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治療抵抗性の発作性心房細動、高周波カテーテルアブレーション治療が有効

1種類以上の抗不整脈薬に抵抗性の症候性発作性心房細動患者に対して、高周波カテーテルアブレーション治療が、抗不整脈薬による治療よりも有効であることが示された。治療による有害作用の発症率も、カテーテルアブレーション治療群の方が薬物治療(ADT)群よりも低率だった。米国Loyola大学病院内科心血管研究部門のDavid J. Wilber氏らが行った、無作為化試験の結果からの報告で、JAMA誌2010年1月27日号で発表した。治療不成功イベントの発生リスクは、アブレーション群が0.3倍Wilber氏らが行った無作為化非盲検ベイズ流デザイン試験は、2004年10月25日~2007年10月11日にかけて、19ヵ所の病院で、167人の患者を対象に試験を開始し、2009年1月19日まで追跡した。被験者は、1種類以上の抗不整脈に対して抵抗性を示し、また無作為化前6ヵ月以内に心房細動発作を3回以上経験していた。被験者数は、アブレーション群が106人、ADT群が61人だった。追跡期間は9ヵ月だった。追跡期間中に、症候性発作性心房細動や初回アブレーション後80日以内の再アブレーションの実施など、事前に定義した治療不成功イベントの非発生率について、両群で比較した。その結果、治療開始後9ヵ月間に治療不成功イベントが発生しなかった割合は、ADT群では16%だったのに対し、アブレーション群では66%にも上った。治療不成功イベントのアブレーション群のADT群に対するハザード比は、0.30(95%信頼区間:0.19~0.47、p

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2型糖尿病の発症予測、遺伝学的リスクモデルは有用でない:Whitehall II試験

2型糖尿病の発症予測では、表現型に基づく非遺伝学的なリスクモデルの方が、2型糖尿病関連一塩基多型(SNP)に基づく遺伝子型モデルよりも有用なことが、イギリスUniversity College London心血管遺伝学センターのPhilippa J Talmud氏らが行ったコホート研究(Whitehall II試験)で示された。イギリスでは最近、発症予測に関する2つの非遺伝学的モデル(ケンブリッジ2型糖尿病リスクスコア、フラミンガム子孫試験2型糖尿病リスクスコア)が確立され、ルーチンに用いられている。その一方で、2型糖尿病の発症に関連する20のSNPが同定されているが、発症予測にどの程度役立つかは明らかにされていなかった。BMJ誌2010年1月23日号(オンライン版2010年1月14日号)掲載の報告。1980年代に開始された前向きコホート研究の7回目のスクリーニングの解析Whitehall II試験の研究グループは、将来の2型糖尿病の発症予測において、2型糖尿病関連SNPの有用性を評価し、すでに確立されている表現型に基づく非遺伝学的モデルにこれらの遺伝情報を付加することで予測能を向上させられるか否かを評価するために、プロスペクティブなコホート研究を実施した。Whitehall II試験には、1985~1988年までに35~55歳のロンドン市の公務員10,308人が登録された。7回目の調査(2003~2004年)において、6,156人からDNAが採取された。登録時に健康であった5,535人(平均年齢49歳、女性33%)のうち、第7回調査の時点で302人が10年以上持続する新規の2型糖尿病に罹患していた。表現型に基づく非遺伝学的リスクモデルのうち、ケンブリッジ2型糖尿病リスクスコアは年齢、性別、薬物療法、2型糖尿病の家族歴、BMI、喫煙歴に基づいて算出され、フラミンガム子孫試験2型糖尿病リスクスコアは年齢、性別、親の2型糖尿病既往歴、BMI、HDLコレステロール、トリグリセライド、空腹時血糖から計算された。遺伝学的リスクモデルには、2型糖尿病との関連が確認されている20のSNPが使用され、リスク対立遺伝子(allele)の保有数(0~40個)と遺伝学的リスク機能(個々のリスク対立遺伝子を遺伝子研究のメタ解析で得られたオッズ比に従って重み付け)に基づいてスコアが算出された。2型糖尿病の発症は、標準的な経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)、主治医による診断、あるいは糖尿病治療薬の使用によって確定された。表現型リスクモデルと遺伝学的リスクモデルを合わせても識別能は改善されず遺伝学的リスクスコアは将来の糖尿病患者を識別できなかった。ケンブリッジ2型糖尿病リスクスコアとフラミンガム子孫試験2型糖尿病リスクスコアは、遺伝学的リスクスコアよりも識別能が優れていた。表現型によるリスクモデルに遺伝学的情報を加味しても識別能は改善されず、モデルの精度を調整(キャリブレーション)してもわずかな改善効果しか得られなかった。ケンブリッジリスクスコアに遺伝学的情報を加えた場合は約5%の改善効果が得られたが、フラミンガム子孫リスクスコアに付加しても識別能は改善されなかった。著者は、「表現型に基づくリスクモデルの方が遺伝学的リスクモデルよりも将来の2型糖尿病患者の識別能が優れており、両者を合わせた場合、最良でもわずかな改善効果しか得られなかった」と結論し、「2型糖尿病関連遺伝子に関するトランスレーショナル研究の成果を臨床に適用する場合は、病因や治療標的の面からアプローチする方がよいかもしれない」と考察している。(医学ライター:菅野守)

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0.5Gy以上の被曝で心疾患、脳卒中のリスクが増大、広島・長崎の被爆者調査から判明

放射線被曝線量が0.5Gyを超えると、心疾患や脳卒中のリスクが増大することが、放射線影響研究所(広島市)疫学部のYukiko Shimizu氏らが広島・長崎の被爆者を対象に行ったコホート研究で明らかとなった。ホジキン病や乳がんに対する放射線治療の際に心臓や頭頸部に高線量が照射されると、心疾患や脳卒中による死亡が増加することが知られているが、中~低線量でもこれらの疾患のリスクが増大するか否かは不明であったという。頭部や胸部のCT検査および放射線照射によるインターベンション治療が急速に増加している現在、1Gy未満の線量が循環器疾患に及ぼす影響を明らかにすることは重要な課題とされている。BMJ誌2010年1月23日号(オンライン版2010年1月14日号)掲載の報告。被爆者の53年の長期フォローアップデータを用いた前向きコホート研究研究グループは、電離放射線への曝露量がどの程度になると心疾患や脳卒中による死亡リスクが増大するかを検討するために、広島および長崎の原爆被害者の53年(1950~2003年)にわたるフォローアップデータを用いたプロスペクティブなコホート研究を行った。寿命調査(Life Span Study;LSS)の登録者のうち、原爆投下により0~3Gy以上の放射線に被曝したと推測される86,611人(86%が0.2Gy未満)が解析の対象となった。心疾患および脳卒中による死亡率を調査し、原爆放射線による被曝線量反応関係を評価した。0.5Gy以上で脳卒中、心疾患のリスクが上昇、0.5Gy未満では不明1950~2003年までに、約9,600人が脳卒中で死亡し、約8,400人が心疾患で死亡した。脳卒中については、線形線量反応モデルによる1Gy当たりの過剰相対リスク推定値(estimated excess relative risk)は9%(95%信頼区間:1~17%、p=0.02)と有意差が認められたが、上向き曲率(upward curvature)を指標としても低線量での相対リスクはほとんど示されなかった。心疾患に関する1Gy当たりの過剰相対リスク推定値は14%(95%信頼区間:6~23%、p<0.001)と有意差を認めた。線形モデルでは最適フィット(best fit)が得られ、低線量における過剰リスクが示唆された。しかし、0~0.5Gy以上の線量での線量反応効果は有意ではなかった。喫煙、アルコール摂取、教育、職業、肥満、糖尿病は、放射線被曝による脳卒中および心疾患のリスクにほとんど影響を及ぼさなかった。がんを誤診して循環器疾患とされた場合にも、リスクには影響しなかった。これらの知見を踏まえ、著者は「被曝線量が0.5Gy以上になると脳卒中および心疾患のリスクがともに上昇したが、0.5Gy未満の場合のリスクは不明であった」と結論し、「被爆者においては、脳卒中と心疾患を合わせた放射線関連死は、がんによる死亡の約3分の1と考えられる」と指摘している。(医学ライター:菅野守)

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ticagrelorは、急性冠症候群の予後をクロピドグレルに比べ有意に改善:PLATO試験

新たな経口P2Y12受容体阻害薬であるticagrelorは、侵襲的治療が適用とされる急性冠症候群(ACS)患者の抗血小板療法において、クロピドグレル(商品名:プラビックス)に比べ有意に予後を改善することが、米国Brigham and Women’s病院TIMI study groupのChristopher P Cannon氏らが実施したplatelet inhibition and patient outcomes(PLATO)試験で示された。クロピドグレルの抗血小板作用には個人差がみられ、不可逆的であるため、ACS患者における至適な用量や投与のタイミングについては議論がある。ticagrelorはクロピドグレルと同じP2Y12受容体阻害薬であるが、その作用は可逆的で、より強力かつ長期に持続するという。Lancet誌2010年1月23日号(オンライン版2010年1月14日号)掲載の報告。約13,000例を対象とした二重盲検ダブルダミー無作為化試験PLATO試験の研究グループは、入院後できるだけ早期に治療を開始する必要があるため侵襲的治療が計画されたACS患者を対象に、ticagrelorとクロピドグレルの予後改善効果および出血リスクを比較する二重盲検ダブルダミー無作為化試験を実施した。ST上昇あるいは非上昇ACSで入院中の患者18,624例が登録され、そのうち侵襲的治療が計画された13,408(72.0%)例が、ticagrelorとプラセボを投与する群(負荷用量180mg投与後、90mg×2回/日を投与)あるいはクロピドグレルとプラセボを投与する群(負荷用量あるいは維持用量として300~600mgを投与後、75mg/日を投与)に無作為に割り付けられ、6~12ヵ月の治療が行われた。全例にアスピリンが投与された。主要評価項目は、心血管死、心筋梗塞、脳卒中の複合エンドポイントとし、intention-to-treat解析を実施した。1,000例当たり年間11例の死亡、13例の心筋梗塞、6例のステント血栓症を防止ticagrelor群に6,732例が、クロピドグレル群には6,676例が割り付けられた。治療開始後360日における複合エンドポイントのイベント発生率は、ticagrelor群が9.0%とクロピドグレル群の10.7%に比べ有意に低かった(ハザード比:0.84、p=0.0025)。大出血の発生率は、ticagrelor群が11.5%、クロピドグレル群は11.6%と両群間に差を認めなかった(ハザード比:0.99、p=0.8803)。GUSTO(Global Use of Strategies To Open occluded coronary arteries)の出血基準に基づく重篤な出血についても、それぞれ2.9%、3.2%と同等であった(ハザード比:0.91、p=0.3785)。著者は、「薬物療法開始時に侵襲的治療が計画されているACS患者に対する抗血小板療法としては、ticagrelorがより有用な選択肢と考えられる」と結論している。これらの知見に基づいて推算すると、ticagrelorはクロピドグレルに比べ大出血や輸血の頻度を上昇させずに、年間にACS患者1,000例当たり11例の死亡を回避し、13例の心筋梗塞および6例のステント血栓症を防止するという。また、今回の結果は、「血小板P2Y12受容体の阻害を増強すれば、大出血を増加させずに死亡率を低減させることが可能との考え方を支持するもの」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

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政治的暴力への曝露がパートナーへの暴力を増長、パレスチナのもう一つの戦い

男性が政治的暴力に曝露されると、女性パートナーへの身体的および性的な暴力が増加することが、アメリカ・ミネソタ大学医療格差研究プログラムのCari Jo Clark氏らが実施した調査で明らかとなった。戦争、国家の弾圧、拷問、暴力的な政治紛争などの集団的な暴力への曝露は、ジェンダーに基づくさまざまな暴力のリスクを増大させることが指摘されている。国連安全保障理事会決議1325(2000年)は、このような武力抗争下における性的暴力からの女性および少女の保護を要請している。Lancet誌2010年1月23日号掲載の報告。被占領パレスチナ地域の既婚女性3,510人に関する横断的研究研究グループは、被占領パレスチナ地域において、政治的暴力によって親密なパートナー間における男性の女性に対する暴力が増加しているか否かを評価する横断的研究を実施した。調査は、2005年12月18日~2006年1月18日までにパレスチナ中央統計局によって行われた。無作為に選択された4,156世帯から15~64歳の婚姻歴のある女性3,815人が登録された。解析はその時点で婚姻状態にある女性3,510人(92%)について行われた。政治的暴力への曝露とは、当該女性の夫が直接的に曝露した場合および夫の家族の経験を介して間接的に曝露した場合とされ、曝露による当該世帯への経済的影響とパートナーへの暴力の関連についても検討した。補正多項式ロジスティック回帰モデルを用いて政治的暴力と親密なパートナーへの暴力との関連のオッズ比を算出した。身体的暴力、性的暴力とも増加、ガザ地区では経済的影響も暴力の原因に政治的暴力により親密なパートナーへの暴力のオッズが有意に増大した。夫が直接的な政治的暴力に曝露した場合は、間接的な暴力に曝露した場合に比べパートナーに対する身体的暴力のオッズ比が1.89、性的暴力のオッズ比は2.23に達した。夫が間接的な政治的暴力に曝露した場合は、間接的な暴力にも曝露しなかった場合に比しパートナーに対する身体的暴力のオッズ比は1.61、性的暴力のオッズ比は1.97であった。被占領地域のうちガザ地区においてのみ、暴力への曝露による経済的な影響がパートナーへの暴力のオッズを上昇させていた。著者は、「男性の政治的暴力への曝露は女性パートナーへの暴力のオッズを増大させ、数多くの心的外傷により健康状態が不良となる」と結論し、「紛争地域において心理社会的介入を行う場合は、政治的暴力について広範に評価すべきである」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

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C. difficile感染再発を抑制する新たな治療法

 Clostridium difficile(C. difficile)感染の再発に対して、抗C. difficileモノクローナル抗体(CDA1+CDB1)が有効であることが報告された。米国Medarex社のIsrael Lowy氏ら研究グループが行った第II相無作為化試験の結果、抗菌薬投与中の患者への追加投与で再発の有意な減少が確認されたという。C. difficileは通常は病原性を有さないが、抗菌薬投与による腸内細菌叢の乱れによってトキシンの産生が誘発され、下痢症や大腸炎の病原菌となる。ここ10年ほど欧米では、広域スペクトラム抗菌薬使用の広がりがC. difficile疫学を変えたと言われるほど、毒性が強いC. difficile(BI/NAP1/027株)の出現、治療失敗や感染症再発の増大、および顕著な死亡率増加がみられるようになり問題になっている。NEJM誌2010年1月21日号掲載より。抗菌薬に完全ヒトモノクローナル抗体を追加投与第II相試験は無作為化二重盲検プラセボ対照で行われた。症候性のC. difficile感染でメトロニダゾール(商品名:フラジール)かバンコマイシンを投与されていた患者に対し、抗C. difficileモノクローナル抗体(CDA1+CDB1)かプラセボを、10mg/kg体重、単回静注した。2006年7月から2008年4月の間に、米国およびカナダの30施設で、18歳以上の患者200例が登録。モノクローナル抗体投与群は101例、プラセボ投与群は99例だった。主要転帰は、モノクローナル抗体かプラセボを投与後84日以内に、検査で確認された感染再発とした。再発率は、抗体群7%、プラセボ群25%C. difficile感染再発率は、抗体群7%、プラセボ群25%で、モノクローナル抗体投与群の方が低かった(P

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肺気腫と気道閉塞は、心機能と負の相関

肺気腫および気道閉塞がより重症であるほど、左室充満の障害が大きく、1回拍出量、心拍出量が減少するという負の相関が、一般住民ベースの研究によって確認された。その関連は、喫煙者ほど大きいことも判明したという。報告は米国コロンビア大学医学部のR. Graham Barr氏らによる。Barr氏らは、きわめて重症の慢性閉塞性肺疾患(COPD)では、肺血管抵抗が高まり肺性心を生じ、2次的に左室充満、1回拍出量、心拍出量が減少するが、重度の肺疾患を有していなくとも、肺気腫や気道閉塞と心機能とには負の相関があるのではないかと仮定し検討を行った。NEJM誌2010年1月21日号掲載より。45~84歳の2,816例を対象に評価Barr氏らは、45~84歳の2,816例を対象に評価を行った。左室構造と左室機能の評価はMRIを用いて行い、肺気腫の重症度(肺気腫率:%)は心臓CTによって定義(-910ハウンスフィールド単位未満のボクセルのパーセンテージの肺野条件)され、スパイロメトリー検査は、米国胸部疾患学会(ATS)ガイドラインに基づき行われた。そのうえで、一般化加法モデルを用いて、閾値効果の検討を行った。現喫煙者のほうが負の相関関係は強い被験者のうち、現喫煙者は13%、元喫煙者は38%、非喫煙者は49%だった。肺気腫の重症度の10ポイント上昇と、左心室拡張末期容積の減少(-4.1ml、95%信頼区間:-3.3~-4.9、P<0.001)、1回拍出量の減少(-2.7mL、同:-2.2~-3.3、P<0.001)、心拍出量の減少(-0.19L/分、同:-0.14~-0.23、P<0.001)とには直線的な関連がみられた。この関連は、現喫煙者が、元・非喫煙者に比べて強かった。気道閉塞の重症度は、左室構造と左室機能にも関連しており、喫煙状況による影響も同様にみられた。なお、肺気腫の重症度および気道閉塞の重症度と、左室駆出率との関連は認められなかった。(医療ライター:朝田哲明)

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高齢者へのイチョウ葉エキスの長期投与、認知能力低下の抑制効果みられず

高齢者に対し、イチョウ葉エキス(Ginkgo biloba)を長期に投与しても、認知能力低下の抑制効果はみられないことが報告された。イチョウ葉エキスについて、その長期的効果の有無を検討した大規模臨床試験は珍しいという。米国・ピッツバーグ大学神経内科のBeth E. Snitz氏らが、3,000人超の高齢者について行った、無作為化二重盲検プラセボ対照試験「Ginkgo Evaluation of Memory」(GEM)の結果明らかにしたもので、JAMA誌2009年12月23/30日合併号で発表した。記憶力、注意力、空間視覚能力などの低下幅に有意差なしGEM試験は、2000~2008年にかけて米国の6つの大学病院で、72~96歳の高齢者3,069人を2群に分け、一方の群にはイチョウ葉エキス120mgを1日2回(1,545人)、もう一方の群にはプラセボを投与(1,524人)し追跡した。追跡期間中、改変ミニメンタルステート検査(3MSE)とアルツハイマー病評価尺度の認知度サブスケール(ADAS-Cog)検査、記憶力や注意力などに関する検査を定期的に行った。追跡期間の中央値は、6.1年だった。その結果、記憶力や注意力などに関するZスコアの年間低下幅は、投与群とプラセボ群で有意差がなかった。具体的には、投与群とプラセボ群のZスコア年間低下幅はそれぞれ、記憶力が0.043と0.041、注意力が0.043と0.048、空間視覚能力が0.107と0.118、言語力が0.045と0.041、実行機能が0.092と0.089だった。3MSEとADAS-Cogのスコア低下率、両群で差はみられず3MSEとADAS-Cogいずれのスコアは基線では差があったにもかかわらず、低下率は両群で有意差がなかった(3MSEについてのp=0.71、ADAS-Cogのp=0.97)。能力低下に対する治療効果には、年齢や性別、人種や教育レベル、APOE*E4対立遺伝子の有無や試験開始時の軽度認知障害の有無などで、有意差はなかった(p>0.05)。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

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冠動脈疾患患者、血中の海洋性ω-3脂肪酸濃度が高いほど、白血球テロメア長の短縮速度が遅い

安定期冠動脈疾患患者で、血中の海洋性オメガ(ω)-3脂肪酸濃度が高いほど、老化の指標である白血球テロメア長の短縮速度が遅いことがわかった。これまでの研究から、海洋性ω-3脂肪酸の摂取が、冠動脈性心疾患患者の生存期間の延長に関与することは明らかになっていたが、その背景となる機序については不明だった。米国カリフォルニア大学サンフランシスコ総合病院循環器科のRamin Farzaneh-Far氏らが、600人超を対象に行った前向きコホート試験で明らかにしたもので、JAMA誌2010年1月20日号で発表した。608人を中央値6年追跡Farzaneh-Far氏らは、2000年9月~2002年12月にかけて、安定期冠動脈疾患の患者608人について試験を開始し、その後2009年まで追跡した。追跡期間は5.0~8.1年で、中央値は6.0年だった。試験開始時と終了時に、白血球テロメア長を調べた。そして、試験開始時の血中海洋性ω-3脂肪酸[ドコサヘキサエン酸(DHA)+エイコサペンタエン酸(EPA)]濃度と白血球テロメア長の短縮速度について、関連性を調べた。結果、試験開始時の血中DHA+EPA濃度が最も低い四分位範囲の群では、白血球テロメア長の短縮速度が最も速かった(5年間に0.13T/S単位、95%信頼区間:0.09~0.17)。一方、同濃度が最も高い四分位範囲の群では、同速度は最も遅かった(5年間に0.05T/S単位、95%信頼区間:0.02~0.08、四分位範囲ごとの線形トレンドp

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医療現場で見逃される遺伝性血管性浮腫(HAE)とは

2010年1月27日、CSLベーリング株式会社本社(勝どき)にて、「血漿分画製剤と共に生きる」と題して開催されたメディアセミナーについてお届けする。順天堂大学医学部腎臓内科 客員准教授の大井洋之氏は、遺伝性血管性浮腫(Hereditary Angio Edema:HAE)が疾患としてほとんど認知されていない現状と、今後、医療従事者や製薬会社のみでHAEの認知理解を進めていくには限界があることを示唆した。大井氏によれば、「HAEが、補体の制御因子であるC1 INH欠損によって発症することはすでに明らかになっており、またHAEの診断は比較的容易で、C1 INH製剤による補充療法も可能な疾患である」ため、現在のHAE治療における最大の問題点は、「その認知理解の低さ」にあるという。その背景として、HAEがこれまで一部の医師や補体研究者のみの認知にとどまっていたことや、原因不明の浮腫として扱われていたこと、そして呼吸器・消化器にも浮腫が出現し、激しい症状をきたすことなどがほとんど知られていなかったためであるとした。なお、欧米では5万人~15万人に1人の頻度で発症するとされており、日本での有病率はいまだ不明だという。大井氏は、現在進めているHAEの啓蒙活動によって、「2~3年後には有病率が明らかになることを期待したい」と述べた。続いて、HAEがC1 INHの遺伝子異常で発症する常染色体性遺伝の遺伝性疾患であり、その症状は主にブラジキニンによるものであることを紹介した。HAE発症後、症状は、皮下、粘膜下、消化器、喉頭などに起こり、喉頭浮腫が適切に治療されない場合の致死率はおよそ)30%に上るという。発作は、精神的ストレスや外傷、抜歯、薬物投与などで誘発されることがあり、薬物投与では特にACE阻害薬に注意が必要だと述べた。 そのほか、補体研究会における取り組みや、疾患認知度に関するアンケート結果などから、医療現場でもいまだにHAEが認知されていない現状についても紹介した。大井氏は最後に、「過剰に不安をあおることなくHAEの認知理解が進むように、医療従事者・研究者・メディアなどが協力していかなければならない」と強く訴え、本講演を終えた。(ケアネット 片岡磨衣子)

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重篤な低血糖により糖尿病患者の死亡リスクが増大、ACCORD試験の疫学的解析

ACCORD試験のレトロスペクティブな疫学的解析の結果、2型糖尿病患者では重篤な症候性低血糖により、血糖低下療法の強度にかかわらず死亡リスクが増大するが、1回以上の低血糖エピソードのある患者では強化血糖低下療法の方が標準的血糖低下療法よりも死亡リスクは低いことが示された。ACCORD試験は、心血管リスクが高度な2型糖尿病患者では血糖値を積極的に正常化させることでリスクを低減できるとの仮説を検証するために実施されたが、平均フォローアップ期間3.5年の時点で強化血糖低下療法の方が有意に死亡率が高いことがわかり、2008年2月に中止された。アメリカ国立衛生研究所(NIH)心肺血液研究所(NHLBI)のDenise E Bonds氏らが、BMJ誌2010年1月16日号(オンライン版2010年1月8日号)で報告した。ACCORD試験登録患者データを用いた後ろ向きの疫学解析研究グループは、ACCORD試験の登録患者データを用いて低血糖と死亡率の関連を検討するレトロスペクティブな疫学的解析を行った。ACCORD試験の対象は、スクリーニング時のHbA1C値≧7.5%の2型糖尿病患者で、心血管疾患を有する40~79歳の患者、あるいは潜在疾患が証明されるか2つ以上の心血管リスク因子を有する55~79歳の患者であった。強化血糖低下療法群はHbA1C値<6.0%を、標準的血糖低下療法群はHbA1C値7.0~7.9%を目標に治療が行われた。重篤な低血糖により両群とも死亡リスクが増大、低血糖だけでは死亡率の差は説明できない解析の対象となったのは、ACCORD試験の登録患者10,251例のうち、通常のフォローアップ期間中に少なくとも1回の低血糖の評価が行われた10,194例であった。強化療法群の非補正年間死亡率は、低血糖[血糖値<2.8mmol/L(50mg/dL)]のエピソードがない患者が1.2%(201/16,315人・年)であったのに対し、少なくとも1回以上の低血糖エピソードがみられ治療および補助を要する患者では2.8%(53/1,924人・年)と有意に高値を示した(補正ハザード比:1.41、95%信頼区間:1.03~1.93)。標準療法群でも同様のパターンがみられた[年間死亡率:1.0%(176/17,297人・年) vs. 3.7%(21/564人・年)、補正ハザード比:2.30、95%信頼区間:1.46~3.65]。低血糖エピソードがあり治療および補助を要する患者の解析では、強化療法群と標準療法群で死亡リスクに有意な差は認めなかった(補正ハザード比:0.74、95%信頼区間:0.46~1.23)。低血糖エピソードがあり治療のみを要する患者では、強化療法群の方が標準療法群よりも死亡リスクが有意に低かった(補正ハザード比:0.55、95%信頼区間:0.31~0.99)。ACCORD試験では、強化療法が中止となるまでに451例が死亡し、そのうち1例は明らかに低血糖が原因と判定された。著者は、「重篤な症候性低血糖は、強化療法群、標準療法群の双方において死亡リスクを増大させた。しかし、低血糖エピソードのある患者では標準療法群よりも強化療法群で死亡リスクが低かった」と結論したうえで、「重篤な症候性低血糖の発現だけでは、ACCORD試験の強化療法群における死亡率の増加は説明できない」と指摘している。(医学ライター:菅野守)

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日本感染症学会、抗インフルエンザ薬の使用適応で提言

1月25日に日本感染症学会が抗インフルエンザ薬の使用についての提言を発表した。点滴静注薬のペラミビル(商品名:ラピアクタ)の発売に伴い、「インフルエンザ患者のリスクに応じた抗インフルエンザ薬の適正な使用」を目指した指針として取りまとめている。提言では、基本的な考え方として、治療の判断は基礎疾患の有無やその程度に関わらず「患者の重症度そのものが重視されるべき」と指摘した上で、重症度に応じた抗インフルエンザ薬の適応と使い分けが重要と訴えている。また抗インフルエンザ薬については、現在、臨床の現場で使われているタミフルとリレンザのほか、新発売となったラピアクタ、さらに開発中のラニナミビル(CS-8958)、ファビピラビル(T-705)についても言及。さらに重症度ごとに使用法を示した「抗インフルエンザ薬の使用指針」を提示している。 提言の詳細はこちらからhttp://www.kansensho.or.jp/topics/100122soiv_teigen.html

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ビタミンD+カルシウム、高齢者の骨折予防に効果

高齢者の骨折予防におけるビタミンD単剤の用量は10~20μg/日では不十分であるが、カルシウムと併用すると大腿骨頸部骨折および全骨折が有意に抑制されることが、デンマーク・コペンハーゲン大学Gentofte病院のB. Abrahamsen氏らDIPART(vitamin D Individual Patient Analysis of Randomized Trials)の研究グループが実施したプール解析で明らかとなった。高齢者の骨折予防におけるビタミンDの使用については理論的な根拠が確立されているが、骨折予防に必要な用量は明確になっておらず、カルシウム併用の意義も不明であった。BMJ誌2010年1月16日号(オンライン版2010年1月12日号)掲載の報告。7つの無作為化試験からプールされたデータを用い、個々の患者レベルで解析DIPARTの研究グループは、全骨折、大腿骨頸部骨折、臨床的椎骨骨折に対するビタミンD単剤およびビタミンD+カルシウムの予防効果を、患者特性を踏まえて検討し、ビタミンDの用量およびカルシウム併用の意義について評価を行った。ビタミンD単剤あるいはビタミンD+カルシウムの骨折予防効果について検討した7つの主要な無作為化試験からプールされたデータを用いて、個々の患者レベルのデータ解析を行った。解析の対象となったのは合計68,517例で、平均年齢が69.9(47~107)歳、男性は14.7%であった。より高用量のビタミンD単剤の試験を行うべきビタミンD+カルシウムに関する試験では、全骨折のリスクが有意に低減した(ハザード比:0.92、95%信頼区間:0.86~0.99、p=0.025)。大腿骨頸部骨折のリスクについては、全試験の解析では有意な予防効果を認めなかったが(ハザード比:0.84、95%信頼区間:0.70~1.01、p=0.07)、ビタミンD用量10μg+カルシウムの試験では骨折リスクが有意に低減した(ハザード比:0.74、95%信頼区間:0.60~0.91、p=0.005)。ビタミンD単剤を10μg/日あるいは20μg/日投与する試験の解析では、有意な骨折予防効果は認められなかった。骨折の既往歴と治療効果に関連は認めず、年齢、性別、ホルモン補充療法の既往歴も治療効果に影響を及ぼさなかった。著者は、「ビタミンD単剤10~20μg/日の投与に骨折予防効果はない。一方、ビタミンD+カルシウムの併用投与により、年齢、性別、骨折の既往歴にかかわらず、大腿骨頸部骨折および全骨折の頻度が低減し、おそらく椎骨骨折の予防効果もあると推察される」と結論し、「ビタミンDとの併用における骨折予防に必要なカルシウムの用量は1,000mg/日以上と考えられる。より高用量のビタミンD単剤の試験を行う必要がある」と指摘している。(医学ライター:菅野守)

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エベロリムス溶出ステントは、パクリタキセル溶出ステントよりも有用:COMPARE試験

実地臨床で2つの第2世代薬剤溶出ステントを比較した無作為化試験(COMPARE試験)において、エベロリムス溶出ステント「Xience V」は、パクリタキセル溶出ステント「Taxus Liberte」よりも安全性および有効性が優れることが示された。これらのステントはいずれも、厳格な患者選択基準のもとで実施された冠動脈疾患の臨床試験において再狭窄のリスクが従来のベアメタルステントに比べ低減することが示されている。一方、1)ステント血栓症のリスクは低いものの予測不能で、リスクは時間とともに増大する、2)デバイスの送達能には改善の余地がある、3)重篤な冠動脈疾患患者では再インターベンションが必要となる場合がある、などの課題が残されていた。オランダMaasstad病院循環器科のElvin Kedhi氏らが、Lancet誌2010年1月16日号(オンライン版2010年1月8日号)で報告した。単一施設に登録された1,800例の実地臨床における単盲検試験COMPARE試験の研究グループは、2つの第2世代薬物溶出ステントの安全性と有効性を実地臨床において比較する無作為化試験を実施した。Maasstad病院で経皮的冠動脈インターベンション(PCI)の適用となった1,800例(18~85歳)が、エベロリムス溶出ステント群(897例、1,286病変)あるいはパクリタキセル溶出ステント群(903例、1,294病変)に無作為に割り付けられた。主要評価項目は、ステント留置後12ヵ月における安全性と有効性の複合エンドポイント(全死亡、心筋梗塞、標的病変再血行再建)とした。患者にはいずれのステントが留置されたかは知らされなかった。エベロリムス溶出ステント群で、複合エンドポイントの発生リスクが31%低減フォローアップが完遂されたのは1,797例であった。1年後の複合エンドポイントの発生率は、エベロリムス溶出ステント群が6%(56/897例)と、パクリタキセル溶出ステント群の9%(82/903例)に比べ有意に優れていた[相対リスク(RR):0.69、p=0.02]。ステント血栓症[<1%(6例) vs. 3%(23例)、RR:0.26、p=0.002)]、心筋梗塞[3%(25例) vs. 5%(48例)、RR:0.52、p=0.007)]、標的病変再血行再建[2%(21例) vs. 6%(54例)、RR:0.39、p=0.0001)]はいずれもエベロリムス溶出ステント群が有意に優れていた。副次評価項目(心臓死、非致死的心筋梗塞、標的病変再血行再建の複合エンドポイント)の発生率についても、エベロリムス溶出ステント群が有意に優れていた[5%(44例) vs. 8%(74例)、RR:0.60、p=0.005]著者は、「非患者選択を対象とした実地臨床の無作為試験において、エベロリムス溶出ステントはパクリタキセル溶出ステントよりも安全性および有効性が有意に優れた」と結論し、「これらの知見に基づき、日常診療ではパクリタキセル溶出ステントは使用すべきでない」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

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DNAマイクロアレイを用いた新たな敗血症アッセイの有効性を確認

新たに開発されたDNAマイクロアレイによる敗血症アッセイは、従来のgold standardである血液培養法に比べ、細菌の同定における感受性、特異度が優れるうえに、より迅速に結果が得られることが、フィンランド・ヘルシンキ大学病院検査部のPaivi Tissari氏らが行った観察試験で明らかとなった。細菌性敗血症は生命を脅かす疾患であり、世界的に罹患率、死亡率がともに高く、有効な抗生物質が利用可能な先進国でさえも重要な課題となっている。罹患率や死亡率増大の原因として、原因菌の種類を同定せずに不適切な広域スペクトラムの抗菌薬を使用したり、適切な治療の遅れが挙げられるという。Lancet誌2010年1月16日号(オンライン版2009年12月10日号)掲載の報告。培養陽性の2,107検体を、従来法と新規のアッセイで検査研究グループは、DNAマイクロアレイをプラットフォームとして新たに開発された敗血症アッセイ「Prove-it Sepsis」の感受性、特異度、所要時間の検討を行った。臨床的に敗血症が疑われる患者の3,318の血液検体のうち、血液培養で陽性を示した2,107の検体について、従来の培養法と新規の敗血症アッセイにより細菌の種類の同定を行った。アッセイに用いられた新たなPCR/マイクロアレイ法は、50種類のバクテリアのgyrB、parE、mecA遺伝子を増幅して検出するもの。検査アッセイを取り扱う検査員には培養結果は知らされなかった。臨床・検査標準協会(CLSI)の勧告に基づいて、感受性、特異度、所要時間が算出された。感受性94.7%、特異度98.8%、所要時間は従来法より18時間短縮培養陽性の2,107検体のうち1,807検体(86%)から、アッセイが検出対象とする病原菌が検出された。アッセイの感受性は94.7%、特異度は98.8%であり、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)の感受性と特異度はともに100%であった。検出までの所要時間は、従来の培養法が実働日数で1~2日を要するのに対し、アッセイはこれより平均18時間早かった。3,284検体のうち34検体(1.0%)が、技術的な問題や検査員の誤操作のために除外された。著者は、「PCR/マイクロアレイを用いた敗血症アッセイは、細菌種の最終的な同定において高い感受性と特異度を示し、従来法よりも迅速な検査が可能である」と結論し、「本アッセイはプライマリ・ケアの日常診療に容易に導入できる。現在、先進国、開発途上国の双方で、このアッセイが患者の予後やマネジメント、さらに種々の病原菌のルーチンな迅速診断の実行にどの程度貢献するかについて、プロスペクティブな調査を行っている」としている。(菅野守:医学ライター)

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重傷外傷後のPTSD予防にモルヒネが有効?

重傷外傷後の心的外傷後ストレス障害(PTSD)予防に、ケア中のモルヒネ投与が有効である可能性が、米国海軍ヘルスリサーチセンターのTroy Lisa Holbrook氏らによって報告された。PTSDの2次的発現の予防に薬物療法が、効果があるとされてはいるが実証検証はほとんど行われていない。一般的な精神治療薬の研究結果はばらついており、モルヒネ投与に関しては、熱傷を負った小児を対象とする試験で保護作用があることは報告されているが重傷成人に関する研究は行われていなかったという。NEJM誌2010年1月14日号掲載より。イラク従軍の重度外傷者700例を調査Holbrook氏らは、重傷外傷後のPTSD発現予防に対するモルヒネの有効性を調べるため、米国海軍の外傷者登録データベース(CTR EMED)を用いて、重傷者のPTSD発現リスクに関する蘇生術中およびケア中のモルヒネ使用効果を調べた。調査対象となったのは、2004年1月~2006年12月の間にイラク戦争で重度の外傷性脳損傷を負った軍人696例。全員、薬物療法に関するデータは入手できた。PTSDの診断は、海軍ヘルスリサーチセンターが管理しているCareer History Archival Medical and Personnel Systemから入手すると同時に、カルテをチェックし確認した。モルヒネ投与群で、PTSDが発現した人は発現しなかった人の0.47倍PTSDと診断されていたのは243例、されていなかったのは453例だった。蘇生術中およびケア中のモルヒネ使用は、PTSDのリスク低下と有意に関連していた。モルヒネ投与を受けていて、PTSDが発現した人は61%(147/243例)だったのに対し、発現しなかった人は76%(346/453例)で、オッズ比は0.47だった(P

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膵頭部がんにおけるルーチンな術前胆道ドレナージ、合併症リスクを倍増

膵頭部がん手術を受ける患者へのルーチンな術前胆道ドレナージは、合併症のリスクを増大することが、オランダ・アムステルダムにあるAcademic Medical CenterのNiels A. van der Gaag氏らによって明らかにされた。本手技は、膵頭部の腫瘍による閉塞性黄疸がある患者の術後アウトカムを改善するために導入されたが、その有益性については明らかにされていなかった。NEJM誌2010年1月14日号掲載より。多施設共同無作為化試験で、術前胆道ドレナージ実施群と未実施群の転帰を検証Gaag氏らは、13施設(大学病院5、地域病院8)において、術前胆道ドレナージを行った群と未実施群とを比較する多施設共同無作為化試験を行った。被験者は、閉塞性黄疸を伴い、ビリルビン値が40~250μmol/L(2.3~14.6mg/dL)の18~85歳の患者202例で、診断後4~6週の間に内視鏡的胆道ドレナージ(主としてERCP;内視鏡的逆行性胆道膵管造影法による)を行ってから膵頭部がん手術を行う群(術前胆道ドレナージ群:96例)と、診断後1週間以内に膵頭部がん手術を行う群(早期手術群:106例)に無作為に割り付けられ追跡された。主要転帰は、無作為化後120日以内の重篤な合併症の発症率とした。ドレナージ実施群の重篤な合併症リスクは、未実施群の約2倍重篤な合併症が起きたのは、早期手術群39%(37例)だったのに対し、術前胆道ドレナージ群は74%(75例)で、相対リスクは0.54(95%信頼区間:0.41~0.71、P

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GSK 新型インフルエンザ(A/H1N1)ワクチン「アレパンリックス」承認取得

グラクソ・スミスクライン株式会社は20日、同社の新型インフルエンザ(A/H1N1)ワクチン「アレパンリックス(H1N1)筋注」の承認を厚生労働省から取得したと発表した。同剤は、新型インフルエンザの流行に伴うワクチンの緊急的な必要性から、海外で承認されたことを前提に、特例承認医薬品として審査・承認された。「アレパンリックス」は鶏卵を用いて製造され、抗原に免疫増強剤(アジュバント)AS03を混合して使用。成人および10歳以上の小児には 0.5mL(抗原量:3.75µg)、6ヵ月以上10歳未満の小児には0.25mL(抗原量:1.875µg)を筋肉内に注射する。「アレパンリックス」は、アジュバントを使用することにより、アジュバントを使わない抗原量15µgのA/H1N1ワクチンに比べて、4分の1の抗原量である3.75µgで同等以上の免疫応答が得られている。「アレパンリックス」の臨床試験は、世界で約6,400人を対象に行われていて、国内においても成人100人と小児60人を対象に行われた。国内臨床試験の結果、成人を対象とした試験では、20~64 歳の健康成人100人に「アレパンリックス」0.5mLを接種したところ、1回の接種で高い免疫応答(抗体保有率95%)が確認されたという。2回目接種後の抗体保有率は100%に上がった。小児においては、6 ヵ月~17歳の健康小児60人にワクチンが接種し(6ヵ月~9歳が0.25mL、10~17歳が0.5mL)、1回目の接種でいずれの年齢層でも 100%の抗体保有率が確認されたという。これら国内の臨床試験では重篤な副反応は報告されていないとのこと。主な副反応は、注射部位の疼痛や腫張・筋肉痛・関節痛・頭痛であり、それらの頻度は、これまでのアジュバント添加A/H1N1およびA/H5N1ワクチンの臨床試験と同程度だという。同社は、日本政府と7,400万回分の「アレパンリックス」供給契約を締結していて、今回の承認を受け、できるだけ早急に出荷を開始するとのこと。詳細はプレスリリースへhttp://glaxosmithkline.co.jp/press/press/2010_01/P1000608.html

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筋弛緩回復剤「ブリディオン」承認取得

シェリング・プラウ株式会社は20日、筋弛緩回復剤「ブリディオン静注200mg / 500mg(一般名:スガマデクスナトリウム)」の承認を同日付で取得したと発表した。ブリディオンは、旧シェリング・プラウ・コーポレーション(現:Merck & Co., Inc., Whitehouse Station, N.J., U.S.A)が創製した、新たな筋弛緩回復剤で、平成21年9月現在、世界35カ国以上において承認を取得している。同剤は、筋弛緩剤ロクロニウム/ベクロニウムを選択的に直接包接して筋弛緩作用を不活化する、世界初の筋弛緩回復剤(SRBA:selective relaxant binding agent)。このような作用機序を有する同剤は、自発呼吸の回復を待たずに、深い筋弛緩状態からも速やかに回復することが可能であり、コリン作動性神経系への影響もない薬剤とのこと。詳細はプレスリリースへhttp://www.schering-plough.co.jp/press/index.html

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5-HT3受容体拮抗型制吐剤「アロキシ」製造販売承認取得

大鵬薬品工業株式会社は20日、5-HT3(セロトニン)受容体拮抗型制吐剤 「アロキシ静注0.75mg」(一般名:パロノセトロン塩酸塩)の製造販売承認を取得したと発表した。アロキシは2004年1月の大鵬薬品とスイスのヘルシン社(HELSINN HEALTHCARE SA)とのライセンス契約に基づき、同社が国内開発した薬剤。海外においては、2003年7月に米国、2005年3月に欧州で承認され、2009年 12月現在、世界62ヵ国で承認されている。アロキシは、がん化学療法(シスプラチン等)実施前の1回投与で、急性悪心、嘔吐のみならず、現行の治療薬では効果の不十分であった遅発性悪心、嘔吐にも有効性が確認されている。同剤は、血中消失半減期が約40時間と非常に長く、5-HT3受容体に対して高い結合親和性と選択性を有している。また、 NCCNの「制吐療法ガイドライン」で、高度催吐性化学療法に伴う悪心、嘔吐の予防に用いる薬剤として推奨されているという。詳細はプレスリリースへhttp://www.taiho.co.jp/corporation/news/2010/20100120.html

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