サイト内検索|page:1708

検索結果 合計:34711件 表示位置:34141 - 34160

34141.

アンドロゲン枯渇療法は局所前立腺の生存率を改善しない

データが不十分にもかかわらず、手術や放射線、従来治療に替わる局所前立腺の治療として、一次的アンドロゲン枯渇療法(PADT)を受ける患者が増えている。ロバート・ウッド・ジョンソン医科大学(米国ニュージャージー州)のGrace L. Lu-Yao氏らには、局所前立腺の高齢男性におけるPADTと生存率との関連を評価。「従来治療と比べ生存率を改善しない」と報告した。JAMA誌2008年7月9日号より。66歳以上メディケア受給者約2万例を追跡調査臨床病期T1‐T2の前立腺で、限定的な局所治療を受けなかった66歳以上のメディケア受給者1万9,271人を対象としたコホート研究。対象者は、あらかじめ設定した米国内の地域に居住している者で、1992~2002年に前立腺と診断され、前立腺の特異的死亡率(~2004年12月31日)、全死因死亡率(~2006年12月31日)を追跡調査された。主要評価項目は、前立腺の特異的生存率と全生存率。未分化患者の生存率は改善されたが局所前立腺を有する患者(年齢中央値77歳)のうち、7,867例(41%)がPADTを、残る11,404例はPADTを含まない従来治療の対象だった。追跡調査期間中の全死因死亡は1万1,045例。うち1,560例が前立腺。前立腺の特異的10年生存率(PADT vs. 従来治療)は、80.1% vs. 82.6%(ハザード比:1.17、95%信頼区間:1.03~1.33)、10年全生存率は30.2% vs. 30.3%(HR:1.00; 95%CI:0.96~1.05)で、PADTの有意性を示す結果は得られなかった。ただし未分化の患者に限定してみた場合は、特異的10年生存率が59.8% vs. 54.3%(HR:0.84、95%信頼区間:0.70~1.00、P=0.049)、全生存率は17.3% vs. 15.3%(0.92、0.84~1.01)で、PADTによる改善がみられた。以上からLu-Yao氏らは、「PADTが在来治療と比較して、局所前立腺を有する大部分の高齢男性の生存率を改善はしない」と結論付けている。(朝田哲明:医療ライター)

34142.

ABIは心血管イベントリスク予測にFraminghamリスクスコアより有効

健常者の心血管疾患のハイリスクを識別する予測モデルの精度は限られている。英国のABI共同研究チーム(Ankle Brachial Index Collaboration)は、アテローム性動脈硬化症の指標とされる足関節上腕血圧比(ABI)をFraminghamリスクスコア(FRS)と組み合わせることで、心血管疾患のリスク予測を改善できる可能性があると報告した。JAMA誌2008年7月9日号より。男女約4万9千例を追跡調査しメタ解析試験は、データベースのMEDLINE(1950年~2008年2月)、EMBASE(1980年~2008年2月)から、ABIに関してヒットした論文を選定し、前向きコホートをデザインし行われた。一般集団(非疾患グループ)に属する参加者のABIはベースラインで測定し、全死因死亡と心血管原因死亡を見いだすために追跡。コホート研究の対象は16集団。虚血性心疾患の既往歴がない参加者についてメタ解析された。男性2万4,955例と女性2万3,339例(期間中延べ48万325例)を追跡調査した結果、ABIと死亡リスクの関係は、ABI正常値(1.11~1.40)を低リスクとして逆J字形の分布を示した。10年死亡率、冠動脈イベント発生率ともFRSの2倍男性の10年死亡率(心血管疾原因)は、ABI低値(0.90)18.7%(95%信頼区間:13.3~24.1%)、ABI正常値(1.11~1.40)4.4%(3.2~5.7%)。同様に女性は、ABI低値では12.6%(6.2~19.0%)、ABI正常値では4.1%(2.2~6.1%)だった。ハザード比は男性4.2(95%信頼区間:3.3~5.4)、女性3.5(2.4~5.1)。FRSで補正後も、男性2.9(95%信頼区間:2.3~3.7)、女性3.0(92.0~4.4)と高いままだった。ABI低値(0.90)で、10年全死因死亡率、心血管原因死亡率、主要冠動脈イベント発生率のカテゴリー別にFRSの数値と比較すると、ほぼ2倍を示していた。FRSによる心血管リスクの階層化にABIを包含させると、リスクカテゴリー再分類と、男性の約19%、女性の約36%に対する推奨治療を変更することになった。この結果を踏まえ「ABI測定は、FRS以上に心血管リスク予測の精度を改善する可能性がある」と結論している。(朝田哲明:医療ライター)

34143.

加齢黄斑変性症治療剤「マクジェン」、製造販売承認を取得

ファイザー株式会社は、7月16日(水)、加齢黄斑変性症治療剤「マクジェン硝子体内注射用キット0.3mg」(ペガプタニブナトリウム)の製造販売承認を取得したと発表した。マクジェンは、加齢などが原因で物がゆがんだり、視野の中心が欠けて見えるなどの症状を起こす滲出型(しんしゅつがた)の加齢黄斑変性症(Age-related Macular Degeneration:AMD)の治療薬。病的な血管の成長や血液などの漏出をひき起こす原因となる体内の物質の働きを抑え、病的な血管の成長を遅らせることで、視力が低下する速度をゆるやかにする。詳細はプレスリリースへhttp://www.pfizer.co.jp/pfizer/company/press/2008/2008_07_17_02.html

34144.

抗酸菌症治療薬「ミコブティン」、製造販売承認を取得

ファイザー株式会社は、7月16日(水)、抗酸菌症治療薬「ミコブティンカプセル150mg」(リファブチン)の製造販売承認を取得したと発表した。ミコブティンはリファマイシン系抗酸菌症治療薬で、DNA依存性RNAポリメラーゼを阻害しRNA合成を抑制することにより抗菌作用を示すと考えられている。結核や非結核性抗酸菌(NTM:Non-Tuberculous Mycobacteria)症の治療、さらにHIVに感染している患者が発症しやすい抗酸菌症であるマイコバクテリウム・アビウムコンプレックス(MAC)症の発症抑制に効果がある。詳細はプレスリリースへhttp://www.pfizer.co.jp/pfizer/company/press/2008/2008_07_17.html

34145.

下痢型過敏性腸症候群治療剤「イリボー錠」、製造販売承認を取得

アステラス製薬株式会社は、下痢型過敏性腸症候群治療剤「イリポー錠(ラモセトロン塩酸塩)について、「男性における下痢型過敏性腸症候群」を効能・効果として、製造販売承認を取得したと発表した。「イリボー綻」は、5-HT3受容体を選択的に阻害することで、消化管運動充進に伴う便通異常(下痢・排便宜進)を改善するとともに、大腸痛覚伝達を抑制し、腹痛及び内臓知覚過敏を改善する。詳細はプレスリリースへ(PDF)http://www.astellas.com/jp/company/news/2008/pdf/080717_1.pdf

34146.

「子どもとママの紫外線対策」意識調査-「日焼け止め」は8割の子どもが使用、でも塗る基準は日ざしの強弱?

ロート製薬株式会社が関東圏、関西圏の1歳~9歳の子どもを持つママ300人に対して行った調査によると、9割以上のママが子どもに紫外線対策を行い、内容としては「帽子をかぶる」(約9割)と同じように「日焼け止めを塗る」が8割となり、紫外線対策のスタンダードになっていることが明らかになった。一方で多くのママが紫外線に対する豊富な知識を持っているにもかかわらず、紫外線対策の開始・終了は日ざしの強弱で判断しているという現状がわかったという。詳細はプレスリリースへhttp://www.rohto.co.jp/comp/news/?n=r080717_2

34147.

抗悪性腫瘍剤「アービタックス」、製造販売を承認

ブリストル・マイヤーズ株式会社は、メルクセローノ株式会社およびイムクロン社(NASDAQ:IMCL)と共同開発を行ってきたアービタックス注射液100mg(セツキシマブ製剤)が、7月16日(水)、厚生労働省より「EGFR陽性の治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸」の治療薬として、製造販売承認されたと発表した。アービタックスは、EGFR(ヒト上皮細胞増殖因子受容体)と特異的に結合するヒト/マウスキメラ型モノクローナル抗体で、腫瘍細胞のEGFRを介したシグナル伝達経路を阻害することにより抗腫瘍効果を発揮する抗悪性腫瘍剤。詳細はプレスリリースへhttp://www.bms.co.jp/news/2008/0716.html

34148.

ネガティブ感情は心疾患イベントに関連:Whitehall IIスタディ

心疾患イベントのリスク増加に心理的因子(不安、敵意/怒り、うつ)が関わっていることを示す研究がいくつかあるが、ポジティブな感情、ネガティブな感情それぞれを独立因子とし、二次的な冠動脈性心疾患イベントとの関連(影響およびリスク)を検討する研究が報告された。イギリスでのWhitehall IIスタディからの報告。同スタディは1985年にセットされ追跡調査されている、健康と疾患の社会経済的傾向を探るための経時的研究である。BMJ誌2008年6月30日号掲載より。1万308人を12年以上追跡調査追跡期間12年以上の前向きコホート研究としてデザインされた試験には、ロンドンに本部事務所を置く20の行政機関に属する1万308人(1985年登録時35~55歳)が参加した。主要転帰項目は、致死性冠動脈性心疾患、非致死性心筋梗塞、狭心症(n=619、追跡期間12.5年)。年齢、性、民族性、社会経済的位置づけで調整したコックス回帰分析の結果、ポジティブ感情と、バランスがとれた感情(バランス・スコアに着目した指標で評価した感情)は、冠動脈性心疾患との関連は見出せなかった。ハザード比はそれぞれ1.01(95%信頼区間:0.82~1.24)、0.89(0.73~1.09)。ポジティブ感情、バランスのとれた感情との関連は見られなかったがさらに行動のリスク因子(喫煙、飲酒、1日の果物と野菜摂取量、運動、BMI)、生物学的リスク因子(高血圧、血中コレステロール、糖尿病)、仕事による精神的ストレスの因子で補正をしても、結果は変わらなかった。しかし、ネガティブ感情を有する区分に分類された参加者には、冠動脈性心疾患イベント増が見られた(ハザード比:1.32、95%信頼区間:1.09~1.60)。この相関は、複数の交絡因子の調整後も変わらなかった。この結果を踏まえ、「ポジティブ感情と、バランスのとれた感情は、男女ともスタディ加入時に冠動脈性心疾患と診断されなかった場合、将来的な発症を予測する因子とはならないようだ。ネガティブ感情には弱い相関が見られる。さらなるスタディで確認する必要があるだろう」と結論している。

34149.

複数ワクチン接種と健康不良は無関係

1991年の湾岸戦争時も話題になった、複数ワクチン接種と健康不良との関連。本報告は、2003年以降イラク戦争に従軍したイギリス軍兵士を対象にしたもので、ロンドン大学Dominic Murphy氏らによるもの。複数のワクチン接種と健康不良との関係を、ワクチン接種の事実に関する自己申告群と、診療録で確認できた群とで、それぞれ検証した。結果、複数ワクチン接種は健康不良とは無関係と報告している。BMJ誌2008年6月30日号掲載より。ワクチン接種と健康不良の関係を自己申告群と記録確認群で検証試験参加者は、2003年以降イラクに展開し1日に複数ワクチンを受けたと回答した軍人から無作為に選択された4,882例。陸軍68%、海軍14%、空軍16%で、将校が16%、女性は8%。平均32.2歳。このうち、ワクチン接種の記録を確認することができた378例をサブセットグループとし検証対照とした。378人のうち、303人は自己申告と診療録の記録が一致していた。主要転帰項目は、心理的苦痛、疲労、心的外傷後ストレス障害(PTSD)の症状、健康を自覚、および多発性身体症状。思い出しバイアスで混乱を来した?1日で2種以上のワクチン接種を受けたと自己申告した人は、疲労(調整後リスク比:1.17、95%信頼区間1.05~1.30)、共通した精神障害(1.31、1.13~1.53)、多発性身体症状(1.32、1.08~1.60)を呈する傾向があった。しかし、診療録でワクチン接種が確認できたサブセットグループで検証した結果、1種だった場合と2種以上だった場合とで、健康結果に有意な差は見られなかった。Murphy氏は、「イラク戦争に従軍した英軍兵士の、複数ワクチン接種と有害な健康結果とは無関係。有害な健康結果は、あくまで自己申告した場合に関連が示されており、“思い出しバイアス”(記憶が定かでなく回答に誤りがある等)がかかっていると解釈される」と結論。「湾岸戦争時の検証では、自己申告に基づく検証しか行われなかった。同様のバイアスがあったかもしれない」とまとめている。

34150.

rivaroxaban長期投与が有効、人工股関節全置換術後の静脈血栓塞栓症予防

新たな経口第Xa因子阻害薬rivaroxabanの長期投与は、人工股関節全置換術(THA)を施行後の静脈血栓塞栓症(VTE)の予防において低分子ヘパリンであるエノキサパリン(商品名:クレキサン)の短期投与よりも有効なことが、21ヵ国が参加した大規模臨床試験(RECORD 2)で確認された。周術期のヘパリンベースの血栓予防療法は致死的肺塞栓症を減少させるが、THA後のVTEのリスクは退院後も持続するため、簡便な長期的抗血栓療法の探索が進められてきた。イギリスBarts and the London医科歯科大学のAjay K Kakkar氏が、Lancet誌2008年7月5日号(オンライン版2008年6月24日号)で報告した。21ヵ国、2,509例が参加した二重盲検ダブルダミー無作為化試験RECORD 2(REgulation of Coagulation in ORthopaedic surgery to prevent Deep-vein thrombosis and pulmonary embolism 2)は、THA施行例を対象にrivaroxaban(10mg/日、1日1回、経口)を31~39日投与する群(プラセボ静注、10~14日)と、エノキサパリン(40mg/日、1日1回、皮下注)を10~14日投与後プラセボを投与する群(31~39日)を比較する二重盲検ダブルダミー無作為化試験。2006年2月~2007年4月に21ヵ国123施設から登録された2,509例が、rivaroxaban群(1,252例)あるいはエノキサパリン群(1,257例)に無作為に割り付けられた。主要評価項目は、深部静脈血栓(両側静脈造影で検出された症候性あるいは無症候性の病変)、非致死的肺塞栓症、30~42日までの全死亡の複合エンドポイントとした。主要評価項目が有意に改善、出血の頻度は同等主要評価項目の解析対象となったのは、rivaroxaban群864例、エノキサパリン群869例。複合エンドポイントの発現率は、エノキサパリン群の9.3%(81/869例)に対し、rivaroxaban群は2.0%(17/864例)と有意に低下した(絶対リスク低下率:7.3%、95%信頼区間:5.2~9.4%、p<0.0001)。安全性評価の対象はrivaroxaban群1,228例、エノキサパリン群1,229例。治療期間中の出血の発現率は、rivaroxaban群6.6%(81/1,228例)、エノキサパリン群5.5%(68/1,229例)と両群で同等であった(p=0.25)。Kakkar氏は、「THA後の症候性のイベントを含むVTEの予防において、rivaroxaban長期投与はエノキサパリン短期投与よりも有意に高い有効性を示した」と結論し、「長期的血栓予防療法をさらに確実なものにするには、THAの予後に影響を及ぼす可能性のある出血や他の有害事象について、高リスク群に重点を置いた評価を行うべき」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

34151.

患者の大うつ病管理に有効な介入法が開発された

“Depression Care for People with Cancer”と呼ばれる複合的な介入法は、専門的な医療サービスを受けている患者における大うつ病管理のモデルとなることが、スコットランドで実施された無作為化試験(SMaRT oncology 1)で示された。大うつ病はなどの疾患に罹患した患者のQOLを著しく損なうが、その管理の指針となるエビデンスは少ないという。イギリスEdinburgh大学研究センターのVanessa Strong氏がLancet誌2008年7月5日号で報告した。通常ケアと通常ケア+看護師による介入を比較研究グループは、大うつ病の体系的なスクリーニング法と複合的な介入法を併用し、うつ病の管理とがん治療を統合した治療システムを開発した。SMaRT(Symptom Management Research Trials)oncology 1は、患者の大うつ病の治療法としてデザインされた介入法である“Depression Care for People with Cancer”の効果を評価する無作為化試験。2003年10月~2005年12月に、スコットランドの地域センターに6ヵ月以上の生存が見込まれ、大うつ病に罹患した200例の外来患者が登録された。平均年齢は56.6歳、141例(71%)が女性であった。99例が通常ケア群に、101例が通常ケア+介入群に無作為に割り付けられた。介入は平均7つのセッションからなり、センターで専門看護師によって施行された。主要評価項目は、無作為化後3ヵ月の時点における自己報告によるSymptom Checklist-20(SCL-20)のうつ病スケール(0~4)の平均スコアの差とした。介入群でSCL-20うつ病スコアが有意に低下データが欠失した4例を除く196例について解析を行った。3ヵ月後における補正後のSCL-20うつ病スコアは、介入を行った群で0.34低下し有意差が認められた(95%信頼区間:0.13~0.55、p=0.002)。治療効果は、6および12ヵ月の時点でも持続していた。介入により不安および疲労感の改善が見られたが、疼痛や身体機能の改善効果は認めなかった。質調整生存年(QALY)の1年の延長ごとに、新たに£5,278(US$1万556)のコストが発生した。Strong氏は、「“Depression Care for People with Cancer”は、専門的な医療サービスに参加しているをはじめとする疾患の患者における大うつ病管理のモデルとなることが示された」と結論し、「今後、SMaRT oncology 2、3において本介入法の費用対効果や、予後不良例にもベネフィットをもたらすか否かを評価する予定である」としている。(菅野守:医学ライター)

34152.

急性腎障害に対して治療集中度では効果に差はない

重症の急性腎障害に対して、腎代替療法をどの程度行うべきかについては論議が続いている。米国退役軍人ヘルスケアシステムと国立衛生研究所(VA/NIH)の急性腎不全調査チームは比較検討を行い、「集中的な腎機能補助療法を行っても、効果に有意差は見られない」と報告した。NEJM誌2008年7月3日号(オンライン版2008年5月20日号)より。血液透析の頻度と血液濾過量の差で比較検討試験は、急性腎障害と、腎以外の臓器不全が1つ以上ある、もしくは敗血症を呈する重症患者1,124例を、集中的な腎代替療法(集中治療群)、あるいは集中度の低い腎代替療法(非集中治療群)のいずれかに無作為に割り付け行われた。両群患者のベースラインの特性は同じ。主要エンドポイントは、60日時点の全死因死亡とした。両群とも、血行動態が安定した患者には間欠的血液透析を行い、血行動態が不安定な患者には持続的静静脈血液濾過透析または持続的低効率透析を行った。集中的治療群は、間欠的血液透析と持続的低効率透析を週6回、および35mL/kg体重/時の持続的静静脈血液濾過透析が行われた。非集中治療群には、治療法は同様だが、頻度が週3回、20mL/kg体重/時で行われた。死亡率、治療期間、腎機能回復率などに有意差なしこの結果、60日時点の全死因死亡率は、集中治療群で53.6%、非集中治療群は51.5%だった(オッズ比:1.09、95%信頼区間:0.86~1.40、P=0.47)。両群間には、腎代替療法の施療期間、腎機能の回復率または腎以外の臓器不全の発生率に有意差はなかった。間欠的血液透析中に低血圧症が起きた頻度は、集中的治療群の患者のほうが多かったが、低血圧症が起きた血液透析の頻度自体は両群で同等だった。死亡率や腎機能、腎以外の臓器不全改善は、治療の集中度では有意差は認められなかったと結論している。(武藤まき:医療ライター)

34153.

心停止時のアドレナリン+vasopressin併用の効果は認められず

心停止への二次心肺蘇生(ACLS)で近年、アドレナリン(エピネフリン)とvasopressinの併用投与が行われている。それぞれを単独投与するより効果的だとされているからだが、臨床推奨にはエビデンスが乏しい。日本の119番に相当する、フランスの救急医療システムSAMUが多施設共同研究を行った結果は、「併用投与の転帰とアドレナリン単独投与の転帰とに差はない」と報告された。NEJM誌2008年7月3日号より。成人患者2,894例を併用投与orアドレナリン単独投与に無作為割り付け院外で心停止を起こした成人患者のうち、1,442例をアドレナリン1mg+vasopressin 40 IU併用投与群に、1,452例をアドレナリン1mg+プラセボ注剤投与群に無作為に割り付け比較検討された。自発循環の回復がみられない場合は、各薬剤組み合せで投与を続け、必要に応じてアドレナリンが追加投与された。併用群のほうが単独群より男性が多かったことを除き、両群のベースラインの特性は同等だった(P=0.03)。主要エンドポイントは入院生存率、副次エンドポイントは自発循環の回復率と、退院生存率、良好な神経学的な回復および1年生存率とした。入院生存率、自発循環回復率ともに有意差なし入院生率存は、併用群が20.7%、単独群が21.3%で有意差はなく(相対死亡リスク:1.01、95%信頼区間:0.97~1.05)、自発循環回復率は同28.6%対29.5%(相対リスク:1.01、95%信頼区間:0.97~1.06)、退院生存率も同1.7%対2.3%(1.01、1.00~1.02)、1年生存率も同1.3%対2.1%(1.01、1.00~1.02)と有意差はなかった。退院時の良好な神経学的状態の回復率は同37.5%対51.5%(1.29、0.81~2.06)だった。このため、院外心停止の二次救命処置で、vasopressinとアドレナリンを併用しても、アドレナリン単独投与の場合と比べて転帰が改善することはないと結論した。(武藤まき:医療ライター)

34154.

DNAメチル化は年齢とともに変化し家系的に類似

DNA配列がメチル化など非遺伝的要因で修飾されたことを記す、いわゆる「エピジェネティック・マーク」は、がんなどの後発性疾患を説明できるのではないかと注目されている。米国ジョンズ・ホプキンス大学医学部のHans T. Bjornsson氏らは、個々人のDNAメチル化の経時変化について調べた。JAMA誌2008年6月25日号より。アイスランドと米国で11~16年後のDNA比較試験は、個々人のゲノム全体のメチル化に縦断的な変化は見られるのか、また、メチル化が家系的な傾向を持つかどうかを評価することを目的に行われた。luminometric methylation assay法で定量的に、被験者の全DNAのメチル化を測定した。対象サンプリングは、アイスランドと米国で行われた。アイスランドでは住民対象の研究参加者「アイスランド・コホート」から111例のDNAサンプルが、1991年に初回採取され、2回目採取が平均11年後の2002~2005年に行われた。米国ではユタ州での家族ベースの研究参加者「ユタ・サンプル」の126例が、初回採取は1982~1985年に、2回目採取は平均16年後の1997~2005年に行われた。主要評価項目は、全DNAのメチル化の経時的変化とした。年齢とともに被験者の29%でメチル化水準が変化アイスランド・コホートのうち29%は、年齢とともに10%以上のメチル化変化を示した(P<0.001)。地理的に遠く隔たったユタ・サンプルでも、年齢に伴う個々人のメチル化変化が見られたばかりでなく、家系的に変化が類似していることも見られた(P=0.003)。DNAの全体的なメチル化が少ない家系では、個々人についても遺伝子特異的なメチル化が少ないことも見出された。Bjornsson氏は、「これらのデータは、DNAのメチル化が年齢とともに変化すること、またメチル化管理が遺伝的にコントロールされている可能性があることを示唆するもの」と結論している。(朝田哲明:医療ライター)

34155.

HIV抗体陽転から5年間の死亡リスクは一般と同等

ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染者の死亡率は、良好な治療を受ける機会に恵まれた先進国では劇的に減少し、現在では非感染者集団の死亡率に近づいている可能性がある。HIVに関するEUの大規模国際共同研究(CASCADE)グループは、HIV抗体陽転後の感染者と非感染者(一般)の死亡率の比較について、多剤併用抗レトロウイルス療法(HAART)導入前後の変化を評価。HAART導入後は5年死亡率が一般死亡率とほぼ変わらないほど改善されていると報告した。JAMA誌2008年7月2日号より。感染者と非感染者の超過死亡率を比較試験は、HIV抗体陽転後コホートの死亡率と予測死亡率(非感染者死亡率として想定した一般死亡率を因子補正しはじき出した率)とを比較するようデザインされ行われた。HIV感染者の経年変化が評価できるよう感染期間で補正構成されたPoisson-based modelが用いられている。データはヨーロッパ各国での1981~2006年のHIV感染者の死亡リスクデータを2007年9月時点で集計したもので、2008年3月に分析された。主要評価項目は、HIV感染者と非感染者の超過死亡率の比較。多剤併用抗レトロウイルス療法後は超過死亡が低下抗体陽転後コホートは、中央値6.3年(範囲:1日~23.8年間)の追跡調査が行われた被験者1万6,534例を含み、うち2,571例が死亡していた。これを予測死亡率推計ではじき出された非感染者死亡235例と比較検討された。研究グループが注目したのは超過死亡率(1,000人/年につき)の経年変化。HAART導入前(1996年以前)は40.8(95%信頼区間:38.5~43.0、超過死亡は3万1,302人/年につき1275.9)だったが、2004~2006年には6.1(95%CL:4.8~7.4、1万4,703人/年につき超過死亡89.6)へ低下。1996年以前と2004~2006年の補正超過ハザード比は0.05(95%信頼区間:0.03~0.09)。2004~2006年の性感染患者については、HIV抗体陽転から5年間の超過死亡は観察されなかった。ただし、15~24歳の被験者では、抗体陽転後10年間で4.8%であり(95%信頼区間:2.5~8.6%)、より長期間では、累積的な超過死亡の可能性は残っている。以上から、HIV感染者の死亡率は、HAART導入以来、一般死亡率に非常に近づいたと結論。先進国では、HIV感染後の期間が長くなると超過死亡率が上がるが、性交渉で感染した人は、感染後の5年死亡率は、一般集団と同レベルになっているようだと報告された。(朝田哲明:医療ライター)

34156.

糖尿病患者の7割が合併症に不安

日本イーライリリー株式会社は、50~60代の糖尿病患者200名を対象に行ったインターネット調査から、糖尿病患者の7割が合併症に不安を持っていることがわかったと発表した。調査によると、糖尿病による合併症発症について、どの程度不安を感じているか尋ねたところ、「非常に不安である」(18.5%)、「時々不安になることがある」(52.0%)と、患者の7割以上が、合併症への不安を抱えていた。また、糖尿病治療を始めて5年以上の患者は5年未満の患者と比べて、不安を感じる割合が高く、治療期間が長くなるにつれて合併症への不安が強まることが伺える。一方、インスリン治療を実際に始めた患者では、その効果などを前向きに評価しており、3割が「もっと早く始めれば良かった」と回答している。インスリン未治療患者では、治療効果への理解が低く、6割がインスリン治療に不安を持つ結果となった。詳細はプレスリリースへhttp://www.lilly.co.jp/CACHE/news_2008_22.cfm

34157.

QRISK2は心血管系イベントのハイリスクの予測に優れている

心血管系イベントの予測ツールとして、英国人データを基に開発されたQRISK(10年間心血管系イベント率予測スコア)(2007年8月10日配信号参照)。その進化バージョンQRISK2(心血管疾患リスクアルゴリズム)の開発・検証報告が、英国ノッチンガム大学のJulia Hippisley-Cox氏らにより発表された。QRISK2は、英国立医療技術評価機構(NICE)が推奨するFraminghamスコア補正バージョンよりもパフォーマンスが優れたもの、イングランドとウェールズ特異の人種コホートを鑑み心血管リスクの正確な推定値を提供できることを目的とし開発された。BMJ誌2008年6月28日号(オンライン版2008年6月23日号)掲載より。英国のQRESEARCHで登録された230万人を基にツール開発は、QRESEARCHでデータベース登録された35~74歳の230万人(1,600万人 年超)、心血管イベント14万件を基とする。全母集団(開発コホートと検証コホート合わせて)のうち、222万人が白人または人種不明の集団で、22,013人が南アジア人、11,595人がアフリカ系黒人、10,402人がカリブ系黒人、19,792人が中国系またはその他アジア系で構成されていた。主要評価項目は、心血管疾患(虚血性心疾患、脳卒中、一過性脳虚血発作)の初回診断(インシデント報告)記録。リスク因子は、自己申告を含む民族性、年齢、性、喫煙状態、収縮期血圧、血清総コレステロール、BMI、60歳未満家族(一親等)の虚血性心疾患歴、貧困スコア、および高血圧、2型糖尿病、腎疾患、心房細動、関節リウマチの治療歴。Framinghamスコアよりも優れている検証の結果、QRISK2はFraminghamスコアよりも優れていることを示した。R2乗検定によるモデル適合度は、QRISK2(女性43% 、男性38%)vs. Framingham(39%、35%)。ハイリスク群(10年リスクが20%以上)にFraminghamで分類されたのは112,156人だったが、QRISK2で検証するとそのうちの46,094人(41.1%)にとどまる。そしてこのうち実際の10年リスクは16.6%で、20%閾値以下だった。一方QRISK2でハイリスクに分類されたのは78,024人。Framinghamで分類できたのはそのうち11,962(15.3%)人、実際の10年リスクは23.3%で20%閾値を上回っていた。検証コホートにおいて、年間インシデント20%以上と予測されたのは、QRISK2では女性で30.6/1,000人年、男性で32.5/1,000人年。一方、Framinghamでは、26.4/1,000人年、25.7/1,000人年で、実際の20%以上のイベント発生はQRISK2で予測された集団のほうが高かった。これらからCox氏は「QRISK2は特に“20%”を閾値とするハイリスク群の選定に優れ、心血管疾患の第一次予防のためのより効果的なツールである」と結論した。また、検証グループの属性を変えてさらなる妥当性の検証を行う必要性も述べている。

34158.

過去50年間の戦死者数は公表データの3倍以上?

戦争による死者数は、公式に発表されている数よりも実際にははるかに多いといわれている。ワシントン大学のZiad Obermeyer氏らの研究グループは、公衆衛生の統計手法を用いて、1960年代のベトナム戦争から2000年代のボスニア・ヘルツェゴビナ紛争に至る、過去50年間の戦死者の正確な推計値を導き出した。BMJ誌2008年6月28日号(オンライン版2008年6月19日号)掲載より。公衆衛生の手法を用いて戦死者数を割り出す死亡率に関する調査データ分析では、抽出や検閲によるバイアスが起きやすいため、一般的な調査に用いられる、公衆衛生における健康度測定(WHS)のためにデザインされた手法――1世帯から回答者を1人選び、家族の全原因死亡を聞く――が用いられた。得られた推計死亡数を、ウプサラ大学/平和研究所(PRIO)の共同調査データベースにある推計値と比較し、より正確な推計値を導き出す作業が行われた。集められたデータは、2002~2003年に行われたWHSで、その死が戦傷によるものかどうかを含めて、各世帯から家族の死亡に関するデータが集められた。主要評価項目は、13ヵ国の50年間の戦争による推計死亡数。13ヵ国で約540万人1955年から2002年までの調査に基づくデータから、13ヵ国で約540万人の戦死者数(95%信頼区間:300 ~870万人)が導き出された。最少はコンゴ民主共和国の7,000人、最多はベトナムの380万人。直近となる1995年~2002年の調査データからは、調査対象13ヵ国の戦死者数は毎年36,000人(95%信頼区間:16,000~71,000人)であることが示された。一方、ウプサラ/PRIOの調査データでは、このわずか3分の1の数しか示されなかった。WHSのデータとの照合が可能な直近10年となる1985~1994年の全世界の戦死者数は、毎年378,000人と推計された。Obermeyer氏は「平時における家族の既往歴に関する調査データを用いることで、戦争による死亡率を過去にさかのぼって推計することができる」と述べるとともに、「戦争による死者はこれまで推計されていたよりもはるかに多く、また近年は戦死者数が減少しているとの説もあるが全く根拠がない」と結論している。

34159.

α遮断薬の投与によって治療中の高血圧症例の尿中アルブミンが減少する

自治医科大学循環器科の苅尾七臣氏(=写真)らは、治療中の高血圧症患者に対するα遮断薬ドキサゾシンの就寝前投与によって、尿中アルブミン/クレアチニン比(urinary albumin/creatinine ratio、以下UAR)の有意な減少が認められたことをJournal of Hypertension誌6月号に発表した1)。これは厳格な早朝高血圧管理が臓器障害の発症抑制に及ぼす影響を検討することを目的としたJapan Morning Surge-1(JMS-1)試験より得られた結果で、α遮断薬の投与によって微量アルブミン尿が減少することを無作為化比較試験において証明した。以下、本試験の概要とこれまで得られていた知見を踏まえてレビューする。600例を越える治療中の高血圧症例を対象とした無作為化比較試験JMS-1試験では治療中の高血圧症患者611例がドキサゾシン群と対照群とに無作為に割り付けられ、6ヵ月後の血圧値(外来血圧、早朝血圧、就寝前血圧)とUARが評価された。ドキサゾシンは1~4mg/日を就寝前に投与された。対象の3人に2人はCa拮抗薬(ドキサゾシン群:66.6%、対照群:65.6%)が、約6割にARB(ドキサゾシン群:60.3%、対照群:57.5%)、約2割に利尿薬が投与されていた。また、約15%が糖尿病を合併しており(ドキサゾシン群:15.3%、対照群:16.5%)、238例(対象の39.0%)に微量アルブミン尿(UAR:30-300 mg/gCr)が認められた。ドキサゾシンの追加投与によって治療中の高血圧症例の血圧が有意に低下ドキサゾシンの投与によって試験期間中を通じて血圧値は対照群より低値でコントロールされ、6ヵ月後におけるドキサゾシン群と対照群の血圧差は、外来血圧で8.7/7.5mmHg、早朝血圧で8.9/6.0mmHg、就寝前血圧で4.8/4.0mmHgであり、いずれも有意な差を認めた。ドキサゾシンの投与によって尿中アルブミン/クレアチニン値が有意に減少UARはドキサゾシンの投与によって3.4mg/gCr減少し、対照群に比べて有意な差が認められた(p

34160.

CKD死亡率1.83倍、心血管疾患罹患率2倍:台湾大規模コホート研究

台湾では、慢性腎臓病(CKD)とそれに起因する全死亡の発生率が、特に社会経済的な地位が低い人口層で高く、その低減が公衆衛生学的な優先課題であることが、国立健康研究所健康政策研究開発センターのChi Pang Wen氏らが実施したプロスペクティブな大規模コホート研究で明らかとなった。末期腎臓病、CKDともに世界的な規模で増加しているが、CKDの5つの病期ごとの死亡リスクが明確でないためその影響の全貌は不明だという。Lancet誌2008年6月28日号掲載の報告。46万人以上を対象としたプロスペクティブなコホート研究研究グループは、台湾におけるCKDの全病期ごとの発生率および死亡率を評価し、CKDに起因する全死亡を定量化した。対象は、1994年に開始された標準的医学スクリーニングプログラムに参加した20歳以上の成人46万2,293人。2006年12月31日の時点で1万4,436人が死亡していた。CKDは糸球体濾過率(GFR)および尿蛋白で定義し、年齢および教育水準で補正したコホートにおいて台湾の全国的な発生率を評価した。ハザード比はCox比例ハザードモデルを用いて推算し、CKDに起因する死亡率を全国民および社会経済的な地位が低い人口層について算出した。全人口の10.3%がCKDで死亡、CKDの39%が65歳以前に死亡全国的なCKDの発生率は11.93%(95%信頼区間:11.66~12.28%)であったが、CKDを自覚していたのは参加者の3.54%(95%信頼区間:3.37~3.68%)にすぎなかった。社会経済的な地位が高い人口層に比べ、低い層でCKD発生率が実質的に高かった(19.87% vs. 7.33%)。CKD患者数は5万6,977人であった。観察期間13年、フォローアップ期間中央値7.5年におけるCKD患者の全死亡率は非CKDに比べ83%高く(ハザード比:1.83、95%信頼区間:1.73~1.93)、心血管疾患の罹患率は100%高かった(ハザード比:2.00、95%信頼区間:1.78~2.25)。全人口の10.3%がCKDで死亡していたが、社会経済的な地位の低い人口層のCKDによる死亡率は17.5%であった。CKD患者のうち、2,350人(39%)が65歳以前に死亡していた。漢方薬常用者はCKDの発症リスクが非使用者に比べ20%上昇していた(ハザード比:1.20、95%信頼区間:1.16~1.24)。Wen氏は、「台湾では、CKDとそれに起因する全死亡の発生率が、特に社会経済的な地位が低い人口層で高いため、CKDの低減が公衆衛生学的な優先課題である」と結論、「早世を減らし、CKDの世界的まん延に歯止めをかけるには、自分のGFRを知ることと尿検査の受診に関する社会的な認識を高めることが重要」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

検索結果 合計:34711件 表示位置:34141 - 34160