PTSDに対するブレクスピプラゾール治療、単剤療法と併用療法の有効性

提供元:ケアネット

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公開日:2025/04/03

 

 心的外傷後ストレス障害(PTSD)に対するブレクスピプラゾールのセルトラリン併用療法および単剤療法の有効性、安全性、忍容性を評価するため、米国・Otsuka Pharmaceutical Development & Commercialization Inc.のMary Hobart氏らは、ランダム化比較試験を実施し、その結果を報告した。The Journal of Clinical Psychiatry誌2025年2月19日号の報告。

 本試験では、1週間のプラセボ導入期間とその後11週間のランダム化二重盲検実薬参照プラセボ対照並行群間治療期間(フォローアップ期間14日間を含む)で構成された。米国の48の臨床試験施設において2017年1月〜2018年11月に実施された。対象は、PTSD成人外来患者321例(DSM-V基準)。経口ブレクスピプラゾール+セルトラリン(併用群)82例、ブレクスピプラゾール+プラセボ(ブレクスピプラゾール単剤群)75例、セルトラリン+プラセボ(セルトラリン単剤群)81例、プラセボ+プラセボ(対照群)83例にランダムに割り付けられた。用量はフレキシブルドーズ(ブレクスピプラゾール:1〜3mg/日、セルトラリン:100〜200mg/日)を採用した。主要エンドポイントは、ランダム化後(1週目)から10週目までのClinician-Administered PTSD Scale for DSM-5(CAPS-5)合計スコアの変化とした。安全性評価には、有害事象を含めた。

 主な結果は以下のとおり。

・治験完了率は、併用群70.7%(58例)、ブレクスピプラゾール単剤群66.7%(50例)、セルトラリン単剤群72.8%(59例)、対照群77.1%(64例)。
・10週目において、併用群は、セルトラリン単剤群と比較し、CAPS-5合計スコアのより大きな改善が認められた(最小二乗[LS]平均差:−5.08、95%信頼区間:−8.96〜−1.20、p=0.011)。また、ブレクスピプラゾール単剤群および対照群との比較においても、同様であった。
【併用群】77例、ランダム化後CAPS-5合計スコア:35.7、LS平均変化:−16.4
【ブレクスピプラゾール単剤群】69例、ランダム化後CAPS-5合計スコア:33.9、LS平均変化:−12.2
【セルトラリン単剤群】75例、ランダム化後CAPS-5合計スコア:36.5、LS平均変化:−11.4
【対照群】78例、ランダム化後CAPS-5合計スコア:35.1、LS平均変化:−10.5
・ブレクスピプラゾール単剤群およびセルトラリン単剤群は、対照群と比較し、統計学的に有意な差は認められなかった。
・治療中に発生した有害事象のうち、発生率が10%以上であった有害事象は、併用群で体重増加(12.5%)および傾眠(10.0%)、ブレクスピプラゾール単剤群でアカシジア(13.3%)、セルトラリン単剤群で嘔気(20.3%)および口渇(12.7%)。

 著者らは「ブレクスピプラゾールとセルトラリンとの併用療法は、PTSDの新たな治療法として有効である可能性があり、安全性プロファイルは、これまでのブレクスピプラゾールの報告と一致していた」と結論付けている。

(鷹野 敦夫)