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糖尿病患者に対するピアサポート、プライマリ・ケアへの導入は可能か?

2型糖尿病患者に対するグループ活動ベースのピアサポート(peer support)による介入は、HbA1cや総コレステロール値などを改善せず、プライマリ・ケアへの広範な導入は支持されないことが、アイルランド・トリニティ・カレッジ(ダブリン大学)プライマリ・ケア科のS M Smith氏らの検討で示された。ピアサポートは「同様の人生経験の共有に基づく経験知を持つ個人による支援の提供」と定義される。糖尿病患者同士が、日々の生活のマネージメントにおいて互いに支え合うために自らの能力を活かすものであり、WHOも糖尿病治療の有望なアプローチの一つとして注目しているが、現時点ではその有効性を支持するエビデンスは限られているという。BMJ誌2011年2月26日号(オンライン版2011年2月15日号)掲載の報告。2年間のピアサポートに関するクラスター無作為化試験研究グループは、2型糖尿病患者に対するピアサポートの有効性を検証するクラスター無作為化対照比較試験を実施した。アイルランド東部地域の20のプライマリ・ケア施設に、2型糖尿病患者395例およびピアサポーター29人が登録された。全施設が標準化された糖尿病治療システムを導入していた。ピアサポートによる介入期間は2年間で、介入は以下の4つの要素で構成された。1)ピアサポーターの登録:1人で7~8人の患者を担当。1年以上の2型糖尿病罹患歴があり、予防治療を受けて治療チームによって治療や行動変容療法を遵守しうると判定され、必要な訓練の実行能力をもつなどの条件を満たす者2)ピアサポーターの訓練:2型糖尿病の基礎やグループ診療、守秘義務などに焦点を当てた2回の講習会を受講3)ミーティング:医療従事者、ピアサポーター、患者が参加するミーティングのほか、ピアサポーターが催し医療従事者は関与しないセッションが2年間で9回開催され、フィードバックを受けた研究チームが「よくある質問(FAQ)」を作成して次回ミーティングで活用4)ピアサポーターのサポート:ミーティング前後の電話相談、年1回の社会的、教育的イベント開催、関連経費の金銭的助成など主要評価項目は、HbA1c、総コレステロール値、収縮期血圧、健康度スコアとした。全主要評価項目で改善なし、不参加者が18%10施設(192例)が介入群に、10施設(203例)が対照群に割り付けられ、全体のフォローアップ完遂率は85%(337/395例)、各群の完遂率はそれぞれ87%(166/192例)、84%(171/203例)であった。2年間のフォローアップで、いずれの主要評価項目も有意な改善効果は得られなかった。HbA1c(平均差:−0.08%、95%信頼区間:−0.35~0.18%)、総コレステロール値(−0.03mmol/L、−0.28~0.22mmol/L)、収縮期血圧(−3.9mmHg、−8.9~1.1mmHg)、健康度スコア(−0.7、−2.3~0.8)。介入群における収縮期血圧>130mmHgの患者は52%(87/166例)と、対照群の61%(103/169例)に比べて良好であり、全体としてコントロール不良なリスク因子を有する患者の割合は介入群で減少傾向にあったが、いずれも有意差は認めなかった。介入は全般に予定どおり行われたが、介入群の患者の18%(35例)が一度もミーティングに参加しなかった。著者は、「2型糖尿病患者に対するグループ活動ベースのピアサポートによる介入は、プライマリ・ケアにおいて実行可能であったが、全例を対象とした場合には有効ではなかった。臨床アウトカムは改善傾向を認めたものの、広範なピアサポートの導入を支持する結果は得られなかった」と結論し、「Peers for Progress(http://www.peersforprogress.org/)は世界各地で2型糖尿病のピアサポートに関する臨床試験やデモンストレーションを展開中であり、コントロール不良例にターゲットを絞ったサポートなどのモデル開発に向け、さらなる検討を進めている」としている。(菅野守:医学ライター)

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質の悪い空気が心筋梗塞を招く

心筋梗塞発症を誘発する因子(トリガー)として最も関連性の高い因子は、自動車排出ガスと大気汚染から成る空気の質の低下であることが、ベルギー・Hasselt大学環境科学センターのTim S Nawrot氏らの検討で明らかとなった。急性心筋梗塞のトリガーとしては、従来からよく知られた身体運動や飲酒、コーヒー飲用のほか、精神的負担の大きい出来事、胃に重い食事、大気汚染の増大などさまざまな因子がある。しかし、個々のトリガーの重要性や関連性の程度は不明だという。Lancet誌2011年2月26日号(オンライン版2011年2月24日号)掲載の報告。個々のトリガーの重要度を、OR、曝露率を考慮し、PAFを用いて評価研究グループは、個々の患者や地域住民レベルにおける心筋梗塞のトリガーのリスクを比較するメタ解析を行った。1960~2010年までのPubMedとWeb of Scienceのデータベースを検索して非致死的な心筋梗塞のトリガーに関する試験を同定し、人口寄与割合(PAF:リスクを除くことで回避しうる疾患の程度)を算出した。実行可能と判定された場合に、同じトリガーに関する試験についてメタ回帰分析を行った。レビューの対象となった疫学研究のうち、36の試験が十分なデータを備えていると判定された。評価の対象となった地域住民のトリガーへの曝露率には、コカイン使用の0.04%から大気汚染の100%までの幅が認められた。PAF最高は、自動車排出ガス曝露7.4%トリガーをオッズ比(OR)でランクづけすると、最高がコカイン使用の23.7(95%信頼区間:8.1~66.3)で、次いで胃に重い食事が7.0(0.8~66)、以下、マリファナ吸飲4.8(2.9~9.5)、否定的な感情4.46(1.85~10.77)、身体運動4.25(3.17~5.68)、肯定的な感情3.5(0.7~16.8)、怒り3.11(1.8~5.4)、性行為3.11(1.79~5.43)、飲酒3.1(1.4~6.9)、自動車排出ガス曝露2.92(2.22~3.83)、呼吸器感染症2.73(1.51~4.95)、コーヒー飲用1.5(1.2~1.9)、大気汚染(直径≦10μmの粒状物質の30μg/m3の増加)1.05(1.03~1.07)、大気汚染(同10 μg/m3の増加)1.02(1.01~1.02)の順であった。ORと曝露率を考慮するとPAFが最も高かったのは自動車排出ガス曝露の7.4%であり、以下、身体運動6.2%、飲酒5.0%、コーヒー飲用5.0%、大気汚染(30 μg/m3の増加)4.8%、否定的な感情3.9%、怒り3.1%、胃に重い食事2.7%、肯定的な感情2.4%、性行為2.2%、大気汚染(10 μg/m3の増加)1.6%、コカイン使用0.9%、マリファナ吸飲0.8%、呼吸器感染症0.6%であった。著者は、「リスクとトリガーへの曝露の程度を考慮すると、一般住民レベルにおける心筋梗塞の最も重要なトリガーは自動車排出ガスと大気汚染を合わせた質の悪い空気であり、よく知られたトリガー(身体運動、飲酒、コーヒー飲用)のリスク強度は同等(PAF 5~7%)であった」と結論し、「一般住民レベルの心筋梗塞の発症を低減するには、われわれが呼吸している空気の質の改善が、最も関連性の高いターゲットである」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

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ARBカンデサルタン、急性脳卒中への有用性:SCAST試験

血圧の上昇を伴う脳卒中患者における、アンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)カンデサルタン(商品名:ブロプレス)の有用性について、ノルウェー・オスロ大学のElse Charlotte Sandset氏らが実施したSCAST試験の結果が報告された。血圧の上昇は、急性脳卒中の一般的な原因であり、不良な予後のリスクを増大させる要因である。ARBは梗塞サイズや神経学的機能に良好な効果を及ぼすことが基礎研究で示され、高血圧を伴う急性脳卒中患者を対象としたACCESS試験では、カンデサルタンの発症後1週間投与により予後の改善が得られることが示唆されていた。Lancet誌2011年2月26日号(オンライン版2011年2月11日号)掲載の報告。1週間漸増投与の有用性を評価SCAST試験の研究グループは、血圧上昇を伴う急性脳卒中患者に対するカンデサルタンを用いた慎重な降圧治療の有用性を評価する二重盲検プラセボ対照無作為化試験を実施した。北ヨーロッパ9ヵ国146施設から、18歳以上、症状発現後30時間以内、収縮期血圧≧140mmHgの急性脳卒中(虚血性あるいは出血性)患者が登録された。これらの患者が、カンデサルタン群あるいはプラセボ群に無作為に割り付けられ、7日間の治療を受けた。第1日に4mgを、第2日に8mgを投与し、第3~7日には16mgが投与された。患者と担当医には治療割り付け情報は知らされなかった。主要評価項目は、血管に関する複合エンドポイント(6ヵ月以内の血管死、心筋梗塞、脳卒中)および機能アウトカム(6ヵ月の時点において修正Rankinスケールで評価)とし、intention-to-treat解析を行った。主要評価項目に大きな差は認められず2,029例が登録され、カンデサルタン群に1,017例、プラセボ群には1,012例が割り付けられた。そのうち6ヵ月後に評価が可能であったのは2,004例(99%、カンデサルタン群:1,000例、プラセボ群:1,004例)であった。7日間の治療期間中の平均血圧は、カンデサルタン群[147/82mmHg(SD 23/14)]がプラセボ群[152/84mmHg(SD 22/14)]よりも有意に低下した(p<0.0001)。6ヵ月後のフォローアップの時点における複合エンドポイントの発生率は、カンデサルタン群が12%(120/1,000例)、プラセボ群は11%(111/1,004例)であり、両群間に差を認めなかった(調整ハザード比:1.09、95%信頼区間:0.84~1.41、p=0.52)。機能アウトカムの解析では、不良な予後のリスクはカンデサルタン群のほうが高い可能性が示唆された(調整オッズ比:1.17、95%信頼区間:1.00~1.38、p=0.048)。事前に規定された有用性に関する副次的評価項目(全死亡、血管死、虚血性脳卒中、出血性脳卒中、心筋梗塞、脳卒中の進行、症候性低血圧、腎不全など)や、治療7日目のScandinavian Stroke Scaleスコアおよび6ヵ月後のBarthel indexで評価した予後はいずれも両群で同等であり、事前に規定されたサブグループのうちカンデサルタンの有用性に関するエビデンスが得られた特定の群は一つもなかった。6ヵ月のフォローアップ期間中に、症候性低血圧がカンデサルタン群の9例(1%)、プラセボ群の5例(<1%)に認められ、腎不全がそれぞれ18例(2%)、13例(1%)にみられた。この結果から、血圧の上昇を伴う急性脳卒中患者においては、ARBであるカンデサルタンを用いて慎重に行った降圧治療は有用であることを示すことはできなかった。

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農家で育つ子どもは喘息、アトピーの有病率が低い:ドイツ

微生物に曝される環境下であることと、喘息や花粉症のようなアレルギー性疾患の発症が少ないこととの関連が繰り返し報告されているが、それらはロシアとフィンランドというように近接する生活環境が異なる集団からの知見であった。そこでドイツ・ミュンヘン大学小児病院のMarkus J. Ege氏ら「GABRIELA Transregio 22」研究グループは、同一地域に住んでいる子どもで、農家の子どもとそれ以外の子どもとの喘息・アトピー有病率を比較し、微生物に曝されることとの関連を調べた。NEJM誌2011年2月24日号掲載より。農家とそれ以外の子どもの喘息・アトピー有病率と微生物曝露のデータを解析研究グループは、二つのスタディデータを用いて、農家とそれ以外の子どもの喘息・アトピー有病率と微生物曝露について検討した。一つは「PARSIFAL」(アレルギー予防―農業とアントロポゾフィー〈人智学〉を基盤とした生活環境下にいる子どもの感作の危険因子)のデータ。PARSIFALでは、マットレスダストをサンプルに、細菌DNAのスクリーニングがSSCP法(培養法では測定できない環境細菌を検出するための解析法:一本鎖高次構造多型解析)にて行われた。もう一つは「GABRIELA」(欧州共同体における喘息の遺伝的・環境要因特定のための集学的研究「GABRIEL」の先端研究)のデータで、GABRIELAでは、子ども部屋の降下ダストをサンプルに、培養法にて細菌と真菌の分類評価が行われた。スタディ母集団は、PARSIFALはドイツ南部のバイエルン地方の6~13歳の児童6,843人、GABRIELAはオーストリア・ドイツ南部・スイスの6~12歳の児童9,668人だった。そのうち、両スタディのバイエルン地方に住む子どものデータ(PARSIFAL:489例、GABRIELA:444例)を解析した。曝される環境微生物が多様なほど、喘息リスクが低い結果、両スタディとも、喘息およびアトピーの有病率が、バイエルン地方の農家で暮らす子ども(PARSIFAL:52%、GABRIELA:16%)の方が、対照(農家以外の子ども)群と比べて低かった。喘息に関する補正後オッズ比は、PARSIFALでは0.49、GABRIELAでは0.76、アトピーに関する補正後オッズ比は両スタディ間でより開きが大きく、それぞれ0.24、0.51だった。また、農家の子どもの方が多様な環境微生物に曝露されていた。そして曝露される微生物が多様であるほど、喘息リスクが低くなるという逆相関の関連が認められた(PARSIFALでのオッズ比:0.62、GABRIELAのオッズ比:0.86)。さらに、特定の微生物への曝露について、喘息リスクとの逆相関が認められた。その微生物は、真菌分類群ユーロチウム属の種(補正後オッズ比:0.37)や、リステリア菌、桿菌、コリネバクテリウム属その他の細菌種(補正オッズ比:0.57)などだった。Ege氏は、「農家で暮らす子どもは、それ以外で暮らす子どもより広範な微生物に曝露されていた。そしてこの曝露が、喘息と農家で育つ子どもとの逆相関の関連について大部分の理由づけとなっている」と結論、また今後は、どのような種の微生物曝露が喘息予防に結びつくのかを特定するための試験に挑んでいくつもりだとまとめている。(武藤まき:医療ライター)

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BMIと死亡リスクとの関連、アジア人では?

世界保健機関(WHO)推定では、世界の10億人以上の成人が過体重であり、少なくとも3億人は太り過ぎとされ、一方で体重、とりわけBMIと健康アウトカムとの関連を広範囲に評価した疫学研究が行われている。それに対し米国ヴァンダービルト大学メディカルセンター疫学センターのWei Zheng氏らは、それら疫学研究の大半はヨーロッパ系のコホート集団で行われたもので、世界人口の60%以上を占めるアジア人全体のBMIと死亡リスクとの関連は明らかになっていないとして、アジアの19のコホート集団110万人以上を対象に、BMIと死亡リスクとの関連を評価するプール解析を行った。NEJM誌2011年2月24日号より。東アジア人のBMIと死亡リスクとの関連はU字型カーブを示す解析の対象としたコホート試験は1試験を除き、被験者1万人以上、追跡5年以上の基線にBMIデータを含むもので、平均追跡期間は9.2年、その間に約12万700件の死亡が含まれていた。解析は、交絡因子を補正しコックス回帰モデルを用い行われた。結果、中国人、日本人、韓国人を含む東アジアのコホート集団においては、BMIが22.6~27.5の範囲で死亡リスクが最も低かった。死亡リスクは、BMIレベルが同範囲より高い人でも低い人でも上昇し、BMIが35.0以上の人で1.5倍、BMIが15.0以下の人では2.8倍だった。同様のU字型カーブの関係は、BMIとがん並びに心血管疾患、その他の原因による死亡リスクとの間でもみられた。インド・バングラデシュのコホート集団では、高BMI関連死亡超過リスクは認められず一方、インド人とバングラデシュ人のコホート集団では、BMIが20.0以下の人はBMIが22.6~25.0の人と比較して、全死因死亡リスクと、がんまたは心血管疾患以外の原因による死亡リスクは増加したが、高BMIと関連する全死因死亡並びに死因別死亡の超過リスクは認められなかった。これらから研究グループは、「すべてのアジア人集団で、低体重は、死亡リスクの大幅な増加と関連していたとしたが、高BMIと関連する死亡の超過リスクは、東アジア人の集団では認められたが、インド人とバングラデシュ人の集団では認められなかった」とまとめている。(朝田哲明:医療ライター)

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高齢女性ビスホスホネート製剤5年以上服用者、非定型骨折リスク増大も絶対リスクは低い

 高齢女性において、ビスホスホネート製剤5年以上の服用は、転子下または大腿骨骨幹部骨折のリスクを約2.7倍に増大することが明らかにされた。ただし、その骨折の発症率自体は、1年間で0.13%と低いことも示された。カナダ・トロントにあるSt. Michael's HospitalのLaura Y. Park-Wyllie氏らが、ビスホスホネート製剤を服用する68歳以上の女性20万人超について行った住民ベースのコホート内症例対照研究の結果明らかにしたもので、JAMA誌2011年2月23日号で発表した。ビスホスホネート製剤は骨粗鬆症治療の頼みの綱となる一方で、長期使用が骨リモデリングを抑制し非定型骨折の原因になっているのではないかとの懸念が持たれている。ビスホスホネート製剤服用の20万人超を追跡 研究グループは、カナダのオンタリオ州に住む68歳以上の女性で、2002年4月1日~2008年3月31日にかけて、骨粗鬆症の治療としてビスホスホネート製剤の服用を開始した20万5,466人について、2009年3月31日まで追跡した。 主要解析は、転子下または大腿骨骨幹部骨折による入院とビスホスホネート製剤服用期間との関連。ケース群1人に対し、5人のコントロール群を抽出し検討が行われた。また所見の特異性を検証するために、骨粗鬆症性骨折の特性である大腿骨頸部または転子部骨折との関連も調べられた。転子下または大腿骨骨幹部骨折が2.74倍に、ただし絶対リスクは低い 結果、被験者のうち転子下または大腿骨骨幹部骨折を発症したのは、0.35%にあたる716人だった。ビスホスホネート製剤を5年以上服用している人は、5年未満の一時的服用者に比べ、転子下または大腿骨骨幹部骨折発症に関する補正後オッズ比は、2.74(95%信頼区間:1.25~6.02)だった。 骨粗鬆症の典型的な症状である大腿骨頸部または転子部骨折は、9,723人に認められた。ビスホスホネート製剤の5年以上服用者は、5年未満の一時的服用者と比べ、補正後オッズ比0.76(同:0.63~0.93)と低減していた。 なお、ビスホスホネート製剤を5年以上服用していた5万2,595人で、転子下または大腿骨骨幹部骨折を発症したのは、服用後1年間で71人(0.13%)、同2年間で117人(0.22%)だった。 著者は、「高齢女性において、ビスホスホネート製剤5年以上服用者に、転子下または大腿骨骨幹部骨折のリスク増大が認められた。ただし、その絶対リスクは低い」と結論している。

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早期乳がん歴のある人へのマンモグラフィスクリーニングの感度および特異度は?

早期乳がん歴のある人に対するマンモグラフィの検査精度と成果が明らかにされた。乳がん歴のある人には、第2の乳がんリスクへの懸念もありマンモグラフィのスクリーニングが推奨されるが、その成績についての信頼できる検証データはほとんどないという。オーストラリア・シドニー大学のNehmat Houssami氏らが、全米乳がんサーベイランス協会(BCSC)加盟施設でマンモグラフィを受けた2万人弱の早期乳がん歴のある人と、同乳がん歴のない人とのデータを分析し、JAMA誌2011年2月23日号で発表した。乳がん歴のある人の約6万件のマンモグラフィデータをコントロール群と比較研究グループは、1996~2007年にBSCS加盟施設で行われたマンモグラフィのうち、早期乳がん歴のある1万9,078人に行われた5万8,870件のデータと、コントロール群(乳房密度や年齢、実施年などをマッチングした乳がん歴のない)5万5,315人に行われた5万8,870件のデータについて比較した。乳がん歴は、上皮内がんまたは浸潤がんのステージIまたはIIだった。結果、マンモグラフィ実施後1年以内に乳がんが見つかった人は、乳がん歴あり群では655人(浸潤がん499人、上皮内がん156人)、乳がん歴なし群では342人(浸潤がん285人、上内皮がん57人)だった。感度、特異度ともに乳がん歴あり群の方が乳がん歴なし群に比べて低い乳がん歴なしと比較しての乳がん歴あり群のマンモグラフィの精度および成果については、がん発生率は乳がん歴あり群1,000スクリーニング当たり10.5、乳がん歴なし群1,000スクリーニング当たり5.8であり、がん検出率は1,000スクリーニング当たり6.8、乳がん歴なし群は1,000スクリーニング当たり4.4だった(p<0.001)。中間期がん発生率は、乳がん歴なし群が1.4/1,000スクリーニングに対し、乳がん歴あり群が3.6/1,000スクリーニングと有意に高率だった。検診の感度は、乳がん歴あり群65.4%に対し乳がん歴なし群76.5%、特異度は同99.0%に対し98.3%と、いずれも乳がん歴あり群の方が低かった(p<0.001)。その他、マンモグラム異常が認められたのは、乳がん歴あり群2.3%、乳がん歴なし群1.4%だった(p<0.001)。また、乳がん歴あり群では、上皮内がん検出に関する感度は78.7%だったのに対し、浸潤がんに関する感度は61.1%と低く(p

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地域ベースの健康増進・予防プログラム、高齢者の心血管疾患罹患率改善の可能性

ボランティア運営の高齢者を対象とした地域ベースの健康増進・予防プログラムによる介入が、心血管疾患罹患率を改善する可能性があることが、カナダ・ブリティッシュ・コロンビア大学家庭医療科のJanusz Kaczorowski氏らの検討で明らかとなった。文献的には、地域の心血管系の健康状態にはリスク因子分布のわずかな変動が重要な影響を及ぼすことが繰り返し強調されてきたが、そのような転換を促進する地域ベースの介入を支持する確固たるエビデンスはわずかしかないという。当該地域の状況によりよく適合した心血管疾患の地域予防プログラムを策定するには、実際に遂行した上で厳格な評価を行う必要がある。BMJ誌2011年2月19日号(オンライン版2011年2月7日号)掲載の報告。介入の前後で入院率を比べるクラスター無作為化試験研究グループは、地域ベースの健康増進プログラムであるCardiovascular Health Awareness Program (CHAP)が心血管疾患の罹患率に及ぼす影響を評価するクラスター無作為化試験を実施した。対象は、カナダ・オンタリオ州の39の中規模地域に居住する65歳以上の住民であり、CHAPを受ける群(20地域)あるいは非介入群(19地域)に無作為に割り付けられた。各地域のかかりつけ医、薬剤師、看護師、ボランティア、主要な地域活動機関が参加した。CHAP群の地域では、65歳以上の住民が、地域の薬局を会場としたボランティア運営の10週にわたる心血管リスク評価と教育セッションから成るプログラムに参加するよう促された。参加者の自動血圧測定値と自己申告によるリスク因子のデータが収集され、本人、かかりつけ医、薬剤師に知らされた。主要評価項目は、急性心筋梗塞、脳卒中、うっ血性心不全による入院の複合エンドポイントとし、CHAP施行の前後で比較した。介入前に比べ入院率が9%低下介入群の20地域でCHAPは滞りなく実施された。10週のプログラム期間中に、地域の145の薬局のうち129ヵ所(89%)において、合計1,265の3時間にわたる長時間セッションが開催された。577人のボランティアの支援の下で、1万5,889人の参加者に対し合計2万7,358の心血管リスク評価が行われた。介入の前年の入院率で調整したところ、CHAPによる介入によって、非介入群に比べ複合エンドポイントの発生率が相対的に9%低下した(発生率比:0.91、95%信頼区間:0.86~0.97、p=0.002)。これは、65歳以上の住民の心血管疾患による年間入院率が、人口1,000人当たり3.02人低下したことを示す。急性心筋梗塞による入院は、非介入群に比べCHAP介入群で13%低下し(発生率比:0.87、95%信頼区間:0.79~0.97、p=0.008)、うっ血性心不全による入院は10%低下しており(同:0.90、0.81~0.99、p=0.029)、いずれも有意差がみられたが、脳卒中による入院には差を認めなかった(同:0.99、0.88~1.12、p=0.89)。著者は、「高齢者を対象とした多彩な計画から成る地域ベースの健康増進・予防の共同プログラムは、住民の心血管疾患罹患率を改善する可能性がある」と結論している。また、「ボランティアによる介入は住民の参加率を向上させ、医療従事者や地域の活動機関の動員、組織化に有効であった」という。(菅野守:医学ライター)

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CRPそのものは、冠動脈心疾患の原因か?:約19万5,000人の遺伝学的メタ解析

血中C反応性蛋白(CRP)濃度自体は冠動脈心疾患の原因因子ではないことが、C Reactive Protein Coronary Heart Disease Genetics Collaboration(CCGC)による検討で示された。CRPの血中濃度は将来的な冠動脈心疾患のリスクと強力かつ持続的に相関するが、この関連性が両者の因果関係を反映するかは不明だ。一方、CRP関連遺伝子の変異はCRP濃度の代替指標として因果関係の判定の一助に使用可能とされる。これまでに実施された試験は、冠動脈心疾患におけるCRPの因果的な役割の可能性を評価するにはパワー不足で精密性にも欠けるという。BMJ誌2011年2月19日号(オンライン版2011年2月15日号)掲載の報告。CRP遺伝子のSNP、血中CRP濃度、他のリスク因子の関連を評価CCGCの研究グループは、CRP関連遺伝子の変異は、冠動脈心疾患におけるCRPの因果的な役割の評価において、血中濃度の非交絡的な代替指標として使用可能か否かについて検討した。15ヵ国で実施された47の疫学試験の個々の患者データを用いて、遺伝学的なメタ解析を行った。冠動脈心疾患患者4万6,557人を含む19万4,418人において、CRP遺伝子の4つの一塩基多型(SNP)(rs3093077、rs1205、rs1130864、rs1800947)、血中CRP濃度、その他のリスク因子の程度の関連について解析を行った。主要評価項目は、従来のリスク因子および個人内のリスク因子レベルの変動で調整した上での、血中CRP濃度自体のequivalent differenceのリスク比に対する遺伝学的なCRP上昇に関連した冠動脈心疾患のリスク比とした。遺伝学的リスク比と、CRP濃度自体のリスク比に関連なし個々のCRP遺伝子変異は、血中CRP濃度と最大で30%までの関連が認められた[p<10(−34)]が、他のリスク因子との関連はみられなかった。CRP上昇と関連する対立遺伝子を一つ加えた場合の冠動脈心疾患のリスク比は、rs3093077が0.93(95%信頼区間:0.87~1.00)、rs1205が1.00(同:0.98~1.02)、rs1130864が0.98(同:0.96~1.00)、rs1800947は0.99(同:0.94~1.03)であり、有意な関連は認めなかった。複合解析では、血中CRP濃度の自然対数リスク比が遺伝学的に1SD上昇するごとの冠動脈心疾患のリスク比は1.00(95%信頼区間:0.90~1.13)であった。プロスペクティブ試験においては、血中CRP濃度の自然対数リスク比の1SD上昇ごとの冠動脈心疾患のリスク比は1.33(95%信頼区間:1.23~1.43)であった(差の検定:p=0.001)が、これは遺伝学的な知見とは一致しなかった。著者は、「遺伝学的データにより、血中CRP濃度そのものは冠動脈心疾患の原因となる因子ではないことが示された」と結論している。(菅野守:医学ライター)

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診療の後の1杯がもたらす至福の一時!Dr.岡田のワインクリニック

気軽に美味しくワインを楽しむために、聖路加GENERALでおなじみの岡田正人先生(聖路加国際病院アレルギー膠原病科)が登場。実は、パリで勤務されていた時にワインの魅力にはまり、本格的なワインスクールに通われたほどのワイン通です。岡田先生曰く「銘柄選びと並んで重要なのは、美味しい飲み方を知っていること。そうするともっとワインは楽しくなります」ということで是非、そのコツを伝授していただきたいというのが番組の趣旨です。番組では、ワインの選び方からテイスティング、ワインに合う食材の選択からワインと健康について4回のシリーズで解説します。診療で疲れた体のリフレッシュに、1杯のワイン!どうぞリラックスしてご覧ください。第1回 ワインの楽しみ方・基本のキフランスワインの宝庫・ボルドー第1回は、ワインのベーシックな知識と食材との相性についてお話を伺います。なぜ肉料理には赤ワインで、魚料理には白ワインなのか。なぜワイングラスはあの形なのか。知っておくとよりワインが楽しめるお話を満載してお届けします。<ワインと健康>vol.1ワインに関する論文の数第2回 飲み方ひとつで美味しさが大違い!シャンパーニュと白ワインブルゴーニュは女性的でエレガント?第2回は、日本人が大好きなシャンパーニュと白ワインについてお話を伺います。お祝いの席やアニバーサリーでは欠かせない存在となったシャンパーニュ。その種類と美味しい飲み方、そして、白ワインではワインの種類の説明をはじめ、グラスによって味が変わる不思議な現象について教えていただきました。ソムリエは宮嶋秀之氏(ENOTECA株式会社)。<ワインと健康>vol.2フレンチパラドックスとワインの効能第3回 赤ワイン(前篇) ブルゴーニュとイタリア飲み方ひとつで美味しさが大違い!第3回はフランスのブルゴーニュとイタリアの赤ワインです。「赤ワイン=渋い」というイメージがあるかもしれませんが、空気と触れさせることによって味がまろやかになるデキャンタのテクニックについては必見です。また、ワインと健康のコーナーでは、様々な医学論文に掲載されたワインに含まれるポリフェノールやレスベラトロールに関する研究をご紹介します。ソムリエは宮嶋秀之氏(ENOTECA株式会社)。<ワインと健康>vol.3話題の成分レスベラトロールの効果第4回 赤ワイン(後篇) 掘り出し物がたくさん!個性豊かなボルドーワインさまざまな食事に合うワインを選択最終回はフランス ボルドーの赤ワインです。長い間5大シャトーが第1級のワインを産出してきたボルドーのジロンド川をはさんで味の違うワインができるお話や肉料理にベストマッチの銘柄選びまで、美味しくワインが飲めるポイントを岡田正人先生が説明いたします。また、好評のワインと健康のコーナーでは、ワインとアンチエイジング、アルツハイマー予防、ワインと長寿の関係など医学論文を基にご紹介します。ソムリエは宮嶋秀之氏(ENOTECA株式会社)。<ワインと健康>vol.4ワインのアンチエイジング作用出演者プロフィールエノテカ株式会社「For All Wine Lovers」を経営理念として掲げ、ワインを愛するすべての人を大切なお客様と考え、そのお客様のために出来る限りのサービスを提供することを企業理念といたします。

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20代・30代女性の2人に1人は常に不定愁訴に悩んでいる?

株式会社QLifeは2月28日、総合ポータルサイト「ウーマンエキサイト」と共同で行った『20代・30代女性の「不定愁訴』実態調査』の結果を発表した。調査は6,355人から回答を得て、結果によると、20代・30代女性の2人に1人が恒常的に不定愁訴に悩んでいるという。頻度や期間はさまざまだが、フルタイム就業者は身体的症状が多く無職者は精神的症状が多い。就業女性の場合は「毎月1-3日程度、平均30%程度の能率低下」が発生していることもあり、不定愁訴が女性に多いのは「女性の社会的ハンデ」と考える人が多かったとのこと。また、PMS以外で「不定愁訴」ある人のうち、医師相談経験があるのは20.2%。42.6%は何もせず「我慢する」をメイン対処法としていて、医師への相談は5人に1人どまりとなっていた。この調査結果について、亀田メディカルセンター主任産婦人科部長で、(社)日本産科婦人科学会「女性の健康週間」委員会委員長でもある清水幸子氏は、次のように述べた。“「不定愁訴に悩む女性の5人に1人」しか医師に相談したことがなく、「この程度の理由で病院に行くべきでない」と考える女性が多かったことは、大変心配です。不定愁訴の背景には、病気が隠れていることがあるからです。また、検査で異常がなかった場合でも、不定愁訴の症状改善に向けて治療する方法はあります。ぜひ、私たち産婦人科医を「生涯にわたる女性の主治医」として活用して戴きたいと思います。”詳細はプレスリリースへhttp://www.qlife.co.jp/news/1896.html

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吸入コルチコステロイド連日投与、小児の軽症持続型喘息に有効:TREXA試験

小児の軽症持続型喘息の治療では、増悪の抑制効果は吸入コルチコステロイド(ICS)の連日投与が優れることが、米国・アリゾナ大学のFernando D Martinez氏らが実施したTREXA試験で示された。軽症持続型喘息の小児における症状のコントロールや増悪の抑制に望ましい治療法として、低用量ICS連用が推奨されているが、コントロール良好でも増悪する例が存在し、無症状の期間が長期に持続すれば服薬の遵守が極めて困難となる。1)コントロール良好例におけるICS連用の中止は増悪のリスクを増大させるか、2)レスキュー治療としてのICS/アルブテロール(別名サルブタモール:β2アドレナリン受容体刺激薬)併用とアルブテロール単独の増悪抑制効果が、ICS連用の有無で異なるかという課題は未解決だという。Lancet誌2011年2月19日号(オンライン版2011年2月15日号)掲載の報告。4つの治療群を比較する2×2ファクトリアル・デザインのプラセボ対照無作為化試験TREXA試験の研究グループは、小児の軽症持続型喘息に対するレスキュー治療としてのICS(ジプロピオン酸ベクロメタゾン)の有用性を評価する2×2ファクトリアル・デザインの二重盲検プラセボ対照無作為化試験を行った。2007年1月~2009年5月までにアメリカの5施設から5~18歳の軽症持続型喘息の症例が登録され、4週間の導入期間の後、以下の4つの治療群に無作為に割り付けられ、44週間の治療が行われた。1)併用群:ベクロメタゾン1日2回+ベクロメタゾン/アルブテロールによるレスキュー治療、2)ベクロメタゾン連用群:ベクロメタゾン1日2回+プラセボ/アルブテロールによるレスキュー治療、3)レスキューベクロメタゾン群:プラセボ1日2回+ベクロメタゾン/アルブテロールによるレスキュー治療、4)プラセボ群:プラセボ1日2回+プラセボ/アルブテロールによるレスキュー治療。ベクロメタゾン治療は1パフ(40μg)を朝夕2回吸入し、レスキュー治療は症状が軽減するまでアルブテロール(180μg)2パフ当たりベクロメタゾン2パフとした。主要評価項目は経口ステロイド薬を要する初回増悪までの期間、副次的評価項目はICSの副作用である成長障害の指標としての線形成長とし、intention-to-treat解析を行った。増悪率、治療失敗率は連用群が最も低い843例が登録され、事前に規定された判定基準に従って導入期間中に555例が除外された。残りの288例のうち、71例が併用群に、72例がベクロメタゾン連用群に、71例がレスキューベクロメタゾン群に、74例がプラセボ群に無作為に割り付けられた。増悪率は、プラセボ群の49%(95%信頼区間:37~61)に比し、ベクロメタゾン連用群が28%(同:18~40、p=0.03)、併用群が31%(同:21~43、p=0.07)、レスキュー群は35%(同:24~47、p=0.07)といずれも低下しており、連用群では有意差を認めた。治療失敗率は、プラセボ群の23%(95%信頼区間:14~43)に比べ、併用群は5.6%(同:1.6~14、p=0.012)、連用群は2.8%(同:0~10、p=0.009)、レスキュー群が8.5%(同:2~15、p=0.024)であり、いずれも有意に良好であった。線形成長の平均値は、ベクロメタゾンを連用した併用群と連用群はプラセボ群に比べて1.1cm(SD 0.3)有意に低下した(p<0.0001)が、連用していないレスキュー群は0.3cm(SD 0.2)の低下でありプラセボ群と同等であった(p=0.26)。重篤な有害事象は2例(連用群の1例でウイルス性髄膜炎、併用群の1例で気管支炎)にのみ認められた。著者は、「軽症持続型喘息の小児にはアルブテロール単独によるレスキュー治療は行うべきではなく、増悪の予防に最も効果的な治療はICS連日投与である」と結論し、「レスキューとしてのICSをアルブテロールと併用する治療は、アルブテロール単独によるレスキュー治療に比べ増悪率が低い点で有効性が高く、コントロール良好な患児に対するステップダウン治療として有効な可能性がある。それゆえ、ICS連用は回避可能であり、それによる成長障害などの副作用も避けられると考えられる」と考察している。(菅野守:医学ライター)

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埋め込み型無線血行動態モニタリング、心不全患者の入院率を大幅低減

心不全患者では、埋め込み型の無線血行動態モニタリングシステムによる肺動脈圧のモニタリングにより入院率が大幅に改善され、安全性も高いことが、米国・オハイオ州立大学心臓血管センターのWilliam T Abraham氏らの検討で明らかとなった。過去30年間、最新の治療法によっても心不全による入院率はほとんど改善されておらず、アメリカでは心不全患者の退院数は1996年の87万7,000例から2006年には110万6,000例に増加している。一方、埋め込み型血行動態モニタリングシステムは心不全患者の入院率を低減するとの仮説を支持する研究結果があるという。Lancet誌2011年2月19日号(オンライン版2011年2月10日号)掲載の報告。W-IHM装着の心不全関連入院率を評価研究グループは、埋め込み型無線血行動態モニタリングシステムの導入は心不全患者の入院率を低減するとの仮説を検証するために、単盲検無作為化対照比較試験を実施した。アメリカの64施設から、NYHAクラスIII心不全、左室駆出率(LVEF)は不問、心不全による入院歴ありの患者が登録された。これらの患者が、6ヵ月以上の期間、埋め込み型の無線血行動態モニタリング(W-IHM)システムによる管理を受ける群あるいは対照群に無作為に割り付けられた。患者には割り付け情報が知らされなかった。対照群では標準治療のみが施行されたのに対し、W-IHM群は標準治療に加えW-IHMで毎日の肺動脈圧測定が行われた。主要評価項目は、6ヵ月の時点における心不全による入院率とした。安全性に関するエンドポイントとして、6ヵ月時点でのデバイス/システム関連合併症(DSRC)および圧センサーの故障の評価を行った。6ヵ月後の入院率:W-IHM群31%、対照群44%550例が登録され、W-IHM群に270例、対照群には280例が無作為に割り付けられた。6ヵ月時点における心不全関連入院率はW-IHM群が31%(83/270例)と、対照群の44%(120/280例)に比べ有意に良好であった(ハザード比:0.70、95%信頼区間:0.60~0.84、p<0.0001)。全フォローアップ期間[平均15カ月(SD 7)]を通じた心不全関連入院はW-IHM群が153例であり、対照群の253例に比べ有意に改善されていた(ハザード比:0.64、95%信頼区間:0.55~0.75、p<0.0001)。また、死亡や初回心不全関連入院のイベント数はW-IHM群が107例と、対照群の138例よりも有意に低かった(同:0.71、0.55~0.92、p=0.0086)。DSRCは8例でみられた。無DSRC率は98.6%であり、これは事前に規定された判定基準値の80%に比べ有意に良好であった(p<0.0001)。圧センサーの故障はなく、無圧センサー故障率は100%であった(事前規定の判定基準値:90%、p<0.0001)。著者は、「今回の結果はこれまでの知見をさらに拡大するものであり、NYHAクラスIII心不全患者では、W-IHMシステムによる管理で入院率が大幅に低減することが示された」と結論し、「肺動脈圧測定で得られた臨床徴候や症状の情報によって、心不全管理の改善が可能となる」と指摘する。(菅野守:医学ライター)

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ステージ3+の未熟児網膜症へのベバシズマブ単独療法の有効性は?

未熟児網膜症(ROP)に対する血管内皮増殖因子阻害薬ベバシズマブ(商品名:アバスチン 本邦では抗がん薬としてのみ保険適応)硝子体内投与による単独療法について、従来のレーザー治療法(confluent laser therapy)と比較する多施設共同前向き無作為化層別比較対照試験が行われ、NEJM誌2011年2月17日号で発表された。ROPは世界的に幼児期失明の主要な原因となっており、特にゾーンI発症のROPは、従来レーザー治療では周辺部網膜の恒久的な損失が不可避で、大半が近視を有することとなり、成功例は50%とすべての症例で失明を免れるというわけではないと報告されている。一方で、血管内皮増殖因子阻害薬を用いて治療した一連の症例から、これらの薬剤が未熟児網膜症の治療に有効である可能性が示唆されており、米国・テキサス大学ヘルス・サイエンス・センターのHelen A. Mintz-Hittner氏ら「BEAT-ROP」共同研究グループが、有効性を評価する試験を行った。患児150例をベバシズマブ硝子体内投与とレーザー治療に無作為化し追跡試験対象は、ゾーンIまたはゾーンII後極部ステージ3+(後極部血管の拡張・蛇行のあるステージ3)ROPを有した出生時体重1,500g以下・在胎月齢30週以下の患児で、生後4週もしくは最終月経後31週以降に開始された。患児は、両眼に、ベバシズマブ(0.625mg/0.025mL溶液)を硝子体内投与される群または従来レーザー治療を受ける群に無作為に割り付けられ追跡された。主要評価項目は最終月経後54週までの、再治療を要する片眼または両眼のROP再発とした。試験登録は150例(サンプル計300眼)。うち143例が月経後54週まで生存、7例が死亡し、死亡例は主要アウトカム分析に含めなかった。ゾーンI ROPでは有効も、ゾーンII後極部病変ROPでは有効性認められず結果、ベバシズマブ投与群4例(140眼中6眼・4%)で、レーザー治療群では19例(146眼中32眼・22%)でROP再発が認められた(P=0.002)。有意な治療効果はゾーンI ROPでは認められたが(P=0.003)、ゾーンII後極部病変ROPでは認められなかった(P=0.27)。これら結果を踏まえMintz-Hittner氏は、「ベバシズマブ単独療法は、ゾーンI ROPで有意なベネフィットが示されたが、ゾーンII後極部病変ROPでは示されなかった。ベバシズマブ投与後には継続的な周辺部網膜血管の発達が認められ、従来レーザー治療群では周辺部網膜が恒久的に損失されていた。安全性については、試験規模が小さすぎた」と報告をまとめている。(朝田哲明:医療ライター)

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新型インフルエンザワクチンの安全性、市販後調査で確認:中国

中国・疾病管理予防センターのXiao-Feng Liang氏らは、2009年9月21日に優先すべき集団を対象に、新型インフルエンザ[インフルエンザA(H1N1)ウイルス]感染に対するワクチン(異なるメーカー10社から入手)接種が開始された予防接種プログラムの、安全性に関する評価を行った。結果、同プログラムにおいて有害事象例は観察されず、ギランバレー症候群のリスク増加のエビデンスも認められなかったと報告した。NEJM誌2011年2月17日号掲載より。接種後の有害事象発生率は90件/100万回研究グループは、インフルエンザA(H1N1)ワクチン接種後の有害事象を調査するため、受動的サーベイランス計画を作成し、医師または予防接種提供者に対し、ワクチン接種者数とすべての有害事象数を、地元の疾病管理予防センター(CDC)に報告するよう求めた。報告データは、オンラインで全国予防接種情報システム(National Immunization Information System)内の全国予防接種後有害事象追跡評価システム(National Adverse Event Following Immunization Surveillance System)に集められ、中国CDCにより検証・分析された。検証・分析されたデータは、2010年3月21日までに集まったものであった。結果、ワクチン接種は、2009年9月21日から2010年3月21日まで合計8,960万回行われ、ワクチン接種後の有害事象の発生は8,067例で、接種100万回当たり90.0件の発生率だった。年齢別有害事象発生率は、60歳以上の100万回当たり31.4件から、9歳以下の100万回当たり130.6件まで幅があった。ワクチンのメーカー別の発生率は、100万回当たり4.6~185.4回まで幅があった。懸念される重篤な有害事象は低率報告された8,067件の有害事象のうち、6,552件(81.2%、発生率は100万回接種当たり73.1件)はワクチン反応であることが確認された。また8,067件のうちの1,083件(13.4%、同100万回当たり12.1件)は、発生が稀で、より重篤なものであった。その大半(1,050件)は、アレルギー性反応だった。ギランバレー症候群は11例報告されたが、発生率は接種100万回当たり0.1件と低率で、中国における背景発生率より低かった。(朝田哲明:医療ライター)

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米国高齢者の退院後30日以内の再入院率、黒人患者は白人患者の1.13倍

高齢者の急性心筋梗塞、うっ血性心不全、肺炎による入院について、人種および病院間の退院後30日以内の再入院率を調べたところ、黒人は白人に比べ1.13倍に上り、また黒人患者の割合が高い病院の方が、そうでない病院よりも高率だったことが明らかになった。米国・ハーバード大学公衆衛生大学院ヘルス政策マネジメント部門のKaren E. Joynt氏らが、米国の高齢者向け公的医療保険であるメディケアの出来高払い制プランに加入する、310万人以上のデータを分析し明らかにしたもので、JAMA誌2011年2月16日号で発表した。約4,300~4,600病院、316万件の退院について調査Joynt氏らは、人種間で再入院率の格差があるのかどうか、またそれが治療を受けている場所(病院特性)と関連するかどうかを目的に、メディケアデータの中から、2006~2008年にかけて、急性心筋梗塞、うっ血性心不全、肺炎のいずれかにより米国の病院に入院した人を対象に、退院後30日以内の再入院について調査を行った。調査の背景には、再入院率の人種間格差の実態と、人種が再入院率を減らす要因となるのかどうかを明らかにする目的があった。調査対象となった退院件数は316万3,011件、うち黒人患者は8.7%の27万6,681件、白人患者は91.3%の288万6,330件だった。調査が行われた病院数は、疾患により異なり、4,322~4,588ヵ所だった。各病院におけるメディケア加入の黒人患者の割合を調べ、同率が上位10%の病院を対象に「少数民族サービス提供病院」(マイノリティ病院)、それ以外を「非少数民族サービス提供病院」(非マイノリティ病院)と定義し分析した。マイノリティ病院の黒人患者、非マイノリティ病院の白人患者に比べリスクは1.35倍結果、3疾患による退院後30日以内の再入院率は、白人が22.6%に対し黒人は24.8%と、黒人患者の方が有意に高率だった(オッズ比:1.13、95%信頼区間:1.11~1.14、p<0.001)。病院別の分析では、マイノリティ病院が25.5%で、非マイノリティ病院22.0%に比べ、有意に高率だった(オッズ比:1.23、同:1.20~1.27、p<0.001)。急性心筋梗塞の退院後30日以内再入院率について詳しくみたところ、参考値とした「非マイノリティ病院での白人患者の同率」20.9%に対し、最も高率を示したのは「マイノリティ病院での黒人患者の同率」26.4%で、オッズ比は1.35(同:1.28~1.42、p<0.001)だった。一方で、「マイノリティ病院での白人患者の同率」は24.6%で、オッズ比は1.23(同:1.18~1.29、p<0.001)だった。また、「非マイノリティ病院での黒人患者の同率」は23.3%で、オッズ比は1.20(同:1.16~1.23、p

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小児入院の約3%が退院後1年以内に4回以上再入院、小児入院医療費の約23%に:米国

米国小児病院の入院患児の約3%が、退院後1年以内に4回以上の再入院を繰り返し、それにかかる医療費は小児入院医療費全体の約23%、入院件数にして約19%に上ることが明らかにされた。また再入院を繰り返す小児の大半は、同一器官系の問題によるものだったという。米国・ハーバード・メディカルスクールのボストン小児病院総合小児科のJay G. Berry氏らが、全米の小児病院に入院した32万児弱について行った、後ろ向きコホート試験の結果明らかにしたもので、JAMA誌2011年2月16日号で発表した。全米37の小児病院への入院患児を約5年間追跡Berry氏らは、2003年に全米37ヵ所の小児病院に入院した31万7,643児(入院件数:57万9,504件)について、2008年まで追跡した。主要評価項目は、追跡5年の間の、各365日以内での最大再入院回数。結果、退院後365日以内に1回以上の再入院をしたのは、全体の21.8%にあたる6万9,294児だった。退院後365日以内に4回以上の再入院を繰り返したのは、全体の2.9%にあたる9,237児で、退院から次の入院までの期間の中央値は、37日(四分位範囲:21~63)だった。これらの患児の入院件数は10万9,155件と、全体入院件数の18.8%を占めた。またこれらの患児の入院医療費については、追跡期間中の被験児全体にかかった入院医療費の23.2%(34億ドル)に上った。再入院件数増加につれ、複雑慢性症状の罹患率、技術的サポートは増加1年以内の再入院件数増加に伴い、神経節の障害など複雑な慢性症状の罹患率は増加する傾向がみられた。再入院回数0の22.3%(24万8,349児中5万5,382児)から再入院回数4回以上では89.0%(9,237児中8,225児)へと増加が認められた(p<0.001)。その他、消化や神経などに関する技術的サポートを要する患児の割合は、同5.3%から52.6%へ(p<0.001)、公的保険加入者の割合は、同40.9%から56.3%へ(p<0.001)へ、また非ヒスパニック・黒人患者児は、同21.8%から34.4%へ(p<0.001)増加する傾向が認められた。一方で、1年以内の再入院件数増加に伴い、喘息や蜂巣炎といった外来治療が可能な疾患による再入院率は、23.1%から14.0%へと減少する傾向がみられた(p<0.001)。1年以内に4回以上再入院した患児のうち、28.5%にあたる2,633児は、すべての入院が同じ器官系の問題によるものだった。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

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自動血圧測定でプライマリ・ケアにおける白衣高血圧が減少

プライマリ・ケアにおける収縮期高血圧患者の血圧測定法として、現行の手動診察室血圧測定よりも、自動測定装置を用いた診察室測定の方が質や正確度が優れ、白衣高血圧が減少することが、カナダ・トロント大学のMartin G Myers氏らの検討で示された。日常診療で医療従事者が手動で行う血圧測定の正確度への関心が高まるに従い、自動測定装置による家庭や外来での血圧測定に対する信頼が増しているという。診察室での自動測定装置を用いた血圧測定を、患者が静かな部屋で落ち着いた状態で独りで行うことで、手動測定の欠点の多くが解消することが示唆されている。BMJ誌2011年2月12日(オンライン版2011年2月7日号)掲載の報告。診察室における手動と自動血圧測定を比較するクラスター無作為化試験研究グループは、手動による診察室血圧測定と、自動測定装置を用いた診察室血圧測定のgold standardとしての質と正確度を評価するクラスター無作為化対照比較試験を実施した。対象は、カナダ東部地域5都市の67施設において88名のプライマリ・ケア医の治療を受けている重篤な併存疾患のない収縮期高血圧患者555例。これらの患者が、診察室で手動で行う血圧測定を受ける群(対照群)あるいは診察室で自動測定装置による複数回の血圧測定を行う群(介入群)に無作為に割り付けられた。登録前に、全例において24時間自由行動下血圧測定を行い、覚醒時の平均血圧を算出した。登録前の最後のルーチンの手動診察室血圧値をカルテで確認し、両群の登録後の診察室血圧の測定値と比較し、さらに覚醒時血圧との比較を行った。主要評価項目は、(覚醒時血圧−自動診察室血圧)と(覚醒時血圧−手動診察室血圧)の収縮期血圧(SBP)の差とした。主要評価項目:−2.3 vs. −6.5mmHg(p=0.006)、自動測定の方が覚醒時SBPとの差が小さい31施設(252例)が対照群に、36施設(303例)が介入群に無作為に割り付けられ、それぞれ249例、299例が解析の対象となった。対照群では、登録前のルーチンの手動診察室血圧[149.9(SD 10.7)/81.8(SD 8.5)mmHg]が、登録後にはSBPが8.5mmHg、拡張期血圧(DBP)は1.6mmHg低下し[141.4(SD 14.6)/80.2(SD 9.5)mmHg]、いずれも有意差を認めた(p<0.001/p=0.01)。これに対し、介入群では登録の前後でSBPが13.9mmHg[149.5(SD 10.8)→135.6(SD 17.3)mmHg]、DBPが3.7mmHg[81.4(SD 8.3)→77.7(SD 10.9)mmHg]低下しており(p<0.001/p=0.02)、いずれも低下の程度が対照群に比べて大きかった。登録後の初回受診時における介入群の覚醒時自由行動下血圧と自動診察室血圧の差の平均値は、SBPが−2.3mmHg(95%信頼区間:−0.31~−4.3)、DBPは−3.3mmHg(同:−2.2~−4.4)、対照群における覚醒時血圧と手動診察室血圧の差はSBPが−6.5mmHg(同:−4.3~−8.6)、DBPは−4.3mmHg(同:−2.9~−5.8)であり、いずれも介入群の方が覚醒時血圧との差が小さく、SBPには有意差が認められた(p=0.006)。登録後の自動診察室血圧(SBP/DBP)と覚醒時血圧との群内相関(r=0.34/r=0.56)は、登録前の手動診察室血圧と覚醒時血圧の相関(r=0.10/r=0.40)よりも強く、その差はSBPが0.24(95%信頼区間:0.12~0.36)、DBPは0.16(同:0.07~0.25)であった(p<0.001/p<0.001)。自動診察室DBPと覚醒時血圧の群間相関(r=0.56)は、手動診察室DBPと覚醒時血圧の群間相関(r=0.30)よりも強く、その平均差は0.26(95%信頼区間:0.09~0.41)であった(p<0.001)。測定値の末尾数字を0に丸める選好によるバイアスは、実質的に自動診察室測定の方が小さかった。著者は、「プライマリ・ケアにおける収縮期高血圧患者の診察室血圧測定では、自動測定の導入により、現行の手動測定に比べ白衣高血圧が有意に減少した。自動測定の質および正確度を覚醒時自由行動下血圧との比較で評価したところ、手動測定よりも有意に優れていた」と結論している。(菅野守:医学ライター)

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院外心肺蘇生におけるリアルタイム音声画像フィードバックシステムの有効性

院外心配蘇生(CPR)中のリアルタイム音声画像フィードバックシステムは、その手技をガイドラインにより即したものへと変化させることは認められたが、自己心拍再開やその他臨床転帰の改善には結びつかなかったという。米国・ピッツバーグ大学救急医学部のDavid Hostler氏らが、前向き集団無作為化試験を行った結果から報告した。BMJ誌2011年2月12日号(オンライン版2011年2月4日号)より。CPRの手技は改善されたが試験は、院外CPR中のリアルタイム音声画像フィードバックシステムを実行することによって、病院到着前に自己心拍再開する患者の比率が高まるかが検討された。Hostler氏らは、米国とカナダの蘇生転帰協会(Resuscitation Outcomes Consortium)に加入する3地域の救急医療サービスを対象に、モニター付き除細動器に取り付けられたリアルタイム音声画像フィードバックシステムを使ったCPRによる介入を行った。被験者は、救急隊員によって院外CPRが試みられた心停止患者1,586例で、フィードバックありが815例、なしは771例だった。ベースラインにおける患者および救急医療サービスの特徴に群間差はなかった。主要評価項目は、CPR後の病院到着前の自己心拍再開率とした。試験の結果、フィードバック中に救急隊員の14%がフィードバック音を消していることが示された。また、フィードバックなし群と比較して、フィードバックあり群の方が、心臓マッサージ継続時間が増加(64%対66%、群間補正後差:1.9、95%信頼区間:0.4~3.4)、圧迫の深さが増加(38mm対40mm、補正後差:1.6、95%信頼区間:0.5~2.7)、圧迫後の不完全リリースの減少(15%対10%、補正後差:-3.4、95%信頼区間:-5.2~-1.5)との関連が認められた。自己心拍再開率、生存退院率とも改善に結びつかずしかし、到着前自己心拍再開率は、フィードバックの有無における有意な差は認められなかった(45%対44%、補正後差:0.1%、95%信頼区間:-4.4%~4.6%)。同様に、病院到着時に脈拍あり(32%対32%、補正後差:-0.8、95%信頼区間:-4.9~3.4)、生存退院率(12%対11%、補正後差:-1.5、95%信頼区間:-3.9~0.9)退院時覚醒率(10%対10%、補正後差:-0.2、95%信頼区間:-2.5~2.1)においても有意差は認められなかった。

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