抗がん剤「eribulin(E7389)」 第3相比較試験において主要評価項目を達成

提供元:ケアネット

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公開日:2009/11/04

 



エーザイ株式会社は30日、同社が現在開発中の自社創製品である抗がん剤E7389(一般名:eribulin mesylate)について、局所進行性・転移性乳がんを対象としたフェーズIII試験の解析結果概要が得られたと発表した。

eribulinは同社が創製した新規化合物であり、クロイソカイメンから初めて単離された天然由来化合物ハリコンドリンBの合成類似化合物。タキサン系抗がん剤は微小管を安定化することで細胞分裂を阻害するのに対し、eribulinは脱重合を抑制せずに微小管の伸長を阻害することによって細胞周期を停止させる、微小管ダイナミクス阻害剤である。

欧米において実施された、今回のフェーズIII試験(EMBRACE試験:Eisai Metastatic Breast Cancer Study Assessing Physician’s Choice Versus E7389)は、2種から5種のがん化学療法(アントラサイクリンやタキサン系抗がん剤を含む)による前治療歴のある、局所再発性・転移性乳がんの患者762名を対象とした、多施設、無作為化、非盲検、並行2群間比較試験。

試験では、患者をeribulin投与群と治験医師選択療法施行群の2群に分け、前者に対しては、21日を1クールとし、各クールの第1日目と第8日目に、本化合物をそれぞれ2分から5分かけて点滴静注した。治験医師選択療法は、がん治療の適応を持つ単剤化学療法、ホルモン療法、生物学的薬剤療法、もしくは緩和療法、放射線療法と定義した。

フェーズIII試験の解析結果概要によれば、eribulin投与群では、治験医師選択療法施行群に比べ、主要評価項目である全生存期間(overall survival)が統計学的に有意に延長したという。試験におけるeribulinの安全性は、過去に実施したフェーズII試験で報告されたものと同様の結果であり、最も多く見られた有害事象は骨髄抑制であったとのこと。

同社はフェーズIII試験結果の解析をさらに進め、試験データなどに基づき、局所進行性および転移性乳がんの適応で、eribulinの承認申請を日本・米国・欧州において本年度中に行う予定だという。

詳細はプレスリリースへ
http://www.eisai.co.jp/news/news200946.html