MDR結核、中国、旧ソビエト諸国でなお脅威

提供元:ケアネット

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公開日:2009/06/11

 



結核の最新統計が、Global Project on Anti-Tuberculosis Drug Resistanceから発表された。Lancet誌2009年5月30日号(オンライン版2009年4月15日号)で公表されたのは、2002~2007年の83ヵ国の集計結果。それによると、多剤耐性(MDR)結核の脅威が、中国の2つの行政区と旧ソビエトの9ヵ国で続いていることが明らかになった。一方で、特にアフリカで顕著だが、薬剤耐性に関するデータが適切に集計できない国が多く、より簡単にデータを収集する方法の開発が必要だとしている。

中国7.0%、旧ソビエト諸国は6.8~22.3%




83ヵ国におけるMDR結核の罹患率は、中央値11.1%(IQR:7.0~22.3)だった。

罹患率0%だったのは8ヵ国で、キューバ、ウルグアイ、アンドラ公国、アイスランド、ルクセンブルク、マルタ共和国、スロベニア、バヌアツ。

一方、中国の2つの行政区(内モンゴル自治区、黒龍江省)で7%台、北マリアナ諸島で11.1%(ただし報告例は2例)、また旧ソビエト連邦諸国のうちの9ヵ国(アルメニア、アゼルバイジャンの首都バクー:22.3%、エストニア、グルジア、ラトビア、リトアニア、モルドヴァ:19.4%、ロシア、ウクライナ、ウズベキスタン)で6.8%~22.3%と高い罹患率を示した。

なお、日本は2002年時点の報告で、0.7%(19例)*。

*最新統計は、財団法人結核予防協会結核研究所疫学情報センターを参照。
http://jata.or.jp/rit/ekigaku/

超多剤耐性結核(XDR)は37ヵ国で確認




同プロジェクトは1994年から統計を公表しているが、2007年までの間の傾向を見ると、MDR結核が増大したのは、韓国およびロシアの2つの州(トムスク、オリョール)で、エストニアとラトビアでは一定であった。

また、全結核例におけるMDR結核の罹患率は、香港とアメリカでは減少していた。

さらに、MDRのうち超多剤耐性結核(XDR)は37ヵ国で確認されていた。旧ソビエト諸国のうち8ヵ国におけるMDRの約10%がXDRで、そのうち5ヵ国のXDR症例数は25例以上が報告されていた。