注射薬の使用状況とHIV有病率に関連はあるか?

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ケアネット

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最近10年で注射薬の使用国が増加しており、注射薬使用者はHIV有病率が高く、これは実質的に世界規模の保健課題であることが、Bradley M Mathers氏ら国連の委託によるHIVおよび注射薬使用に関する研究グループ(Reference Group to the UN on HIV and Injecting Drug Use)の系統的なレビューで明らかとなった。Lancet誌2008年11月15日号(オンライン版2008年9月24日号)掲載の報告。

注射薬使用国148ヵ国、使用者1,590万人のうちHIV陽性者約300万人




注射薬はほとんどの国でHIV感染の原因としての重要性が増大している。研究グループは、15~64歳の人々の注射薬の使用状況および注射薬使用者のHIV有病率の調査を行った。

審査論文データベース(Medline、EmBase、PubMed/BioMed Central)、インターネット、限定配布論文(grey literature)のデータベースを系統的に検索し、国連機関および国際的な専門家にデータの提供を要請した。1万1,022文献をレビューし、重要度を評価してカテゴリー別に分類した。

注射薬を使用していたのは148ヵ国であった。アフリカ、中東、ラテンアメリカ諸国の多くからは注射薬の使用量に関するデータは得られなかった。注射薬使用者のHIV感染のデータは120ヵ国が報告していた。61ヵ国で注射薬の推定使用量が確定され、これは世界の15~64歳の全人口の77%に相当した。

外挿による推定では、世界で1,590万(1,100~2,120万)人が注射薬を使用していることが示唆された。注射薬使用者が最も多いのは中国、アメリカ、ロシアであり、そのHIV有病率の推定値はそれぞれ12%、16%、37%であった。

注射薬使用者のHIV有病率が20~40%の国は5ヵ国、40%以上の国は9ヵ国であった。使用者のうち約300万(80万~660万)人がHIV陽性であった。

著者は、「最近10年で注射薬の使用国が増加しており、注射薬使用者はHIV有病率が高く、これは実質的に世界規模の保健課題である」と結論したうえで、「しかし、既存のデータは質・量ともに決して十分ではない。特に、HIV感染様式としての注射薬使用の重要性が多くの地域で増大している現状では、まったくもって不十分といえる」と指摘している。

(菅野守:医学ライター)

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