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小児臨床試験の潮流、感染症/ワクチン試験が23%と最も多くを占める

 臨床試験はエビデンスベースの医学情報を生み出すゴールドスタンダードである。米国では近年の法律制定により、ClinicalTrials.govへの臨床試験登録が義務化され、これまでは不可能であった臨床試験計画の全体的な評価が可能になった。そこで米国・デューク大学医学校のPasquali SK氏らは、小児臨床試験のポートフォリオを明らかにするため、ClinicalTrials.govを解析した。著者は、「今回の解析結果は、小児臨床試験実施の判断情報としてステークホルダーに役立つものとなるであろう。また、小児保健を改善するための試験のあり方(インフラや方法論)を前進させる上でも役立つ可能性がある」と結論している。Pediatrics誌オンライン版2012年10月1日号の掲載報告。 解析は、2005年7月~2010年9月の間にClinicalTrials.govに登録された全ての介入試験を対象とし、小児試験(0~18歳の患者を登録)の特性、治療領域、実施場所、資金提供について描出した。 また第2の解析目的として、時間経過に伴う小児臨床試験の変化、非小児臨床試験との比較による特性の描出も行った。 主な結果は以下のとおり。・対象期間中の小児臨床試験は5,035件で、非小児臨床試験の10倍を超える登録があった。・新生児/乳児(neonates/infants)は、46.6%の試験で登録が適格であった。小児(children)は77.9%、青少年(adolescents)は45.2%であった。・小児臨床試験の約半分は登録被験者数が100例未満であった。非小児臨床試験と比べて予防療法に関する評価が多かった。・薬物療法を評価する小児臨床試験の割合は減少傾向にあり、Phase III~IV試験と比べてPhase 0~II試験が、より少なくなっていた。・最も多い試験は、感染症/ワクチン試験(23%)であった。次に、精神病治療/メンタルヘルス(13%)が続いた。・多くの試験は米国外で患者を登録したものであった。米国国立衛生研究所(NIH)や他の米連邦機関がスポンサーであった試験は15%未満であった。

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慢性腰痛症への鍼治療、プラセボと比較し症状および疼痛強度を改善

 鍼治療の慢性腰痛症への効果について、シャム対照治療との比較の結果、症状スコアおよび疼痛強度の低下がみられ、より良好な効果を示すことが示唆されたと、韓国・キョンヒ大学校のCho YJ氏らが報告した。鍼治療は慢性腰痛症に効果的な治療として知られているが、プラセボより優れているかについては依然として不明なままであった。Spine誌オンライン版2012年9月28日号の掲載報告。 ソウル市内3病院に通院する、非特異的な腰痛症が3ヵ月以上持続する18~65歳130例を対象とした多施設共同無作為化患者-評価者盲検シャム対照試験を行った。個々の鍼治療の効果を症状(bothersomeness)の減少で調べた。 被験者は、韓医学の医師(Korean medicine doctor)から6週間(週2回)にわたって、個別に鍼治療またはシャム鍼治療を受けた。主要アウトカムは、慢性腰痛症の症状について視覚アナログスケール(VAS)でみたスコアの変化であった。副次アウトカムには、疼痛強度についてみたVASスコアと、オスウェストリー障害指数(ODI)、全般的な健康状態(SF-36)、ベックうつ病評価尺度(BDI)などによる評価を含んだ。 主な結果は以下のとおり。・ODIを除き、ベースラインにおいて両群間に差異は認められなかった。・参加者のうち116例が治療を完了し、3、6ヵ月間のフォローアップを受けた。14例は途中で脱落した。・主要エンドポイント(8週間)時点で、慢性腰痛症の症状および疼痛強度についてのVASスコアで、両群間の有意な差が認められた(p<0.05)。・さらにそれら2つのスコアは、フォローアップ期間3ヵ月の時点まで継続的な改善がみられた(各p=0.011、p=0.005)。・ODI、BDIとSF-36スコアについては、両群ともに改善し、群間差はなかった。

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外傷性出血患者へのトラネキサム酸投与、重症度を問わず死亡リスクを減少

 外傷性出血患者の死亡および血栓イベントに関するトラネキサム酸(商品名:トランサミンほか)投与の効果について検討した、国際多施設共同無作為化試験「CRASH-2」データ解析の結果、トラネキサム酸投与は重症度を問わず幅広い患者に、安全に投与可能であることが明らかにされた。英国・London School of Hygiene and Tropical MedicineのIan Roberts氏らによる報告で、BMJ誌2012年10月6日号(オンライン版2012年9月11日号)で発表した。ベースライン死亡リスク別にみたトラネキサム酸使用との関連を評価 CRASH-2試験は、トラネキサム酸投与により回避できた可能性がある早期死亡の割合を推定することを目的とする。研究グループは、同試験データを用いて事前特定した層別解析を行った。 被験者は、UK Trauma and Audit Research Networkに登録された1万3,273例で、外傷受傷後3時間以内に、トラネキサム酸(1gを10分超で、続いて1gを8時間超で)またはプラセボにより処置された。被験者はベースラインで死亡リスクにより階層化(<6%、6~20%、21~50%、>50%)された。 主要評価項目は、ベースライン死亡リスク別にみたトラネキサム酸使用との関連についての、オッズ比と95%信頼区間(CI)で、外傷4週以内の院内死亡、出血による死亡、致死的または非致死的血栓イベントとの関連について評価した。 有効性の不均一性(p<0.001)の強いエビデンスがない限り、全体オッズ比は全階層において最も確実なオッズ比を導くものとして利用された。死亡リスク<6%群17%、6~20%群36%、21~50%群30%、>50%群17%が死亡回避可 結果、トラネキサム酸群は、全死因死亡および出血による死亡が有意に減少した。 ベースライン死亡リスク階層群のいずれにおいても、トラネキサム酸群の死亡が低かった。 全死因死亡(相互作用p=0.96)、および出血死亡(p=0.98)とも、ベースライン死亡リスク階層群によるトラネキサム酸の効果について不均一性のエビデンスはなかった。 トラネキサム酸の治療を受けた患者では、致死的または非致死的血栓イベントのオッズ比が有意に減少した(オッズ比:0.69、95%CI:0.53~0.89、p=0.005)。また動脈血栓イベントも有意に減少した(同:0.58、0.40~0.83、p=0.003)。しかし、静脈血栓イベントの減少は有意ではなかった(同:0.83、0.59~1.17、p=0.295)、 トラネキサム酸の血栓イベントについて、不均一性のエビデンスはなかった(p=0.74)。 トラネキサム酸の効果が全リスク階層で同等である場合、受傷後3時間以内でトラネキサム酸投与を受けたことによる死亡回避の割合は、死亡リスク<6%群で17%、同6~20%群で36%、同21~50%群で30%、同>50%群で17%であった。

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認知症のエキスパートドクターが先生方からの質問に回答!(Part1)

CareNet.comでは10月の認知症特集を配信するにあたって、事前に会員の先生より認知症診療に関する質問を募集しました。その中から、とくに多く寄せられた質問に対し、朝田 隆先生にご回答いただきました。2回に分けて掲載します。1 病識のない初期認知症疑いの人にどのように精査を勧めればよいか? また、認知症を否定し診療を拒否する患者を、治療や専門医への受診に結びつけるにはどうしたらよいか?1 確かにこの問題への対応は難しいですね。認知症医療における永遠のテーマかもしれないと思うこともあります。診察を拒否する当事者には、病識がなく、また病気だと思いたくないこと(否認)があると思われます。理詰めや証拠の突きつけでは、かえって感情を逆なですることにもなりかねません。仮にご主人がお悪いのなら、奥様が「私が診てもらうから、付き添って」と誘って、同時に診察してもらう方法もありますね。私の友人である髙椋 清医師(老人保健施設創生園 施設長)によると、とくに女性患者の場合は、ご主人が「俺は物忘れがひどくて、病院に行かなくてはならないと思うけど、怖くてたまらないから一緒に来てくれないか?」とお願いする方法がきわめて有効とのことです。ある意味、母性本能に訴える方法です。ただし、男性の患者さんの場合は、成功率はさほど高くないそうです。また、高血圧や動脈硬化、メタボリックシンドロームなどがあれば、それを理由に「大脳を含めた全身的なチェックをしてもらおうね」と誘う手もあります。家族総力戦での対応、さらには当事者が信頼している人からの勧めも有効かもしれません。もし当事者が外で勤務されているなら、職場の上司や関係者は多少とも変化に気づかれているでしょうから、そこから勧めてもらう方法も考えられます。2 認知症本人への病名告知について、現在の専門医における見解は? また、本人を傷つけない告知のコツは?2 今日では、認知症の診断がつけば、病名告知をして当然という状況になってきています。もっとも臨床現場の実感としては、そうそう単純にはいかないという思いもあります。もちろん、覚悟を持って病名告知を受けるからと、嘘偽りのない説明を求める人もいらっしゃいます。このような方であれば、医師側もそう躊躇することなく病名を告げられるでしょう。しかしこの場合でも、「聞いた瞬間に頭が真っ白になって、後は何も覚えていない」という人が多いのです。それだけに現実には、数回に分けて、段階的に説明を加えていくことが望ましいと思われます。「認知症の可能性がある」、次に「その可能性が濃い」、さらに「認知症である」と述べていき、あわせて認知症の説明をするのです。告知というよりも、むしろこうした繰り返しの説明が大切かもしれません。その際のコツは、少しずつ、相手が理解できるように、質問に真正面から答える、といったところかと思います。ところで最近では、軽度認知障害(MCI)、あるいはそれ以前の段階の方も受診されます。「認知症が心配だけれども、専門家からそうではないと否定してほしい」というお気持ちで来院される方が少なくないのです。たとえば、軽度認知障害(MCI)と診断された人に「あなたは確率的には4年以内に50%位の危険性で認知症になります」ということを正確にわかってもらうのは難しいことです。しかも、「白黒つけられない」とか「グレーゾーン」といった表現は、さらに不安を煽る可能性もあります。そこで「経過観察しないと断定できない」といった言い方をせざるを得ないことが少なからずあります。この辺りはケースバイケースになってきますね。3 患者の家族へどのように説明すればよいか? また、家族が認知症であることやその治療に理解を示してくれない時にどう対応すればよいか? 3 患者さんの家族への説明では、客観的事実をわかりやすく伝えることが基本であることは申すまでもありません。とは言っても初期例や、単身あるいは老々の当事者とご家族との間であまり行き来のない場合、ご家族が認知症である当事者の実態をよくわかっておられないことがあります。こうした場合にどうするかという問題には、結構難しいものがあります。Q1の回答でも述べましたが、近親者が病気だとは思いたくないこと(否認)、子どもさんの場合は認知症の親を看ていないと非難されるのではないかという気持ち、そうしたものが入り交じった思いが背景にあるかと思われます。こうした場合の現実的で着実な方法は、子どもさんにその親御さんと、数日ご一緒に過ごしていただくことかと思います。生活をともにすれば、どのような生活上の障害が出ているのかがよくわかるはずです。そうすれば子どもさんたちも、感情的には受け入れがたくても、認知症の現実を直視せざるを得ないというお気持ちになられることでしょう。そのうえで、今後の生活設計などについての話し合いを始めるとスムーズに行くかもしれません。4 若年性認知症の本人や家族にどのように対処すればよいか? 本人に告知する前に 親または子供に告知しておくべきか?4 若年性認知症の方の場合、事態はきわめて深刻ですから慎重に万全を期す必要がありますね。親や子あるいは配偶者など、ご家族の中でもキーパーソンと思われる人に同席してもらうのがよいかもしれません。一般的には当事者とこうした人との同席のほうが、食い違いや誤解を生じにくいと思われるからです。ここでは、対処・注目すべき内容について述べます。まず認知症という診断とその基礎疾患を告げ、その概要を説明することです。次に、治療法と予測される予後も大切です。また今後の経過の中で利用できる公的支援について、ソーシャルワーカーの方を介して説明してもらうことも欠かせません。仕事に就いておられるケースでは、就業をどのように継続するかはとても大きな問題です。会社の担当者も交えて相談する必要も生じることでしょう。さらに生命保険には高度障害、つまり死亡に準じて保険金を受け取れる制度がありますので、この点について伝えることも不可欠でしょう。住宅ローンについても、同様の手続きで対応ができるものと思います。5 認知症が専門外の場合(一般診療が中心の場合)、軽度の認知機能低下を見つける方法は?5 これはなかなか難しいご質問ですね。ここでは、見つけるための診察手技やテストではなく問診上の注目点を紹介します。多くの場合、当事者と一緒に生活している人が最初に異常に気づくものです。まずはそのような方に、機能低下の内容を尋ねてみることから始めるとよいでしょう。認知機能の領域には、記憶のみならず遂行機能、注意、視空間機能、推論、言語などが含まれます。記憶は最も気づかれやすいものです。同じ質問の繰り返し、確かに言ってあるのに「聞いてない」発言、約束を忘れた、などを中心に尋ねればよいでしょう。遂行機能や注意については、日常生活における「段取り」の能力、運転の際の慎重さなどが質問のポイントになるでしょう。また視空間機能については、いわゆる方向感覚について、当事者の生活範囲レベルに応じて質問すればよいでしょう。また「言いたい言葉が出てこない」とか、語彙の数、言い間違いといった言語面の質問も役立つことがあります。なお、生活面への注目も求められます。長年続けてこられた趣味を止めてしまったということがあれば、かなりの危険信号と思われます。また女性の場合、料理への注目も有用です。少しずつレパートリーが減る、味付けが下手になるといった変化が初期から見られることが少なくないからです。

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心原性ショック合併の急性心筋梗塞、IABPでも死亡率減少できず

 心原性ショックを合併する急性心筋梗塞の患者に対し、大動脈内カウンターパルセイション(IABP)を行っても、30日死亡率はおよそ4割と、行わない場合と比べ有意な低下はみられなかったことが報告された。ドイツ・ライプチヒ大学心臓センターのHolger Thiele氏らが、約600例を対象とした多施設共同オープンラベル無作為化対照試験の結果、明らかにしたもので、NEJM誌2012年10月4日号で発表した。現行の国際臨床ガイドラインでは、心原性ショック合併の急性心筋梗塞に対し、IABPがクラスIの治療法に位置づけられている。だが、裏付けとなるエビデンスは患者登録データによるものが多く、無作為化試験に基づくものは少なかったという。598例を無作為化、IABP実施と非実施で30日死亡率を比較研究グループは、心原性ショックを合併症に持つ急性心筋梗塞の患者598例を、無作為に2群に分け、一方にはIABPを行い(300例)、もう一方は対照群としてIABPを実施しなかった(298例)。被験者は全員、早期血行再建術と至適薬物治療が予定されていた。主要有効性エンドポイントは、30日全死因死亡率だった。安全性に関する評価項目は、重大出血、末梢虚血性合併症、敗血症、脳卒中だった。30日死亡率、血流安定やICU滞在期間、大出血率などいずれも両群で同等その結果、試験開始30日時点での死亡は、IABP群119人(39.7%)に対し、対照群123人(41.3%)と、両群間で死亡率に有意な差はみられなかった(IABP群の対照群に対する相対リスク;0.96、95%信頼区間:0.79~1.17、p=0.69)。血流安定までの時間、ICU滞在期間、血清乳酸値、カテコールアミン療法の用量や期間、腎機能などの副次エンドポイントについても、両群間で有意差はなかった。重大出血の発生は、IABP群3.3%に対して対照群4.4%(p=0.51)、末梢虚血性合併症の発生はそれぞれ4.3%と3.4%(p=0.53)、敗血症は15.7%と20.5%(p=0.15)、脳卒中は0.7%と1.7%(p=0.28)と、いずれも両群間で有意な差は認められなかった。

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寝不足は事故のもと!不眠による経済損失は他疾患より高い

不眠症と職場での事故(accident)や失敗(error)発生との関連について、Shahly V氏らが米国不眠症サーベイ(AIS)を基に検証した。その結果、他の慢性疾患と比べて不眠症は1.4倍有意に事故や失敗と関連することなどが明らかになった。Arch Gen Psychiatry誌2012年10月1日号の報告。 AISに登録されている労働者を対象に、広範に定義した不眠症[国際疾病分類第10版(ICD-10)、DSM-IV、研究用診断基準(RDC)/睡眠障害国際分類第2版(ICSD-2)の診断基準を満たすなど]と、職場に重大な損害を与えた事故や失敗との関連を、慢性疾患を除外して評価した。3,400万人以上の民間保険プラン加入者データ(診療/医薬品請求データ)が蓄積されたHealthCore Integrated Research Databaseから対象を選び、全米断面的電話サーベイを行った(協力率65%)。 主要評価項目は、電話インタビュー前の直近12ヵ月間における職場に重大な損害を与えた事故あるいは失敗についてであり、事故は「500ドル以上の損害および作業停滞を引き起こしたか」、その他の失敗は「会社に500ドル以上のコストを生じさせたか」との質問に対する回答で評価した。 12ヵ月間の不眠症は、Brief Insomnia Questionnaireで評価した。この評価は、盲検臨床再評価インタビューと比べてROC下領域0.86と検証に優れており、十分な構造的診断インタビュー法であった。慢性疾患についての評価は18項目で可能であり、自己評価スケールでデータを検証した。主な結果は以下のとおり。・不眠症は、その他の慢性疾患と比べて、職場での事故や失敗(両方またはどちらか)との関連が有意であった(オッズ比:1.4)。・オッズ比について、年齢、性別、教育水準、共存症による有意な変化はみられなかった。・不眠症に関連した事故や失敗による平均コスト(3万2,062ドル)は、その他の事故や失敗による同値(2万1,914ドル)よりも有意に高かった。・シミュレーション推計の結果、不眠症は重大な損害を与えた事故や失敗の7.2%を占め、発生した全コストの23.7%を占めた。・米国において年間平均27万4,000件の不眠症関連の事故や失敗が起きており、それによるコストは金額にすると311億ドル相当と予測された。これらは、他のあらゆる慢性疾患よりも高値であった。関連医療ニュース ・長期の睡眠薬服用、依存形成しない?! ・不眠症に対する鍼治療のエビデンスは? ・自殺予防に期待!知っておきたいメンタルヘルスプログラム

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主幹動脈大血管閉塞脳卒中の血栓除去術、Trevoデバイスの有用性を確認:TREVO 2試験/Lancet

 主幹動脈大血管閉塞脳卒中に対する機械的血栓回収療法では、新たに開発されたTrevo血栓回収デバイスは従来のMerci血栓回収デバイスに比べ再開通率が優れることが、米国・エモリー大学医学部のRaul G Nogueira氏らの検討(TREVO 2試験)で示された。急性虚血性脳卒中の標準治療は遺伝子組み換え組織プラスミノーゲンアクチベータ(rt-PA)による血栓溶解療法だが、適応が発症早期に限定されたり、広範な血栓では再開通率が不良などの限界がある。機械的血栓回収療法は血栓溶解療法よりも再開通率が優れる可能性があるが、現行の機械的デバイスは再開通不成功率が最大20~40%に達するという。Lancet誌2012年10月6日号(オンライン版2012年8月26日号)掲載の報告。Trevoデバイスの有効性と安全性を無作為化非劣性試験で評価TREVO(Thrombectomy REvascularization of large Vessel Occlusions in acute ischemic stroke)2試験は、新たに開発されたステント様デバイスであるTrevo血栓回収デバイスの有効性と安全性を、すでに米国食品医薬品局(FDA)認可済みのMerci血栓回収デバイスと比較するプロスペクティブな非盲検無作為化非劣性試験。対象は、症状発現後8時間以内で、血管造影にて主幹動脈大血管閉塞脳卒中が確認されたNIHSS(NIH脳卒中スケール)スコア8~29の成人患者(18~85歳)であった。これらの患者が、TrevoデバイスまたはMerciデバイスによる血栓除去術を受ける群に無作為に割り付けられた。有効性に関する主要評価項目は、非盲検下に中央検査室で判定された割り付けデバイス単独による再開通率[脳梗塞血栓溶解(TICI)スコア≧2]であり、安全性の主要評価項目は治療関連有害事象の複合エンドポイント(血管穿孔/壁内解離、症候性頭蓋内出血、未閉塞血管部位の塞栓形成、手術や輸血を要する穿刺部位合併症、周術期死亡など)とした。非劣性が確認された場合は優越性の検証も行うこととした。再開通率:86% vs 60%、有害事象の複合エンドポイント:15% vs 23%2011年2月3日~12月1日までに、米国の26施設およびスペインの1施設から178例が登録され、Trevo群に88例(年齢中央値70.2歳、男性45%、NIHSSスコア中央値19、rt-PA無効例58%、症状発症から動脈穿刺までの時間中央値4.7時間)、Merci群には90例(同:70.8歳、40%、18、50%、4.2時間)が割り付けられた。再開通率はTrevo群が86%(76/88例)と、Merci群の60%(54/90例)に比べ有意に優れた[オッズ比(OR):4.22、95%信頼区間(CI):1.92~9.69、優越性検定:p<0.0001]。90日後の機能的自立率(修正Rankinスケールのスコアが0~2の患者の割合)は、Trevo群が40.0%(34/85例)であり、Merci群の21.8%(19/87例)よりも有意に良好だった(OR:2.39、95%CI:1.16~4.95、p=0.0130)。90日後の生存率は両群間に差を認めなかった(p=0.1845)。安全性の複合エンドポイントの発生率は、Trevo群が15%(13/88例)、Merci群は23%(21/90例)であり、両群間で同等だった(OR:0.57、95%CI:0.26~1.22、p=0.1826)。血管穿孔については、Trevo群が1%(1/88例)と、Merci群の10%(9/90例)よりも有意に少なかった(OR:0.10、95%CI:0.01~0.83、p=0.0182)。著者は、「rt-PAが適応外または無効であった主幹動脈大血管閉塞脳卒中患者では、Trevo血栓回収デバイスはMerci血栓回収デバイスよりも優先すべき治療法と考えられる」と結論している。

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『ボストン便り』(第42回)「神奈川県不活化ポリオワクチン政策の顛末」

星槎大学共生科学部教授ハーバード公衆衛生大学院リサーチ・フェロー細田 満和子(ほそだ みわこ)2012年10月17日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行※本記事は、MRIC by 医療ガバナンス学会より許可をいただき、同学会のメールマガジンで配信された記事を転載しております。紹介:ボストンはアメリカ東北部マサチューセッツ州の州都で、建国の地としての伝統を感じさせるとともに、革新的でラディカルな側面を持ち合わせている独特な街です。また、近郊も含めると単科・総合大学が100校くらいあり、世界中から研究者が集まってきています。そんなボストンから、保健医療や生活に関する話題をお届けします。(ブログはこちら→http://blog.goo.ne.jp/miwakohosoda/)*「ボストン便り」が本になりました。タイトルは『パブリックヘルス 市民が変える医療社会―アメリカ医療改革の現場から』(明石書店)。再構成し、大幅に加筆修正しましたので、ぜひお読み頂ければと思います。●不活化ポリオワクチン接種のスタート2012年9月1日から、ポリオの予防接種は、それまでの生ポリオワクチンから、不活化ポリオワクチンに転換しました。今まで受けてきた、生/不活化ワクチンの数によって、今後受けなくてはならない不活化ワクチンの数は様々になります。さらに11月からは、不活化ポリオワクチンとDPT(ジフテリア、百日咳、破傷風混合ワクチン)を合わせた4種混合が導入されます。また、現在は任意接種のインフルエンザ菌b型(ヒブ)や肺炎球菌、B型肝炎、ロタウイルスなども定期接種にすべきという意見も強くあり、自費で接種を希望される保護者も少なくありません。このようにしてワクチン接種のスケジュールはますます複雑になってきますが、確実に予防接種が遂行されるようにと、各地の自治体は保護者に対する説明や広報の活動を行っています。行政職員達の忙しさは容易に想像されますが、ただし、いままでも地方自治体は、生ポリオワクチンに対する危惧からの接種拒否や接種控えがおこり、接種率が低下するという問題に直面し、職員は対応に苦慮していました。この背景は、いままでの「ボストン便り」で何度も触れたように、ポリオの会や一部の小児科医の働きかけによって、生ポリオワクチンにより100万人に3~4名程度(公式には1.4人)が実際にポリオに罹患してしまうこと、それを避けるためには不活化ワクチンを接種するという方法がとられることが、広く知られるようになってきたからです。こうして、安全性の高い不活化ポリオワクチンを子どもに受けさせたいと思う親御さんが増えたのです。一部の医療機関で個人輸入として使用されていた不活化ポリオワクチンは有料で、医療機関によっても異なりますが1回4,000円から6,000円で、3回受けると12,000円から18,000円になります。生ワクチンなら公費で無料なのにもかかわらず、多くの親御さんたちが有料の不活化ワクチンを選んできました。安全なワクチンを受けたいという当然の事を主張する保護者に対して、これまでほとんどの行政は、「生ワクチンを打ってください」とか、「もう少しで不活化になります」と苦し紛れで対応してきました。しかし、こうした事からやっと解放されると、忙しさの中で職員達はむしろ喜んでいるのではないかとも推察されます。しかし、このような対応をせずに、不活化を希望する親御さんに対しては、それを提供できる体制を整えてきた自治体があります。神奈川県です。神奈川県では黒岩祐治知事の決断で、2011年末から、不活化ポリオワクチン体制を独自に整えてきました。これは国が不活化ポリオワクチンに切り替えたために2012年8月31日をもって終了しましたが、ここではその動きを振り返ってみたいと思います。●神奈川県知事の決断神奈川県では従来、生ポリオワクチンの接種率は100%に近く、毎年約8万人が接種していました。ところが、2011年10月の時点で、1万7000人が無接種という事態に陥りました。黒岩氏はこの急激な接種率の低下を、生ポリオワクチンによってポリオに罹ることを恐れた親御さんたちの気持ちだと受けとめました。さらに黒岩氏は、かつて厚生労働省の予防接種部会の構成員を務めたこともあり、世界の感染症状況にも関心が高く、当時、中国の新疆ウイグル地区で野生株由来のポリオの集団感染が報告されたことにも危機感を持っていました。ポリオは、世界で99%は解消されましたが、あと1%の壁がなかなか破れず、いまだ撲滅されていない感染症なのです。万が一にでもポリオが発生したら大変なことになってしまいます。そこで黒岩氏は、当時国内未承認であった不活化ポリオワクチン接種を、県独自の判断として実施することを決断したのです。ところが、この黒岩氏の決断に対して、厚生労働大臣である小宮山洋子氏は、2011年10月18日の閣議後の記者会見において、「望ましいと思っていない」と批判しました。「国民の不安をあおって、生ワクチンの接種を控えて免疫を持たない人が増える恐れがある」と。こうして国と県とでワクチン政策に関する対立が起こった形になりました。確かに、中国で集団感染が報告されるように、ポリオは未だ終わっていない世界の大問題ですから、ワクチン未接種の子どもたちがいたら大変なことが起きる、という小宮山氏の発言は大いにうなずけるものがあります。しかし、ポリオを発症する危険性のある生ワクチンを接種すべきいうことは、どうしても理解できません。なぜなら、予防接種によってポリオに罹ることのない不活化ワクチンがあるからです。どうして接種控えをしているのかというと、親は、万にひとつでも、生ワクチンでポリオを発症するようなことがあったら子どもに申し訳ないと思うからです。この不活化ワクチンを望む親御さんたちの気持ちは、黒岩氏には届いていても、小宮山氏には届いていないようでした。●神奈川県職員の奔走神奈川県が独自に不活化ポリオワクチンの接種をすると決めても、県職員の足並みは必ずしも揃っていたわけではありませんでした。当時の状況を良く知る方の話によると、当初、県立病院に入院している重症の子どもだけを対象に接種するということでお茶を濁そうとしていた職員もいたといいます。しかし、実務の担当者は、知事の熱意と「お母さん達からの心の叫び」に応えるために、急ピッチで準備をしました。ここでは、こうした県職員の方々へのヒアリングを基に、神奈川県における不活化ポリオワクチン体制について、ワクチンの確保、医師の確保、そして場所の確保という観点からみてみます。まず、ワクチンの確保についてです。不活化ポリオワクチンは、当時は国の薬事承認や国家検定をまだ受けていない未承認薬でした。よって医師たちは「薬監証明」を取って、未承認薬の不活化ポリオワクチンを輸入し、子どもたちに接種していました。この「薬監証明」は、医師が個人でとることはできても、県がとって輸入するということは、制度上できないものです。そこで、県の担当者は、厚生労働省の担当者と交渉した結果、解決策を見出しました。それは、神奈川県で接種に携わる医師の名簿を作成し、その医師がワクチンを使うということで厚生労働省から「薬監証明」を出してもらうという仕組みです。このエピソードから、厚生労働省は、表向きの制度論上は不活化ポリオワクチンに渋い顔をしていたものの、運用上は生ワクチンからの切り替えを容認していたことがうかがえます。次に、医師の確保についてです。担当者は、神奈川県立こども医療センターと上足柄病院から、接種をしてくれる医師を出してもらい、県立病院機構に非常勤職員として所属してもらうことにしました。ただし県立子ども医療センターは、ここが最後の砦という感じの重症のお子さんがたくさんいらっしゃるので、なかなか医師を出してはくれませんでした。しかし、比較的高齢の医師達に非常勤で来てもらうということで、やっと最後には合意を取り付けることができました。この県立病院機構の非常勤の医師達が、不活化ポリオワクチンを輸入するということで「薬監証明」をとり、接種できる体制にしました。最後に場所の確保についてです。予防接種の場所として、県の4か所の保健福祉事務所が使われることになりました。その際は、具体的な手順の調整が大変だったといいます。どんな順路にするか、エレベーターや階段は十分に行き来できるスペースがあるか、きょうだいを連れてくる人もいるだろうから、その子たちが待っている場所はどうするかなど。あらゆる可能性を考えて、接種場所の準備をしたということでした。このようにして整備されてきた不活化ポリオワクチン接種体制ですが、接種価格についても議論になりました。その結果、安易に無料化しない、ということで1回6,000円になりました。それは、神奈川県内で独自に不活化ポリオワクチンの接種を行っている医師達に配慮するためです。医師達は補償などのことも含めて、自分でリスクを考えつつ、赤ちゃんのために不活化ワクチンを個人輸入してきました。そこに県が無料でポリオワクチンを接種する事にしたら、医師達は受診してくれる子どもたちを失うことになります。不活化ワクチンを有料で提供するのは、「県も独自にドロをかぶってやる」という県の姿勢を示すためにも必要だったのです。●不活化ポリオワクチンの開始不活化ポリオワクチンの予約は2011年12月15日から開始され、2012年3月31日で終了しました。この間に申し込みをした予防接種希望者は、5,647人でした。申し込みの取り消しも3,033人いましたので、実際に接種をした数は2,614人でした。この2,614人の接種希望者が、不活化ワクチンを1回ないしは2回接種したので、合計の接種実施回数は4,036回となりました。この4,036回の接種の裏には、さまざまなドラマがありました。不活化ポリオワクチンの接種は、2012年1月から始まりましたが、インフルエンザが大流行したので、1月と2月は1日に25人くらいしか接種できませんでした。その結果、4月の中旬の時点では、848人の接種しか終わっていませんでした。そこで4月中旬以降は、7か所に接種場所を増やして、1日60人くらいのペースで対応してきました。また、初めてのことなので接種前の問診は時間をかけてやったといいます。さらに接種した後も会場で30分は休んでもらうようにしました。もちろん小さな子が30分飽きずに待っていられるような遊び場も会場に設置しました。4月のある日、平塚市の不活化ポリオワクチンの接種会場を訪ねました。ゆったりとしたスペースで、保護者の方が安心した様子でワクチンを赤ちゃんに受けさせていました。半数以上の方がカップルで来ていて、子どもの健康に父親も母親も一緒に取り組んでいこうとしている様子がうかがえました。●独自体制の不活化ポリオワクチンを終えて神奈川県の不活化ポリオワクチン提供体制の整備は、市町村や医師達にもさまざまな影響を与えました。市町村は、国の意向に従って生ポリオワクチンを推進することになっていますから、神奈川県の独自の動きに対して戸惑いを隠せないことは明らかです。そこで神奈川県では、市町村に「迷惑がかからないように」気を付けてきたそうです。市町村の推奨する生ワクチンに不安のある方だけを対象に、その方々の受け皿として生ポリオワクチンを提供するという姿勢を貫き、市町村の保健行政を「邪魔しない」ことを示しました。また、神奈川県内では、県が不活化を始めた事でやりやすくなったと考えて、民間の病院や診療所でも不活化ポリオワクチンを輸入して提供するところが増えてきました。この影響は、県の不活化ワクチンの体制に影響を及ぼしました。わざわざ遠い県の施設に行くまでもなく、近くのクリニックで受けられるようになったからと、予約のキャンセルが相次いだのです。すべてがこの理由という訳ではありませんが、最終的には、3,033人が申し込みの取り消しをしました。価格がほぼ同じならば、県の施設でも近くのクリニックでも同じという事で、保護者は利便性を選んだのでしょう。県の当初のもくろみ通り、民間の医療機関への配慮が生きてきた訳です。一連の不活化ワクチン接種において、ワクチンの安全性が問題になったという報告や重篤な副反応の報告は1例もありませんでした。●ワクチン問題は終わらない今回、全国的に公費での不活化ワクチンが導入されることになりましたが、ワクチン問題はこれで終わったわけではありません。二つの点から指摘したいと思います。ひとつ目は、予防接種の受け手の側の問題です。お母さんたちは、赤ちゃんのリスクを減らそうとして生ワクチンを避けて不活化ワクチンを求めましたが、せっかく予約をとったからといって、赤ちゃんに38度の熱があっても予防接種を受けにくるお母さんもいたといいます。担当者がいろいろ説明すると、「いいから打てよ」「ごちゃごちゃ言ってないで、黙って打てよ」などと言われることもあったといいます。体調がよくないのにワクチンを打ったとしたら、赤ちゃんにとってのリスクが逆に高まってしまうことが、なかなか理解されないのでしょう。不活化ポリオワクチンが始まり、やがて4種混合が加わり、現在の任意接種も次々に法定接種化しそうな状況の中で、ワクチンや健康一般に対する保護者の持つ知識や情報は、限りなく重要なものになってきます。言われたことに従う、話題になっているから飛びつく、ということでは子どもの健康は守れません。親御さん達には、自分が守るのだという自覚を持って、ワクチンの効果もリスクも勘案した上で、判断できるようになる必要があると思います。これはヘルスリテラシーといわれるもので、今後、保護者の方がヘルスリテラシーの重要性に気づき、学んでゆくことが課題になると思われます。ふたつ目は、ワクチン行政の問題です。なぜ10年以上も前から、多くの感染症専門家が生ポリオワクチンから不活化ポリオワクチンへ移行すべきと表明していながらも、なかなか変わらなかったのか、ということを明らかにしなくてはなりません。その原因を放置していては、また同じことが起きるでしょう。また、国産の4種混合ワクチンが開発されたとのことですが、症例数が十分であったかなど、審査の経緯に対する疑問の声も上がっています。この点に関しては、機会を改めて検証してみたいと思います。●地域から変わることへの期待「行政や国の対応に、このやり方がベストというものはない」と、神奈川県の担当者はおっしゃっていました。また、「大変でしたけど、今となってはいい経験でした」とも。それは、これまで医療は国が音頭をとってすることが多いと思っていたけれど、地域でできる事も多い、ということが分かったからでした。地域の住民に応えるためには、地域行政は独自に動くべきなのだ、という意識を行政職員が持つことはとても貴重だと思います。この方は、インタビューの最後にこのようにおっしゃっていました。「これ(不活化ポリオワクチン:筆者挿入)は『誰も反対できない話』なんです。みんな、早く不活化にするように思っているんです。それはお母さんたちの心の叫びだからです。この叫びの声に応えたいんです。神奈川は、知事がいたからできたんです。黒岩さんでなければできなかったでしょうね。すごい知事が来たもんで、部下はきついですけどね。」住民と近い場所にいる地域の行政が、住民の気持ちに沿った政策をすべきと声をあげて、自ら動いてゆくことで、国を動かすような大きな力となってゆくことがあるでしょう。これからの地域の動きへの期待は高まり、目が離せません。謝辞:本稿の執筆に当たっては、神奈川県の職員の方々に貴重なお話をうかがい、資料提供をして頂きました。この場を借りて御礼を申し上げます。また、ナビタスクリニックの谷本哲也医師には、医学的な表記を監修して頂き、感謝いたします。略歴:細田満和子(ほそだ みわこ)星槎大学教授。ハーバード公衆衛生大学院リサーチ・フェロー。博士(社会学)。1992年東京大学文学部社会学科卒業。同大学大学院修士・博士課程の後、02年から05年まで日本学術振興会特別研究員。コロンビア大学公衆衛生校アソシエイトを経て、ハーバード公衆衛生大学院フェローとなり、2012年10月より星槎大学客員研究員となり現職。主著に『「チーム医療」の理念と現実』(日本看護協会出版会)、『脳卒中を生きる意味―病いと障害の社会学』(青海社)、『パブリックヘルス市民が変える医療社会』(明石書店)。現在の関心は医療ガバナンス、日米の患者会のアドボカシー活動。

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妊娠前の身体活動と母乳育児が、乳児の体重増加・肥満に及ぼす影響

カナダのChu氏らによって、母親の身体活動やスクリーン視聴時間(テレビやPC、ゲームなどで画面に向かう時間)、および乳児栄養の方法が出生児の体重増加と肥満に及ぼす影響について検討が行われた。その結果、母親の妊娠前の身体活動と完全母乳育児期間は、乳児の1年時点での体重増加ならびに肥満と関連がみられた。Int J Endocrinol誌2012年9月26日掲載。246人の母親を対象とした前向きコホート研究。母親は妊娠中に検査を受け、耐糖能とインスリン感受性が評価された。身体測定と身体活動、乳児栄養の方法、スクリーン視聴時間のアンケートが実施された。多重線形回帰分析は、母子の要素が1年時点での乳児の体重増加と身長/体重比 Zスコアに及ぼす影響を評価するために行われた。主な結果は以下のとおり。・母親の妊娠前の運動指数および完全母乳育児期間により、乳児の体重増加は逆相関がみられた。・調整後、母親の妊娠前の運動指数の増加により乳児の体重増加は218.6g(t=2.44、p=0.016)減り、身長/体重比 Zスコアは0.20(t=2.17、p=0.031)減った。・完全母乳育児であった各月において、乳児の体重増加は116.4g(t=3.97、p

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「ワクチンをためらう親」に特徴的な因子とは?

 米国では「ワクチンをためらう親(vaccine-hesitant parents:VHPs)」が増えており、その多くは、MMRワクチンの接種控えという形で表出しているという。米国・ミシガン大学のGowda C氏らは、MMRワクチンに対する親の懸念の比重が、ためらいの程度によって異なるのか探索的研究を行った。その結果、親のワクチンに対する特有の懸念には、「ワクチン接種意向」に基づく多様な特徴があると報告。今後の啓発プログラムでは、そうした懸念を持つ親のためらいの程度に応じて、メッセージを修正していくべきであると提言した。Hum Vaccin Immunother誌オンライン版2012年10月2日号の掲載報告。 ミシガン州のMMRワクチンにためらいを有する親を対象に、横断的探索的分析を行った。 注目したアウトカムは、親のMMRワクチン接種意向で、11点尺度(点数が高いほどより強い意向を表す)で測定し、MMRワクチン接種への障壁の比重を、ワクチンのためらいレベルで評価した。 親の態度と評価の構成要素を同定することを目的とした探索的因子の分析を行った。それらが親のワクチンのためらいの程度に重要な因子として働き、差異をもたらしているのかを評価した。 主な結果は以下のとおり。・MMRワクチンためらいスクリーニングで初期陽性を示した、79例の親を解析対象とした。・サンプル中、47%の親においてワクチン接種意向が不確かであった。・さらに質問をしたところ、3分の1(33%)でワクチン接種意向に肯定的であった一方で、20%は否定的な考えを示した。・試験でみられた障壁を4つの因子に分類し検討した結果、ワクチン接種意向に否定的な親は、肯定的および態度があいまいな親と比較して、「リスク対ベネフィット」という因子のスコアが、統計学的に有意に高いことが認められた。また、否定的な親において「ワクチンの重要性」という因子の平均スコアは、肯定的および態度があいまいな親よりも統計的に有意に低かった。関連コンテンツ ・ロタウイルスワクチンの予防効果と安全性 ・ロタウイルスワクチンの定期接種、入院および死亡を低下

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血行再建術を行わない急性冠症候群に対するプラスグレルvs.クロピドグレル

 血行再建術を行わない急性冠症候群に対する経口抗血小板薬プラスグレル(国内未承認)投与について、クロピドグレル(商品名:プラビックス)投与を比較した結果、主要エンドポイントの心血管死または心筋梗塞、脳卒中の発生の有意な低下は認められず、一方で重度出血や頭蓋内出血リスクも同程度であったことが報告された。米国・デューク大学医療センターのMatthew T. Roe氏らによる二重盲検無作為化試験「Targeted Platelet Inhibition to Clarify the Optimal Strategy to Medically Manage Acute Coronary Syndromes」(TRILOGY ACS)試験の結果、明らかにされた。NEJM誌2012年10月4日号(オンライン版2012年8月25日号)掲載報告より。52ヵ国、9,000例超について二重盲検無作為化試験 研究グループは2008~2011年にかけて、52ヵ国、966ヵ所の医療機関を通じて、非ST上昇型の不安定狭心症または心筋梗塞で血行再建術を行わなかったアスピリン服用中の患者について、二重盲検無作為化試験を開始した。 登録被験者のうち75歳未満の患者7,243例を無作為に2群に分け、一方にはプラスグレル(10mg/日)を、もう一方にはクロピドグレル(75mg/日)を投与し、6~30ヵ月追跡した。また、75歳以上2,083例を無作為に2群に分け、一方にはプラスグレル(5mg/日)を、もう一方にはクロピドグレル(75mg/日)を投与し、同期間追跡した。 被験者の年齢中央値は66歳、女性が39%、非ST上昇型心筋梗塞が約7割、不安定狭心症が約3割を占めた。75歳未満の虚血性イベントの再発、プラスグレル群で15%減 追跡期間の中央値は、17ヵ月だった。主要エンドポイントとした心血管死、または心筋梗塞、脳卒中を発症したのは、75歳未満群では、プラスグレル群13.9%、クロピドグレル群16.0%だった。プラスグレル群のクロピドグレル群に対するハザード比は、0.91(95%信頼区間:0.79~1.05、p=0.21)であり、両群の有意差はみられなかった。 同様の結果は、被験者全体においても得られた。 一方、75歳未満群では、虚血性イベントの再発リスクについて、プラスグレル群がクロピドグレル群より有意に低率だった(ハザード比:0.85、同:0.72~1.00、p=0.04)。 重度出血や頭蓋内出血率は、両群で同程度だった。心不全発症率がクロピドグレル群で高率だったことを除き、非出血性の重篤な有害イベントの発生は両群で同程度だった。

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特定の抗うつ薬使用で脳内ヘモグロビン濃度が増加!:名古屋大学

 近年、日本の研究者たちは脳活動の変化に基づいて精神疾患を診断するために、近赤外分光法(NIRS)を用いた研究を行ってきた。NIRSとは、近赤外光を生体外から照射し、組織内を透過した光を分析することにより、組織血液中におけるヘモグロビンの状態を調べる方法である。しかし、NIRS測定における向精神薬の影響については明らかになっていない。名古屋大学 幸村氏らはNIRSを用いて健常者の前頭前野活性に対する抗うつ薬の鎮静効果を評価した。その結果、ミルタザピンの投与によりヘモグロビン濃度の増加が認められたことを報告した。Psychopharmacology (Berl)誌オンライン版2012年10月5日号の掲載。 健常男性19名を対象としたプラセボ対照二重盲検クロスオーバー試験。ミルタザピン15㎎、トラゾドン25㎎、プラセボを8日間連続で夜間に投与し、1週間以上のウォッシュアウト期間を設けながらローテーションを行った。被験者は、試験期間中に計7回、NIRSを行った(試験開始1週間以上前および各ローテーションの第2、9日目)。NIRS実施時には、言語流暢タスクを計測し、正確な言語の数(行動遂行)を記録した。スタンフォード眠気尺度(SSS)スコアは毎日測定した。 主な結果は以下のとおり。・ミルタザピン投与後9日目におけるNIRSの結果によると、他の群と比較し、オキシヘモグロビン(oxy-Hb)濃度の有意な増加が認められた。・ミルタザピン投与後2日目には、他の群と比較し、SSSスコアの有意な上昇が認められた。・すべての群において、行動遂行に有意差は認められなかった。 これらの結果を受けて、著者は「精神障害をもつ患者の脳活動を評価するにあたって、特定の種類の抗うつ薬が脳機能に影響を与える可能性についても検討すべきである」としている。関連医療ニュース ・統合失調症患者の認知機能改善にフルボキサミンは有効か? ・SPECT画像診断による前頭部脳血流評価で、大うつ病高齢者のSSRI有効性を予測 ・うつ病治療におけるNaSSA+SNRIの薬理学的メリット

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未就学児の子をもつ父母の育児ストレスと幸福度の要因は?

ノルウェーのSkreden氏らによって、未就学の子を持つ父母の育児ストレスと幸福度を比較し、育児ストレスの要因と、それらを心理的苦痛や不安と区別する検討が実施された。Scand J Public Health誌オンライン版2012年10月5日号の報告。対象は1~7歳の子を持つ256人の母親と204人の父親で、育児ストレスの評価にはスウェーデンの親子のストレス調査票(SPSQ)を用いた。幸福度は精神健康調査票28項目版(GHQ-28)、心理的苦痛や不安は状態不安尺度(STAI-X1)により評価した。その結果、父親は著しい社会的孤立が報告されたものの、母親に比べて役割の制限や無力感、状態不安は少なかった。また、SPSQ、GHQ-28、およびSTAI-X1によって、育児の役割と直接関連するストレスに苦しむ両親と、幸福度が減少した両親とを対比するスクリーニングが可能となると結論付けた。主な結果は以下のとおり。・父親では母親に比べて、著しい社会的孤立が報告された(p<0.001)が、他のすべての指標において、母親において父親より高いストレス値と低い幸福度が示された。・不安と心理的苦痛は、父親と母親の両方で育児ストレスの強い予測因子であった。・母親の育児ストレスの予測因子は、次の子の誕生と子どもの低年齢であった。・高学歴は父親の役割制限を増大させ、母親の健康問題を起こすと予測された。・SPSQ、GHQ-28、およびSTAI-X1の主成分分析(PCA)はすべてのエンドポイントに正の相関があることを示した。関連医療トピックス ・ロタウイルスワクチンの予防効果と安全性 ・ロタウイルスワクチンの定期接種、入院および死亡を低下 ・幼児の異物誤嚥、母親の知識は十分か?

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情動障害患者よりも統合失調症患者で有意に体重を増加:オランザピンのメタ解析

 カナダ・モントリオール大学のMoteshafi H氏らは、オランザピンの忍容性[心血管代謝系の有害反応と錐体外路症状(EPS)]について、統合失調症患者と情動障害患者を比較するメタ解析を行った。その結果、統合失調症患者は体重増加を引き起こしやすい可能性が示された。著者は「この結果は、統合失調症患者ではメタボリック症候群になりやすいという遺伝的素因に加えて、とくに心血管疾患に対する生活習慣リスク(食生活の乱れ、運動不足、ストレス、喫煙など)を有する割合が高いという事実の裏付けとなるのではないか」と述べている。Drug Saf誌2012年10月1日号の報告。 PsycINFO(1967~2010年)、PubMed(MEDLINE)、EMBASE(1980~2010年)などのデータソースを用いて、(1)統合失調症と情動障害の成人患者に関するオランザピンの有害反応(代謝あるいはEPS)、(2)試験期間中のオランザピン単独療法 を評価していた無作為化試験を検索し、解析に組み込んだ。2人の独立したレビュワーが論文選定のためアブストラクトをスクリーニングし、レビュワー1人が事前に決めていた除外・包含基準に基づき関連データを抽出した。主要アウトカムは代謝有害反応(体重変化、血糖値、LDL-C、総コレステロール、トリグリセリド)、副次アウトカムはEPS(パーキンソン症候群、静座不能、抗パーキンソン病薬の服用)の発生率であった。主な結果は以下のとおり。・33試験(4,831例)を解析に組み込んだ。・忍容性アウトカム(統合失調症群と情動障害群で個別に算出しメタ解析に組み込んだ)は、統合失調症患者および情動障害患者いずれにおいても、オランザピンが体重増加に関与し、トリグリセリド値、血糖値、総コレステロール値を上昇することを示した。・オランザピン治療によって、情動障害患者よりも統合失調症患者で有意に体重が増加した。・血糖値、総コレステロール、トリグリセリド値の上昇について、統計的有意差はみられなかったものの、統合失調症群が情動障害群よりも高値であった。・パーキンソン症候群の発症率は、統合失調症群が情動障害群よりも有意に高値であった。関連医療ニュース ・日本人統合失調症患者の脂質プロファイルを検証!:新潟大学 ・ベンゾジアゼピン系薬剤の使用で抗精神病薬多剤併用率が上昇?! ・治療抵抗性統合失調症へのクロザピン投与「3つのポイント」

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〔CLEAR! ジャーナル四天王(26)〕 集中治療室(ICU)における入院患者の厳格な血糖管理はいかにあるべきか

集中治療室に入室する重症患者においては、ストレスによる内因性のカテコラミンやコルチゾール、炎症性サイトカインの増加、さらには治療薬剤として用いられる外因性のステロイド薬やカテコラミンなどの影響により、糖尿病の有無にかかわらず、高血糖を示すことが多い。高血糖は、脱水、電解質失調、内皮機能の低下、好中球遊走能の低下をひきおこし、循環動態、創傷治癒機転、感染症の経過に悪影響を及ぼして、IUCにおける死亡率に影響を与える重要な因子の一つとして考えられている。 実際に、きめ細かなインスリン治療によって平均血糖値110mg/dL前後の厳格な血糖管理を行うことが、重症患者の生命予後を改善することを示すという報告が散見される(Van den Berghe G et al. N Engl J Med. 2001. 345; 1359-1367.、 Van den Berghe G et al. N Engl J Med. 2006; 354: 449-461.、 Hermanides J et al. Crit Care Med. 2010; 38: 1430-1434.)。 しかし、2009年に発表されたNICE-SUGAR (Normoglycemia in Intensive Care Evaluation-Survival Using Glucose Algorithm Regulation)研究では、6,104人の患者を対象に、30分から1時間ごとに血糖を測定して適宜インスリンの静脈内投与を行い、厳格な血糖管理をめざす群(血糖値81~108mg/dL)と、通常の管理(180mg/dL以下)の2群に分けて90日以内の生命予後について検討した結果、厳格な血糖管理群における死亡率は27.5%、通常管理群では24.9%、オッズ比1.14(95%信頼区間:1.02~1.28、p=0.02)であり、厳格な血糖管理の有用性に疑問を投げかける成績を示した。 今回の論文は、NICE-SUGAR研究の事後比較分析(post hoc analysis)データについての報告であり、治療経過において中等度の低血糖(41~70mg/dL)、重症低血糖(40mg/dL以下)をひきおこすことが死亡のリスクを高めることを示した成績である。厳格な血糖コントロール群では低血糖をひきおこす頻度は通常群の4.6倍であり、集中治療の現場における厳格な血糖管理をめざすことのリスクを示している。 確かに、厳格な血糖管理により炎症反応や血栓の形成を抑止することができるが、血糖を下げ過ぎることにより低血糖をひきおこすことの弊害が大きいことが、臨床の場での大きな問題となる。米国内科学会および米国糖尿病学会では、集中治療室における血糖管理の基準を140~180(200)mg/dLとしているが、このレベルは妥当なものではないかと考えられる。

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「認知症」診療に関するアンケート第2弾~判断に迷った時~

対象ケアネット会員の内科医師500名方法インターネット調査実施期間2012年10月2日~10月8日Q1.認知症スクリーニング検査は何をお使いですか?(複数選択可)Q2.認知症診療において、判断を迷うことはありますか?(回答は1つ)Q3.認知症診療において、判断を迷った時どうしますか?(複数選択可)先生がこれまでに診療に関わった認知症患者さんやそのご家族に関して、記憶に強く残っているエピソードがございましたらお教えください(自由記入、一部抜粋)<診断に関して>もの忘れ等で受診しても、「年のせい」で片付けられて、診断が遅れている患者さんが多い。かかりつけ医も認知症を勉強して、専門医への紹介などで早期発見、早期治療に結び付ける診療が必要である。(開業医・内科・70歳代)外来診療で認知症だと気付かず、血糖・脂質異常悪化が認知症によるコンプライアンスの低下が原因だったと、入院して初めて気付いた事がある。(開業医・内科・50歳代)数年来、内科外来に通院しておられた独居の女性が、受診時はしっかりされているので誰も認知症を疑わなかった。ある時、急に身なりが乱れて来院し、しばらく後に腰痛で動けなくなって入院となった。その時になって初めて認知機能の低下と在宅での様子を知るに至り、驚くとともに深く反省したことがあった。(勤務医・内科・40歳代)アルツハイマー型認知症と思って加療していたが、他病で頭部MRIを行ったら、前頭側頭型認知症だった。臨床症状だけでなく、器質性変化もチェックが必要だと思った。(開業医・内科・50歳代)認知症としてきた人が甲状腺機能低下症であり、ホルモン剤で良好化した。(勤務医・内科・50歳代)もの忘れ専門外来を紹介したら脳腫瘍であった。 (開業医・内科・50歳代)薬物性甲状腺機能低下症による認知症。他院ではうつと診断されていた。(開業医・内科・40歳代)専門医にてレビー小体型認知症と診断された症例。 問診で何かおかしいが、HDS-Rは満点であった。結局、同居家族に注意深く観察してもらい診断に至った。 限られた時間内での診察では無理がある事を実感した。 (開業医・内科・60歳代)典型的な認知症で受診し、頭部CT検査にて3例が否定、硬膜下血腫2例、メニンギオーマ1例、いずれも手術にて改善し家族に感謝されたことがあります。(開業医・内科・50歳代)老夫婦で奥さんが認知症で来院されたが、実はご主人が認知症だった。(勤務医・内科・50歳代)<治療に関して>アルツハイマー型認知症は、たとえ内服治療等の治療を行っても、進行性に悪化する病気であることの理解が進んでいない。施設に入ったり、入院してしまうと、家族が途端に、無関心になってしまうか、上記の内容を理解せず、病状悪化がクレームにつながるケースも多い。(勤務医・内科・40歳代)「アルツハイマーの薬は進行を止めるだけで認知症が治るものではありません」と説明すると、治療を拒否されることが多い。(開業医・内科・50歳代)85歳の男性。めまいなど不定愁訴で来院。HDS-R13点。妻によると易怒的で攻撃性もあると困っておられた。頭部CTで陳旧性多発性ラクナ梗塞と前頭葉、側頭葉萎縮を認めた。認知症治療薬を開始し穏やかになった。転居のため転院することになり、奥さんに涙を流してお礼を言われた。(勤務医・内科・30歳代)重度の認知症の症状が、栄養代謝療法の施行により、生活意欲、注意など著明な改善を認めた症例の経験。(開業医・内科・50歳代)女性の患者さんで、急に自分の娘の顔がわからなくなり、自分の家にいるにもかかわらず帰ろうとして、娘が困り果て来院した。検査を予約すると同時に、娘からの要望もあり、薬物治療を開始した。治療早期より劇的に改善し、家事を積極的に手伝い、以前と変わらない母親になったと娘から感謝された。(開業医・内科・60歳代)抗認知症薬を投与して2ヵ月ほどして、今までまったく反応のなかった患者が、まともな受け答えをしたこと。(勤務医・内科・50歳代)<その他>夫が認知症になり、困惑して夫を叱ったりしていた妻に、患者に対して笑顔をみせることの重要さを説明し、実行してもらったところ、患者である夫も穏やかになり、夫婦の日常生活が改善されたという事例をいくつか経験している。(開業医・内科・40歳代)ロングスカートにつばの広い帽子で、何時も若々しく着飾ってくるおばあちゃん。お財布をなくしたの、転んだのと、楽しいエピソードをたくさん話してくれます。(開業医・内科・50歳代)危ないからと車を家族に取り上げられたのち、新車の軽自動車を購入し、ちょっと近所のスーパーに買い物に行くつもりだったが、(高速道路の)上り車線と下り車線とを間違えて、岡山から東京まで行き、東京の歩道に乗り上げ、警察に保護された。1日帰ってこないので家族が警察に届けを出していたため、すぐわかった。本人はどうやって行ったのか、まったく覚えておらず、高速道路料金も支払っていたようだし、事故もなかったようである。(開業医・内科・40歳代)動ける認知症の患者さんで、電車を乗り継いで他県で見つかった例があった。(開業医・内科・40歳代)自動車運転を禁止しても勝手に乗り回し、鍵を取り上げた際には配偶者に暴力をふるってどうしても乗ろうとした。(開業医・内科・60歳代)子供さんの親への思い入れがとても強く、お世話をする施設側として、その気持ちに添う事は大変だなと思う事が時としてある。(開業医・内科・60歳代)認知症で長年加療中で安定していた患者を、嫌がっていたデイサービスに行かせたところ、その日のうちに認知症が急速に悪化し、あっという間に奥さんも子どもの顔もすべて忘れてしまった事例。(開業医・内科・40歳代)まだ認知症について説明すればするほど引いてしまう家族は多い。また、初期の認知症患者に「あなたは認知症です」と告げるのがベストなのかは未だ疑問。(開業医・内科・50歳代)

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統合失調症患者の認知機能や副作用に影響を及ぼす?「遊離トリヨードサイロニン」

慢性期統合失調症入院患者は、持続的な精神症状と抗精神病薬による副作用に悩まされている。これら精神症状や副作用にはプロラクチン、甲状腺ホルモン、脳由来神経栄養因子(BDNF)など、いくつかのバイオマーカーが関連しているといわれているが、明らかにはなっていない。大分大学 市岡氏らは慢性期統合失調症患者における、精神症状や錐体外路系副作用とホルモン、BDNFとの関係を調査した。Prog Neuropsychopharmacol Biol Psychiatry誌2012年10月号の報告。 対象は、慢性期統合失調症入院患者93例。対象患者の精神疾患や錐体外路系副作用とプロラクチン、甲状腺ホルモン(遊離トリヨードサイロニン[T3]、遊離サイロキシン[T4]、甲状腺刺激ホルモン)、コルチゾール、BDNFとの関係を調べた。精神症状はPANSS、認知機能はMMSE、錐体外路症状はDIEPSSにより、それぞれ評価した。分析には、重回帰分析を用いた。主な結果は以下のとおり。・抗精神病薬の用量は、PANSS陽性サブスケールスコアの有意な差異を予測する唯一の変数であった。・BDNFおよびT3はMMSEスコアの有意な差異を予測した。・プロラクチンおよびT3はDIEPSSスコアの有意な差異を予測した。本研究では、慢性期統合失調症患者の認知機能や錐体外路系副作用にはBDNF、T3、プロラクチンが関与している可能性が示唆され、中でも著者らはT3が重要な予測因子となることを強調した。関連医療ニュース ・双極Ⅰ型障害患者の症状発症に関連する“キヌレン酸” ・グルタミン酸ドパミンD3受容体遮断による統合失調症の新たな創薬の可能性 ・「統合失調症リスク因子」海馬における働きが判明

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統合失調症患者におけるフィルター障害のメカニズムを解明

 統合失調症における作業記憶(ワーキングメモリ)障害について、前頭前皮質背外側部(DLPFC)ネットワーク内の機能的接続障害によるものであることが明らかにされた。米国・エール大学医学部のAnticevic A氏らが、いわゆる「フィルター障害」のメカニズムについて検討した結果で、「注意散漫への抵抗性障害は、DLPFCと周辺領域(視床/辺縁系の皮質下と調節領域結合を含む)の断絶を示すという考え方を支持する知見が得られた」と報告した。Schizophr Res誌2012年10月号の掲載報告。 先行研究で著者らは、健常者ではDLPFC活性はワーキングメモリにおける良好な注意散漫回避に結びついているが、統合失調症患者では結びついていないことを示していた。その知見を踏まえて、統合失調症はワーキングメモリ障害におけるDLPFCネットワーク内の機能的接続障害と関連していると仮定し、検証した。 統合失調症患者28例と対照群24例を対象に、遅発性非言語ワーキングメモリタスク(ワーキングメモリ維持期に一過性の視覚的注意を逸らすタスクを含む)を完了した。DLPFC全脳作業ベースの機能的接続(tb-fcMRI)を評価し、とくに維持期の注意散漫の有無について評価した。主な結果は以下のとおり。・患者群は注意散漫症状を呈している間、皮質および皮質下の両領域において、tb-fcMRIが機能しないことが明らかになった。・対照群は注意散漫時に、DLPFCと扁桃体延長領域間のtb-fcMRI低下を示した。・一方で患者群は、扁桃体との結合を示す変化は見られなかった。しかし、背側正中視床との強い接続性を示した。・注意散漫症状の間、対照群はDLPFCとその他の前頭前野皮質領域間との接合がより明確であったが、患者群は、そのような機能を示す変化が見られなかった。関連医療ニュース ・検証「グルタミン酸仮説」統合失調症の病態メカニズム ・統合失調症患者の認知機能改善にフルボキサミンは有効か? ・グルタミン酸ドパミンD3受容体遮断による統合失調症の新たな創薬の可能性

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