューに基づき、1回のインタビューで高負担に曝されていると判定できたものと、2回のインタビューで高負担に曝されていると判定できたものとに分けられた。生存率分析は、2.2年以前と2.2年以降の2区分に分け行われた。職場復帰後2.2年以降でハザード比2.20主要アウトカム指標とされたのは、致命的なCHD、非致死性のMI、不安定狭心症の複合で、結果として206例の患者で実証され、慢性的な仕事の負担は2.2年以降の区分で、繰り返すCHDと関連していることが明らかとなった(ハザード比2.20、95%信頼区間:1.32-3.66)。慢性的な仕事の負担に曝されている患者のCHDイベント発生率は6.18/100人年、曝されていない患者は2.81/100人年だった。多変量モデル解析後も、また結果を混乱させている可能性のある26のCHDリスク因子について補正後も、ハザード比は2.00(95%信頼区間:1.08-3.72)で、「慢性的な仕事の負担」は繰り返すCHDイベントの独立予測因子であることが示された。この結果を踏まえEboule氏らは、「初回MI後の慢性的な仕事の負担は、繰り返すCHDのリスク増加と関連していた」と結論づけている。(武藤まき:医療ライター)

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メディケード加入者は医療格差に曝されている

アメリカでは近年、営利保険とは対照的に、管理医療型(マネジドケア)のHMOに加入するメディケード受益者の比率が増加し続けている。マネジドケアHMOでは、重篤あるいは高コストの合併症などを防ぐために予防とルーチンケアを一律に組み込むなど、低所得者や移民が多いメディケード加入者にとってメリットがある半面、必要な医療サービスが制限されるなど“格差”をもたらす可能性も指摘されてきた。 ハーバード・メディカル・スクールのBruce E. Landon氏らは、マネジドケアプランの3パターン間の治療の質を比較。JAMA誌10月10日号で格差の実態について報告した。383のヘルスプランの治療の質を比較治療の質を比較したのは、「メディケード・オンリー・プラン(主にメディケード加入者に供給)」と「営利保険・オンリー・プラン(主に営利保険加入者に供給)」と「メディケード/営利保険適用プラン(実質的に両方の加入者多数に供給)」の3タイプ。比較対象となったのは、2002~2003年にNational Committee for Quality Assuranceで報告された383のヘルスプラン。37が「メディケード・オンリー・プラン」、204が「営利保険・オンリー・プラン」、142が「メディケード/営利保険適用プラン」(メディケード・営利保険加入者データは別々に報告)だった。質の評価には、メディケード集団に適用可能なHEDIS(Healthcare Effectiveness Data and Information Set)の11の指標が用いられた。営利保険加入者のほうが優位メディケード加入者間での11の指標パフォーマンスは、「メディケード・オンリー・プラン」と「メディケード/営利保険適用プラン」で違いはなかった。同様に営利保険加入者間で、「営利保険・オンリー・プラン」と「メディケード/営利保険適用プラン」でパフォーマンスの違いは実質的になかった。全体的に見ると、1つを除く全ての指標で営利保険加入者のパフォーマンスがメディケード加入者より上回っていた。高血圧症コントロールでは4.9%の差(営利保険加入者58.4%対メディケード加入者53.5%、P=0.002)があり、分娩後の適切な治療に関しては24.5%(同77.2%対52.7%、P=0.001)に上る。同程度の格差は、同一のヘルスプランで治療を受けた営利保険加入者とメディケード加入者の間で観察された。Landon氏らは、「メディケード・マネジドケア加入者は、営利保険・マネジドケア加入者より質の低い治療を受けている」と結論。「国家として治療における相違を減らすことが米国ヘルスケアシステムの重要な目的とするのなら、マネジドケアは万能薬でない」と述べ、現状システムの改善を提起した。(武藤まき:医療ライター)

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小児・青少年の運動促進に有効手段は確立しているのか

小児や青少年の肥満が問題になりつつあるが、身体活動改善に有効な手段は示唆こそされているものの、確立されているとは言えないようだ。Addenbrooke's Hospital(英国)のEsther M F van Sluijs氏らは対照試験の体系的レビューの結果をBMJ誌で報告した(オンライン版9月20日付、本誌10月6日号)。57の対照試験を体系的にレビューvan Sluijs氏らは、小児あるいは青少年を対象に何らかの介入が身体活動に及ぼす影響を検討した、57の対照試験を体系的にレビューした。小児(12歳未満)対象が33試験、青少年(12歳以上18歳未満)が24試験だった。その結果、「健康教育」だけでは、小児・青少年とも身体活動は増加しないと考えられた。また「運動教育プログラムの改善」(授業の増加、専門教師による教育、設備増設など)は、小児に対しては一定の効果があるが青少年への有効性は不明だった。一方、上記に限らず様々な形で介入する「多面的介入」は少なくとも青少年に対しては有効だと考えられた。次に、青少年では「学校+地域、家庭」において介入することが「学校」や「地域」、「家庭」のみで介入するよりも有効だが、小児に対する有効性は確認できなかった。また社会経済状態別介入の有効性が小児を対象とした検討では有効性が一部確認されているが、青少年では結論できず、人種別介入は小児・青少年とも無効だった。また小児では無効だった男女別介入が青少年では有効である可能性も示されている。van Sluijs氏らはこの領域に関するデータの蓄積が重要だと主張している。(宇津貴史:医学レポーター)

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