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細菌性髄膜炎、ワクチン導入で乳幼児リスクは減少、疾病負荷は高齢者に:米国CDC

1998~2007年の細菌性髄膜炎に関する疫学調査を行った米国疾病管理予防センター(CDC)は、発生率は減少しているが、同疾病による死亡率はなお高いこと、また1990年代初期以降の各対策導入によって乳幼児のリスクの減少には成功したが、相対的に現在、高齢者が疾病負荷を負うようになっているとの報告を発表した。米国では1990年代初期に乳幼児へのインフルエンザ菌b型(Hib)ワクチンを導入した結果、細菌性髄膜炎の発生率が55%減少。2000年に導入した肺炎球菌結合型ワクチン(PCV7)では、侵襲性肺炎球菌感染症が5歳未満児75%減少、65歳以上31%減少したと報告されている。このほかにも全妊婦を対象にB群レンサ球菌(GBS)スクリーニングなど予防策が講じられるようになっており、今回の調査は、今後の予防戦略の基礎資料とするため1998~2007年の細菌性髄膜炎の発生率の動向、2003~2007年の髄膜炎の疫学を評価することを目的に行われた。NEJM誌2011年5月26日号掲載より。1998年から2007年の間に発生率31%減少調査は、Emerging Infections Programs Network(新興感染症プログラムネットワーク:EIPネットワーク)の8つのサーベイラインス地域(1,740万人居住)から報告された細菌性髄膜炎の症例を分析して行われた。細菌性髄膜炎については、髄膜炎の臨床診断と合わせて、脳脊髄液その他通常無菌部位に、インフルエンザ菌、肺炎レンサ球菌、GBS、リステリア菌、髄膜炎菌のいずれかが確認された場合と定義した。対象地域・期間中、細菌性髄膜炎と特定された患者は3,188人だった。転帰データが入手できたのは3,155人、うち死亡は466人(14.8%)だった。髄膜炎の発生率は、31%減少(95%信頼区間:-33~-29)していた。1998~1999年には人口10万当たり2.00例(同:1.85~2.15)だったが、2006~2007年には同1.38(同:1.27~1.50)となっていた。患者年齢30.3歳から41.9歳に上昇患者の年齢中央値は、30.3歳(1998~1999年)から41.9歳(2006~2007年)へと上昇していた(Wilcoxon順位和検定によるP<0.001)。致命率は、1998~1999年15.7%、2006~2007年14.3%で、有意な変化がみられなかった(P=0.50)。2003~2007年報告症例(1,670例)では、最も優勢を占めたのは肺炎レンサ球菌で58.0%に上っていた。次いでGBS(18.1%)、髄膜炎菌(13.9%)、インフルエンザ菌(6.7%)、リステリア菌(3.4%)だった。2003~2007年の米国における細菌性髄膜炎の年間症例数は約4,100例、死亡500例と推定された。(武藤まき:医療ライター)

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健康な中年女性の新規心房細動発症は、死亡リスクの独立因子

致死的心血管イベントの潜在的なリスクがわずかな健康な中年女性において、新規心房細動発症は死亡リスクの独立した因子であることが報告された。米国3万人強の女性を対象とするWomen’s Health Study(WHS)のデータを基に、スイス・バーゼル大学病院のDavid Conen氏らが分析を行い報告したもので、JAMA誌2011年5月25日号で発表した。心房細動・心血管疾患歴のない女性約3万5,000人を中央値15.4年追跡Conen氏らは、1993~2010年(3月16日)にかけてWHSに参加し、試験開始時に心房細動歴や心血管疾患歴のない3万4,722人について調査を行った。被験者の年齢は試験開始時点で45歳以上、中央値53歳だった。主要アウトカムは、総死亡、心血管死、非心血管死とし、副次アウトカムは、脳卒中、うっ血性心不全、心筋梗塞などだった。追跡期間の中央値は15.4年、追跡期間中に心房細動を発症したのは1,011人(2.9%)だった。総死亡リスク2.14倍、心血管死リスク4.18倍、非心血管死リスク1.66倍心房細動の有無によって罹患率を比較したところ、1,000人・年当たりの総死亡率は、心房細動発症者が10.8に対し非発症者が3.1、心血管死亡率は同じく4.3に対し0.57、非心血管死亡率は6.5に対し2.5と、心房細動発症者がいずれも有意に高率だった。多変量モデルによる分析の結果、新規心房細動発症者の非発症者に対するハザード比は、総死亡が2.14(95%信頼区間:1.64~2.77)、心血管死が4.18(同:2.69~6.51)、非心血管死が1.66(同:1.19~2.30)だった。死因の可能性がある非致死的心血管イベントについて補正後、これらハザード比は減弱したが、心房細動発症は各死亡のリスク因子として有意なままだった。補正後ハザード比は、総死亡1.70、心血管死2.57、非心血管死1.42。なお、発作性心房細動発症者(656人)の死亡リスクは、心血管疾患によるもののみ高く、ハザード比は2.94だった。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

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プライマリ・ケア医が多い地域、高齢者の転帰良好、死亡率など低下:米国

米国で、プライマリ・ケア医が多い地域は少ない地域に比べ、高齢者の転帰が良く、死亡率や外来通院で治療が可能な病気(ACSC)による入院率などが低率であることが報告された。外来プライマリ・ケアの実態を反映する、メディケア支払いに基づくプライマリ・ケア専従換算に基づく分析でその傾向はより強く示された。ただしその場合、医療費コストは割高であることも示されたという。米国・ダートマス医学校健康政策研究センターのChiang-Hua Chang氏らが、米国高齢者向け公的医療保険(メディケア)加入者のうち、出来高払い制プラン加入者の約20%にあたる500万人超について調べ明らかにしたもので、JAMA誌2011年5月25日号で発表した。医療の質が向上しコストも抑制できるとしてプライマリ・ケア医を増やすことへの関心は高いが、プライマリ・ケア医数と患者のアウトカムに関しては十分に明らかにはされていないという。二通りのプライマリ・ケア医算出法で、死亡率、ACSC入院率、コストについて分析Chang氏らは、2007年のメディケア出来高払い制プラン加入者のうち、513万2,936人について、人口当たりプライマリ・ケア医の数と、その転帰との関連を分析した。プライマリ・ケア医数(一般内科医と家庭医)については、被験者の居住地郵便番号で割り振ったプライマリ・ケアサービス地域(PCSA)ごとに、(1)米国医師会データの診療所ベースでみた地域総人口当たりの数、(2)メディケア支払いに基づく同受給者当たりのプライマリ・ケア専従換算者数(FTE)の二通りで算出した。主要アウトカムは、年間死亡率とACSCによる入院率、メディケア支払いコストとし、個人の属性や地域によって補正を行った。結果、プライマリ・ケア医数は地域による顕著な格差がみられた。(1)での分析による五分位範囲最低群の中央値は人口10万当たり17.4人、最高群は同81.3人であり、(2)の分析でもほぼ2倍の格差があり、最低群は加入者10万当たり64.7人、最高群は同103.2であった。なお(1)と(2)の医師数間の相関性は低かった(スピアマン順位相関係数:r=0.056、P<0.001)。プライマリ・ケア専従が多い地域、死亡率、ACSC入院率は低いがコスト高(1)での分析による死亡率は、五分位範囲最低群で5.47/100加入者だったのに対し、最高群では5.38/100加入者(リスク比:0.98)、ACSC入院率はそれぞれ79.61/1,000加入者と74.90/1,000加入者(リスク比:0.94)で、プライマリ・ケア医数が多い地域のほうがそれぞれ有意に低かった。コストは、最低群と最高群で有意差はなかった。加入者1人当たり最低群8,765ドル、最高群8,722ドル(リスク比:1.00)だった。(2)の分析でも、死亡率は最低群5.49/100加入者だったのに対し、最高群5.19/100加入者(リスク比:0.95)、ACSC入院率はそれぞれ79.48/1000加入者と72.53/1000加入者(リスク比:0.91)で、プライマリ・ケア医数が多い地域が有意に低かった。しかしコストについては、最低群8,769ドルに対し、最高群8,857ドルと、やや高額であった(リスク比:1.01)。Chang氏は報告の最後で、「我々の研究は、プライマリ・ケア医を増やすだけでは死亡率や入院率、医療費コストを確実に大幅に低下することにはならないという慎重な見方を提示するものである」と述べ、「結果として名ばかりのプライマリ・ケア医となれば、養成増は患者にとって期待外れの恩恵しかもたらさないものとなりかねない」とまとめている。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

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骨髄異形成症候群-相次ぐ新薬発売で治療が大きく変化

骨髄異形成症候群(MDS)は、高齢者に多く見られる疾患で、高齢者の人口増加に伴い有病率の増加が懸念されている。MDS治療において、治癒を期待できるのは造血幹細胞移植のみであるが、高齢者には難しく、有効な治療手段がない。このような状況のなか、昨年から今年にかけてMDS治療における新薬の発売が相次ぎ、治療方法が大きく変化しつつある。 ここでは、2011年5月31日、帝国ホテル(東京)にて開催されたプレスセミナー「今だからこそ正しく知りたい『血液がん』~MDSの事例から~」(主催:セルジーン株式会社)での埼玉医科大学総合医療センター血液内科 教授 木崎昌弘氏の講演から、MDSの最新の治療についてレポートする。増加するMDS患者現在、日本におけるMDS患者は約10,000 人と推定され、高齢者の人口増加に伴い患者数は増加している。患者数の増加について、木崎氏は「疾患に関する理解が広まり、血液内科へ紹介、診断されるケースが増えていることも理由の1つではないか」と述べた。MDSは、骨髄不全と前白血病状態という2つの側面を持つ疾患である。男女比は2:1で、高齢者に多く発症し、他のがんに対する化学療法や放射線療法の前治療歴もリスク因子に挙げられている。MDSのリスク分類と治療の現状MDSの治療方針は、MDSの病型、リスク分類に加え、症状、年齢、全身状態、患者の意向を考慮し決定される。リスク分類については、国際予後判定システム(IPSS)では「骨髄中の芽球の割合」「血球減少が何種類か」「染色体異常の種類」の3項目により判定するが、各リスク群における生存期間中央値と急性骨髄性白血病(AML)移行率は、低リスク:5.7年/19%、中間リスク-1:3.5年/30%、中間リスク-2:1.2年/33%、高リスク:0.4年/45%である。現在、MDS治療で治癒を期待できるのは同種造血幹細胞移植のみであるが、高リスク群あるいは頻回の輸血を必要とする場合に適応となり、一般的には55歳位までに限られている。日本における移植成績は欧米よりも良好であり、MDS全体での移植後長期生存率は約40%と比較的良好といえる。比較的若年者には、AML治療に準じた強力な化学療法が行われるが、一般的に奏効率は低い。相次ぐ新薬発売このような状況のなか、2010年、新たな治療薬としてレナリドミド(商品名:レブリミド)が承認された。レナリドミドは、5番染色体長腕部欠失を伴うMDSに対して有用性が認められており、海外第3相試験において、プラセボ群に比べて赤血球輸血非依存率を有意に増加させ、ヘモグロビン値を増加させることが示されている。また、5番染色体異常が正常になる例も認められたことから、木崎氏は疾患の本態を改善している可能性もあると述べた。さらに自験例として、レナリドミドの投与により、へモグロビン値が徐々に増加し、5番染色体異常が正常となった症例(68歳女性)の治療経過を提示した。さらに今年、メチル化阻害剤であるアザシチジン(商品名:ビダーザ)が発売された。アザシチジンは高リスクMDSにおいて高い有効性を示し、多施設国際共同第3相試験において、従来の治療群と比較して全生存期間(24.5ヵ月 vs 15ヵ月)、2年生存率(50.8% vs 26.2%)を有意に改善したことが報告されている。輸血依存による鉄過剰症の治療一方、MDS治療においては、輸血依存による鉄過剰症がしばしば問題となる。鉄過剰症はさまざまな臓器障害の原因となり、全生存率(OS)を低下させるが、過剰となった鉄分を除去する鉄キレート剤デフェラシロクス(商品名:エクジェイド)が2008年に発売されている。フランスでのプロスペクティブ調査では、赤血球輸血を実施するMDS患者において、デフェラシロクス投与によりOSを有意に改善したことが報告されている。新たな治療薬を含めたリスク別治療方針木崎氏は、米国NCCN(National Comprehensive Cancer Network)ガイドライン2011年v.2を基にしたリスク別治療方針を紹介した。低リスク群では輸血頻度の軽減やAMLへの移行をできるだけ少なくするために、造血因子やレナリドミド、アザシチジンを投与する。高リスク群では生存期間の延長をゴールとして、アザシチジンの投与やAMLに準じた化学療法、同種造血幹細胞移植を行う。残念ながら、治療失敗あるいは治療に反応しない場合には臨床試験に頼るしかないという現状である。患者さんとの向き合い方MDS患者には、どのように向かい合えばよいのか。木崎氏はMDS患者に対して、MDSにはさまざまな治療の選択肢があること、加えて、治りにくい病気であるが病態解明に関する研究の進歩とともに新しい薬剤の開発も盛んなので、主治医と相談して最適な治療法を選択するように伝えていると紹介した。(ケアネット 金沢 浩子)

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初発心筋梗塞後のアスピリン+PPI、非PPI併用と比べ心血管イベントリスク1.46倍

 抗血栓薬とプロトンポンプ阻害薬(PPI)との併用は抗血栓効果を減弱し心血管リスクを高めるとの報告に大きな注目が集まっているなか、デンマーク・コペンハーゲン大学病院循環器部門のMette Charlot氏らが、アスピリンとPPIの併用による心血管リスクについて、同国内診療データを基に後ろ向き解析を行った。初発心筋梗塞後で同併用を受けている患者について調査した結果、有害心血管イベントリスク上昇との関連が認められたと報告している。BMJ誌2011年5月21日号(オンライン版2011年5月11日号)掲載より。デンマーク国内30歳以上の診療データを基に後ろ向き傾向スコア適合研究 Charlot氏らは、初発心筋梗塞後でアスピリン治療を受けている患者の重大心血管イベント発生について、PPIの影響を評価することを目的に、デンマーク国内全病院の診療データを基にした後ろ向き傾向スコア適合研究を行った。 被験者は、1997~2006年の間に30歳以上で、初発心筋梗塞を発症し退院後30日間生存、その間にアスピリンの処方を受けた全患者とし、退院後1年間追跡した。クロピドグレル(商品名:プラビックス)の処方を受けた患者は除外した。 主要転帰は、心血管死・心筋梗塞再発・脳卒中の複合エンドポイントとし、PPI使用との関連をKaplan-Meier分析法、Cox比例ハザードモデル、傾向スコア適合Cox比例ハザードモデルを用いて解析を行った。PPI併用者の特徴は、高齢、女性、複数投与、より多くの共存症 試験適格患者は1万9,925人だった。そのうち3,366人(16.9%)に複合エンドポイント(心血管死・心筋梗塞再発・脳卒中)が認められた。 試験適格患者のうち、PPI併用者は4,306例(21.6%)だった。PPI併用者は非併用者と比べ、高齢で、女性が多く、複数の薬物併用投与を受けており、より多くの共存症を有していた。 時間依存型解析による、PPI併用者の非併用者に対する複合エンドポイント発生のハザード比は1.46(95%信頼区間:1.33~1.61、p<0.001)だった。 傾向スコア適合モデル(8,318人)に基づく同ハザード比は1.61(同:1.45~1.79、p<0.001)だった。 また感度解析の結果、アスピリンとH2ブロッカー併用ではリスク上昇との関連は示されなかった(ハザード比:1.04、95%信頼区間:0.79~1.38、p=0.78)。

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2008年英国NICEの勧告による、歯科治療での抗菌薬予防的投与中止の影響

感染性心内膜炎のリスクが高いと思われる患者に対する抗菌薬の予防的投与は、いまだ多くの国で行われているが、英国国立医療技術評価機構(NICE)は2008年3月に、歯科の侵襲的治療に先立って行われる同抗菌薬予防的投与の完全中止を勧告した。シェフィールド大学臨床歯科学部門のMartin H Thornhill氏らは、このNICEガイドライン導入前後の同処置変化および感染性心内膜炎発生率の変化を調査した。BMJ誌2011年5月21日号(オンライン版2011年5月3日号)掲載より。ガイドライン後、予防的投与は78.6%減少、症例・関連死の増加傾向がストップ英国では全入院患者について、1次的退院診断名と最大12の2次的診断名がデータベース化されている。Thornhill氏らは、そのデータから、1次的退院診断名および2次的診断名として、急性または亜急性の感染性心内膜炎のデータがある患者を対象に、ガイドライン導入前後の比較研究を行った。主要評価項目は、予防的投与に用いられたアモキシシリン(商品名:サワシリンなど)3g単回経口投与またはクリンダマイシン(同:ダラシン)600mg単回経口投与の1ヵ月間の処方数、感染性心内膜炎の毎月の症例数、同疾患関連による病院死または口腔レンサ球菌によると考えられる感染性心内膜炎の症例数とした。結果、NICEガイドライン導入後、抗菌薬予防的投与の処方数は、月平均1万277例(標準偏差:1,068)から2,292例(同:176)と、78.6%(P<0.001)減少という有意に大きな変化がみられた。一方で、ガイドライン導入前にみられていた感染性心内膜炎の普遍的な増加傾向が、導入後は一転してみられなくなっていた(P=0.61)。非劣性試験の結果、ガイドライン導入後、症例増加については9.3%以上、また感染性心内膜炎関連の病院死増加については12.3%以上を削減した可能性が示された。ハイリスク患者への予防的投与についてはさらなる検証をThornhill氏は、「NICEガイドライン導入後、抗菌薬予防的投与の処方は78.6%も減少したにもかかわらず、導入後2年間の感染性心内膜炎の発症例または死亡率の増加を大きく削減していた。このことはガイドライン支持に寄与するが、今後もデータのモニタリングを行い、さらに臨床試験によって、特にハイリスク患者を感染から守るには抗菌薬予防的投与が有用であるのかどうか決定する必要がある」と述べている。

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全用量投与不適な進行大腸がんへの減量化学療法、オキサリプラチン追加で予後が改善傾向

標準治療の全用量投与が適切でないと判定された進行大腸がんに対する減量投与では、フッ化ピリミジン系薬剤へのオキサリプラチン(L-OHP、商品名:エルプラット)の追加により、フッ化ピリミジン系薬剤単独に比べ無増悪生存期間(PFS)が延長する傾向を認めたことが、イギリス・リーズ大学のMatthew T Seymour氏らが行ったFOCUS2試験で示された。イギリスでは、進行大腸がんによる死亡の年齢中央値は77歳で、75歳以上の死因の60%、80歳以上の死因の42%が大腸がんだという。一方、重要な臨床試験では通常、対象は75歳未満に限られ、75歳以上や体力が減退した患者などに対する減量投与を検討した試験はほとんどない。Lancet誌2011年5月21日号(オンライン版2011年5月12日号)掲載の報告。減量投与の有用性を評価する2×2ファクトリアル・デザインの非盲検無作為化試験FOCUS2試験の研究グループは、標準的化学療法薬の全用量投与が適切でないと判定された未治療の進行大腸がん患者を対象に、減量投与に関する2×2ファクトリアル・デザインの非盲検無作為化試験を実施した。2004年1月~2006年7月までにイギリス国内61施設から登録された患者が、包括的健康評価(comprehensive health assessment:CHA)を受けた後、次の4つのレジメンに無作為に割り付けられた。患者の年齢は問わなかった。(1)FU群:LV5FU2レジメン(48時間静注フルオロウラシル[5-FU]/レボホリナート[l-LV])の標準用量の80%、(2)OxFU群:FOLFOXレジメン(L-OHP+5-FU/l-LV)の標準用量の80%、(3)Cap群:カペシタビン(Cap)の標準用量の80%、(4)OxCap群:XELOX(L-OHP+Cap)レジメンの標準用量の80%を投与。主要評価項目は、PFSに基づくL-OHP追加の有効性([FU群 vs. OxFU群]+[Cap群 vs. OxCap群])およびベースラインから12週までのQOLの変化に基づく5-FUの代替としてのCapの有効性とした([FU群 vs. Cap群]+[OxFU群 vs. OxCap群])。PFS:L-OHP追加群5.8ヵ月 vs. 非追加群4.5ヵ月、QOL改善率:5-FUレジメン56% vs. Capレジメン56%459例が登録され、FU群、OxFU群、Cap群には115例ずつ、OxCap群には114例が無作為に割り付けられた。L-OHPの追加によりPFSが改善される傾向が認められたが、有意差はなかった(L-OHP追加群:5.8ヵ月 vs. 非追加群:4.5ヵ月、ハザード比:0.84、95%信頼区間:0.69~1.01、p=0.07)。QOL改善率は5-FUを含むレジメンが56%(69/124例)、Capを含むレジメンも56%(69/123例)であった。グレード3以上の有害事象の発現リスクは、L-OHPを追加しても増加しなかった(38%[83/219例] vs. 32%[70/221例]、p=0.17)が、Capを含むレジメンは5-FUを含むレジメンよりも有意に高かった(40%[88/222例] vs. 30%[65/218例]、p=0.03)。著者は、「L-OHPを含むレジメンは、フッ化ピリミジン系薬剤の単独投与よりも予後が良好な傾向を認めたが、PFSの有意な改善は得られなかった。経口フッ化ピリミジン系薬であるCapは、5-FUに比べQOLを改善しなかった。ベースラインのCHAは治療効果の客観的予測因子として有望と考えられる」と結論している。(菅野守:医学ライター)

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ピルフェニドン、特発性肺線維症の肺機能低下の抑制効果が明らかに

ピルフェニドン(商品名:ピレスパ)は、特発性肺線維症患者の肺機能低下を抑制し、適切な治療選択肢であることを示唆するデータが、米国・デューク大学のPaul W Noble氏らが実施したCAPACITY試験で示された。特発性肺線維症は進行性、致死性の肺疾患で、肺機能の喪失は不可避的だという。抗線維化/抗炎症薬であるピルフェニドンは経口投与が可能な合成分子で、形質転換増殖因子(TGF)βや腫瘍壊死因子(TNF)αの活性を調整することがin vitroで示され、肺線維症の動物モデルでは線維芽細胞の増殖やコラーゲンの合成を阻害し、線維化の細胞組織学的マーカーを低下させることが明らかにされている。Lancet誌2011年5月21日号(オンライン版2011年5月14日号)掲載の報告。ピルフェニドンの有効性を評価する2つの無作為化プラセボ対照第II相試験CAPACITY試験の研究グループは、ピルフェニドンの特発性肺線維症における肺機能低下の抑制効果を検討する2つの無作為化プラセボ対照第II相試験(004、006)を行った。004と006試験には、オーストラリア、ヨーロッパ、北米の13ヵ国110施設から40~80歳の特発性肺線維症患者が登録され、ピルフェニドン群あるいはプラセボ群に無作為に割り付けられ、72週以上の治療が行われた。004試験ではピルフェニドン2,403mg/日、1,197mg/日、プラセボを投与する群に2:1:2の割合で、006試験ではピルフェニドン2,403mg/日、プラセボを投与する群に1:1の割合で患者が割り付けられた。2,403mg群は801mgを、1,197mg群は399mgを1日3回経口投与した。主要評価項目は、72週における努力性肺活量(FVC)の変化率(%)とし、intention-to-treat解析を行った。004試験で、FVCの低下が有意に抑制004試験には435例が登録され、ピルフェニドン2,403mg群に174例が、1,197mg群に87例が、プラセボ群には174例が割り付けられた。006試験の344例のうち2,403mg群に171例が、プラセボ群には173例が割り付けられた。004試験では、ピルフェニドンによる有意なFVCの改善効果が認められた(p=0.001)。すなわち、72週におけるFVCの平均変化率は2,403mg群が-8.0%、プラセボ群は-12.4%であり、ピルフェニドンにより4.4%のFVC低下の抑制効果が得られた。1,197mg群のFVCの平均変化率は、2,403mg群とプラセボ群の中間であった。006試験では、両群で72週時のFVCの変化率に差を認めなかった(p=0.501)。すなわち、FVCの平均変化率は2,403mg群が-9.0%、プラセボ群は-9.6%であった。しかし、48週までは明らかなピルフェニドンによるFVC低下の抑制効果が認められた(p=0.005)。ピルフェニドン2,403mg群では、プラセボ群に比べ悪心(36% vs. 17%)、消化不良(19% vs. 7%)、嘔吐(14% vs. 4%)、食欲不振(11% vs. 4%)、光過敏症(12% vs. 2%)、皮疹(32% vs. 12%)、眩暈(18% vs. 10%)の頻度が高かったが、全死亡(6% vs. 8%)および特発性肺線維症関連死(3% vs. 7%)は少なかった。著者は、「ピルフェニドンはベネフィット/リスクのプロフィールが良好であり、特発性肺線維症の適切な治療選択肢と考えられる」と結論している。(菅野守:医学ライター)

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加齢黄斑変性症に対するラニビズマブvs. bevacizumab:CATT

滲出型加齢黄斑変性症(AMD)に対する、血管内皮増殖因子(VEGF)阻害薬のラニビズマブ(商品名:ルセンティス)とbevacizumabの有効性および安全性について検討した、多施設共同単盲検非劣性無作為化試験「CATT」の結果が発表された。ラニビズマブは臨床試験により滲出型AMDに対する有効性が認められる承認薬である。一方、bevacizumab(商品名:アバスチン、抗悪性腫瘍薬としてのみ承認)はAMDに対しては未承認で大規模臨床試験データもないが、ラニビズマブ同様VEGFをターゲットとすること、また投与コストがラニビズマブよりも安価であること(1回投与につきラニビズマブ約2,000ドル、bevacizumab約50ドル)から、ラニビズマブのFDA承認待ちの間に眼科医たちが適応外使用を始め、米国ではAMD治療薬として最も一般的に用いられるようになっているという。NEJM誌2011年5月19日号(オンライン版2011年4月28日号)掲載報告より。ラニビズマブとbevacizumabは同等CATT(Comparison of Age-Related Macular Degeneration Treatments Trials)は、ラニビズマブとbevacizumabの有効性および安全性を評価すること、また「必要に応じて投与」が「月1回投与」と比べて長期的視力を損なうかどうかの検討を目的に行われた。2008年2月から2009年12月の間に米国内44のクリニックから登録された患者1,208例(50歳以上、未治療の滲出型AMDを片眼以上有する、電子視力検査による視力が20/25~20/320)を対象とした。被験者は無作為に、ラニビズマブかbevacizumabを硝子体内注射される群に、また月1回投与か月1回の評価で必要に応じて投与する群に割り付けられた。主要アウトカムは、1年時点の視力変化の平均とした。非劣性の範囲は、視力表5文字とした。結果、1年時点の視力変化の平均は、月1回投与bevacizumab群8.0文字増、同ラニビズマブ群8.5文字増で、両群は同等であることが認められた。必要に応じて投与bevacizumab群(5.9文字増)、同ラニビズマブ群(6.8文字増)も同等であることが認められた。また、ラニビズマブは投与法が異なっても(月1回投与か必要に応じて投与)、同等であることが認められたが、bevacizumab群については確証が得られなかった。中心窩網膜厚減少の平均は、月1回投与ラニビズマブ群196μmで、他の群(必要に応じて投与ラニビズマブ群168μm、月1回投与bevacizumab群164μm、必要に応じて投与bevacizumab群152μm)より大きかった(分散分析によるP=0.03)。入院リスク、bevacizumab群がラニビズマブ群の1.29倍だがさらなる検証が必要死亡、心筋梗塞、脳卒中の発生率は、bevacizumab群とラニビズマブ群で同程度であった(P>0.20)。一方で、重篤な全身有害事象(主に入院)リスクが、ラニビズマブ群よりもbevacizumab群でより高かった[発生率:bevacizumab群24.1%、ラニビズマブ群19.0%、リスク比:1.29(95%信頼区間:1.01~1.66)]。それらの多発したイベントは、先行研究のがんトライアルではみられなかった疾患カテゴリーにまで多岐にわたっていた。以上を踏まえCATT研究グループは、「1年時点で、ラニビズマブとbevacizumabの視力に対する効果は、投与スケジュールが同じ場合、同等であった。ラニビズマブの視力に対する効果は、月1回の評価で必要に応じて投与する群と月1回投与群で同等だった」と結論。重篤な有害事象発生率の差異については、偶然である可能性、病歴や多変量モデルに基線の健康状態が含まれなかったことなどが考えられ、より多くの症例数による「さらなる検討が必要」と結論している。(朝田哲明:医療ライター)

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軽症バセドウ病、セレン投与で進行抑制、QOL改善

 日本ではバセドウ病と称されるグレーブス病眼症(GO)の軽症患者に対する治療として、健康栄養素セレンの投与が、QOL改善、眼症減少、GO進行抑制に寄与することが報告された。欧州グレーブス病眼症グループ(EUGOGO)を代表してイタリア・ピサ大学内分泌・代謝学部門のClaudio Marcocci氏らが、同グループに参加する4ヵ国6施設の患者を対象に二重盲検無作為化プラセボ対照試験を行った結果による。軽症GO患者には症状が悪化するまで積極的な治療を行わないが、QOLの低下が問題視されていた。Marcocci氏らはGOの発症機序から、抗酸化作用を有するセレンと、抗炎症作用や種々の免疫調整作用を有するペントキシフィリンの可能性に着目。ペントキシフィリンが小規模パイロット試験でGO患者にベネフィットがあることが示唆されたことを踏まえ、本検討を行った。NEJM誌2011年5月19日号掲載報告より。セレン、ペントキシフィリン、プラセボで二重盲検無作為化試験 試験は2005年1月~2009年1月、イタリアとドイツ各2施設、スイスとギリシャ各1施設の計6施設で、軽症GO患者159例を対象に行われた。 被験者は無作為に、セレン投与群(セレンサプリメント、100μgを1日2回、54例)、ペントキシフィリン投与群(Trental、600mgを1日2回、48例)、プラセボ投与群(1日2回、50例)に割り付けられ6ヵ月間にわたる経口投与を受け、投与を中止した後6ヵ月間追跡された。 主要アウトカムは、6ヵ月時点での、治療割り付けを知らされていない眼科医による眼の全般的評価と、患者によるGO特異的QOL質問票による評価とした。またCAS(Clinical Activity Score)と複視スコアを副次的アウトカムとした。セレン群、プラセボとの比較でQOL改善、眼症減少、GO進行抑制 6ヵ月時点の評価でプラセボと比較して、セレン投与群は、QOLが改善(P<0.001)、眼症状がより少なく(P=0.01)、GO進行の抑制(P=0.01)が認められた。一方、ペントキシフィリン投与群ではいずれも認められなかった。 CASは3群とも低下が認められたが、セレン投与群での変化(平均3.5)が有意に大きかった。ペントキシフィリン投与群とプラセボ群の低下は有意差が認められなかった(平均3.0)。 これらの結果は、12ヵ月時点の探索的評価においても確認された。 なお、プラセボ群2例とペントキシフィリン投与群1例の患者で、病態悪化による免疫抑制療法が必要となった。有害事象は、セレン投与群ではそれとわかる事象が認められなかったが、ペントキシフィリン投与群では高頻度の胃腸症状が認められた。

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胃食道逆流症への腹腔鏡下逆流防止術、esomeprazole投与と5年寛解率は同等

胃食道逆流症(GERD)に対する、腹腔鏡下逆流防止術(laparoscopic antireflux surgery;LARS)とプロトンポンプ阻害薬esomeprazole投与による治療について、5年寛解率は同等であることが示された。フランス・Nantes大学のJean-Paul Galmiche氏らが行った国際多施設共同無作為化試験「LOTUS」の結果によるもので、JAMA誌2011年5月18日号で発表された。GERDは慢性・再発性の疾患で日常生活に支障を来す。治療としては、長期薬物療法もしくは手術療法の2つのオプションがあるが、LOTUS試験は、いずれが至適であるかを目的に行われた。ヨーロッパ11ヵ国の病院で、GERD患者554人を5年間追跡LOTUS(Long-Term Usage of Esomeprazole vs Surgery for Treatment of Chronic GERD)は5年探索無作為化オープン平行群試験で、2001年10月~2009年4月にかけて、ヨーロッパ11ヵ国の教育病院で、慢性GERD患者554人を対象とした。被験者は無作為に、esomeprazole 20~40mg/日投与群(266人)と、LARS施行群(288人中248人が手術実施)に割り付けられ追跡された。患者は全員、治療開始当初、胃酸分泌抑制治療に反応性だった。主要評価項目は、治療失敗までの時間(esomeprazole群は投与量調整後も症状がみられる場合と定義、LARS群は胃酸分泌抑制を要した場合と定義)とし、推定5年寛解率で検討した。解析にはKaplan-Meier法を用いた。被験者のうち5年間追跡できたのは、合わせて372人(esomeprazole群192人、LARS群180人)だった。推定5年寛解率、esomeprazole群92%、LARS群85%で有意差は認められず結果、推定5年寛解率は、esomeprazole群が92%(95%信頼区間:89~96%)、LARS群は85%(同:81~90%)で、試験脱落者の影響を考慮しても統計学的に両群に有意差は認められなかった(ログランク検定:p=0.048)。5年時点のesomeprazole群とLARS群のGERD症状について比較したところ、胸焼け症状は、16% vs. 8%(p=0.14)、酸逆流症状は13% vs. 2%(p<0.001)、嚥下障害は5% vs. 11%(p<0.001)、腹部膨満は28% vs. 40%(p<0.001)、鼓腸は40% vs. 57%(p<0.001)だった。試験期間中、死亡率は両群ともに低く(esomeprazole群4例、LARS群1例)、要治療者は認められなかった。また、重大有害事象の発生率は、esomeprazole群が24.1%に対しLARS群が28.6%と、両群で有意差はなかった。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

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米国非農村部病院の救急部門、最近20年で27%が閉鎖、営利追求、競争激化が原因

最近20年間で、米国非農村部にある病院の救急部門のうち27%が閉鎖しており、営利病院や病院激戦地にある病院、セーフティネット病院で救急部門の閉鎖リスクが高いことが明らかにされた。米国・カリフォルニア大学救急医療部門のRenee Y. Hsia氏らの調査結果による。米国では1998~2008年の間、特に公的保険加入者や無保険者の患者の救急部門受診者が増大する一方、病院救急部門の減少が伝えられていたが、その閉鎖のリスク要因は明らかにされていなかった。Hsia氏らは、病院救急部門は連邦法により、患者の支払能力にかかわらず医療を必要とする者を受け入れるよう義務付けられているが、米国ヘルスケアを支配する“市場の原理”により弱体化しているのではないかと考え調査・分析を行った。JAMA誌2011年5月18日号掲載より。非農村部病院の救急部門、2,446から1,779ヵ所へ減少Hsia氏らは、米国病院協会(AHA)の報告書と米国高齢者向け公的医療保険「メディケア」の病院費用報告書を基に、1990~2009年の期間中に救急部門を備えていた病院について追跡した。救急部門の閉鎖に関するリスク因子として、病院特性(15マイル範囲内の他病院と比べて退院のメディケイド率が倍以上の病院として定義されるセーフティネット病院、営利性、教育性、組織メンバー、救急部門規模、ケアミックス)、群人口特性(人種、貧困度、無保険率、高齢者率)、市場因子(所有者構成、利益率、競合病院間での位置づけ、他救急部門の存在)を調べ、閉鎖リスクとの関連を分析した。結果、1990~2009年にかけて、米国非農村部病院の救急部門は、閉鎖が1,041ヵ所、新設が374ヵ所で、総計では2,446ヵ所から1,779ヵ所へと27%減少していた。閉鎖リスク、営利病院1.8倍、競争激戦地の病院1.3倍、セーフティネット病院1.4倍都市部の急性期病院2,814ヵ所、延べ3万6,335病院・観察年を対象とした分析の結果では、1990~2007年の18年間で、営利病院、利益率が低い病院ほど、救急部門を閉鎖する傾向が認められた。営利病院では閉鎖率26%、非閉鎖率16%で、ハザード比は1.8(95%信頼区間:1.5~2.1)、利益率が最も低い四分位範囲の病院では閉鎖率36%、非閉鎖率18%で、ハザード比は1.9(同:1.6~2.3)だった。競争の激しい地域にある病院の閉鎖リスクは有意に高く、閉鎖率34%、非閉鎖率17%、ハザード比1.3(同:1.1~1.6)だった。セーフティネット病院は、同10%、6%、ハザード比1.4(同:1.1~1.7)、貧困層の患者の割合が高い病院は、同37%、31%、ハザード比1.4(同:1.1~1.7)だった。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

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インクレチン関連薬は、次のステップへ~ケアネット女性記者による第54回糖尿病学会レポート~

2011年5月19日(木)から3日間、札幌市にて、第54回日本糖尿病学会年次学術集会「糖尿病と合併症:克服へのProspects」が開催された。会長の羽田勝計氏(旭川医科大学)は、会長講演にて、「糖尿病治療における細小血管および大血管障害の発症・進展が阻止されれば、健常人と変わらないQOLの維持、寿命の確保が可能になる」と述べ、合併症の克服により本学会のテーマである「克服へのProspects」が10年後には「克服可能」となることを期待したい、とのメッセージを伝えた。また、今年3月に発生した東日本大震災を受けて、緊急シンポジウム「災害時の糖尿病医療」も開かれた。被災地での糖尿病医療や被災地外からの支援活動、阪神・淡路大震災などの過去の災害における経験が報告され、今後の災害時における糖尿病医療のあり方について討議された。その他、「IDFの新しい2型糖尿病の治療アルゴリズム アジアへの適応は」、「J-DOIT1,2,3,JDCPからのメッセージ」、「インクレチン関連薬の臨床」といった数多くのシンポジウムが開催された。多くのセッションが目白押しではあったが、今回、ケアネットでは特に「インクレチン関連薬」に注目した。昨年度のインクレチン関連薬発売ラッシュ以降、初の学会を迎えたことから、「インクレチン関連薬」にフォーカスしてレポートする。【注目を集めたインクレチン関連薬】昨年度は、DPP-4阻害薬、GLP-1受容体作動薬の発売が相次ぎ、糖尿病治療の歴史にとっても大きな変革の年となった。DPP-4阻害薬では、2009年12月のシタグリプチン(商品名:ジャヌビア/グラクティブ)を皮切りに、2010年にビルダグリプチン(商品名:エクア)、アログリプチン(商品名:ネシーナ)が発売、GLP-1受容体作動薬は、リラグルチド(商品名:ビクトーザ)とエキセナチド(商品名:バイエッタ)が医療現場に登場した。2011年には各薬剤の14日間の投薬期間制限が順次解除されるため、長期投与が可能となり、普及の勢いはさらに増すだろう。本学会でも、DPP-4阻害薬とGLP-1受容体作動薬を総称する「インクレチン関連薬」が注目を集め、シンポジウム、一般講演、ポスターなどで多くの臨床成績が発表された。【効果と安全性、薬剤間の明確な差は?】発表されたデータは、ほとんどが各薬剤の「有効性」と「安全性」に関するものであった。「既存薬からインクレチン関連薬への切り替えで、どの程度血糖値が低下するのか?本当に低血糖は起こさないのか?」という臨床現場の疑問が浮き彫りになった形だ。その結果、多くのデータで各薬剤の有効性と安全性が明らかになった。しかし、これはすべての薬剤で同様の結果が報告されており、DPP-4阻害薬とGLP-1受容体作動薬との間での差はあるものの、同効薬群間での差は大きくはない。どの薬剤を使用しても一定の効果は得られそうだ。【DPP-4阻害薬市場の激化は必至】DPP-4阻害薬に関する各薬剤別の発表データについてみてみると、やはり先行して発売されたシタグリプチンを用いた報告症例が多い印象であった。ビルダグリプチン、アログリプチンについては適応上、透析を行うような重症腎機能障害例にも投与が可能(※ただし慎重投与)ということで、透析患者や腎機能低下症例への投与例の報告があった。ただし、これらはあくまで一部のデータであり、実際の臨床現場において薬剤の使い分けに関する明確な指針や投与患者像を確立することは難しいだろう。DPP-4阻害薬は期待が高いだけに、数多くの種類が市場に出回ることになる。どれを選択するかは現場の医師の手に委ねられることになるだろう。【今後必要となるのは、効果不応例を早期に見分ける指標】とはいえ、すべての患者にインクレチン関連薬が効果を示すというわけではなく、著効例と不応例に分かれる傾向が多くの報告で挙げられた。当然、どのような患者に効果があるのか(最適患者像の探索)、そして不応例を早期に見分けるにはどうすべきか(検査指標とそのカットオフ値)にも注目が集まった。その点に着目した解析結果も発表されたものの、サンプル数が少なく、発表により結果のばらつきがあり、多くの演題で「今後の長期的検討が必要」、「多くの症例蓄積が必要」というまとめに終わった。来年以降、各薬剤の著効例、不応例のそれぞれの臨床的特徴を検討したデータが増え、投与患者像の明確化も進むのではないかと期待される。【インスリンからの切り替え例の報告も】演題の中には、既存経口薬以外にも、BOTやインスリン療法など、すでにインスリン注射を導入している患者からインクレチン関連薬へ切り替える例も報告された。当然、インスリン単位数の少ない症例がメインではあるが、インスリン療法で糖毒性をいったん解除することで内因性の基礎インスリン分泌能の回復が期待でき、その後のインクレチン関連薬の切り替えも奏功する可能性が示唆された。切り替えが奏功した例の特徴としては、糖尿病の罹病期間が短く、合併症が少なく、食後のインスリン追加分泌が保たれたインスリン単位の少ない症例、などが挙げられた。インスリン療法からの切り替えがうまくいけば、患者にとっても朗報である。また、インクレチン関連薬による治療の可能性も広がるだろう。切り替え時の高血糖などに留意は必要だが、安全性に配慮しながら、今後、治療が確立されることを期待したい。【まとめ】今回、多くのインクレチン関連薬の臨床データが発表された。今後さらにDPP-4阻害薬の種類が増える(※アナグリプチン、テネリグリプチン、リナグリプチン、サクサグリプチンが現在フェーズⅢの段階にある)ことを考えると、医師側は各患者にあった薬剤を医師自身の基準で選択していくことが求められそうだ。インクレチン関連薬の発売を契機に、糖尿病治療は大きく変わり始めた。糖尿病治療の目標が、細小血管および大血管障害の発症・進展の阻止とその後の患者のQOLや寿命の確保にある以上、インクレチン関連薬をベースとした早期のエビデンス構築にも期待がかかる。10年後の「克服可能」な糖尿病治療に向け、インクレチン関連薬の今後の動きに注目したい。(ケアネット 佐藤寿美)

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COPDの標準治療へのβ遮断薬追加の有用性が明らかに

慢性閉塞性肺疾患(COPD)の治療において、β遮断薬を標準的な段階的吸入薬治療に追加すると、全死因死亡、急性増悪、入院のリスクが改善されることが、イギリス・Dundee大学のPhilip M Short氏らの検討で示された。β遮断薬は、心血管疾患に対する明確なベネフィットが確立されているが、COPDを併発する患者では、気管支攣縮の誘導や吸入β2刺激薬の気管支拡張作用の阻害を理由に使用されていない。一方、β遮断薬がCOPD患者の死亡や増悪を抑制する可能性を示唆する報告があるが、標準的なCOPD治療薬との併用効果を検討した研究はないという。BMJ誌2011年5月14日号(オンライン版2011年5月10日号)掲載の報告。β遮断薬の上乗せ効果を評価する後ろ向きコホート試験研究グループは、COPD管理におけるβ遮断薬の意義を評価するために、標準治療+β遮断薬の効果を検討する後ろ向きコホート試験を実施した。スコットランド、テーサイド州の呼吸器疾患データベースであるTayside Respiratory Disease Information System(TARDIS)を検索して、2001年1月~2010年1月までにCOPDと診断された50歳以上の患者5,977例を抽出した。Cox比例ハザード回帰分析にて、全死因死亡、経口副腎皮質ステロイド薬の緊急投与、呼吸器関連入院のハザード比を算出した。全死因死亡率が有意に22%低下平均フォローアップ期間は4.35年、男性3,048例/女性2,929例、診断時の平均年齢は69.1歳、使用されたβ遮断薬の88%が心臓選択性であった。β遮断薬の追加によって全死因死亡率が22%低下した(ハザード比:0.78、95%信頼区間:0.67~0.92)。β遮断薬追加が全死因死亡にもたらすベネフィットは、治療の全段階で認められた。対照群(1,180例、短時間作用性吸入β2刺激薬、短時間作用性吸入抗コリン薬のいずれか一方のみで治療)との比較における全死因死亡率の調整ハザード比は、吸入ステロイド薬(ICS)+長時間作用性β2刺激薬(LABA)+長時間作用性抗コリン薬チオトロピウム(Tio)併用治療では0.43(95%信頼区間:0.38~0.48)、これにβ遮断薬を追加した場合は0.28(同:0.21~0.39)であり、いずれも有意に改善されたが、ICS+LABA+Tio+β遮断薬併用治療のほうがより良好であった。急性増悪時の経口ステロイド薬の緊急投与および呼吸器関連入院の低減効果についても、全死因死亡と同様の傾向がみられ、β遮断薬追加のベネフィットが示された。長時間作用性気管支拡張薬や吸入ステロイド薬にβ遮断薬を併用しても、肺機能に対する有害な影響は認めなかった。著者は、「β遮断薬は、COPDの確立された段階的吸入薬治療と併用することで、併存する心血管疾患や心臓病薬との相互作用を起こさずに、かつ肺機能へ有害な影響を及ぼすことなく、死亡や増悪を低下させる可能性がある」と結論している。(菅野守:医学ライター)

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甲状腺自己抗体を発現する妊婦へのレボチロキシン投与、流産/早産リスクを低減

甲状腺自己抗体の発現がみられる妊婦では、流産および早産のリスクが有意に高く、甲状腺ホルモン製剤レボチロキシン(商品名:レボチロキシンNa、チラーヂン)はこれらのリスクを50%以上も低下させることが、イギリス・ロンドン大学クイーン・メアリー校のShakila Thangaratinam氏らの検討で示唆された。妊娠可能年齢の女性で相対的に発現頻度が高いとされる甲状腺自己抗体は、妊娠の有害転帰を招く可能性があるという。一方、レボチロキシンは妊娠の転帰を改善する可能性が示唆されている。BMJ誌2011年5月14日号(オンライン版2011年5月9日号)掲載の報告。甲状腺自己抗体と流産/早産の関係をメタ解析で評価研究グループは、甲状腺機能が正常な女性における甲状腺自己抗体と流産および早産の関係を評価し、レボチロキシンの妊娠転帰への影響を検討するために、系統的なレビューとメタ解析を行った。データベースを検索して、甲状腺自己抗体と流産および早産に関する文献を収集した。対象集団、診断検査、アウトカムに関する明確な判定基準を事前に定義し、2名のレビュアーがこれを満たす試験を選定した。データの統合には変量効果モデルを用い、個々の試験のオッズ比(OR)をコホート試験と症例対照試験に分けてプールした。レボチロキシンの流産/早産抑制効果のエビデンス甲状腺自己抗体と流産の関連を検討した31試験(コホート試験19件、症例対照試験12件、合計1万2,126人)の30論文、および甲状腺自己抗体と早産の関連を検討した5試験(すべてコホート試験、合計1万2,566人)について解析した。流産との関係を検討した31試験のうち28試験では、甲状腺自己抗体が流産と関連することが示された。コホート試験のメタ解析では、甲状腺自己抗体の発現により流産のORは3.90(95%信頼区間:2.48~6.12、p<0.001)に達し、症例対照試験のメタ解析ではORは1.80(同:1.25~2.60、p=0.002)と、いずれも有意差を認めた。一方、早産のORは、甲状腺自己抗体の発現に伴って約2倍に上昇した(OR:2.07、1.17~3.68、p=0.01)。レボチロキシンの流産に及ぼす影響を検討した2つの無作為化試験(合計187人)のメタ解析では、レボチロキシンは流産のリスクを52%有意に低減した(相対リスク:0.48、95%信頼区間:0.25~0.92、p=0.03)。このうち1つの試験(115人)では早産に関する検討も行われ、レボチロキシンは早産のリスクを有意に69%抑制することが確認された(同:0.31、0.11~0.90)。著者は、「甲状腺自己抗体の発現がみられる妊婦では、流産および早産のリスクとの高度な関連が認められた。レボチロキシン治療が、これらのリスクを有意に低下させる可能性を示唆するエビデンスが得られた」と結論している。(菅野守:医学ライター)

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脳動脈瘤へのヒドロゲル被覆コイル塞栓術、プラチナコイルに比べ再発率を抑制

脳動脈瘤に対するヒドロゲル被覆コイルを用いた血管内塞栓術は、瘤破裂の明らかな抑制効果や長期的な臨床アウトカムの改善効果はもたらさないものの、脳動脈瘤再発(フォローアップ画像検査で不完全な瘤塞栓)を有意に抑制することが、英国・エディンバラ大学のPhilip M White氏らが行ったHELPS試験で示された。血管内コイル塞栓術は開頭手術によるクリッピング術に比べ予後良好で低侵襲だが、残存瘤や再発、再治療率が高いとされる。被覆コイルは、再発率や再治療率の低減を目的に開発されたが、従来のベアプラチナコイルに比べ高価で、その安全性や有効性に関する強固なエビデンスが確立されないまま8~9年間、臨床使用されてきたという。Lancet誌2011年5月14日号掲載の報告。ヒドロゲル被覆コイルの有効性と安全性を評価する無作為化対照比較試験HELPS試験の研究グループは、ヒドロゲル被覆コイルの有効性と安全性を評価するために、ベアプラチナコイルと比較する無作為化対照比較試験を行った。最大径2~25mmの未治療の破裂または未破裂脳動脈瘤患者(18~75歳)が登録され、ヒドロゲル被覆コイルあるいは標準的なベアプラチナコイル(対照)を用いた動脈瘤コイル塞栓術を施行する群に1対1の割合で無作為に割り付けられた。患者とアウトカムの評価者には、治療割り付け情報は知らされなかった。欠測データを除外した修正intention-to-treat解析を行った。主要評価項目は、施術後18ヵ月の時点における血管造影画像上および臨床的な複合アウトカムとした。主要評価項目:28% vs. 36%、脳動脈瘤再発率は8.6%減少2004年9月~2007年2月までに499例が登録され、ヒドロゲル被覆コイル群に249例が、対照群には250例が割り付けられた。18ヵ月後の血管造影画像が得られなかった44例は、6ヵ月後の画像が解析に用いられた。 有害な複合アウトカム(血管造影画像上の動脈瘤再発、治療関連死、治療関連合併症)の発生率は、ヒドロゲル被覆コイル群が28%(70/249例)、対照群は36%(90/250例)で、被覆コイル群の絶対低下率は7.0%であったが、有意差はみられなかった(オッズ比:0.73、95%信頼区間:0.49~1.1、p=0.13)。直近の破裂動脈瘤患者に関するサブグループ解析では、有害複合アウトカムの発生率はヒドロゲル被覆コイル群で有意に低下した(オッズ比:2.08、95%信頼区間:1.24~3.46、p=0.014)。血管造影画像上の脳動脈瘤再発率はヒドロゲル被覆コイル群で8.6%減少した(同:0.7、0.4~1.0、p=0.049)。非直近の破裂動脈瘤の患者では、ヒドロゲル被覆コイル群の5例、対照群の1例で原因不明の水頭症が認められた。著者は、「ヒドロゲル被覆コイルによる動脈瘤破裂の抑制効果および長期的な臨床アウトカムの改善効果は確認できなかったが、脳動脈瘤の再発抑制効果が示唆された」と結論している。(菅野守:医学ライター)

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デング熱媒介蚊コントロール戦略、幼虫よりも成虫標的のほうが費用対効果に優れる

都市部におけるデング熱の媒介蚊(ベクター)コントロール戦略では、高い駆除効果を有する殺虫剤の年6回散布による成虫コントロールが、費用対効果に優れる介入と考えられることが、米国・エール大学のPaula Mendes Luz氏らの検討で示された。世界で推定25億人がデング熱罹患リスクにさらされ、とくに医療資源に制約のある国で罹患率が高い。毎年約5,000万人が感染し、ベクターと人口の密度上昇により特に都市部で増加している。デング熱コントロールは、主にベクターの幼虫あるいは成虫を標的とした殺虫剤散布に依存するが、殺虫剤抵抗性の進化によりコントロール・プログラムが失敗に終わる可能性があるという。Lancet誌2011年5月14日号(オンライン版2011年5月3日号)掲載の報告。43の殺虫剤ベースのベクター・コントロール戦略の費用対効果を評価研究グループは、デング熱ベクターのコントロール戦略について疫学的および経済的評価を行った。ヒトにおけるデング熱感染抑制の進化的、免疫学的な長期効果を評価する動的モデルを開発した。デング熱による健康負担を障害調整生存年数(disability-adjusted life-years; DALY)の損失で評価した。43の殺虫剤ベースのベクター・コントロール戦略(成虫または幼虫を標的とした戦略など)について、駆除効果(高:駆除率90%、中:同60%、低:同30%)および年間殺虫剤散布回数(1~6回)に基づいて費用対効果分析を行った。得られた結果に対するパラメータ不確実性の影響を評価するために、確率的感度分析および閾値分析を行った。幼虫を標的とするコントロールは逆効果を招く可能性もすべての介入において、集団免疫の喪失に伴って、将来的なデング熱流行の強度を増強すると考えられる殺虫剤抵抗性の発現がみられた。モデル分析では、高駆除効果の殺虫剤を年1回以上散布する幼虫コントロールによってデング熱による健康負担が最高で2年まで低下した。これに対し、高駆除効果殺虫剤の年3回以上散布による成虫コントロールでは健康負担が最高4年間低下した。高駆除効果殺虫剤の年2回散布による成虫コントロール戦略の増分費用対効果比は615米ドル/DALYの節減となり、年6回散布による成虫コントロールでは1,267米ドル/DALYが節減された。感度分析では、成虫コントロールの費用が幼虫コントロールの8.2倍以上に達すると、成虫コントロールに基づくすべての戦略が優位になることが示された。著者は、「高駆除効果殺虫剤の年6回散布による成虫コントロールはWHOの基準を満たす費用対効果比を示し、それゆえ費用対効果に優れた介入と考えられる。幼虫コントロールは、殺虫剤抵抗性の進化や集団免疫の喪失によって後年のデング熱流行に悪影響を及ぼし、逆効果を招く可能性がある」と結論し、幼虫に限定したベクター・コントロール対策の再評価を提言している。(菅野守:医学ライター)

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転移性膵臓がんに対するFOLFIRINOXレジメンvs. ゲムシタビン

転移性膵臓がんに対する第一選択治療としての併用化学療法レジメンFOLFIRINOXの有効性と安全性について、ゲムシタビン単剤療法と比較した初の検討結果が示された。フランス・ナンシー大学腫瘍学部門のThierry Conroy氏らによる。FOLFIRINOXは、オキサリプラチン+イリノテカン+フルオロウラシル+ロイコボリンの4剤併用のレジメンで、ゲムシタビン併用レジメンの検討で示唆された細胞傷害性を参考に編み出された。全身状態良好な進行性膵臓がんを対象とした第1相、第2相試験で有効であることを試験成績が示され、第2-3相試験として転移性膵臓がんに対する第一選択治療としてのゲムシタビンとの比較検討が行われた。NEJM誌2011年5月12日号掲載より。全身状態良好な転移性膵臓がん患者342例を対象に無作為化試験試験は2005年12月~2009年10月の間、フランス国内48施設から集められた、全身状態の指標であるECOG(Eastern Cooperative Oncology Group)スコア(0~5、スコアが高いほど重症度が高い)が0もしくは1の患者342例を対象に行われた。被験者は無作為にFOLFIRINOXレジメンかゲムシタビン単剤を投与する群に割り付けられた。FOLFIRINOXレジメンは、2週間を1サイクルとして、オキサリプラチン85mg/m2を2時間静注、直後にロイコボリン400mg/m2を2時間静注、ロイコボリン投与開始遅れること30分後にイリノテカン180mg/m2静注を開始し90分間、直後にフルオロウラシルを400mg/m2ボーラス投与後2,400mg/m2を46時間持続点滴静注であった。一方、ゲムシタビン投与は1,000mg/m2の週1回30分間静注を7週間投与し、1週間休薬後、4週間のうち3週間投与というスケジュールだった。両群とも反応がみられた患者で、6ヵ月間の化学療法が推奨された。主要エンドポイントは、全生存期間。最終データの解析が行われたのは2010年4月だった。FOLFIRINOX群の死亡ハザード比0.57、有害事象の発生はより多い結果、全生存期間中央値は、ゲムシタビン群6.8ヵ月に対しFOLFIRINOX群は11.1ヵ月で、FOLFIRINOX群の死亡ハザード比は0.57(95%信頼区間:0.45~0.73、P<0.001)だった。無増悪生存期間中央値は、FOLFIRINOX群6.4ヵ月、ゲムシタビン群3.3ヵ月で、FOLFIRINOX群の疾患進行ハザード比は0.47(同:0.37~0.59、P<0.001)だった。客観的奏効率は、ゲムシタビン群9.4%に対し、FOLFIRINOX群は31.6%であった(P<0.001)。有害事象の発生は、FOLFIRINOX群のほうが多かった。またFOLFIRINOX群で発熱性好中球減少症を呈した患者は5.4%であった。6ヵ月時点の定義評価でQOL低下が認められた患者は、FOLFIRINOX群31%に対し、ゲムシタビン群66%に上った(ハザード比:0.47、95%信頼区間:0.30~0.70、P<0.001)。以上からConroy氏は、「FOLFIRINOXレジメンはゲムシタビン単剤療法と比べて、生存利益があることが認められた。毒性はより強かった」とまとめたうえで、「FOLFIRINOXレジメンは、転移性膵臓がんで全身状態が良好な患者の治療選択肢の一つとなる」と結論している。(武藤まき:医療ライター)

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女性の重大健康問題、骨盤臓器脱には、メッシュキット修復術か膣壁形成術か

骨盤臓器脱の修復法として近年急速に広がった、標準化されたトロカールガイド下ポリプロピレン製メッシュキットを用いた経膣的修復術について、従来の膣壁形成術と比較検討した結果、短期的な治療成功率は高かったが、手術合併症および術後の有害事象発生率も高いことが明らかにされた。スウェーデン・Danderyd病院産婦人科のDaniel Altman氏らによる多施設共同並行群無作為化試験による。骨盤臓器脱は女性を悩ます健康問題の一つとして世界的に重大視されるようになっている。米国では年間30万件以上の前膣壁形成術が行われているが再発リスクが40%以上に上り、革新的な術式への関心が高まっていた。そのような中で急速に広がったのが、従来の手法とは全く異なる、メッシュキットで膣壁を吊り上げるという術式だが、これまで無作為化試験による両者のアウトカム検討のデータがなかったという。NEJM誌2011年5月12日号掲載より。主要アウトカムはメッシュキット修復群60.8%、従来群34.5%試験は2007年12月~2008年12月、スウェーデン、ノルウェー、フィンランド、デンマークの53病院から被験者を募り行われた。1,685例がスクリーニングを受け、前膣壁脱(膀胱瘤)を有する389例が無作為に、メッシュキット修復群(200例)か従来の膣壁形成術群(189例)に割り付けられた。主要アウトカムは、術後12ヵ月時点の、骨盤臓器脱を定量化したPOP-Qシステムによる客観的解剖学的所見がステージ0(脱なし)または1(前膣壁の位置が処女膜より上1cm超)と、膣膨隆症状の主観的な消失との複合とされた。結果、1年時点の主要アウトカム発生は、メッシュキット修復群60.8%、従来群34.5%で、メッシュキット修復群のほうが有意に多かった(絶対差:26.3ポイント、95%信頼区間:15.6~37.0)。メッシュキット修復群は手術時間が長く、術中出血多く、術後新たな腹圧性尿失禁発生も一方で、メッシュキット修復群のほうが、手術時間が長く(P<0.001)、手術時の出血の割合も高かった(P<0.001)。膀胱穿孔率は、メッシュキット修復群3.5%、従来群0.5%だった(P=0.07)。術後に新たに発生した腹圧性尿失禁の割合はそれぞれ12.3%、6.3%だった(P=0.05)。また追跡期間中、メッシュキット修復群186例のうち3.2%で、メッシュの露出を修正するための外科的処置が行われた。(武藤まき:医療ライター)

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浸潤性乳がん患者へのタキサン系+アントラサイクリン系ベース化学療法後の生存率の予測モデルを開発

米国Nuvera Biosciences社のChristos Hatzis氏らは、浸潤性乳がん患者へのタキサン系+アントラサイクリン系ベース化学療法に対する反応性を、遺伝子発現様式で予測するモデルを開発した。同モデルとエストロゲン受容体(ER)の陽性・陰性を組み合わせることで、生存率について8~9割の確率で予測することができたという。JAMA誌2011年5月11日号で発表した。浸潤性乳がん310人を基にモデル開発、198人を対象に検証研究グループは、2000年6月~2010年3月にかけて、多施設共同前向き試験を行った。被験者は、新たに浸潤性乳がんの診断を受けたERBB2(HER2またはHER2/neu)陰性の患者で、タキサン系+アントラサイクリン系ベースの化学療法の治療を受けた310人だった。ER陽性の場合には、化学療法と併せて内分泌療法を行った。被験者グループを基に、遺伝子発現様式によるタキサン系+アントラサイクリン系ベース化学療法感受性の予測モデルを作り、独立評価群(198人)で生存率や病理学的反応などについての予測能を検証した。なお、独立評価群の99%が臨床ステージ2または3だった。治療感受性群の遠隔無再発生存率は92%結果、独立評価群のうち、同モデルで治療感受性と予測された人は28%で、そのうち病理学的反応が非常に良好である確率は56%(95%信頼区間:31~78)、遠隔無再発生存率は92%(同:85~100)、絶対リスク減少は18%(同:6~28)だった。被験者でER陽性のうち同モデルで治療感受性と予測されたのは30%で、遠隔無再発生存率は97%(同:91~100)、絶対リスク減少は11%(同:0.1~21)だった。一方ER陰性のうち治療感受性と予測されたのは26%で、遠隔無再発生存率は83%(同:68~100)、絶対リスク減少は26%(同:4~48)だった。また、化学療法への反応性が予測された患者は、その他の遺伝子予測因子によって逆説的に生存率が悪いことが示された。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

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