サイト内検索|page:33

検索結果 合計:5819件 表示位置:641 - 660

641.

海外番組「セサミストリート」(続編・その2)【じゃあなんでコミュニケーションの障害とこだわりはセットなの?(共感)】Part 2

だから男の子よりも女の子のほうが言語や心の理論の発達が早いんだ定型発達において、言葉を話し始める時期は1歳ですが、男の子よりも女の子のほうが1、2ヵ月早いです。また、相手の考えを推し量ること(心の理論)ができるようになる時期は4歳とされていますが、実は女の子は1歳早く3歳です。この性差も、先ほどの仮説から説明することができます。まず、自閉症は重度になればなるほどコミュニケーションをしようとしないことから言葉の遅れが出てきます。このことから、定型発達の男性を基準にすると、超男性脳の自閉症とは逆の方向にある定型発達の女性は、よりコミュニケーションをしようとするので言葉が早く出てきて、より相手の気持ちを推し量ろうとすると説明することができます。だからこそ、男の子よりも女の子のほうが言語や心の理論の発達が早くなるわけです。さらに考えれば、逆に共感性90とシステム化10でもう一方の右下の端っこにある、自閉症とは真逆の病態は何でしょうか?それは、情緒不安定性パーソナリティ障害(境界性パーソナリティー障害)という診断でよく見かけます。この障害の80%は女性であり、圧倒的に女性が多いという性差の点でも、この位置づけは整合性があります。そして、これは、超女性脳と呼ばれています2)。なお、この障害の詳細については、関連記事1をご覧ください。また、社会的コミュニケーション症や強迫性パーソナリティ障害とは対照的に、共感性70とシステム化30でやや右下の位置にある病態は、依存性パーソナリティ障害や共依存という診断でよく見かけます。社会的コミュニケーション症と強迫性パーソナリティ障害は女性よりも男性がかなり多いのに対して、依存性パーソナリティ障害と共依存は逆に男性よりも女性がかなり多いという性差の点でも、やはりこれらの位置づけは整合性があります。さらに、X + Y = 100の直線上において、それぞれの有病率をZ軸として、別にグラフ化すると、グラフ3のように男性と女性のそれぞれの正規分布で模式的に表すことができます。定型発達は当然ながら最も多いです。そして、システム化または共感性が高ければ高いほど、つまり超男性脳または超女性脳が極端であればあるほど、性差の偏りが出てきて、有病率が低くなっていくことを説明することができます。なお、共依存は、精神医学の正式な診断名ではないですが、臨床的にはよく見かけます。この詳細については、関連記事2をご覧ください。また、それぞれのパーソナリティ障害の基盤となるそれぞれのパーソナリティ特性の詳細については、関連記事3をご覧ください。<< 前のページへ | 次のページへ >>

642.

海外番組「セサミストリート」(続編・その2)【じゃあなんでコミュニケーションの障害とこだわりはセットなの?(共感)】Part 3

だからいったん話していた言葉を途中から話さなくなるタイプがあるんだ自閉症の20~25%で、1歳半から2歳頃に「ママ」「バイバイ」などいったん覚えた言葉を話さなくなり、コミュニケーションをしようとしなくなって自閉症と診断されるタイプがあります。これは、折れ線型経過と呼ばれています。知的障害のように、ただ発達の遅れがあるわけではないのです。いったん獲得した言語能力が失われてしまうので、一見奇妙に思われるのですが、この現象も先ほどの仮説から説明することができます。それは、共感性とシステム化がトレードオフの関係にあることから、発達の過程で両者の脳領域(ニューラルネットワーク)の奪い合いが起きており、そのせめぎ合いのさなか、システム化が途中から勢いを増して共感性の「領土」を奪ってしまったと説明することができます。男性ホルモン(テストステロン)の放出が高まるのは、胎児期(8~24週目)、乳児期(生後5ヵ月)、そして思春期の3つの時期です。乳児期の放出は、言葉を発する1歳前なので、その放出が多すぎてシステム化が高まり共感性が低くなるにしても、ただ愛着行動や言葉の発達が遅れているように見えるだけです。しかし、この放出が1歳を過ぎて遅れた場合、いったん言葉を話していたのに、その言葉を失ってしまうように見えてしまうのです。この現象の経過は、以下のグラフ4のように表すことができます。男女とも定型発達は真っすぐ伸びています。知的障害は、定型発達の数値には届きませんが、基本的に真っすぐです。一方の折れ線型は、途中までは定型発達と同じなのですが、その後にシステム化が90まで伸びきっていく分、その代償として共感性が20から10に落ちてしまいます。同じように考えれば、当然逆パターンもあります。当初、愛着行動や言葉の発達の遅れが見られて自閉症と診断されていたのに、その後に男性ホルモンの放出が下がったことで、システム化の発達が鈍くなる一方、共感性が伸びていき、最終的には定型発達と同じになるタイプです。実際の臨床では少なからず見られます。この記事では、これは「回復型」(グラフ4を参照)と名付けます。ただし、この現象は、折れ線型と違って臨床的にはほとんど注目されていません。その理由は、日常生活で困らなくなり、専門医療や療育の相談に来なくなるため、把握されにくいからです。それでは、そもそもなぜ男性はシステム化が高く、女性は共感性が高いのでしょうか?(次回に続く)1)ザ・パターン・シーカーp.84、p.88:サイモン・バロン・コーエン、化学同人、20222)愛着崩壊p.139:岡田尊司、角川選書、2012<< 前のページへ■関連記事私は「うつ依存症」の女【情緒不安定性パーソナリティ障害】だめんず・うぉ~か~【共依存】ちびまる子ちゃん【パーソナリティ】

643.

神経発達障害を併発する強迫症に関与する免疫学的メカニズム

 強迫症(OCD)は、有病率が2〜3%といわれている精神疾患である。OCD治療では、セロトニン再取り込み阻害薬などの抗うつ薬の有効性が示されているが、病因は依然としてよくわかっていない。最近の研究では、とくに自閉スペクトラム症、注意欠如多動症、トゥレット症などの神経発達障害を併発したOCD患者では、免疫学的メカニズムの関与が示唆されている。兵庫医科大学の櫻井 正彦氏らは、これらのメカニズムを明らかにするため、神経発達障害を併発したOCD患者と併発していないOCD患者における免疫学的因子を調査した。Psychiatric Research誌2025年4月号の報告。 対象は、兵庫医科大学病院で治療したOCD患者28例。神経発達障害を併発したOCD患者(OCD+NDD群)14例と併発していないOCD患者(OCD群)14例との比較を行った。血液サンプルからRNAを抽出し、RNAシーケンシングおよびIngenuity Pathway Analysis(IPA)を用いて分析した。IL11およびIL17Aの血漿レベルの測定には、ELISAを用いた。 主な結果は以下のとおり。・RNAシーケンシングでは、OCD+NDD群とOCD群との比較において、有意に異なる遺伝子が716個特定され、そのうち47個は免疫機能と関連していた。・IL11およびIL17Aが中心であり、IL11は好中球産生、IL17AはT細胞の遊走やサイトカイン分泌と関連が認められた。・パスウェイ解析では、これらの遺伝子間の複雑な相互作用が確認された。 著者らは「本結果は、神経発達障害を伴うOCD患者における免疫学的変化の重要性を示している。抗炎症性のIL11の減少、炎症誘発性のIL17Aの増加は、炎症へのシフトを示唆しており、神経発達の問題と関連していると考えられる」としたうえで、「神経発達障害を伴うOCDにおける免疫学的異常は、潜在的な治療ターゲットとなる可能性がある。治療抵抗性OCD患者、とくに神経発達障害を合併する患者に対する治療戦略を改善するためにも、免疫学的遺伝子の相互作用をさらに調査する必要がある」と結論付けている。

644.

ストレスは若年女性の原因不明脳梗塞のリスク

 50歳未満の女性における原因を特定できない脳梗塞と、ストレスとの関連が報告された。男性ではこの関連が認められないという。ヘルシンキ大学病院(フィンランド)のNicolas Martinez-Majander氏らの研究によるもので、詳細は「Neurology」に3月5日掲載された。 脳梗塞のリスクは、加齢や性別などの修正不能な因子と、喫煙や高血圧などの修正可能な因子によって規定されることが明らかになっているが、それらのリスク因子が該当しない原因不明の脳梗塞(cryptogenic ischemic stroke;CIS)もあり、近年、特に若年者のCIS増加が報告されている。これを背景に著者らは、若年者のCISにストレスが関与している可能性を想定し、以下の研究を行った。 この研究には欧州の19の医療機関が参加し、18~49歳の初発CIS患者群426人(年齢中央値41歳、女性47.7%)と、性別・年齢がマッチする脳卒中既往のない対照群426人を対象として、過去1カ月間に感じたストレスの程度を10項目の質問で評価した。各質問には0~4の範囲で回答してもらい、合計点が13点以下は「低ストレス」、14~26点は「中ストレス」、27点以上は「高ストレス」と判定。すると、患者群は対照群に比較して、中ストレス以上の割合が有意に高かった(46.2対33.3%、P<0.001)。 次に、結果に影響を及ぼし得る因子(年齢、喫煙、肥満、非健康的食習慣、大量飲酒、運動不足、高血圧、心血管疾患、糖尿病、うつ病、前兆を伴う片頭痛、教育歴)を統計学的に調整した検討を実施。その結果、ストレススコアが1点高いごとにCIS発症オッズ比(OR)が1.04(95%信頼区間1.01~1.07)であり、ストレスの強さとCISリスクとの独立した有意な関連が明らかになった。ストレスの強さ別に解析すると、中ストレスは有意な関連が示されたが(OR1.47〔同1.00~2.14〕)、高ストレスは非有意だった(OR2.62〔0.81~8.45〕)。 性別に解析した場合、女性では有意な関連があり(OR1.06〔1.02~1.11〕)、特に中ストレスとの強い関連が認められた(OR1.78〔1.07~2.96〕)。一方、男性では関連が見られなかった。 Martinez-Majander氏は、「ストレスを感じる女性はCISリスクが高く、男性はそうでない理由を理解するにはさらなる研究が求められる。高ストレスではなく中ストレスがリスクに関連している理由も明らかにする必要がある。それらの解明が脳梗塞予防につながる可能性がある」と話している。 また、本研究では、男性よりも女性の方がストレスを強く感じている割合が高いことも示された。具体的には、中ストレス以上の割合が女性では患者群57.6%、対照群41.4%であったのに対して、男性は同順に35.9%、26.0%だった。このような性差の理由についてMartinez-Majander氏は、「女性は家庭、介護、仕事など複数の役割をこなし、より強いストレスを受けていることが多いのではないか」と推測。一方で著者らは、「男性はストレスを我慢すべきものと考える傾向がある」として、「そのことが本研究の結果に影響を及ぼした可能性も否定できない」と述べている。

645.

ドパミンD2受容体ブロックが初発統合失調症患者の長期転機に及ぼす影響

 初回エピソード統合失調症において、持続的なドパミンD2受容体ブロックを行っているにもかかわらず再発してしまう患者の割合やD2受容体ブロック作用を有する抗精神病薬の長期使用によりブレイクスルー精神疾患を引き起こすかどうかについては、明らかになっていない。東フィンランド大学のJari Tiihonen氏らは、再発歴がなく、5年超の持続的なD2受容体ブロックによる治療を行った患者において、ブレイクスルー精神疾患の発生率が加速するとの仮説を検証するため、本研究を実施した。The American Journal of Psychiatry誌2025年4月1日号の報告。 フィンランド全国コホートのデータを用いて、1996〜2014年の45歳以下の初回エピソード統合失調症入院患者を特定した。主要アウトカムは、持続的に長時間作用型注射剤(LAI)抗精神病薬で治療を行った患者における入院につながる重度の再発とした。副次的アウトカムは、1年目を基準とした2〜10年目までの再発の発生率比(IRR)とした。主な結果は以下のとおり。・フォローアップ後30日間でLAI抗精神病薬の使用を開始した患者305例が特定された。 ・カプランマイヤー分析では、10年間のフォローアップ期間中の再発の累積発生率は45%(95%信頼区間[CI]:35〜57)であった。 ・1人年当たりの年間再発発生率は、1年目で0.26(95%CI:0.20〜0.35)であったが、5年目には0.05(95%CI:0.01〜0.19)まで減少し、IRRは0.18(95%CI:0.04〜0.74)であった。 ・6〜10年目には、128人年の再発は4件のみであり、1年目と比較したIRRは0.12(95%CI:0.03〜0.33)であった。 著者らは「初回エピソード統合失調症患者の約40〜50%は、持続的なD2受容体ブロックにもかかわらず再発する。これは、統合失調症の病態生理学における非ドパミン作動性の要因によるものであると考えられる。また、長期的なドパミンD2受容体ブロックは、ブレイクスルー精神疾患のリスク増加とは関連がないことが明らかとなった」と結論付けている。

646.

双極症とADHD併発患者における認知機能/心理社会的機能の特徴

 双極症や注意欠如多動症(ADHD)は、神経認知および心理社会的機能に重大な影響を及ぼす慢性的な神経精神疾患である。双極症とADHDの併発は、特有の臨床的課題を呈し、認知機能および機能障害をさらに悪化させる可能性がある。スペイン・Vall d'Hebron Research InstituteのSilvia Amoretti氏らは、双極症またはADHD患者および併発した患者と健康対照者における神経認知機能および心理社会的機能の違いを明らかにするため、最新情報を統合したシステマティックレビューおよびメタ解析を実施した。Neuroscience and Biobehavioral Reviews誌2025年4月号の報告。 主な内容は以下のとおり。・包括的な検索により特定された5,639研究のうち、システマティックレビューの包括基準を満たした研究は34件、メタ解析の包括基準を満たした研究は31件。・双極症/ADHD併発患者と双極症患者では、評価された認知機能のいずれにおいても有意な差は認められなかった。・双極症/ADHD併発患者は、ADHD患者と比較し、視覚記憶の有意な低下が認められた(標準化平均差[SMD]:−0.29、95%信頼区間[CI]:−0.53〜−0.04、p=0.022)。・双極症/ADHD併発患者は、健康対照者と比較し、さまざまな認知機能の低下が認められた。【処理速度】SMD:−0.54、95%CI:−0.86〜−0.22、p<0.001【持続性注意】SMD:−0.40、95%CI:−0.62〜−0.19、p<0.001【視覚記憶】SMD:−0.47、95%CI:−0.69〜−0.26、p<0.001【作業記憶】SMD:−0.79、95%CI:−1.13〜−0.44、p<0.001【認知的柔軟性および高次実行機能】SMD:−0.52、95%CI:−0.84〜−0.20、p=0.001【言語記憶】SMD:−0.95、95%CI:−1.43〜−0.47、p<0.001・双極症/ADHD併発患者の心理社会的機能は、双極症患者(SMD:−0.46、p<0.001)、ADHD患者(SMD:−1.00、p<0.001)、健康対照者(SMD:−3.54、p<0.001)よりも有意に不良であった。 著者らは「双極症とADHDの併発は、重大な神経認知機能および心理社会的機能の悪化と関連している可能性が示唆された。本結果は、これらの併存疾患特有の課題に対処するための介入の必要性を示唆しており、臨床実践や将来の研究に役立つであろう」としている。

647.

音楽療法で認知症患者の抑うつ症状が軽減、レビューで示唆

 音楽療法は認知症患者の気分を高め、抑うつ症状を和らげるのに役立つ可能性のあることが、新たなエビデンスレビューにより明らかになった。また、音楽療法により行動上の問題が改善する可能性のあることも示されたという。論文の筆頭著者である、ライデン大学(オランダ)医療センターのJenny van der Steen氏は、「この調査により、音楽療法の効果についての理解が深まり、特に、介護施設での認知症ケアに音楽を取り入れることの根拠が強まった」と述べている。この研究の詳細は、「Cochrane Database of Systematic Reviews」に3月7日掲載された。 この研究では、総計1,720人を対象に15カ国で実施された30件の研究データがレビューされた。このうち28件の研究データ(対象者1,366人)はメタアナリシスに用いられた。目的は、認知症患者に対する音楽療法が、感情的ウェルビーイング(生活の質〔QOL〕を含む)、感情障害や否定的な感情(抑うつ症状や不安など)、行動上の問題(全体的な行動上の問題や神経精神症状、特に興奮や攻撃性)、社会的行動、認知機能に与える影響を調べることだった。対象者のほとんどは介護施設に入所しており、個別またはグループでセラピーを受けていた。 その結果、5回以上のセッションから成る音楽療法ベースの介入は、通常のケアと比べて認知症患者の抑うつ症状をわずかに改善する可能性があり(標準化平均差−0.23、95%信頼区間−0.42〜−0.04、9件の研究、エビデンスの確実性は中)、行動上の問題を改善する可能性のあることが示唆された(同−0.31、−0.60〜−0.02、10件の研究、エビデンスの確実性は低)。一方で、音楽療法は興奮や攻撃性を改善しない可能性が高いことも示唆された(同−0.05、−0.27〜0.17、11件の研究、エビデンスの確実性は中)。さらに、感情的ウェルビーイング、不安、社会的行動、認知機能についても改善しない可能性が示唆された(いずれもエビデンスの確実性は低〜非常に低い)。しかし、他の治療法と比較すると、音楽療法は社会的行動を改善し(同0.52、0.08〜0.96、4件の研究、エビデンスの確実性は低)、不安を軽減する(同−0.75、−1.27〜−0.24、10件の研究、エビデンスの確実性は非常に低)可能性が示唆された。 Van der Steen氏は、「音楽療法は、他のグループ活動以上の効果があり、認知症の後期段階であっても魅力的で利用しやすい方法で気分や行動をサポートするのに役立つ」と述べている。同氏は、「介護施設の管理者は、認知症ケアに対するパーソンセンタード・アプローチの一環として、構造化された音楽セッションを組み込むことを検討すべきだ」と付け加えている。 共著者の1人である、アートEZ芸術大学(オランダ)のAnnemieke Vink氏は、「音楽療法は、薬を使わずに悲しみや不安を和らげる方法だ。われわれは、最近の研究の質の向上とエビデンスの蓄積により、音楽療法やその他の非薬物療法にさらなる注目が集まることを期待している。効果の大きさを見ると、音楽療法は薬物療法の代替手段として妥当であり、より患者中心的だ」と述べている。 ただし研究グループは、特に介護施設以外の地域社会での音楽療法の長期的な効果については、さらなる研究が必要だとしている。

648.

全般不安症の第1選択薬としてのプレガバリンの可能性〜メタ解析

 全般性不安症(GAD)は、近年有病率が増加している精神疾患の1つである。GADは未診断のケースも多く、患者本人、医療制度、社会に対し悪影響を及ぼす可能性がある。そのため、GADに伴う経済的な負担やQOL低下に対する効果的な治療の必要性が増している。不安症状の軽減に対し疼痛治療薬であるプレガバリンによる治療が有望であることが示唆されている。しかし、その有効性を評価し、他の治療オプションと比較するためには、さらなる研究が必要とされる。スペイン・Hospital de la Santa Creu i Sant PauのNarcis Cardoner氏らは、GAD治療におけるプラガバリンの有効性、安全性、最適な投与量を評価するため、メタ解析を実施した。Frontiers in Pharmacology誌2025年2月7日号の報告。 プレガバリン治療患者を介入群とし、対照群にはベンゾジアゼピン、SSRI、SNRI、プラセボが投与された患者が含まれた。有効性および安全性は、各種評価尺度と有害事象を用いて評価した。対象研究には、ランダム化臨床試験を含めた。4つの主要なデータベースより検索した。PRISMAガイドラインに従いメタ解析を実施した。アウトカムの指標には、ハミルトン不安評価尺度(HAM-A)、臨床全般印象度の改善度(CGI-I)、治療中止率、コスト、質調整生存年(QALY)を含めた。メタ解析では、オッズ比(OR)、平均差(MD)、95%信頼区間(CI)を用いて、Review Manager 5.4ソフトウェアにより実施した。サブグループ解析と感度分析は、フォローアップ調査と投与量に基づき行った。 主な結果は以下のとおり。・14研究、4,822例を分析に含めた。・プレガバリンは、治療期間を通じて、HAM-A全体スコア低下に対する有効性が認められた。【2週間】MD:−1.23、95%CI:−1.79~−0.66【4週間】MD:−1.12、95%CI:−1.60~−0.63【8週間】MD:−2.50、95%CI:−4.21~−0.79【12週間】MD:0.99、95%CI:0.35~1.63【6ヵ月~1年間】MD:−3.31、95%CI:−4.30~−2.31・プレガバリンは、HAM-Aに対する反応率が高かった(OR:1.51、95%CI:1.31~1.75)。・プレガバリンは、CGI-Iスコアの改善が良好であり(MD:−0.25、95%CI:−0.38~−0.12)、反応率も高かった(OR:1.33、95%CI:1.15~1.55)。・治療中止率は低かった(OR:0.80、95%CI:0.70~0.91)。・有害事象は、さまざまな用量のSSRI、SNRI、ベンゾジアゼピンよりも良好であった。・プレガバリン治療は、費用対効果のより高い治療であった(MD:0.02、95%CI:0.01~0.03)。 著者らは「プレガバリンは、GADに対し効果的かつ忍容性の高い治療薬であり、他の第1選択薬と比較し、優れた有効性および安全性を示す」と結論付けている。

649.

抗精神病薬の血中濃度、年齢や性別の影響が最も大きい薬剤は

 抗精神病薬は、高齢患者にも処方されるが、高齢者における安全性および有効性に関する報告は限られている。ノルウェー・Diakonhjemmet HospitalのVigdis Solhaug氏らは、一般的に使用される6種類の抗精神病薬の用量調節血中濃度(C:D比)に対する年齢の影響を男女別に調査し、比較を行った。Therapeutic Drug Monitoring誌オンライン版2025年2月25日号の報告。 対象とした抗精神病薬は、amisulpride、アリピプラゾール、クロザピン、オランザピン、リスペリドン、zuclopenthixol。抗精神病薬の血中濃度を測定した患者を治療薬モニタリングサービスよりレトロスペクティブに組み入れた。各抗精神病薬の主なアウトカムは、性別、年齢(18〜49歳群、50〜74歳群、75歳以上群)で分類したグループ間で評価したC:D比とした。データ分析には、制限付き最尤推定法による線形混合モデルを用いた。 主な結果は以下のとおり。・対象患者1万9,926例(男性の割合:53%)に対し7万4,194回の血中濃度測定が行われた。・ほとんどの抗精神病薬では、年齢とともにC:D比の有意な増加が認められた。女性は、男性よりも差が大きかった。・年齢の影響が最も大きい薬剤はリスペリドンであった。・リスペリドンで治療された男性のC:D比は、18〜49歳群と比較し、50〜74歳群で20%、75歳以上群で81%高かった(各々、p<0.001)。・リスペリドンで治療された女性のC:D比は、18〜49歳群と比較し、50〜74歳群で28%、75歳以上群で92%高かった(各々、p<0.001)。・年齢の影響が最も小さい薬剤はアリピプラゾールであり、男性では年齢別のC:D比に有意な差は認められなかった。・アリピプラゾールで治療された女性のC:D比は、18〜49歳群と比較し、50〜74歳群で8%、75歳以上群で28%高かった(各々、p<0.001)。 著者らは「男性と女性におけるC:D比の年齢依存的な増加は、抗精神病薬の種類のより異なり、リスペリドンの影響が最も大きかった。これらの結果は、高齢者に対する抗精神病薬の使用において、適切なモニタリングを実施することの重要性を示唆している」と結論付けている。

650.

PTSDに対するブレクスピプラゾール治療、単剤療法と併用療法の有効性

 心的外傷後ストレス障害(PTSD)に対するブレクスピプラゾールのセルトラリン併用療法および単剤療法の有効性、安全性、忍容性を評価するため、米国・Otsuka Pharmaceutical Development & Commercialization Inc.のMary Hobart氏らは、ランダム化比較試験を実施し、その結果を報告した。The Journal of Clinical Psychiatry誌2025年2月19日号の報告。 本試験では、1週間のプラセボ導入期間とその後11週間のランダム化二重盲検実薬参照プラセボ対照並行群間治療期間(フォローアップ期間14日間を含む)で構成された。米国の48の臨床試験施設において2017年1月〜2018年11月に実施された。対象は、PTSD成人外来患者321例(DSM-V基準)。経口ブレクスピプラゾール+セルトラリン(併用群)82例、ブレクスピプラゾール+プラセボ(ブレクスピプラゾール単剤群)75例、セルトラリン+プラセボ(セルトラリン単剤群)81例、プラセボ+プラセボ(対照群)83例にランダムに割り付けられた。用量はフレキシブルドーズ(ブレクスピプラゾール:1〜3mg/日、セルトラリン:100〜200mg/日)を採用した。主要エンドポイントは、ランダム化後(1週目)から10週目までのClinician-Administered PTSD Scale for DSM-5(CAPS-5)合計スコアの変化とした。安全性評価には、有害事象を含めた。 主な結果は以下のとおり。・治験完了率は、併用群70.7%(58例)、ブレクスピプラゾール単剤群66.7%(50例)、セルトラリン単剤群72.8%(59例)、対照群77.1%(64例)。・10週目において、併用群は、セルトラリン単剤群と比較し、CAPS-5合計スコアのより大きな改善が認められた(最小二乗[LS]平均差:−5.08、95%信頼区間:−8.96〜−1.20、p=0.011)。また、ブレクスピプラゾール単剤群および対照群との比較においても、同様であった。【併用群】77例、ランダム化後CAPS-5合計スコア:35.7、LS平均変化:−16.4【ブレクスピプラゾール単剤群】69例、ランダム化後CAPS-5合計スコア:33.9、LS平均変化:−12.2【セルトラリン単剤群】75例、ランダム化後CAPS-5合計スコア:36.5、LS平均変化:−11.4【対照群】78例、ランダム化後CAPS-5合計スコア:35.1、LS平均変化:−10.5・ブレクスピプラゾール単剤群およびセルトラリン単剤群は、対照群と比較し、統計学的に有意な差は認められなかった。・治療中に発生した有害事象のうち、発生率が10%以上であった有害事象は、併用群で体重増加(12.5%)および傾眠(10.0%)、ブレクスピプラゾール単剤群でアカシジア(13.3%)、セルトラリン単剤群で嘔気(20.3%)および口渇(12.7%)。 著者らは「ブレクスピプラゾールとセルトラリンとの併用療法は、PTSDの新たな治療法として有効である可能性があり、安全性プロファイルは、これまでのブレクスピプラゾールの報告と一致していた」と結論付けている。

651.

第257回 乳腺外科医わいせつ裁判、無罪確定。改めて考える冤罪回避のために医師、医療機関が心掛けるべきこととは

東京高裁、差し戻し控訴審の判決で検察側の控訴を棄却、東京高検は上告断念こんにちは。医療ジャーナリストの萬田 桃です。医師や医療機関に起こった、あるいは医師や医療機関が起こした事件や、医療現場のフシギな出来事などについて、あれやこれや書いていきたいと思います。この週末、関東は日曜だけは好天で、テレビで野球ばかり観ているのもなんなので、近所の公園に花見に出かけました。この連載もちょうど丸5年、今回から6年目に入ります。2020年4月1日掲載の、「第1回 医療関係者が医療関係者を『バイ菌』扱いしちゃダメだろ」では、コロナ禍真っ只中にもかかわらず、パンデミックを一瞬忘れたかのような東京・目黒川の花見客の浮かれ具合について、「1~2週間後、東京が危ないかも」と書いたものです。日曜のNHKニュースでは、その目黒川の花見の様子を報道していました。あれから5年、外国人の花見客だらけで大混雑の目黒川の様子を見て、5年の月日の長さと変化の大きさを実感した週末でした。さて今回は、本連載でも幾度か取り上げた、準強制わいせつ罪で逮捕・起訴され、一審無罪、二審有罪となった東京都足立区の医療法人財団健和会・柳原病院の医師・関根 進氏(49)に対する差し戻し控訴審について書いてみたいと思います。3月12日、東京高等裁判所(齊藤 啓昭裁判長)は差し戻し控訴審の判決で、一審の無罪判決について「事実の誤認は認められない」として、検察側の控訴を棄却しました。そして3月25日、東京高等検察庁は関根氏を無罪とした東京高裁判決に対し上告しないと発表しました。これによって、最高裁まで行ったこの事件において関根氏の無罪が確定しました。事件から実に9年、あまりにも長かった裁判がやっと終わりを迎えました。女性の術後せん妄の有無および程度、女性の体の付着物のDNA型の鑑定結果の信用性が争われるこの事件の経緯については、「第82回 わいせつ裁判で逆転有罪の医師、来年上告審弁論へ。性犯罪厳罰化の中、対応模索の医師・医療機関」、「第98回 まだまだ終わらない乳腺外科医わいせつ裁判、最高裁が高裁判決を破棄し差し戻し」でも詳しく書きましたが、改めておさらいしておきます。事件は2016年5月に起きました。乳腺外科が専門の関根氏は、働く柳原病院で、女性の右胸から乳腺腫瘍を摘出する手術を実施。術後に、病室で女性にわいせつな行為をしたとして起訴されました。関根氏は同年8月に逮捕、105日間勾留されました。起訴事実は、手術後で抗拒不能状態にあり、ベッドに横たわる女性患者に対して、診察の一環と誤信させ、着衣をめくり左乳房を露出させた上で、その左乳首を舐めるなどのわいせつ行為をした、というものです。公判では全身麻酔手術を終えた女性の被害証言の信用性、女性の術後せん妄の有無と程度、女性の体の付着物から被告のDNA型が検出されたとする鑑定結果の信用性が争われました。一審無罪、「術後せん妄」が主な争点となった二審は逆転有罪に2019年2月20日の一審・東京地裁判決は、被害を受けたと証言する女性が「(麻酔の影響で)性的幻想を体験していた可能性がある」と指摘。付着物の鑑定結果については「会話時の唾液の飛沫や触診で付着した可能性が排斥できない」として無罪(求刑懲役3年)と結論づけました。これに対し、2020年7月13日の二審・東京高裁判決は真逆の判決となりました。二審では「術後せん妄」が主な争点となり、弁護側、検察側双方が推薦する精神科医2人が証言。結果、高裁判決は女性の証言について、「具体的かつ詳細であり、特に、わいせつ被害を受けて不快感、屈辱感を感じる一方で、医師が患者に対してそのようなことをするはずがないとも思って、気持ちが揺れ動く様子を極めて生々しく述べている。上司に送ったLINEのメッセージの内容とも符合する。A(被害者)の証言は、本件犯行の直接証拠として強い証明力を有する」と判断。付着物を巡る一審の判断についても、手術室での位置関係などの実験結果などから不合理だったとして、一審判決を破棄し、「被害者の精神的、肉体的苦痛は大きい」として逆転有罪、関根氏に懲役2年を言い渡しました。日本医師会、日本医学会は「控訴審判決は学術的にも問題が多い」と強く非難この二審の逆転判決は、医療関係者に大きな衝撃を与え、日本医師会、日本医学会は「控訴審判決は学術的にも問題が多い」として関根氏を守る立場を鮮明に打ち出しました。日本医学会の門田 守人会長(当時)は、「行為に蓋然性がないこと」「せん妄の有無に関する科学的根拠」「検査結果の正確性」の3つの問題点を挙げ、とくに「せん妄」については、今回採用されたと思われる、せん妄状態に関する検察側の証人の意見に対し、その根拠が果たして科学的なものであるのかと指摘、「推測だとしたら許されるものではない」と強く批判しました。関根氏は上告、最高裁は2022年1月21日に上告審弁論を開き、2月18日、懲役2年を命じた二審・東京高裁判決を破棄し、同高裁に差し戻す判決を下しました。最高裁は、せん妄の可能性を否定する根拠とされた専門家の証言について「医学的に一般なものではない」と疑義を呈し、DNA定量検査の信頼性についても、証拠鑑定を行った科学捜査研究所がDNAの増幅曲線や検量図のデータを残していないこと、DNA抽出液を証拠鑑定後に破棄したことなどその手法に問題が多く、「信頼性に不明確な部分がある」と判断しました。それから約3年、東京高裁は3月12日の差し戻し控訴審の判決で、麻酔学や精神医学の知見を踏まえ、女性が麻酔から覚醒する際に術後せん妄に陥り幻覚を体験した可能性を排除できないとするとともに、DNA定量検査についても「結果自体が相当の変動幅を含む可能性を否定できない」と指摘、胸に多量の男性医師のDNAが付着していたとしてもわいせつ行為を証明するには不十分と結論付け、一審の無罪判決を支持、検察側の控訴を棄却しました。そして検察は上告を断念、無罪が確定したのです。「警察と検察は、片方の言い分を過剰に信じ、客観的な物の見方ができない、そして一度決めたら振り返りや修正することのない組織」3月12日付の日経メディカルなどの報道によれば、同日開かれた記者会見で関根氏は、「この裁判の結果については当然であり、何の疑いもないと考えています。警察と検察は、片方の言い分を過剰に信じ、客観的な物の見方ができない、そして一度決めたら振り返りや修正することのない組織だと思いました。まるで戦前の軍隊のようです。これらに私の生活や仕事そして家族を奪われたこと、警察と検察に対して強く憤りを感じます。警察による尾行・不法侵入によるゴミあさり、恫喝。長期間にわたる身柄拘束による日常からの断絶。こうした人権侵害について問題としない裁判所の態度も大きな問題だと感じます。マスコミに対しても疑問を感じます。逮捕後に警察署入り口で待ち構えていたテレビカメラ。中身をよく吟味せずに衝撃度の強い内容を、より視聴者受けするやり方で情報を垂れ流すやり方について、大きな問題であると考えます」と語ったとのことです。「『不当な有罪判決』や『遅すぎる無罪判決』が今後も形を変えて繰り返されることを強く危惧している」と弁護団一方、弁護団は、9年もの年月がかかった要因として、「最大の原因は二審。今日の判決は一審判決を全面的に是認したもの。差し戻し審での証言も多少は吟味されたが、基本的には2020年7月に言い渡すことができた判決だった」と指摘するとともに、「捜査機関は、せん妄の可能性を認識しながらも、再現性の乏しいDNA定量検査により、医師が患者の乳頭を『なめた』と強弁し続けた。DNA抽出液、定量データを破棄し、検査記録の原本まで書き換えた。捜査官は、証拠隠滅罪に問われることもなく、科捜研の閉ざされた検査室では今もあしき慣行が続いている。また、有罪を言い渡した高裁判事は、せん妄に関するでたらめな見解を正しいものとして採用した。DNA定量検査についても、科学の本質を理解せず、『えせ科学』を見分ける能力を欠いていた。差し戻し審も、弁護団の追加実験などの科学的証拠を多数却下し、改ざんされた検査記録の検証を拒んだ。裁判所は、虚心坦懐に真実と向き合う熱意や覚悟が欠けている。(中略)医師は職業上、人体との接触が避けられない。弁護団は、『不当な有罪判決』や『遅すぎる無罪判決』が今後も形を変えて繰り返されることを強く危惧している」と、捜査方法や裁判の問題点を強く批判しました。医師の診察には必ず医療職の同席者を、誤解を受けそうな診察に際しては説明を尽くし同意を取るでは、こうした冤罪の被害者とならないために、医師・医療機関側はどんな対策を取ればいいのでしょうか。そもそも性犯罪は、加害者と被害者の2人のときに起こることが多く、通常の事件と比べ目撃者や証拠が少ないと言われています。結果、裁判は加害者、被害者双方の証言や提出証拠に頼らざるを得ず、その信用性が争点となります。そんな中、近年、裁判所は被害を訴える側の証言を重く見る傾向が強くなっている、という声も聞きます。医師や医療機関は、あらぬ誤解を患者や家族などから受けないような対策を、今まで以上にしっかりと取る必要が出てきています。交通事故では、ドライブレコーダーの活用が一般的になってきましたが、診察室や病室に画像レコーダーを設置することはもちろんできません。ゆえに、現状では、医師の診察には必ず看護師など医療職を同席させる、わいせつ行為の誤解を受けそうな診察に際しては説明を尽くし同意を取る、といった対策がまず基本となるでしょう。医療機関は術中、術後だけでなく広く薬剤によるせん妄への対策をそしてこの事件で特に教訓として指摘されているのが、患者のせん妄対策です。この事件に関して、谷口医院院長の谷口 恭氏は毎日新聞の医療記事サイト、医療プレミアに3月24日「無罪判決まで8年半--「乳腺外科医冤罪事件」はなぜ生まれたか」と題する記事を寄稿、「女性が『ウソ』を言っているわけではないと私は考えています。では、なぜ女性はこのような証言をしたのでしょうか。それは、手術で使用された麻酔薬や鎮静剤のせいです。術後にはこれらが体内に残っているため、意識や記憶が曖昧になり、自分が言ったことや聞いたことを覚えていないことがよくあります。また、手術を受けていなくても、睡眠薬の服用だけで自身の行動や言動を覚えていないことは日常診療でもしばしば経験します」と書くとともに、「医師として私が言いたいことは、『術中や術後に使用される麻酔薬、鎮静剤、鎮痛剤のみならず、外来患者に処方される睡眠薬や抗不安薬、さらには薬局で簡単に買える風邪薬やせき止めでさえも、意識や記憶が曖昧になり、ときには錯乱が生じることもある』ということです」と、広く薬剤によるせん妄に対する注意喚起をしています。なお、3月12日付の日経メディカルなどの報道によれば、同日の記者会見で弁護団も「麻酔科や外科などにとって術後せん妄や覚醒時せん妄は珍しいことではない。しかし、今回のような症例は医師にとってのリスクでもあり、回避するための仕組みが十分だったとは言えない。本件の弁護側証人にも、医療の現場において術後せん妄などの存在を患者にきちんと説明すること、医療者側もリスクとして知っておき予防策を取ることが必要だと証言された先生が複数いた」と、患者がせん妄下における幻覚による被害の訴えをした場合の対策や予防策の必要性を訴えています。2020年度診療報酬改定では、「せん妄ハイリスク患者ケア加算(入院中1回、100点)」も新設されています。医療機関は、本事件のような冤罪を避けるためにも患者のせん妄対策に本腰を入れるべきだと言えるでしょう。

652.

OTC薬の乱用と精神症状発症リスクとの関係

 市販(OTC)薬の入手しやすさは、現代の医療システムにおいて重要な役割を果たしており、個人が軽度の健康課題を自身で管理できるようになっている。しかし、覚醒剤、下剤、鎮痛薬、麻薬の含有製剤など、一部のOTC薬には、誤用や乱用につながりやすい薬理学的特性がある。不適切な用量、期間、適応症に伴う誤用、精神活性作用やその他の違法な目的のための非治療的な使用に伴う乱用は、依存症や中毒につながるリスクがある。イタリア・G. D'Annunzio UniversityのAlessio Mosca氏らは、既存のエビデンスを統合し、抗ヒスタミン薬、鎮咳薬、充血除去薬の誤用と精神症状の発症との関係を包括的に検討した。Current Neuropharmacology誌オンライン版2025年2月18日号の報告。 PubMed、Scopus、Web of Scienceのデータベースを用いて関連研究を特定し、システマティックレビューを実施した。検索ワードには、ジフェンヒドラミン、プロメタジン、クロルフェニラミン、ジメンヒドリナート、デキストロメトルファン、プソイドエフェドリン、コデインベースの鎮咳薬、乱用、誤用、渇望、依存症を用いた。レビューおよび動物実験の研究は除外した。PRISMAガイドラインに従い、データを収集した。 主な結果は以下のとおり。・2,677件中46件の関連研究を分析した。・抗ヒスタミン薬、デキストロメトルファン、その他のOTC薬を乱用すると、妄想、幻覚、思考障害などの精神症状を引き起こす可能性が示唆された。・とくにデキストロメトルファンは、精神疾患の慢性傾向と関連していた。・他の薬剤は、一般的に急性の薬剤誘発性精神症状を引き起こした。 著者らは「OTC薬の乱用は、公衆衛生に幅広い影響を及ぼす。OTC薬の乱用およびそれが重大な精神疾患を引き起こす可能性に対処するために、意識向上や具体的な介入の必要性が示唆された」と結論付けている。

653.

治療抵抗性うつ病に対する新たな治療薬、今後の展望は

 うつ病の初期治療に対する治療反応不良は、患者に深刻な悪影響を及ぼす臨床的課題の1つである。しかし、治療抵抗性うつ病に対して承認された治療法は、ほとんどない。米国・エモリー大学のMichael J. Lucido氏らは、治療抵抗性うつ病に対して実施されている臨床試験を特定し、レビューを行った。Brain Sciences誌2025年2月6日号の報告。 米国および欧州の臨床試験レジストリをシステマティックに検索し、2020年1月以降に最終更新された治療抵抗性うつ病に対する治療薬を評価した第II〜IV相試験を特定した。検索キーワードには、「治療抵抗性うつ病」および関連する下位レベルの用語(レジストリ検索プロトコールに基づく)を用いた。米国のレジストリでは、「うつ病性障害」および「不十分」のワードを用いて2次検索も実施し、治療抵抗性うつ病としてタグ付けされていない研究も収集した。さらに、治験薬のトランス診断ターゲットとして「自殺」および「アンヘドニア」のワードを用いて、さらに2回の検索を実施した。治験薬の主な作用機序に基づき分類を行った。 主な結果は以下のとおり。・臨床試験の件数は、治療抵抗性うつ病で50件、アンヘドニアで20件、自殺で25件が特定された。・グルタミン酸システムの調節は、現在最も多くの化合物が開発されているメカニズムであった。・これには、NMDA受容体、AMPA受容体、代謝型2/3グルタミン酸受容体の拮抗薬およびアロステリック調整薬やグルタミン酸シグナル伝達の下流にある細胞内エフェクター分子が含まれた。・しかし、メカニズムターゲットの中で過去5年間、最も急増した治験薬は幻覚薬であり、とくにpsilocybinが大きく注目されていた。・その他のメカニズムには、GABA受容体調節薬、モノアミン調節薬、抗炎症/免疫調節薬、オレキシン2受容体拮抗薬が含まれた。 著者らは「治療抵抗性うつ病に対するより効果的で潜在的に個別化された薬物療法の開発には、大きな期待をもたらす。治療抵抗性うつ病における有効性を検出する際の課題には、根底にあると推察されるさまざまな生物学的機能障害、併存疾患、慢性的な心理社会的ストレス要因、および以前のセロトニン作動性抗うつ薬治療による持続的な影響、集団内の異質性が含まれる」と結論付けている。

654.

レム睡眠潜時の増長がアルツハイマー病のマーカーとなる可能性

 レム睡眠潜時の増長は、アルツハイマー病およびアルツハイマー病関連認知症(AD/ADRD)のマーカーとなり得るという研究結果が、「Alzheimer's & Dementia」に1月27日掲載された。 中日友好病院(中国)のJiangli Jin氏らは、睡眠構造とAD/ADRDとの関係を調査するため、成人128人(アルツハイマー病64人、軽度認知障害41人、正常認知機能23人)を登録した。対象者は睡眠ポリグラフ検査、アミロイドβ(Aβ)PET検査、血漿バイオマーカー分析(p-tau181、ニューロフィラメント軽鎖、脳由来神経栄養因子〔BDNF〕を含む)を受けた。 人口統計学的特性、アポリポ蛋白Eε4の状態、認知機能、併存疾患で調整した解析の結果、レム睡眠潜時が最長の最高三分位群は、最低三分位群と比較して、Aβ負荷の上昇、p-tau181の上昇、BDNFレベルの低下との関連が認められた(それぞれβ=0.08、0.19、-0.47)。 著者らは、「レム睡眠潜時の増長は、Aβ蓄積および血漿p-tau181の上昇、BDNFレベルの低下など、AD/ADRDの主な病態生理学と関連していた。これらの病理学的変化は通常、臨床症状に10年以上先行するため、われわれの研究結果は、AD/ADRDの早期発見および介入におけるレム睡眠の関与に関し、新たな洞察をもたらす可能性がある」と述べている。 なお1人の著者が、バイオ製薬企業との利益相反(COI)に関する情報を明らかにしている。

655.

中強度〜高強度の身体活動は脳の健康に有益

 体を動かすことは、脳に良い影響を与えるようだ。新たな研究で、中強度から高強度の身体活動でエネルギーを消費する人では、エネルギーの消費量が少ない人に比べて認知症、脳卒中、不安症(不安障害)、うつ病、睡眠障害を発症するリスクの低いことが明らかになった。復旦大学(中国)のJia-Yi Wu氏とJin-Tai Yu氏によるこの研究結果は、米国神経学会年次総会(AAN 2025、4月5〜9日、米サンディエゴ)で発表予定。 この研究でWu氏らは、7万3,411人の参加者(平均年齢56.08±7.82歳、女性55.72%)を対象に、活動量計で測定した7日間分の身体活動量および座位行動と精神神経疾患との関連を検討した。身体活動量は代謝当量(METs)として定量化し、3METs以上を中強度〜高強度の身体活動と見なした。例えば、ウォーキングや掃除などの中強度の身体活動は約3METsの消費、サイクリングなどのより激しい身体活動は、速度にもよるが、約6METsの消費に相当する。 解析の結果、中強度〜高強度の身体活動でエネルギーを消費していた参加者は、エネルギー消費量が少なかった参加者に比べて、認知症、脳卒中、不安症、うつ病、睡眠障害を発症するリスクが14~40%低いことが明らかになった。疾患を発症しなかった参加者での中強度〜高強度の身体活動による1日当たりのエネルギー消費量(1kg当たり)は平均1.22キロジュール(kJ)であったのに対し、認知症発症者では0.85kJ、睡眠障害発症者では0.95kJ、脳卒中発症者では1.02kJ、うつ病発症者では1.08kJ、不安症発症者では1.10kJだった。また、座位時間が長いほどいずれかの疾患の発症リスクが上昇し、座位時間が最も短い参加者と比べてリスクは5~54%高かった。 こうした結果を受けてWu氏はAANのニュースリリースの中で、「この研究結果は、脳の健康状態を向上させ、これらの疾患の発症リスクを低減させ得る、修正可能な因子としての身体活動と座位行動の役割を強調している」との見方を示す。同氏は、「人々に、中強度〜高強度の身体活動量をライフスタイルに組み込むよう促すことで、将来的には、これらの疾患の負担を軽減できることが期待できる」との見方を示している。 Wu氏はまた、「これまでの研究の中には、試験参加者の報告に基づき身体活動量を測定しているものもあった。それに対し、今回の研究では、非常に多くの参加者の身体活動量を、客観的な測定が可能なデバイスを用いて評価した。そのため、得られた結果は、リスク因子の評価や、これらの疾患に対する予防的介入策の開発に影響を及ぼすだろう」と話している。 なお、学会発表された研究結果は、査読を受けて医学誌に掲載されるまでは一般に予備的なものと見なされる。

656.

海外番組「セサミストリート」(続編・その1)【実はこだわりは能力だったの!?だから男の子に多いんだ!(自閉症の機能)】Part 1

今回のキーワード社会的コミュニケーションの障害共感性反復性システム化パターン・シーカー胎児期アンドロゲン仮説指比超男性脳自閉症は、子供の時からコミュニケーションがうまくできないと同時に、こだわりが強すぎるという特徴があります。それでは、なぜそうなってしまうのでしょうか? なぜ男の子に多いのでしょうか?今回は、海外番組「セサミストリート」のキャラクターの1人であるジュリアを取り上げます。このキャラクターを通して、まず自閉症の症状をまとめ、こだわりを機能として捉え直します。そして、有力な原因仮説をご紹介し、男の子(男性)にとても多いわけを解き明かしてみましょう。なお、現在の自閉症の正式名称は、自閉スペクトラム症(ASD、Autism Spectrum Disorder)です。この記事ではわかりやすさや呼びやすさを優先して、あえて自閉症という従来名称を用います。また、このキャラクターの動画は、公式チャンネルから見ることもできます。ちなみに今回は、海外番組「セサミストリート」を扱った記事の続編になります。本編については、関連記事1をご覧ください。自閉症とはどんなものなの?ジュリアは、オレンジの髪の毛でグリーンの目。エルモの幼なじみです。ただ、エルモのような普通の子供とはちょっと様子が違い、彼女は自閉症であると説明されます。それでは、自閉症とはどんなものなのでしょうか? まず、ジュリアの特徴を大きく2つ挙げて、自閉症の主な症状をまとめてみましょう。(1)コミュニケーションがうまくできないジュリアは、みんなで絵を描いている時、ビッグバードから何度も話しかけられますが、まるで無視しているかのように絵を描き続けます。ビッグバードが「ジュリアは僕のことをあまり好きじゃないみたい」と悲しそうに言うと、大人のアランが「ジュリアはねえ、何か聞かれてもすぐには答えられないことがあるんだよ」「ジュリアはあんまりしゃべらないんだ」とフォローします。しかし、しばらくすると、ジュリアは「あそぼ、あそぼ」と急に言い出し、笑い出します。気を利かせたアランが「鬼ごっこしたいみたいだね」とフォローします。一方で、アビーから「一緒に遊んでもいい?」と話しかけられた時は、ジュリアはアビーの方を見ないで、「一緒に遊んでもいい?」とオウム返しをしていました。このように、話しかけられても聞こえていなかったり、聞こえていても視線をあまり合わせず、意味がわからないためにうまく返事をしなかったり、逆に急にテンションが上がって独り笑いをしたり、一方的に話し続けたりする特徴は、自閉症の1つの特性、社会的コミュニケーションの障害です。簡単に言うと、コミュニケーションのやり取りがうまくできないことです。脳機能としてみると、これは生後から共感性がうまく発達しないことが挙げられます。共感とは、まさに共に感じて、相手と同じ気持ちになる心理です。これがないと、必然的に人への興味が出てこなくなります。すると、コミュニケーションをしようとせず、身振りも言葉もなかなか発達しなくなるのです。この詳細については、関連記事2をご覧ください。(2)こだわりが強すぎるジュリアはいつもテンションが上がると、「ぼよん、ぼよん、ぼよん」と独り言を言いながら、両手をぶらぶら(ひらひら)させて動き回る癖があります。一方、いつもの読み聞かせの時間が、アランの急な用事で中止になった時、エルモたちは「しょうがないよね」と諦めますが、ジュリアだけは「おはなし!おはなし!」と聞き分けなく騒ぎ続け、パニックになります。また、消防車のサイレンの音が聞こえてきた時は、耳をふさぎ、具合が悪くなります。そして、体全体のハグが苦手なため、「指先だけハグ」をします。このように、同じ言葉や動きへの執着(常同)、習慣への固執(パターン行動)、そして特定の音や接触への敏感さ(感覚過敏)などの特徴は、自閉症のもう1つの特性、反復性です。簡単に言うと、こだわりが強すぎることです。脳機能としてみると、これは生後からシステム化の能力が発達しすぎていることが挙げられます。システム化とは、原因と結果のつながりのパターン(システム)を見つけ出そうとする心理です。そのために、五感が研ぎ澄まされてもいます。たとえば、「ネコ、ネコ、イヌ、ネコ、ネコ、イヌ、次は何が来るかな?」と言われて、クッキーモンスターが「ブタ!?」と当てずっぽうで答える一方、ジュリアは「ネコ」と即答し、「ジュリアはパターンを見つけるのがうまいね」とほめられます。つまり、こだわりは、パターンを見つけ出す能力でもあります。そんな彼らは、パターン・シーカーと呼ばれています1)。つまり、システム化は、パターンを見つけ出すと同時に、パターンにとらわれる(こだわりが強くなる)という二面性があるわけです。このシステム化と先ほどの共感性の詳細については、関連記事3をご覧ください。次のページへ >>

657.

海外番組「セサミストリート」(続編・その1)【実はこだわりは能力だったの!?だから男の子に多いんだ!(自閉症の機能)】Part 2

なんで自閉症になるの?自閉症は、コミュニケーションがうまくできない、こだわりが強すぎるという症状があることがわかりました。それでは、なぜそうなるのでしょうか?その答えは、胎児期に男性ホルモンが多すぎていたからです。これは、胎児期アンドロゲン仮説と呼ばれる有力な原因仮説です2)。アンドロゲンとは、男性ホルモンの総称です。その代表が、テストステロンです。もともと胎児のデフォルトは女性です。遺伝的に男性の場合は、胎児期に自らのY染色体の発現によって精巣からこの男性ホルモンを分泌して(ホルモンシャワー)、体と心(脳)を男性化させていきます。その量が多すぎるのが自閉症の原因だということです。実際の研究では、妊娠6ヵ月時に採取した羊水中の男性ホルモン濃度が高ければ高いほど、4歳時と8歳時のそれぞれの共感性の指数が低くなり、システム化の指数が高くなるという結果が出ています2)。これは、自閉症形質の発現を意味します。また、薬指の長さに対する人差し指の長さの比較(指比)の研究では、一般女性→一般男性→自閉症の人(男女とも)の順に人差し指が短くなっていくことが確かめられています3)。これは、胎児期の男性ホルモン濃度が高くなっていく順番と同じです。なお、自閉症は男女とも人差し指が同じくらい短くなることから、自閉症の発症には胎児期の男性ホルモンが相当影響していることが示唆されます。実際の臨床でも、胎児期に先天的に男性ホルモン(厳密にはテストステロンではなくデヒドロエピアンドロステロン)濃度が高い病態(先天性副腎過形成症)では、男女ともに顕著に人差し指が短くなっていることが確かめられています。そして、システム化の指数が高くなるという結果が出ています4)逆に、胎児期に男性ホルモン(テストステロン)濃度が低い病態(クラインフェルター症候群、アンドロゲン不応症)の男性は、人差し指が長くなっていることも確かめられています。さらに、自閉症の男性の精通の時期は平均よりも早くなる一方、自閉症の女性の初潮は平均よりも遅くなることもわかっています2)。逆に、自閉症の人はオキシトシン濃度(女性ホルモン)が平均を下回っていることもわかっています2)。オキシトシンは「絆ホルモン」とも呼ばれ、これが少ないと人とのコミュニケーションへの動機づけ(共感性)が低くなります。さらに、脳の画像研究においては、一般的に女性よりも男性の方が脳の非対称性が大きいことがわかっていますが、自閉症の人はその非対称性がさらに大きくなっていることもわかっています5)。以上より、自閉症とは、男性的な脳機能が過剰になった状態、つまり超男性脳とも呼ばれています。そして、だからこそ自閉症は男の子(男性)に多いのです。実際に自閉症の80%は男性です。ちなみに、ジュリアは、女の子の設定になっています。この多様性の時代、発症率が低い女の子(女性)をあえて自閉症のキャラクターにしたのでしょう。定型発達においても、システム化は、明らかに女の子よりも男の子が高いです。たとえば、男の子(男性)は、乗り物、仕組み(ルール)、戦い(スポーツ)、勝ち負けなど、ものや結論(結果)への興味が強いです。そして、成長すると、理屈っぽくなる分、女性ほど察しようとしないです。一方で、共感性は、明らかに男の子よりも女の子が高いです。たとえば、女の子(女性)は、ぬいぐるみ集め、人形遊び、料理、おしゃべりなど、人や関係性(プロセス)への興味が強いです。そして、成長すると、情緒的になる分、男性ほど説明しようとしないです。つまり、システム化とは、とくに男性にもともと備わっている能力であると言えます。そして、その能力が高まりすぎた状態を自閉症と呼んでいると言えます。それでは、システム化が高くなると、なぜ連動して共感性が低くなってしまうのでしょうか? 言い換えれば、なぜ自閉症はコミュニケーションの障害とこだわりはセットなのでしょうか?(次回に続く)1)ザ・パターン・シーカーpp.93-95:サイモン・バロン・コーエン、化学同人、20222)自閉症スペクトラム入門pp.134-135:サイモン・バロン・コーエン、中央法規、20113)指からわかる男の能力と病p.31、pp.100-101:竹内久美子、講談社α新書、20134)共感する女脳、システム化する男脳pp.186-187:サイモン・バロン・コーエン、NHK出版、20055)脳からみた自閉症p.129:大隅典子、講談社、2016自閉症についての関連記事大人の自閉症への対応のコツ結婚できない男【空気を読まない】[改訂版]<< 前のページへ■関連記事海外番組「セサミストリート」【子供をバイリンガルにさせようとして落ちる「落とし穴」とは?(言語障害)】Part 1伝記「ヘレン・ケラー」(前編)【何が奇跡なの? だから子供は言葉を覚えていく!(象徴機能)】Part 2ガリレオ【システム化、共感性】

658.

「乳腺外科医事件」再度の無罪判決と医療現場への示唆

手術直後の女性患者への準強制わいせつ罪に問われた執刀医が、逮捕・勾留・起訴された事件。一審では無罪判決となったが、控訴審では懲役2年の実刑判決が東京高裁より言い渡され、執刀医側の上告を受けて出された最高裁判決は「東京高裁への差戻し」。3月12日、この差戻審の判決が出され、無罪とした一審の判決が支持された。担当弁護人の1人である水沼 直樹氏が、これまでの経緯および裁判での争点と、このような事件を防ぐために医療現場でできる対応について解説する。1.患者側の主張と医師の主張2016年5月、30代の女性が右胸部の良性腫瘍摘出術を受けた後、担当医師が病室を訪れ、健側(左胸部)を舐める等のわいせつ行為をしたとして、準強制わいせつの疑いで逮捕・起訴されました。患者の左胸部から医師のDNAとアミラーゼが検出されています。患者は、術後に2回、同様の行為を受けたと主張している一方で、医師は術後せん妄による性的幻覚の可能性を指摘しています。2.争点と裁判所の判断(1)東京地裁(無罪):2019年2月、1)患者が「せん妄状態に陥っていた可能性は十分にあり、また、せん妄に伴って性的幻覚を体験していた可能性も相応にある」、2)術前の触診や、上級医とのマーキング時等の唾液飛沫により胸部にDNAやアミラーゼが付着した可能性が否定できない、としました(「乳腺外科医事件」裁判の争点参照)。(2)東京高裁(有罪):2020年7月、1)「せん妄に伴う幻覚は生じていなかった」、2)科学捜査研究所の検査担当者によるワークシートの記載事項の消去、上書き、書き換えには「意図的に鑑定結果をねつ造したとはうかがえず」、「DNA定量検査の結果が信用できないとも断じ難い」としました(「乳腺外科医事件」控訴審、逆転有罪判決の裏側参照)。(3)最高裁判決(破棄差戻):2022年2月、1)検察側証人の「見解は医学的に一般的なものではないことが相当程度うかがわれる」、2)DNA定量検査の正確性についてさらに審理する必要がある、としました(「乳腺外科医事件」最高裁判決を受けて参照)。3.差戻後控訴審(無罪)差戻後の東京高裁は、1)複数の専門家の証言から、麻酔薬等により術後せん妄による性的幻覚の可能性があるとした第一審の判断は不合理ではなく、2)DNA定量検査の値は信頼できるが、触診行為自体や触診時等に飛散した医師の唾液飛沫が患者の胸部に付着した可能性を否定できないとしました。※2025年3月25日、検察官は上告を放棄し、医師の無罪が確定しました。4.医療現場への示唆本件は、患者の術後せん妄による性的幻覚の可能性が認められました。その点で、医療現場では、せん妄・術後せん妄対策が重要となります。(1)せん妄は見落としやすい医療従事者によるせん妄患者の見落としが多いことが報告されています1)。医療従事者への研修・教育が重要です。(2)スクリーニング・アセスメントの実施せん妄対策が患者の予後に影響します。せん妄のスクリーニング、アセスメントを実施し、早期に医療介入しましょう2)。(3)患者・家族への説明せん妄を体験した患者や、せん妄状態に陥った患者を目の当たりにした家族の焦燥感は計り知れません。患者や家族に対してもせん妄教育を行うと良いでしょう。YouTube等にも専門家が制作した多くの啓発動画が存在しています。(4)回診・訪室の際の注意単独での回診は、あらぬ疑いをかけられたり、逆に心ならぬ医療従事者に犯行の機会を与えたりします。他方、常に2名体制で回診・ラウンドすることは現実的に難しいでしょう。そこで、せめて、術後間もないうちだけでも単独回診・巡回を回避することが大切だと考えられます。 1)Inouye SK, et al. Arch Intern Med. 2001;161:2467-73.2)小川朝生. せん妄 適確にアセスメントをし、せん妄を予防する. 看護科学研究 2017;15:45-9.講師紹介

659.

ベンゾジアゼピンによる治療はアルツハイマー病の重大なリスク因子なのか

 アルツハイマー病は、最も頻度の高い認知症である。ベンゾジアゼピン(BZD)は、不眠症やその他の睡眠障害の治療に最も多く使用されている治療薬であるが、BZDの長期的な使用は、認知機能低下と関連していることがいくつかの報告で示唆されている。ポルトガル・University of Beira InteriorのFilipa Sofia Trigo氏らは、BZDによる治療とアルツハイマー病発症との関連性を評価するため、システマティックレビューを実施した。NeuroSci誌2025年2月1日号の報告。 対象研究は、MEDLINE、Embaseのデータベースよりシステマティックに検索し、結果のナラティブ統合は、PRISMA-P 2020方法論に基づき実施した。 主な結果は以下のとおり。・適格基準を満たしたコホート研究は、2件のみであった。・レトロスペクティブ研究では、BZDによる治療後にアルツハイマー病を発症する重大なリスクが認められた。・プロスペクティブ研究では、アルツハイマー病の有病率とBZDによる治療との関連は認められなかった。 著者らは「BZDによる治療がアルツハイマー病発症の重大なリスク因子であることは、最大規模の研究でのみ認められた。この関連性は、科学的根拠が乏しいことから、さらなる研究が必要である」と結論付けている。

660.

一人暮らしの認知症者は疎外されやすい?

 認知症者に対する社会的距離は、認知症の行動および心理的症状(BPSD)を有する一人暮らしの患者でより大きくなることが示唆された。この研究は東京都健康長寿医療センター研究所の井藤佳恵氏らによるもので、研究結果の詳細は「PLOS One」に1月22日掲載された。 認知症者とその介護者は、疾患へのスティグマ(「先入観に基づいてレッテルをはり、偏見をもち、差別する」という、一連の心と行動)による社会的排除に直面している。スティグマは、病気そのものが引き起こす苦痛よりもさらに大きな苦痛をもたらすことがあり、深刻な人権侵害であると言われている。 スティグマの研究では、スティグマを社会的距離(他の個人との望ましい親密さ、または距離の程度)で測定する方法がある。今回の井藤氏らの研究では、地域住民の認知症者に対する社会的距離がどのような要因によって変化するのかを検討した。 参加者は、オンライン調査会社に登録している国内、地域在住の40歳から90歳までの男女2,589人(平均年齢62.0±10.5歳、女性49.8%)である。この調査では、世帯形態、BPSDの有無の組み合わせが異なる4種類のビネットがあり、それぞれ80代の女性が正常老化から認知症を診断され、軽度、中等度、重度と進行していく様子が描かれていた(A〔家族と同居、BPSDなし〕、B〔家族と同居、BPSDあり〕、C〔独居、BPSDなし〕、D〔独居、BPSDあり〕)。参加者はいずれかひとつのビネットを受け取り、それぞれの病期で、社会的距離を測定するための質問に回答した。 その結果、全てのビネットで、認知症が進行するほど社会的距離が大きくなることが示された。また、すべての病期を通して、ビネットA「家族と同居、BPSDなし」の場合の社会的距離がもっとも小さく、ビネットD「独居、BPSDあり」の場合の社会的距離が最も大きかった。 社会的距離の差が最も大きかったビネットA「家族と同居、BPSDなし」とD「独居、BPSDあり」について、社会的距離に影響を与える要因を探索した。世帯収入、居住地域、認知症に関する知識、認知症患者との接触などを変数とする多変量分析を行った結果、軽度認知症段階では、「認知症に関する知識が多いこと」が社会的距離の縮小と関連していた(ビネットA〔95%信頼区間-0.28~-0.01、p=0.036〕、D〔同-0.26~-0.02、p=0.026〕)。「認知症患者との接触経験があること」は、認知症の全病期を通して、社会的距離の縮小と関連していた(ビネットA〔p=0.001~0.007〕、D〔p<0.001~p=0.006〕)。 井藤氏らは本研究について、「今回の結果は、スティグマに対する介入としての教育の有効性を示すと同時に、その限界をも示すものである。中等度以上の認知症者に対するスティグマに対しては、教育だけではなく適切な準備状況がある社会的接触が必要であり、特に、社会的排除のハイリスク群である、独居でBPSDを示す者に対する方策が重要」と述べている。また、著者らは本研究の限界について、「社会的望ましさのバイアスが働いた結果、参加者はスティグマを過小に報告した可能性がある」と付け加えている。

検索結果 合計:5819件 表示位置:641 - 660